JP6213555B2 - 遠心バレル研磨装置およびバレル研磨方法 - Google Patents

遠心バレル研磨装置およびバレル研磨方法 Download PDF

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Description

本発明の一側面及び実施形態は、硬脆材料、金属、合成樹脂および複合材料で構成される部品(ワーク)を研磨する際にワーク表面に発生するダメージを軽減できる遠心バレル研磨装置およびバレル研磨方法に関する。
バレル槽内に被研磨物(ワーク)と研磨メディアとを収納し、バレル槽内のワークおよび研磨メディアを流動化させることにより、バリ取り、丸め加工、光沢仕上げ、研磨、面粗度調整などのワークの加工(バレル研磨)を行う遠心バレル研磨装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。遠心バレル研磨装置は、ワークおよび研磨メディアが収納されたバレル槽を自公転(遊星運動)させることによりワーク及び研磨材を流動させてワークを研磨する。
実開平05−016130号公報
遠心バレル研磨装置は、バレル槽の自公転によりワークを研磨するので、研磨能力が高い。しかし、硬いが衝撃に弱く割れやすい硬脆材料で構成されたワークを研磨する際に、その角部や縁部に割れ(クラック)や欠け(チッピング)といったダメージが生じる。
硬脆材料は、積層セラミックスコンデンサ(MLCC)、インダクタ又は水晶発振子等の各種電子部品の材料として広く用いられている。電子部品は、高性能化かつ小型化が要求されているので、ワークが研磨加工時に割れ又は欠けが生じない研磨装置および研磨方法が求められている。
また、金属材料や合成樹脂や各種複合材料(例えば、CFRP(Carbon fiber reinforced plastic)等の繊維強化プラスチック)を遠心バレル研磨装置で研磨する際には、ワーク同士の衝突やワークと研磨メディアとの衝突により、ワークの表面に打痕が生じたり、ワークが変形したり、ワークの表面に傷が付いたりするダメージが生じる。
例えば、エンジン部品又は回転軸等の金属部品の摺動部をバレル研磨した際に、ワークが上述のダメージを受けると、摺動性が悪くなる。また、繊維強化プラスチックは航空機又は自動車の部品としての需要が高まっているので、バレル研磨により上述のダメージを受けると最終製品の信頼性に問題が生じる。
本技術分野では、硬脆材料、金属、合成樹脂および複合材料で構成されるワークを研磨する際に、ワークに割れや欠け、打痕、変形、傷等といったダメージが生じることを低減することができる遠心バレル研磨装置およびバレル研磨方法が望まれている。
本発明の一側面に係る遠心バレル研磨装置は、ワークおよび研磨メディアを含むマスを収納したバレル槽が自公転してワークを研磨する遠心バレル研磨装置である。遠心バレル研磨装置は、公転軸を中心に回転可能な円盤状のタレットと、前記タレットに各自転軸を介して設けられ、各自転軸を中心にそれぞれ回転可能な複数個のバレル槽と、前記タレット及び前記バレル槽を回転させる回転機構と、前記タレットの公転軸を水平面に対して傾けて配置するとともに、前記複数個の自転軸それぞれを水平面に対して傾けて配置する傾斜機構とを備える。ワークのダメージの発生の主な要因は、バレル槽中の遠心力とワークの重力とが平衡状態となった時に、マスがバレル槽の壁面より離れてバレル槽内で散乱し、その後対向する内壁面にマスが激しく衝突することである。傾斜機構によって、タレットの公転軸を水平面に対して傾けて配置されるとともに、複数個の自転軸それぞれも水平面に対して傾けて配置される。各自転軸が水平面に対して傾斜することで、重力と遠心力の他に分力が働いているので、重力と遠心力とが平衡状態になった場合でも、マスはこの分力によって複数個のバレル槽の内壁面に沿って移動する。その結果、複数個のバレル槽の内壁に衝突することに由来するワークのダメージを防ぐことができる。
前記傾斜機構は、前記タレットが公転軸を中心に回転自在に固定される基台と、前記基台を傾動自在に固定する傾斜架台と、前記基台に連結され、前記基台を自在に傾斜させる回動機構と、を有してもよい。回動機構により、複数個のバレル槽それぞれを自在に傾斜させることができる。この傾斜は、マスに付加される遠心力が少なくとも後述の第1遠心力から第2遠心力の間に、バレル槽を30°〜70°の範囲で傾けて配置すればよい。バレル研磨を行う間同じ角度で傾斜する場合およびバレル研磨中にバレル槽の傾斜角度を継続的または段階的に変更する場合のいずれをも含む。
前記回動機構は、ピストンの伸縮で前記基台を自在に傾斜させるシリンダとすると、シリンダに含まれるピストンの伸縮量を調整することで、タレットの公転軸の傾斜角度、即ち複数個の自転軸それぞれの傾斜角度を自在に調整することができる。前記傾斜機構によって、前記複数個の自転軸それぞれを水平面に対して30°〜70°の範囲で傾けて配置してもよい。
また、前記複数個のバレル槽それぞれを固定する複数個のバレル槽ケースを備え、前記複数個のバレル槽ケースの一端に前記複数個の自転軸がそれぞれ設けられており、前記複数個の自転軸それぞれは前記タレットに回動自在に固定されていてもよい。2枚のタレットを対向して配置した状態で複数個のバレル槽を傾斜させた場合は、タレットの回転軸や複数個の自転軸等に過大な負荷がかかる。上記構造とすることで、複数個の自転軸を傾斜させても前述のような過大な負荷が発生しないので、良好にバレル研磨を行うことができる。
なお、傾斜機構は、所定の傾斜角度で固定するためのものと、任意の角度に設定できるように可動できるものと、のいずれの場合も含む。前者の場合、予め最適な傾斜角度を決定した後、その角度で前記公転軸および前記自転軸がその角度で傾斜するための冶具を用いてもよい。後者の場合、前記複数個のバレル槽を傾斜する角度を自在に調整する傾斜角度調整手段を更に備えてもよい。ワークの性状、求められる仕上がり精度、研磨時間、等を加味して、バレル槽を傾斜角度調整手段によって最適な傾斜角度に調整することができる。
本発明の他の側面に係るバレル研磨方法は、前記複数個のバレル槽を自公転させる工程と、前記複数個のバレル槽の自公転によりワークを研磨する工程とを備え、前記複数個のバレル槽を自公転させる工程は、前記複数個の自転軸それぞれと水平面とによって定まる角度を連続的に変更する工程を有する。ここで、「連続的に変更する」とは、バレル槽の傾斜角度を継続的に変更する場合と、後述のように段階的に変更する場合と、継続的な変更および段階的な変更を組み合わせた場合と、の何れをも含む。段階的に変更する場合および継続的な変更と段階的な変更とを組み合わせた場合は、特に後述の第一遠心力から第二遠心力の間の傾斜速度を適宜選択することで、ワークのダメージをより減少させることができる。
