JP6214856B2 - 電磁波吸収シート用扁平金属粉体の製造方法 - Google Patents

電磁波吸収シート用扁平金属粉体の製造方法 Download PDF

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本発明は、軟磁性金属粉体を分散させた電磁波吸収シートのための該金属粉体の製造方法に関し、特に、扁平な軟磁性金属粉体を配向分散させた電磁波吸収シート用の該金属粉体の製造方法に関する。
電磁波を吸収する電磁波吸収シートは、電子機器の筐体の内面に沿って与えられて、電子機器からの電磁波を筐体外部へ漏出することを防いだり、逆に、電子機器を筐体外部の電磁波から保護する目的で使用される。かかる電磁波吸収シートのうち、ゴムや樹脂からなるシート体の内部に扁平な軟磁性金属粉体を配向分散させた電磁波吸収シートが小型軽量化を強く要求される携帯電子機器などに広く用いられている。
扁平な軟磁性金属粉体を配向分散させた電磁波吸収シートに使用される金属粉体の製造方法については、金属粉体をボールミル装置によって扁平化させる方法が知られている。一方、例えば、特許文献1では、かかる方法の問題点として、扁平化に長時間を要すること、酸化しやすい微細な金属粉体の割合を増やしてしまうことについて述べている。金属粉体が酸化してしまうと、得られる電磁波吸収シートの磁気特性を損ねてしまうのである。また、軟磁性金属粉体として、Fe−Si−Al合金のような硬くて脆い材料を選択した場合と比較すると、衝撃力をより吸収し易いFe−Ni合金のような柔らかく延性を有する材料では、ボールミル装置内での小鋼球の自重により与えられる衝撃力とせん断応力のみで金属粉体を扁平化させることは困難としている。
これに対して、特許文献1では、容器内の回転羽根を回転させて粉砕媒体(鋼球)とともに金属粉体を攪拌し該金属粉体を扁平化させる方法、いわゆるアトライター装置による扁平化方法を提案している。アトライター装置の容器内部には、所定量の粉砕媒体及び軟磁性金属粉体がトルエンのような有機溶剤からなる粉砕助剤とともに入れられる。回転羽根を回転させると、粉砕媒体とともに軟磁性金属粉体が攪拌され、衝突の衝撃で金属粉体が平たく変形されつつ適度に粉砕されて扁平化されてゆくのである。かかる方法によれば、短時間で工業的規模でしかも金属粉体を過度に微細化させることなく、扁平化した軟磁性金属粉体を得られるとしている。
ところで、特許文献2では、上記したアトライター装置やボールミル装置等による湿式の扁平化方法に使用される粉砕助剤について述べている。すなわち、金属粉体の凝集防止のための粉砕助剤には、金属と濡れ性の良いトルエン、トリクロルエタン、トリクロルエチレン等のハロゲン化炭化水素や、メタノール、エタノール等のアルコール類の有機溶剤が用いられる。これらは金属粉体の凝集を防止する一方で、摩擦抵抗を下げ、金属粉体と粉砕媒体とのすべり、又は、金属粉体同士のすべりを助長させ、金属粉体に加わる衝撃力を減少させる。つまり、所定の形状への扁平化に要する時間は乾式の扁平化方法などと比べて長くなりがちである。また、これらの粉砕助剤の多くは、安全性や法的規制の面で取り扱いが面倒である。そこで、特許文献2では、粉砕助剤として、例えば、ノニオン系の界面活性剤を加えた水を使用した湿式の扁平化方法について述べている。
更に、特許文献3でも、水を使用した湿式の扁平化方法について述べている。アトライター装置による湿式の扁平化方法において、高級脂肪酸又はその金属塩、例えば、ステアリン酸又はその亜鉛やカルシウムの塩を加えた水を粉砕助剤に使用するとしている。これによれば、過度な粉砕を生じず、適当なアスペクト比を有する軟磁性金属粉体を得られるとしている。
特開平1−188606号公報 特開平9−111315号公報 特開2001−152211号公報
