以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置の全体の概要を示すものである。
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラー複写機として構成されたものである。画像形成装置1は、原稿6の画像を読み取る画像読取装置3と、画像データに基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成手段の一例としての画像形成部2とを備えている。画像読取装置3は、画像形成部2を収容した装置本体1aの上方に支持部4により支持された状態で配置されており、画像読取装置3と装置本体1aとの間には画像が形成された記録媒体を排出するための空間を形成している。
なお、画像読取装置3には、画像形成装置I及び画像読取装置2を操作する操作部とし
てのコントロールパネル110が設けられている。コントロールパネル110は、ユーザに操作メニューや警告、メッセージ等を表示する表示部を兼ねるとともに表示した操作メニューに対する各種設定等を受け付けるタッチパネル111、及び複数の操作ボタン112を有している。
画像形成部2は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されるトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。なお、装置本体1aは支持構造部材、外装カバー等で形成されている。
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。この4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、装置本体1aの内部空間において1列に並べた状態となるよう配置されている。
各作像装置10(Y,M,C,K)は、図1に示されるように、回転する像保持体の一例としての感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光手段としての露光装置13と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段としての現像装置14(Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写装置15と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃する図示しないドラム清掃装置16等である。
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない回転駆動装置から動力が伝達されて第1の方向(感光体の回転方向)である矢印Aで示す方向に回転するように支持されている。
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロールで構成される。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。
露光装置13は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光を、帯電された後の感光体ドラム11の周面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置13は、後に詳述するように、LED素子を予め定められたピッチで感光体ドラム11の軸方向に沿って直線状に配置したLEDアレイ33と、このLEDアレイ33の各LED素子から出射された光を感光体ドラム11上にスポット状に結像するロッドレンズアレイ34とを備えている。露光装置13には、潜像形成時になると画像形成装置1に任意の手段で入力され、画像処理部で画像処理された画像の情報(信号)が送信される。
この固体走査型の露光装置13は、図2に示されるように、LEDプリントヘッド(LPH)から構成されている。固体走査型の露光装置13は、感光体ドラム11の軸方向(第2の方向)に沿って長尺に形成された筐体31を備えており、当該筐体31の表面には、LEDアレイ33を備えたLED回路基板32が装着されている。また、このLED回路基板32の表面には、図3に示されるように、LEDアイレ33を構成する複数のLEDアレイチップ331〜33nが、長手方向に沿って一部が重なるように千鳥状に配列されている。LEDアレイ33から出射された光束は、図2に示されるように、ロッドレンズアレイ34によって絞られ、感光体ドラム11の表面にドット形状に露光される。上記ロッドレンズアレイ34は、保持部材35に装着されており、当該保持部材35を介して板バネSによって固体走査型の露光装置13の筐体31に取り付けられている。
また、上記LED回路基板32は、図3に示されるように、LEDアレイ33を画像情報に応じて発光させるための駆動回路36と、画像データを記憶する記憶素子37と、LEDアレイ33に電圧を印加する電源回路38とを、LEDアレイ33の一端部に備えている。さらに、上記LED回路基板32には、後述する制御部5から画像データや制御信号が送られるワイヤーハーネス39が接続されている。なお、LED回路基板32の駆動回路36については、後に詳述する。LEDアレイ33としては、例えば、自己走査型のLEDアレイが用いられるが、他の方式のものを用いても良い。