遠心バレル研磨装置のバレル槽の傾斜角度を段階的に変更するバレル研磨方法は、前記複数個のバレル槽を自公転させる工程と、前記複数個のバレル槽の自公転によりワークを研磨する工程とを備え、前記複数個のバレルを自公転させる工程は、前記マスに付加される遠心力が、前記マスが自重で前記複数個のバレル槽の内壁に接触できなくなる直前の遠心力として設定される第一遠心力に到達した後に遠心力によって前記複数個のバレル槽の内壁に接触できる遠心力として設定される第二遠心力に到達する間、前記複数個のバレル槽が第一傾斜角度で傾斜するように前記傾斜角度調整手段で調整する第一傾斜工程と、前記マスの遠心力が、前記第一傾斜工程の後にバレル研磨を行うのに必要な遠心力として設定される第三遠心力で持続している間、前記複数個のバレル槽を第二傾斜角度で傾斜するように前記傾斜角度調整手段で調整する工程と、を有する。複数個のバレル槽の遠心力とワークの重力とが平衡状態にある間、複数個のバレル槽を第一傾斜角度で傾けることで、上述のように複数個のバレル槽の内壁に衝突することに由来するワークのダメージを防ぐことができる。その後、複数個のバレル槽を第二傾斜角度で傾けることで、効率よくバレル研磨を行うことができる。このような工程を設けることで、ワークにダメージを生じることなく、且つ加工精度にバラツキが生じることなく良好にバレル研磨を行うことができる。第一傾斜角度を30°〜70°とし、第二傾斜角度を0°〜30°としてもよい。
また、前記複数個のバレル槽の自公転の回転速度を制御する回転速度調整手段を更に備えてもよい。このような構成の遠心バレル研磨装置による遠心バレル研磨方法は、前記複数個のバレル槽を自公転させる工程と、前記複数個のバレル槽の自公転によりワークを研磨する工程と、を備え、前記複数個のバレル槽を自公転させる工程は、前記マスに付加される遠心力が、前記マスが自重で前記複数個のバレル槽の内壁に接触できなくなる直前の遠心力として設定される第一遠心力に第一の時間で到達するように前記回転速度調整手段で前記複数個のバレル槽の自公転の速度を調整する第一加速工程と、前記第一加速工程の後、前記マスに付加される遠心力が、遠心力によって前記複数個のバレル槽の内壁に接触できる遠心力として設定される第二遠心力に第二の時間で到達するように前記回転速度調整手段で前記複数個のバレル槽の自公転の速度を調整する第二加速工程と、を備える。複数個のバレル槽内の遠心力が重力の近傍として設定される第一遠心力となるように、複数個のバレル槽の自公転の速度を徐々に速くする第一加速工程の後に、マスに付加される遠心力が、遠心力が重力より十分大きく、遠心力によりワークが複数個のバレル槽の内壁に接触できる遠心力として設定される第二遠心力となるように、複数個のバレル槽の自公転の速度を急激に加速する第二加速工程を設けることで、ワークの散乱を防ぐことができる。また、前記第一遠心力は0.3G〜1.0Gとし、前記第二遠心力は1.5G〜6.0Gとしてもよい。
また、前記複数個のバレル槽の自転のみを行う予備自転機構を更に備えてもよい。このような構成の遠心バレル研磨装置によるバレル研磨方法は、硬脆材料で構成されるワークをバレル研磨する際の「ワークの割れや欠け」を防ぐ場合に用いてもよい。該方法は、前記予備自転機構の作動により複数個のバレル槽を自転させてワークの角部および縁部の角を丸める予備研磨工程と、前記予備研磨工程の後に、複数個のバレル槽を自公転させて該ワークの研磨を行う本研磨工程と、を備えてもよい。ワークの割れ・欠けは隅部または縁部の角部を基点として発生する。初期研磨工程で、前記角部を丸め加工(R付け)を行うことで、本研磨工程で研磨する際にワークに割れや欠けが生じることを低減させることができる。ここでいう硬脆材料とは、各種セラミックス、水晶等の結晶材料、シリコン、フェライト、等の硬くて脆い性質の材料を指す。
第一実施形態に係る遠心バレル研磨装置の構造を示す模式図である。 第一実施形態に係る遠心バレル研磨装置を説明するための模式図である。図2の(A)は遠心バレル研磨装置の要部を示す模式図、図2の(B)は図2の(A)におけるA−A方向からの模式図である。 第一実施形態に係る遠心バレル研磨装置の動作を説明するフローチャートである。 第一実施形態に係る遠心バレル研磨装置における、駆動モータの運転パターンの一例を示すグラフである。 第二実施形態に係る遠心バレル研磨装置を説明する模式図である。 変更例であって、バレル槽内に衝突防止部材を設けた例を説明する図である。 遠心バレル研磨装置における、マスに付加される遠心力の違いによるマスの挙動を示す模式図である。 実施例1の結果を示すグラフである。 実施例1の結果を示すグラフである。
遠心バレル研磨装置の一例を、実施形態として図を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下の説明において、左右上下方向は、特に断りのない限り図中の方向を示す。
(第一実施形態)
遠心バレル研磨装置の一例を、図を参照して説明する。図1,2は、第一実施形態に係る遠心バレル研磨装置の構造を示す模式図である。図1は装置概要図、図2の(A)は、装置側面図、図2の(B)は、図2の(A)におけるA−A方向からの模式図である。図1および図2に示すように、遠心バレル研磨装置1は、筐体2、研磨ユニット10、回転機構20、傾斜機構30及び制御機構40を備える。なお、ここでは、図1に示すように、研磨ユニット10、回転機構20および傾斜機構30が筐体2に収容されている。筐体2には、スライド扉3が設けられている。図1では、スライド扉3が開となった状態を示している。
研磨ユニット10は、前記筐体2の内部に配置される。研磨ユニット10は、複数個のバレル槽11、複数個のバレル槽11がそれぞれ着脱自在に固定される複数個のバレル槽ケース12、複数個のバレル槽ケース12がそれぞれ回転自在に固定されるタレット14(公転円盤)を備える。
複数個のバレル槽11それぞれは、一部が開口された箱状の本体部および前記開口を覆う蓋で構成されている。なお、本実施形態では、一例として、複数個のバレル槽11それぞれは、上面が開口した本体部、及び、前記開口を覆うように着脱自在に固定される蓋で構成されている。複数個のバレル槽11それぞれの内部の空間の形状(バレル槽11の軸心に直交する断面の形状)は八角形である。しかし、複数個のバレル槽11それぞれの内部の形状は八角形に限定されない。例えば、内部の形状は、円形であってもよいし、他の多角形でもよい。内部の形状が多角形の場合、バレル研磨中のマスの流動性が向上する。
複数個のバレル槽11それぞれは、複数個のバレル槽ケース12に固定されている。複数個のバレル槽ケース12それぞれは、一端に自転軸13を備えている。複数個のバレル槽ケース12それぞれは、自転軸13を介してタレット14に固定されている。すなわち、複数個のバレル槽11それぞれは、各自転軸を介して回転可能にタレット14に設けられている。
タレット14は、円盤形状であり、前記自転軸13が挿嵌される軸受け(ベアリング)が、周方向に等間隔となるように設けられている。すなわち、複数個のバレル槽ケース12は、周方向に等間隔となるようにタレット14に固定されている。タレット14の中心には公転軸15が垂設されている。ここでは、公転軸15と自転軸13a〜13dそれぞれとの位置(軸の向き)が相対的に固定されている。図中の例としては、公転軸15の向きと自転軸13a〜13dのそれぞれの向きとが同一方向となるように固定されている。
なお、本実施形態では、一例として、バレル槽11を4個用いた。以下の説明において便宜上、バレル槽11及び自転軸13の符号は、図2の(B)における上から反時計回りにバレル槽11a〜11dおよび自転軸13a〜13dの順に配置したとして説明する。
