JP5189854B2 - 加飾シート及び加飾成形体 - Google Patents
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Description
さらに、各ヘアライン印刷層は透光性であるため、表面側に積層するヘアライン印刷層を通して裏面側に積層するヘアライン印刷層を視認することができる。よって縞状パターンの交差部分の濃度は表面側と裏面側の各ヘアライン印刷層の濃度の相乗効果によって周囲より濃く視認することができ、このような濃淡よりヘアライン模様の凹凸観を高めることができる。また、いわゆる裏面照光が可能なヘアライン模様とすることができ、金属加工ではできない新たなデザインを実現することができる。
1つめの積層構成は、2以上のヘアライン印刷層を直接積層している加飾シートとすることができる。即ち、2以上のヘアライン印刷層が縞状パターンではない他の層を介さずに直接積層しているものとすることができる。2以上のヘアライン印刷層が直接積層している加飾シートとすれば、印刷工程数の削減、低コスト化を実現することができる。2以上のヘアライン印刷層の直接積層では縞状パターンの滲みを排除するため、チキソ性の高いインキを用いることが好ましい。例えば、シリカなどの粉末やワックスをインキに添加してチキソ性を高めることができる。
2以上の各ヘアライン印刷層を同一の縞状パターンとすることができる。2以上のヘアライン印刷層について同一の縞状パターンでなるものとしたため、一の縞状パターンを作成するだけでヘアライン模様を実現することができ、縞状パターンの作成が簡単かつ容易である。そして、一の縞状パターンであっても該縞状パターンを交差して積層したため、深みのあるヘアライン模様を形成することができる。
さらに、表面側に積層するヘアライン印刷層を通して裏面側に積層するヘアライン印刷層を視認することができる。よって縞状パターンの交差部分の濃度は表面側と裏面側の各ヘアライン印刷層の濃度の相乗効果によって周囲より濃く視認することができ、このような濃淡よりヘアライン模様の凹凸観を高めることができる。また、いわゆる裏面照光が可能なヘアライン模様とすることができ、例えば金属加工ではできない新たなデザインを実現することができる。
そして、暗いヘアライン印刷層における交差部分と暗い低明度ヘアライン印刷層における他の部分との濃度差が生じていてもその差を小さくすることができる。よって暗い低明度ヘアライン印刷層の濃度のバラツキを目立たなくすることができ、全体として干渉ムラが見え難いヘアライン模様を実現することができる。
第1実施形態の加飾シート1を図1〜図3に示し、第1実施形態の加飾成形体2を図4に示す。図1は加飾シート1の平面図と底面図、図2は加飾シート1の断面図、図3は加飾シート1における底面図の部分拡大図、図4は加飾シート1を備える加飾成形体2の要部拡大断面図を示す。第1実施形態の加飾シート1は、透明な樹脂フィルムでなる基材シート3の裏面に第1ヘアライン印刷層4、第2ヘアライン印刷層5、保護層6がこの順に積層している。
図4で示すように、加飾成形体2は、熱可塑性樹脂でなる「成形体」としての筐体7に加飾シート1を設けたものである。加飾シート1の基材シート3を最表面にして、筐体7の外形面形状に沿って加飾シート1の保護層6を接着層として固着している。
基材シート3を形成する樹脂フィルムの材質は、複数のヘアライン印刷層を積層できれば足り、その基材シート3を通じて第1ヘアライン印刷層4、第2ヘアライン印刷層5を視認できる樹脂が用いられ、透明な樹脂であることが好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリエチレン樹脂などが挙げられる。
基材シート3の片面に、スクリーン印刷にて第1ヘアライン印刷層4を印刷形成する。そして第1ヘアライン印刷層4を印刷したスクリーン版に対し3.0°の角度で交差する別のスクリーン版を用いて第2ヘアライン印刷層5を印刷形成する。その後これら第1ヘアライン印刷層4と第2ヘアライン印刷層5を覆うようにスクリーン印刷にて保護層6を印刷形成して、加飾シート1を得ることができる。