上記したように、軟磁性金属粉体を配向分散させた電磁波吸収シート用の金属粉体の製造方法において、取り扱いの煩雑な有機溶剤ではなく水を使用して金属粉体を扁平化するには、電磁波吸収シートに使用されたときに磁気特性を損ねないよう、該金属粉体を酸化させることなく、しかも効率よく所定の寸法形状に扁平化させることが求められる。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、電磁波吸収シートに使用されたときの磁気特性を損ねることなく、高い生産性を有する軟磁性金属粉体の製造方法を提供することにある。
本発明による電磁波吸収シート用扁平金属粉体の製造方法は、扁平な軟磁性金属粉体を配向分散させた電磁波吸収シートの該金属粉体の製造方法であって、界面活性剤及び防錆剤を与えられ少なくとも塩基性に調整された電解水を入れた容器内で軟磁性金属粉体を粉砕媒体とともに攪拌し前記軟磁性金属粉体を扁平化させ、更に、金属石鹸を加えて攪拌した後に、前記容器より取り出すことを特徴とする。
かかる発明によれば、取り扱いの煩雑な有機溶剤を使用せず、軟磁性金属粉体の酸化を抑制しつつ効率よく所定の寸法形状への加工が出来る。すなわち、電磁波吸収シートに使用されたときの磁気特性を損ねることなく、しかも高い生産性で電磁波吸収シート用扁平金属粉体を製造できるのである。
上記した発明において、前記軟磁性金属粉体はFe−Cr合金、Fe−Si−Al合金又はFe−Si−Cr合金のいずれかであることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、電磁波吸収シート用として磁気特性に優れる軟磁性金属粉体を高い生産性をもって得ることができる。
本発明による金属粉体を用いた電磁波吸収シートの斜視図及び断面図である。 本発明による金属粉体の製造方法の工程図である。 電磁波吸収シートの製造方法の工程図である。 実施例及び比較例における製造条件及び諸評価の一覧である。 処理時間と金属粉体の平均粒径との関係を示すグラフである。 実施例及び比較例における製造条件及び諸評価の一覧である。 金属粉体の粒度分布を示すグラフである。
本発明による1つの実施例としての軟磁性金属粉体を配向分散させた電磁波吸収シートについて、図1を用いて説明する。
図1に示すように、電磁波吸収シート10は、塩素化ポリエチレンなどのゴム系樹脂2からなる薄膜状のゴムシートであって、軟磁性体からなる扁平薄片状の金属粉体1をその主面に沿う方向に配向分散させた複合シート体である。電磁波吸収シート10は、例えば、電子機器の筐体の内面に沿って与えられて、該筐体の外内及び/又は内外へ向けて通過しようとする電磁波を吸収する。なお、金属粉体1は、透磁率の高い金属単体や合金、例えば、Fe基合金、Fe−Si合金、Fe−Cr合金、Fe−Si−Cr合金、Fe−Si−Al、Fe−Ni合金、又は、アモルファス合金、もしくはこれらの混合物からなる扁平薄片状の粉体からなり、電磁波吸収シート10に高い透磁率を付与することで、電磁波遮蔽性能などにおいて良好な磁気特性を与える。
次に、上記した電磁波吸収シート10の金属粉体1の製造方法について図2に沿って説明する。
まず、純金属又は所定の成分組成の合金からなる金属原料粉末を準備する(原料粉末準備ステップS1)。金属原料粉末は、金属粉体1と同材質の粉末であり、市販のものを用いても良いし、例えば、金属溶湯を噴霧して粉末化するアトマイズ法によって作製しても良い。なお、金属原料粉末は、所定の粒サイズに分粒しておくことが好ましい。
次に、金属原料粉末をアトライター装置にて扁平化させる(一次扁平化ステップS2)。詳細には、アトライター装置の容器内に金属原料粉末とともに、界面活性剤、防錆剤、及び、粉砕助剤を投入し、更に、所定の径を有する鋼球からなる粉砕媒体を装填する。そして、周面に回転羽根を設けられた攪拌棒を回転させて、容器内を攪拌する。すると、粉砕媒体が金属原料粉末に衝突し衝撃を与えて、金属原料粉末を平たく変形させながら粉砕させ、扁平化させていく。
