JP5719651B2 - イオン注入量測定装置およびイオン注入量測定方法 - Google Patents

イオン注入量測定装置およびイオン注入量測定方法 Download PDF

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本発明は、固体の表層にイオン注入された物質の総量であるイオン注入量を測定するイオン注入量測定装置およびイオン注入量測定方法に関する。
エレクトロニクスの進展により、半導体は、製品に適った適宜な特性が与えられ、様々な製品に応用されている。半導体には、導電型(n型、p型)や電気抵抗率等の特性を変えるために、一般に、所定の物質がイオン注入される。例えば、半導体がシリコン(Si)である場合には、シリコンには、ドーパントとして、例えば、ボロン(ホウ素、B)、リン(P)およびヒ素(As)等がイオン注入される。このイオン注入は、通常、ドーパントをイオン化し、このイオン化されたドーパントを電気的に加速し、この加速したドーパントのイオンを半導体に打ち込むことによって行われ、半導体の表層にドーパントがイオン注入される。そして、このイオン注入された物質の総量であるイオン注入量が半導体の特性に影響するため、このイオン注入量の測定は、半導体の品質管理上、重要である。
このイオン注入量を測定するイオン注入量測定装置は、例えば、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示のイオン注入量測定装置は、表層にイオン注入がなされた半導体であるイオン注入物におけるイオン注入量の測定を行うイオン注入量測定装置であって、前記イオン注入物の測定部に対し電磁波を照射する電磁波照射手段と、前記イオン注入物に対する浸透長が該イオン注入物の表層におけるイオン注入深さよりも短く、かつ前記イオン注入物のバンドギャップ以上のエネルギーを有する励起光を前記測定部に照射する励起光照射手段と、前記励起光の照射により変化する、前記イオン注入物からの前記電磁波の反射波の強度を検出する電磁波強度検出手段と、前記電磁波強度検出手段による検出強度に基づいて前記測定部における光励起キャリアの寿命の指標値を検出する光励起キャリア寿命指標値検出手段と、前記光励起キャリアの寿命の指標値と前記イオン注入量との対応関係が予め設定された指標値・イオン注入量対応情報と前記光励起キャリア寿命指標値検出手段の検出値とに基づいて前記イオン注入物におけるイオン注入量を導出するイオン注入量導出手段とを備えている。
特開2009−212341号公報
前記特許文献1に開示のイオン注入量測定装置のように、反射電磁波の強度に基づいて光励起キャリアの寿命を測定することによって、光励起キャリアの寿命と相関関係にあるイオン注入量を測定する方法は、電磁波(マイクロ波)の波長が数ミリ以上と長いため、イオン注入された表層のみを選択的に照射することができない。したがって、前記反射電磁波は、イオン注入された表層のみの影響を受けるだけではなく、それよりも深層の影響も受けてしまう。このため、前記特許文献1に開示のイオン注入量測定装置では、イオン注入物に対する浸透長が該イオン注入物の表層におけるイオン注入深さよりも短い励起光が用いられている。
しかしながら、このようにイオン注入物に対する浸透長が該イオン注入物の表層におけるイオン注入深さよりも短い励起光が用いられても、光励起キャリアの拡散は、表面に沿った横方向(水平方向)だけでなく、表面に直交する深さ方向(垂直方向)にも拡散するため、この観点による前記深層の影響を、前記反射電磁波は、まだ含んでいる。
また、前記特許文献1に開示のイオン注入量測定装置では、上述のように、イオン注入物に対する浸透長が該イオン注入物の表層におけるイオン注入深さよりも短い励起光が用いられている。このため、前記特許文献1に開示のイオン注入量測定装置は、表面から浸透長までの領域におけるイオン注入量を測定することはできるが、表面から所定の深さでのイオン注入量を測定することはできない。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、表面から所定の深さでのイオン注入量を測定することができ、また、イオン注入された表層よりも深層の影響をより低減し、イオン注入量をより精度よく測定することができるイオン注入量測定装置およびイオン注入量測定方法を提供することである。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかるイオン注入量測定装置は、イオン注入された半導体である測定対象のイオン注入半導体におけるバンドギャップ以上のエネルギーを有する励起光を前記イオン注入半導体へ照射する励起光照射部と、所定の測定波を前記イオン注入半導体へ照射する測定波照射部と、前記測定波を前記イオン注入半導体に照射する前に前記測定波の一部を分岐して分岐波として射出する分岐部と、前記イオン注入半導体の表面からの深さであってイオン注入量を測定したい深さに応じた位相差δを求め、前記分岐波の位相を、求めた位相差δだけ調整して参照波として射出する位相調整部と、前記参照波と前記イオン注入半導体で反射された前記測定波の反射波とを合波して検出波として射出する合波部と、前