JP2004128113A - 半導体キャリアの寿命測定方法及びその装置 - Google Patents

半導体キャリアの寿命測定方法及びその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】マイクロ波光伝導減衰法に基づく半導体キャリアの寿命測定において,被測定試料の改質や測定時間の延長を生じさせることなく,高感度で反射マイクロ波の変化を測定すること。
【解決手段】半導体(5)の測定部位にパルス光を照射したときにおける,測定部位に照射したマイクロ波の反射波の変化を測定することにより半導体キャリアの寿命を測定する場合において,測定部位近傍に配置した電気光学結晶(6)に測定光(レーザ光)を照射し,その透過光の強度を偏光板(12)に通過させた後に光検出器(13)で検出することにより,マイクロ波の測定部位での反射波の変化による電気光学結晶(6)の屈折率の変化により生じる測定光の偏光度合いの変化を測定する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,半導体の材料評価のために行われる半導体キャリアの寿命測定方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの高集積化に伴い,デバイスに使用される半導体の材料特性の管理が重要となっている。半導体の材料評価の指標として,半導体のキャリア寿命(いわゆるライフタイム)があり,その測定方法として,マイクロ波光伝導減衰法が普及している。これは,半導体にパルス光(以下,励起光という)を照射することによって半導体内に光励起キャリア(以下,励起キャリアという)を生成させ,その後に励起キャリアが再結合することによって減少する減少速度をもって半導体材料の欠陥や汚染の評価を行う方法である。励起キャリアの減少速度の測定は,具体的には,前記励起光を照射した部分に測定電磁波としてマイクロ波を照射し,その反射波或いは透過波の強度変化を測定することにより,前記反射波或いは透過波の強度変化の時定数から半導体キャリアの寿命(励起キャリアが再結合により消失するまでの時間)を測定する。このマイクロ波光伝導減衰法に基づく一般的な半導体キャリアの寿命測定装置の構成は,例えば,特許文献1の図7や特許文献2の図1等に示されている。
ここで,キャリア濃度の高い低抵抗の半導体や低抵抗基板を有するエピタキシャルウェハ,或いは非常にライフタイムが短い半導体材料では,光励起による反射マイクロ波の変化が小さいため,その観測波形から感度よく(正確に)ライフタイムを算出するためには,観測波形の信号対ノイズ比(S/N比)を高める必要がある。このため,従来,反射マイクロ波のS/N比を高めるために,前記励起光の強度を高めることによって反射マイクロ波の信号強度(変化の大きさ)を高めることや,反射マイクロ波の信号を加算平均化処理することによってノイズ低減を図る等のS/N比向上対策がとられていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−240450号公報
【特許文献2】
特公昭61−605764号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,半導体に照射する前記励起光の強度を高めることは,半導体の元々のキャリア状態(平衡状態)からキャリア分布を著しく変化させることになり,高密度励起によるキャリア拡散の影響等の非線形特性が現れること等により正確なライフタイム値が算出できない場合が生じるという問題点があった。さらに,前記励起光の強度を高めることは,アニール等により被測定試料(半導体)を改質(破壊)してしまう恐れがあるという問題点もあった。