ここで粉砕助剤としては、金属原料粉末の酸化を抑制するために塩基性に調整された電解水、例えば、水素イオン濃度指数(pH)を8以上に調整した工業用アルカリイオン水などを用いる。pHは10以上が好ましく、より好ましくは12以上である。
界面活性剤としては、低発泡性の高分子界面活性剤、例えば、ポリアクリル酸アンモニウム(PA)などを用いる。界面活性剤は、金属原料粉末の表面に吸着して、金属原料粉末同士の吸着を抑制し、粉砕助剤の潤滑性の低い場合にあっても金属原料粉末に適度な潤滑性を与えて扁平化の効率を向上させ得る。界面活性剤の添加量は、質量%で、0.5〜10%であることが好ましく、より好ましくは1〜5%である。
また、防錆剤としては、金属原料粉末の個々の粒子表面に付着して被膜を与える薬剤、例えば、環状アミンエトキシレート(CA)などを用い得る。防錆剤は、かかる被膜により金属原料粉末の酸化を抑制するとともに、金属原料粉末に適度な潤滑性を与え得る。防錆剤の添加量は、質量%で、0.5〜10%であることが好ましく、さらに好ましくは1〜5%である。
所定時間の攪拌後、容器内に金属石鹸を投入し、更に攪拌を続けて扁平化を進めながら、金属粉体1の個々の粒子表面に金属石鹸を付着させたスラリー体を得る(二次扁平化ステップS3)。金属石鹸は、金属原料粉末の表面に分散し付着して、後述する乾燥ステップS4において金属粉体1同士の吸着により凝集することを抑制する。金属石鹸としては、ステアリン酸、ラウリン酸、リシノール酸、オクチル酸などの脂肪酸と、リチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛などの金属との化合物を用い得る。金属石鹸の添加量は、質量%で、0.1〜2%であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.5%である。かかる金属石鹸を容器内に投入するタイミングは、攪拌装置の運転を停止させてスラリー体を取り出す攪拌完了時刻の5〜30分前であることが好ましく、10分前が最適である。金属石鹸の容器への投入が早すぎると、容器内の混合液が発泡し、金属原料粉末に加わる衝撃応力が低下して、結果として、所定の寸法形状への扁平化に必要な処理時間を延長、もしくは、この扁平化を達成出来なくなってしまう。
ここで、アトライター装置は、ボールミル装置などよりも金属粉体をより効率よく扁平化できる一方で、装置内の液体も攪拌され易くなるため、発泡性液体の場合では、より発泡が進む。結果として、金属粉体の扁平化に要する処理時間が長くなったり、所定の扁平化を達成出来なくなってしまうことがある。本実施例では、少なくとも、最も発泡しやすい金属石鹸の投入時間を調整して、かかる弊害を除去している。
続いて、攪拌後のスラリー体をアトライター装置から取り出してバット等の容器に流し込み、加熱しながら静置乾燥させる(乾燥ステップS4)。金属粉体1を酸化させることなく乾燥させるためには、真空加熱炉等の中で加熱して静置乾燥させることが好ましい。
次に、金属粉体1を配向分散させた電磁波吸収シート10の製造方法について図3に沿って説明する。
金属粉体1を、塩素化ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂やその他のゴム系樹脂、希釈溶剤及び架橋材とともにペースト状になるまで混練し、ペースト体を得る(混練ステップS11)。続いて、得られたペースト体をドクターブレード法により、所定の厚さとなるように基材上に塗布して、シート体を成形する(シート成形ステップS12)。最後に、シート体を乾燥させて、所定の条件で熱プレスし、電磁波吸収シート10を得る(熱プレスステップS13)。