記検出波の強度を検出する検出部と、前記検出部で検出した前記検出波の強度に基づいて光励起キャリアの寿命に関する所定の指標の値を指標値として求める指標値演算部と、前記光励起キャリアの寿命に関する所定の指標の指標値と前記イオン注入量との対応関係を表すイオン注入量対応情報を予め記憶する対応情報記憶部と、前記イオン注入量対応情報と前記指標値演算部で求められた指標値とに基づいて前記イオン注入半導体における前記測定したい深さのイオン注入量を求めるイオン注入量演算部とを備え、前記位相調整部は、前記イオン注入半導体の表面からの深さであってイオン注入量を測定したい深さをdとし、前記測定波の反射波の前記イオン注入半導体内での波長をλとした場合に、前記位相差δを、以下の(式)を用いて求めることを特徴とする。
δ=4×π×d÷λ ・・・(式)
そして、本発明の他の一態様にかかるイオン注入量測定方法は、イオン注入された半導体である測定対象のイオン注入半導体におけるバンドギャップ以上のエネルギーを有する励起光を前記イオン注入半導体へ照射する励起光照射工程と、所定の測定波を前記イオン注入半導体へ照射する測定波照射工程と、前記測定波を前記イオン注入半導体に照射する前に前記測定波の一部を分岐して分岐波として射出する分岐工程と、前記イオン注入半導体の表面からの深さであってイオン注入量を測定したい深さに応じた位相差δを求め、前記分岐波の位相を、求めた位相差δだけ調整して参照波として射出する位相調整工程と、前記参照波と前記イオン注入半導体で反射された前記測定波の反射波とを合波して検出波として射出する合波工程と、前記検出波の強度を検出する検出工程と、前記検出工程で検出した前記検出波の強度に基づいて光励起キャリアの寿命に関する所定の指標の値を指標値として求める指標値演算工程と、予め与えられた前記光励起キャリアの寿命に関する所定の指標の指標値と前記イオン注入量との対応関係を表すイオン注入量対応情報と前記指標値演算工程で求められた指標値とに基づいて前記イオン注入半導体における前記測定したい深さのイオン注入量を求めるイオン注入量演算工程とを備え、前記位相調整工程において、前記位相差δは、前記イオン注入半導体の表面からの深さであってイオン注入量を測定したい深さをdとし、前記測定波の反射波の前記イオン注入半導体内での波長をλとした場合に、以下の(式)を用いて求められることを特徴とする。
δ=4×π×d÷λ ・・・(式)
測定対象のイオン注入半導体に励起光が照射されると、光励起キャリアが発生し、この光励起キャリアは、再結合によって消滅する。この光励起キャリアの寿命(ライフタイム)は、イオン注入量と相関し、イオン注入量が多いほど、光励起キャリアの寿命は、短くなる。一方、光励起キャリアは、フリーキャリアの吸収効果によって例えばマイクロ波等の電磁波と相互作用し、イオン注入半導体で反射された電磁波の反射波は、光励起キャリアの寿命と相関する。例えば、光励起キャリアの寿命が短いほど、反射波の強度のピークが小さくなる。また例えば、光励起キャリアの寿命が短いほど、反射波の強度は、そのピーク値から予め設定された所定値まで減衰する所要時間が短くなる。このため、イオン注入量は、光励起キャリアの寿命を介して、前記反射波の強度と相関することになる。したがって、反射波における前記ピーク値や前記所要時間を光励起キャリアの寿命に関する指標として、反射波の強度を観測することによって前記光励起キャリアの寿命に関する所定の指標の値(指標値)を求め、この求めた指標値からイオン注入量を求めることができる。
そして、上記構成によれば、反射波の強度は、前記イオン注入半導体の表層から深さであってイオン注入量を測定したい深さに応じた位相に調整した参照波を用いて検出される。このため、このような構成のイオン注入測定装置およびイオン注入測定方法は、反射波のうち前記深さに対応する成分を他の深さの成分よりも強調することができるので、前記深さに対応したイオン注入量を測定することができる。そして、このような構成のイオン注入測定装置およびイオン注入測定方法は、前記深さをイオン注入された表層に設定することによって、反射波のうち前記表層に対応する成分を他の成分よりも強調することができるので、イオン注入された表層よりも深層の影響を低減し、表層のイオン注入量をより精度よく測定することができる。
このような構成のイオン注入量測定装置は、位相調整量制御部によって位相調整部で調整する位相量を調整することができるので、所望の深さのイオン注入量を測定することができる。また、このような構成のイオン注入量測定装置は、位相調整量制御部によって位相調整部で調整する位相量を調整することができるので、微調整することによって、イオン注入された表層よりも深層の影響をより低減することができ、表層のイオン注入量をさらにより精度よく測定することができる。
本発明にかかるイオン注入量測定装置およびイオン注入量測定方法は、反射波のうち前記深さに対応する成分を他の深さの成分よりも強調することができるので、表面から所定の深さでのイオン注入量を測定することができる。そして、このような構成のイオン注入測定装置およびイオン注入測定方法は、前記深さをイオン注入された表層に設定することによって、反射波のうち前記表層に対応する成分を他の成分よりも強調することができるので、イオン注入された表層よりも深層の影響を低減し、表層のイオン注入量をより精度よく測定することができる。