また,加算平均化処理を適用すると,ライフタイム測定に長時間を要してしまうという問題点があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,マイクロ波光伝導減衰法に基づく半導体キャリアの寿命測定において,被測定試料の改質や測定時間の延長を生じさせることなく,高感度で観測波(マイクロ波の反射波又は透過波)の変化を測定できる半導体キャリアの寿命測定方法及びその装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,半導体にパルス光を照射したときにおける,前記半導体の前記パルス光の照射部に照射した所定の測定電磁波の反射波或いは透過波の変化を測定することにより前記半導体のキャリアの寿命を測定する半導体キャリアの寿命測定方法において,前記半導体における前記パルス光の照射部近傍に配置した電気光学素子に所定の測定光を照射し,該測定光の反射光及び/又は透過光の変化を検出し,その検出結果に基づいて前記半導体のキャリアの寿命を測定することを特徴とする半導体キャリアの寿命測定方法である。
これにより,マイクロ波等の前記測定電磁波の反射波或いは透過波の強度変化に応じて前記電気光学素子の屈折率が変化し,該屈折率の変化に応じて前記電気光学素子に照射した前記測定光の特性が変化する。即ち,前記電気光学素子に照射した後の前記測定光(透過光や反射光)の変化が前記測定電磁波の反射波或いは透過波の強度変化を表すことになる。従って,前記電気光学素子に照射した後の前記測定光の変化を検出することにより,測定対象となる前記半導体のキャリアの寿命を測定できる。このように,前記測定電磁波の変化を電気的にではなく光学的に検出することによって,前記測定電磁波の微小な変化を高感度で検出することが可能となる。
【0006】
また,前記測定光の前記反射光及び/又は透過光の変化の検出としては,該反射光及び/又は透過光の偏光度合いの変化を検出することや,位相の変化を検出すること等が考えられる。
例えば,前記測定光の前記反射光及び/又は透過光の位相の変化を検出する方法としては,光干渉法により検出すること等が考えられる。ここで,光干渉法としては,例えば,マイケルソン型光干渉系又はファブリペロー光干渉系等を用いる方法が考えられる。
また,前記測定光の前記反射光及び/又は透過光の偏光度合いを検出する方法としては,前記反射光及び/又は透過光を偏光板に通過させた後の光強度を検出することが考えられる。
【0007】
また,本発明は,前記半導体キャリアの寿命測定方法を具現する半導体キャリアの寿命測定装置として捉えたものであってもよい。
即ち,半導体にパルス光を照射したときにおける,前記半導体に照射した所定の測定電磁波の反射波或いは透過波の変化を測定することにより前記半導体のキャリアの寿命を測定する半導体キャリアの寿命測定装置において,前記パルス光の照射部の近傍に配置される電気光学素子と,前記電気光学素子に所定の測定光を照射する測定光照射手段と,前記電気光学素子に照射された前記測定光の反射光及び/又は透過光を検出する光検出手段と,前記光検出手段の検出結果に基づいて前記半導体のキャリアの寿命を測定する寿命測定手段と,を具備してなることを特徴とする半導体キャリアの寿命測定装置である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る半導体キャリアの寿命測定装置Xの構成を表すブロック図,図2は本発明の実施例に係る半導体キャリアの寿命測定装置X1の構成を表すブロック図,図3は本発明の実施例に係る半導体キャリアの寿命測定装置X2の構成を表すブロック図である。
【0009】
まず,図1を用いて本発明の実施の形態に係る半導体キャリアの寿命測定装置X(以下,測定装置Xと略称する)の構成について説明する。本測定装置Xは,シリコンウェハ等の半導体を被検体(被測定試料)とする半導体キャリアの寿命測定装置である。
図1(a)に示すように,本測定装置Xは,マイクロ波発振器(1),導波管(2),E−Hチューナ(3),導波管アンテナ(4),電気光学効果を有する電気光学結晶(6),励起光用のパルスレーザ(7),ミラー(8),半波長板(9),測定光用のレーザ(10),ビームスプリッタ(11),偏光板(12),光検出器(13),アンプ(14),検波器(15),及び計算機(16)等を具備している。前記電気光学結晶(6)(前記電気光学素子の一例,例えば,LiNb0結晶等)は,前記導波管アンテナ(4)の先端部に設けられた開口(スロット(4a))に,その結晶軸が前記レーザ(10)から照射される測定光(レーザ光)の光軸(Z軸)と略一致するよう設けられている。
