JP2021076431A - 気体検知濃度測定装置 - Google Patents

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津田 裕之
Hiroyuki Tsuda
裕之 津田
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Abstract

【課題】単一の半導体レーザで、誤差の少ない気体検知及び濃度測定を実現する。【解決手段】半導体レーザと、半導体レーザ駆動回路と、光出射部と、光受光部と、電力計と、制御回路を有する気体検知濃度測定装置において、前記半導体レーザから出力される光を測定光と参照光に分岐する光分岐素子と、前記参照光に所定の遅延を与える遅延線と、遅延された前記参照光と、前記光出射部から出力され前記光受光部で受光された前記測定光を差動で受光する差動受光回路と、前記差動受光回路の出力に接続されるフィルタ回路と、を有し、前記半導体レーザの主発光線のスペクトル線幅が200MHz以下であり、前記半導体レーザ駆動回路による変調周波数f0が50kHz以下であり、前記フィルタ回路は、周波数n×f0(n=0、1、2、…)の信号を抽出し、前記フィルタ回路の出力に前記電力計が接続されている。【選択図】図1

Description

本発明は、大気に微少に含まれる気体を検知して濃度測定する、気体検知濃度測定装置に関する。
従来の技術を図13に示す。ここで201aと201bは単一モード半導体レーザ、202aと202bはレーザ駆動回路、203は波長合波素子、204は投射レンズ系、205は受光レンズ系、206は波長分離素子、207aと207bは光検出器、208は信号処理回路である。単一モード半導体レーザ201a、及び201bの温度を調整し、単一モード半導体レーザ201aから、検知すべき気体(以下、「気体X」とする)の吸収ピーク周波数に同調した光(以下、「L1」とする)を放射させ、単一モード半導体レーザ201bから、気体Xの吸収ピークから僅かに離れた周波数の光(以下、「L2」とする)を放射させる。波長合波素子203で、光L1とL2を合波し、投射レンズ系204で投射して、戻り光を受光レンズ系205で受光する。
波長分離素子206で光L1とL2を分離して、光検出器207aと207bで独立に強度を測定する。投射レンズ系204から受光レンズ系205に至る経路で、気体Xを含有する気体(以下、「気体Y」とする)中を同じ光路で伝搬させる。一般に、気体の吸収ピークの周波数幅が数GHzと狭いので、異なる気体の吸収ピークが一致することはまれである。適切な周波数を選択することによって、光L1が気体Xによってのみ吸収され、光L2を吸収する気体が気体Yに含有されないようにすることができる。光検出器207aと207bで検出された光強度を信号処理回路208で比較対照することによって、気体Xの存在を検知し、その光学濃度を推定することができる。この手法の問題点は、2台の半導体レーザが必要でコストが高いこと、及び、2台の半導体レーザの出力光強度の変動が同期していないので、検知及び濃度測定の誤差が大きくなることである。
図14は、別の従来の技術を示す(例えば、特許文献1参照)。ここで、211は半導体レーザ、212は制御回路、213は温度調整回路、214はレーザ変調回路、215は投射レンズ系、216は受光レンズ系、217は光検出器、218は増幅回路、219はフィルタ回路、220は信号処理回路である。
周波数f0で半導体レーザを駆動すると、発振波長も周波数f0で変動し、それに対応して、周波数2f0で変調された高調波成分が気体Xの透過信号に生じる。フィルタ回路219で周波数f0の成分を抽出して受光強度を測定し、周波数2f0の成分を抽出して、気体Xの光学濃度を推定する。この手法の問題点は、レーザの変調特性が非線形であるため、もともとの変調光にも周波数2f0の成分が含まれていて、検知及び濃度測定の誤差が大きい点である。また、周波数0の直流成分と、周波数f0の信号成分が強く、光検出器217と増幅回路218のダイナミックレンジを広げる必要があり、低雑音化が困難となり、高感度・高精度にすることが難しい。