実施形態におけるイオン注入量測定装置の構成を示すブロック図である。 励起光の照射終了からの時間経過に対する検出波の強度の変化を示す図である。 検出波に含まれる成分を説明するための図である。
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。また、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
(実施形態の構成)
図1は、実施形態におけるイオン注入量測定装置の構成を示す図である。本実施形態のイオン注入量測定装置Dは、所定のイオンをイオン注入された半導体である測定対象のイオン注入半導体(測定試料)SMにおける、表面から所定の深さでのイオン注入量を測定する装置である。このようなイオン注入量測定装置Dは、例えば、図1に示すように、光源部1と、反射鏡2と、導波管アンテナ3と、導波管4と、E−Hチューナ5、測定波生成部6と、分岐部7と、サーキュレータ8と、位相調整部9と、合波部10と、検出部11と、入力部12と、出力部13と、演算制御部14と、記憶部15と、ステージ駆動部16と、ステージ部17とを備えて構成される。
光源部1は、演算制御部14の制御に従って、測定対象のイオン注入半導体SMにおけるバンドギャップ以上のエネルギーを有する励起光を放射するための装置である。光源部1は、例えばランプと波長フィルタとを備えた光源装置等であってもよいが、本実施形態では、比較的大きな出力が得られる、レーザ光を発光するレーザ光源装置を備えて構成される。光源部1は、例えば、赤外線領域における所定波長のレーザ光を放射する赤外線レーザ装置、可視光領域における所定波長のレーザ光を放射する可視光レーザ装置、および、紫外線領域における所定波長のレーザ光を放射する紫外線レーザ光装置等である。光源部1の波長は、例えば、測定対象であるイオン注入半導体SMの種類に応じて適宜に選択される。光源部1は、イオン注入半導体SMに励起光を照射することによって光励起によるキャリア(電子と正孔(ホール)、光励起キャリア)をイオン注入半導体SMに生じさせ、イオン注入量装置Dは、この生じた光励起キャリアの寿命(ライフタイム、キャリア寿命)を観測する装置であるから、点灯状態からステップ状に消灯状態に移行する励起光を放射する装置が好ましく、例えばパルス光、より具体的にはパルス光を放射するパルスレーザ装置である。
測定対象のイオン注入半導体SMは、所定のイオンをイオン注入された例えばシリコンウェハ等の半導体ウェハである。半導体ウェハにおける例えば導電型(n型、p型)や電気抵抗率等の特性を変えるために、例えば前記半導体ウェハがシリコン(Si)である場合には、ドーパントとして、例えばボロン(ホウ素、B)、リン(P)およびヒ素(As)等のイオンが前記所定のイオンとして適宜に選択される。イオン注入は、例えば、厚さ0.8mm〜1mm程度のシリコンウェハに、その表面から10nm〜1μm程度の深さで行われる。ここで、イオン注入の深さは、注入されるイオンの種類、イオン注入の際のイオンの加速エネルギー、イオン注入角度およびイオン注入する半導体の種類を主因として決定される。イオン注入の深さは、例えば、SIMS(2次イオン質量分析)等によって測定することができる。
反射鏡2は、光源部1から放射された励起光を反射することによって、前記励起光をイオン注入半導体SMへ向けてその光路を約90度曲げる光学素子である。なお、光源部1から放射された励起光が直接イオン注入半導体SMへ照射されるように、光源部1が配置される場合には、反射鏡2は、省略することができる。
このような光源部1および反射鏡2を備えることによって、イオン注入測定装置Dは、励起光をイオン注入半導体SMへ照射することができる。
測定波生成部6は、演算制御部14の制御に従って、所定の測定波を生成する装置である。本実施形態のイオン注入測定装置Dは、光励起キャリアの寿命を介してイオン注入量を求め、前記光励起キャリアの寿命をキャリアの生成消滅過程で生じる半導体の導電率変化を測定波の強度変化で取り出すため、前記所定の測定波は、電磁波であればよい。本実施形態では、前記所定の測定波は、マイクロ波であり、測定波生成部6は、マイクロ波を生成するマイクロ波発振器を備えて構成される。このマイクロ波発振器は、例えば、周波数26GHzのガンダイオード等である。測定波生成部6は、分岐部7を介してサーキュレータ8の1個の端子に接続され、測定波生成部6から放射された測定波は、分岐部7を介してサーキュレータ8に入射される。
分岐部7は、測定波生成部6で生成された測定波の一部を分岐して分岐波として射出する分岐導波管である。分岐部7の入力端子は、測定波生成部6に接続され、分岐部7の一方の出力端子は、位相調整部9に接続され、分岐部7の他方の出力端子は、サーキュレータ8の一の端子に接続される。測定波生成部6で生成された測定波は、この分岐部7でその一部が分岐されて分岐波として位相調整部9へ射出され、残余の測定波がサーキュレータ8へ射出される。