上記した金属粉体1及び電磁波吸収シート10の製造方法によれば、界面活性剤、防錆剤を与えられ、且つ、塩基性に調整された電解水中で金属原料粉末を扁平化させて、金属粉体1を酸化させず、また、該粉体1同士の吸着を抑制し、潤滑性の低い電解水においても金属原料粉末に適度な潤滑性を与えて扁平化の効率を上げ得る。その上で、金属石鹸を付着させて、扁平化後の金属粉体1同士の凝集を抑制する。かかる金属粉体1を配向分散させた電磁波吸収シート10は高い磁気特性を有し、しかも、金属粉体1を高い生産性をもって製造できるのである。
なお、金属原料粉末として、Fe−Cr合金、Fe−Si−Al合金又はFe−Si−Cr合金からなる粉末を用いると、比較的透磁率の高い合金からなる金属粉体1を電磁波吸収シート10の内部に配向分散させ得る。故に、電磁波を吸収しやすい良好な磁気特性を有する電磁波吸収シート10を製造することができる。
[特性試験1]
上記した製造方法において、図4に示す粉砕助剤、界面活性剤、防錆剤、及び、金属石鹸を用いて金属粉体1を得た上で、電磁波吸収シート10を作製した。各作製工程における金属粉体1の扁平化に要する処理時間を測定し、酸化の有無、凝集の有無、及び、電磁波吸収シート10の磁気特性について評価をした。
まず、金属原料粉末としてFe−13Cr合金からなる合金粉末を準備し、図4に示す粉砕助剤、界面活性剤、防錆剤、及び、金属石鹸を用いて、平均粒径D50を7.0〜8.0μmの範囲内に収まるように扁平化させるよう金属粉体1を製造した。さらにこれを用いて電磁波吸収シート10を製造した。
金属粉体1の扁平化に要する処理時間は、金属原料粉末から上記粒度を得るまでに要したアトライター装置の運転時間とした。なお、金属粉体1の粒度は、平均粒径D50をレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置を用いて測定し確認した。
金属粉体1の酸化の有無の評価は、金属粉体1の錆の発生の有無を目視確認で行った。すなわち、一次扁平化ステップS2から乾燥ステップS4までの間においてスラリー体の上澄みの色を目視で観察し、赤茶色(赤錆色)への変色を確認した場合を酸化「有り」と評価し、確認できなかった場合に「無し」と評価した。
金属粉体1の凝集の有無の評価は、得られた金属粉体1を薬匙等で攪拌し、目開き5mmのふるいにかけて、金属粉体1の通過を確認して行った。すなわち、全ての金属粉体1がふるいを通過した場合に凝集を「無し」と評価し、金属粉体1の塊がふるいに残留した場合に「有り」と評価した。
電磁波吸収シート10の磁気特性の評価は、電磁波吸収シート10を外径7mm×内径3mmのリング状に打ち抜き、測定周波数を1GHzとしてインピーダンス特性を市販のネットワーク・アナライザーを用いて測定し、実数部透磁率μ’を算出して行った。なお、上記した金属粉体1の凝集の有無の評価において「有り」の場合、インピーダンス特性の測定を行っていない。
図4にこれらの評価結果を示した。まず、粉砕助剤として従来から使用されている有機溶剤であるナフテゾールを用いた比較例1について説明する。
比較例1では、錆の発生及び凝集が無く、実数部透磁率μ’が8.8であった。扁平化に要する処理時間は32hrであった。粉砕助剤としてナフテゾールを用いると、良好な磁気特性を有する電磁波吸収シート10を得られるものの、後述する粉砕助剤として純水や工業用アルカリイオン水を用いた場合と比較して処理時間が長く、粉砕助剤の安全に配慮した取り扱いや環境に配慮した廃棄処理が必要となる。
