以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。また、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における半導体キャリア寿命測定装置の構成を示す図である。本実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Daは、例えば、図1に示すように、光照射部1と、測定波入出力部2と、検出部3aと、演算制御入出力部4aとを備えている。
光照射部1は、波長1.0μm〜1.1μmの光を測定対象の半導体塊(被測定試料)SMに照射するための装置である。半導体塊は、例えばSiインゴットやSiブリック等の半導体ウェハが切り出される母材であり、この半導体塊は、複数の半導体ウェハ、すなわち、2枚以上の半導体ウェハを切り出すことが可能な厚さがある。本実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Daでは、光照射部1は、図1に示すように、演算制御入出力部4aにおける演算制御部41aの制御に従って波長1.0μmから波長1.1μmまでの範囲におけるいずれかの波長の光を励起光として発光する光源部11と、光源部11から射出された励起光を被測定試料SMへ向けてその光路を約90度曲げるミラー12とを備えている。
光源部11は、例えばランプと波長フィルタとを備えた光源装置等であってもよいが、本実施形態では、比較的大きな出力が得られる、単色光のレーザ光を発光するレーザ光源装置を備えている。励起光は、被測定試料SMに光を照射することによって光励起によるキャリア(電子と正孔(ホール))を被測定試料SMに生じさせ、半導体キャリア寿命測定装置Daは、この生じたキャリアの寿命(キャリア寿命)を測定する装置であるから、励起光は、点灯状態からステップ状に消灯状態に移行するものが好ましく、例えばパルス光、より具体的にはパルスレーザ光である。本実施形態では、光源部11には、例えば、波長1047nmの赤外パルスレーザ光を発光するレーザ光源装置が用いられた。この波長1047nmの赤外レーザ光は、抵抗率約1〜10ΩcmのSiブリックに対し、約400μmの光浸透長を持つ。
測定波入出力部2は、被測定試料SMの光照射面に所定の測定波を入射するとともに、被測定試料SMで所定の相互作用を受けた測定波を射出するための装置であり、測定波照射部の一例に相当する。本実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Daでは、測定波入出力部2は、図1に示すように、測定波生成部21と、減衰部22と、導波管アンテナ23と、導波管24と、E−Hチューナ25と、サーキュレータ26とを備えている。
測定波生成部21は、演算制御部41aの制御に従って前記所定の測定波を生成する装置である。本実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Daでは、キャリアの生成消滅過程で生じる半導体の導電率変化を測定波の強度変化で取り出すため、前記所定の測定波は、電磁波であればよいが、本実施形態では、マイクロ波であり、測定波生成部21は、マイクロ波を生成するマイクロ波発振器を備えている。本実施形態では、測定波生成部21には、例えば、ガンダイオードを備え、周波数9.6GHzで出力100mWのマイクロ波発振器が用いられた。測定波生成部21は、減衰部22を介してサーキュレータ26の1個の端子に接続され、測定波生成部21から放射された測定波は、サーキュレータ26に入射される。
減衰部22は、被測定試料SMの光照射面に入射される測定波の強度を調整するために、測定波生成部21から出力された測定波の強度を減衰する装置である。
サーキュレータ26は、3つ以上の端子(ポート)を持ち、非可逆的に、一の端子の入力をサイクリックに他の端子へ出力するものであり、本実施形態では、3個の第1ないし第3端子を備え、第1端子に入射された測定波を第2端子へ射出し、第2端子に入射された測定波を第3端子へ射出する光学素子である。サーキュレータ26の第1端子は、減衰部22を介して測定波生成部21に接続され、その第2端子は、導波管24に接続され、そして、その第3端子は、検出部3aの測定波検出部31に接続される。
導波管24は、測定波を導く伝播路を形成する部材であり、その一方端部にサーキュレータ26の第2端子が接続され、その他方端部に導波管アンテナ23が接続される。本実施形態では、測定波がマイクロ波であることから、導波管24は、マイクロ波導波管である。
導波管アンテナ23は、導波管24を伝播して来た測定波を被測定試料SMへ放射するとともに、被測定試料SMと相互作用を受けた測定波を受信して導波管24へ導くアンテナである。導波管アンテナ23は、被測定試料SMの法線方向に沿って配設されており、一方端部が導波管24に接続され、他方端部に開口部23aを備えている。この開口部23aは、測定波を被測定試料SMへ放射するとともに、被測定試料SMと相互作用を受けた測定波を受信するための開口である。被測定試料SMと相互作用を受けた測定波は、本実施形態では、被測定試料SMの光照射面で反射した測定波の反射波である。そして、導波管アンテナ23の一方端部には、光照射部1から放射された励起光を導波管アンテナ23内に案内するための開口部23bを備えている。本実施形態では、測定波がマイクロ波であることから、導波管アンテナ23は、マイクロ波アンテナである。