サーキュレータ8は、3つ以上の端子(ポート)を持ち、非可逆的に、一の端子の入力をサイクリックに他の端子へ出力するものであり、本実施形態では、3個の第1ないし第3端子を備え、第1端子に入射された測定波を第2端子へ射出し、第2端子に入射された測定波を第3端子へ射出する光学素子である。サーキュレータ8の第1端子は、上述したように、分岐部6の他方の出力端子に接続され、その第2端子は、導波管4に接続され、そして、その第3端子は、合波部10に接続される。
導波管4は、測定波を導く伝播路を形成する部材であり、その一方端部にサーキュレータ8の第2端子が接続され、その他方端部に導波管アンテナ3が接続される。
導波管アンテナ3は、導波管4を伝播して来た測定波をイオン注入半導体SMへ放射するとともに、イオン注入半導体SMと相互作用を受けた測定波(測定波の反射波)を受信して導波管4へ導くアンテナである。導波管アンテナ3は、イオン注入半導体ウェハSMの法線方向に沿って配設されており、一方端部が導波管4に接続され、他方端部に開口部3aを備えている。この開口部3aは、測定波をイオン注入半導体SMへ放射するとともに、イオン注入半導体SMと相互作用を受けた測定波(測定波の反射波)を受信するための開口である。そして、導波管アンテナ3の一方端部には、反射鏡2から来た励起光を導波管アンテナ3内に案内するための開口部3bを備えている。本実施形態では、測定波がマイクロ波であることから、導波管アンテナ3は、マイクロ波アンテナである。
E−Hチューナ5は、サーキュレータ8と導波管アンテナ3との間における導波管4に介設され、イオン注入半導体SMで相互作用を受けた測定波(測定波の反射波)を検出部11でより良好に検出することができるように、測定波の磁界と電界とを調整するインピーダンス整合装置である。
これら分岐部7、サーキュレータ8、導波管4、導波管アンテナ3およびE−Hチューナ5は、本実施形態では測定波がマイクロ波であることから、マイクロ波用の各装置であり、例えば、それぞれ、マイクロ波分岐導波管(マイクロ波導波管分配器)、マイクロ波用サーキュレータ、マイクロ波導波管、マイクロ波アンテナ、マイクロ波用E−Hチューナ等である。
このような測定波生成部6、サーキュレータ8、導波管4、E−Hチューナ5および導波管アンテナ3を備えることによって、イオン注入量測定装置Dは、測定波をイオン注入半導体SMへ照射することができる。また、このような分岐部7を備えることによって、イオン注入量測定装置Dは、測定波をイオン注入半導体SMに照射する前に前記測定波の一部を分岐して分岐波として位相調整部9へ射出することができる。また、導波管アンテナ3、E−Hチューナ5、導波管4およびサーキュレータ8を備えることによって、イオン注入量測定装置Dは、イオン注入半導体SMで反射された測定波の反射波(イオン注入半導体SMで相互作用を受けた測定波)を合波部10へ射出することができる。
位相調整部9は、合波部10に接続され、分岐波の位相を調整して参照波として射出する装置である。位相の調整量は、イオン注入半導体SMの表面からの深さであってイオン注入量を測定したい深さに応じた値である。位相調整部9は、予め設定された調整量で分岐波の位相を調整してもよいが、本実施形態では、位相調整部9は、演算制御部14の制御に従った調整量で分岐波の位相を調整する。位相調整部9は、例えば、マイクロ波導波管の入力端子から出力端子までの物理長を調整することによってマイクロ波導波管を伝播するマイクロ波の位相を調整する装置である。
合波部10は、検出部11に接続され、位相調整部9で位相調整された参照波と、イオン注入半導体ウェハSMで反射された測定波の反射波とを合波して検出波として射出する装置である。本実施形態では、測定波がマイクロ波であることから、合波部10は、マイクロ波合波導波管(マイクロ波導波管合波器)である。
検出部11は、演算制御部14に接続され、検出波の強度を検出する装置である。本実施形態では、測定波がマイクロ波であることから、検出部11は、マイクロ波検出器を備えて構成される。検出部11は、必要に応じて検出結果の信号を増幅する増幅器を備えてもよい。
入力部12は、演算制御部14に接続され、外部から当該イオン注入量測定装置Dにコマンド(命令)やデータ等を入力するための装置であり、例えばタッチパネルやキーボード等である。出力部13は、演算制御部14に接続され、入力部12から入力されたコマンドやデータおよび演算制御部14の演算結果(例えば表面からの深さやイオン注入量等)等を出力するための装置であり、例えばCRTディスプレイやLCD(液晶ディスプレイ)や有機ELディスプレイ等のディスプレイおよびプリンタ等の印刷装置等である。
記憶部15は、イオン注入量測定装置Dの各部を当該機能に応じて制御するための制御プログラムやイオン注入量を検出部11の検出結果に基づいて求めるイオン注入量演算プログラム等の各種の所定のプログラム、および、前記所定のプログラムの実行に必要なデータ等の各種の所定のデータ等を記憶する、不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、および、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる後述のCPUのワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)、ならびに、これらの周辺回路を備えて構成される。記憶部15は、機能的に、対応情報記憶部151を備えている。