アンリツテクニカルNo. 82, Mar. 2006, pp, 66-71
以上に鑑みて、本発明は、単一の半導体レーザで、誤差の少ない気体検知及び濃度測定を実現することを目的とする。
一つの態様では、単一の半導体レーザからの出射光を周波数f0で変調し、測定光と参照光に分岐する。測定対象の気体中を透過する測定光と、前記気体を透過しない参照光を、差動で受光し検波する。単一の半導体レーザから出力される変調光を差動受光することにより、半導体レーザの変調の非線形性による誤差を低減する。
第1の側面で、半導体レーザと、半導体レーザ駆動回路と、光出射部と、光受光部と、電力計と、制御回路を有する気体検知濃度測定装置において、
前記半導体レーザから出力される光を測定光と参照光に分岐する光分岐素子と、
前記参照光に所定の遅延を与える遅延線と、
遅延された前記参照光と、前記光出射部から出力され前記光受光部で受光された前記測定光を、差動で受光する差動受光回路と、
前記差動受光回路の出力に接続されるフィルタ回路と、
を有し、
前記半導体レーザの主発光線のスペクトル線幅が200MHz以下であり、
前記半導体レーザ駆動回路による変調周波数f0が50kHz以下であり、
前記フィルタ回路は、周波数n×f0(n=0、1、2、…)の信号を抽出し、前記フィルタ回路の出力に前記電力計が接続されている。
上記の第1の側面の気体検知濃度測定装置の一つの構成例として、
半導体レーザ温度調整回路、
をさらに有し、
前記制御回路は、検知すべき気体の吸収線のスペクトル情報であるm番目(mは自然数)の気体吸収線ピーク周波数fGmと対応する吸収線幅fGWm、及び前記半導体レーザの主発光線の中心周波数fLの温度依存性情報を有し、検知すべき気体の吸収線ピークの一つを選択し、前記半導体レーザのしきい値電流の近傍において、
Figure 2021076431
が成立するように、前記半導体レーザ温度調整回路を制御して前記半導体レーザの温度を制御してもよい。
上記の第1の側面の気体検知濃度測定装置の別の構成例では、前記半導体レーザに集積される発振周波数調整用のヒータ、をさらに有し、
前記制御回路は、検知すべき気体の吸収線のスペクトル情報であるm番目(mは自然数)の気体吸収線ピーク周波数fGmと対応する吸収線幅fGWm、及び前記半導体レーザの主発光線の中心周波数fLの温度依存性情報を有し、
Figure 2021076431
が成立するように、前記半導体レーザの駆動電流r×Ithと前記ヒータの温度を制御してもよい。ここで、Ithは前記半導体レーザのしきい値電流、rの値は、1.2〜10である。
第2の側面で、半導体レーザと、半導体レーザ駆動回路と、光出射部と、光受光部と、電力計と、制御回路を有する気体検知濃度測定装置において、
半導体レーザ温度調整回路と、
前記半導体レーザに集積される発振周波数調整用の位相調整領域と、
前記半導体レーザから出力される光を測定光と参照光に分岐する光分岐素子と、
前記参照光に所定の遅延を与える遅延線と、
遅延された前記参照光と、前記光出射部から出力され前記光受光部で受光された前記測定光を、差動で受光する差動受光回路と、
前記差動受光回路の出力に接続されるフィルタ回路と、
を有し、
前記半導体レーザの主発光線のスペクトル線幅が200MHz以下であり、
前記半導体レーザ駆動回路による変調周波数f0が100kHz以上、1GHz以下であり、
前記半導体レーザ駆動回路は、前記半導体レーザに集積された前記位相調整領域を周波数f0で駆動し、
