JP6221631B2 - 不溶化剤及びその製造方法、並びに不溶化処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、焼却灰用の不溶化剤及びその製造方法、並びに不溶化剤を用いた不溶化処理方法に関する。
従来、焼却灰に薬剤を添加することによって焼却灰を不溶化処理する方法が知られている。例えば、特許文献1,2は、製紙スラッジ焼却灰からのフッ素溶出量及びホウ素溶出量を低減するため、製紙スラッジ焼却灰にセメントと硫酸アルミニウムを添加して得た土壌改良材を開示する。特許文献3,4は焼却灰にセメントと硫酸アルミニウムに加え、更に酸化カルシウム類又はアルカリ土類金属化合物を添加する方法を開示する。特許文献5は、焼却灰等の固形廃棄物中に含まれる重金属類を効果的に不溶化して無害化するための方法を開示する。
特開2006−316195号公報 特許第4616202号公報 特許第4826089号公報 特許第4372810号公報 特開2013−017981号公報
焼却灰に対する従来の不溶化処理は、特許文献4に記載されたように焼却灰に水と高炉セメントと硫酸アルミニウムとを添加することによってエトリンガイトを生成させ、エトリンガイトの生成時に溶出低減対象の元素(例えばフッ素)をその構造中に取り込むことによって不溶化することを意図したものであると考えられる。しかし、従来の不溶化処理では硫酸アルミニウムの溶解度が高く、水と接触後すぐにエトリンガイトが生成してしまうため、例えば焼却灰から時間をかけて溶出するフッ素を効率的に不溶化することができなかった。また、高炉セメントと硫酸アルミニウムからなる不溶化処理では、硫酸アルミニウムから供給されるアルミニウムイオンだけでなく、高炉セメント(特に高炉スラグ)から供給されるアルミニウムイオンによりSO 2−/Al3+のモル比が経時的に低下する傾向にあり、エトリンガイトが不安定になりやすく、取り込まれたフッ素が再溶出すると考えられる。
そこで、本発明は焼却灰から比較的時間をかけて溶出する元素であっても、これを効率的に不溶化でき、且つ短期から長期にかけて安定的に不溶化できる不溶化剤及びその製造方法並びに不溶化剤を用いた不溶化処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、焼却灰及び/又は不溶化剤中に含まれるカルシウムとアルミニウムと反応してエトリンガイトを生成し且つ硫酸アルミニウムよりも溶解度の低い石膏に着目した。本発明者らは高炉セメント及び硫酸アルミニウムを含む従来の不溶化剤に、更に所定量の石膏を配合することでエトリンガイトの生成時期を遅らせることができ、これにより焼却灰から時間をかけて溶出する元素を従来法よりも効率的に不溶化できることを見出した。更に、本発明者らは、これら三成分(石膏、高炉セメント及び硫酸アルミニウム)を組み合わせた不溶化剤はSO 2−/Al3+のモル比の経時的な低下を抑え、エトリンガイトの安定性を維持し、長期的にも不溶化できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明の不溶化剤は焼却灰を不溶化処理するためのものであり、石膏と、高炉セメントと、硫酸アルミニウムとを含み、石膏をSO換算で5〜53質量%、高炉セメントを5〜50質量%、硫酸アルミニウムを14水和物換算(Al(SO・14HO換算)で5〜60質量%含有する。
より優れた効果を発現させる観点から、上記石膏が石膏の中でも溶解度の低い無水石膏であってもよい。
上記成分を含む不溶化剤によれば、焼却灰から比較的時間をかけて溶出する元素であっても、これを効率的に不溶化でき、且つ短期から長期にかけて安定的に不溶化できる。本発明の不溶化剤は焼却灰からフッ素及び鉛の少なくとも一方が溶出する量を低減するために使用できる。
