以下に、図示した実施形態に基づいて、本発明による足場装置について説明する。
本発明による足場装置は、原理図たる図1に示すように、また、正面図たる図2,図3および左側面図たる図4に示すように、移動手段Tを有して人力操作で横方向に移動自在とされる基枠1と、この基枠1に保持されて人力操作で昇降を自在にする昇降枠2と、この昇降枠2に定滑車構造下に連結されると共にこの昇降枠2の重量より小さい、即ち軽い、重量に設定されてこの昇降枠2の昇降に連れて昇降する重量体W(図2,図3および図4参照)とを備え、図示しないが、たとえば、屋内に導入されて、屋内の天井の補修や清掃などの一時的部分的な作業をするための足場、つまり、作業足場を形成する。
すなわち、本発明の足場装置にあっては、基枠1の移動を人力操作によるとし、また、昇降枠2の昇降も人力操作によるとし、このことから、基枠1の移動のための駆動機構や昇降枠2の昇降のための昇降機構を有しない分、足場装置における全体重量の低減を可能にし、また、簡単に移動し得ると共に簡単に全高を高低変更し得ることになる。
そして、昇降枠2には定滑車構造下に重量体Wが連結されるから、昇降枠2の重量を見掛け上で小さくでき、昇降枠2の人力操作による昇降を簡単に行え、全高の高低変更を迅速に行えることになる。
それゆえ、本発明の足場装置によれば、これが屋内の床面G(図2,図3および図4参照)に導入されるとき、移動手段Tを介して、また、人力操作で、基枠1を床面Gで横方向に自在に移動でき、基枠1を床面Gの任意の場所(目的地)に移動し得ることになる。
そして、目的地たる移動先では、人力操作で基枠1に対して昇降枠2を上昇させて足場装置における全高を高くする(図1,図2および図4参照)ことが可能になり、足場装置における全高が高くなるときには、後述するように、昇降枠2が備える床3を作業床、すなわち、高所作業のための作業足場に設定でき、この床3に立ち入る作業者によって図示しない天井などの高所に対する作業を行い得ることになる。
そしてまた、天井に対する作業を行った後に、一旦天井に体に対する作業を中止して天井から垂下する態様に設けられている下がり壁や下がり梁の言わば裏側となる天井に対する作業を続行する場合に、昇降枠2を下降させて全高を低くし、足場装置の上端が下がり壁や下がり梁に接触することを回避しながら、足場装置を横方向に移動し得ることになる。
さらに、新たな移動先たる下がり壁や下がり梁の裏側では、基枠1に対して昇降枠2を上昇させて、再度足場装置における全高を高くし、また、床3に立ち入る作業者によって天井に対する作業を続行し得ることになる。
ちなみに、この足場装置にあっては、昇降枠2に重量体Wを定滑車構造下に連結することで、昇降枠2の重量を見掛け上で小さくできるから、重量体Wの重量を極端に小さく設定しない限りには、昇降枠2に僅かな外力たる人力を作用するだけで、昇降枠2を基枠1に対して容易に上昇させることが可能になる、すなわち、人力操作による昇降枠2の上昇を容易に行い得ることになる。
そして、重量体Wの重量を昇降枠2の重量より小さく設定することで、重量体Wの重量を極端に小さく設定しない限りにおいて、昇降枠2が外力たる人力の作用なくして基枠1に対して高速にならずして自然落下するようにして下降させることが可能になる。
その意味では、基枠1に対して昇降枠2を下降させる際の人力は、昇降枠2がその自重によって高速で下降すること、すなわち、急降下状態になることを阻止するものとなり、この足場装置の取扱を安全にすることになる。
なお、図示する足場装置は、取扱を良くするために、一人の作業者が利用するのに向く一人用に設定されてなるとし、平面視での長方形の全体寸法を約90cm×180cmになるとし、全高が最高値で約350cm、最低値で約240cmになるとしているが、これは一例であって、上記の各数値が本発明の足場装置における規制数値にならないことはもちろんである。
