JP2022145548A - 遠心バレル研磨方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】凹部を有する形状のワークを遠心バレル研磨する場合に、凹部と、それ以外の箇所との間の表面粗さの差を小さくすることで、ワークにおける表面粗さのばらつきを抑制することを目的とする。【解決手段】ワークを研磨する遠心バレル研磨方法では、研磨工程において、凹部を有するワークと、2g/cm3以上のタップ密度の研磨材とを投入し、相対遠心加速度Fが10<F<40に規定される範囲となり、回転速度比n/Nが-0.9<n/N<-0.1、で規定される範囲となるように、バレル槽23の自転回転速度n及び公転回転速度Nが設定されている。【選択図】図1

Description

本発明は、ワークを遠心バレル研磨する技術に関する。
特許文献1には、バレル槽を、自転軸を中心に自転させつつ公転軸を中心に公転させることで、バレル槽内に投入されたワークを研磨する遠心バレル研磨方法が記載されている。
特開2020-069545号公報
凹部を有する形状のワークを遠心バレル研磨する場合がある。このような形状のワークでは、遠心バレル研磨において、ワークの凹部の内面が研磨されにくいため、例えば、研磨により外周面の表面粗さは小さくなっても、ワークにおける凹部の内面の表面粗さが大きなままになる場合がある。その結果、ワークにおいて、表面粗さにばらつきが生じることが懸念される。
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、凹部を有する形状のワークを遠心バレル研磨する場合に、凹部の内面と、それ以外の箇所との間の表面粗さの差を小さくすることで、ワークにおける表面粗さのばらつきを抑制することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明では、ワークを研磨する遠心バレル研磨方法に関する。遠心バレル研磨方法では、バレル槽に、凹部を有するワークと、研磨材とを投入する投入工程と、バレル槽を、自転軸を中心に自転させつつ、公転軸を中心に公転させることで、バレル槽に投入されたワークを研磨する研磨工程と、を実行する。投入工程では、2g/cm以上のタップ密度の研磨材をバレル槽に投入する。研磨工程では、Nを、前記バレル槽の公転回転速度とし、nを、バレル槽の自転回転速度とし、バレル槽の公転方向を正とし、Rを、バレル槽の公転軸を中心とする公転半径とし、F=4π×N×R/gを、バレル槽の公転により当該バレル槽に加わる遠心加速度に対する重力gの比である相対遠心加速度とした場合に、10<F<40、-0.9<n/N<-0.1、で規定される範囲となるように、バレル槽の自転回転速度n及び公転回転速度Nが設定されている。
ここで研磨材とは、砥材が母材に含有されたもの、母材のみで構成されたもの、または砥材が母材の表面にコーティングされたもののいずれかを指す。それらに加えて、必要に応じて砥材を別体として添加したものであってもよい。
本発明者は、バレル槽内で、研磨材をワークにおける凹部の内面に侵入させ易くし、かつ研磨材を凹部の内面で安定的に流動させることができれば、凹部の内面を好適に研磨できるとの着想に至った。一般的には、バレル槽の自転回転速度nと公転回転速度Nとの関係は、自転回転速度nを公転回転速度Nに対して反対方向であり、かつ絶対値を同じにすることで、研磨材の摩耗を抑制しつつ、ワークを好適に研磨できることが知られている(即ち、n/N=-1)。この点、発明者は、鋭意、研究を重ねた結果、比較的、タップ密度の大きい研磨材を用いると共に、バレル槽の自転回転速度nの絶対値を、公転回転速度Nの絶対値よりも遅くすることにより、研磨材を凹部の内面に侵入させ易くすることができるとの知見を得た。なお、バレル槽が自転しない場合、研磨材が流動しないため、ワークを研磨することができない。即ち、自転回転速度nに対する公転回転速度Nの比であるn/Nを、-0.9<n/N<-0.1に設定する。また、バレル槽の公転に伴う遠心力により研磨材に加わる力を大きくすることで、バレル槽の自転に伴う研磨材の流動が安定し、凹部の内面を好適に研磨できる。この点、発明者は、鋭意、研究を重ねた結果、相対遠心加速度Fを、10<F<40の範囲に設定することで、凹部の内側に侵入した研磨材の流動を安定させることができるとの知見を得た。なお、相対遠心加速度Fが40を大幅に超える場合、研磨効率が著しく低下し、研磨材によるワークへの圧痕も多くなるので、研磨品質も劣化させてしまう。よって上限値を40としている。また、相対遠心加速度Fが10よりも大幅に小さい場合、研磨材が凹部に十分押し付けられず、凹部から溢れ出てしまう。よって下限値を10としている。また、研磨材として、タップ密度が2g/cm以上のものを用いる。ここで、「タップ密度」は、定められた条件下で、粉体を容器に入れ容器をタップし、粉体間の隙間を詰めた状態で粉体重量を容器体積で割って得られる密度である。ここでは研磨材を容器に入れ、容器をタップして得られた時の研磨材の密度をいう。なお、砥材を別体として添加した場合は、別体で添加された砥材を除いたタップ密度が2g/cm以上のものを用いる。これにより、凹部を有する形状のワークを遠心バレル研磨する場合に、凹部の内面における表面粗さが、ワークのそれ以外の面の表面粗さと比べて同等になり、ひいては、ワークの表面粗さのばらつきを抑制することができる。