E−Hチューナ25は、サーキュレータ26と導波管アンテナ23との間における導波管24に介設され、被測定試料SMで相互作用を受けた測定波を測定波検出部31でより良好に検出することができるように、測定波の磁界(H)と電界(E)とを調整する装置である。
検出部3aは、被測定試料SMで相互作用を受けた測定波を検出する装置である。本実施形態では、検出部3aは、測定波の反射波における強度の時間変化を測定するための検出系統を備えている。より具体的には、本実施形態では、検出部3aは、被測定試料SMで相互作用を受けた測定波(測定波の反射波)の強度を検出する測定波検出部31と、測定波検出部31の出力を所定の増幅率で増幅する交流増幅部32と、交流増幅部32の出力をアナログ信号からディジタル信号へ変換するアナログ−ディジタル変換部(AD変換部)33とを備えている。本実施形態では、測定波がマイクロ波であることから、測定波検出部31には、ショットキーダイオードを備えるマイクロ波検出器が用いられた。
演算制御入出力部4aは、半導体キャリア寿命測定装置Daの全体制御を司り、半導体キャリア寿命測定装置Daに対し、所定の入出力を行うための装置である。演算制御入出力部4aは、本実施形態では、図1に示すように、演算制御部41aと、入力部42と、出力部43とを備えている。
入力部42は、例えば、被測定試料SMの測定開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、キャリア寿命を測定する上で必要な各種データを半導体キャリア寿命測定装置Daに入力する機器であり、例えば、キーボードやマウス等である。出力部43は、入力部42から入力されたコマンドやデータ、および、半導体キャリア寿命測定装置Daによって求められたキャリア寿命に関する情報を出力する表示機器であり、例えばCRTディスプレイおよびLCD等である。
演算制御部41aは、半導体キャリア寿命測定装置Dの全体制御を司る装置であり、例えば、マクロプロセッサやメモリ等を備えるマイクロコンピュータを備えて構成される。そして、演算制御部41aは、検出部3aで検出した検出結果に基づいて、被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報を求める。このような演算制御部41aには、制御プログラムが実行されることによって制御部411が機能的に備えられ、検出部3aで検出した検出結果に基づいて被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報を求めるキャリア寿命演算プログラムが実行されることによって、強度時間変化測定部412および寿命情報演算部413aが機能的に備えられる。
制御部411は、半導体キャリア寿命測定装置Daの全体を制御するために、各部を当該機能に応じて制御するものである。強度時間変化測定部412は、検出部3aの検出結果に基づいて、光照射部1によって励起光を被測定試料SMに照射して、少なくとも照射終了時点から、測定波の反射波における強度の時間変化を測定するものである。本実施形態では、強度時間変化測定部412は、検出部3aの検出結果に基づいて、光照射部1によって励起光を被測定試料SMに照射した照射開始時点から、測定波の反射波における強度の時間変化を測定する。寿命情報演算部413aは、強度時間変化測定部412の測定結果に基づいて、被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報を求めるものである。
次に、本実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Daの動作について説明する。図2は、光励起波長1.0μmの光および光励起波長0.9μmの光における、測定波の反射波における強度の時間変化をそれぞれ示す図である。図2の横軸は、経過時間を示すリニア表示の時間(s)であり、その縦軸は、対数表示の、測定波の反射波における強度(PCD信号)(mV)である。すなわち、図2のグラフは、片対数で表示されている。
上記構成の半導体キャリア寿命測定装置Daは、次のように動作することによって半導体塊のキャリア寿命に関する情報を求めている。
まず、測定したい半導体塊が、被測定試料SMとして図略のステージ(載置台)に配置され、半導体キャリア寿命測定装置Daにおける所定の測定位置にセットされる。
続いて、制御部411の制御に従って測定波入出力部2によって測定波が被測定試料SMの測定波照射領域(光照射領域)に照射され、被測定試料SMで反射した測定波が検出部3aで検出され、この検出結果が検出部3aから演算制御部41aへ出力される。