LEDアレイ33は、図4に示されるように、感光体ドラム11の軸方向(第2の方向)である主走査方向に沿って1200dpi(dot per inch)の解像度でLED素子を配列している。また、LEDアレイ33は、感光体ドラム11の回転方向(第1の方向)である副走査方向に沿って2400dpiの解像度を有している。
現像装置14(Y,M,C,K)はいずれも、開口部と現像剤の収容室が形成された筐体の内部に、現像剤を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロールと、現像剤を攪拌しながら現像ロールに供給するよう搬送する2つのスクリューオーガー等の攪拌搬送部材と、現像ロールに保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材などを配置して構成されたものである。この現像装置14には、その現像ロールと感光体ドラム11の間に現像用のバイアス電圧が後述する電源装置から供給される。また、現像ロールや攪拌搬送部材は、図示しない回転駆動装置からの動力が伝達されて所要の方向に回転する。上記4色の現像剤(Y,M,C,K)としては、例えば、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
一次転写装置15は、感光体ドラム11の周面に接触して回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
ドラム清掃装置16は、一部が開口する容器状の本体と、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置され残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板と、清掃板により取り除かれた付着物を回収する回収装置等で構成されている。
中間転写装置20は、図1に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K)の上方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22〜24と、ベルト支持ロール23に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写装置25と、二次転写装置25を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置26とで主に構成されている。
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は従動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23は駆動ロール及び二次転写のバックアップロールとして構成され、ベルト支持ロール24は張力付与ロールとして構成されている。
二次転写装置25は、図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール23に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写ロールからなる接触型の転写装置である。また、二次転写ロール25又は中間転写装置20の支持ロール23には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。
定着装置40は、表面温度が予め定められた温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41に所要の圧力で接触して回転するロール形態又はベルト形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。
給紙装置50は、作像装置10(Y,M,C,K)の下方側の位置に存在するように配置される。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の用紙収容体511,512,513と、用紙収容体511,512,513から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52,53とで主に構成されている。用紙収容体51は、例えば、装置本体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられている。
給紙装置50と二次転写装置25との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する複数の用紙搬送ロール対54,55や搬送ガイド材で構成される給紙搬送路56が設けられている。給紙搬送路56において二次転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対55は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。さらに、定着装置40の用紙搬送方向に沿った下流側には、記録用紙5を排出収容部57へと排出する排出ロール対58が配置されている。
画像形成装置1は、片面に画像が形成された記録用紙5をその表裏を反転させた状態で再び用紙搬送ロール対55まで搬送する両面用搬送路59を備えている。この両面用搬送路59は、複数の用紙搬送ロール対60,61や搬送ガイド材で構成されている。
<画像形成装置の基本的な動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するときの画像形成動作を説明する。