本発明によれば、凹部を有する形状のワークを遠心バレル研磨する場合に、ワークの表面粗さのばらつきを抑制した好適な研磨を行うことができる。
研磨装置の構成図。 凹部を有するワークを説明する図。 従来の遠心バレル研磨工程におけるバレル槽内でのワークと研磨材との移動を説明する図。 本発明の遠心バレル研磨工程におけるバレル槽内でのワークと研磨材との移動を説明する図。 研磨量と、研磨効率と、相対遠心加速度との関係を説明する図。 遠心バレル研磨の工程を説明する工程図。 ワークのうち凹部を有する側の面の形状を説明する図。 ワークのうち凹部を有さない側の面の形状を説明する図。 図7に示すワークのA-A矢視での断面図。
<第1実施形態>
本実施形態に係る研磨装置を、図面を参照しつつ説明する。図1に示す研磨装置100は、ワークに対して遠心バレル研磨を行うことが可能な装置である。研磨装置100は、操作盤10と、シーケンサ11と、公転用駆動回路12と、自転用駆動回路13と、バレル機構部20とを備えている。
まずは、バレル機構部20の構成を説明する。バレル機構部20は、太陽軸21、ターレット盤22、バレル槽23、公転用モータ24、自転用モータ25を、主に備えている。太陽軸21は、所定方向に回転可能に取り付けられた軸部材であり、本実施形態では、公転軸の一例である。ターレット盤22は、太陽軸21により貫通されており、太陽軸21を中心に回転可能に保持されている。
バレル槽23は、ワーク50及び研磨材Mを収容可能な多角形状の容器である。バレル槽23は、自転軸28を有しており、この自転軸28を介してターレット盤22に対して、自転可能に取り付けられている。本実施形態では、バレル槽23は、自転軸28の延びる方向で見た場合に、6角形の断面を有する容器である。図1では、ターレット盤22には、4つのバレル槽23が自転可能に取り付けられている。なお、バレル槽23の自転軸28は、ターレット盤22において、太陽軸21が貫通する位置の中心から公転軌道半径Rだけ偏心して配置されている。バレル槽23には、ワークや研磨材を内部に投入可能な投入開口が設けられている。
公転用モータ24は、ターレット盤22を回転させるための駆動源である。公転用モータ24の出力軸には、公転用駆動プーリ26が取り付けられている。ターレット盤22の外周には、Vベルトを介して、公転用駆動プーリ26と連結される不図示の公転用従動プーリが設けられている。公転用モータ24の出力軸が回転することで、Vベルトが駆動し、ターレット盤22を回転させることができる。
自転用モータ25は、バレル槽23を自転させるための駆動源である。自転用モータ25の出力軸には、自転用駆動プーリ27が取り付けられている。自転用モータ25の回転は、周知の遊星歯車機構を介して、バレル槽23に伝達され、バレル槽23をターレット盤22の回転方向D1と逆方向D2に自転させる。例えば、遊星歯車機構として、太陽軸21に固定された太陽プーリと、太陽軸21に固定され、太陽プーリとともに回転する太陽ギヤと、自転軸28に固定された遊星ギヤと、太陽ギヤの回転速度を減速させて遊星ギヤに伝達する減速ギヤとを備えている。また、自転用駆動プーリ27と太陽プーリとの間には、伝達部材であるVベルトが掛け渡されている。これにより、自転用モータ25の出力軸の回転に応じて、太陽プーリが回転し、太陽軸21及び太陽ギヤを回転させる。太陽ギヤの回転速度は、減速ギヤにより減速され、遊星ギヤに伝達される。その結果、遊星ギヤが固定された自転軸28を中心としてバレル槽23が回転方向D2で自転する。
シーケンサ11は、所定のプログラムをメモリに記憶したプログラマブルコントローラである。シーケンサ11には、操作盤10から研磨装置100の稼働条件に応じた各信号が入力される。操作盤10に対する操作により設定可能な稼働条件は、例えば、自転回転速度n、公転回転速度N、研磨時間、及び加減速時間である。
シーケンサ11からの出力は、公転用駆動回路12及び自転用駆動回路13に入力される。公転用駆動回路12は、シーケンサ11から入力された稼働条件に応じた信号に応じて、公転用モータ24の公転速度N、及び研磨時間を制御するための駆動信号を出力する。本実施形態では、公転用駆動回路12は、センサにより検出されたターレット盤22の回転速度を、目標速度に近づけるべく、公転用モータ24の公転回転速度Nをフィードバック制御する。自転用駆動回路13は、シーケンサ11から入力された稼働条件に応じた信号に応じて、自転用モータ25の自転速度n、及び研磨時間を制御するための駆動信号を出力する。本実施形態では、自転用駆動回路13は、センサにより検出されたバレル槽23の回転速度を、目標速度に近づけるべく、自転用モータ25の自転速度nをフィードバック制御する。なお、公転用駆動回路12及び自転用駆動回路13は、公転用モータ24及び自転用モータ25それぞれの回転速度をオープン制御するものであってもよい。