対応情報記憶部151は、光励起キャリアの寿命に関する所定の指標の指標値とイオン注入量との対応関係を表すイオン注入量対応情報を予め記憶するものである。イオン注入量対応情報は、例えば、複数のサンプルを予め実測することによって予め求められ、対応情報記憶部151に予め記憶される。
演算制御部14は、イオン注入量測定装置Dの各部を当該機能に応じて制御する回路であり、そして、測定対象のイオン注入半導体SMにおけるイオン注入量を検出部11の検出結果に基づいて求めるものである。演算制御部14は、例えば、記憶部15に記憶されている所定のプログラムを読み出して実行することによって所定の制御処理や所定の演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)およびこの周辺回路を備えて構成される。演算制御部14は、機能的に、位相調整量制御部141と、指標値演算部142と、イオン注入量演算部143と、ステージ制御部144とを備えている。
位相調整量制御部141は、位相調整部9によって調整される位相量を制御するものである。位相調整量制御部141は、例えば、入力部12から入力された位相量で位相調整部9を制御してもよい。また例えば、位相調整量制御部141は、入力部12から入力された表面からの深さを所定の演算手順によって位相量に変換し、この変換した位相量で位相調整部9を制御してもよい。これによって表面から所定の深さでのイオン注入量を測定することができる。また例えば、位相調整量制御部141は、位相量を所定の範囲で走査し、励起光の照射後における時間経過に対する検出波の強度変化が最も急となる位相量(検出波の強度がピークから所定値まで減衰する所要時間が最も短くなる位相量)を検出し、この検出した位相量で位相調整部9を制御してもよい。これによって表層でのイオン注入量をより精度よく測定することができる。また例えば、位相調整量制御部141は、位相量を所定の範囲で走査し、励起光の照射後における時間経過に対する検出波の強度変化が最も緩やかとなる位相量(検出波の強度がピークから所定値まで減衰する所要時間が最も長くなる位相量)を検出し、この検出した位相量で位相調整部9を制御してもよい。これによってバルクでのイオン注入量をより精度よく測定することができる。
指標値演算部142は、検出部11で検出した検出波の強度に基づいて光励起キャリアの寿命に関する所定の指標の値を指標値として求めるものである。光励起キャリアの寿命に関する所定の指標は、例えば、検出波の強度のピークであり、指標値演算部142は、検出部11で検出した検出波の強度に基づいてそのピークの値(ピーク値)を求める。ピーク値は、光励起キャリアの寿命の長さに応じた大きさとなり、光励起キャリアの寿命が長い(短い)ほど、大きく(小さく)なる。また例えば、光励起キャリアの寿命に関する所定の指標は、ピーク値から予め設定された所定値まで減衰する所要時間であり、指標値演算部142は、検出部11で検出した検出波の強度に基づいて、励起光の照射後における時間経過に対する検出波の強度変化を求め、この求めた結果から、ピーク値から予め設定された所定値まで減衰する所要時間を求める。ピーク値から予め設定された所定値まで減衰する所要時間は、光励起キャリアの寿命の長さに応じた長さとなり、光励起キャリアの寿命が長い(短い)ほど、長く(短く)なる。
イオン注入量演算部143は、対応情報記憶部151に記憶されているイオン注入量対応情報と指標値演算部142で求められた指標値とに基づいてイオン注入半導体SMにおける前記測定したい深さのイオン注入量を求めるものである。
ステージ制御部144は、測定対象のイオン注入半導体SMにおける所定の測定箇所を測定するために、測定対象のイオン注入半導体SMが厚さ方向に直交する水平方向に移動するように、ステージ17を駆動するステージ駆動部16の動作を制御するものである。
ステージ駆動部16は、ステージ17を駆動するものである。ステージ17は、演算制御部14によって制御されるステージ駆動部16によって駆動され、測定箇所を変更するために、水平方向に測定対象のイオン注入半導体SMを移動する装置である。ステージ17は、例えば、XYステージ等を備えて構成される。イオン注入半導体SMは、ステージ17上に直接的に載置されてもよく、また後述するように導体部材21を介してステージ上に間接的に載置されてもよい。
次に、本実施形態の動作について説明する。
(実施形態の動作)
図2は、励起光の照射終了からの時間経過に対する検出波の強度の変化を示す図である。図3は、検出波に含まれる成分を説明するための図である。
まず、測定したいイオン注入半導体SMが測定対象の被測定試料としてステージ17上に配置される。
そして、演算制御部14の制御に従って光源部1は、パルス状の励起光を射出し、この射出された励起光は、反射鏡2で光路が屈曲され、導波管アンテナ3の開口部3bに入射され、導波管アンテナ3内を伝播し、測定対象のイオン注入半導体SMにおける光照射領域を照射するべく、導波管アンテナ3の開口部3aから前記光照射領域に向けて射出される。