より優れた効果を発現させる観点から、本発明の不溶化剤は石膏をSO換算で23〜48質量%、高炉セメントを10〜20質量%、硫酸アルミニウムを14水和物換算で10〜40質量%含有するものであってもよい。
本発明によれば、不溶化剤による不溶化処理がなされた焼却灰に対する環境省告示第46号法(平成10年告示)に準拠したフッ素、鉛溶出試験において、検液のpHを9〜12.5とすることができる。
本発明は焼却灰用の不溶化剤の製造方法を提供する。すなわち、上記不溶化剤の製造方法は、石膏をSO換算で5〜53質量%、高炉セメントを5〜50質量%、硫酸アルミニウムを14水和物換算で5〜60質量%含有する不溶化剤が得られるように、石膏と、高炉セメントと、硫酸アルミニウムとを混合する工程を備える。
本発明は上記不溶化剤を使用した、焼却灰の不溶化処理方法を提供する。当該不溶化処理方法によれば、焼却灰から比較的時間をかけて溶出する元素であっても、これを効率的に不溶化でき、且つ短期から長期にかけて安定的に不溶化できる。
本発明によれば焼却灰から比較的時間をかけて溶出する元素であっても、これを効率的に不溶化でき、且つ短期から長期にかけて安定的に不溶化できる。
試験例6の結果(SO 2−/Al3+モル比の経時変化)を示すグラフである。 試験例6の結果(エトリンガイトのピーク強度の経時変化)を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<不溶化剤>
本実施形態に係る不溶化剤は焼却灰を不溶化処理するためのものであり、当該不溶化剤の全質量を基準として、石膏をSO換算で5〜53質量%、高炉セメントを5〜50質量%、硫酸アルミニウムを14水和物換算で5〜60質量%含有する。
上記成分を含む不溶化剤によれば、焼却灰から比較的時間をかけて溶出する元素であっても、これを効率的に不溶化でき、且つ短期から長期にかけて安定的に不溶化できる。焼却灰に含まれる元素であって上記不溶化剤によって効率的に不溶化できる元素の具体例としては、フッ素及び鉛が挙げられる。すなわち、上記不溶化剤によれば、フッ素及び鉛の少なくとも一方が焼却灰から溶出する量を低減できる。
本実施形態に係る不溶化剤は、上述のとおり、石膏と、高炉セメントと、硫酸アルミニウムとを含む。
用いる石膏は、無水石膏、二水石膏、半水石膏のいずれか1種、又はそれらを2種以上組み合わせたものであってもよく、溶解度の観点から好ましくは無水石膏、二水石膏を用いるとよい。石膏の含有量(SO換算)は、不溶化剤の全質量を基準として、5〜53質量%であり、好ましくは11〜50質量%であり、より好ましくは23〜48質量%である。石膏の含有量が5質量%未満であると、エトリンガイトの生成時期を十分に遅らせることができず、硫酸イオンの供給も不十分であるため焼却灰から時間をかけて溶出する元素の不溶化が不十分となるだけでなく、SO 2−/Al3+のモル比の低下を抑え、長期的に不溶化させる効果が不十分となる。他方、石膏の含有量が53質量%を超えると、他の成分の不足によってエトリンガイトの生成が不十分となる。
高炉セメントの含有量は、不溶化剤の全質量を基準として、5〜50質量%であり、好ましくは7.5〜30質量%であり、より好ましくは10〜20質量%である。高炉セメントの含有量が5質量%未満であると、エトリンガイトの生成が不十分となる。他方、高炉セメントの含有量が50質量%を超えると、他成分の不足によってエトリンガイトの生成が不十分となることに加え、pHが高くなる傾向にある。また、高炉セメントはアルミニウムを含むことから、高炉セメントの含有量が過剰であるとSO 2−/Al3+のモル比を低下し、長期的には不溶化が不十分となる。なお、使用する高炉セメントの酸化アルミニウム(Al)含有量は好ましくは5〜15質量%程度であり、より好ましくは5〜10質量%程度である。