実施例1乃至3では、粉砕助剤としてpHを12.5とした工業用アルカリイオン水を用いており、これに金属石鹸としてステアリン酸亜鉛を0.2〜1.0質量%添加している。実施例1乃至3では錆の発生、及び、金属粉体1の凝集が無く、実数部透磁率μ’が8.1〜8.6となり、比較例1と同等の金属粉体1を得られた。一方、扁平化に要する処理時間は19hrと比較例1よりも大幅に短かった。つまり、軟磁性金属粉体の酸化を抑制しつつ、短い処理時間で軟磁性金属粉体を所定の形状へ扁平化させることができる。扁平化後の凝集も無く、容易に電磁波吸収シート10へ配向分散させることができ、透磁率の比較的高い良好な磁気特性を有する電磁波吸収シート10を製造することができる。金属石鹸としてステアリン酸亜鉛を0.2質量%添加した実施例1では、ステアリン酸亜鉛を0.5質量%以上添加した実施例2及び3と同等の透磁率を有する。つまり、ステアリン酸亜鉛の添加量は、少なくとも0.2質量%であることが好ましい。
ところで、図5には、実施例1及び比較例1の処理時間に対する金属原料粉末の平均粒径D50の関係を示した。実施例1及び比較例1ともに、開始から処理時間2hrを経過するまでに、平均粒径D50が大きくなっている。かかる処理時間の範囲内では、金属原料粉末は主として平たく変形される。その後、粉砕が進行し、平均粒径D50はほぼ単調的に小さくなる。ここで、実施例1の勾配は比較例1よりも大きい。粉砕助剤として工業用アルカリイオン水を用いながら、ナフテゾールを用いた場合に比べて扁平化が早く行われることを示している。
実施例1に対して、粉砕助剤としてpHを約7.0とした純水を用いた比較例2では、凝集は観察されなかったが、錆の発生があり、実数部透磁率μ’は6.7と比較的小さくなった。また、扁平化に要する処理時間は18hrであった。つまり、粉砕助剤として純水を用いると、実施例1と同等の処理時間で扁平化を達成できるものの、防錆剤の添加によっても金属粉体1の酸化を抑制できない。
防錆剤及び金属石鹸を添加しなかった比較例3、4及び8では、金属粉体1の酸化を抑制できず、錆が確認された。また、金属原料粉末同士の吸着を抑制できず、金属粉体1の凝集もあった。
比較例4、8及び3では、界面活性剤をそれぞれ0.5、1及び3質量%添加しているが、処理時間はそれぞれ25、12及び15hrと、比較例8において最も短い処理時間であった。界面活性剤の添加により金属原料粉末同士の吸着を抑制しつつ扁平化を効率よく行うことができると考えられるが、一方で、過度の添加は金属原料粉末に与えるせん断応力を低下させてしまうとも考えられる。その添加量は、0.5質量%では足りず、3質量%では過多であり、1.0質量%で最適であった。
金属石鹸を添加しなかった比較例5乃至7では、処理時間は18〜19hrと比較的短時間であったものの、金属原料粉末同士の吸着を抑制できなかったと考えられ、金属粉体1の凝集が観察された。
比較例7、6及び5では、防錆剤をそれぞれ0.5、1及び30質量%添加しているが、比較例7で錆が発生し、比較例6及び5では錆の発生は無かった。錆の発生を抑制するためには、防錆剤の添加量は0.5質量%では足りず、1.0質量%以上であることが好ましい。また、防錆剤を30質量%添加しても処理時間は同等であった。
実施例1に対して、防錆剤を添加しなかった比較例9では、処理時間は17hrと比較的短時間で、凝集が無いものの、錆の発生があり、実数部透磁率μ’が7.4と低かった。粉砕助剤として工業用アルカリイオン水を用いても、防錆剤の添加なしでは金属粉体1の酸化を防止できなかった。
[特性試験2]
次に、特性試験1と同様に、図6に示す各種の製造条件で金属粉体1を作製し、電磁波吸収シート10の磁気特性について評価を行った。
なお、評価方法は、原則、特性試験1と同様であるが、実施例4及び比較例10における電磁波吸収シート10の磁気特性の評価については、測定周波数を100kHzとした。また、アスペクト比は、次のようにして算出した。すなわち、金属粉体1を樹脂に埋め込んで研磨し、研磨面を光学顕微鏡で観察し、金属粉体1の任意の100個の粒子についてそれぞれ最大厚みtmaxと最小厚みtminとを計測する。次いで、各々の粒子について最大厚みtmax及び最小厚みtminの平均をとって、粒子厚みtとする。さらに、100個の粒子についての粒子厚みtの平均値taveにより平均粒径D50を除してアスペクト比とした。つまり、アスペクト比は平均粒径D50/taveで算出される。