また、演算制御部14の制御に従って測定波生成部6によって測定波が生成され、この生成された測定波は、分岐部7に入射され、分岐部7で分岐される。分岐された一方の測定波は、分岐波として位相調整部9へ入射される。この分岐波は、その位相が位相調整量制御部141の制御に従った位相量で位相調整部9によって調整され、参照波として合波部10に入射される。一方、前記分岐された他方の測定波は、サーキュレータ8、導波管4(E−Hチューナ5を含む)および導波管アンテナ3を介して、測定対象のイオン注入半導体SMにおける測定波照射領域(光照射領域)に照射される。イオン注入半導体SMで反射した測定波(反射波)は、導波管アンテナ3、導波管4(E−Hチューナ5を含む)およびサーキュレータ8を介して合波部10に入射される。合波部10では、前記参照波と前記反射波とが合波され、検出波として検出部11へ射出される。検出部では、検出波の強度が検出される。この検出した検出波の強度は、検出部11から演算制御部14の指標値演算部142へ出力される。
これによって励起光を測定対象のイオン注入半導体SMに照射している場合に測定波をこのイオン注入半導体SMに照射していれば、励起光による検出波の強度が検出部11で検出され、演算制御部14に取り込まれる。通常では、測定波が測定対象のイオン注入半導体SMに照射され、測定波をイオン注入半導体SMに照射しながらパルスレーザ光の励起光を照射することによって、パルスレーザ光の励起光の照射直後(消灯直後)における検出波の強度変化が測定される。
この検出波の強度変化は、例えば、図2に示すように、励起光が照射されると光励起キャリアが生成されるため、検出波の強度は、ピークとなり、消灯されると再結合により光励起キャリアが消滅して減少して行くため、検出波の強度は、消灯直後から時間の経過とともに減少し、やがて、キャリアが熱平衡状態となって検出波の強度は略一定となる。そして、この検出波の強度の減少過程において、減少率(減少速度、単位時間あたりの減少量)は、初期では比較的大きく、時間の経過とともに小さくなる。
ここで、イオン注入半導体SMに入射された測定波は、イオン注入半導体SMの表面だけでなく、表面から内部、そして裏面に至る深さ方向(厚さ方向)の各位置で反射される。表面に平行な仮想的な複数の面によって深さ方向に複数の層でイオン注入半導体SMを仮想的に分割した場合において、表面から第n番目の仮想的な層を第n層とし、第n層で反射した反射波の強度(振幅)をRnとし、表面で反射された反射波の位相を基準とした場合に第n層で反射された際の位相のずれをAnとし、反射波の振動数をω(=測定波の振動数)とし、そして、経過時間をtとすると、第n層の反射波Enは、次の式1によって表され、反射波Eは、各層の反射波Enの和となり、次の式2によって表される。
En=Rn・cos(ωt+An) ・・・(1)
E=ΣEn=Σ(Rn・cos(ωt+An)) ・・・(2)
ただし、Σは、nについての和をとる。
一方、位相調整部9でその位相が位相量Bに調整された参照波Erefは、その強度(振幅)をRrefとし、その振動数をω(=反射波の振動数ω)とし、そして、経過時間をtとすると、次の式3によって表される。
Eref=Rref・cos(ωt+B) ・・・(3)
したがって、第n層の反射波Enと参照波Erefとが合波部10によって合波され、合波部10から射出される第n層に対応する検出波Snは、次の式4によって表され、よって、合波部10から射出される検出波Sは、各層の検出波Snの和となり、次の式5によって表される。
Sn=Rn・Rref・cos(An−B) ・・・(4)
S=ΣSn=Σ(Rn・Rref・cos(An−B)) ・・・(5)
ただし、Σは、nについての和をとる。
ここで、イオン注入半導体SMを図3に示すように、表層部分(第1層)と、残余の内部部分(バルク部分)(第2層)とに仮想的に分割すると、上記式1より、表層部分(第1層)の反射波E1は、次の式6−1によって表され、内部部分(第2層)の反射波E2は、次の式6−2によって表される。
E1=R1・cos(ωt+A1) ・・・(6−1)
E2=R2・cos(ωt+A2) ・・・(6−2)
したがって、これら式6−1および式6−2から表層部分(第1層)と内部部分(第2層)とでそれぞれ反射された反射波には、次の式7によって表される位相差δが生じている。
δ=A2−A1=4・π・d/λ ・・・(7)
ただし、dは、表層部分(第1層)と内部部分(第2層)との間の距離(例えば、深さ方向における表層部分の中央位置と内部部分の中央位置との間の間隔)であり、λは、反射波のイオン注入半導体SM内での波長である。
上述では、イオン注入半導体SMは、表層部分(第1層)および内部部分(第2層)の2層に分けられて解析されたが、イオン注入半導体SMは、例えば表層部分、中間部分および内部部分の3層や、表層部分、第1中間部分、第2中間部分および内部部分の4層等の複数層に分けられても、同様に解析することができる。
