JP6770719B2 - バレル研磨用の研磨体及びバレル研磨方法、並びにこの研磨体の製造方法 - Google Patents

バレル研磨用の研磨体及びバレル研磨方法、並びにこの研磨体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、被加工物のバリ取り、R付け、平滑化、光沢出し等のために行われるバレル研磨に用いられる研磨体、この研磨体を用いたバレル研磨方法、並びにこの研磨体の製造方法に関する。
バレル研磨は、被加工物と研磨体と必要に応じて研磨助剤と湿式研磨の場合は水と、をバレル槽に投入後、バレル槽に運動(回転、振動、遊星運動、等)を与えることで、これらの投入物質で形成される“マス”を撹拌流動させて、被研磨物と研磨体との接触により被加工物の研磨を行う。
バレル研磨用の研磨体として、研磨材粒子をビトリファイド結合剤にて成形されたタイプと、研磨材粒子を樹脂にて成形したタイプと、が広く用いられている。(特許文献1)
研磨材粒子をビトリファイド結合剤にて成形した研磨体は、その製法により2つに分類される。1つ目のタイプは、粘土や陶料に研磨材粒子を含有させて混練したものを一定形状・寸法に成形し、高温で焼成させたものである。このタイプの研磨体は、圧潰強度が比較的に低く破砕される場合がある。その結果、破砕された研磨体により被加工物がダメージを受ける場合がある。
2つ目のタイプは、微細なアルミナ粉末にアルミナ質の研磨材粒子を含有させて混練したものを一定形状・寸法に成形し、高温で焼結させたものである。このタイプの研磨体は、圧潰強度が比較的に高く破砕されにくいが、長時間にわたって切削能力を維持できない側面がある。また、研磨体の蓄熱性が高いので、研磨時間の経過と共にマスが高温になる。その為、研磨助剤の性能が低下したり、密閉タイプのバレル研磨機で研磨した際にバレル槽の内圧が上昇したりする問題も生じる。
また、研磨材粒子を樹脂にて成形した研磨体は、高分子材料に研磨材粒子を含有させて混練したものを一定形状・寸法に成形し、硬化させたものである。このタイプの研磨体は、研磨体の衝突による被加工物への打痕の発生が少ない研磨を行うことができるが、比重が軽いので切削能力が低い側面がある。また、使用する樹脂は高価である。
特開昭60−242960号公報
従来の研磨体はそれぞれ長所と短所がある。本発明は、被加工物を必要以上に粗面化することなく、且つ高い切削能力を有するバレル研磨用の研磨体を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、バレル研磨に用いる研磨体である。この研磨体は同質の粒子が溶融または半溶融して形成された結合体によって研磨材粒子同士が結合している焼結体である。この結合体の主成分は研磨材粒子と異なる材質であり、結合体の硬度は研磨材粒子の硬度よりも低い。
本発明の一側面は、上述の研磨体を用いたバレル研磨方法である。このバレル研磨方法は以下の(1)〜(3)の工程を含む。
(1)研磨体と被加工物と、必要に応じて研磨助剤及び水と、をバレル槽に投入する工程。
(2)研磨体と被加工物と必要に応じて投入された研磨助剤及び水とで形成されるマスを流動化する工程。
(3)被加工物を研磨する工程。
そして、(3)被研磨物を研磨する工程は、次の(4)(5)の工程を含む。
(4)研磨体が被加工物に接触する際の衝突エネルギーを結合体が吸収すると共に研磨材粒子によりが被加工物を切削する工程。
(5)研磨体の外表面に位置する研磨材粒子が脱離する工程。
本発明の一側面は、研磨体の製造方法である。この研磨体の製造方法は以下の(1〜(3)の工程を含む。
(1)所定の比率となるように秤量した研磨材粒子および結合体を構成する粒子を、含水率を調整しながら混練して混合材料を得る工程