また、図示する足場装置を構成する各部材は、特殊な部材を除き、また、選択的に鉄材が利用されるが、概ねアルミ合金材が利用されて形成されるとし、足場装置における全体重量の可能な限りの軽減化を図っている。
本発明の足場装置をより詳しく説明すると、先ず、基枠1は、矩形平面の四隅部に移動手段Tを介して立設される縦支柱11を備え、したがって、基枠1は、移動のための駆動機構を備えないこともあって、移動手段Tを介して人力操作で横方向に移動し得ることになる。
基枠1にあって、縦支柱11が4本とされることで、この基枠1が内側に角柱状になる内側空間(符示せず)を形成する態勢になり、このことから、後述するように、この基枠1に副うように保持される昇降枠2が基枠1に倣うように角柱状になる内側空間(符示せず)を形成し得ることになる(図1および図5参照)。
また、基枠1は、移動手段Tを備えるが、この移動手段Tは、図示するところでは、床面Gで転動するキャスタT1(図2および図4参照)を備え、このキャスタT1は、基枠1を形成する縦支柱11の下端部に図示しない軸部が螺装されてなるとし、縦支柱11の下端部に対して軸部の出没量を調整することで、床面Gに対する各縦支柱11の高さ調整を可能にするとして、基枠1が床面Gに水平状態に設置されることを実現可能にしている。
なお、キャスタT1は、詳しくは符示などしないが、およそこの種のキャスタがそうであるように、ブレーキ手段を備えて、基枠1が設置場所で徒に移動し得ない静止状態に維持できるようにしている。
戻って、基枠1は、図2および図3に示すように、足場装置の正面側にあって、また、図示しない背面側にあって、左右となる縦支柱11の上端部同志を連結する一方の頭つなぎ12、および、図4に示すように、足場装置の左側面側にあって、また、図示しない右側面側にあって、左右となる縦支柱11の上端同志を連結する他方の頭つなぎ13を備える。
ちなみに、両方の頭つなぎ12,13は、この各頭つなぎ12,13に対して左右となる各縦支柱11の上端間の間隔が変異すること、すなわち、左右に起立する各縦支柱11の上端が互いに近づくようにあるいは離れるように倒れることを阻止する。
このとき、他方の頭つなぎ13は、図示する実施形態では、横断面図たる図6に示すように、平面視にあって、縦支柱11より左右の外側に張り出すように位置決めされるとし、これによって、後述する昇降枠2を形成する可動支柱21を上下方向に挿通させるとしており、したがって、他方の頭つなぎ13は、可動支柱21の昇降時のガイド部材を兼ねるとしている。
なお、図示する実施形態では、図2および図3に示すように、この足場装置の正面側にあって、また、図示しないこの足場装置の背面側にあって、左右となる縦支柱11間にブレース14が架けられ、左右の縦支柱11の左右方向への倒れが阻止されるとしている。
以上のように形成される基枠1は、図示するところにあって、図4に示すように、左側面側に、また、図示しない右側面側にそれぞれ梯子状に形成される横桟15を備え、図中で最上段となる横桟15に、図示しないが、足場板の架け渡しを可能にするとし、この足場板に作業者たる人が立ち入ることが出来るようにしている。
次に、昇降枠2は、人力操作で基枠1に対して上昇するときに足場装置における全高を高くすると共に、人力操作の解除で基枠1に対して下降するときに足場装置における全高を低くする。
そのため、昇降枠2は、基枠1における縦支柱11に昇降自在に保持される可動支柱21を有し、この可動支柱21は、前記した基枠1における縦支柱11と同様に4本とされることで、基枠1の縦支柱11が立設される矩形平面の上方となる内側空間、すなわち、基枠1が形成する内側空間に倣う内側空間を形成し得るとしている。
そして、この昇降枠2は、可動支柱21に設けられて内側空間を外側と仕切る手摺4,5と、可動支柱21に連結されて内側空間を下方と仕切る床3とを備え、床3は、この床3への作業者たる人の立ち入りを許容し、手摺4,5は、床3に立ち入る人のこの足場装置外への落下を防ぐとしている。