画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
続いて、各現像装置14(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーをそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。
また、一次転写が終了した各作像装置10では、ドラム清掃装置16が感光体ドラム11の表面に残留するトナー等の付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10は次の作像動作が可能な状態にされる。
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路56に送り出す。給紙搬送路56では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対55が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
二次転写位置においては、二次転写装置25が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置26が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ロール25から剥離された後に定着装置40まで搬送される。定着装置40では、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を用紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、排出ロール対58により装置本体1aの上部に配置された排出収容部57に排出される。
また、記録用紙5の両面に画像を形成する場合は、片面に画像が形成された用紙5を第2の排出ロール対58により排出収容部57へと搬送し、排出ロール対58が用紙5の後端を保持している間に、排出ロール対58の回転方向を排出方向から逆方向へと切り替えるとともに、片面に画像が形成された用紙5をその表裏を反転した状態で図示しない切替部材によって両面用搬送路59へと送り出す。両面用搬送路59では、記録用紙5を搬送ロール対60,61により用紙搬送ロール対55まで搬送し、用紙搬送ロール対55が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
そして、片面の画像形成時と同様に、二次転写位置において中間転写ベルト21から裏面にトナー像が二次転写された記録用紙5は、定着装置40により定着処理を受けた後、図示しない切替部材を介して排出ロール対58により、筐体1aの上部に配置された排出収容部57に排出される。
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が出力される。なお、モノクロの画像を形成する場合は、ブラックの作像装置10Kのみにより画像形成が行われる。
ところで、画像形成装置1では、中間転写ベルト21から記録用紙5にトナー像を二次転写する二次転写部において、図5に示されるように、記録用紙5が二次転写部に突入することにより、中間転写ベルト21の安定位置が変化して、中間転写ベルト21の蛇行が生じることがある。また、上記記録用紙5の二次転写部への搬送状態によっては、記録用紙5を一定の方向に搬送することができずに、例えば、記録用紙5の後端部の搬送方向が連続的に変化し、記録用紙5が回転しながら二次転写を受けることがあり、図6に示されるように、画像の後端部が略“し”の字形状に歪む場合がある。
<画像形成装置の特徴部分の構成>
図7は画像形成装置の制御回路を示すブロック図である。
100は画像形成装置1の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)やROM( Read Only Memory)あるいはRAM(Random Access Memory)等の電子部品からなる制御部であり、この画像形成装置1の諸動作を統括的に制御する。画像処理部101は、画像読取装置3で読み取られた画像データや外部から入力された画像データに対してシェーディング補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し等の予め定められた画像処理を施すものである。画像歪み検出部102は、画像読取装置3で読み取られた画像歪み検出用画像としてのテストチャートや、他装置の画像読取装置あるいはスキャナーで読み取られたテストチャートの画像データに基づいて主走査方向及び副走査方向に沿った画像の歪みを検出する。補正値算出部103は、画像歪み検出部102で検出された主走査方向及び副走査方向に沿った画像の歪みに基づいて、予め定められた補正値演算式により画像の歪みを補正する補正値を算出する。補正部104は、補正値算出部103によって算出された補正値に基づいて主走査方向に沿った画像の補正処理を行うとともに、副走査方向に沿った画像の補正を行うための補正信号を生成する。
36は露光装置13のLED回路基板32に設けられた駆動回路を示している。駆動回路36は、画像データ展開部105、ラインシンク信号補正部106、タイミング信号発生部107、基準クロック発生部108、出力部1091〜109128を含んで構成されている。画像データ展開部105には、補正部104からシリアル信号として画像データが入力される。この画像データ展開部105は、例えば、画像データ書き込み用と画像データ読み出し用の2つのポートが設けられた記憶手段としてのデュアルポートRAMを備えている。