前記パルスレーザ(7)が発光する励起光であるパルス光(例えば,波長523nm,パルス幅10ns)は,前記ミラー(8)で反射され,前記導波管アンテナ(4)の上部に設けられた開口4bと,先端(下部)に設けられたの開口(スロット(4a),図1(b)参照)を通過して被測定試料5に照射される。ここで,前記導波管アンテナ(4)は,その先端が被測定試料(6)表面に近接するよう配置される。
一方,前記マイクロ波発振器(1)により出力される測定電磁波であるマイクロ波(例えば,周波数10GHz)は,前記導波管(2),前記E−Hチューナ(3),及び前記導波管アンテナ(4)を経由し,前記導波管アンテナ(4)の先端の開口(スロット(4a))から被測定試料(5)に照射される。これにより,被測定試料(5)表面の前記パルス光が照射された位置(以下,測定部位という)に,前記マイクロ波も照射される。
また,前記レーザ(10)(例えば,波長680nm,出力1mW)から出力される測定光(レーザ光)は,前記ビームスプリッタ(11)で反射され,前記半波長板(9),前記導波管アンテナ(4)上部の開口(4b),前記導波管アンテナ(4)を通過し,前記導波管アンテナ(4)先端の開口(4a)に設けられた前記電気光学結晶(6)を透過して(一部は反射する)被測定試料(5)の前記測定部位に照射される。ここで,前記レーザ(10)による前記測定光は,前記電気光学結晶(6)のX軸(又はY軸)に対して前記測定光の偏光方向が45°入射となるよう前記半波長板(9)によって偏光方向が調節される。
前記測定部位に照射された前記測定光(前記レーザ(10)によるレーザ光)は,被測定試料(5)表面で反射し,その反射光が,前記電気光学結晶(6)を再度透過した後,該電気光学結晶(6)表面での前記測定光の一部の反射光とともに前記導波管アンテナ(4),その上部の開口(4a),前記半波長板(9),前記ビームスプリッタ(11)を通過し,さらに,前記偏光板(12)を通過して前記光検出器(13)に入射する。これにより,前記光検出器(13)に入射される前記測定光の反射光の強度が,前記光検出器(13)により電気信号に変換され,該電気信号が前記アンプ(14)で増幅された後,前記検波器(15)でA/D変換されて,前記計算機(16)に取り込まれる。
【0010】
次に,図1に示した本測定装置Xの作用について説明する。
前記パルスレーザ(7)による前記測定部位へパルス光(前記励起光)を照射すると,前記測定部位の半導体キャリアが励起され,前記測定部位に照射した前記マイクロ波(測定電磁波)の反射波の強度が変化し,これによって前記マイクロ波の反射波により前記測定部位近傍に生じる電界の電界強度が変化する。この電界強度の変化を感度よく測定できれば,前記測定部位の半導体キャリアの寿命を正確に測定できることになる。
ここで,電気光学効果を有する電気光学結晶(6)は,該電気光学結晶(6)に加わる(該電気光学結晶(6)のまわりの)電界強度の変化に応じてその屈折率が変化することは周知である。
本測定装置Xでは,誘電率の高い(例えば,比誘電率>40)前記電気光学結晶(6)が前記測定部位に近接するので,該測定部位に照射された前記マイクロ波により生じる電界が前記電気光学結晶(6)近傍に集中する。従って,この電気光学結晶(6)近傍(即ち,前記測定部位の近傍)に生じる電界の電界強度の微小な変化に応じて感度よく前記電気光学結晶(6)の屈折率が変化する。また,前記電気光学結晶(6)を透過或いは反射した前記測定光は,電気光学効果(屈折率の変化)により,元の前記測定光とは異なる偏光面を有することとなり,その偏光度合い(偏光面の角度)は,前記電気光学結晶(6)近傍の電界強度に応じて変わる。従って,前記偏光板(12)を通過後の前記測定光の強度は,前記偏光度合いに対応したものとなる。即ち,前記偏光板(12)を通過後の前記測定光の強度が,前記電気光学結晶(6)近傍(即ち,前記測定部位近傍)の電界強度を表すことになり,前記パルス光照射のときに前記マイクロ波及び前記測定光を照射していれば,前記光検出器(13)で検出される信号強度の変化を前記計算機(16)で測定することにより,被測定試料(5)における半導体キャリアの寿命を光学系を用いて高感度で測定することが可能となる。通常は,前記マイクロ波を照射しながら前記パルス光を照射し,該パルス光照射直後に前記測定光を照射して該測定光の前記電気光学結晶(6)における反射波及び透過波の偏光度合いの変化を測定する。