より具体的には、制御部411の制御に従って測定波生成部21は、測定波を生成し、この生成された測定波は、減衰部22を介してサーキュレータ26の第1端子に入射される。第1端子から入射した測定波は、サーキュレータ26の第2端子から射出され、導波管24に入射され、導波管24内を伝播する。この導波管24内を伝播する測定波は、途中に設けられたE−Hチューナ25を経由して電界や磁界が調整され、被測定試料Xの測定波照射領域を照射するべく、導波管アンテナ23の開口部23aから前記測定波照射領域に向けて放射される。そして、被測定試料SMで反射した測定波(測定波の反射波、反射測定波)は、導波管アンテナ23の開口部23aから入射され、導波管アンテナ23で受信される。この反射測定波は、E−Hチューナ25を経由して導波管24内を伝播し、サーキュレータ26の第2端子に入射される。この第2端子から入射した反射測定波は、サーキュレータ26の第3端子から射出され、検出部3aに入射され、検出部3aの測定波検出部31でその強度が検出される。この検出した反射測定波の強度は、交流増幅部32で所定の増幅率で増幅され、AD変換部33でアナログ信号からディジタル信号に変換され、検出部3aのAD変換部33から演算制御部41aの強度時間変化測定部412へ出力される。
一方、制御部411の制御に従って光照射部1によって励起光が被測定試料SMの光照射領域(測定波照射領域)に照射される。より具体的には、まず、制御部411の制御に従って光源部11は、パルスレーザ光の励起光を射出し、この射出された励起光は、ミラー12で光路が屈曲され、導波管アンテナ23の開口部23bに入射され、導波管アンテナ23内を伝播し、被測定試料SMの光照射領域を照射するべく、導波管アンテナ23の開口部23aから前記光照射領域に向けて射出される。
このような光照射部1、測定波入出力部2および検出部3aの各動作によって、励起光を被測定試料SMに照射している場合に測定波を被測定試料SMに照射することで、励起光による反射測定波の時間的な強度変化が検出部3aを介して演算制御部41aの強度時間変化測定部412に取り込まれる。通常では、測定波が被測定試料SMに照射され、測定波を被測定試料SMに照射しながらパルスレーザ光の励起光を照射することによって、パルスレーザ光の照射開始時点(点灯直後)から、測定波の反射波(反射測定波)における強度の時間変化が測定される。
このように測定される反射測定波の強度は、例えば、図2に示すように、赤外パルスレーザ光の照射開始後に、急激に、立ち上がって、赤外パルスレーザ光の照射終了まで増加する。赤外パルスレーザ光の照射が終了すると、その時点の強度値から、反射測定波の強度は、時間の経過とともに減少する。そして、さらに時間が経過すると、やがて、キャリアが熱平衡状態となって略一定となる。この反射測定波の強度における減少過程において、減少率(減少速度、単位時間あたりの減少量)は、初期では比較的大きく、時間の経過とともに小さくなり、指数関数的に減少する。
ここで、図2には、本実施形態における波長1047nmの励起光で測定された反射測定波における強度の時間変化と、比較例として波長904nmの励起光で測定された反射測定波における強度の時間変化とが示されている。
キャリア寿命(キャリアのライフタイム)は、光励起された過剰キャリアにおけるキャリア数のピーク(測定波の反射波における強度のピーク)から、前記キャリア数(前記強度)が1/eとなるまでの時間である。図2を見ると分かるように、波長904nmの励起光で測定された反射測定波における強度の時間変化から求められるキャリア寿命は、約3μsと算出される。一方、Siブリックのキャリア寿命が数十μs以上であることから、波長904nmの励起光を用いた測定では、Siブリックのキャリア寿命を測定することができていない。
一方、波長1047nmの励起光で測定された反射測定波における強度の時間変化から求められるキャリア寿命は、数十μs以上となっており、波長1047nmの励起光を用いることによって、Siブリックのキャリア寿命を測定することができる。
これは、波長904nmの励起光の光浸透長は、約40μmである一方、波長1047nmの励起光の光浸透長は、上述したように、約400μmであり、光浸透長の相違が一因である。つまり、Siブリックは、表面に厚さ十μmオーダーのダメージ層が存在する。波長904nmの励起光は、Siブリックのダメージ層を越えた深部にあまり届かずに、Siブリックのダメージ層で光励起キャリアを生じ、ダメージ層のダメージで比較的速く再結合してしまう。このため、波長904nmの励起光を用いた測定では、Siブリックのキャリア寿命を測定することができない。一方、波長1047nmの励起光は、Siブリックのダメージ層を越えた深部まで届き、Siブリック内の深部で光励起キャリアを生じ、Siブリックの物性に応じて再結合するようになる。このようにSiブリックのダメージ層を越えた深部まで届く光浸透長の励起光を用いることによって、Siブリックのキャリア寿命の測定が可能となる。より具体的には、図2に示す波長904nmの励起光の測定結果および波長1047nmの励起光の測定結果から、Siブリックのキャリア寿命を測定するために、励起光の波長は、1.0μm以上であることが必要である。
一方、波長1.1μmを越える励起光は、そのエネルギーがSiのバンドギャップ未満となり、光励起によって過剰キャリアを生成することができない。したがって、Siブリックのキャリア寿命を測定するために、励起光の波長は、1.1μm以下であることが必要である。
このような事情は、Siブリックだけでなく、同様に、Siインゴットでも生じ、半導体ウェハを切り出すための母材(半導体塊)で生じる。