上記構成の研磨装置100において、凹部を有するワークを遠心バレル研磨する場合に、研磨後のワークにおける凹部の内面と、それ以外の箇所との間で、表面粗さにばらつきが生じる場合がある。図2は、凹部54を有するワーク50の一例を示している。なお、図2に示すワーク50では、凹部54を有する箇所を主に図示し、それ以外の箇所の図示を省略している。ワーク50は、本体部51と、本体部51から外側に延びる延設部52と、延設部52の先端に形成された球状部53とを有している。即ち、球状部53は、延設部52を介して本体部51に繋がっている。ワーク50において、球状部53における延設部52の端と繋がる側の箇所と、本体部51における延設部52の端と繋がる箇所との間には、凹部54が形成されている。図2に示すワーク50を、研磨装置100により遠心バレル研磨した場合、特に、凹部54における内側面の表面粗さが、ワーク50の他の部位の表面粗さと比べて大きいまま(素材のまま)になる場合がある。
図3,図4は、ワーク50において凹部54を中心とした断面視である。なお、図3,図4では、説明を容易にするため、図示されている研磨材Mは、バレル槽23に投入される実際の研磨材Mよりも少ない。バレル槽23におけるD2方向での自転に伴い、バレル槽23内の研磨材Mは、ワーク50と共に流動する。このとき、研磨材Mの一部が、凹部54の内側に侵入し、凹部54の内面を研磨する。
ワーク50の表面と接触する研磨材の量が多いほど、研磨力を向上させることができるため、ワーク50における凹部54の内側に侵入する研磨材Mが多いほど、凹部54の内面に対する研磨力を向上させることができる。一般的に、バレル槽23の自転回転速度nと公転回転速度Nとの関係は、自転回転速度nを公転回転速度Nに対して反対方向であり、かつ絶対値を同じ(即ち、n/N=-1)にすることで、研磨材Mの消耗を抑制しつつ、ワーク50を良好に研磨できることが知られている。しかし、相対遠心加速度Fが10より小さく、且つ絶対値を同じにすると、研磨材Mの押し付け力が弱い上に、図3に示すように凹部54内に研磨材Mが浸入しにくいため、研磨材Mが凹部54の内部に滞留しない場合がある。また、研磨材Mが凹部54の内側に侵入しても、凹部54から溢れ出てしまう場合がある。この結果、凹部54を十分に研磨することができない。また、バレル槽23が自転しない場合(即ち、n=0)、バレル槽23内で研磨材Mが流動しないため、ワーク50を研磨することが不可能となる。
そこで、研磨装置100において、ワーク50を研磨する際に、自転回転速度nに対する公転回転速度Nの比が下記(式1)を満たす範囲となるように、自転回転速度n及び公転回転速度Nを定める。言い換えると、バレル槽23の自転回転速度nを公転回転速度Nよりも遅くすることで、研磨材Mを凹部54の内側に侵入させ易くしている。なお、マイナスは、自転回転速度nと、公転回転速度Nとが逆方向であることを示している。
-0.9<n/N<-0.1 … (式1)
また、凹部54の内側に滞留した研磨材Mの流動性を安定させることができれば、凹部54の内面に対する研磨力を向上させることができる。図4に示すように、バレル槽23内のワーク50及び研磨材Mには、バレル槽23の公転に伴う遠心加速度Fcが加わる。図4では、図3で示す遠心加速度Fcよりも大きな遠心加速度Fcが、研磨材Mに加わっている。特に、遠心加速度Fcは、凹部54の内側に侵入した研磨材Mを、凹部54の内面に向けて押し付ける力となる。ここで、研磨材Mには大きな相対遠心加速度Fが加わるとともに、n/Nは上記(式1)で示す範囲に制御される。すると、研磨材Mは凹部54内に滞留するようになり、凹部54に強い力で押し付けられつつ凹部54内で細かく動くことになる。
本実施形態では、バレル槽23の公転に伴い研磨材Mに加わる遠心加速度Fcを、研磨力を高いレベルで維持しつつ、研磨材Mの摩耗を極力抑制する観点から決定している。図5は、横軸を相対遠心加速度Fとして、縦軸を、研磨量Qと、研磨効率Eとした図である。なお、相対遠心加速度Fは、バレル槽23の公転によりバレル槽23に加わる遠心加速度Fcに対する重力加速度gの比であり、下記(式2)により算出される値である。なお、相対遠心加速度Fの単位は、無次元である。
F=4π×N×R/g … (式2)
なお、Nは、公転回転速度であり、単位は[rps]である。Rは図1に示した公転軌道半径であり、単位は[m]である。gは重力加速度であり、単位は[m/s]である。重力加速度は、9.8[m/s]を用いてもよい。
研磨量Qは、単位時間(例えば、30分)当たりのワークの研磨量(研磨の際に削り取られたワークの重量)であり、単位は[mg]である。研磨効率Eは、ワークの単位時間当たりの研磨量Qと、研磨材の単位時間当たりの摩耗量Wとの比として定義された値であり、下記(式3)により算出される。なお、研磨効率Eの単位は、無次元である。
E=Q/W … (式3)
研磨効率Eは、ワーク50の研磨量Qを研磨材の摩耗量Wで除した値であるから、研磨材Mの摩耗が所定量に達したときワーク50の研磨がどれくらい進んだかを表す指標となる。言い換えると、ワーク50の研磨が所定量に達したときに研磨材Mの摩耗がどれくらい抑えられたかを表す指標とも言え、ワーク50の研磨の進行と研磨材Mの摩耗の進行とを勘案した上で、研磨材Mがワーク50の研磨に対してどれだけ効率的に貢献したかをあらわす指標である。
