JP6212275B2 - 積層シート、積層シートの製造方法および成形体 - Google Patents
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上述のような立体感はあるが絵柄層そのものに厚さの変化が無く奥行き感に乏しい単調な意匠ではなく、絵柄層に立体感とその変化があり、さらには奥行き感のある意匠が表現でき、本物の金属ヘアライン、木目、カーボンクロス等のような不規則な立体感や奥行き感を有する意匠、また、さらには自然物と加工物を組み合わせつつ、立体感とその変化や奥行き感をも有するような新たな意匠を表現することが求められていた。
本発明の積層シート1は、光透過性を有する樹脂層2の一方の面に、絵柄層3および着色層4が順次積層され、絵柄層3が光透過性を有する電離放射線硬化型樹脂からなり、樹脂層2が着色層4に接することなく、絵柄層3の厚さが連続的に変化し、互いに平行である複数の断面における絵柄層3の断面積が異なるものである。
詳しくは、絵柄層自体の厚さが不規則に変化することにより、隣接する着色層4との界面に不規則な凹凸形状を付与することで、立体感とその変化を感じ、さらには、絵柄層3が光透過性を有することにより、絵柄層3と着色層4との重なりによる視覚的な変化と、上述の絵柄層3の厚さと透過率の変化による視覚的な変化により奥行き感をも感じることができる積層シートが得られる。
顔料は、有機、無機を問わず使用することができる。
有機顔料としては、例えば、ニトロソ類、染付レーキ類、アゾレーキ類、不溶性アゾ類、モノアゾ類、ジスアゾ類、縮合アゾ類、ベンゾイミダゾロン類、フタロシアニン類、アントラキノン類、ペリレン類、キナクリドン類、ジオキサジン類、イソインドリン類、アゾメチン類、ピロロピロール類などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、酸化物類、水酸化物類、硫化物類、フェロシアン化物類、クロム酸塩類、炭酸塩類、ケイ酸塩類、リン酸塩類、炭素類(カーボンブラック)、金属粉類などが挙げられる。
また、絵柄層3が無色透明であっても光の反射加減にて絵柄層の厚さの変化を感じ、同様の効果を得ることは可能である。
なお、樹脂層2と絵柄層3を合わせた積層体が少なくとも一部において、波長400nm〜700nmの範囲で10%以上の光線透過率を有することが好ましい。さらに、該光線透過率が変化することにより、奥行き感を得ることができる。また、必要に応じて奥行きを持たせない部分を有してもよい。この場合の該光線透過率は10%未満とする。奥行き感を有する部分と奥行き感を有しない部分を混在させることにより、全体の意匠として変化に富んだ意匠を得ることができる。
各層の境界面で光線の変化を得るために、樹脂層2で使用する樹脂と絵柄層3で使用する樹脂は異なっていることが好ましい。また、絵柄層3と着色層4の使用樹脂も同様に異なっていることが好ましい。
つまり、断面(a)と断面(g)の断面積および断面形状が異なることを意味し、本発明の積層シート1を構成する連続的に厚さが変化する絵柄層3は、任意の断面における断面積および断面形状とが連続的に変化することを特徴としている。このような変化は、微小距離で起こるものであり、広域では断面積や断面形状が同じものが存在する場合もある。
顔料は、有機、無機を問わず使用することができる。
有機顔料としては、例えば、ニトロソ類、染付レーキ類、アゾレーキ類、不溶性アゾ類、モノアゾ類、ジスアゾ類、縮合アゾ類、ベンゾイミダゾロン類、フタロシアニン類、アントラキノン類、ペリレン類、キナクリドン類、ジオキサジン類、イソインドリン類、アゾメチン類、ピロロピロール類などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、酸化物類、水酸化物類、硫化物類、フェロシアン化物類、クロム酸塩類、炭酸塩類、ケイ酸塩類、リン酸塩類、炭素類(カーボンブラック)、金属粉類などが挙げられる。
また、波長400nm〜700nmの範囲における着色層4の透過率は、隠蔽性の観点から、5%以下であることが好ましく、さらには0%であることが好ましい。
〔絵柄層インクの作製〕
(顔料母液の処方)
1)商品名「NIPex 35」;15重量部
(エボニックデグサジャパン(株)、カーボンブラック顔料)
2)商品名「SOLSPERSE32000」;7.5重量部
(日本ルーブリゾール(株)、分散剤)
3)商品名「SR9003」;77.5重量部