また,前記電気光学結晶(6)を,例えば0.1mm角程度と微細なものとすることにより,微小な領域の前記電界強度の変化をより高感度で検出することができる。
【0011】
【実施例】
前記半導体キャリアの寿命測定装置Xは,前記電気光学結晶(6)への前記測定光の透過光の偏光度合いの変化を検出するものであったが,これに限るものでなく,前記測定光の透過光の位相変化を検出するものも考えられる。
図2は,前記前記半導体キャリアの寿命測定装置Xにおける前記測定光の位相の変化を,マイケルソン型干渉系を用いて検出する実施例の1つである半導体キャリアの寿命測定装置X1(以下,測定装置X1という)の構成を表すブロック図である。本測定装置X1における前記励起光(前記パルス光)に関する構成は前記測定装置Xと同じである。
図2に示すように,半導体キャリアの寿命測定装置X1では,前記レーザ(10)により出力された前記測定光(レーザ光)は,ビームスプリッタ(17)によって分岐され,その一方の分岐光は,前記導波管アンテナ(4)上部の開口4(a),前記導波管アンテナ(4)を通過して前記電気光学結晶(6)に照射され,該電気光学結晶(6)を透過した後に,被測定試料(5)に反射して前記ビームスプリッタ(17)へ戻ってくる(以下,この光を測定反射光という)。そして,もう一方の分岐光は,ミラー(18)に反射されて前記ビームスプリッタ(17)に戻ってくる(以下,この光を参照光という)。これにより,前記測定反射光と前記参照光とが合流して干渉が生じ,合流した光(以下,干渉光という)が前記光検出器(13)に入射されてその強度が前記測定装置Xと同様に,前記アンプ(14),前記検波器(15)を介して前記計算機(16)に入力される。前記レーザ(10)から出力された前記測定光が前記干渉光となるまでの光学系がマイケルソン型干渉系を構成している。
このような構成とすることにより,前記電気光学結晶(6)の屈折率の変化によって,前記測定反射光の光路長が変化してその位相が変化するため,前記干渉光の強度が,前記電気光学結晶(6)の屈折率の変化に応じて変化する。従って,前記光検出器(13)で検出される信号強度の変化(前記干渉光の強度変化)を前記計算機(16)で測定することにより,被測定試料(5)における半導体キャリアの寿命を光学系を用いて高感度で測定することが可能となる。なお,図2には示していないが,前記測定反射光の位相変化が前記干渉光の強度変化として顕著に表れるように,前記測定反射光と前記参照光との光路差が微動位置決め制御機構によって調節される。
【0012】
また,図3は,前記前記半導体キャリアの寿命測定装置Xにおける前記測定光の位相の変化を,ファブリペロー干渉系を用いて検出する実施例の1つである半導体キャリアの寿命測定装置X2(以下,測定装置X2という)の構成を表すブロック図である。本測定装置X2における前記励起光(前記パルス光)に関する構成は前記測定装置Xと同じである。
図3(a)に示すように,半導体キャリアの寿命測定装置X2では,前記レーザ(10)により出力された前記測定光(レーザ光)は,前記ビームスプリッタ(11)によって反射され,前記導波管アンテナ(4)上部の開口4(a),前記導波管アンテナ(4)を通過して前記電気光学結晶(6)に照射される。該電気光学結晶(6)で反射した前記測定光(前記測定光の反射光)は,前記ビームスプリッタ(11)を通過して前記光検出器(13)に入射され,その強度が前記測定装置Xと同様に,前記アンプ(14),前記検波器(15)を介して前記計算機(16)に入力される。また,本測定装置X2は,前記光検出器(13)の測定値に応じて前記レーザ(10)の出力波長(前記測定光の波長)を調節する波長コントローラ20を具備している。