回転機構20は、駆動モータ21、駆動プーリ22、公転プーリ23、駆動ベルト24、従動プーリ25A,25B、自転プーリ26a〜26d、従動ベルト27A,27B、及び、弛み防止プーリ28A,28Bを含む。
駆動モータ21は、その回転軸がタレット14の主面に直交する方向に配置されている。駆動プーリ22は、駆動モータ21の回転軸に固定されている。また、公転プーリ23は、タレット14の外周に設けられている。駆動ベルト24は、駆動プーリ22と公転プーリ23とに掛け渡されている。駆動モータ21を作動させると、駆動モータ21の回転力が、駆動プーリ22、公転プーリ23及び駆動ベルト24を介してタレット14に伝達される。これにより、タレット14は公転軸15を軸心として回転する。すなわち、バレル槽11a〜11dは公転軸を中心に旋回(公転)する。
図2の(A)に示すように、2個の従動プーリ25A,25Bは、公転軸15にそれぞれ固定されている。従動プーリ25A,25Bはそれぞれ同径である。また、自転プーリ26a〜26dそれぞれは、従動プーリ25A,25Bと同径であり、自転軸13a〜13dに固定されている。従動ベルト27Aは、従動プーリ25Aと自転プーリ26a,26dとに掛け渡されている。従動ベルト27Bは、従動プーリ25Bと自転プーリ26b,26cとに掛け渡されている。
弛み防止プーリ28A,28Bそれぞれは、従動ベルト27A,27Bの外周面に接触されており、ベルトの遊びを低減させている。駆動モータ21の作動によりタレット14が回転すると、従動プーリ25A,25B及び従動ベルト27A,27Bを介して自転プーリ26a〜26dに駆動モータ21の回転力が伝達される。従動プーリ25A,25Bと自転プーリ26a〜26dとは同径であるので、自転軸13a〜13dそれぞれは、公転軸15、すなわちタレット14と同じ回転数で連動してタレットの回転方向(公転方向)と同方向へ回転(自転)する。
以上のように、回転機構20によって、バレル槽11a〜11dそれぞれは、公転軸15を中心に旋回する公転と、自転軸13a〜13dを軸心に回転する自転と、が同時に行われる。
バレル槽11が自公転を開始した直後は、マスは自重によって下部の内壁に接触している。バレル研磨を行うのに適した速度(定常速度)でバレル槽11が自公転している時は、マスは遠心力によってバレル槽11の内壁に接触している。しかし、自公転開始後から定常速度に加速するまでの間に、重力と遠心力とが平衡状態となる速度領域がある。平衡状態に近くなると、マスがバレル槽11の内壁より離れ、マスがバレル槽11の対向する内壁面に激しく衝突する。その結果、ワークがバレル槽11の内壁に激しく衝突したり、ワークに研磨メディアが激しく衝突したり、ワーク同士が激しく衝突したりする。これがワークのダメージの原因の一つであることを、本発明者は鋭意研究の結果見いだした。そこで、本実施形態の遠心バレル研磨装置1は、公転軸15とバレル槽11の自転軸とを相対的に固定し、公転軸15を水平面から傾斜させることで、バレル槽11の自転軸を水平面から傾斜させ、この状態でバレル研磨を行うことができる機構(傾斜機構30)を設けた。
従来の遠心バレル研磨装置では、自転軸は地面(水平面)に対して傾斜させずに配置されている。本実施形態では、バレル研磨時に、バレル槽11a〜11dが固定されたバレル槽ケース12の自転軸それぞれが地面に対して所定の角度で傾斜させるための傾斜機構30を設けた。傾斜機構30によって、図2に示すように、タレット14を所定の角度で傾斜させて、バレル槽11a〜11dが固定されたバレル槽ケース12の自転軸それぞれを傾斜させた。バレル槽11a〜11dが固定されたバレル槽ケース12の自転軸それぞれを傾斜させることで、重力と遠心力の他に、分力が生じる。重力と遠心力とが平衡状態になった場合、マスはこの分力によってバレル槽11の内壁面に沿って移動する。すなわち、マスがバレル槽11の内壁より離れることがないので、マスがバレル槽11の対抗する内壁面に激しく衝突することに由来する、ワークのダメージの発生を防止することができる。
傾斜機構30によりバレル槽11a〜11dが固定されたバレル槽ケース12の自転軸それぞれが傾斜される角度θは、水平方向Xと自転軸の延在方向Yとによって定まる。この角度θは、地面に対して30°以上としてもよいし、40°以上としてもよい。また、角度θは、50°以下としてもよいし、70°以下としてもよい。すなわち、角度θは、30°〜70°としてもよいし、40°〜50°としてもよい。バレル槽11a〜11dが固定されたバレル槽ケース12の自転軸それぞれの傾斜角度が30°を下回ると、前述のように、マスがバレル槽11の内壁より離れる速度領域が発生し、ワークへのダメージが生じる。バレル槽11a〜11dが固定されたバレル槽ケース12の自転軸それぞれの傾斜角度が70°を上回ると、バレル研磨中にマスのバレル槽11内での流動性が悪く、ワークの仕上がり精度にバラツキが生じる。
バレル槽11a〜11dが固定されたバレル槽ケース12の自転軸それぞれの傾斜は、バレル研磨の開始時から終了時まで同じ角度で傾斜していてもよいし、バレル研磨の進行に従って傾斜角度を変更してもよい。
傾斜機構30は、ワークの種類や形状、加工目的、に応じて所定の角度で設定することが可能であるように構成されている。本実施形態の傾斜機構30は、研磨ユニット10および回転機構20を固定する基台31と、前記基台31を傾動可能に固定する傾斜架台32と、回動機構としての伸縮可能な軸(ピストン)を有するシリンダ33と、を含む。
基台31は、駆動モータ21が固定される傾斜基台31a、及び、傾斜基台31aに垂設される傾斜部材31bで構成される。傾斜基台31aの両側面(図2の(A)では、手前面および奥面)には、傾斜軸31cが固定されている。傾斜部材31bは、公転軸15を回転可能に軸支する自転軸軸受31dが固定されている。タレット14は、該自転軸軸受31dを介して傾斜部材31bに固定されている。このように、研磨ユニット10及び回転機構20は、基台31に固定される。
傾斜架台32は筐体2内に固定されている。また、傾斜架台32の上面には前記傾斜軸31cを回転可能に軸支する傾斜軸軸受32aが固定されている。この傾斜軸軸受32aによって、基台31は傾斜軸31cを支点として傾動可能に固定されている。
シリンダ33は、ピストン33aの反対側に位置する基部が、筐体2の底部に回動可能に固定されている。また、ピストン33aの先端は、前記傾斜部材31bに回動可能に固定されている。シリンダ33を作動させてピストン33aのストローク量を変更すると、ピストン33aのストロークに従動して基台31が回動する。
以上のように、シリンダ33を作動させてピストン33aのストローク量を調整することで、バレル槽11を所定の角度で傾斜することができる。本実施形態のシリンダ33は、バレル槽11の傾斜角度をより正確に設定するために、一例として電動式のサーボシリンダを使用している。
