JP6211460B2 - エレベータ用乗りかご - Google Patents

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Description

本発明は、エレベータの昇降路の最下部に設けられるピットと乗場との間で作業員の出入りに使用するピット梯子を備えたエレベータ用乗りかごに関する。
通常、エレベータでは、作業員が点検や補修等のメンテナンスを行うために、エレベータの昇降路の最下部に設けられるピットと乗場との間を出入りする必要がある。このような作業者の出入りに便宜を図った周知技術として、乗りかごの底部に折り畳み式の梯子を設けておき、メンテナンスを行う場合には梯子を伸長させて乗場とピットとの間の出入りに使用するようにした「エレベータ乗りかご」(特許文献1参照)が挙げられる。
実開平1−121069号公報
上述した特許文献1記載の技術は、乗りかごの下部に伸縮するステップを設けると共に、乗りかご下の昇降路出入口側に設けられたエプロンの一部を開閉可能とした基本構造であり、エプロンと折り畳み式の梯子(ステップ)とがそれぞれ独立して設けられ、乗りかご下での占有空間を多く必要とする構造となっていることにより、作業員がピットでメンテナンスの作業を行うときに邪魔になるばかりでなく、誤ってこれらの部材に衝突すると怪我をする虞がある他、これらの部材が昇降路内に設けられている他の機器と干渉すると他の機器を損傷してしまう虞もあるため、構造上で不都合な面が少なくないという問題がある。
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、ピット梯子を設けても乗りかご下での省スペース化が図られ、メンテナンスの作業の邪魔にならず、しかも昇降路内の他の機器を損傷してしまう虞のないエレベータ用乗りかごを提供することにある。
上記技術的課題を解決するため、本発明は、エレベータの昇降路の最下部に設けられるピットと乗場との間で作業員の出入りに使用するピット梯子と、乗客が乗降するかご室の底部の乗場側の端面から下方へ延設されるエプロンと、を備えたエレベータ用乗りかごにおいて、前記ピット梯子は、前記エプロンに設けられた切欠き部内に取り外し可能に収納されて乗場側で当該エプロンと同一面を形成する複数のエプロン片と、前記底部に一端が結合されると共に、前記複数のエプロン片を所定の間隔で連結したロープと、を備えて構成されることを特徴とする。
本発明のエレベータ用乗りかごによれば、上記構成により、ピット梯子を設けても乗りかご下での省スペース化が図られ、メンテナンスの作業の邪魔にならず、しかも昇降路内の他の機器を損傷してしまう虞がなくなる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の実施例に係るエレベータ用乗りかごのピット梯子の基本構成を展開して伸長させた状態で示した図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 図1に示すピット梯子の基本構成を折り畳んだ状態で示した図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 図1に示すピット梯子の使用形態を展開して伸長させた状態で示した斜視図である。 図1に示すピット梯子を構成するエプロン片のエプロンの切欠き部内への収納を説明するために要部を抽出して示した斜視図である。
以下に、本発明のエレベータ用乗りかごについて、実施例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係るエレベータ用乗りかごのピット梯子の基本構成を展開して伸長させた状態で示した図であり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図である。図2は、このピット梯子の基本構成を折り畳んだ状態で示した図であり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図である。図3は、このピット梯子の使用形態を展開して伸長させた状態で示した斜視図である。図4は、このピット梯子を構成するエプロン片7のエプロン5の切欠き部5a内への収納を説明するために要部を抽出して示した斜視図である。
各図を参照すれば、実施例に係るエレベータ用乗りかごは、利用者(乗客)が乗降するかご室1をかご枠2で支持していると共に、かご枠2とかご室1との間には防振ゴム3が介設されている他、エレベータの昇降路の最下部に設けられるピット23と乗場21との間で作業員の出入りに使用するピット梯子の構成要素として、底部の乗場21側の端面から下方へ延設されるエプロン5に設けられた切欠き部5a内に取り外し可能に収納されて乗場21側でエプロン5と同一面を形成する複数のエプロン片7と、底部に一端が結合されると共に、各エプロン片7を所定の間隔で連結したロープ6と、が備えられている。