この加飾シート1を基材シート3がキャビティー面に接するようにして筐体7の射出成形金型にインサートし、熱可塑性樹脂でなる筐体7を射出成形する。このようにして加飾シート1と筐体7とを一体成形し、加飾成形体2を得ることができる。なお、本実施形態では加飾シート1と筐体7とをインサート成形にて一体化しているが、インモールド成形、圧着などの製法を用いることもできる。さらに加飾シート1と筐体7との界面に接着剤を介在させて両者の固着力を高めることもできる。
第1ヘアライン印刷層4と第2ヘアライン印刷層5の縞状パターンが平面視で交差するように積層してあるため、裏面側で積層する第2ヘアライン印刷層5の縞状パターンが、表面側で積層する第1ヘアライン印刷層4の縞状パターンを通して見え隠れし、深みのあるヘアライン模様を有する加飾シート1及び加飾成形体2とすることができる。
さらに、第1ヘアライン印刷層4と第2ヘアライン印刷層5は透光性であるため、表面側に積層する第1ヘアライン印刷層4を通して裏面側に積層する第2ヘアライン印刷層5を視認することができる。よって縞状パターンの交差部分の濃度は表面側と裏面側の各ヘアライン印刷層の濃度の相乗効果によって周囲より濃く視認することができ、このような濃淡よりヘアライン模様の凹凸観を高めることができる。また、裏面照光が可能なヘアライン模様とすることができ、例えば金属加工ではできない新たなデザインを実現することができる。
第1実施形態の加飾シート1では第1ヘアライン印刷層4と第2ヘアライン印刷層5を直接積層する例を示したが、第1変形例の加飾シート11は第1ヘアライン印刷層4と第2ヘアライン印刷層5とを透明層8を介して間接積層したものとすることができる。透明層8もまたスクリーン印刷やグラビア印刷などで形成されるため、第1ヘアライン印刷層4などと同様な印刷用インキが用いられる。但し、第1ヘアライン印刷層4や第2ヘアライン印刷層5は、細い線幅のヘアラインを実現するためダレが起きにくいインキが用いられるのに対し、透明層8は、第1ヘアライン印刷層4によって生じた空隙を埋め、平坦な平面を生じさせるものであることから、レベリング性の高いインキが用いられる。また、透明層8は、第1ヘアライン印刷層4と第2ヘアライン印刷層5よりも透明性の高いインキが用いられる。
このようにすれば、第1ヘアライン印刷層4と第2ヘアライン印刷層5の縞状パターンが混じり合ことを防止でき、第1ヘアライン印刷層4と第2ヘアライン印刷層5の縞状パターンを潰れ難くすることができる。よって縞状パターンを明確に視認でき、見映えの良いヘアライン模様を形成することができる。さらに、立体的に交差する縞状パターンを視認することができ、奥行き方向に凹凸観のあるヘアライン模様を実現することができる。そして、透明層8上に第2ヘアライン印刷層5を印刷形成すれば、平坦面に印刷するため、安定した品位の第2ヘアライン印刷層5を設けることができ、従来技術のような凹凸パターン面にホットスタンプ箔を転写したものと異なり、エアー巻き込みによる品位の低下を防止することができる。
第1実施形態の加飾シート1では第1ヘアライン印刷層4と第2ヘアライン印刷層5を直接積層する例を示したが、第2変形例の加飾シート21は第1ヘアライン印刷層4と第2ヘアライン印刷層5とを「透明層」として基材シート3を介して間接積層し、第1ヘアライン印刷層4の表面側をトップコート層9で被覆したものとすることができる。このトップコート層9は、第1ヘアライン印刷層4を保護するための層であり、印刷やスプレー塗装による塗膜形成など各種塗装によって形成でき、透明性が高い材料が用いられる。
このようにしても第1変形例と同様に、第1ヘアライン印刷層4と第2ヘアライン印刷層5との縞状パターンの混じり合ことを防止でき、縞状パターンを潰れ難くすることができる。よって縞状パターンを明確に視認でき、見映えの良いヘアライン模様を形成することができる。そして、立体的に交差する縞状パターンを視認することができ、奥行き方向に凹凸観のあるヘアライン模様を実現することができる。また、平坦面に印刷するため、安定した品位の第2ヘアライン印刷層5を設けることができ、エアー巻き込みによる品位の低下を防止することができる。さらに第2変形例では、別途透明層を設けるための製造工程やコストを削減することができる。