(2)混合材料を所定の形状に成形して成形品を得る工程
(3)成形品を焼成する工程。この工程は、結合体を構成する粒子同士が結合するとともに、前記結合体を介して前記研磨材粒子同士が結合する工程を含む。
研磨体の構成を、結合体によって研磨材粒子同士が結合している構成とすることで、研磨材粒子を樹脂にて成形するタイプの研磨体に比べて高い切削能力を確保することができると共に、安価に製造することができる。
また、結合体を同質の粒子が溶融または半溶融して形成することで、この粒子同士の結合力が高くなる。その結果、ビトリファイド結合体として粘土や陶料を用いたタイプの研磨体よりも強度の高い研磨体が得られる。
さらに、結合体の主成分を研磨材粒子が異なる材質とすることで、研磨の進行に応じて表層の研磨材粒子が脱離して新たな研磨材粒子を露出することになる。即ち、目詰まり(表面に露出した研磨材粒子間に研磨粉が堆積)したり、目潰れ(表面に露出した研磨材粒子のみが摩耗)したりすることなく、長時間にわたって切削能力を発揮することができる。そして、結合体の硬度は研磨材粒子の硬度よりも低いことで、研磨材粒子の脱離により表面に露出した結合体は相対的に破壊が進むので、目こぼれ(砥粒が脱離したままの表面)の状態になることがない。即ち、ビトリファイド結合体としてアルミナ粉末を用いたタイプの研磨体に比べて、研磨力を長時間にわたって維持することができる。
本発明の一実施形態は、研磨材粒子の含有率を20〜50wt%としてもよい。適度な切削能力を確保することができる。
本発明の一実施形態は、結合体の粒子の平均粒子径を0.1〜10μmとしてもよい。結合体の粒子同士の結合力が向上するので、研磨材粒子の結合力が向上する。
本発明の一実施形態は、結合体の主成分を二酸化珪素とし、研磨材粒子をアルミナ質としてもよい。二酸化珪素とすることで、研磨中にマスの温度が上がっても研磨体に蓄熱するのを抑えることができる。
一側面または一実施形態のバレル研磨用の研磨体及びバレル研磨方法は、長時間にわたって高い研磨能力を維持すると共に、被加工物を適正に研磨できる。
一実施形態のバレル研磨用の研磨体の形状の一例を示す模式図である。 一実施形態のバレル研磨用の研磨体の製造方法を説明するフローチャートである。 一実施形態で使用したバレル研磨機を説明する模式図である。 一実施形態のバレル研磨方法を説明するフローチャートである。 一実施形態の研磨体の断面形状を示す模式図である。 一実施形態の研磨体に関する試験結果を示すグラフである。 一実施形態の研磨体に関する試験結果を示すグラフである。
本発明のバレル研磨用の研磨体(以降、「メディア」と記す)及びバレル研磨方法の一実施形態として、図を参照して説明する。本発明は本実施形態に限定されず、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加えることができる。なお、説明における左右上下方向は特に断りのない限り図中の方向を指す。
図1は、一実施形態によるメディアMの例を示す斜視図である。本実施形態によるメディアMは、研磨目的に合わせて数ミリから数十ミリの柱形状、球形状、錐形状等の任意形状に成形される。図1(a)〜(d)に、その形状の例を示す。図1(a)は三角柱形状、図1(b)は円柱形状、図1(c)は断面形状が略Y字である柱形状、図1(d)は球形状、図1(e)は円錐形状、図1(f)は四角錐形状、である。なお、図示しないが、柱形状の場合は端部(図1における左右端)を斜めに切断して得られる形状(縦断面形状が平行四辺形)としてもよい。
一実施形態のメディアMは、研磨材粒子Gが結合体Bを介して結合しているものである。具体的には、以下のようにして得られる(図2を参照)。