したがって、半導体塊のキャリア寿命を測定するために、本実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Daは、波長1.0μmから波長1.1μmまでの範囲におけるいずれかの波長の光が用いられ、本実施形態では、Siブリックのキャリア寿命を好適に測定するために、波長1047nmの赤外レーザ光が用いられている。
このような原理から、演算制御部41aの強度時間変化測定部412が、例えば図2に示すような、反射測定波における強度の時間変化を求めると、寿命情報演算部413aは、強度時間変化測定部412の測定結果(励起光の照射終了時点から、反射測定波における強度の時間変化)に基づいて、被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報を求める。そして、寿命情報演算部413aは、この求めた被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報を出力部43に出力する。
ここで、寿命情報演算部413aは、被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報として、キャリア寿命そのものを求めてもよい。すなわち、寿命情報演算部413aは、励起光の照射終了時点から、測定波の反射波における強度の時間変化に基づいて、測定波の反射波における強度のピークから、前記強度が1/eとなるまでの時間をキャリア寿命として求めてもよい。このようにキャリア寿命を直接的に求めてもよいが、寿命情報演算部413aは、被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報として、キャリア寿命の長短の程度を表す評価指標を求めてもよい。
このキャリア寿命の長短の程度を表す指標として、例えば、前記測定波の反射波(反射測定波)における強度の時間変化が指数関数で減少する減衰域(指数関数的減衰域)における時定数τが、挙げられる。この時定数τは、前記反射測定波における強度の時間変化を、リニア表示の経過時間に対する対数表示の、反射測定波における強度変化で表した場合に、直線近似することができる領域(前記指数関数的減衰域に対応する)における直線の傾きαである。この時定数τ、すなわち、前記直線の傾きαは、一次モードライフキャリアと呼称される。
このような傾きαでキャリア寿命の評価が可能であるか否かの検証がシミュレーションによって行われた。その結果が図3ないし図5に示されている。
図3は、キャリア寿命を100μsに設定した場合において、光励起波長1μmの光における、測定波の反射波における強度の時間変化をシミュレーションした結果を示す図である。図4は、キャリア寿命を50μsに設定した場合において、光励起波長1μmの光における、測定波の反射波における強度の時間変化をシミュレーションした結果を示す図である。図5は、キャリア寿命を10μsに設定した場合において、光励起波長1μmの光における、測定波の反射波における強度の時間変化をシミュレーションした結果を示す図である。図3ないし図5の横軸は、リニア表示の経過時間を示す時間(s)であり、その縦軸は、対数表示の励起キャリア数である。
シミュレーションは、励起光の光浸透長が400μmである場合(励起光の波長が1μmである場合)において、キャリア寿命および表面再結合速度Sのそれぞれを変えて行われた。表面再結合速度Sは、被測定試料SMの表面におけるダメージの程度を表す指標である。したがって、表面再結合速度Sを変えることにより、被測定試料SMの表面におけるダメージ層の影響を変えることができる。より具体的には、シミュレーションは、第1に、キャリア寿命を100μsに設定するとともに、表面再結合速度Sを0cm/s、100cm/s、1000cm/s、10000cm/sおよび100000cm/sのそれぞれに設定することによって行われた。その結果が図3に示されている。また、第2に、シミュレーションは、キャリア寿命を50μsに設定するとともに、表面再結合速度Sを0cm/s、100cm/s、1000cm/s、10000cm/sおよび100000cm/sのそれぞれに設定することによって行われた。その結果が図4に示されている。そして、第3に、シミュレーションは、キャリア寿命を10μsに設定するとともに、表面再結合速度Sを0cm/s、100cm/s、1000cm/s、10000cm/sおよび100000cm/sのそれぞれに設定することによって行われた。その結果が図5に示されている。
これら各ケース(各条件)の各結果をそれぞれ示す図3ないし図5において、破線で示すように、前記直線の傾きαは、表面再結合速度Sに関わらず、いずれのケース(条件)においてもほぼ同一である。このことから前記直線の傾きαは、キャリア寿命の長短に依存しており、キャリア寿命の長短を評価する指標となる。図3ないし図5から分かるように、前記直線の傾きαは、負であり、その絶対値が相対的に小さいほど、キャリア寿命が相対的に長く、逆に、その絶対値が相対的に大きいほど、キャリア寿命が相対的に短い。このように前記直線の傾きαでキャリア寿命の評価が可能である。