このうち、ロープ6は、底部におけるエプロン5よりも昇降路側の所定位置に設けられた一対のフック4に一端が結合されている。エプロン5は、乗場21から昇降路内への作業者の転落を防止するために設けられており、その昇降路側の切欠き部5aの周縁には、水平方向で対構成される複数の固定具5bが昇降路の高さ方向に沿って所定の間隔で設けられている。複数のエプロン片7は、それぞれ基体とする矩形状のエプロン板7a(中央部分には作業者が後述する組み付け固定や取り外しての引き出し展開の操作を行い易いように窓が設けられている)における昇降路の高さ方向での上側辺に両端が張り出した固定棒7bが一体的に設けられると共に、下側辺寄りの中途箇所に固定棒7bと平行する補強棒7cが一体的に設けられている。ここでの固定具5bの数と固定棒7bの数とは同数となっている。切欠き部5aの形状は、固定棒7bが乗場21側へ抜けるように、固定棒7bとほぼ同一の形状となっている。底部のエプロン5とフック4との間に設けられた把持部16は、作業者が昇降路内にピット梯子を展開して下ろして切欠き部5aを通ってピット梯子を利用する際にバランスを確保するための取っ手の役割を持つ。
また、図4に示されるように、固定棒7bの両端には、上方の端面及び下方の端面を貫通してロープ6を通すための貫通穴71bと、貫通71bよりも内側位置の乗場21側の端面から昇降路側の端面へ向かう方向であって、各固定具5bの水平方向での対構成の上方の端面に固定棒7bの両端における下方の端面を載置した状態で締結部材であるボルト5cにより締結するための締結穴72bと、が設けられている。ここでは、固定具5bの昇降路側の面に起立した片部が設けられ、その片部には締結部材受け部(例えばナット等を接合したもの)が設けられているため、固定具5b上に固定棒7bを載置して固定棒7bの両端の締結穴72bにボルト5cで締結すると、締結部材受け部で締結されることにより固定棒7bがエプロン5に対して固定される。
次に、図2(a)、(b)及び図4を参照し、ピット梯子の各エプロン片7をエプロン5の切欠き部5aに収納する手順について説明する。この収納手順では、作業員がロープ6を乗場21から引き寄せて最上段のエプロン片7の固定棒7bの両端における下方の端面を対応する最上段の固定具5bの水平方向の対構成の上方の端面に載置した後、締結穴72bに対してそれぞれボルト5cを締結してエプロン5に対して固定する。下方のエプロン片7についても順次同様にボルト5cで締結して最下段に至ると、図2(a)、(b)に示されるように複数のエプロン片7が切欠き部5aの全面を覆い、且つ乗場21側ではエプロン5と同一面を形成した状態となって各エプロン片7をエプロン5に対してコンパクトに収納することができる。
更に、図1(a)、(b)及び図3を参照し、各エプロン片7をエプロン5の切欠き部5aから取り外して引き出し展開し、ピット梯子とする手順について説明する。この引き出し展開の手順では、作業員が収納手順で説明した各エプロン片7をエプロン5に固定したボルト5cを全部取り外し、最下段のエプロン片7から順次最上段のエプロン片7に至るまでロープ6を把持しながらピット23へ向けて吊落とすことにより、最終的には図1(a)、(b)及び図3に示されるように最下段のエプロン片7がピット23に接近した状態となる。このとき、最下段のエプロン片7がピット23に着床しても構わないが、着床部分が長過ぎる形態は作業の妨げになるために好ましくない。
ここで、ピット梯子がピット23へ下ろされると、作業員は切欠き部5aから昇降路内に手を差し伸ばして乗りかごの底部の把持部16を把持してバランスを取りながら切欠き部5aを通ってピット梯子の最上段のエプロン片7の固定棒7b上に足を掛け、その後は順次下段のエプロン片7の固定棒7b上に足を掛けてロープ6を手で把持しながらピット梯子を降りることになる。このようにして、作業員はピット梯子を利用して乗場21からピット23へ降りることが可能となる。また、メンテナンスの作業を終えて作業員がピット23から乗場21へ移動する場合には、逆の手順でピット梯子を登り、最終的には再度把持部16を把持してバランスを取りながら切欠き部5aを通って乗場21へ出ることになる。因みに、作業員がピット梯子の最上段のエプロン片7の固定棒7b上に足を掛けて昇降路へ移動するタイミングや、最上段のエプロン片7の固定棒7b上に足を掛けて乗場21へ移動するタイミングは最も危険度が高いので、把持部16を利用することが移動を安全なものにする。