硫酸アルミニウム(硫酸アルミニウム14水和物換算)の含有量は、不溶化剤の全質量を基準として、5〜60質量%であり、好ましくは7.5〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%である。この含有量は、不溶化剤に含まれる硫酸アルミニウムが全て硫酸アルミニウム14水和物であると仮定して算出される値であり、実際に不溶化剤に含まれる硫酸アルミニウムが全て14水和物でなくてもよい。なお、硫酸アルミニウムは、焼却灰を不溶化処理する際、焼却灰から溶出するカルシウムや高炉セメント、石膏由来のカルシウムと反応してエトリンガイトを早期に生成する効果とともに、処理液のpHを下げる効果がある。これらの効果によって、焼却灰からのフッ素の溶出を抑制できるとともに、エトリンガイトの不溶化効果も向上させることができる。
上述の成分の他に、不溶化剤は、石灰石粉、フライアッシュ、消石灰、シリカフューム、ゼオライト、炭酸カルシウム及びその他pH調整剤を含有してもよい。なお、不溶化剤全体に対する、石膏と高炉セメントと14水和物に換算した硫酸アルミニウムとの合計量は、一層優れた不溶化性能を有する不溶化剤を得る観点から、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは95質量%以上である。
<不溶化剤の製造方法>
上記不溶化剤の製造方法は、上述の配合比率となるように、石膏と、高炉セメントと、硫酸アルミニウムと、必要に応じて他の成分とを混合する工程を備える。これらの成分を例えばニーダーなどを使用して撹拌混合することによって不溶化剤を得ることができる。なお、ここでは不溶化剤を事前に調製する場合を例示したが、処理対象の焼却灰に対して所定量の上記成分をそれぞれ添加し、全体を撹拌混合してもよい。
<不溶化処理対象の焼却灰>
上記不溶化剤は、環境面の観点から溶出が望ましくない元素を含む焼却灰を対象に使用することができ、より具体的にはフッ素及び鉛の一方又は両方が溶出するおそれのある焼却灰を対象に使用できる。
上記不溶化剤は、酸化アルミニウム(Al)含有量が0〜30質量%である焼却灰を対象とすることができる。焼却灰にアルミニウムが含まれている場合、そのアルミニウムを利用して比較的時間をかけてエトリンガイトを生成させることができる。
上記不溶化剤は、高アルカリ性の焼却灰を対象とすることができる。具体的には、f.CaO量が0〜10質量%であっても、不溶化剤に含まれる硫酸アルミニウムによってpHを適度な範囲にまで下げることが可能である。
焼却灰の具体例としては、製紙スラッジ焼却灰、石炭灰、バイオマスボイラ灰、RPF灰、汚泥焼却灰、及び都市ゴミ焼却灰などが挙げられる。
<不溶化処理方法>
次に上記不溶化剤を使用して焼却灰を不溶化処理する方法について説明する。本実施形態に係る不溶化処理方法は、処理対象の焼却灰と上記不溶化剤とを混合する工程を備える。これによって得られた混合物は好ましくは1〜7日にわたって、より好ましくは1〜3日にわたって養生する。混合物から造粒物を作製し、造粒物を養生してもよい。
処理対象の焼却灰に対する不溶化剤の添加量は、焼却灰及び不溶化剤の組成、並びに処理後の溶出量の程度などに応じて決定すればよく、例えば、焼却灰100質量部に対して好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜15質量部、更に好ましくは3〜10質量部の不溶化剤を添加すればよい。不溶化剤の添加量が1質量部未満であると、不溶化効果が不十分になりやすく、他方、30質量部を超えると、添加量に見合う効果を得られにくい。
なお、上述のような高アルカリ性の焼却灰を処理対象とする場合、焼却灰と不溶化剤と水とを含む懸濁液を固液分離して得られる検液のpHが9〜12.5(より好ましくは9.0〜11.6)の範囲に調整することが好ましい。pHを上記範囲に調整すること、特にpHを上記範囲内であってなるべく低い値とすることにより、エトリンガイトを安定的に生成させることができ且つ本不溶化剤の効果を十分に発揮できる。pHの調整は、不溶化剤における硫酸アルミニウムの含有量を調整したり、pH調整剤(例えば硝酸又は水酸化ナトリウム、硫酸鉄、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなど)を適宜添加したりすればよい。