ラインシンク信号補正部106は、制御部100、補正部104、及び基準クロック発生部108と接続されている。ラインシンク信号補正部106は、基準クロック発生部108からの基準クロック信号を基に、制御部100からの基準となる水平同期(ラインシンク)信号(Lsync)を補正部104からの補正信号に基づいて補正したラインシンク信号を発生させる。更に説明すると、ラインシンク信号補正部106は、制御部100から出力される基準となるラインシンク信号(Lsync)を基に、補正部104からの副走査方向の補正信号に応じてラインシンク信号の出力間隔(周期)をプラス方向又はマイナス方向に補正したラインシンク信号(Lsync)を出力する。
また、タイミング信号発生部107は、制御部100、補正部104、及びクロック信号発生部108と接続されている。タイミング信号発生部107は、基準クロック発生部108からの基準クロック信号を基に、ラインシンク信号補正部106からの補正されたラインシンク信号(Lsync)と同期して、転送信号CKを発生させる。
また、タイミング信号発生部107は、画像データ展開部105と接続されており、基準クロック発生部108からの基準クロック信号を基に、ラインシンク信号補正部106からのラインシンク信号(Lsync)と同期して、画像データ展開部105に各画素に対応した画像を書き込むためのデータ書き込み信号WR、及び画像データ展開部から各画素に対応した画像を読み出すためのデータ読み出し信号REを出力する。さらに、タイミング信号発生部107は、出力部109と接続されており、基準クロック発生部108からの基準クロック信号を基に、LEDアレイ33の点灯開始のトリガ信号TRGを個別に出力している。
出力部1091〜109128は、画像データ展開部105、タイミング信号発生部107及び基準クロック発生部108と接続されており、画像データ展開部105からの画像データが1のときには、タイミング信号発生部107からのトリガ信号TRGをLEDアレイ33に出力し、画像データ展開部105からの画像データが0のときには、タイミング信号発生部107からのトリガ信号TRGをLEDアレイ33に出力しないように構成されている。そして、出力部1091〜109128は、画像データに応じたクロック数の点灯パルスを発生してLEDアレイ33に出力する。
なお、図7中、符号110は画像形成装置1のコントロールパネルを示している。コントロールパネル110は、制御部100に接続されている。
この実施の形態では、図4に示されるように、LEDアレイ33の複数のLED素子が主走査方向に沿って少なくとも2つ以上(複数)(例えば、128)の発光素子群としての領域1201〜120128(以下、「小領域」という。)に分割されている。1つの小領域120は、複数(例えば、128)個のLED素子を備え、主走査方向に沿って約2.7mmの長さを有している。LEDアレイ33は、全体として16384個(=128×128)のLED素子から構成されている。
画像データ展開部105は、図8に示されるように、ラインバッファとしてLEDアレイ33の複数の小領域に対応した128個のデュアルポートRAM(512w×128pix)130を備えている。デュアルポートRAM130は、図9に示されるように、補正部104から出力されるアドレス信号の下位7bit(A0〜A6)をデコーダ131によってデコードし、AND回路132を介してタイミング信号発生部108から出力されるデータ書き込み信号WR#Nと合成して個々のデュアルポートRAM130に対するデータ書き込み信号WR#Nとする。そして、デュアルポートRAM130では、128pix(画素)分を一度に書き込むかメモリのビットイネーブル機能などにより前段処理に合わせるなど適した画素数毎に画像データの書き込みが行われる。
また、デュアルポートRAM130は、補正部104から出力されるアドレス信号の上位9bit(A7〜A15)で指定された副走査方向に沿ったライン毎に画像データ(D0〜D512)を書き込むように構成されている。
各デュアルポートRAM130の書き込み側は、128個の各デュアルポートRAM130を連結して、見掛け上0番地から127番地を各デュアルポートRAM130について128ピクセルのデータとして1ラインを構成し、128番地から255番地までが2ライン目、256番地から383番地までが3ライン目、・・・と順次最終ラインの512ラインまで画像データを格納する。また、デュアルポートRAM111はリングバッファとして使用され、1ページの画像の中でラインバッファ分の512ラインまでが副走査方向に沿った最大補正量となる。
一方、各デュアルポートRAM130の読み出し側は、各々のデュアルポートRAM130毎に異なる読み出しタイミングで画像データを読み出すよう構成されている。そのため、タイミング信号発生部107は、各デュアルポートRAM130に対して個別にデータ読み出し信号REを出力する。各デュアルポートRAM130から個別のタイミングで読み出された画像データは、対応する出力部1091〜109128にそれぞれ送られる。
この実施の形態では、各デュアルポートRAM130に出力されるデータ読み出し信号RE及びデータ読み出し信号REの出力タイミングを、補正部104からラインシンク信号補正部106に対して出力される副走査方向の補正信号により変更している。
各デュアルポートRAM130に出力されるデータ読み出し信号RE及びデータ読み出し信号REは、補正前の状態では、制御部100からラインシンク信号補正部106に出力される基準ラインシンク信号(Lsync)に同期して出力される。