この後は図2(a)、(b)及び図4を参照して上述したように、作業員はピット梯子の各エプロン片7をエプロン5の切欠き部5aに収納する手順を実施してメンテナンスの作業を完了する。上述したロープ6の一端が結合される一対のフック4とエプロン5との間隔は、例えば50cm程度にすれば、作業員が余裕をもって安全に乗場21とピット23との間を出入りすることができる。
実施例に係るエレベータ用乗りかごによれば、ピット23と乗場21との間で作業員の出入りに使用するピット梯子をエプロン5に組み付け固定されて一体的に構成される複数のエプロン片7及びロープ6で構成し、通常時には各エプロン片7をエプロン5の切欠き部5aに収納することで作業員の昇降路内への落下を防止するエプロン5の基本機能を保持し、メンテナンス時には取り外して引き出し展開することで昇降路のピット23へ吊落とされる状態とし、作業員がエプロン5の切欠き部5aを通って昇降路内で把持部16及びロープ6の把持を経て各エプロン片7のそれぞれをステップ(踏段)として使用すれば、エプロン5が妨げになったり、或いはエプロン5との接触による怪我の心配がなく円滑且つ安全に出入りすることができる。これにより、ピット梯子を設けても乗りかご下での省スペース化が図られ、作業員がピット23でメンテナンスの作業を行うときの邪魔にならず、構成部材で怪我する可能性も少なく、しかも構成部材が昇降路内の他の機器を損傷してしまう虞もなくなるため、構造上で好適なものとなっている。
また、実施例に係るエレベータ用乗りかごによれば、作業員がピット梯子を使用して乗場21からピット23に降りる際、乗場21からピット23の方向を向いた状態でそのまま降りることができ、また登りや降りの際にエプロン5に対して昇降路側にピット梯子を配置しているため、登り降りの際に十分なスペースを確保して円滑且つ安全に移動することが可能となる。
尚、実施例に係るエレベータ用乗りかごでは、エプロン片7の構造について、エプロン板7aを基体とし、その上側辺に固定棒7bが一体的に設けられると共に、下側辺寄りの中途箇所に固定棒7bと平行する補強棒7cが一体的に設けられる場合を説明したが、補強棒7cの形状や配置は任意に変更することが可能である。また、エプロン板7aの中央には窓が設けられる場合を説明したが、この窓についても形状や配置を任意に変更することが可能である他、操作上で必要がなければ窓を設けない構成とすることも可能である。このように、本発明のエレベータ用乗りかごは、ピット梯子の細部構成を種々変更できるため、実施例で開示した形態に限定されない。
1 かご室
2 かご枠
3 防振ゴム
4 フック
5 エプロン
5a 切欠き部
5b 固定具
5c ボルト
6 ロープ
7 エプロン片
7a エプロン板
7b 固定棒
7c 補強棒
16 把持部
21 乗場
71b 貫通穴
72b 締結穴

Claims (3)

  1. エレベータの昇降路の最下部に設けられるピットと乗場との間で作業員の出入りに使用するピット梯子と、乗客が乗降するかご室の底部の乗場側の端面から下方へ延設されるエプロンと、を備えたエレベータ用乗りかごにおいて、
    前記ピット梯子は、前記エプロンに設けられた切欠き部内に取り外し可能に収納されて乗場側で当該エプロンと同一面を形成する複数のエプロン片と、前記底部に一端が結合されると共に、前記複数のエプロン片を所定の間隔で連結したロープと、を備えて構成される
    ことを特徴とするエレベータ用乗りかご。
  2. 請求項1記載のエレベータ用乗りかごにおいて、
    前記エプロンの前記昇降路側の前記切欠き部の周縁には、水平方向で対構成される複数の固定具が当該昇降路の高さ方向に沿って所定の間隔で設けられ、
    前記複数のエプロン片は、それぞれ基体とする矩形状のエプロン板における前記昇降路の高さ方向での上側辺に両端が張り出した固定棒が一体的に設けられると共に、下側辺寄りの中途箇所に当該固定棒と平行する補強棒が一体的に設けられ、
    前記固定棒の両端には、上方の端面及び下方の端面を貫通して前記ロープを通すための貫通穴と、前記貫通穴よりも内側位置の乗場側の端面から前記昇降路側の端面へ向かう方向であって、前複数の固定具の前記水平方向での前記対構成の上方の端面に当該固定棒の両端における前記下方の端面を載置した状態で締結部材により締結するための締結穴と、が設けられた
    ことを特徴とするエレベータ用乗りかご。
  3. 請求項1又は2記載のエレベータ用乗りかごにおいて、
    前記ロープは、前記底部における前記エプロンよりも前記昇降路側の所定位置に設けられた一対のフックに前記一端が結合されている
    ことを特徴とするエレベータ用乗りかご。
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