研磨装置100は、バレル槽23の自転により研磨材M及びワーク50を流動させながら、公転に起因する遠心加速度Fcを研磨材M及びワーク50に付与することによって研磨を行うものであるから、相対遠心加速度Fと研磨量Q及び研磨効率Eとの間には、相関がある。即ち、ワーク50の研磨量Qは、バレル槽23の自転回転速度nに比例する流動量と、相対遠心加速度Fの影響を受けると考えられる。そこで、図5に示す図において、研磨量Qと研磨効率Eとが最適となる相対遠心加速度Fの範囲を決定している。
図5に示すように、相対遠心加速度Fが大きくなるのに伴い、ワーク50の研磨量Qが増加しているのに対し、研磨効率Eは総じて低下する傾向にある。一方で、研磨効率Eは、点Eβで変曲点(極小値)を取る下凸状に推移した後、点Eγで変曲点(極大値)を取る上凸状に推移する。これらを、相対遠心加速度Fの範囲(領域a,b,c,d,e)を定義して詳細に説明する。なお、領域aは、研磨効率Eαでの相対遠心加速度Fよりも小さな値を示す領域である。領域bは、研磨効率Eαでの相対遠心加速度Fから、研磨効率Eβでの相対遠心加速度Fを除く値までの領域である。領域cは、研磨効率Eβでの相対遠心加速度Fから、研磨効率Eγでの相対遠心加速度Fを除く値までの領域である。領域dは、研磨効率Eγでの相対遠心加速度Fから、研磨効率Eδでの相対遠心加速度Fを除く値までの領域である。領域eは、研磨効率Eδでの相対遠心加速度F以上の領域である。ここで、研磨効率Eにおいて、点Eαは、研磨効率Eの変曲点Eγ(極大点)と同じ値を示す値である。点Eδは、研磨効率Eの変曲点Eβ(極小点)と同じ値である。
相対遠心加速度Fが領域aの範囲である場合、研磨効率Eが領域b,c,d,eよりも高いものの、研磨量Qが著しく少ないため、良好な領域とは言えない。加えて、相対遠心加速度Fが10よりも小さいと、研磨材M及びワーク50をバレル槽23の内面側へ押し付ける力が弱く、ひいてはワーク50を十分に研磨することができない。一方、相対遠心加速度Fが領域eの範囲である場合、研磨量Qは高い値となるものの、研磨効率Eが著しく低下する。特に、相対遠心加速度Fが40を大幅に超える場合、研磨材によるワークに対する圧痕が増えるとともに研磨効率Eが著しく低下する。このときワークが脆性材料から成ると、ワークに欠け割れを生じさせることも懸念される。
このことから、相対遠心加速度Fが領域b,c,d付近の値(10<F<40)である場合に、研磨効率Eは、高い値を維持しており、良好な領域と言える。特に、相対遠心加速度Fが領域c,d付近の値(15<F<35)である場合に、研磨効率Eの値が特に高い値(Eβ<E<Eγ)に維持されている。
本実施形態では、研磨装置100において、ワーク50を研磨する際に、上記(式2)により算出される相対遠心加速度Fが下記(式4)を満たすように、公転回転速度Nの値を定めている。
10<F<40 … (式4)
また、研磨量Qと研磨効率Eとを共に高い値に維持するとの観点から、相対遠心加速度Fが下記(式5)を満たすように、公転回転速度Nの値を定めてもよい。
15<F<35 … (式5)
次に、研磨装置100を用いた遠心バレル研磨方法の手順を、図6を用いて説明する。
図6に示す各工程に先立って、作業者は、操作盤10を操作することで、研磨装置100の稼働条件を入力する。稼働条件としては、公転回転速度N、自転回転速度n、稼働時間、及び加減速時間等である。なお、これら稼働条件は、作業者が操作盤10を操作することで、値を直接入力することに限定されず、例えば、作業者が操作盤10を操作して選択されたワーク種別に応じて、シーケンサ11が値を読み出すものであってもよい。この場合において、シーケンサ11は、ワーク種別に対応させて稼働条件を記憶しておけばよい。
ステップS11(以下、ステップを単にSと記載する。)では、バレル槽23に対して、ワーク50と、第1研磨材M1とを投入する第1投入工程を実施する。第1投入工程で使用される第1研磨材M1として、例えば、砥材を母材である結合材で結合させた研磨石を用いている。第1研磨材M1に含まれる砥材は、ワーク50の硬度よりも高い硬度の砥材を用いる。また、第1研磨材Mとして、タップ密度が2[g/cm]以上の研磨材を用いる。ここで、「タップ密度」は、研磨材を容器に入れ容器をタップし、研磨材間の隙間を詰めた状態での重量を容器体積で割って得られる密度である。
S12では、バレル槽23を自転させつつ、ターレット盤22の回転により公転させることで、ワーク50を研磨する粗仕上げ研磨工程を実行する。具体的には、作業者は操作盤10を操作することで、シーケンサ11に対してバレル槽23の自転及び公転を開始させる。シーケンサ11は、公転用駆動回路12及び自転用駆動回路13に、稼働条件に応じた信号を出力することで、公転用駆動回路12に公転用モータ24を駆動させ、自転用駆動回路13に自転用モータ25を駆動させる。本実施形態では、S12で実施される粗仕上げ研磨工程が、第1研磨工程の一例である。
S12で実行される粗仕上げ研磨工程では、シーケンサ11から出力される自転回転速度nと公転回転速度Nとは、相対遠心加速度Fと、回転速度比「n/N」とを、上記(式1),(式4)を満たすように、その値が定められている。なお、第1研磨材M1の種別に応じて、S12で実行される粗仕上げ研磨工程を、複数回に渡り実施するものであってもよい。