これに対して、補正部104は、ラインシンク信号補正部106に対して副走査方向の補正信号を出力する。すると、ラインシンク信号補正部106は、図10に示されるように、出力するラインシンク信号(Lsync)の出力間隔(周期)を副走査方向の補正信号に応じて、制御部100からの基準ラインシンク信号(Lsync)に対して異なる値に補正する。そして、タイミング信号発生部107は、ラインシンク信号補正部106から出力されるラインシンク信号(Lsync)に基づいて、各デュアルポートRAM130に出力するデータ読み出し信号RE及びデータ読み出し信号REの出力タイミングを変更することにより、LEDアレイ33の各小領域1201〜120128毎に感光体ドラム11の周面に画像露光を施すタイミングを異ならせている。その結果、LEDアレイ33は、各小領域1201〜120128毎に感光体ドラム11の周方向に沿った画像露光位置を補正することが可能となっている。
<画像形成装置の特徴部分の動作>
この実施の形態に係る画像形成装置1では、装置の使用開始時、予め定められた枚数の記録用紙5に画像をプリントした場合などの所要のタイミングで、図11に示されるようなテストチャート140を出力する。このテストチャート140は、直線状の画像を主走査方向及び副走査方向に沿ってそれぞれ所定の間隔で形成した格子状の画像からなるものである。なお、テストチャート140の画像は、画像の歪みを検出可能なものであれば、任意の画像を用いることができる。また、テストチャート140の画像の色は、任意であり、例えば、ブラック(K)1色の画像が用いられる。
画像形成装置1では、記録用紙5に画像を形成する際に、図4に示されるように、二次転写部において中間転写ベルト21及び記録用紙5の搬送状態に位置変動等の不具合が発生すると、図11(a)に示されるような画像が形成されずに、図11(b)に示されるように、歪みが発生したテストチャート140’が出力される場合がある。
この出力されたテストチャート140’は、自装置の画像読取装置3、又は他装置の画像読取装置やスキャナーにより読み取られ、図7に示されるように、読み取られたテストチャート140’の画像データが画像歪み検出部102に入力される。画像歪み検出部102は、テストチャート140’の画像データから主走査方向及び副走査方向に沿った画像の歪みを検出する。
図示の例では、テストチャート140’の画像に主走査方向に沿った画像の歪み(位置ずれ)は発生しておらず、副走査方向に沿った画像の歪み(位置ずれ)のみが発生している。また、副走査方向に沿った画像の歪みは、その歪み量が主走査方向に沿って一定ではなく、主走査方向の位置において、副走査方向に沿った画像の歪み量が異なるものとなっている。画像歪み検出部102は、このような主走査方向の位置における副走査方向に沿った画像の歪み量を検出する。
画像歪み検出部102で検出された画像の歪み量は、補正値算出部103に送られ、補正値算出部103では、画像の歪み量を補正すべく予め定められた補正値演算式に基づいて補正値を算出する。その際、補正値算出部103は、LEDアレイ33の各小領域120に対応した128個の画素を主走査方向に沿った1つの補正単位として補正値を算出する。補正値としては、LEDアレイ33の各小領域1201〜120128毎にラインシンク信号(Lsync)の出力間隔(周期)を、基準となるラインシンク信号(Lsync)に対して増減する時間を感光体ドラム11の回転速度であるプロセス速度に応じて算出する。
更に説明すると、図11に示されるテストチャート140’は、LEDアレイ33の各小領域1201〜120128を基準となるラインシンク信号(Lsync)で駆動した場合に生じる画像の歪みを有している。そのため、補正値算出部103は、図12に示されるテストチャート140’を正規のテストチャート140の画像となるように補正すべく、副走査方向に沿った画像の間隔が本来の間隔に比較して狭い小領域120に対しては、ラインシンク信号(Lsync)の出力間隔(周期)を基準ラインシンク信号(Lsync)より長くなるよう補正する。また、副走査方向に沿った画像の間隔が本来の間隔に比較して広い小領域120に対しては、ラインシンク信号(Lsync)の出力間隔(周期)を基準ラインシンク信号(Lsync)より短くなるよう補正する。
補正値算出部103で算出された補正値は、補正部104に入力される。補正部104は、LEDアレイ33の小領域1201〜120128に対応して画像処理部101からの画像データを主走査方向に沿って分割し、分割された画像データを画像データ展開部105の対応するデュアルポートRAM1301〜130128に書き込む。
その際、各デュアルポートRAM1301〜130128に対する画像データの書き込みタイミングは、タイミング信号発生部107から出力されるデータ書き込み信号WRによって決定される。このデータ書き込み信号WRは、基準となるラインシンク信号の周期を「0」とし、当該基準周期に対してプラス方向又はマイナス方向に予め定められた1単位毎に補正される。
また、各デュアルポートRAM1301〜130128からの画像データの読み出しタイミングは、タイミング信号発生部107から出力されるデータ読み出し信号REによって決定される。このデータ読み出し信号WRも、基準となるラインシンク信号の周期を「0」とし、当該基準周期に対してプラス方向又はマイナス方向に予め定められた1単位毎に補正される。