また,前記電気光学結晶(6)の前記測定光の照射面(上面)及びその裏面(下面)には,特定の波長λx(以下,反射波長λxという)の光に対して高反射率(〜95%)を有する誘電膜6aがコーティングされている(図3(b)参照)。これにより,前記電気光学結晶(6)に照射された前記測定光の前記電気光学結晶(6)内における波長が,前記反射波長λxに近づくにつれて,上下の前記誘電膜6aの間で多重反射する比率(前記測定光が前記電気光学結晶(6)内部で留まる比率)が高くなる。その結果,図3(c)に示すように,前記電気光学結晶(6)内での前記測定光の波長λaが前記反射波長λxに近づくにつれて,前記光検出器(13)に入射される光(多重干渉光)の強度(受光強度)は急激に低下することになる。この多重干渉光の強度の変化率(低下率)は,前記誘電膜6aの反射率が高いほど急激となる。このように,前記レーザ(10)から出力された前記測定光が前記誘電膜6aによって前記多重干渉光となるまでの光学系がファブリペロー干渉系を構成している。
【0013】
ここで,前記電気光学結晶(6)内での前記測定光の波長λaは,前記電気光学結晶(6)の屈折率の変化によって微小変化する(位相も微小変化する)。従って,前記パルス光(前記励起光)の照射直後において,前記波長コントローラ20により,記レーザ(10)の出力波長(前記測定光の波長)の変化(即ち,前記電気光学結晶(6)内での前記測定光の波長λaの変化)に対して前記光検出器(13)の検出値の変化が顕著(急激)となるように前記レーザ(10)の出力波長(前記測定光の波長)を設定すれば,前記電気光学結晶(6)の屈折率のわずかな変化(即ち,前記測定光の波長λa(或いは位相)のわずかな変化)に対して前記光検出器(13)の検出値が大きく変化することとなり,感度よく前記電気光学結晶(6)の屈折率の変化(即ち,前記マイクロ波の反射波の強度の変化)を検出することが可能となる。従って,前記光検出器(13)で検出される信号強度の変化(前記多重干渉光の強度変化)を前記計算機(16)で測定することにより,被測定試料(5)における半導体キャリアの寿命を光学系を用いて高感度で測定することが可能となる。
前記波長コントローラ20による前記測定光の波長設定は,例えば,前記パルス光(前記励起光)の照射直後において,記レーザ(10)の出力波長(前記測定光の波長)を変化させたときに,前記光検出器(13)の検出値(受光強度)が,その最大値VHと最小値VLとの略中間値(図3(b)に黒丸印で示す点の値)となる波長に設定すること等が考えられる。
【0014】
また,前記測定装置X,X1,X2は,半導体に照射したマイクロ波の反射波の強度変化を測定するものであったが,半導体に照射したマイクロ波の透過波の強度変化を測定するものであってもよい。この場合,被測定試料(6)における前記測定部位の裏面側に,前記電気光学結晶(6)及び前記測定光による測定系を配置すればよい。
また,前記測定装置X,X1,X2では,マイクロ波の導波手段として前記導波管(3)及び前記導波管アンテナ4(導波管によるスロットアンテナ)を用いたが,同軸ケーブルやストリップ線路等を導波手段として用い,ループアンテナや平面アンテナ等をアンテナとして用いる等,種々のマイクロ波放射系を適用することも考えられる。
【0015】
また,前記測定装置X,X1,X2では,前記測定光としてレーザ光(連続波)を用いたが,パルスレーザを用いてもよい。特に,マイクロ波の周期に比べてパルス幅の短いパルスレーザ光を前記測定光として用いれば,前記光検出器として前記マイクロ波の周波数の帯域を有する高速応答の(高価な)検出器を用いることなく前記測定電磁波の検出を行うことが可能となる。