ちなみに、昇降枠2によって形成される内側空間についてだが、図示する実施形態にあっては、図3に示すように、昇降枠2が基枠1に対して最下降している状態では、いわゆる高さがある内側空間として認識できない状態になる。
すなわち、足場装置にあって、昇降枠2が基枠1に対して最下降している状態では、床3への作業者たる人の立ち入りが許されない状態になるが、図2に示すように、昇降枠2が基枠1に対して最上昇している状態では、床3、すなわち、内側空間への人の立ち入りを安全に許容する高さを有する状態になる。
また、昇降枠2の基枠1に対する位置関係は、昇降枠2が床3を備えることから、図4に示すように、可動支柱21が縦支柱11の内側に、すなわち、基枠1のいわゆる内側に位置決めされる状態になる。
戻って、可動支柱21は、図4に示すように、この足場装置の左側面側にあって、また、図示しないこの足場装置の右側面側にあって、各下端部が足元つなぎ22で連結されて、両可動支柱21における下端部間の間隔が不変になるように、すなわち、両可動支柱21を変形させないようにしている。
ちなみに、上記の両可動支柱21の上端部、すなわち、この足場装置の左側面側と右側面側とに位置決めされる両可動支柱21の上端部は、他方の手摺5で連結されて両可動支柱21の上端部間の間隔が大きくなること、すなわち、両可動支柱21の変形が阻止されるとしている。
なお、図2および図3に示すように、この足場装置の正面側に設けられる可動支柱21の下端部、また、図示しないこの足場装置の背面側に設けられる可動支柱21の下端部は、足元つなぎ(図3および図4中の符号22参照)で連結されずして、この足場装置における正面側および背面側から見て、左右となる可動支柱21が互いに相手に対して独立に昇降し得るように構成されている。
のみならず、図示する実施形態にあっては、後述する下降阻止手段Sの作動を保障するために、図2中および図3中で左右となる可動支柱21の下端部は、図2中および図3中で左右方向に拡開可能とされるとしている。
ちなみに、図示する実施形態では、図2に示すように、昇降枠2における可動支柱21と基枠1における頭つなぎ12との間に斜材6を設けて、また、図4に示すように、昇降枠2における可動支柱21と足元つなぎ22との間に斜材7を設けて、昇降枠2における機械的強度を上げている。
なお、上記の斜材6,7は、共に下端にクランプ(符示せず)を有していて、このクランプを利用しての頭つなぎ12あるいは足元つなぎ22への固定的な連結を可能にすると共に、特に、斜材6にあっては、下端のクランプによる締結を解除することで、昇降枠2の基枠1に対する下降を実現し得るとしている。
手摺4,5および床3について少し説明すると、上記した人の落下を阻止し、また、人の立ち入りを許容する限りには、また、この種の手摺や床に求められる法規制に適合する限りには、任意に構成されて良い。
ちなみに、図示する実施形態では、一方の手摺4は、図2に示すように、この足場装置の正面側に設けられ、また、図示しないこの足場装置の背面側に設けられ、他方の手摺5は、図4に示すように、この足場装置の左側面側に設けられ、また、図示しないこの足場装置の右側面側に設けられる。
そして、図示する実施形態では、この足場装置にあって、一方の手摺4が正面および背面にあって左右方向となる軸線方向に伸縮自在に形成されるとし、他方の手摺5が左側面および右側面にあって伸縮不能な定尺に設けられるとしている。
手摺4,5について詳述すると、手摺4は、丸パイプからなる上桟41と下桟42とを備える二段構成に形成され、手摺5も丸パイプからなる上桟51と下桟52とを備える二段構成に形成されている。
ちなみに、手摺4,5において、各手摺4,5を形成する上桟41,51と下桟42,52は、折り曲げ可能に形成された吊り部材43,53で上下方向に連結されており、下降した下桟42,52が上桟41,51に対して一定の間隔を備えることを保障している。