(1)研磨材粒子Gと結合体Bを構成する粒子(以降、「結合体粒子」と記すが所定の配合比となるように秤量する。
(2)加水等で含水率を調整しながらこれらを混練し、混合材料を得る。
(3)混合材料を成形手段により所定の形状に成形して成形品を得る。なお、成形は押し出し成形や鋳込み成形などの他ペレタイザー等の造粒機による造粒も含む。成形は、その他公知の方法からも適宜選択してもよい。
(4)成形品を所定の水分率となるよう乾燥する。
(5)乾燥した成形品または造粒品を加熱炉にて焼成する。所定のヒートパターンとなるように温度及び時間を制御しながら焼成することで、結合体粒子が溶融または半溶融の状態になり、結合体粒子同士が結合して結合体Bとなる。研磨材粒子G同士は結合体Bを介して結合し、焼結体となる。
(6)焼成後、所定のヒートパターンで冷却する。
(7)冷却後、これらを回転容器またはバレル研磨機の投入し、共ずりを行う。なお、この工程は必要に応じて行うものであり、省略してもよい。
秤量する工程における結合体は、粒子状であっても粒子が水等の液体に分散された状態であってもよい。また、いずれの状態であっても、粒子は同質である。即ち、粘土のような複数の組成の粒子の混合とは異なる。結合体の粒子として同質の粒子を用いることで、研磨材粒子Gの結合力が向上する。
結合体Bの粒子の主成分を50質量%とすると結合体Bの粒子同士の親和性が向上するので、研磨材粒子Gの結合力が向上する。
結合体Bの粒子の粒子径(平均粒子径d50)を、0.1〜20μm、望ましくは0.1〜10μmとすると、粒子同士の接触面積が増えるので、研磨材粒子Gの結合力が向上する。
バレル研磨では、研磨中に研磨粉(ワークの切削粉やメディアM同士の摩耗により発生する粉)が多量に発生するので、この研磨粉が砥粒同士の隙間に入り込む。研磨材粒子G同士の結合力が必要以上に強い場合、隙間に入り込んだ研磨粉はそのままメディアMに保持され、いわゆる「目詰まり」が生じる。
または、研磨材粒子G同士の結合力が必要以上に強い場合、表面に露出した研磨材粒子Gは脱離せずに摩耗する、いわゆる「目潰れ」が生じる。
それらの結果、メディアM全体としての研磨力が低下する。適度な結合力であれば、研磨中に表層に位置する研磨材粒子Gが脱離することで研磨粉もメディアMの表面から脱離するので、目詰まりが生じることがない。研磨材粒子Gと結合体Bとは互いに異なる材料のものとすることで、適度な結合力を確保して目詰まりや目潰れの発生を抑制することができる。
結合体Bが硬すぎると、バレル研磨中に研磨材粒子Gが脱離して結合体Bが表面に露出した場合にこの結合体Bの破壊が進まない。その結果、メディアMの表面は砥粒が脱離した状態の結合体Bが露出している、いわゆる「目こぼれ」が生じる。結合体Bの硬度を研磨材粒子Gの硬度よりも低くすることで、目こぼれの発生を抑制することができる。
メディアMに対して研磨材粒子Gの含有率が低すぎると研磨力が不足する。高すぎると相対的に結合体Bの含有率が低くなるので研磨材粒子G同士の結合力が不足する。その結果、研磨中に必要以上に研磨材が脱離するので、メディアMの損耗が激しくなる。さらに、メディアM自体に割れや欠けが発生する場合もある。本実施形態では、研磨材粒子Gの含有率を20〜50wt%とした。
バレル研磨ではメディアMと被加工物とが激しく衝突を繰り返すので、衝突によって熱が発生する。メディアMの熱伝導性が高いとこの熱をメディアMが吸収する。即ち、発生した熱が大気への放熱が抑えられ、代わりにメディアMが蓄熱する。その結果、研磨助剤を投入した場合は熱による性能劣化が生じる。
また、湿式バレル研磨においては、メディアMの熱容量が多いと発生する水蒸気が多くなるので、たとえば遠心バレルや回転バレルのように密閉されたバレル槽で研磨を行う場合はバレル槽の内圧が高くなる。