第1実施形態の加飾シート1では第1ヘアライン印刷層4と第2ヘアライン印刷層5を同一の縞状パターンとする例を示したが、第3変形例の加飾シート31は第1ヘアライン印刷層32と第2ヘアライン印刷層33とを異なる縞状パターンとすることができる。第1ヘアライン印刷層32は3種の線幅と1種の線間隔によって形成される縞状パターンでなり、第2ヘアライン印刷層33は1種の線幅と1種の線間隔によって形成される縞状パターンでなる。そして第1ヘアライン印刷層32と第2ヘアライン印刷層33とが2.0°の角度で交差してなる例である。
このようにすれば、よりランダムな交差部分を実現することができ、不均一なヘアライン模様を視認することができる。なお、「線間隔」とは一の線の外縁から隣接する他の線の外縁までの長さ、即ち線自体の太さを含まない線と線との間の間隔である。
第1実施形態の加飾シート1では第1ヘアライン印刷層4と第2ヘアライン印刷層5を同一の縞状パターンとする例を示したが、第4変形例の加飾シート41は第1ヘアライン印刷層42と第2ヘアライン印刷層43とを異なる縞状パターンとすることができ、
第1ヘアライン印刷層42及び第2ヘアライン印刷層43は所定の線幅から任意に選択された線幅を有する複数の線が、所定の線間隔から任意に選択された間隔をあけて形成されている。第1ヘアライン印刷層42は3種の線幅と3種の線間隔によって形成される縞状パターンでなり、第2ヘアライン印刷層43は第1ヘアライン印刷層42の縞状パターンとは異なる3種の線幅と3種の線間隔によって形成される縞状パターンでなる。そして第1ヘアライン印刷層42と第2ヘアライン印刷層43とが2.0°の角度で交差してなる例である。ここでいう所定の線幅とは、30μm〜150μmの範囲内の線幅であり、所定の線間隔とは、40μm〜200μmの範囲内の線間隔である。このようにすれば、大略平行に並ぶ複数の線でなるヘアライン模様ではあるが、不均一で変化があり面白みのあるヘアライン模様を実現することができる。ここで、線幅及び線間隔の範囲について説明する。線幅が30μmより小さいと線を視認し難くなるためヘアラインと認め難くなる。線幅が150μmを超えると縞状にならずに、ヘアラインと認め難くなる。また、線間隔が40μmより短いと上下に重なる縞状パターンの重なりが見え難くなり、深みのあるヘアラインが得られない。線間隔が200μmを超えるとヘアラインを視認し難くなる。
このようにすれば、第3変形例の加飾シート31よりランダムな交差部分を実現することができ、不均一なヘアライン模様を視認することができる。
第2実施形態の加飾シート51を図1〜図3に示し、第2実施形態の加飾成形体52を図4に示す。第2実施形態の加飾シート51が第1実施形態の加飾シート1と異なるのは、第1ヘアライン印刷層4、第2ヘアライン印刷層5のL*値である。その他の構成、製造方法は第1実施形態と同じである。
第3実施形態の加飾シート61を図9〜図11に示し、第3実施形態の加飾成形体62を図12に示す。図9は加飾シート61の平面図と底面図、図10は加飾シート61の断面図、図11は加飾シート61における底面図の部分拡大図、図12は加飾シート61を備える加飾成形体62の要部拡大断面図を示す。第3実施形態の加飾シート61が第1実施形態の加飾シート1と異なるのは、第1ヘアライン印刷層63、第2ヘアライン印刷層64、第3ヘアライン印刷層65を備える構成である。その他の構成は第1実施形態と同じである。
図12で示すように、加飾成形体62は、熱可塑性樹脂でなる「成形体」としての筐体7に加飾シート61を設けたものである。加飾シート61の基材シート3を最表面にして、筐体7の外形面形状に沿って加飾シート61の保護層6を固着している。
基材シート3の片面に、スクリーン印刷にて第1ヘアライン印刷層63を印刷形成する。そして第1ヘアライン印刷層63を印刷したスクリーン版に対し0.6°の角度で交差する別のスクリーン版を用いて第2ヘアライン印刷層64を印刷形成する。さらに第2ヘアライン印刷層64を印刷したスクリーン版に対し2.9°の角度で交差する別のスクリーン版(第1ヘアライン印刷層63を印刷したスクリーン版に対し2.3°の角度で交差する)を用いて第3ヘアライン印刷層65を印刷形成する。その後これら第1ヘアライン印刷層63、第2ヘアライン印刷層64、第3ヘアライン印刷層65を覆うようにスクリーン印刷にて保護層6を印刷形成して、加飾シート61を得ることができる。