前記フィルタ回路は、周波数n×f0(n=0、1、2、3、…)の信号を抽出し、前記フィルタ回路の出力に前記電力計が接続されており、
前記制御回路は、検知すべき気体の吸収線のスペクトル情報であるm番目(mは自然数)の気体吸収線ピーク周波数fGmと、対応する吸収線幅fGWm、及び前記半導体レーザの主発光線の中心周波数fLの温度依存性情報を有し、
Figure 2021076431
が成立するように、前記半導体レーザの駆動電流r×Ithと、前記半導体レーザの温度を制御する。ここで、Ithは前記半導体レーザのしきい値電流、rの値は1.2〜10である。
第3の側面では、レーザ、レーザ駆動回路、周波数変調器、変調器駆動回路、光分岐素子、光出射部、光受光部、光遅延線、コヒーレント受信回路、及び制御回路を有する光検出及び測距システムを利用した気体検知濃度測定装置において、
前記コヒーレント受信回路は、受信光の位相変調成分と振幅変調成分を分離して受信し、気体による吸収によって変調された振幅波形を検波し、
前記制御回路は、検知すべき気体の吸収線のスペクトル情報として、m番目(mは自然数)の気体吸収線ピーク周波数fGm、及び対応する吸収線幅fGWmを有し、前記光検出及び測距システムにおける搬送波周波数をfc、チャープ周波数幅をfpとすると、
Figure 2021076431
を満たすように、前記気体吸収線ピーク周波数fGm、前記吸収線幅fGWm、前記搬送波周波数fc、及び前記チャープ周波数幅fpを設定する。
上記の構成により、単一の半導体レーザで、誤差の少ない気体検知と濃度測定が実現される。
第1実施形態の気体検知濃度測定装置の概略図である。 第1実施形態を説明する図である。 第1実施形態を説明する図である。 第2実施形態の半導体レーザの構成を示す三面図である。 第2実施形態を説明する図である。 第2実施形態を説明する図である。 第3実施形態の半導体レーザの構成を示す二面図である。 第3実施形態を説明する図である。 第3実施形態を説明する図である。 第4実施形態の気体検知濃度測定装置の概略図である。 第4実施形態を説明する図である。 第4実施形態を説明する図である。 従来技術の説明図である。 従来技術の説明図である。
以下で、図面を参照して具体的な実施の形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の気体検知濃度測定装置100の概略図である。101は半導体レーザ、102は半導体レーザ駆動回路、103は半導体レーザ温度調整回路、104は光分岐素子、105は光出射部、106は光受光部、107は光可変減衰器、108は光遅延線、109は差動受光回路、110は低雑音増幅器、111はフィルタ回路、112は電力計、113は制御回路である。
気体検知濃度測定装置100は、気体Y中に含有される気体Xを検知し、光学濃度を測定する。図中の実線の矢印は光の出力方向を示し、破線は気体Xで変調された戻り光を示す。太線の矢印は電気信号の出力方向を示す。
半導体レーザ101は、DFBレーザないしDBRレーザなどの単一モードレーザであり、その発振周波数は、温度と注入電流に依存する。これらのレーザの、スペクトル線幅は200MHz以下であり、数GHzの気体の吸収線幅よりも十分に狭い。一般に、温度の上昇や電流値の増加に対して、発振周波数は低くなる。発振周波数の変化の係数は、−10GHz/K、−1GHz/mA程度である。
制御回路113は、メモリ内蔵型のマイクロプロセッサや論理ICによって実現され得る。制御回路113は、半導体レーザ101の中心周波数fT(T,I)の、温度T及び電流Iへの依存性に関する情報を有する。制御回路113はまた、気体Xの吸収線のスペクトル情報として、m番目(mは自然数、すなわち、m=1、2、3、…)の気体吸収線ピーク周波数fGmと、対応する吸収線幅fGWmを有している.