粗仕上げ研磨工程での稼働時間が経過すると、公転用モータ24及び自転用モータ25の駆動が停止し、所定期間の経過後、S13に進み、回収工程を実行する。回収工程では、ワーク50及び第1研磨材M1をバレル槽23から取り出し、ワーク50と第1研磨材M1とを分別し、ワーク50の洗浄を行う。なお、第2投入工程のS14までに時間間隔が所定時間以上空く場合に、ワーク50を防錆処理したり、ワーク50を乾燥さてもよい。
S14では、S13で回収されたワーク50を、第2研磨材M2と共に、再びバレル槽23に投入する第2投入工程を実行する。第2研磨材M2に含まれる砥材は、第1投入工程で投入される研磨材M1の砥材よりも硬度の高い砥材を用いる。また、第2研磨材M2は、第1研磨材M1よりもタップ密度が小さいものを用いる。これは、後述するS15での最終仕上げ工程において、第2研磨材M2が凹部54の内面に当たる力を、粗仕上げ研磨工程よりも弱めるためである。これにより、粗仕上げ研磨工程で形成された凹部54の内面の凹凸を最終仕上げ工程によりなだらかにすることができ、ワーク50の表面粗さを、いっそう小さくすることができる。例えば、第2研磨材M2は、クルミ等の植物性の母材に、砥材であるダイヤモンドをコーティングさせた研磨石であり、タップ密度は0.7[g/cm]以下である。
S15では、バレル槽23を自転させつつ、ターレット盤22の回転に伴い公転させることで、ワーク50を研磨する最終仕上げ工程を実行する。S15で実行される最終仕上げ工程においても、シーケンサ11は、自転回転速度nと公転回転速度Nとを、上記(式1),(式4)を満たす値に設定する。なお、S15で設定される自転回転数nと公転回転数Nとは、S12で設定される自転回転数nと公転回転数Nと同じ値とならなくともよい。本実施形態では、S15で実施される最終仕上げ工程が、第2研磨工程の一例である。
S16では、S15での最終仕上げ工程の実行後にワーク50を回収する回収工程を実行する。S15での回収工程は、S13での回収工程と同様である。
<実施例1>
次に、図6で示した工程に従い、ワーク50を遠心バレル研磨した実施例1を説明する。
実施例1では、粗仕上げ研磨工程として、第1粗仕上げ工程と、第2粗仕上げ工程とを実施した後、最終仕上げ工程を実施した。2回の粗仕上げ研磨工程において、表1に示される条件に従い、ワーク50を研磨装置100により研磨した。具体的には、第1粗仕上げ工程では、研磨時間を60[min]に設定した研磨を3回実施した。第2粗仕上げ工程では、研磨時間を60[min]に設定した研磨を1回実施した。第1粗仕上げ工程では、第1研磨材M1として、砥材を含有しない母材のみからなる研磨石(チップトン製 PS-2)を用い、砥材としてGC#6000(メジアン径3.1μm)を別添加した。第2粗仕上げ工程では、第1研磨材M1として、前記研磨石(チップトン製 PS-2)を用い、砥材としてさらに細かいGC#8000(メジアン径2.7μm)を別添加した。研磨石PS-2は、アルミナを主成分としてシリカを含有する母材を焼成結合させた研磨石であり、タップ密度は、3.8[g/cm]である。また、砥材であるGCは炭化ケイ素からなり新モース硬度は13である。
最終仕上げ工程では、研磨時間を60[min]に設定した遠心バレル研磨を2回実施した。最終仕上げ工程では、第2研磨材M2として、ソフトメディア(チップトン製 SMD-36)を用いた。ソフトメディアは、ダイヤモンド砥材を、クルミやコーンコブ等の植物性の母材にワックスでコーティングさせた研磨石である。また、砥材の新モース硬度は、14であり、タップ密度は、0.7[g/cm]である。
比較例1では、実施例1と同様の工程に対して、相対遠心加速度Fと回転速度比n/Nとを、上記(式1),(式4)と異なる条件で実施した。具体的に述べると、F=7.5、n/N=―1の条件で研磨した以外は実施例1と同じ条件である。
Figure 2022145548000002
実施例1と、比較例1とにおいて、各工程での表面粗さRa[μm]を測定した。具体的には、ワーク50において、本体部51での表面粗さRa1、球状部53での表面粗さRa2、及び凹部54での表面粗さRa3を測定した。加えて、各工程での、表面粗さRa1,Ra1,Ra3の平均表面粗さARaを算出した。更に、各測定結果Ra1,Ra2,Ra3間の差のうち、絶対値で値が最大なものを最大ばらつきMVとして示す。なお、表1において、実施例1及び比較例1それぞれに、研磨前の表面粗さを示している。
まずは、実施例1での表面粗さの測定結果について説明する。
第1粗仕上げ工程の実施後は、全ての測定箇所での表面粗さRa1,Ra2,Ra3は、研磨前の表面粗さよりも小さくなっており、平均表面粗さARa(0.123)は、研磨前の平均表面粗さARa(0.364)よりも小さな値となった。第1粗仕上げ工程の実施後において、凹部54の内面での表面粗さRa3と、それ以外の測定箇所での表面粗さRa2,Ra3との間で、値に大きな違いがなかった。第1粗仕上げ工程での表面粗さの最大ばらつきMV(0.017)は、研磨前の最大ばらつきMV(0.107)よりも小さな値であった。