この加飾シート61を基材シート3がキャビティー面に接するようにして筐体7の射出成形金型にインサートし、熱可塑性樹脂でなる筐体7を射出成形する。このようにして加飾シート61と筐体7とを一体成形し、加飾成形体62を得ることができる。なお、本実施形態では第1実施形態と同様に加飾シート61と筐体7とをインサート成形にて一体化しているが、インモールド成形、圧着などの製法を用いることもできる。さらに加飾シート61と筐体7との界面に接着剤を介在させて両者の固着力を高めることもできる。
加飾シート61では、第1ヘアライン印刷層63、第2ヘアライン印刷層64、第3ヘアライン印刷層65の3層で構成したため、短い交差間隔による緻密なヘアライン模様を実現することができる。そしてさらに別のヘアライン印刷層を積層することができるが、第1実施形態の加飾シート1も含め2層〜5層のヘアライン印刷層の積層数が好ましい実施態様である。5層を超えると最も下側に形成したヘアライン印刷層が視認し難くなる不都合が生じる。2層〜3層の積層が緻密で深みのあるヘアライン模様を形成できる点で最も好ましい。
第4実施形態の加飾シート71を図9〜図11に示し、第4実施形態の加飾成形体72を図12に示す。第4実施形態の加飾シート71が第3実施形態の加飾シート61と異なるのは、第1ヘアライン印刷層63、第2ヘアライン印刷層64、第3ヘアライン印刷層65のL*値である。その他の構成、製造方法は第3実施形態と同じである。
第2〜第4実施形態の加飾シート51,61,71について、第1実施形態の加飾シート1と同様の第1〜第4変形例を適用することができる。
実施例、比較例となる加飾シートを以下のとおり製造した。なお、実施例、比較例で用いるヘアライン印刷層用のインクを次の配合比で作製した。
「インクA」; 透明インク:黒色インク=100:2.0
「インクB」; 透明インク:黒色インク=100:1.5
「インクC」; 透明インク:黒色インク=100:1.0
「インクD」; 透明インク:黒色インク=100:0.5
ポリカーボネート樹脂でなる厚さ100μmの基材シート(3)の片面に、スクリーン印刷にて「インクA」を用いて第1ヘアライン印刷層(63)を印刷形成する。そして第1ヘアライン印刷層(63)を印刷したスクリーン版の縞状パターンに対し0.6°の角度で交差する縞状パターンを印刷できる別のスクリーン版と「インクD」を用いて第2ヘアライン印刷層(64)を印刷形成する。さらに第2ヘアライン印刷層(64)を印刷したスクリーン版の縞状パターンに対し2.9°の角度で交差する縞状パターンを印刷できる別のスクリーン版(第1ヘアライン印刷層(63)を印刷したスクリーン版の縞状パターンに対し2.3°の角度で交差する)と「インクD」を用いて第3ヘアライン印刷層(65)を印刷形成する。その後これら第1ヘアライン印刷層(63)、第2ヘアライン印刷層(64)、第3ヘアライン印刷層(65)を覆うようにスクリーン印刷にてポリエステル樹脂系インクでなる保護層(6)を印刷形成して、加飾シート(61)を試料1として製造した。この試料1では視認側となる基材シート(3)側に最もL*値の小さい「低明度ヘアライン印刷層」として第1ヘアライン印刷層(63)を積層してある。
実施例1と異なるのは、「インクB」でなる第1ヘアライン印刷層(63)、「インクC」でなる第2ヘアライン印刷層(64)、「インクD」でなる第3ヘアライン印刷層(65)とした点である。このようにして加飾シート(61)を試料2として製造した。この試料2では視認側となる基材シート(3)側に最もL*値の小さい「低明度ヘアライン印刷層」として第1ヘアライン印刷層(63)を積層してある。
実施例1と異なるのは、「インクB」でなる第1ヘアライン印刷層(63)、「インクD」でなる第2ヘアライン印刷層(64)、「インクD」でなる第3ヘアライン印刷層(65)とした点である。このようにして加飾シート(61)を試料3として製造した。この試料3では視認側となる基材シート(3)側に最もL*値の小さい「低明度ヘアライン印刷層」として第1ヘアライン印刷層(63)を積層してある。