上記不溶化剤による不溶化処理がなされた焼却灰に対する環境省告示第46号法(平成10年告示)に準拠したフッ素、鉛溶出試験において、検液のpHは9〜12.5(より好ましくは9.0〜11.6)であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明についてより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(焼却灰)
焼却灰としては、製紙スラッジ焼却灰(以下、PS灰と略記)を使用した。試験に供したPS灰の特性を表1に示す。表1の化学成分は以下の方法によって測定された値である。
(i)CaO、SiO、Al及びSO含有量の測定
CaO、SiO、Al、SO含有量は、JIS M 8853「セラミックス用アルミのけい酸質原料の化学分析方法」に準拠して行った。
(ii)F含有量の測定
F含有量は、自動燃焼装置(三菱化学(株)製、AQF−100)を用いて燃焼させ、燃焼ガスを吸収装置(三菱化学(株)製、GA−100)にて吸収液に吸収させ、吸着させたものを検液とし、JIS K 0102「工場排水試験方法」に準拠して測定を行った。
(iii)f.CaO含有量の測定
f.CaO含有量は、セメント協会標準試験方法のJCAS I−01:1997「遊離酸化カルシウムの定量方法」に準じて測定した。
(iv)未燃C含有量の測定
PS灰2gに(1+1)HCl(濃度35%)溶液を30ml添加し、蒸留水で200mLにフィルアップした後、30分間攪拌した。攪拌後の溶液はメンブレンフィルターを用いて吸引ろ過し、フィルター上の残渣を105℃、1時間乾燥し、高周波燃焼−赤外吸光法による炭素硫黄同時分析装置(LECO製、CS−400型)を用いて未燃Cを定量した。
(v)pHの測定
PS灰を環境省告示第46号法(平成10年)に準拠して溶出試験を行い、検液を作製した。その検液のpHをJIS K 0102「工場排水試験方法」に準拠して測定した。
表1に示すとおり、f.CaO量が多く、溶出液のpHが12.4と高アルカリ性のPS灰を使用した。
Figure 0006221631
<試験例1>
フッ素不溶化効果に及ぼす配合割合の影響を確認するため、以下の試験を実施した。
(不溶化剤)
不溶化剤には、高炉セメントB種、無水石膏、硫酸アルミニウム14水和物を所定の割合で混合したものを使用した。試験に供した不溶化剤の配合割合を表2に示す。
Figure 0006221631
(実施例1〜8)
PS灰100質量部に対して不溶化剤A〜Hをそれぞれ5質量部添加し、ベンチニーダーで攪拌混合した後、蒸留水65質量部を添加して3分間混練した。混練物をミンチミキサーに投入し、押出造粒することで直径約2mmの円柱状造粒物を作製した。作製した造粒物を1日又は3日養生した後、1日風乾した。風乾後の造粒物を2mm以下に粉砕し、フッ素溶出試験に供した。フッ素溶出試験は、環境省告示第46号法(平成10年)に準拠して行い、検液を作製した。その検液のフッ素濃度およびpHをJIS K 0102「工場排水試験方法」に準拠して測定した。結果を表3に示す。
(比較例1)
PS灰に不溶化剤を添加しなかったことの他は、実施例1〜8と同様にして造粒物を作製し、フッ素溶出試験を行った。すなわち、PS灰100質量部に対して蒸留水65質量部を添加して3分間混練した。混練物をミンチミキサーに投入し、押出造粒することで直径約2mmの円柱状造粒物を作製した。作製した造粒物を1日又は3日養生した後、1日風乾した。風乾後の造粒物を2mm以下に粉砕し、フッ素溶出試験に供した。フッ素溶出試験は、環境省告示第46号法(平成10年)に準拠して行い、検液を作製した。その検液のフッ素濃度およびpHを測定した。結果を表3に示す。