(サートマージャパン(株)、反応性モノマー、プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート、Tg:32℃、25℃での粘度:15mPa・s)
上記材料をミキサーにて混合することにより、顔料母液を作製した。
1)上記にて作製した顔料母液;13重量部
2)商品名「CN996」;10重量部
(アルケマ(株)、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー)
3)商品名「V#150」;25重量部
(大阪有機化学工業(株)、テトラヒドロフルフリルアクリレート)
4)ACMO;32重量部
(興人(株)、アクリルモルフォリン)
5)アロニックスM−140;10重量部
(東亞合成(株)、2−(1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド)エチルアクリレート)
6)ダロキュア1173;5重量部
(BASF(株)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)
7)イルガキュア819;5重量部
(BASF(株)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)
上記材料をミキサーにて混合することにより、絵柄層インクを作製した。
(印刷条件)
ヘッド加熱温度:57℃
ノズル径:70μm
印加電圧:50V
パルス幅:15μs
駆動周波数:4.5kHz
解像度:720dpi
図柄:木目柄
(紫外線照射条件)
ランプ種類:メタルハライドランプ
ランプの出力:120W/cm
照射時間:1秒
照射回数:20回
照射距離:5mm
なお、樹脂層と絵柄層を合わせた積層体の光線透過率(400〜700nm)は奥行きを持たせる部分が20〜85%の範囲を有したものであった。
インキとしては、二液性のIPXインキ−101ホワイト(帝国インキ製造(株)製)を用い、硬化剤として硬化剤200(帝国インキ製造(株)製)を15重量部添加し、溶剤として希釈剤F−003(帝国インキ製造(株)製)を15重量部添加し希釈し、200メッシュの版を使用してスクリーン印刷を行った。保護層の乾燥膜厚は15μmであった。
絵柄層3を樹脂層2にインクジェット方式の印刷設備で印刷する際に微小幅の矩形の高さをすべて10μmとしたこと以外は実施例1と同様にして積層シートおよび成形体を得た。得られた積層シートおよび成形体は絵柄層自体に立体感もその変化も感じず、さらには絵柄層と着色層との複合的な作用で発生する奥行き感が無く意匠性が優れているとは言えないものであった。
透過性を有する樹脂層2に絵柄層3を積層したのち、エンボス加工で木目模様の凹凸形状を施したこと以外は比較例1と同様にして積層シート(図8参照)および成形体を得た。得られた積層シートおよび成形体は絵柄層と着色層との複合的な作用で発生する立体感は感じられるが、絵柄層自体に立体感と奥行き感も感じない意匠であった。
2 樹脂層
3 絵柄層
4 着色層
a、b 微小断面
5 保護層
6 バインダー層
7 木目柄
Claims (4)
- 光透過性を有する樹脂層の一方の面に、絵柄層、着色層が順次積層された積層シートであって、絵柄層が光透過性を有する電離放射線硬化型樹脂からなり、樹脂層がポリカーボネート系樹脂からなり、着色層がポリエステル系樹脂と1種類以上の顔料や染料とからなり、樹脂層と着色層とが接しておらず、樹脂層と絵柄層を合わせた積層体が少なくとも一部において、波長400nm〜700nmの範囲で10%以上の光線透過率を有し、絵柄層の厚さが連続的に変化し、微小幅35μm離れた互いに平行である複数の断面における絵柄層の断面積が異なることを特徴とする積層シート。
- 絵柄層において、微小幅35μm離れた互いに平行である複数の断面における断面形状が異なることを特徴とする請求項1に記載の積層シート。
- 光透過性を有するポリカーボネート系樹脂層の一方の面に、電離放射線硬化型樹脂インクを付与後、電離放射線硬化型樹脂インクに電離放射線を照射することにより光透過性を有する絵柄層を形成し、ポリエステル系樹脂と1種類以上の顔料や染料とからなる着色層を形成する積層シートの製造方法であって、絵柄層の厚さが連続的に変化し、微小幅35μm離れた互いに平行である複数の断面における絵柄層の断面積が異なることを特徴とする積層シートの製造方法。
- 請求項1、2のいずれかに記載の積層シートが一体化された成形体であって、樹脂層が最表面であることを特徴とする成形体。
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