回動機構は、上述の構成に限られない。自動で傾斜できる他の構成として、例えば、滑車及び基台31を傾斜させるためのモータを設け、滑車を経由してモータと基台31とをワイヤで連結させる構成としてもよい。また、その他の例として手動で傾斜できる構成としてもよい。例えば、傾斜軸31cに固定されるギヤGA(図示せず)と、前記ギヤGAに連結され、傾斜架台32に回転可能に固定されるギヤGB(図示せず)と、前記ギヤGBに固定され、該ギヤGBを回転させるためのハンドル(図示せず)と、ギヤGBの回転を規制する回転防止機構(図示せず)と、で構成してもよい。前記ハンドルを手動で回転させると、ギヤGAおよびギヤGBが回転し、基台31が傾斜する。その際、前記回転防止機構によりギヤGBはハンドルを回転させる力以外では回転しないので、基台31の傾斜角度を手動で任意に設定することができる。
バレル槽11の傾斜角度を状況に合わせて変更する必要がない場合は、シリンダ33のような傾斜角度を任意に調整する機構を用いず、冶具等で単に基台31を所定の角度で傾斜するように固定する構造としてもよい。その場合、遠心バレル研磨装置1の製造コストが安価になる。
バレル槽11は、自転軸13と共に傾斜する。すなわち、バレル槽11が固定される自転軸13の公転軸15に対する角度は、バレル槽11の傾斜角度によらず一定である。この構成により、バレル槽11の傾斜角度に依存せずに、バレル槽11の自公転を安定して行うことができる。
制御機構40は、入力部41及び制御部42を含む。入力部41は、タッチパネル式操作パネルおよび作動ボタンを備えており、制御部42に接続されている。制御部42は、研磨条件(研磨時間、駆動モータの回転速度、定常速度に到達する時間、又は、定常速度から回転が停止するまでの時間等)など制御部42に対する指令を入力し、またこの指令を各機構に出力する。制御部42への入力は、入力部41により入力する。入力は、作業員がモニタで確認しながらタッチパネル式操作パネルで入力することができる。
次に、本実施形態の遠心バレル研磨装置1によるバレル研磨方法を、図3を用いて説明する。図3は、バレル研磨方法の動作を示すフローチャートである。
工程S10:準備工程
筐体2の前面に設けられた入力部41が、作業員から操作情報を受け付ける。筐体2の前面に設けられた入力部41は、制御部42へ予め研磨条件を出力する。本実施形態において入力された研磨条件は、「研磨時間」「駆動モータの回転速度」「バレル槽の傾斜角度」「駆動モータの加速時間・減速時間」であるが、必要に応じて他の条件が入力されてもよい。
工程S20:バレル槽をタレットに固定する工程
4つのバレル槽11a〜11dのそれぞれの本体部に、ワークおよび研磨メディアを収納する。ワークは、硬脆材料、金属、合成樹脂および複合材料で構成される部品である。硬脆材料は、各種セラミックス、水晶等の結晶材料、シリコン、フェライト、等の硬くて脆い性質の材料を指す。研磨メディアは、砥粒を含有する樹脂で構成されたもの、セラミックスで構成されたもの、セラミックス及び砥粒で構成されたもの、金属で構成されたもの、ガラスで構成されたもの、植物で構成されたもの等、一般にバレル研磨に用いるものであればよく、ワークの種類や形状やバレル研磨の目的等に合わせて適宜選択する。ワークおよび研磨メディアの量は特に限定されないが、本実施形態では、バレル槽11a〜11dの容積に対してそれぞれ10vol%又は50vol%とした。ワークおよび研磨メディアをバレル槽11a〜11dそれぞれに収納後、本体部に蓋が固定され、密封される。そして、スライド扉3が開けられ、これらのバレル槽11a〜11dそれぞれが4つのバレル槽ケース12それぞれに固定される。タレット14は地面に対して水平となっているので、手動でも容易に回転させることが出来る。手動でタレット14が回転させられ、4つのバレル槽11a〜11dそれぞれが4つのバレル槽ケース12それぞれに固定される。このようにして、バレル槽11a〜11dそれぞれがタレット14に固定された後、スライド扉3が閉められる。
工程S30:バレル槽を自公転させる工程
作動ボタンがONにされると、シリンダ33が作動し、ピストン33aが予め設定した「バレル槽11の傾斜角度」に対応する長さだけ伸びる。これにより、地面に対して垂直であるバレル槽11a〜11dが、所定の角度となるように傾斜する。次いで、駆動モータ21が作動する。駆動モータ21の回転力が駆動プーリ22、公転プーリ23、駆動ベルト24を介してタレット14に伝達し、タレット14が公転軸15を軸心に回転する。タレット14の回転により公転軸15および従動プーリ25A、25Bが回転するので、自転軸13a〜13dに固定された自転プーリ26a〜26d、および、従動ベルト27A,27Bを介して、バレル槽ケース12、すなわちバレル槽11a〜11dそれぞれが回転する。このように、バレル槽11a〜11dそれぞれは、タレット14の円周方向に沿って旋回する公転と、自転軸13a〜13dを軸心に回転する自転と、を行う。
回転機構20は、自身への負担を軽減させる為に、バレル研磨に最適な回転速度まで所定の時間で加速するように制御部42にて設定してもよい。この加速の課程において、バレル槽11の内部は、「マスの重力」>「マスに付加される遠心力」、「マスに付加される重力=マスに付加される遠心力(平衡状態)」、「マスに付加される重力<マスに付加される遠心力」、の順に推移していく。なお、以下では、「マスの重力」>「マスに付加される遠心力」となる遠心力を遠心力A、平衡状態の遠心力を遠心力B、「マスに付加される重力≦マスに付加される遠心力」となる遠心力を遠心力Cとして説明する。
図7は、従来のバレル研磨装置におけるバレル槽の内部のマスMの動きを説明する概要図である。図7では、上述した平衡状態及び平衡状態前後におけるマスMの動きを図示している。図7に示すように、マスMに付加される遠心力が遠心力Bの場合、マスMがバレル槽の壁面より離れてバレル槽内で散乱し、その後対向する内壁面にマスMが激しく衝突する現象が生じる。これに対して、本実施形態では、バレル槽11が傾斜しているので、遠心力Bの状態では、マスMには重力と遠心力の他に分力が働いている。その為、この分力によってマスMはバレル槽11の内壁面に沿って移動する。即ち、マスMがバレル槽11の内壁面より離れることがないので、前述のように対向する内壁面に激しく衝突する現象は生じない。よって、ワークへのダメージが生じることがない。
工程S40:ワークを研磨する工程
ワークは、研磨メディアとの接触、ワーク同士との接触、壁面との接触、により表面が研磨される。そして、遠心力Cの状態を所定の時間(前述の「研磨時間」)の間継続するようにバレル槽11の自公転を継続させることで、バレル研磨が完了する。
工程S50:研磨終了工程
バレル研磨の完了後、回転機構20の作動が停止する。この際、回転機構20自身にかかる負担を軽減させる為に、所定の時間で減速するように制御部42にて設定してもよい。この減速の課程において、バレル槽11の内部は、「マスに付加される重力≦マスに付加される遠心力」、「マスの重力=マスに付加される遠心力(平衡状態)」、「マスに付加される重力≧マスに付加される遠心力」、の順に推移していく。回転機構20の作動が停止してバレル槽11の自公転が停止したら、シリンダ33が作動し、タレット14が再び地面と水平となる。その後、スライド扉3を開け、バレル槽11a〜11dそれぞれをバレル槽ケース12より取り外す。そして、バレル槽11a〜11dのそれぞれの蓋を本体より取り外し、内容物を取り出した後、この内容物からワークを選別して回収する。