(比較例2)
PS灰に不溶化剤Iを添加したことの他は、実施例1〜8と同様にして造粒物を作製し、フッ素溶出試験を行った。結果を表3に示す。
(比較例3)
PS灰に不溶化剤Jを添加したことの他は、実施例1〜8と同様にして造粒物を作製し、フッ素溶出試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006221631
実施例1〜8と比較例1〜3より、不溶化剤を添加しない場合はフッ素溶出量が土壌環境基準(0.8mg/L)を超過していたのに対し、高炉セメントと無水石膏及び硫酸アルミニウム14水和物を混合した不溶化剤を添加することで、フッ素溶出量を土壌環境基準以下に低減できた。高炉セメント20質量%、無水石膏50質量%、硫酸アルミニウム14水和物30質量%の配合において最も高い不溶化効果が得られた。一方、無水石膏を添加していない比較例2では、フッ素溶出量が養生3日において土壌環境基準を超過した。また、高炉セメントを60%配合した比較例3では養生期間1日および3日ともに土壌環境基準を上回る値となった。
<試験例2>
フッ素不溶化効果に及ぼす添加量の影響を確認するため、以下の試験を実施した。
(実施例9〜11)
不溶化剤として、高炉セメントB種:無水石膏:硫酸アルミニウム14水和物=20:40:40の質量割合で混合した不溶化剤を用い、PS灰100質量部に対して不溶化剤を3〜15質量部添加した以外は実施例1〜8と同様にして造粒物を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
Figure 0006221631
実施例9(添加量3質量部)においてもフッ素を土壌環境基準以下に不溶化可能であった。添加量を増加させるほどフッ素溶出量は低くなった。
<試験例3>
以下のとおり、フッ素不溶化効果の長期安定性試験を実施した。
(実施例12)
養生日数を1〜91日とした以外は実施例10と同様の試験を行った。結果を表5に示す。
(比較例4)
不溶化剤として、普通セメント:高炉スラグ:硫酸アルミニウム14水和物=24:16:60の質量割合で混合した不溶化剤を用いた以外は実施例12と同様にして試験を行った。結果を表5に示す。
Figure 0006221631
実施例12と比較例4より、従来法の不溶化剤に、更に石膏を所定量配合することで、短期から長期にかけて安定的にフッ素を不溶化可能であった。
<試験例4>
以下のとおり、フッ素及び/又は鉛の不溶化試験を実施した。焼却灰AはPS灰であり、焼却灰Bはバイオマスボイラ灰である。焼却灰A、Bのフッ素溶出量、鉛溶出量、pHを表6に示す。
Figure 0006221631
(実施例13〜14)
高炉セメントB種:無水石膏:硫酸アルミニウム14水和物=20:40:40(試験例2と同じ)の質量割合で混合した不溶化剤を焼却灰Aに対して内割で5質量%添加し、また焼却灰Bに対して内割で10質量%添加し、環境省告示第46号に基づく溶出試験方法に準拠し、フッ素、鉛の溶出量、pHを測定した。結果を表7に示す。
Figure 0006221631
実施例13〜14より、本不溶化剤を添加することで鉛を不溶化できること、またフッ素及び鉛を同時に土壌環境基準以下に不溶化できることがわかった。
<試験例5>
(参考例1〜4)
フッ素不溶化効果とpHの関係を確認するため、以下の試験を実施した。模擬廃棄物として、フッ化ナトリウム水溶液(フッ素濃度8mg/L)にPS灰のf.CaO相当(4.55%)のCa(OH)を添加した溶液を用いた。この模擬廃棄物300gに対して、硫酸アルミニウム14水和物を1.8g添加し、硝酸を用いてpHを8.6〜12.5に調整して6時間振盪後に固液分離して検液と固形分を得た。得られた検液のフッ素濃度、pHを測定した。固形分中の生成化合物をX線回折装置(RIGAKU社製RINT2500)を用いて分析した。結果を表8に示す。