メディアMにおいて、結合体Bは相当量を含んでいる。結合体Bの材質は上記を鑑み、硬度、熱伝導率、比熱、比重、をも考慮して決定される。本実施形態では、結合体Bの主成分を二酸化珪素とし、研磨材粒子Gをアルミナ質とした。
次に、一実施形態のメディアMによるバレル研磨方法について説明する。本実施形態では、図3に示すバレル研磨機によって湿式でバレル研磨を行った場合を例示する。
図3に示すバレル研磨機10は、バレル槽が遊星運動する、いわゆる遠心バレル研磨機である。このバレル研磨機10は、マスが装入される4つのバレル槽11と、バレル槽11がそれぞれ着脱自在に固定される4つのバレル槽ケース12と、バレル槽ケース12を回転可能に固定する一対のタレット13(公転円盤)と、タレット13の平面中心に固定されている公転軸14と、公転軸14を軸心としてタレット13を回転させる駆動機構15と、タレット13の回転に従動してバレル槽ケース12を回転させる従動機構16と、を備える。なお、図1では、便宜上3つのバレル槽11及び3つのバレル槽ケース12のみを図示している。
バレル槽11は、その内部に八角形の断面形状を有する空間を画成する中空の容器であり、上面が開口したバレル槽本体と、この開口部を覆って内部の空間を密封できるバレル槽蓋と、で構成される。内部が密封されたバレル槽11はバレル槽ケース12に着脱自在に固定される。
バレル槽ケース12はそれぞれ両端に自転軸12aを備えている。また、内部が密閉されたバレル槽11を着脱自在に固定できる構成となっている。
一対のタレット13は円盤形状を有しており、互いに対面するように設けられている。各タレット13の平面中心には公転軸14が挿通できる穴が形成されており、各穴には公転軸14を回転可能に嵌合できる第一軸受13aが設けられている。各タレット13は、シャフトホルダ14aに固定される公転軸14に第一軸受13aを介してそれぞれ回転可能に支持されている。また、各タレット13には、その周方向に沿って複数の第二軸受13bが等間隔で設けられている。これらの第二軸受13bは、複数のバレル槽ケース12の自転軸12aに個別に嵌合し、各自転軸12aを回転可能に支持している。即ち、一対のタレット13は、バレル槽ケース12を、自転軸12aおよび第二軸受13bを介して挟み込むように配置されており、且つ中心に挿通された公転軸14に固定されている。この構成により、4つのバレル槽ケース12が両タレット13の間に等間隔で、かつタレット13に対して相対回転可能に配置されている。
駆動機構15は、駆動モータ15a、モータプーリ15b、公転プーリ15c、及び駆動ベルト15dを含んでいる。モータプーリ15bは、駆動モータ15aの回転軸に固定されている。公転プーリ15cは、一対のタレット13のうち一方のタレット13(図1では左側)の外周に設けられている。駆動ベルト15dは、モータプーリ15bと公転プーリ15cとの間に架け渡されている。
従動機構16は、駆動プーリ16a、従動プーリ16b、及び従動ベルト16cを含んでいる。駆動プーリ16aは、公転軸14に固定されている。従動プーリ16bは、自転軸12aに固定されている。従動ベルト16cは、駆動プーリ16aと前記従動プーリ16bとの間に架け渡されている。
駆動モータ15aを作動させると公転軸14を中心にタレット13が回転する。このタレット13の回転に伴い、バレル槽ケース12に固定されたバレル槽11が公転軸14を軸心として旋回(公転)する。また、従動機構16によって、バレル槽11は自転軸12aを軸心としてタレット13の回転方向と逆方向に回転(自転)する。
以上の様に、バレル槽11は自身の回転による自転およびタレット13の回転による公転、即ち遊星運動をすることができる。