なお、手摺4,5が丸パイプで形成されることで、手摺としての手触りを良くすると共に、断面係数を大きくすることで、曲げに対する所定の強度を備え易いことになる。
そして、一方の手摺4における上桟41および下桟42は、それぞれ外筒41a,42aに出没する内筒41b,42bを有してテレスコピック構造に形成され、伸縮を自在にするとしている。
手摺4、すなわち、上桟41および下桟42が伸縮自在に形成されるのは、図示する実施形態では、昇降枠2にあって、この足場装置における正面側および背面側から見て左右となる各可動支柱21が互いに相手に対して独立に昇降し得るように構成されていることに基づく。
具体的には、説明図たる図7に示すように、昇降枠2において、右側の可動支柱21を上昇させるとき、左側の可動支柱21が上昇せず、言わば置き去りにされることを許容する設定としている。
このように設定されるのは、仮に、上記の右側の可動支柱21を上昇させるときに、左側の可動支柱21も同期して上昇するように構成する場合には、昇降枠2の構成が複雑になり、これによって、昇降枠2の重量が大きくなり、結果として人力操作による昇降枠2の昇降、特に、昇降枠2の上昇を不便にする不具合になる可能性がある。
また、仮に、図3中での右側の可動支柱21と同じく図3中での左側の可動支柱21とが、一体的に形成されても昇降枠2の重量を大きくしないとしても、一人の作業者が足場装置の右側で基枠1に対して昇降枠2を上昇させるとき、いわゆる迫る動作を発現させずして、右側の可動支柱21および左側の可動支柱21を同期して上昇させることは、容易でなく、また、現実的でないとも言える。
そうであるとするなら、一人の作業者が足場装置の右側で基枠1に対して昇降枠2、すなわち、可動支柱21を上昇させるとき、左側の可動支柱21については、これが同期して動作しなくても済むように構成しておく方が好ましいと言い得ることになる。
そこで、本発明の足場装置にあっては、一人の作業者によるとしても、基枠1に対して昇降枠2を設定通りに昇降し得るように、足場装置において、正面側および背面側から見て左右となる各可動支柱21が互いに相手に対して独立して昇降し得るように構成されるとする。
戻って、以上のように形成される昇降枠2にあって、図2および図4に示すように、可動支柱21に連結される手摺4,5における上桟41,51は、両端部、特に、上桟41にあっては、外筒41aおよび内筒41bの端部と上桟51の両端部が可動支柱21の上端部にヒンジ構造で連結されるとしている。
対して、手摺4,5における下桟42,52は、両端部、特に、一方の手摺4における下桟42にあっては、外筒42aおよび内筒42bの端部と、他方の手摺5における下桟52の両端部が可動支柱21の上端部にソケット44,54を介して連結されるとしている。
すなわち、ソケット44,54は、それぞれ可動支柱21を縦方向に挿通させており、前記した吊り部材43,53が折り曲げられて、特に、下桟42,52が上昇して上桟41,51に接近する状態になるときに、また、下桟42,52が下降して上桟41,51から離れる状態になるときに、各動作を円滑に実現させる。
ちなみに、図示するところでは、手摺4における下桟42の両端部に設けられるソケット44は、手摺5における両端部に設けられるソケット54を兼ねるとしているが、これに代えて、図示しないが、各ソケット44,54が独立に設けられるとしても良い。
以上のように、昇降枠2にあって、手摺4,5における下桟42,52が可動支柱21に対して昇降自在に形成されることは、この発明の足場装置にあって、昇降枠2が基枠1に対して下降するときに、足場装置の全高を可能な限りに低くする設定に適合することになる。