第2粗仕上げ工程の実施後は、全ての測定箇所での表面粗さRa1,Ra2,Ra3は、研磨前の表面粗さよりも小さくなっており、平均表面粗さARa(0.117)は、研磨前の平均表面粗さARa(0.364)よりも小さな値となった。第2粗仕上げ工程の実施後において、凹部54の内面での表面粗さRa3と、それ以外の測定箇所の表面粗さRa2,Ra3との間で、値に大きな違いがなかった。第2粗仕上げ工程での表面粗さの最大ばらつきMV(0.008)は、研磨前の最大ばらつきMV(0.107)よりも小さな値であった。
最終仕上げ工程の実施後において、全ての測定箇所での表面粗さRa1,Ra2,Ra3が、第1,第2粗仕上げ工程の実施後の測定箇所での表面粗さRa1,Ra2,Ra3よりも小さくなっており、平均表面粗さARa(0.051)は、第1,第2粗仕上げ工程の実施後でのいずれの平均表面粗さARa(0.123,0.117)よりも小さな値となった。最終仕上げ工程の実施後において、凹部54の内面での表面粗さRa3と、それ以外の測定箇所の表面粗さRa2,Ra3との間で、値に大きな違いがなかった。最終仕上げ工程での表面粗さの最大ばらつきMV(0.033)は、第1,第2粗仕上げ工程の最大ばらつきMV(0.017,0.008)よりも大きな値となったが、研磨前の最大ばらつきMV(0.107)より小さいものであり、平均表面粗さARaも第1,第2粗仕上げ工程よりも小さくなったので、目視上も満足のいく仕上がりとなった。
次に、比較例1での表面粗さの測定結果を説明する。比較例1において、第1粗仕上げ工程の実施後は、全ての測定箇所での表面粗さRa1,Ra2,Ra3が、研磨前の表面粗さよりも小さくなっており、平均表面粗さARa(0.119)は、研磨前の平均表面粗さARa(0.280)よりも小さな値となった。しかし、第1粗仕上げ工程の実施後において、凹部54の表面粗さRa3は、それ以外の2か所での表面粗さRa1,Ra2よりも大きな値となった。このため、最大ばらつきMV(0.035)は、研磨前の最大ばらつきMV(0.025)よりも大きな値となった。
比較例1において、第2粗仕上げ工程の実施後は、全ての測定箇所での表面粗さRa1,Ra2,Ra3が、研磨前の表面粗さよりも小さくなっており、平均表面粗さARa(0.123)は、研磨前の平均表面粗さARa(0.280)よりも小さな値となった。しかし、第2粗仕上げ工程の実施後において、凹部54の表面粗さRa3は、それ以外の2か所での表面粗さRa1,Ra2よりも大きな値となった。具体的には、最大ばらつきMV(0.060)は、研磨前の最大ばらつきMV(0.025)及び第1粗仕上げ工程の実施後の最大ばらつきMV(0.035)よりも大きな値となった。
比較例1において、最終仕上げ工程の実施後は、全ての測定箇所において、表面粗さRa1,Ra2,Ra3が、第1,第2粗仕上げ工程の実施後の表面粗さよりも小さくなっており、平均表面粗さARa(0.080)は、研磨前の平均表面粗さARa(0.280)よりも小さな値となった。しかし、最終仕上げ工程の実施後において、凹部54の表面粗さRa3は、それ以外の2か所での表面粗さRa1,Ra2よりも大きな値となった。これにより、最大ばらつきMV(0.089)は、研磨前の最大ばらつきMV(0.025)及び第1,第2荒仕上げ工程の実施後の最大ばらつきMV(0.035,0.060)よりも大きな値となった。
実施例1と比較例1とにおける表面粗さの測定結果を総括する。
実施例1では、第1,第2粗仕上げ工程及び最終仕上げ工程の実施により、ワーク50における全ての測定点で表面粗さRa1,Ra2,Ra3の低下がみられた。また、実施例1では、第1,第2粗仕上げ工程、及び最終仕上げ工程を順に実施することで、最大ばらつきMVの低下がみられた。即ち、ワーク50において、凹部54と、それ以外の箇所との間で、表面粗さRa1,Ra2,Ra3の低下度合いに大きな差が生じていないためである。
これに対して、比較例1では、第1,第2粗仕上げ工程及び最終仕上げ工程の実施により、ワーク50における各測定点で表面粗さRa1,Ra2,Ra3は、おおむね低下した。しかし、比較例1では、第1,第2粗仕上げ工程、及び最終仕上げ工程を順に実施することで、最大ばらつきMVが増加した。これは、凹部54の内側での表面粗さRa3の低下度合いが、他の測定点での表面粗さRa1,Ra2の低下度合いよりも小さいためである。即ち、研磨装置100において、上記(式1)、(式4)を満たすように、公転速度目標値TNと自転速度目標値Tnとを設定することで、ワーク50における凹部54と、それ以外の箇所との間で、研磨量の差が小さくなり、表面粗さのばらつきを低減することができた。
<実施例2>
次に、図6で示した工程に従い、ワーク50とは異なるワークを遠心バレル研磨した実施例2を説明する。図7は、実施例2で使用されるワーク60のうち、凹部を有する側の面の形状を説明する図である。図8は、実施例2で使用されるワーク60のうち、凹部を有さない側の面の形状を説明する図である。図9は、図7で示すワーク60におけるA-A矢視での断面図である。
実施例2での測定対象となるワーク60は、円板状の部材であり、凹部が形成される側の面である凹面61と、凹部が形成されない側の面である平坦面65とを有している。図7に示されるように、凹面61には、紙面において凹面61の下側に位置する下側凹部62、紙面において凹面61の右側に位置する右側凹部63、及び紙面において凹面61の上側に位置する上側凹部64を有している。各凹部62~64は、凹面61に対して厚み方向に落ち込んだ窪みである。一方、図8に示されるように、ワーク60の平坦面65には、凹部が形成されていない。