以上より、各層間で反射波に生じる位相差δを利用することによって、全体の検出波Sの中から第n層の検出波Snを強調するためには、位相量Bが、第n層の位相のずれ量Anに設定されればよい。これによってイオン注入量測定装置Dは、この解析結果に基づいて、測定したい深さに対応する成分を他の深さの成分よりも強調することができ、前記深さに対応したイオン注入量を測定することができる。
第n層のイオン注入量を測定する場合には、例えば、第n層の位相のずれに対応する位相量Bが、例えば、入力部12から入力され、位相調整量制御部141の制御によって位相調整部9で分岐波の位相が位相量Bに調整される。例えば、表層部分の位相のずれに対応する位相量Bが、入力部12から入力される。また例えば、入力部12から第n層の深さが入力され、この入力された深さがこれに対応する位相量Bに変換され、位相調整量制御部141の制御によって位相調整部9で分岐波の位相が位相量Bに調整される。例えば、表層部分の深さが、入力部12から入力される。あるいは、第n層の位相のずれに対応する位相量Bがデフォルトで位相調整量制御部141に設定されてもよい。これらによって位相調整量制御部141の制御によって位相調整部9で分岐波の位相が、表層部分の位相のずれ量A1に設定され、イオン注入量測定装置Dは、図3に実線で示すように、表層部分を強調した(表層部分からの影響を大きくした)検出波Sを得ることができ、この表層部分を強調した検出波Sの強度を検出することによって、イオン注入された表層よりも深さの影響をより低減し、イオン注入量をより精度よく測定することができる。図3に実線で示す検出波Sは、破線で示す従来方法による反射波の強度の信号に較べて表層部分、すなわち、イオン注入された表層の部分が大きく影響されており、光励起キャリアの寿命が相対的に短く、光励起キャリア数の減少率が大きくなっている。
例えば、イオン注入半導体SMが、厚さ0.7mmの半導体ウェハであって表層約50nmにボロン(B)をイオン注入したものであり、測定波が、周波数26GHzのマイクロ波である場合では、イオン注入半導体SM内における測定波の波長は、約3mmとなり、そして、表層部分(第1層)と内部部分(第2層)との距離は、約0.35mmとなる。よって、前記位相差δは、約84度となる。このため、位相調整量制御部141の制御によって位相調整部9で分岐波の位相を、表層部分の位相のずれ量A1に設定することによって、全体の検出波Sの中で表層部分の信号成分は、R1となり、内部部分の信号成分は、R2×0.1となるため、内部部分の影響を1/10に低減することができる。
なお、位相調整量制御部141の制御によって位相調整部9で分岐波の位相を、内部部分の位相のずれ量A2に設定することによって、イオン注入量測定装置Dは、内部部分を強調した(内部部分からの影響を大きくした)検出波Sを得ることができ、上述の例では、全体の検出波Sの中で内部部分の信号成分は、R2となり、表層部分の信号成分は、R1×0.1となるため、表層部分の影響を1/10に低減することもできる。図3に一点鎖線で示すように、内部部分を強調した(内部部分からの影響を大きくした)検出波Sを得ることができ、この内部部分を強調した検出波Sの強度を検出することによって、イオン注入された表層の影響をより低減し、内部部分のイオン注入量をより精度よく測定することができる。図3に一点鎖線で示す検出波Sは、破線で示す従来方法による反射波の強度の信号に較べて内部部分、すなわち、イオン注入された表層よりも内部部分が大きく影響されており、光励起キャリアの寿命が相対的に長く、光励起キャリア数の減少率が小さくなっている。
また、上述では、表層部分を強調した検出波Sを得るべく、表層部分の位相のずれに対応する位相量Bがデフォルトまたは入力部12の入力によって設定されたが、位相調整量制御部141は、位相量を所定の範囲(例えば前記デフォルトを含む範囲等)で走査し、励起光の照射後における時間経過に対する検出波の強度変化が最も急となる位相量(検出波の強度がピークから所定値まで減衰する所要時間が最も短くなる位相量)を検出し、この検出した位相量を、前記表層部分の位相のずれに対応する位相量Bとして設定してもよい。また、内部部分を強調した検出波Sを得るべく、内部部分の位相のずれに対応する位相量Bがデフォルトまたは入力部12の入力によって設定されてもよいが、位相調整量制御部141は、位相量を所定の範囲(例えば前記デフォルトを含む範囲等)で走査し、励起光の照射後における時間経過に対する検出波の強度変化が最も緩やかとなる位相量(検出波の強度がピークから所定値まで減衰する所要時間が最も長くなる位相量)を検出し、この検出した位相量を、前記内部部分の位相のずれに対応する位相量Bとして設定してもよい。また、上述において、前記デフォルトから走査を開始することによって、表層部分または内部部分の位相のずれに対応する位相量Bを前記デフォルトから最適な値へ微調整することができ、表層部分のイオン注入量または内部部分のイオン注入量をさらにより精度よく測定することができる。