このような前記直線の傾きαを求める場合では、寿命情報演算部413aは、まず、励起光の照射終了時点から、反射測定波における強度の時間変化を、リニア表示の経過時間に対する対数表示の、反射測定波における強度変化で表する。次に、寿命情報演算部413aは、この片対数表示の、前記反射測定波における強度の時間変化を、前記指数関数的減衰域として、励起光の照射終了時点から予め設定した所定の時間を経過した以降の領域で、直線近似する。そして、寿命情報演算部413aは、この直線の傾きαを求める。なお、前記所定の時間は、励起光の照射終了時点から、前記反射測定波における強度の時間変化が指数関数で減少するようになるまでの時間であり、シミュレーションや、複数の実測結果による統計値等によって、予め適宜に設定されてよい。
以上、説明したように、本実施形態における半導体キャリア寿命測定装置Daおよびこれに実装された半導体キャリア寿命測定方法では、被測定試料SMである測定対象の半導体塊SMに、波長1.0μmから波長1.1μmまでの範囲におけるいずれかの波長の光が励起光として照射されるので、その光浸透長が従来より長いから、前記励起光は、測定対象の半導体塊SMにおける表面から例えば100μm以上の深部まで届き、半導体塊SMにおける例えばダメージ層等の表層を越えた深部でも光励起キャリアが発生される。したがって、本実施形態における半導体キャリア寿命測定装置Daおよび該方法は、半導体ウェハの母材である半導体塊SMにおけるキャリア寿命に関する情報の測定を可能とする。
また、本実施形態おける半導体キャリア寿命測定装置Daおよび該方法では、キャリア寿命に関する情報として、キャリア寿命そのものが求められ、キャリア寿命に関する情報として、キャリア寿命そのものを用いた半導体キャリア寿命測定装置Daが提供される。
あるいは、本実施形態おける半導体キャリア寿命測定装置Daおよび該方法では、キャリア寿命に関する情報として、キャリア寿命の長短の程度を表す評価指標が求められ、キャリア寿命に関する情報として、キャリア寿命の長短の程度を表す評価指標を用いた半導体キャリア寿命測定装置Daが提供される。
次に、別の実施形態について説明する。
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態における半導体キャリア寿命測定装置の構成を示す図である。図7は、抵抗率と浸透長との関係を示す図である。図7の横軸は、対数表示の抵抗率(Ωcm)であり、その縦軸は、対数表示のマイクロ波の浸透長(μm)である。図7は、両対数で表示されている。
μ−PCD法は、上述したように、光励起によって生成された過剰キャリアの再結合過程を、測定波の反射率の時間変化で検出する方法である。このため、μ−PCD法の測定結果は、測定波の浸透長に影響される。すなわち、測定波は、被測定試料SMを浸透するに従って被測定試料SMに吸収され、μ−PCD法では、被測定試料SMの表面から測定波の浸透長までに生成された光励起過剰キャリアの再結合過程が検出され、測定可能な深さが有限である。したがって、測定波の浸透長が励起光の光浸透長より充分に長くないと、測定結果に誤差を含むことになる。例えば、被測定試料SMの深さh1と深さh1+△h1とで同じ個数のキャリアが光励起によって生成されていたとしても、被測定試料SMの深さh1に届く測定波の強度F(h1)より、被測定試料SMの深さ(h1+△h1)に届く測定波の強度F(h1+△h1)が小さくなるため、測定波の反射波の強度は、真の値よりも小さくなる。したがって、μ−PCD法では、前記測定波の反射波における強度の時間変化は、励起光の光浸透長で特徴付けられる、深さxに対する励起光の強度Hを表す関数(H(x))と、測定波の浸透長で特徴付けられる、深さxに対する測定波の強度Fを表す関数(F(x))との畳み込み積分に基づくものである。
このため、第2実施形態における半導体キャリア寿命測定装置Dbは、測定の際の測定波浸透長を考慮することによって、より正確に、キャリア寿命を測定する装置である。
一方、測定波の浸透長は、同じ波長の測定波でも被測定試料SMの抵抗率に依存し、例えば、図7に示すように、測定波が電磁波の場合、シリコン半導体では、抵抗率の増加に伴って測定波の浸透長も増加する。例えば、測定波がマイクロ波の場合、Siブリックの抵抗率は、約1〜約10Ωcm程度であり、これに対するマイクロ波の浸透長は、約500μm〜約2000μmである。
このため、より具体的には、第2実施形態における半導体キャリア寿命測定装置Dbは、測定の際の測定波浸透長、すなわち、測定の際の抵抗率を考慮することによって、より正確に、キャリア寿命を測定する装置である。
このような第2実施形態における半導体キャリア寿命測定装置Dbは、例えば、図6に示すように、光照射部1と、測定波入出力部2と、検出部3bと、演算制御入出力部4bとを備えている。
第2実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Dbにおける光照射部1および測定波入出力部2は、それぞれ、第1実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Daにおける光照射部1および測定波入出力部2と同様であるので、その説明を省略する。
検出部3bは、検出部3aと同じである、測定波の反射波における強度の時間変化を測定するための第1検出系統に加えて、測定の際の測定波の浸透長を検出するために、反射測定波における反射率および位相のうちの少なくとも一方を測定するための第2検出系統を備えている。測定の際における測定波の浸透長、すなわち、被測定試料SMの抵抗率は、後述するように、反射測定波における反射率および位相にそれぞれ依存するので、反射測定波における反射率および位相のうちの少なくとも一方を測定することによって、測定の際における被測定試料SMの抵抗率、すなわち、測定波の浸透長を検出することができる。