実施例2では、粗仕上げ研磨工程を実施した後、最終仕上げ工程を実施した。また、実施例2では、粗仕上げ研磨工程において回転速度比n/Nを上記(式1)の範囲内で設定した異なる遠心バレル研磨を行った。具体的には、実施例2_1では、粗仕上げ研磨工程において回転速度比n/Nを、「-0.8」で設定し、実施例2_2では、粗仕上げ研磨工程において回転速度比n/Nを、「-0.6」に設定した。実施例2_3では、粗仕上げ研磨工程において回転速度比n/Nを、「-0.4」に設定し、実施例2_4では、粗仕上げ研磨工程において回転速度比n/Nを、「-0.2」に設定した。比較例2では、(式1)と異なる条件、即ち、粗仕上げ研磨工程において回転速度比n/Nを、「-1.0」に設定した。粗仕上げ工程では、研磨時間を40[min]に設定し、第1研磨材M1として、砥材を含有しない母材のみからなる研磨石(チップトン製 PS-2)を用い、砥材としてGC#6000(メジアン径3.1μm)を別添加した。研磨石PS-2は、実施例1と同様に、タップ密度が3.8[g/cm]であり、砥材であるGCは炭化ケイ素からなり新モース硬度は13である。これ以外の条件は、実施例1と同様の条件(即ち、表1に示されるF=20.0)である。
最終仕上げ工程では、研磨時間を40[min]に設定した遠心バレル研磨を実施した。最終仕上げ工程では、第2研磨材M2として、第1実施例と同様、ソフトメディア(チップトン製 SMD-36)を用い、それ以外の条件は、第1実施例と同様である。
Figure 2022145548000003
表2では、各実施例2_1~2_4及び比較例2において、下側凹部62での表面粗さRa4、右側凹部63での表面粗さRa5、上側凹部64での表面粗さRa6、下側平面66での表面粗さRa7、左側平面67での表面粗さRa8、上側平面68での表面粗さRa9の測定値に加えて、各工程での表面粗さRa4~Ra9の平均表面粗さARaを算出した。更に、各表面粗さRa4~Ra9の標準偏差Sを算出した。また、標準偏差Sの評価を行い、0.10以下を「◎」(特に良好)、0.20以下を「〇」(良好)、0.25以下を「△」(わずかに良好)、それ以上を「×」(不良)とした。なお、表2において、実施例2及び比較例2それぞれに、研磨前の表面粗さを示している。
なお、下側平面66、左側平面67、上側平面68は、図8で示す平坦面65において符号が付された位置であり、凹面61の下側凹部62、右側凹部63、上側凹部64それぞれに対応する位置でもある。
実施例2_1~2_4及び比較例2において、いずれも粗仕上げ工程の実施後に、全ての測定箇所での表面粗さRa4~Ra9は、研磨前の表面粗さよりも小さくなった。また、いずれも最終仕上げ工程の実施後に、全ての測定箇所での表面粗さRa4~Ra9は、粗仕上げ工程実施後の表面粗さよりも小さくなった。
最終仕上げ工程の実施後の標準偏差評価は、実施例2_4(n/N=-0.2)で「△」(わずかに良好)となった。実施例2_3(n/N=-0.4)で「〇」(良好)となった。実施例2_2(n/N=-0.6)及び実施例2_1(n/N=-0.8)で、「◎」(特に良好)となった。また、比較例2(n/N=-1.0)では、「×」不良となった。以上の結果より、粗仕上げ工程において、研磨装置100の相対遠心加速度Fを20.0に設定し、回転速度比n/Nを-0.8≦n/N≦-0.4で規定される範囲で設定することで、ワーク60の表面粗さのばらつきをいっそう抑制することができた。更に好ましくは、研磨装置100の回転速度比n/Nを-0.8≦n/N≦-0.6で規定される範囲で設定することで、ワーク60の表面粗さのばらつきを格段に抑制することができた。
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。
研磨装置100において、研磨工程での稼働条件を、10<F<40、及び-0.9<n/N<-0.1を満たすように、バレル槽の自転回転速度n及び公転回転速度Nが設定される。これにより、凹部を有する形状のワークを遠心バレル研磨する場合に、凹部54の内面における表面粗さが、ワークのそれ以外の箇所での表面粗さと比べて同等になり、ひいては、ワークの表面粗さのばらつきを抑制することができる。
研磨工程では、相対遠心加速度Fが、15<F<35で規定される範囲となるように、バレル槽の自転回転速度n及び公転回転速度Nが設定されている。これにより、凹部を有する形状のワークを遠心バレル研磨する場合に、研磨効率Eを高い値に維持しつつ、ワークの表面粗さのばらつきを抑制することができる。
研磨工程では、-0.8≦n/N≦-0.4で規定される範囲となるように、バレル槽の自転回転速度n及び公転回転速度Nが設定されている。これにより、凹部を有する形状のワークを遠心バレル研磨する場合に、ワークの表面粗さのばらつきをいっそう抑制することができる。さらに好ましくは、-0.8≦n/N≦-0.6で規定される範囲となるように設定されると、ワークの表面粗さのばらつきを格段に抑制することができる。