以上の工程により、一連のバレル研磨の工程が完了する。
前述の工程では、操作性を向上する目的でバレル槽11a〜11dそれぞれをタレット14に固定する際にタレット14の傾斜角度を0°にしたが、操作性で特に問題がなければタレット14の傾斜角度を変更しなくてもよい。
前述の説明では、駆動モータ21が作動している間(即ち、バレル槽11a〜11dそれぞれが自公転している間)においてバレル槽11a〜11dそれぞれは所定の角度で傾斜させたが、マスに付加される遠心力の変化に応じてバレル槽11a〜11dそれぞれの傾斜角度を変更してもよい。以下の説明では、駆動モータ21の回転速度に伴いバレル槽11a〜11dそれぞれの傾斜角度を変更する。
遠心バレル研磨装置1は、バレル槽11の傾斜角度を調整するための傾斜角度調整手段を更に備える。傾斜角度調整手段の構成は特に限定されないが、本実施形態では、サーボシリンダおよびコントローラにてバレル槽11a〜11dそれぞれの傾斜角度の調整を行う。前記コントローラは制御部42に連結されており、制御部42からの信号でサーボモータの動作が制御される。
傾斜角度調整手段は、上述の構成に限られない。回動機構の例示に基づいて説明すると、回動機構として滑車を経由してワイヤで基台31とモータとを連結させる構成とした場合は、回転角度を調整できる構造のモータ(例えばサーボモータ)とこれを制御するコントローラにて傾斜角度の調整を行っても良い。また、手動で傾斜する構成とした場合は、回転防止機構により任意の傾斜角度に調整することができる。
傾斜角度調整手段を更に備える場合、マスに付加される遠心力の変化に応じてバレル槽11の傾斜角度を変更する工程を上記の工程S30として設けてもよい。具体的には、下記の第一傾斜工程、及び第二傾斜工程を設け、この傾斜パターンを研磨条件として制御部に入力してもよい。
(1)第一傾斜工程(S301)
マスに付加される遠心力が、マスが自重でバレル槽11の内壁に接触できなくなる直前の遠心力として設定される第一遠心力に到達した後に、遠心力によってバレル槽11の内壁に接触できる遠心力として設定される第二遠心力に到達する間、前記バレル槽11が第一傾斜角度で傾斜させる工程。
(2)第二傾斜工程(S302)
マスに付加される遠心力が、前記第一傾斜工程の後にバレル研磨を行うのに必要な遠心力として設定される第三遠心力で持続している間、前記バレル槽11を第二傾斜角度で傾斜させる工程。
ワークにダメージが生じるのは、マスに付加される遠心力が第一遠心力から第二遠心力の間である。また、バレル槽11の傾斜角度が小さい方が、遠心バレル装置におけるワークの研磨力が大きく、かつワークの研磨精度のバラツキが小さいことを、本発明者は実験の結果見いだした。これを踏まえ、第一傾斜角度を30°以上とする。なお、第一傾斜角度を40°以上としてもよい。また、第一傾斜角度を70°以下とする。第一傾斜角度を50°以下としてもよい。すなわち、第一傾斜角度を30°〜70°(又は40°〜50°)としてもよい。第二傾斜角度は、0°以上とする。また、第二傾斜角度は、30°以下とする。すなわち、第二傾斜角度を0°〜30°としてもよい。バレル槽11の傾斜が第一傾斜角度に調整されることで、マスに付加される遠心力がマスに付加される重力と平衡状態になることを回避できるので、ワークのダメージを防ぐことができる。さらに、バレル槽11を第二傾斜角度に調整することで、ワークを良好に研磨することができる。
第一遠心力C1は、0.3G以上である。そして、第一遠心力C1は、1.0G以下である。もしくは、第一遠心力C1は、0.5G以下である。すなわち、第一遠心力C1は、0.3G〜1.0G、又は、0.3G〜0.5Gでもよい。マスに付加される遠心力が0.3Gを下回ると、ワークや研磨メディアの性状に係わらず、遠心力Aとなる。マスに付加される遠心力が1.0Gを上回ると、遠心力Bとなる場合がある。また、第二遠心力C2は、1.5G以上である。そして、第二遠心力C2は、6.0G以下である。すなわち、第二遠心力C2は、1.5G〜6.0Gであってもよい。マスに付加される遠心力が1.5Gを下回ると、ワークの性状にかかわらず遠心力Bとなり、ワークにダメージが生じる。マスに付加される遠心力が6.0Gを上回ると、マスに付加される遠心力が大きくなりすぎ、バレル槽11の内部でマスが流動しないので、ワークを良好に研磨することが出来ない。
また、第二遠心力C2は、単にマスに付加される遠心力がマスの重力より上回る遠心力としてもよいし、バレル研磨を行うのに最適な状態のバレル槽11a〜11dに付加される遠心力としてもよい。
第一遠心力、第二遠心力、第三遠心力は、数1に示される相対遠心加速度にて示される。数1における各符号は、下記の通りである。
RCF:相対遠心加速度(G)、r:公転半径(m)、g:重力加速度(m/sec)、N:公転回転数(min−1
Figure 0006213555
工程S50においても、駆動モータ21が停止するまでの間に、同様にバレル槽11の傾斜角度を調整する工程を更に設けてもよい。
なお、これらの制御は、第一遠心力、第二遠心力、第三遠心力、のそれぞれに対応する駆動モータ21の回転速度を基準に制御することができる。
ワークのダメージを更に軽減させたい場合は、前述の工程S30において回転機構20がバレル研磨に最適な回転速度まで加速する際に、段階的に加速度を変更する工程を設けてもよい。即ち、マスに付加される遠心力を段階的に変更する工程を設けてもよい。その工程を以下に説明する。なお、この工程は、タレット14が回転している間、バレル槽11の傾斜角度を変更しない場合でも、マスに付加される遠心力の変化に応じてバレル槽11の傾斜角度を変更した場合でも、いずれの場合にも適用できる。
なお、上記では、第一傾斜工程S301、第二傾斜工程S302と区別して傾斜角度を段階的に制御する例を説明したが、傾斜角度を傾斜角度調整手段で連続的に変更する工程(S303)を備えてもよい。例えば、傾斜角度調整手段がバレル槽11の傾斜角度を90°から0°へ向けて継続的に変更してもよい。
また、遠心バレル研磨装置1は、バレル槽11a〜11dそれぞれの自公転の速度を調整するために、更に回転速度調整手段を更に備えてもよい。回転速度調整手段の構成は特に限定されないが、本実施形態では、駆動モータ21の回転速度を調整できるインバータを用いてバレル槽11a〜11dの自公転の速度の調整を行った。前記インバータは制御部に連結されており、制御部からの信号で駆動モータの動作が制御される。
また、マスに付加される遠心力の変化に応じてバレル槽11の自公転の速度を変更する工程を工程S30に更に設けてもよい。具体的には、下記の第一加速工程及び第二加速工程を設け、この回転パターンを研磨条件として制御部に入力した。
(1)第一加速工程(S304)
マスに付加される遠心力が、マスが自重でバレル槽11a〜11dの内壁に接触できなくなる直前の遠心力として設定される第一遠心力C1に所定の時間T1で到達するようにする第一加速工程。
(2)第二加速工程(S305)