図2は、気体検知濃度測定装置100の動作を説明する図である。制御回路113は、m番目の吸収線に着目し、図2に示すように、初めに、しきい値電流(Ith)の近傍、例えば、I=1.2×Ithにおいて、
Figure 2021076431
が成立するように、半導体レーザ温度調整回路103を介して、半導体レーザ101の温度を制御する。このときの温度をTmとする。
図3(A)に示すように、半導体レーザ101を、周波数f0の正弦波電流で駆動する。電流最小値をpIth、電流最大値をqIthとする。pは0〜5、qは、p+0.1〜p+10の間の値である。図3(A)の例では、電流最小値はIth、電流最大値は5Ithであり、p=1、q=5である。
典型的値として、Ith=5mA、発振周波数の注入電流依存性を−1GHz/mAとすると、電流変調による周波数変位は20GHzとなり、10GHz程度の吸収線幅fGWmを越える。
図3(B)に示すように、半導体レーザ101からの出射光強度は、ほぼ正弦波状になり、レーザ光の周波数は、図3(C)に示すように変化する。半導体レーザ101の周波数変化は、注入電流による局所的な温度上昇によるものであり、最大変調周波数は50kHz程度である。そのため、周波数f0は、1〜10kHz程度が好ましい。
半導体レーザ101からの出射光は、光分岐素子104で、測定光と参照光に分岐される。測定光は、光出射部105で投射されて、気体Yを透過して光受光部106で受光、導光され、差動受光回路109に入射する。変調光が気体Yを透過すると、変調光の周波数が気体Xの吸収線を横切るときに透過光強度が減衰するので、図3(D)に示すような波形となる。変調周期内で気体Xの吸収線を2回横切るので、この透過波形には、2f0の成分が存在する。半導体レーザ101からの出射光は、変調が非線形であることから、n×f0(n=0、1、2、3、…;すなわち、nはゼロまたは正の整数)の周波数成分をもともと有している。最も強い周波数成分がf0であり、次いで周波数0の成分が強い。
一方、光分岐素子104で分岐された参照光の強度を光可変減衰器107で調整して、気体Xを透過して光受光部106で検出された透過光の強度とほぼ等しくする。強度調整された参照光と、気体Xを透過した測定光の双方を差動受光回路109で差動受光することによって、図3(E)に示すように、2f0以外のほとんどの周波数成分を減衰させることができる。同時に、半導体レーザ101からの出射光にもともと含まれている2f0成分も差し引かれるため、高精度な測定が可能である。
フィルタ回路111で各周波数成分を分離して、電力計112で各周波数成分の強度を測定した値を用いて、制御回路113は光可変減衰器107を正確に制御できる。また、光遅延線108で気体Xを透過した測定光と参照光の光路差を短くすることによって、半導体レーザ101の特性の時間変動による測定誤差を低減することができる。
第1実施形態では、周波数f0と周波数0の成分を低減できるので、後段の低雑音増幅器110が必要とするダイナミックレンジを下げ、低雑音増幅器110の低雑音化が可能となる。電力計112で2f0の周波数成分信号強度を測定することによって、気体Xの光学濃度が得られる。気体X中の伝搬距離が分かれば、気体Xの濃度が求められることは言うまでもない。
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態で用いられるヒータが集積された半導体レーザ101bの三面図である。ここで、120は半導体レーザを構成する導波路である。半導体レーザそのものは公知であるので、詳細は記載しない。導波路120の近傍、たとえば10〜100ミクロン離れた位置に、ヒータ121を集積する。ヒータ121として、例えば、厚さ0.5ミクロン、幅10ミクロン、導波路120とほぼ等しい長さのTiN薄膜が利用できる。
ヒータ121に電流を流すための電極122が接続されている。ヒータ121で導波路120の温度を変えて発振周波数を制御できる。半導体レーザ101bへの注入電流は一定とするので、発振周波数が変わっても半導体レーザ101bの出力光の強度はほとんど変化しない。ヒータ121への注入電流に対する周波数変化は、−1GHz/mA程度である。半導体レーザ101を半導体レーザ101bとすることで、半導体レーザ温度調整回路103を省略してもよい。その他の構成は、第1実施形態の構成例と同様である。