検出部3bの第1検出系統は、反射測定波の強度における、時間的な変化である交流成分を検出するので、第1実施形態で説明した通り、測定波検出部(第1測定波検出部)31と、交流増幅部32と、AD変換部(第1AD変換部)33とを備えている。検出部3bの第2検出系統は、反射測定波の強度における、時間的に略一定である直流成分を検出するので、被測定試料SMで相互作用を受けた測定波(測定波の反射波)の強度を検出する第2測定波検出部34と、第2測定波検出部34の出力を所定の増幅率で増幅する直流増幅部35と、第2直流増幅部35の出力をアナログ信号からディジタル信号へ変換する第2アナログ−ディジタル変換部(第2AD変換部)36とを備えている。
演算制御入出力部4bは、演算制御入出力部4aと同様に、半導体キャリア寿命測定装置Dbの全体制御を司り、半導体キャリア寿命測定装置Dbに対し、所定の入出力を行うための装置である。演算制御入出力部4bは、本実施形態では、図6に示すように、演算制御部41bと、入力部42と、出力部43とを備えている。
第2実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Dbにおける入力部42および出力部43は、それぞれ、第1実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Daにおける入力部42および出力部43と同様であるので、その説明を省略する。
演算制御部41bは、演算制御部41aと同様に、半導体キャリア寿命測定装置Dの全体制御を司る装置であり、例えば、マクロプロセッサやメモリ等を備えるマイクロコンピュータを備えて構成される。そして、演算制御部41bは、検出部3aで検出した検出結果に基づいて、被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報を求めるものであり、プログラムが実行されることによって、演算制御部41bには、制御部411、強度時間変化測定部412、寿命情報演算部413bおよび抵抗率測定部414が機能的に備えられる。
第2実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Dbにおける制御部411および強度時間変化測定部412は、それぞれ、第1実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Daにおける制御部411および強度時間変化測定部412と同様であるので、その説明を省略する。
抵抗率測定部414は、検出部3bの前記第2検出系統から出力される検出部3bの検出結果に基づいて、被測定試料SMにおける抵抗率を測定するものである。より具体的には、本実施形態では、抵抗率測定部414は、反射測定波における反射率および位相のうちの少なくとも一方に基づいて、被測定試料SMにおける抵抗率を測定するものである。
寿命情報演算部413bは、強度時間変化測定部412の測定結果に基づいて、被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報を求めるものである。本実施形態では、被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報を求める際に、測定の際の光の浸透長が考慮されることから、寿命情報演算部413bは、強度時間変化測定部412の測定結果および抵抗率測定部414で測定した抵抗率に基づいて、被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報を求めるものである。より具体的には、本実施形態では、寿命情報演算部413bは、抵抗率測定部414で測定した抵抗率に基づいて測定波の浸透長を求め、強度時間変化測定部412の測定結果に基づいて求められた被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報を、この求めた前記測定波の浸透長に基づき補正するものである。
次に、本実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Dbの動作について説明する。図8は、抵抗率とマイクロ波の反射率との関係、および、抵抗率とマイクロ波の反射位相との関係を示す図である。図8(A)は、抵抗率とマイクロ波の反射率との関係を示し、その横軸は、抵抗率(Ωcm)であり、その縦軸は、マイクロ波の反射率である。図8(B)は、抵抗率とマイクロ波の反射位相との関係を示し、その横軸は、抵抗率(Ωcm)であり、その縦軸は、マイクロ波の反射位相(°)である。図9は、キャリア寿命を100μsに設定した場合において、浸透長別に示す、測定波の反射波における強度の時間変化をシミュレーションした結果を示す図である。図9の横軸は、リニア表示の経過時間を示す時間(s)であり、その縦軸は、対数表示の(励起キャリア数)×(マイクロ波浸透長)(a.u.)である。