即ち,前記マイクロ波の反射波の強度は,前記マイクロ波の発振周期と同周期で変動するので,例えば,前記マイクロ波の周波数が10GHzである場合,前記光検出器(13)で検出される前記測定光の強度は,0.1nsの周期で変化することになる。一方,通常の(安価な)前記光検出器(光電変換器)の応答性は1ns程度であるため,前記レーザ光を連続照射しながらでは前記測定光の強度は測定できない。そこで,分周回路等によって生成された同期信号(前記マイクロ波の周期に同期した信号)を前記測定光出力用のパルスレーザに入力することにより,前記マイクロ波の周期に同期したパルス光(例えば,パルス幅1ps以下)を前記電気光学結晶(6)に照射する。これにより,前記光検出器(13)により検出される光は,前記マイクロ波が一定の強度となっている瞬時のタイミングで前記電気光学結晶(6)に反射及び透過した光となるので,前記電気光学結晶(6)の屈折率の変化を測定できる。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,マイクロ波光伝導減衰法に基く半導体キャリアの寿命測定において,測定部位のマイクロ波の強度を検出するための検出端が電気光学結晶であるので,これを微細にすることにより,非常に高感度で半導体キャリアの寿命測定を行うことができる。また,励起光(パルス光)の強度を上げたり,検出信号の加算平均化処理を行ったりする必要がないので,被測定試料の改質や測定時間の延長を生じさせることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る半導体キャリアの寿命測定装置Xの構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係る半導体キャリアの寿命測定装置Xによりパルス光照射のときに照射したマイクロ波の反射波の強度変化の測定結果を表すグラフ。
【図3】本発明の実施の形態に係る半導体キャリアの寿命測定装置Xによる半導体キャリアの寿命測定値の経時変化を洗浄後半導体ウェハに対する酸化処理の有無で比較した表。
【符号の説明】
1…マイクロ波発振器
2…サーキュレータ
3…導波管
4…E−Hチューナ
5…導波管アンテナ(導波管の一部)
5a…導波管アンテナの先端の開口部
5b…絶縁体
5c…高圧電源への接続線
6…シリコンウェハ
7…透明電極
8…増幅器
9a,9b…コロナワイヤ
10…マイクロ波検出器
11…高圧電源
12…パルスレーザ
13…計算機
21…ミラー
22…ビームスプリッタ
23…コロナワイヤの取り付け部材

Claims (5)

  1. 半導体にパルス光を照射したときにおける,前記半導体の前記パルス光の照射部に照射した所定の測定電磁波の反射波或いは透過波の変化を測定することにより前記半導体のキャリアの寿命を測定する半導体キャリアの寿命測定方法において,
    前記半導体における前記パルス光の照射部近傍に配置した電気光学素子に所定の測定光を照射し,該測定光の反射光及び/又は透過光の変化を検出し,その検出結果に基づいて前記半導体のキャリアの寿命を測定することを特徴とする半導体キャリアの寿命測定方法。
  2. 前記測定光の前記反射光及び/又は透過光の変化の検出は,該反射光及び/又は透過光の偏光度合いの変化を検出するものである請求項1に記載の半導体キャリアの寿命測定方法。
  3. 前記測定光の前記反射光及び/又は透過光の変化の検出は,該反射光及び/又は透過光の位相の変化を検出するものである請求項1に記載の半導体キャリアの寿命測定方法。
  4. 前記測定光の前記反射光及び/又は透過光の位相の変化を,光干渉法により検出するものである請求項3に記載の半導体キャリアの寿命測定方法。
  5. 半導体にパルス光を照射したときにおける,前記半導体に照射した所定の測定電磁波の反射波或いは透過波の変化を測定することにより前記半導体のキャリアの寿命を測定する半導体キャリアの寿命測定装置において,
    前記パルス光の照射部の近傍に配置される電気光学素子と,
    前記電気光学素子に所定の測定光を照射する測定光照射手段と,
    前記電気光学素子に照射された前記測定光の反射光及び/又は透過光を検出する光検出手段と,
    前記光検出手段の検出結果に基づいて前記半導体のキャリアの寿命を測定する寿命測定手段と,
    を具備してなることを特徴とする半導体キャリアの寿命測定装置。
JP2002288392A 2002-10-01 2002-10-01 半導体キャリアの寿命測定方法及びその装置 Expired - Fee Related JP3776073B2 (ja)

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