図5と図6は、第2実施形態の気体検知濃度測定装置の動作を説明する図である。制御回路113は、半導体レーザ101bの中心周波数fT(T,I)の温度依存性と電流依存性に関する情報、気体Xの吸収線のスペクトル情報であるm番目(mは自然数、すなわち、m=1、2、3、…)の気体吸収線ピーク周波数fGm、及び対応する吸収線幅fGWmを有している。
制御回路113は、m番目の吸収線に着目し、図4に示すように、例えばI=3Ithにおいて、
Figure 2021076431
が成立するように、ヒータ121を制御して半導体レーザ101bの温度を制御する。このときの温度をTmとする。
図6(A)に示すように、ヒータ121を周波数f0の正弦波電流で駆動し、半導体レーザ101bへの注入電流を、rIthとする。rは、好ましくは1.2〜10の間の値である。第2実施形態では、一例として、半導体レーザ101bへの注入電流を、3Ithとする。典型的値として、ヒータ121への注入電流に対するレーザ発振周波数の変化を−1GHz/mA、ヒータ電流の最大値を20mAとすると、電流変調による周波数変位は20GHzとなり、10GHz程度の吸収線幅fGWmを越える。
図6(B)に示すように、半導体レーザ101bからの出射光強度はほぼ一定になり、レーザ光の周波数は、図6(C)に示すように変化する。半導体レーザ101bの周波数変化は、ヒータ121による局所的な温度上昇によるものであるため、最大変調周波数は50kHz程度である。そのため、f0は1〜10kHz程度が好ましい。
半導体レーザ101からの出射光は、光分岐素子104で、測定光と参照光に分岐される。測定光は、光出射部105で投射されて、気体Yを透過して光受光部106で受光、導光され、差動受光回路109に入射する。変調光が気体Yを透過すると、変調光の周波数が気体Xの吸収線を横切るときに透過光強度が減衰するので、図6(D)に示すような波形となる。変調周期内で気体Xの吸収線を2回横切るので、この透過波形には、2f0の成分が存在する。半導体レーザ101bからの出射光は、周波数0の成分がほとんどであり、僅かに温度変化に伴う周波数f0の成分が存在するが、周波数2f0以上の成分は測定限界以下となる。
一方、光分岐素子104で分岐された参照光の強度を光可変減衰器107で調整して、気体Xを透過して光受光部106で検出された透過光の強度とほぼ等しくする。強度調整された参照光と、気体Xを透過した測定光の双方を差動受光回路109で差動受光することによって、図6(E)に示すように、周波数0及び周波数f0の成分を減衰させることができる。
フィルタ回路111で各周波数成分を分離して、電力計112で周波数0の成分の強度を測定した値を用いて、制御回路113は光可変減衰器107を正確に制御できる。
第2実施形態では、周波数0の成分を低減できるので、後段の低雑音増幅器110が必要とするダイナミックレンジを下げ、低雑音増幅器110の低雑音化が可能となる。第1実施形態と比較して、半導体レーザ101bからの出射光に周波数2f0以上の高調波成分が含まれないので、測定誤差がさらに小さくなる。
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態で用いられる位相調整領域が集積された半導体レーザ101cの二面図である。半導体レーザ101cは、DBR反射器130、活性領域131、位相調整領域132を有する波長可変レーザである。積層方向でみたときに、活性領域131と位相調整領域132の上方に、電極133、134が個別に設けられている。このレーザの構成は公知であるので、詳細は記述しない。
半導体レーザ101cの発振周波数は、レーザの温度、活性領域131への注入電流、または位相調整領域132への注入電流により変化するが、第3実施形態では、活性領域131への注入電流を一定として、位相調整領域132への注入電流を周波数f0で変調して発振周波数を変化させる。
図8と図9は、第3実施形態の気体検知濃度測定装置の動作を説明する図である。第2実施形態との相違点は、第9(A)に示されるように、位相調整領域132への注入電流を変調することにより周波数変調を行う点である。
半導体レーザ101cの活性領域131への注入電流は一定なので、図9(B)に示すように、発振周波数が変わっても半導体レーザ101cの出力光の強度はほとんど変化しない。位相調整領域132への注入電流に対する周波数変化は、+1GHz/mA程度である。
半導体レーザ101に替えて半導体レーザ101cを用いることを除いて、その他の基本構成は、第1実施形態、及び第2実施形態と同様である。