実施例1と異なるのは、「インクD」でなる第1ヘアライン印刷層(63)、「インクD」でなる第2ヘアライン印刷層(64)、「インクA」でなる第3ヘアライン印刷層(65)とした点である。このようにして加飾シート(71)を試料4として製造した。この試料4では基材シート(3)とは反対側に最もL*値の小さい「低明度ヘアライン印刷層」として第3ヘアライン印刷層(65)を積層してある。
実施例1と異なるのは、「インクD」でなる第1ヘアライン印刷層(63)、「インクC」でなる第2ヘアライン印刷層(64)、「インクB」でなる第3ヘアライン印刷層(65)とした点である。このようにして加飾シート(71)を試料5として製造した。この試料5では基材シート(3)とは反対側に最もL*値の小さい「低明度ヘアライン印刷層」として第3ヘアライン印刷層(65)を積層してある。
実施例1と異なるのは、「インクD」でなる第1ヘアライン印刷層(63)、「インクD」でなる第2ヘアライン印刷層(64)、「インクB」でなる第3ヘアライン印刷層(65)とした点である。このようにして加飾シート(71)を試料6として製造した。この試料6では基材シート(3)とは反対側に最もL*値の小さい「低明度ヘアライン印刷層」として第3ヘアライン印刷層(65)を積層してある。
実施例1と異なるのは、「インクC」でなる第1ヘアライン印刷層、第2ヘアライン印刷層、第3ヘアライン印刷層とした点である。このようにして加飾シートを試料7として製造した。この試料7では略同等のL*値のヘアライン印刷層を積層してある。
試料1〜試料7の加飾シートと同様のインクの組み合わせで以下のとおり色差測定用の測定シートを製造した。図13で示すように、この測定シートは基材シートの片面に、スクリーン印刷にて短辺aと長辺bとで構成される矩形状の1層目(第1ヘアライン印刷層相当)を印刷形成する(図13(A))。そして、1層目の短辺aより長い一辺cと1層目の長辺bより短い一辺dとで構成される矩形状の2層目(第2ヘアライン印刷層相当)を1層目の一部を覆うようにスクリーン印刷にて印刷形成する(図13(B))。さらに2層目の一辺cより長い一辺eと2層目の一辺dより短い一辺fとで構成される矩形状の3層目(第3ヘアライン印刷層相当)を1層目と2層目の積層部の一部及び2層目の一部を覆うようにスクリーン印刷にて印刷形成する(図13(C))。
ポリカーボネート樹脂でなる厚さ100μmの基材シートの片面に、「インクA」を用いて1層目(第1ヘアライン印刷層(63)相当)を印刷形成し、「インクD」を用いて2層目(第2ヘアライン印刷層(64)相当)を印刷形成し、「インクD」を用いて3層目(第3ヘアライン印刷層(65)相当)を印刷形成して、測定シートを試料11として製造した。この試料11では試料1と同様に、視認側となる基材シート側に最もL*値の小さい「低明度ヘアライン印刷層」として1層目(第1ヘアライン印刷層(63)相当)を形成してある。
実験例1と異なるのは、「インクB」でなる1層目(第1ヘアライン印刷層(63)相当)、「インクC」でなる2層目(第2ヘアライン印刷層(64)相当)、「インクD」でなる3層目(第3ヘアライン印刷層(65)相当)とした点である。このようにして測定シートを試料12として製造した。この試料12では試料2と同様に、視認側となる基材シート側に最もL*値の小さい「低明度ヘアライン印刷層」として1層目(第1ヘアライン印刷層(63)相当)を形成してある。
実験例1と異なるのは、「インクB」でなる1層目(第1ヘアライン印刷層(63)相当)、「インクD」でなる2層目(第2ヘアライン印刷層(64)相当)、「インクD」でなる3層目(第3ヘアライン印刷層(65)相当)とした点である。このようにして測定シートを試料13として製造した。この試料13では試料3と同様に、視認側となる基材シート側に最もL*値の小さい「低明度ヘアライン印刷層」として1層目(第1ヘアライン印刷層(63)相当)を形成してある。
実験例1と異なるのは、「インクD」でなる1層目(第1ヘアライン印刷層(63)相当)、「インクD」でなる2層目(第2ヘアライン印刷層(64)相当)、「インクA」でなる3層目(第3ヘアライン印刷層(65)相当)とした点である。このようにして測定シートを試料14として製造した。この試料14では試料4と同様に、基材シートとは反対側に最もL*値の小さい「低明度ヘアライン印刷層」として3層目(第3ヘアライン印刷層(65)相当)を積層してある。