各デュアルポートRAM1301〜130128に対して出力されるデータ書き込み信号WR及びデータ読み出し信号REは、ラインシンク信号補正部106からLEDアレイ33の小領域1201〜120128に対応してタイミング信号発生部107に出力されるラインシンク信号(Lsync)の出力間隔(周期)に基づいて補正される。
図13は各デュアルポートRAM1301〜130128に対して出力されるデータ書き込み信号WR及びデータ読み出し信号REを補正した状態の一例を示す図表である。
LEDアレイ33の1ライン目を点灯するため、各デュアルポートRAM1301〜130128に対して出力されるデータ書き込み信号WR及びデータ読み出し信号REの補正値は、すべて「0」となっている。2ライン目以降のデータ書き込み信号WRの補正値は、「−1」、「−2」、「−2」、・・・となっており、すべての各デュアルポートRAM1301〜130128に対して共通している。
一方、2ライン目以降のデータ読み出し信号REの補正値は、1番目のデュアルポートRAM1301が「0」、「0」、「0」、「0」、「0」、「0」、「0」、「0」、「−1」、・・・となっており、128番目のデュアルポートRAM1301が「0」、「0」、「0」、「0」、「0」、「0」、「0」、「0」、「+1」、・・・となっている。
各デュアルポートRAM1301〜130128における合成された読み出し時期の補正値は、データ書き込み信号WRの補正値とデータ読み出し信号REの補正値を加算した値であり、1番目のデュアルポートRAM1301が「0」、「−1」、「−2」、「−2」、「−1」、「0」、「0」、「0」、・・・となっており、128番目のデュアルポートRAM1301が「0」、「−1」、「−2」、「−2」、「−1」、「0」、「0」、「0」、・・・となる。
このように、LEDアイレ33では、図14に示されるように、画像データ展開部105のデュアルポートRAM1301〜130128から各出力部1091〜109128に出力される画像データに基づいて小領域1201〜120128毎にLED素子の発光時期が補正され、図12(b)に示されるように、画像の歪みが補正される。その結果、画像形成装置1では、図12(c)に示されるように、画像の歪みが補正されたテストチャート140を得ることができる。
この実施の形態では、LEDアイレ33の小領域1201〜120128毎に発光時期を補正すれば良いため、高い解像度を有するLEDアイレ33においても画像の歪みを容易に補正することが可能となる。
また、画像形成装置1において、主走査方向に沿った画像の歪み補正は、補正部104において画素の主走査方向に沿った移動や、図15に示されるように、画素の挿入や間引きを実行することにより、画像データ展開部105に画像データが送られる前段階として補正が行われる。
また、この実施の形態では、図16に示されるように、画像データを副走査方向に沿って拡大する場合に、各デュアルポートRAM1301〜130128に対する画像データの書き込みタイミング及び読み出しタイミングを、画像データの副走査方向に沿った拡大周期に対応して変更することで、各デュアルポートRAM1301〜130128に単位時間当たりに記憶される画像データの量を減少させることができ、各デュアルポートRAM1301〜130128を有効に活用することが可能となる。
なお、主走査方向に沿った画像の歪み補正は、画素の挿入や間引きによって画質の低下を招く虞れがあるため、特許第4003803号公報に記載されているように、乱数を用いて画像情報の各領域において補正処理の対象となる画素を決定する処理を行うのが望ましい。
[実施の形態2]
図17は、実施の形態2に係る画像形成装置の要部を示すものである。
画像形成装置1のコントロールパネル110は、ユーザに操作メニューや警告、メッセージ等を表示する表示部を兼ねるとともに表示した操作メニューに対する各種設定等を受け付けるタッチパネル111、及び複数の操作ボタン112を有している。タッチパネル111には、図17に示されるように、画像の歪み補正として、記録用紙5に出力された画像に生じる典型的な画像歪みの状態150が図示されている。
ユーザは、コントロールパネル110のタッチパネル111を操作し、補正しようとしている画像歪みの状態150を選択する。その際、タッチパネル111には、主走査方向及び副走査方向に沿った画像歪みの程度(レベル)151を「+1」、「+2」、「+3」、・・・「−1」、「−2」、「−3」、・・・というように数値で併せて設定するように構成しても良い。
制御部100は、図7に示されるように、コントロールパネル110のタッチパネル111から入力された補正すべき画像歪みの状態150及びレベルに応じて、補正部104に対して補正信号を出力するよう構成されている。
この実施の形態2においては、テストチャート140をプリントすることなく、ユーザがコントロールパネル110を操作することにより、記録用紙5にプリントされた画像の歪みを容易に補正することが可能となる。
なお、前記実施の形態では、主走査方向において副走査方向に沿って位置ずれ量が異なる画像歪みを補正する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、デュアルポートRAMに対する画像データの書き込み時期と読み出し時期とを変更することで、副走査方向に沿ったプリント開始基準を用いることで、副走査方向に沿ったAC成分の補正が可能であるとともに、両面印刷時などにおける表面側の画像と裏面側の画像との位置ずれをも補正することが可能となる。