マスに付加される遠心力が、遠心力によってバレル槽11a〜11dの内壁に接触できる遠心力として設定される第二遠心力C2に所定の時間T2で到達するようにする第二加速工程。
ワークにダメージが生じるのは、マスに付加される遠心力が第一遠心力から第二遠心力の間である。この間の時間(所定の時間T2)を、駆動モータ21に過剰な負荷がかからない範囲で、できる限り短い時間とすることで、マスに付加される遠心力がマスの重力と平衡状態となる時間が短くなる。その結果、マスがバレル槽11a〜11dの内壁面から離れる時間が短くなるので、ワークのダメージを防ぐことができる。
前記第一遠心力C1は、上記で説明した通り、0.3G〜1.0Gでもよく、0.3G〜0.5Gでもよい。また、第二遠心力C2も上記で説明した通り、1.5G〜6.0Gであってもよい。
第二遠心力C2は、単にマスに付加される遠心力がマスの重力より上回る遠心力としてもよいし、バレル研磨を行うのに最適な遠心力としてもよい。図4は、遠心バレル研磨装置1における駆動モータ21の運転パターンの一例を示すグラフである。単にマスに付加される遠心力がマスの重力より上回る遠心力とする場合には、図4のパターンAに示すように、マスの遠心力がバレル研磨を行うのに必要な遠心力である第三遠心力C3に所定の時間T3で到達するように、駆動モータ21を動作させる第三加速工程を更に備えればよい。バレル研磨を行うのに最適な遠心力とする場合は、第二遠心力C2が第三遠心力C3と等しくなるため、図4のパターンBに示すように、前述の第三加速工程は不要となる。
研磨時間T4が経過後、工程S40においても、駆動モータ21が所定の時間T5で停止するまでの間に、同様にバレル槽11の傾斜角度を調整する工程を更に設けてもよい。
また、工程S50においても、図4のパターンC、パターンDに示すように、駆動モータ21が停止するまでの間に、同様にタレット14の回転速度を調整する工程を設けても良い。パターンCでは、第二遠心力C2まで緩やかに減速した後、第一遠心力まで急激に減速し、その後緩やかに停止する。パターンDでは、第二遠心力C2まで緩やかに減速した後、急激に減速して停止する。
次に、本実施形態の遠心バレル研磨装置において、ワークをバレル研磨した結果について説明する。
(実施例1)
実施例1では、バレル槽の傾斜角度に対する「ダメージ」および「研磨精度」の評価を、乾式および湿式での研磨について行った。ワークおよび研磨メディアは、以下に示すものを用いた。また、各試験項目の条件を表1に示す。
<ワーク>
A:Si・Alの化学式で示されるセラミックス(2mm×2mm×4mm)
B:ジルコニア(2mm×2mm×4mm)
<研磨メディア>
a:セラミックス製焼結品(新東工業株式会社製;V−8)
b:セラミックス製焼結品(新東工業株式会社製;V−10)
c:砥粒が分散された樹脂(新東工業株式会社製;M1−F6T)
d:砥粒が分散された樹脂(新東工業株式会社製;M1−F4T)
Figure 0006213555
ワークおよび研磨メディア(湿式の場合は更に水)をバレル槽に収納する。バレル槽を0°〜90°の範囲から選択した所定の角度で傾斜させた後、バレル研磨装置を作動させ、所定の時間バレル研磨を行う。
バレル研磨を行ったワークを回収して水にて洗浄した後、評価を行った。評価方法を以下に示す。
<ダメージの評価>
ダメージの評価は、チッピングまたはクラックの体積を測定することにより行った。レーザーマイクロスコープ(株式会社キーエンス製:VK−X200)にて観察し、最大のダメージ部の体積を算出した。同条件でバレル研磨したワークを5個ずつ測定し、その平均値をその条件におけるダメージ部の体積とした。
<研磨精度の評価>
研磨精度の評価は、触針式形状測定機(東京精密株式会社製:Surfcom 1500DX)にて長手方向中央における4辺の角部の形状(R形状)を測定した。同条件でバレル研磨したワークを10個ずつ測定し、合計20点の測定結果よりバラツキ(3σ/平均値)を算出した。
ダメージの評価の結果を図8に示す。乾式・湿式共に、傾斜角度が0°より大きくなるにつれてダメージ部の体積が減少していく。さらに傾斜角度を大きくしていくと、45°付近を境にダメージ部の体積が増加していく。
研磨精度の評価の結果を図9に示す。測定結果より算出した近似線で評価すると、乾式・湿式共に傾斜角度が0°より大きくなるにつれてバラツキが減少していく。さらに傾斜角度を大きくしていくと、45°付近を境にバラツキが増加していく。
以上の結果、バレル槽を傾斜することで、ワークのダメージが低減し、かつ研磨精度が向上することが分かった。また、ワークの性状に合わせてバレル槽の傾斜角度を選択することで、ワークをより良好にバレル研磨できることが分かった。
(実施例2)
実施例2では、ワークおよび研磨メディアは、実施例1に示すものの他には以下に示すものを用いた。
<ワーク>
C:チタン酸バリウム(2mm×2mm×2mm)
D:アルミニウム(2mm×2mm×2mm)
E:CFRP(2mm×2mm×2mm)
<研磨メディア>
e:セラミックス焼成品(新東工業株式会社製;PN−B φ10)
f:セラミックス焼成品(新東工業株式会社製;PN−A 6×10)
g:砥粒(新東工業株式会社製;AF60)
これらのワークおよび研磨メディアを用い、表2に示す条件にてバレル研磨を行った。表2において、第二傾斜角度の欄に「同左」と記載されているものは、第二傾斜角度は第一傾斜角度と同じである、即ちタレット14の回転速度に伴った傾斜角度の変更を行わなかった場合を示す。
バレル研磨を行ったワークは水で洗浄した後、それぞれの条件にてバレル研磨を行ったワークを10個ずつ選択し、表面粗さ計(株式会社東京精密製;サーフコム1500DX)にてワークの表面粗さRa(JIS B6001;1994)を測定して、「研磨の進行」および「研磨精度」を評価した。また、マイクロスコープ(キーエンス製VHX−2000)にて観察を行い、ワークのダメージ(クラック、チッピング、打痕、傷)の評価を行った。以下に評価基準を示す。
<研磨の進行>
○・・・研磨前のワークの表面粗さ(平均値)に対する研磨後のワークの表面粗さ(平均値)が、40%以上向上している。
×・・・研磨前のワークの表面粗さに対する研磨後のワークの表面粗さが、40%未満である。
<研磨精度>
○・・・研磨後のワークの表面粗さの最大値と最小値が、平均値に対して10%未満である。
△・・・研磨後のワークの表面粗さの最大値と最小値が、平均値に対して10〜15%である。
×・・・研磨後のワークの表面粗さの最大値と最小値が、平均値に対して15%を上回っている。
<クラック>
○・・・全てのワークにおいて、クラックが観察されない。
△・・・クラックがあるワークが1〜3個ある。
×・・・クラックがあるワークが4個以上ある。
<チッピング>
○・・・全てにワークにおいて、チッピングが観察されない。
△・・・チッピングがあるワークが1〜5個ある。
×・・・チッピングがあるワークが6個を上回る。
<打痕>
○・・・全てにワークにおいて、打痕が観察されない。
△・・・打痕があるワークが、1〜3個ある。
×・・・打痕があるワークが、4個以上ある。
<傷>
○・・・バレル研磨による新たに発生した傷が観察されない。