制御回路113は、半導体レーザ101bの中心周波数fT(T,I)の温度依存性と電流依存性に関する情報、気体Xの吸収線のスペクトル情報であるm番目(mは自然数、すなわち、m=1、2、3、…)の気体吸収線ピーク周波数fGm、及び対応する吸収線幅fGWmを有している。
制御回路113は、m番目の吸収線に着目し、図8に示すように、例えばI=3Ithにおいて、
Figure 2021076431
が成立するように、半導体レーザ101cの温度を制御する。このときの温度をTmとする。
図9(A)に示すように、位相調整領域132を周波数f0の正弦波電流で駆動し、活性領域131への注入電流を3Ithとする。典型的値として、位相調整領域132への注入電流に対するレーザ発振周波数の変化を+1GHz/mA、位相調整領域132への注入電流の最大値を20mAとすると、変調による周波数変位は20GHzとなり、10GHz程度の吸収線幅fGWmを越える。
図9(B)に示すように、半導体レーザ101cからの出射光の強度は、ほぼ一定になり、レーザ光の周波数は、図9(C)に示すように変化する。半導体レーザ101cの周波数変化は、キャリア密度変化による屈折率変化であるため、最大変調周波数は1GHz程度である。変調周波数が低いと、局所的な温度変化による周波数変化が逆向きに働く。位相調整領域132の駆動周波数f0は500kHz〜50MHz程度が好ましい。
半導体レーザ101cからの出射光は、光分岐素子104で、測定光と参照光に分岐される。測定光は、光出射部105で投射されて、気体Yを透過して光受光部106で受光、導光され、差動受光回路109に入射する。変調光が気体Yを透過すると、変調光の周波数が気体Xの吸収線を横切るときに透過光強度が減衰するので、図9(D)に示すような波形となる。変調周期内で気体Xの吸収線を2回横切るので、この透過波形には、2f0の成分が存在する。半導体レーザ101cからの出射光は、周波数0の成分がほとんどであり、僅かに温度変化に伴う周波数f0の成分が存在するが、周波数2f0以上の成分は測定限界以下となる。
一方、光分岐素子104で分岐された参照光の強度を光可変減衰器107で調整して、気体Xを透過して光受光部106で検出された透過光の強度とほぼ等しくする。強度調整された参照光と、気体Xを透過した測定光の双方を差動受光回路109で差動受光することによって、図9(E)に示すように、周波数0及び周波数f0の成分を減衰させることができる。
フィルタ回路111で各周波数成分を分離して、電力計112で周波数0の成分の強度を測定した値を用いて、制御回路113は光可変減衰器107を正確に制御できる。
第2実施形態では、周波数0の成分を低減できるので、後段の低雑音増幅器110が必要とするダイナミックレンジを下げ、低雑音増幅器110の低雑音化が可能となる。第1実施形態及び第2実施形態と比較して、f0がより高周波であるため、測定時間を短くすることができる。
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態の気体検知濃度測定装置500の模式図である。501はレーザ、502はレーザ駆動回路、503は周波数変調器、504は変調器駆動回路、505は光分岐素子、506は光出射部、507は光受光部、508は光遅延線、509はコヒーレント受信回路、510は制御回路である。この構成は、周波数変調連続波(Frequency Modulation Continuous Wavelength;以下「FMCW」とする)ライダー(LiDAR: Light Detection And Ranging;光検出及び測距)を利用している。
一般的なFMCWライダーは、送信光と受信光の遅延時間差に比例するビート信号を取り出す機能を有するが、振幅波形を取り出す機能が無い。第4実施形態では、コヒーレント受信回路509に、振幅変調信号を取り出す機能を付加する。
制御回路510は、気体Xの吸収線のスペクトル情報であるm番目(mは自然数、すなわち、m=1、2、3、…)の気体吸収線ピーク周波数fGmと、対応する吸収線幅fGWmを有している。m番目の吸収線に着目し、図11に示すように、FMCWライダーにおける搬送波周波数がfc、チャープ周波数幅がfpであるとき、次式
Figure 2021076431
を満たすように、fGm、fGWm、fc、及びfpを設定する。
図12(A)に示すように、FMCWライダーの光出力は一定で、図9(B)に示すように、周波数は三角波状に変調される。気体Yを透過した光は、気体Xによる吸収によって、図12(C)に示すように振幅変調される。