この遠心バレル研磨機10を用いたバレル研磨方法を、図4及び図5を参照して説明する。
S1:バレル槽に投入する工程
それぞれバレル槽本体に、被加工物とメディアMと水と研磨助剤とを投入した。これらはマスを形成する物質である。投入後、バレル槽蓋を固定し、バレル槽11の内部の空間を密封した。その後、バレル槽11をそれぞれバレル槽ケース12に固定する。
なお、研磨助剤は目的に応じて適宜選択される。目的は以下に例示される。
(a)研磨力の向上
(b)研磨メディアの洗浄および研磨力の持続(研磨メディアの目詰まりを防止)
(c)被加工物の洗浄
(d)被加工物の光沢度の向上
(e)被加工物のスケールの除去。
(f)被加工物の油脂の除去
(g)被加工物に防錆効果を付与、または被加工物の変色の防止
(h)被加工物表面に打撃痕の形成を防止
(i)水を軟化
(j)被加工物が硬脆材料の場合、チッピングの抑制
S2:マスを流動化させる工程
バレル研磨機10を作動させると、バレル槽11が遊星運動を行う。この運動により、被加工物および研磨メディアMを含むマスが流動状態になる。
S3:被加工物を研磨する工程
マスが流動状態になると、メディアMと被加工物とが接触・衝突を繰り返す。この接触・衝突によって被加工物は研磨される。
図5はメディアMの断面を示している。同図における上面はメディアMの外表面であり、外表面は研磨材粒子Gによって凹凸が形成されている。バレル槽11の遊星運動を継続すると、被加工物は研磨メディアMと接触する。この時、研磨材粒子Gの凸部によって被加工物が切削される。切削の際、被加工物の切削粉などの微粉末が発生する。この微粉末は研磨材粒子G同士で形成される凹部よりも小さいため、微粉末はこの凹部に入り込む。この状態でメディアMが被加工物及びバレル槽11の壁面とさらに衝突を繰り返すと、凹部に入り込んだ切削粉はより強固に押し固められる。即ち、メディアMの外表面は目詰まりの状態となり凹凸が消滅するので、メディアの切削力が悪くなる。この状態でメディアMと被加工物の衝突を繰り返すと、研磨が進まないどころか、被加工物の表面に打痕が生じる。
また、所定の研磨材粒子GがメディアMの表面に固定されたままの場合、この研磨材粒子Gは被加工物との接触によって摩耗し、凸部が消滅する。その結果、メディアMの外表面は目潰れの状態となり凹凸が消滅するので、メディアの切削力が悪くなる。この状態でメディアMと被加工物の衝突を繰り返すと、研磨が進まないどころか、被加工物の表面に打痕が生じる。
一実施形態のメディアMは研磨材粒子Gをアルミナ質、結合体Bの主成分を二酸化珪素と、互いに異なる材料であるので、従来の焼結メディアと比べて適度な結合力を有している。従って、目詰まり又は目潰れの状態になる前に表層の研磨材粒子Gが脱離する。その際、凹部に入り込んだ微粉末も脱離し、切削能力の高い研磨材粒子がメディアMの表層に現れる。この動きはバレル研磨を行っている間繰り返し生じるので、一実施形態のメディアMは長時間にわたって高い研磨能力を保持することができる。
また、一実施形態のメディアMは同質の粒子が溶融または半溶融して結合体Bを形成し、この結合体Bを介して研磨材粒子同士が結合している焼結体である。さらに、この粒子の平均粒子径が0.1〜10μmである。従来のビトリファイド結合体として粘土や陶料を用いたタイプのメディアの場合、粘土や陶料は異質の粒子同士によって結合体が形成されており、結合体を構成する粒子の平均粒子径は大きく、且つその粒子の粒度分布はブロードである。従って、ビトリファイド結合体として粘土や陶料を用いたタイプの従来のメディアと比べて一実施形態のメディアMは研磨材同士の結合力が強いので、研磨材粒子Gの必要以上の脱離や結合力不足に起因するメディアMの割れや欠けの発生を防ぐことができる。