△・・・バレル研磨による新たな傷であって、2mm以上の傷が全てのワークにおいて観察されず、かつ2mm未満の傷があるワークが1〜3個ある。
×・・・バレル研磨による新たな傷であって、2mm以上の傷があるワークが観察される、または2mm未満の傷があるワークが3個を上回る。
Figure 0006213555
実施例2−1〜2−20では、マスに付加される遠心力が少なくとも第一遠心力から第二遠心力の間、バレル槽11を30°〜70°の範囲で傾斜させてバレル研磨を行った。その結果、「研磨の進行」の評価はいずれも○評価であるので、ワークはバレル研磨が行われていることが分かる。
「研磨精度」の評価は、○評価または△評価であった。△評価は、実用上問題のないレベルであり、かつ他の研磨条件を最適化することで○評価となるレベルであることから、バレル槽を30°〜70°の範囲で傾斜させてバレル研磨を行えば、良好な研磨精度が得られることが分かった。また、△評価である傾斜角度が30°である場合(実施例2−1,2−9,2−15)、第二傾斜角度を0°〜20°とする第二傾斜工程を設けることで、○評価となった(実施例2−7,2−8,2−13,2−14,2−19,2−20)。この結果より、第二傾斜工程を設けることで、ワークを良好に研磨できることが分かった。
ワークへのダメージの評価は○評価もしくは△評価であった。また、70°で傾斜させた場合において、加速工程をさらに設けた場合、ではチッピングの評価が△評価から○評価に向上した(実施例2−6,2−12,2−18)。このことから、実施例2−1〜2−20の条件では、ワークの仕上がり精度にバラツキがなく、かつワークの表面にダメージが生じることなく良好にバレル研磨を行うことができることが分かる。
一方、比較例2−1〜2−4では、マスに付加される遠心力が少なくとも第一遠心力から第二遠心力の間、バレル槽11を20°または80°で傾斜させてバレル研磨を行った。その結果、バレル槽11の傾斜角度を20°とした場合、ワークのダメージに関する評価はいずれも×となっているので、ワークへダメージが生じていることがわかる(比較例2−1, 2−3)。バレル槽11の傾斜角度を80°とした場合、「研磨精度」の評価が×となっているので、仕上がり精度にバラツキが生じていることがわかる(比較例2−2,2−4)。
(第二実施形態)
ワークが硬脆材料の場合はワークの角部が基点となりクラックやチッピング等のダメージが発生する。そこで、バレル槽11を自公転する前に、予めバレル槽11のみを自転軸13を軸心に回転させる為の機構(予備自転機構50)を更に備えても良い。予備自転機構を備えた遠心バレル研磨装置を第二実施形態として説明する。なお、以下の説明では、第一実施形態と異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の予備自転機構50は、図5に示すように、予備駆動モータ51と、予備駆動モータ51の回転軸に設けられた予備駆動プーリ52と、前記公転軸15に固定された予備自転プーリ53と、前記予備駆動プーリ52と前記予備自転プーリ53とに架け渡された予備駆動ベルト54と、前記公転軸15に固定されたクラッチ機構55と、で構成される。
クラッチ機構55は、タレット14と公転軸15との連結を自在に行うことができる。クラッチ機構55によりタレット14と公転軸15との連結を解除すると、駆動モータ21の回転力は公転軸15に伝達されない。この状態で、予備駆動モータ51を作動させると、予備駆動モータ51の回転力が公転軸15に伝達され、従動プーリ25A,25B、自転プーリ26a〜26d、従動ベルト27A,27B、を介して自転軸13a〜13d、即ちバレル槽11a〜11dのみが自転する。このように、クラッチ機構55は、公転軸15の駆動源を「駆動モータ」「予備駆動モータ」の切り替えを行うことができる。即ち、クラッチ機構55により、バレル槽11の運動を「自公転」「自転のみ」に切り替えることができる。
クラッチ機構55は、ギヤの切り替え等の機械の構成や電磁力を利用した構成などを適宜選択することができる。
予備自転機構50を搭載した遠心バレル研磨装置による研磨方法について説明する。先ず、前述の工程S10において、研磨条件として更に予備研磨の条件が入力される。本実施形態において入力された予備研磨の条件は、「予備研磨時間」「予備駆動モータの回転速度」「予備研磨におけるバレル槽の傾斜角度」であるが、必要に応じて他の条件を入力されてもよい。
次いで、第一実施形態における工程S20と同様に、マスが収納されたバレル槽11a〜11dをバレル槽ケース12にそれぞれ固定した後、前記スライド扉3を閉める。
そして、作動ボタンをONにすると、予備研磨工程が行われる。先ず、シリンダ33が作動し、ピストン33aが予め設定した「バレル槽の傾斜角度」に対応する長さだけ伸びる。これにより、地面に対して垂直であるバレル槽11a〜11dそれぞれが、所定の角度(本実施形態では50°)となるように傾斜する。次いで、クラッチ機構55により、前記公転軸15の駆動源を予備駆動モータ51に切り替えられる。その後、予備駆動モータ51が作動し、バレル槽11a〜11dそれぞれが自転する。
所定の時間(前述の「予備研磨時間」)、予備駆動モータ51の作動を継続させることで、前記予備駆動モータ51による自転によって、ワークの角部の丸め加工(R付け)が行われる。バレル槽11a〜11dそれぞれの回転速度は、ワークの角部の丸め加工が行われるのみでよいので、バレル槽11a〜11dそれぞれが後の工程で自公転する際の自転速度より遅く設定されてもよい。硬脆材料で構成されるワークのダメージである割れ・欠けは、ワークの隅部または縁部の角部を基点として発生する。ワークの角部が丸め加工されることで、後の工程でバレル槽11a〜11dそれぞれを自公転させてワークを研磨する際に、角部を基点とした「チッピング」や「クラック」の発生を防ぐことができる。
予備研磨時間が経過した後、予備駆動モータ51の作動が停止する。そして、クラッチ機構55により公転軸15の駆動源を駆動モータ21に切り替えて、予備研磨工程が終了する。
以降、第一実施形態における工程S30〜S50の順に進み、ワークのバレル研磨が完了する。
本実施形態は、第一実施形態における「タレットの回転中、バレル槽の傾斜角度を変更しない場合」「マスに付加される遠心力の変化に応じてバレル槽の傾斜角度を変更する工程を設けた場合」「マスに付加される遠心力の変化に応じてタレットの回転速度を変更する工程を設けた場合」のいずれとも組み合わせて用いることができる。
(変更例)
上述の実施形態に加え、バレル槽11a〜11dそれぞれの軸心に沿って衝突防止部材を設けてもよい。衝突防止部材の一例は、図6の(A)に示すように円筒形状の弾性体(ゴムやラバー等)を衝突防止部材60として設けてもよい。バレル槽11の内壁から離れたマスMは、前記衝突防止部材60に衝突することで運動エネルギーが減少する。その結果、該衝突防止部材60に衝突し、跳ね返ったマスMが内壁に衝突する際の運動エネルギーは低いので、ワークにダメージが発生するのを防ぐことができる。