Figure 0006221631
参考例1〜4より、エトリンガイトはpH9.6〜12.5の範囲で安定であり、この範囲ではpHが低いほどフッ素濃度は低かった。
<試験例6>
PS灰に本発明の不溶化剤に含まれる各材料をそれぞれ添加した場合の液相中のSO 2−/Al3+モル比及び不溶化処理物中のエトリンガイト生成量を確認するため、以下の試験を実施した。PS灰28.2gに無水石膏、高炉セメント、硫酸アルミニウム14水和物をそれぞれ1.8g添加して混合した後、混合物を固液比1:10となるように蒸留水300gに添加して所定時間振盪した。振盪後の溶液を固液分離して検液と固形分を得た。得られた検液のSO 2−濃度、Al3+濃度をICP発光分析装置(SIIナノテクノロジー製SPS3000)を用いて分析した。固形分中のエトリンガイトの生成量をX線回折装置(RIGAKU社製RINT2500)を用いて分析した。測定したSO 2−濃度、Al3+濃度から検液中のSO 2−/Al3+モル比を算出し、振盪時間に対してプロットしたものを図1に示す。また、XRDで測定したエトリンガイトの第一ピーク(2θ=9.1°)のピーク強度を振盪時間に対してプロットしたものを図2に示す。
図1より、SO 2−/Al3+モル比が経時的に変化しており、硫酸アルミニウムを添加した場合はSO 2−/Al3+モル比が非常に小さく、高炉セメントを添加した場合では180分以降小さくなる傾向にあることがわかる。一方、石膏を添加した場合ではSO 2−/Al3+モル比が360分後の時点で最も大きく、その後更に大きくなる傾向にあることがわかる。
図2より、いずれの場合もエトリンガイトが生成していたが、硫酸アルミニウム14水和物や高炉セメントを添加した場合は初期にエトリンガイトが生成した後、360分後までその生成量はほとんど変化がなかった。一方、無水石膏を添加した場合では、初期のエトリンガイト生成量は硫酸アルミニウムを添加した場合に比べ少ないが、エトリンガイトが360分後まで経時的に増加しており、エトリンガイトの生成時期が遅れていることがわかる。

Claims (7)

  1. 焼却灰を不溶化処理するための不溶化剤であって、
    石膏と、
    高炉セメントと、
    硫酸アルミニウムと、
    を含み、
    石膏をSO換算で5〜53質量%、高炉セメントを5〜50質量%、硫酸アルミニウムを14水和物換算で5〜60質量%含有する不溶化剤。
  2. 前記石膏が無水石膏である、請求項1に記載の不溶化剤。
  3. 焼却灰からフッ素及び鉛の少なくとも一方が溶出する量を低減するためのものである、請求項1又は2に記載の不溶化剤。
  4. 石膏をSO換算で23〜48質量%、高炉セメントを10〜20質量%、硫酸アルミニウムを14水和物換算で10〜40質量%含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の不溶化剤。
  5. 当該不溶化剤による不溶化処理がなされた焼却灰に対する環境省告示第46号法(平成10年告示)に準拠したフッ素、鉛溶出試験において、検液のpHが9〜12.5である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の不溶化剤。
  6. 焼却灰用の不溶化剤の製造方法であって、
    石膏をSO換算で5〜53質量%、高炉セメントを5〜50質量%、硫酸アルミニウムを14水和物換算で5〜60質量%含有する不溶化剤が得られるように、
    無水石膏と、高炉セメントと、硫酸アルミニウムとを混合する工程を備える、不溶化剤の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の不溶化剤を使用した、焼却灰の不溶化処理方法。
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