結合体Bを構成する粒子は大半が同質の粒子であればよく、粒子の結合力に影響を及ぼさない範囲で異質の粒子が混在することは許容される。
一実施形態のメディアMはビトリファイド結合体としてアルミナ粉末を用いたタイプの従来のメディアと比べて結合体Bの硬度が低いので、研磨材粒子Gの脱離により表面に露出した結合体Bは破壊が進む。その結果、新たな研磨材粒子Gが表面に露出するので、目こぼれの状態となることがなく、長時間にわたって高い研磨能力を維持することができる。
一実施形態のメディアMは結合体Bとして二酸化珪素を主成分としているので、ビトリファイド結合体としてアルミナ粉末を用いたタイプの従来のメディアに比べて蓄熱性が低い。その為、マスの温度の上昇を低減できるので、研磨助剤の性能劣化を軽減することができる。
一実施形態のメディアMは結合体Bとして二酸化珪素を主成分としているので、ビトリファイド結合体としてアルミナ粉末を用いたタイプの従来のメディアに比べて熱容量が低い。その為、水蒸気の発生を抑えることができるので、バレル槽の内圧の上昇を軽減することができる。
S4:被加工物を回収する工程
所定時間が経過した後、バレル研磨機10の作動を停止する。そして、バレル槽11をバレル槽ケース12から取り外し、バレル槽蓋の固定を解除し、内容物を取り出す。内容物をメディアと被加工物に分離した後、被加工物を洗浄する。これを乾燥し、一連のバレル研磨の工程が完了する。
次に、一実施形態のメディアにてバレル研磨を行った試験結果について説明する。
被加工物はφ22×15mmのS45C材を用いた。被加工物は、サンドペーパ及び羽布仕上げにてJIS B0601(1994)に規定される算術平均粗さRa(以降、「表面粗さ」と記す)を0.005μmに予め調整した。
研磨メディアは、一実施形態に係る研磨メディアであり、研磨材粒子をアルミナ質、結合体の主成分を二酸化珪素としたものであり、研磨材粒子の含有率を10〜60%に調整したものを準備した。
また、比較として、従来の焼成メディア(比較例1)及び焼結メディア(比較例2)を準備した。比較例1及び比較例2の研磨材粒子は共にアルミナ質であり、その含有率は40質量%とした。
一実施形態及び従来のメディアは、いずれもφ5mmの球形状とした。
内容石が8Lの4つのバレル槽のそれぞれに、1枚の被加工物と、見かけ体積が該バレル槽の37〜65%となるように複数個のメディアと、該メディアが全て浸漬する量の水と、15〜50mlの研磨助剤と、をそれぞれ投入した。
バレル研磨機にて60分間研磨を行った後、被加工物およびメディアを回収した。その後、以下の評価を行った。なお、測定はバレル槽それぞれに対して行い、その平均値にて評価を行った。
<研磨量>
研磨の前後で被加工物の重量を測定し、その差を算出した。
<表面粗さ>
接触式の表面粗さ測定器にて表面粗さRaを測定した。
<メディアの損耗率>
研磨の前後でメディアの総重量を測定し、研磨前の重量に対する研磨前後の重量差を算出した。なお、研磨後のメディアは、遠心乾燥機にて15分間乾燥した後測定を行った。
図6及び図7を参照して結果を説明する。図6において一実施形態のメディア(実施例)と比較すると、比較例1は研磨量、表面粗さ、損耗率の全てにおいて大きい結果になった。これは、従来の焼成メディアは研磨力が強いが損耗も多く、且つ被加工物の粗面化も大きいことを示している。比較例2はその逆であり、研磨量、表面粗さ、損耗率の全てにおいて実施例よりも大きい結果になったが。実施例は比較例1と比較すると比較例2に近い結果となった。