また、前記衝突防止部材60は、バレル槽11の軸心を中心にして回動可能に設けてもよい。バレル槽11に対して相対的に回動している衝突防止部材30aにマスMが衝突するので、衝突防止部材30aに衝突したマスMが跳ね返る角度が変更される。跳ね返ったマスMがバレル槽11の内壁まで移動する距離が長くなることから、該内壁に衝突するまでに運動エネルギーが減少する。その結果、ワークにダメージが発生するのを防ぐことができる。
衝突防止部材の別の例として、図6の(B)に示すように一部のみ曲面を形成する弾性体を衝突防止部材60として設けてもよい。同図では、半円筒形状とし、曲面の中心点がバレル槽11の軸心となるように配置されている。バレル槽11の内壁より離れたマスMは、図中の矢印に示すように、衝突防止部材30bに向かって進む。そして、衝突防止部材60の内側面に衝突することで運動エネルギーが減少する。その後、該マスMは該内側面に沿って下方に移動してさらに運動エネルギーが減少した後、バレル槽11の内壁に落下する。該マスMがバレル槽11の内壁に衝突する際には、運動エネルギーが著しく減少しているので、ワークにダメージが発生するのを防ぐことができる。
1…遠心バレル研磨装置、2…筐体、3…スライド扉、10…研磨ユニット、11(11a,11b,11c,11d)…バレル槽、12…バレル槽ケース、13(13a,13b,13c,13d)…自転軸、14…タレット(公転円盤)
15…公転軸、20…回転機構、21…駆動モータ、22…駆動プーリ、23…公転プーリ、24…駆動ベルト、25A,25B…従動プーリ、26a,26b,26c,26d…自転プーリ、27A,27B…従動ベルト、28A,28B…弛み防止プーリ、30…傾斜機構、31…基台、31a…傾斜基台、31b…傾斜部材、31c…傾斜軸、31d…自転軸軸受、32…傾斜架台、32a…傾斜軸軸受、33…シリンダ、33a…ピストン、40…制御機構、41…入力部、42…制御部、50…予備自転機構、51…予備駆動モータ、52…予備駆動プーリ、53…予備自転プーリ、54…予備駆動ベルト、55…クラッチ機構、60…衝突防止部材、C1,C2,C3…遠心力、M…マス、T1,T2,T3,T4,T5…時間。

Claims (12)

  1. ワークおよび研磨メディアを含むマスを収納したバレル槽が自公転してワークを研磨する遠心バレル研磨装置であって、
    公転軸を中心に回転可能な円盤状のタレットと、
    前記タレットに各自転軸を介して設けられ、各自転軸を中心にそれぞれ回転可能な複数個のバレル槽と、
    前記タレット及び前記バレル槽を回転させる回転機構と、
    前記タレットの公転軸を水平面に対して傾けて配置するとともに、前記複数個の自転軸それぞれを水平面に対して傾けて配置する傾斜機構と
    前記複数個のバレル槽の自公転の回転速度を制御する回転速度調整手段と、
    制御部と
    を備え、
    前記制御部は、
    前記マスに付加される遠心力が、前記マスが自重で前記複数個のバレル槽の内壁に接触できなくなる直前の遠心力として設定される第一遠心力に第一の時間で到達するように前記回転速度調整手段で前記複数個のバレル槽の自公転の速度を調整する第一加速工程と、
    前記第一加速工程の後、前記マスに付加される遠心力が、遠心力によって前記複数個のバレル槽の内壁に接触できる遠心力として設定される第二遠心力に第二の時間で到達するように前記回転速度調整手段で前記複数個のバレル槽の自公転の速度を調整する第二加速工程と、
    を実行する、
    遠心バレル研磨装置。
  2. 前記傾斜機構は、
    前記タレットが公転軸を中心に回転自在に固定される基台と、
    前記基台を傾動自在に固定する傾斜架台と、
    前記基台に連結され、前記基台を自在に傾斜させる回動機構と
    を有する請求項1に記載の遠心バレル研磨装置。
  3. 前記回動機構は、ピストンの伸縮で前記基台を自在に傾斜させるシリンダである請求項2に記載の遠心バレル研磨装置。
  4. 前記傾斜機構が、前記複数個の自転軸それぞれを水平面に対して30°〜70°の範囲で傾けて配置する請求項1又は2に記載の遠心バレル研磨装置。
  5. 前記複数個のバレル槽それぞれを着脱自在に固定する複数個のバレル槽ケースを備え、
    前記複数個のバレル槽ケースの一端に前記複数個の自転軸がそれぞれ設けられており、
    前記複数個の自転軸それぞれは前記タレットに回転自在に固定されている請求項1又は2に記載の遠心バレル研磨装置。
  6. 前記複数個の自転軸を水平面に対して傾斜させる角度を自在に調整する傾斜角度調整手段を更に備える請求項1又は2に記載の遠心バレル研磨装置。
  7. 前記複数個のバレル槽の自転のみを行う予備自転機構を更に備える請求項1又は2に記載の遠心バレル研磨装置。
  8. ワークおよび研磨メディアを含むマスを収納した複数個のバレル槽が自公転してワークを研磨する遠心バレル研磨装置によるバレル研磨方法であって、
    前記遠心バレル研磨装置は、
    公転軸を中心に回転可能な円盤状のタレットと、
    前記タレットに各自転軸を介して設けられ、各自転軸を中心にそれぞれ回転可能な複数個のバレル槽と、
    前記タレット及び前記バレル槽を回転させる回転機構と、
    前記タレットの公転軸を水平面に対して傾けて配置するとともに、前記複数個の自転軸それぞれを水平面に対して傾けて配置する傾斜機構と、
    前記複数個のバレル槽の自公転の回転速度を制御する回転速度調整手段と、
    を備え、
    前記バレル研磨方法は、
    前記複数個のバレル槽を自公転させる工程と、
    前記複数個のバレル槽の自公転によりワークを研磨する工程と、
    を備え、
    前記複数個のバレル槽を自公転させる工程は、
    前記マスに付加される遠心力が、前記マスが自重で前記複数個のバレル槽の内壁に接触できなくなる直前の遠心力として設定される第一遠心力に第一の時間で到達するように前記回転速度調整手段で前記複数個のバレル槽の自公転の速度を調整する第一加速工程と、
    前記第一加速工程の後、前記マスに付加される遠心力が、遠心力によって前記複数個のバレル槽の内壁に接触できる遠心力として設定される第二遠心力に第二の時間で到達するように前記回転速度調整手段で前記複数個のバレル槽の自公転の速度を調整する第二加速工程と、
    を備えるバレル研磨方法。
  9. 前記第一遠心力は0.3G〜1.0Gであり、前記第二遠心力は1.5G〜6.0Gである請求項8に記載のバレル研磨方法。
  10. 前記遠心バレル研磨装置は、前記複数個のバレル槽の自転のみを行う予備自転機構を更に備え、
    前記予備自転機構の作動により前記複数個のバレル槽を自転させてワークの角部および縁部の角を丸める予備研磨工程と、
    前記予備研磨工程の後に、前記複数個のバレル槽を自公転させて該ワークの研磨を行う工程と、
    を備える請求項8に記載のバレル研磨方法。
  11. 前記ワークは硬脆材料である請求項10に記載のバレル研磨方法。
  12. 前記複数個のバレル槽を自公転させる工程は、前記複数個の自転軸それぞれと水平面とによって定まる角度を連続的に変更する工程を有する請求項8に記載のバレル研磨方法。
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