ここで、比較例1、10及び11では粉砕助剤としてナフテゾールを用い金属石鹸を1質量%添加したが、実施例1、4及び5では、粉砕助剤として工業用アルカリイオン水を用いて、これに界面活性剤、防錆剤及び金属石鹸をそれぞれ1質量%、1質量%及び0.2質量%添加している。
金属原料粉末としてFe−13Cr合金を用いた実施例1及び比較例1では、アスペクト比はそれぞれ30及び26であった。
ところで、図7には、実施例1及び比較例1の金属粉体の粒度分布を示した。ともに7.2μm付近のほぼ同等の位置に鋭いピークを有している。特性試験1の結果及びアスペクト比の測定結果と併せて考えると、実施例1では、比較例1とほぼ同等の金属粉体をより短い処理時間で製造できたことになる。
金属原料粉末としてFe−Si−Al合金を用いた実施例4及び比較例10では、それぞれ平均粒径D50が56.7μm及び55.3μm、アスペクト比が61及び63、実数部透磁率μ’が168.2及び171.7とほぼ同等であった。処理時間についてはそれぞれ13hr及び20hrと実施例4の方が短かった。
金属原料粉末としてFe−8Si−2Cr合金を用いた実施例5及び比較例11では、それぞれ平均粒径D50が36.8μm及び37.2μm、アスペクト比が104及び109、実数部透磁率μ’が16.1及び15.9とほぼ同等であった。処理時間についてはそれぞれ8hr及び12hrと実施例5の方が短かった。
以上の特性試験2によれば、Fe−13Cr合金、Fe−Si−Al合金及びFe−8Si−2Cr合金のいずれの合金からなる金属原料粉末においても、粉砕助剤としてナフテゾールの代わりに工業用アルカリイオン水を用いて界面活性剤、防錆剤及び金属石鹸を適量添加すると、同等の磁気特性を有する電磁波吸収シート10を得るための金属粉体1をより短い処理時間で得られることが判る。
ここまで本発明の代表的実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
1 金属粉体
2 ゴム系樹脂
10 電磁波吸収シート

Claims (4)

  1. 扁平な軟磁性金属粉体を配向分散させた電磁波吸収シートの該金属粉体の製造方法であって、
    質量%で、0.5〜10%の高分子界面活性剤を与えられた水を入れた容器内で軟磁性金属粉体を粉砕媒体とともに攪拌し前記軟磁性金属粉体を扁平化させる粉体扁平化工程を含み、
    前記粉体扁平化工程は、
    前記水に水素イオン濃度指数(pH)を8以上に調整した工業用アルカリイオン水を用いて、前記軟磁性金属粉体の表面に酸化抑制皮膜を与えるよう防錆剤を加えて撹拌し前記軟磁性金属粉体を扁平化させる一次扁平化工程と、
    更に、金属石鹸を加えて攪拌し扁平化しつつ前記軟磁性金属粉体の表面に前記金属石鹸を付着させスラリー体とする二次扁平化工程と、を含むことを特徴とする電磁波吸収シート用扁平金属粉体の製造方法。
  2. 前記高分子界面活性剤はポリアクリル酸アンモニウムからなる低発泡性高分子界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載の電磁波吸収シート用扁平金属粉体の製造方法。
  3. 前記工業用アルカリイオン水は12.5以上のpHであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波吸収シート用扁平金属粉体の製造方法。
  4. 前記軟磁性金属粉体はFe−Cr合金、Fe−Si−Al合金又はFe−Si−Cr合金のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載の電磁波吸収シート用扁平金属粉体の製造方法。

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