半導体塊のキャリア寿命に関する情報を求める場合、まず、測定したい半導体塊が、被測定試料SMとして図略のステージ(載置台)に配置され、半導体キャリア寿命測定装置Dbにおける所定の測定位置にセットされる。続いて、第2実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Dbは、第1実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Daと同様に、測定波を被測定試料SMに照射しながらパルス赤外レーザ光の励起光を照射する。これによって励起光による反射測定波の時間的な強度変化が検出部3bで検出される。
ここで、検出部3bは、本実施形態では、上述したように、第1および第2検出系統を備えており、第1検出系統では、第1実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Daと同様に、サーキュレータ26の第3端子から射出された反射測定波は、まず、第1測定波検出部31でその強度が検出される。次に、この検出した反射測定波の強度は、交流増幅部32で所定の増幅率で増幅される。そして、この増幅された反射測定波の強度は、第1AD変換部33でアナログ信号からディジタル信号に変換され、検出部3bの第1AD変換部33から演算制御部41bの強度時間変化測定部412へ出力される。
また、第2検出系統では、反射測定波の強度を測定するために、サーキュレータ26の第3端子から射出された測定波の反射波は、まず、第2測定波検出部34でその強度が検出される。次に、この検出した反射測定波の強度は、直流増幅部35で所定の増幅率で増幅される。そして、この増幅された反射測定波の強度は、第2AD変換部36でアナログ信号からディジタル信号に変換され、検出部3bの第1AD変換部33から演算制御部41bの抵抗率測定部414へ出力される。
強度時間変化測定部412は、第1実施形態の半導体キャリア寿命測定装置Daと同様に、例えば図2に示すような、パルスレーザ光の照射開始時点(点灯直後)から、測定波の反射波(反射測定波)における強度の時間変化を測定する。
そして、抵抗率測定部414は、検出部3bの検出結果に基づいて、被測定試料SMにおける抵抗率を測定する。より具体的には、本実施形態では、抵抗率測定部414は、反射測定波における反射率に基づいて、被測定試料SMにおける抵抗率を測定する。
マイクロ波の反射率は、図8(A)に示すように、抵抗率の増加に伴って減少するプロファイルとなる。より詳細には、マイクロ波の反射率は、抵抗率0.01Ωcm〜0.1Ωcmでは徐々に減少し、抵抗率0.1Ωcm〜1Ωcmでは緩やかに減少し、抵抗率1Ωcm〜20Ωcmでは比較的大きく減少し、その後、再び徐々に減少するプロファイルとなる。このようにプロファイルで、マイクロ波の反射率と抵抗率とは、略1対1に対応している。
このため、導波管アンテナ23から被測定試料SMへ放射される測定波の強度(測定波の入射強度)、および、図8(A)に示すような反射率を抵抗率に換算する換算テーブルや換算式を、演算制御部41bに記憶させておくことにより、抵抗率測定部414は、検出部3bにおける前記第2系統検出部の検出結果(測定波の反射強度)から、測定の際の反射率(測定波の反射強度/測定波の入射強度)を求め、この求めた反射率を抵抗率に換算することによって、測定の際における被測定試料SMの抵抗率を求めることができる。
なお、上述では、反射率から抵抗率が求められたが、測定波の反射位相から抵抗率が求められてもよい。被測定試料SM表面で反射される際の測定波の反射位相は、図8(B)に示すように、所定の抵抗率でピークを持つプロファイルとなる。より詳細には、マイクロ波の反射率は、抵抗率0.01Ωcm〜0.2Ωcmでは徐々に増加し、抵抗率0.2Ωcm〜10Ωcmでは比較的大きく増加してピークとなり、抵抗率10Ωcm以降では比較的大きく減少するプロファイルとなる。このようにプロファイルで、マイクロ波の反射率と抵抗率とは、反射位相が0°〜12°であって抵抗率0.01Ωcm〜10Ωcmでは略1対1に対応している。あるいは、マイクロ波の反射率と抵抗率とは、反射位相が0°〜12°であって抵抗率10Ωcm〜100Ωcmでは略1対1に対応している。このため、反射位相を測定するための公知の常套手段(例えば局部発振器やミキサ等を備える位相検波回路)を検出部3bにさらに備え、図8(B)に示すような反射位相を抵抗率に換算する換算テーブルや換算式を演算制御部41bに記憶させておくことにより、抵抗率測定部414は、検出部3bにおける前記第2系統検出部の検出結果から、測定の際の反射位相を求め、この求めた反射位相を抵抗率に換算することによって、測定の際における被測定試料SMの抵抗率を求めることができる。
また、より正確な抵抗率を求めるために、抵抗率測定部414は、反射率および反射位相から各抵抗率をそれぞれ求め、これらを平均することによって抵抗率を求めてもよい。
このように抵抗率測定部414は、被測定試料SMにおける測定の際の抵抗率を求めると、この求めた抵抗率を寿命情報演算部413bへ出力(通知)する。
寿命情報演算部413bは、強度時間変化測定部412の測定結果および抵抗率測定部414で測定した抵抗率に基づいて、被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報を求める。より具体的には、寿命情報演算部413bは、抵抗率測定部414で測定した抵抗率に基づいて測定波の浸透長を求め、強度時間変化測定部412の測定結果に基づいて求められた被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報を、この求めた測定波の浸透長に基づいて補正する。