また、上述の実施形態において、信号強度を大きくするために、図1に破線で示すように、イオン注入量測定装置Dは、測定対象のイオン注入半導体SMとステージ部17との間に配置される導体部材21をさらに備えてもよい。導体部材21は、例えばアルミニウム、ステンレスおよび鉄等の金属またはその他の導体で形成される板状部材である。このようにイオン注入半導体SMにおける測定波が照射される側とは反対側に配置される導体部材21をさらに備えることによって、イオン注入半導体SMにおける前記反対側の面(イオン注入半導体における測定波が照射される面を表面とすればその裏面)では電場がゼロとなるような定在波が形成される。そして、イオン注入半導体SMにおける測定したい所定の部位(測定部位、例えば表層部分や内部部分)と、導体部材21の表面との間には、前記測定部位に前記定在波のいわゆる節を一致させない距離だけ空けられる。このため、このような構成のイオン注入測定装置Dは、測定波が照射される側の面(表面)近傍で反射する測定波の反射波の強度を、イオン注入半導体SMの前記反対側の面(裏面)近傍で反射する測定波の反射波の強度よりも大きくすることができ、測定感度をより向上させることができる。そして、より好ましくは、イオン注入半導体SMにおける測定したい所定の部位(測定部位、例えば表層部分や内部部分)と、導体部材21の表面との距離は、その間の媒質における測定波の波長の略1/4の距離またはその距離に前記測定波の波長の整数倍を加えた距離である。このように構成することによって、前記測定部位に前記定在波のいわゆる腹を略一致させることができ、このような構成のイオン注入測定装置Dは、測定感度をさらにより向上させることができる。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
D イオン注入量測定装置
1 光源部
3 導波管アンテナ
6 測定波生成部
7 分岐部
9 位相調整部
10 合波部
14 演算制御部
15 記憶部
141 位相調整量制御部
142 指標値演算部
143 イオン注入量演算部
151 対応情報記憶部

Claims (2)

  1. イオン注入された半導体である測定対象のイオン注入半導体におけるバンドギャップ以上のエネルギーを有する励起光を前記イオン注入半導体へ照射する励起光照射部と、
    所定の測定波を前記イオン注入半導体へ照射する測定波照射部と、
    前記測定波を前記イオン注入半導体に照射する前に前記測定波の一部を分岐して分岐波として射出する分岐部と、
    前記イオン注入半導体の表面からの深さであってイオン注入量を測定したい深さに応じた位相差δを求め、前記分岐波の位相を、求めた位相差δだけ調整して参照波として射出する位相調整部と、
    前記参照波と前記イオン注入半導体で反射された前記測定波の反射波とを合波して検出波として射出する合波部と、
    前記検出波の強度を検出する検出部と、
    前記検出部で検出した前記検出波の強度に基づいて光励起キャリアの寿命に関する所定の指標の値を指標値として求める指標値演算部と、
    前記光励起キャリアの寿命に関する所定の指標の指標値と前記イオン注入量との対応関係を表すイオン注入量対応情報を予め記憶する対応情報記憶部と、
    前記イオン注入量対応情報と前記指標値演算部で求められた指標値とに基づいて前記イオン注入半導体における前記測定したい深さのイオン注入量を求めるイオン注入量演算部とを備え、
    前記位相調整部は、前記イオン注入半導体の表面からの深さであってイオン注入量を測定したい深さをdとし、前記測定波の反射波の前記イオン注入半導体内での波長をλとした場合に、前記位相差δを、以下の(式)を用いて求めること
    を特徴とするイオン注入量測定装置。
    δ=4×π×d÷λ ・・・(式)
  2. イオン注入された半導体である測定対象のイオン注入半導体におけるバンドギャップ以上のエネルギーを有する励起光を前記イオン注入半導体へ照射する励起光照射工程と、
    所定の測定波を前記イオン注入半導体へ照射する測定波照射工程と、
    前記測定波を前記イオン注入半導体に照射する前に前記測定波の一部を分岐して分岐波として射出する分岐工程と、
    前記イオン注入半導体の表面からの深さであってイオン注入量を測定したい深さに応じた位相差δを求め、前記分岐波の位相を、求めた位相差δだけ調整して参照波として射出する位相調整工程と、
    前記参照波と前記イオン注入半導体で反射された前記測定波の反射波とを合波して検出波として射出する合波工程と、
    前記検出波の強度を検出する検出工程と、
    前記検出工程で検出した前記検出波の強度に基づいて光励起キャリアの寿命に関する所定の指標の値を指標値として求める指標値演算工程と、
    予め与えられた前記光励起キャリアの寿命に関する所定の指標の指標値と前記イオン注入量との対応関係を表すイオン注入量対応情報と前記指標値演算工程で求められた指標値とに基づいて前記イオン注入半導体における前記測定したい深さのイオン注入量を求めるイオン注入量演算工程とを備え、
    前記位相調整工程において、前記位相差δは、前記イオン注入半導体の表面からの深さであってイオン注入量を測定したい深さをdとし、前記測定波の反射波の前記イオン注入半導体内での波長をλとした場合に、以下の(式)を用いて求められること
    を特徴とするイオン注入量測定方法。
    δ=4×π×d÷λ ・・・(式)
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