実験例1と異なるのは、「インクD」でなる1層目(第1ヘアライン印刷層(63)相当)、「インクC」でなる2層目(第2ヘアライン印刷層(64)相当)、「インクB」でなる3層目(第3ヘアライン印刷層(65)相当)とした点である。このようにして測定シートを試料15として製造した。この試料15では試料5と同様に、基材シートとは反対側に最もL*値の小さい「低明度ヘアライン印刷層」として3層目(第3ヘアライン印刷層(65)相当)を積層してある。
実験例1と異なるのは、「インクD」でなる1層目(第1ヘアライン印刷層(63)相当)、「インクD」でなる2層目(第2ヘアライン印刷層(64)相当)、「インクB」でなる3層目(第3ヘアライン印刷層(65)相当)とした点である。このようにして測定シートを試料16として製造した。この試料16では試料6と同様に、基材シートとは反対側に最もL*値の小さい「低明度ヘアライン印刷層」として3層目(第3ヘアライン印刷層(65)相当)を積層してある。
実施例1と異なるのは、「インクC」でなる1層目(第1ヘアライン印刷層相当)、2層目(第2ヘアライン印刷層相当)、3層目(第3ヘアライン印刷層相当)とした点である。このようにして測定シートを試料17として製造した。この試料17では略同等のL*値のヘアライン印刷層を積層してある。
上記実施例、比較例で製造した試料1〜試料7の各加飾シートについて、外観を評価した。
上記実験例で製造した試料11〜試料17について図14で示すように、各測定シートの測定箇所I〜VIを以下の方法で色彩色差測定し評価した。
「測定箇所I」; 1層目の単層で構成されている。
「測定箇所II」; 2層目の単層で構成されている。
「測定箇所III」; 3層目の単層で構成されている。
「測定箇所IV」; 1層目、2層目の2層積層で構成されている。
「測定箇所V」; 2層目、3層目の2層積層で構成されている。
「測定箇所VI」; 1層目、2層目、3層目の3層積層で構成されている。
2 加飾成形体(第1実施形態)
3 基材シート
4 第1ヘアライン印刷層
5 第2ヘアライン印刷層
6 保護層(接着層)
7 筐体
8 透明層
9 トップコート層
11 加飾シート(第1実施形態の第1変形例)
21 加飾シート(第1実施形態の第2変形例)
31 加飾シート(第1実施形態の第3変形例)
32 第1ヘアライン印刷層
33 第2ヘアライン印刷層
41 加飾シート(第1実施形態の第4変形例)
42 第1ヘアライン印刷層
43 第2ヘアライン印刷層
51 加飾シート(第2実施形態)
52 加飾成形体(第2実施形態)
61 加飾シート(第3実施形態)
62 加飾成形体(第3実施形態)
63 第1ヘアライン印刷層
64 第2ヘアライン印刷層
65 第3ヘアライン印刷層
71 加飾シート(第4実施形態)
72 加飾成形体(第4実施形態)
θ1,θ2,θ3,θ4 交差角度
Claims (7)
- ヘアライン模様を有する加飾シートであって、
透明な基材シートと、
縞状パターンで構成される透光性の2以上のヘアライン印刷層と、を積層して備えており、
前記2以上のヘアライン印刷層は、各ヘアライン印刷層の縞状パターンが、他のヘアライン印刷層の縞状パターンと平面視で交差して積層されており、
一のヘアライン印刷層は残余のヘアライン印刷層よりもL*a*b*表色系(JIS Z 8729)のL*値 が小さい低明度ヘアライン印刷層として形成されている加飾シート。 - 残余のヘアライン印刷層として複数のヘアライン印刷層を備える請求項1記載の加飾シート。
- 残余のヘアライン印刷層としてL*値 が実質的に同じである複数のヘアライン印刷層を備える請求項1又は請求項2記載の加飾シート。
- 残余のヘアライン印刷層としてL*値 が実質的に異なる複数のヘアライン印刷層を備える請求項1又は請求項2記載の加飾シート。
- 低明度ヘアライン印刷層と残余のヘアライン印刷層とのL*値の差が3以上である請求項1〜請求項4何れか1項記載の加飾シート。
- 視認側のヘアライン印刷層が低明度ヘアライン印刷層である請求項1〜請求項5何れか1項記載の加飾シート。
- 請求項1〜請求項6何れか1項記載の加飾シートを成形体の外形面に備える加飾成形体。
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