図7は研磨材粒子の含有率が40%のメディアにおける、連続使用時の安定性を示すグラフである。このグラフは、メディアのみ同一のものを使用し、上述のバレル研磨を繰り返し行った試験を行った結果である。実施例は3回とも同等の研磨量であったのに対し、比較例2は使用回数ごとに研磨力が低下しているのが判る。
以上の結果、一実施形態に係るメディアは、従来の焼成メディアに比べると被加工物の表面を必要以上に粗面化することなく、且つ研磨による損耗が少ない利点がある。また、従来の焼結メディアと比べると、研磨量、面粗度調整力、損耗量の全てにおいて優れており、且つ長時間にわたって高い研磨能力を有している利点がある。従って、一実施形態のメディアは、従来のメディアにない高い性能を有していることがわかる。
また、一実施形態のメディアにおける研磨材粒子の含有率の影響について説明する。図6(A)における点線は、実施例の研磨量を示す近似直線である。同図に示すように、含有率が10質量%の場合の研磨量はこの近似直線を下回っており、研磨の進行が遅いことを示している。また、50質量%の場合の研磨量はこの近似直線を下回っており、研磨材粒子を増加しても研磨量は比例して増加するものではないことを示している。研磨材粒子の含有量は、面粗度調整力や損耗量との関係も考慮して総合的に決定されるが、20〜50質量%とすると概ね良好な結果が得られることがわかった。
上述の説明では、遠心バレル研磨機でのバレル研磨を例に説明したが、一実施形態のメディアは、回転バレル、振動バレル、流動バレル等あらゆるバレル研磨に用いることができる。また、湿式のみならず乾式でバレル研磨を行う際にも用いることができる。
10 バレル研磨機
11 バレル槽
12 バレル槽ケース
12a 自転軸
13 タレット
13a 第一軸受
13b 第二軸受
14 公転軸
15 駆動機構
16 従動機構
B 結合体
G 研磨材粒子
M メディア(研磨体)

Claims (2)

  1. バレル研磨に用いる研磨体であって、
    前記研磨体は同質の粒子が溶融または半溶融して形成された結合体によって研磨材粒子同士が結合している焼結体であり、
    前記結合体の主成分は二酸化珪素であって、該結合体を構成する粒子の平均粒子径が0.1〜10μmであり、
    前記結合体の硬度は前記研磨材粒子の硬度よりも低く、
    前記研磨材粒子はアルミナ質であって、該研磨材粒子が20〜50wt%含有されている
    ことを特徴とするバレル研磨用の研磨体。
  2. バレル研磨に用いる研磨体は同質の粒子が溶融または半溶融して形成された結合体によって研磨材粒子同士が結合している焼結体であり、前記結合体の主成分は前記研磨材粒子と異なる材質であり、前記結合体の硬度は前記研磨材粒子の硬度よりも低い研磨体を用いたバレル研磨方法であって、
    前記結合体は、主成分が二酸化珪素であって、該結合体を構成する粒子の平均粒子径が0.1〜10μmであり、
    前記結合体の硬度は前記研磨材粒子の硬度よりも低く、
    前記研磨材粒子はアルミナ質であって、該研磨材粒子が20〜50wt%含有されており、
    前記研磨体と、被加工物と、研磨助剤及び水と、をバレル槽に投入する工程と、
    前記研磨体と前記被加工物と前記研磨助剤及び前記水とで形成されるマスを流動化する工程と、
    前記被加工物を研磨する工程と、
    を含み、
    前記被加工物を研磨する工程は、前記研磨体が前記被加工物に接触する工程と、
    前記研磨体が前記被加工物に接触する際の衝突エネルギーを前記結合体が吸収すると共に前記研磨材粒子により被加工物を切削する工程と、
    前記研磨体の外表面に位置する研磨材粒子が脱離する工程と、
    を含むバレル研磨方法。
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