従来のFMCWライダーでは、受信信号ともとの出射信号のビート信号の周波数を計測して対象物までの距離を計測するが、第4実施形態のコヒーレント受信回路509は、光通信におけるコヒーレント受信回路と同様に、光90°ハイブリッドによる位相ダイバーシティによって、気体Xでの吸収により振幅変調された成分も分離して受信できる。光90°ハイブリッドを2組用いて偏波ダイバーシティを行う場合は、偏光擾乱にも耐性がある。
制御回路510は、復調された振幅変調成分から気体Xの光学濃度を求めることができる。第4実施形態では、コヒーレント受信をすることにより、感度を向上することができる。また、ライダーと組み合わせることで、物体への距離計測とともに、経路上の気体についての情報も得ることが可能となり、環境計測に有用である。
<実施形態の効果>
第1に、実施形態の気体検知濃度測定装置は検知すべき気体の吸収線のスペクトル情報を有し、検知すべき気体に合わせて動作するので、複数の種類の気体を検知して、その光学濃度を測定できる。
第2に、周波数f0で直接変調したレーザ光を用いる場合に生じる周波数0の成分と高調波成分を、差動受信することによって相殺し、高感度かつ高精度な気体検知と光学濃度測定を可能とする。
第3に、半導体レーザにヒータを集積する構成では、ヒータ温度を変化させることによってレーザの周波数を変調し、周波数f0成分と高調波成分を抑圧して、高感度かつ高精度な気体検知と光学濃度測定を可能とする。
第4に、半導体レーザに位相調整領域を設ける構成では、位相調整領域への電流注入によりレーザの周波数を変調し、周波数f0及び高調波成分を抑圧して、高速、高感度かつ高精度な気体検知と光学濃度測定を可能とする。
第5に、FMCWライダーを利用する構成では、コヒーレント受信回路が振幅変調を受信できる構成を有し、気体の吸収による振幅変調波形を計測することによって、高感度かつ高精度な気体検知と光学濃度測定を可能とする。
101、101b、101c:半導体レーザ、
102:半導体レーザ駆動回路、103:半導体レーザ温度調整回路、
104:光分岐素子、105:光出射部、106:光受光部、107:光可変減衰器、
108:光遅延線、109:差動受光回路、110:低雑音増幅器、
111:フィルタ回路、112:電力計、113:制御回路、
120:導波路、121:ヒータ、122:電極、
130:DBR反射器、131:活性領域、132:位相調整領域、
501:レーザ、502:レーザ駆動回路、503:周波数変調器、
504:変調器駆動回路、505:光分岐素子、506:光出射部、507:光受光部、
508:光遅延線、509:コヒーレント受信回路、510:制御回路。

Claims (8)

  1. 半導体レーザと、半導体レーザ駆動回路と、光出射部と、光受光部と、電力計と、制御回路を有する気体検知濃度測定装置において、
    前記半導体レーザから出力される光を測定光と参照光に分岐する光分岐素子と、
    前記参照光に所定の遅延を与える遅延線と、
    遅延された前記参照光と、前記光出射部から出力され前記光受光部で受光された前記測定光を、差動で受光する差動受光回路と、
    前記差動受光回路の出力に接続されるフィルタ回路と、
    を有し、
    前記半導体レーザの主発光線のスペクトル線幅が200MHz以下であり、
    前記半導体レーザ駆動回路による変調周波数f0が50kHz以下であり、
    前記フィルタ回路は、周波数n×f0(n=0、1、2、…)の信号を抽出し、前記フィルタ回路の出力に前記電力計が接続されている、
    ことを特徴とする気体検知濃度測定装置。
  2. 半導体レーザ温度調整回路、
    をさらに有し、
    前記制御回路は、検知すべき気体の吸収線のスペクトル情報であるm番目(mは自然数)の気体吸収線ピーク周波数fGmと、対応する吸収線幅fGWm、及び前記半導体レーザの主発光線の中心周波数fLの温度依存性情報を有し、検知すべき気体の吸収線ピークの一つを選択し、前記半導体レーザのしきい値電流の近傍において、
    Figure 2021076431
    が成立するように、前記半導体レーザ温度調整回路を制御して前記半導体レーザの温度を制御することを特徴とする請求項1に記載の気体検知濃度測定装置。