寿命情報演算部413bは、検出部3bの第1検出系統の検出結果に基づいて、被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報として、キャリア寿命そのものを求め、この求めたキャリア寿命を、測定波の浸透長に基づいて補正してもよい。このようにキャリア寿命を直接的に求めて補正してもよいが、本実施形態では、寿命情報演算部413bは、寿命情報演算部413aと同様に、キャリア寿命の長短の程度を表す評価指標を求め、この求めたキャリア寿命の長短の程度を表す評価指標を、測定波の浸透長に基づいて補正している。
より具体的には、寿命情報演算部413bは、検出部3bの第1検出系統の検出結果に基づいて、前記反射測定波における強度の時間変化が指数関数で減少する減衰域における時定数τ(前記直線の傾きα)を求め、この求めた時定数τ(前記直線の傾きα)を、測定波の浸透長に基づいて補正している。
測定波の浸透長の相違によって、前記測定波の反射波における強度の時間変化のプロファイルの相違が図9に示されている。図9には、キャリア寿命を100μsに設定した場合において、浸透長δが0.1mmである場合、浸透長δが0.2mmである場合、浸透長δが0.4mmである場合、浸透長δが0.5mmである場合、浸透長δが1.0mmである場合および浸透長δが2.0mmである場合の各場合について、前記反射測定波における強度の時間変化が示されている。
励起光の光浸透長は、約400μm(約0.4mm)である。したがって、測定波の浸透長δが2.0mmおよび1.0mmである各場合では、測定波の浸透長が励起光の光浸透長より充分に長く、このような測定波では、励起光によって光励起されたキャリアを測定波によって全て観測していると考えられ、測定結果は、真の値に近いと考えられる。このため、寿命情報演算部413bは、補正することなく、前記求めた時定数τ(前記直線の傾きα)でよい。あるいは、寿命情報演算部413bは、補正係数Cwを1として、前記求めた時定数τ(前記直線の傾きα)を補正すればよい(補正後の時定数τ(前記直線の傾きα)=1×(補正前の時定数τ(前記直線の傾きα)))。
一方、測定波の浸透長δが0.5mm、0.4mm、0.2mmおよび0.1mmである各場合では、測定波の浸透長が励起光の光浸透長より短く、このような測定波では、励起光によって光励起されたキャリアを全て観測することはできず、測定結果は、真の値よりずれていると考えられる。このため、寿命情報演算部413bは、前記求めた時定数τ(前記直線の傾きα)に、測定波浸透長に応じて設定された補正係数Cwを乗算することによって、前記求めた時定数τ(前記直線の傾きα)を補正すればよい(補正後の時定数τ(前記直線の傾きα)=Cw×(補正前の時定数τ(前記直線の傾きα)))。
そして、測定波の浸透長が短くなるほど、測定波によって観測されるキャリアは、少なくなる。このため、前記補正係数Cwは、測定波の浸透長δが短くなるに従ってより大きな値となる。図9に示す場合では、測定波の浸透長が0.5mm、0.4mm、0.2mmおよび0.1mmである各場合の補正係数Cwは、この順で大きくなる。このような補正係数Cwは、シミュレーションや、複数の実測結果による統計値等によって、予め適宜に設定されてよい。例えば、測定波の浸透長が0.1mmである場合における補正係数Cwは、測定波の浸透長が0.1mmである場合における時定数τ(前記直線の傾きα)が、測定波の浸透長が2.0mmや1.0mmである場合における時定数τ(前記直線の傾きα)と一致するように、設定される。
このような測定波の浸透長と補正係数Cwとの対応関係を予め求め、この対応関係を表すテーブルや関数式を寿命情報演算部413bに組み込むことによって、寿命情報演算部413bは、抵抗率測定部414で測定した抵抗率に基づいて測定波の浸透長を求め、強度時間変化測定部412の測定結果に基づいて求められた被測定対象SMにおけるキャリア寿命に関する情報を、この求めた測定波の浸透長に基づいて補正することができる。
以上、説明したように、本実施形態における半導体キャリア寿命測定装置Dbおよびこれに実装された半導体キャリア寿命測定方法では、第1実施形態と同様に、半導体ウェハの母材である半導体塊SMにおけるキャリア寿命に関する情報の測定を可能としている。
また、本実施形態における半導体キャリア寿命測定装置Dbおよび該方法は、測定の際の測定波浸透長を考慮するので、半導体塊におけるキャリア寿命に関する情報をより精度よく測定することができる。
また、本実施形態における半導体キャリア寿命測定装置Dbおよび該方法では、被測定試料SMにおけるキャリア寿命に関する情報を求めるために被測定試料SMに照射され反射された測定波の反射波が抵抗率の測定、すなわち、測定波浸透長の測定に用いられる。したがって、このような構成の半導体キャリア寿命測定装置は、測定対象の半導体塊における抵抗率を測定するためのセンサー素子を別途備える必要がない。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。