粗仕上げ研磨工程の後に実行される最終仕上げ工程では、粗仕上げ研磨工程よりもタップ密度の小さい第2研磨材M2を用いる。これにより、粗仕上げ研磨工程で形成された凹部54の内面の凹凸を最終仕上げ工程によりなだらかにすることができ、ワークの表面粗さを、いっそう平滑化することができる。
第1投入工程では、ワークよりも硬度の高い砥材を含む第1研磨材M1を、バレル槽23に投入する。これにより、粗仕上げ研磨工程において、ワークにおける凹部の内面に対する研磨力を高めることができ、例えば、ワークの加工目等を除去する能力が高まり、最終仕上げ工程での研磨を向上させることができる。
第2投入工程では、第1研磨材M1よりも硬度の高い砥材を含む第2研磨材M2を、バレル槽23に投入する。これにより、ワークにおける凹部の内面に対する研磨力を高めることができ、ひいては、ワークにおける表面粗さをいっそう平滑化することができる。
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上述した実施形態では、第1研磨材M1は、アルミナを主成分とする母材のみを焼成結合した研磨石に対して砥材を別添加したものであった。これに代えて、第1研磨材M1は、母材のみのものや、砥材と母材としての粘土質結合材とを焼成結合したもの、更には、砥材が母材の表面にコーティングされたものを用いても良い。上述した実施形態では、第2研磨材M2は、砥材が母材の表面にコーティングされたソフトメディアであった。これに代えて、第2研磨材M1は、母材のみのものや、砥材と母材としての粘土質結合材とを焼成結合したものであってもよい。第1,第2研磨材M1,M2は、母材を形成する結合材が金属又は合成樹脂により構成されていてもよいし、砥材を含有又は表面にコーティングする母材に加えて、更に、砥材を別体として添加したものであってもよい。
上述した実施形態では、研磨装置100は、公転用モータ24及び自転用モータ25それぞれを駆動させて、バレル槽23を自転及び公転させた。これに代えて、公転用モータ24のみを駆動させることで、バレル槽23を自転及び公転させてもよい。この場合において、公転用モータ24における出力軸の回転を、不図示の伝達機能を介して太陽軸に伝達すればよい。
100…研磨装置、23…バレル槽、50…ワーク、54…凹部、M…研磨材

Claims (7)

  1. ワークを研磨する遠心バレル研磨方法であって、
    バレル槽に、凹部を有するワークと、研磨材とを投入する投入工程と、
    前記バレル槽を、自転軸を中心に自転させつつ、公転軸を中心に公転させることで、前記バレル槽に投入されたワークを研磨する研磨工程と、
    を実行し、
    前記投入工程では、2g/cm以上のタップ密度の前記研磨材を前記バレル槽に投入し、
    Nを、前記バレル槽の公転回転速度とし、
    nを、前記バレル槽の自転回転速度とし、
    前記バレル槽の公転方向を正とし、
    Rを、前記バレル槽の公転軸を中心とする公転半径とし、
    F=4π×N×R/gを、前記バレル槽の公転により当該バレル槽に加わる遠心加速度に対する重力gの比である相対遠心加速度とした場合に、
    前記研磨工程では、
    10<F<40、
    -0.9<n/N<-0.1、
    で規定される範囲となるように、前記バレル槽の前記自転回転速度及び前記公転回転速度が設定されている遠心バレル研磨方法。
  2. 前記研磨工程では、
    前記相対遠心加速度が、15<F<35で規定される範囲となるように、前記バレル槽の前記自転回転速度及び前記公転回転速度が設定されている請求項1に記載の遠心バレル研磨方法。
  3. 前記研磨工程では、
    -0.8≦n/N≦-0.4で規定される範囲となるように、前記バレル槽の前記自転回転速度及び前記公転回転速度が設定されている請求項1又は2に記載の遠心バレル研磨方法。
  4. 前期研磨工程では、
    -0.8≦n/N≦-0.6で規定される範囲となるように、前記バレル槽の前記自転回転速度及び前記公転回転速度が設定されている請求項1又は2に記載の遠心バレル研磨方法。
  5. 前記投入工程は、前記研磨材として第1研磨材が投入される第1投入工程であり、
    前記研磨工程は、前記第1投入工程の後に実行される第1研磨工程であり、
    前記第1研磨工程の後に、前記ワークと、前記第1投入工程で投入される前記第1研磨材よりもタップ密度の小さい第2研磨材とを前記バレル槽に投入する第2投入工程と、
    前記第2投入工程の後に、前記バレル槽を、前記自転軸を中心に自転させつつ、前記公転軸を中心に公転させることで、前記バレル槽に投入されたワークを研磨する第2研磨工程と、を実行し、
    前記第2研磨工程では、
    10<F<40、
    -0.9<n/N<-0.1、
    で規定される範囲となるように、前記バレル槽の前記自転回転速度及び前記公転回転速度が設定されている請求項1~4のいずれか一項に記載の遠心バレル研磨方法。
  6. 前記第1研磨材の前記砥材は、前記ワークよりも硬度が高い請求項5に記載の遠心バレル研磨方法。
  7. 前記第2研磨材の前記砥材は、前記第1研磨材の前記砥材よりも硬度が高い請求項5又は6に記載の遠心バレル研磨方法。
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