  3. 前記半導体レーザ駆動回路は、前記半導体レーザを前記変調周波数f0で駆動し、レーザ発振のしきい値電流はIth、電流最小値はpIth、電流最大値はqIthであり、
    pは0〜5、qはp+0.1〜p+10の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の気体検知濃度測定装置。
  4. 前記半導体レーザに集積される発振周波数調整用のヒータ、
    をさらに有し、
    前記制御回路は、検知すべき気体の吸収線のスペクトル情報であるm番目(mは自然数)の気体吸収線ピーク周波数fGmと、対応する吸収線幅fGWm、及び前記半導体レーザの主発光線の中心周波数fLの温度依存性情報を有し、
    Figure 2021076431
    が成立するように、前記半導体レーザの駆動電流r×Ithと前記ヒータの温度を制御し、
    ここで、Ithは前記半導体レーザのしきい値電流、rの値は1.2〜10であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知濃度測定装置。
  5. 半導体レーザと、半導体レーザ駆動回路と、光出射部と、光受光部と、電力計と、制御回路を有する気体検知濃度測定装置において、
    半導体レーザ温度調整回路と、
    前記半導体レーザに集積される発振周波数調整用の位相調整領域と、
    前記半導体レーザから出力される光を測定光と参照光に分岐する光分岐素子と、
    前記参照光に所定の遅延を与える遅延線と、
    遅延された前記参照光と、前記光出射部から出力され前記光受光部で受光された前記測定光を、差動で受光する差動受光回路と、
    前記差動受光回路の出力に接続されるフィルタ回路と、
    を有し、
    前記半導体レーザの主発光線のスペクトル線幅が200MHz以下であり、
    前記半導体レーザ駆動回路による変調周波数f0が100kHz以上、1GHz以下であり、
    前記半導体レーザ駆動回路は、前記半導体レーザに集積された前記位相調整領域を周波数f0で駆動し、
    前記フィルタ回路は、周波数n×f0(n=0、1、2、3、…)の信号を抽出し、前記フィルタ回路の出力に前記電力計が接続されており、
    前記制御回路は、検知すべき気体の吸収線のスペクトル情報であるm番目(mは自然数)の気体吸収線ピーク周波数fGmと、対応する吸収線幅fGWm、及び前記半導体レーザの主発光線の中心周波数fLの温度依存性情報を有し、
    Figure 2021076431
    が成立するように、前記半導体レーザの駆動電流r×Ithと前記半導体レーザの温度を制御し、
    ここで、Ithは前記半導体レーザのしきい値電流、rの値は1.2〜10であることを特徴とする気体検知濃度測定装置。
  6. 前記光分岐素子と前記遅延線の間に接続される光可変減衰器、
    をさらに有し、
    前記光可変減衰器は、前記参照光の強度が、気体を透過した前記測定光の光強度とほぼ等しくなるように、前記参照光の強度を調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の気体検知濃度測定装置。
  7. 前記光可変減衰器は、周波数n×f0(nは2を除く正の整数、またはゼロ)の電力成分をゼロまたは最小にし、
    前記電力計は、周波数2f0の成分の電力を測定する、
    ことを特徴とする請求項6に記載の気体検知濃度測定装置。
  8. レーザ、レーザ駆動回路、周波数変調器、変調器駆動回路、光分岐素子、光出射部、光受光部、光遅延線、コヒーレント受信回路、及び制御回路を有する光検出及び測距システムを利用した気体検知濃度測定装置において、
    前記コヒーレント受信回路は、受信光の位相変調成分と振幅変調成分を分離して受信し、気体による吸収によって変調された振幅波形を検波し、
    前記制御回路は、検知すべき気体の吸収線のスペクトル情報として、m番目(mは自然数)の気体吸収線ピーク周波数fGm、及び対応する吸収線幅fGWmを有し、前記光検出及び測距システムにおける搬送波周波数をfc、チャープ周波数幅をfpとすると、
    Figure 2021076431
    を満たすように、前記気体吸収線ピーク周波数fGm、前記吸収線幅fGWm、前記搬送波周波数fc、及び前記チャープ周波数幅fpを設定することを特徴とする気体検知濃度測定装置。
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