そして、昇降枠2にあって、手摺4,5における下桟42,52が可動支柱21に対して昇降自在に形成されることは、この発明の足場装置にあって、昇降枠2が基枠1に対して上昇するときに、足場装置の全高を可能な限りに高くする設定にも適合することになる。
また、手摺4にあって、これが図3中および図4中で左右方向となる軸線方向に伸縮自在に形成されることは、この発明の足場装置にあって、基枠1に対して昇降枠2を昇降させるときに、図3中および図4中で左右のいずれかの可動支柱21を縦支柱11に対して昇降させるとしても、その動作を円滑に実現可能にすることになる。
ところで、床3は、基本的には、前記した手摺4,5と同様に可動支柱21に連結されていて、可動支柱21が昇降するときに、併せて昇降するとしており、このことから、薄肉にして軽量に形成されながら、人の立ち入りを許容する大きい曲げ強度が得られるように折板構造に形成されている。
そして、床3は、平面視形状としては、4本の可動支柱21で形成される内側空間が下方の基枠1における4本の縦支柱11で形成される内側空間や矩形平面に倣うように矩形に形成されることから、この内側空間を埋めるように平面矩形に形成されるとしている(図5参照)。
また、床3は、四方となる周縁部にこの周縁部から上方に立ち上がる爪先板31(図2および図3参照)を有し、床3に載置などされる工具類が作業者に蹴飛ばされるなどして床3の下方に落下する事態になることをこの爪先板31があらかじめ防止している。
一方、床3は、いわゆる一枚物に形成されても良いが、多くの場合に、複数枚に分断された物、すなわち、分割体(符示せず)が集合されて形成され、この方が、たとえば、図5に示すように、床3を構成する一の分割体が人の通り抜けを許容する開口3aを設ける設定を容易に実現可能にすることからしても、好ましいと言い得るであろう。
ちなみに、図示する実施形態において、分割体に人の通過を許容する開口3aを形成する場合には、図示するように、この開口3aを蓋3bで開放可能に閉鎖するとしても良く、また、開口3aを設ける床3の分割体を利用することに代えて、図示しないが、そもそも分割体の一枚の利用を止めて、そこに人の通過を許容する開口を出現させることにしても良い。
なお、図示する実施形態にあって、基枠1は、人の立ち入りを許容する足場板(図示せず)の架け渡しを可能にし、上方の床3が底部に上端部をヒンジ結合して下端部を下方となる上記の足場板の上端面に着座させる梯子を備え、床3の開口3aは、梯子を登って来る人の通過を許容するとしている。
戻って、床3は、基枠1に対して昇降枠2を上昇させて足場装置における全高を高くするときに、所定の高さ位置に言わば自動的に位置決めされるように設定され、また、基枠1に対して昇降枠2を下降させて足場装置における全高を低くするときに、効率良く低くできることになるように配慮されている。
そのため、床3は、先ず、図2中および図3中で右端部となる基端部(符示せず)が、部分拡大図たる図8にも示すように、ヒンジ構造に連結されたソケット32を有してなるとし、このソケット32が昇降枠2における可動支柱21を縦方向に挿通させており、したがって、床3の基端部は、昇降自在に、また、上下方向に揺動自在に可動支柱21に連結されている。
対して、床3の図3中および図4中で左端部となる先端部(符示せず)は、図8にも示すように、ローラ33を有すると共に、このローラ33を図3中、図4中および図8中で左右方に延在されるガイド34内に導入し、このガイド34の図3中および図4中での左端となる基端をソケット35を介して可動支柱21に連結している。
このとき、ソケット35は、可動支柱21を縦方向に挿通させており、したがって、ガイド34は、可動支柱21に昇降自在に連結されていることになり、このガイド34にローラ33を導入させる床3の先端部は、ガイド34の昇降に追随してガイド34内をガイド34の軸線方向に沿って移動自在とし、また、ローラ33を回動中心にして上下方向に揺動自在とし得ることになる。
以上のように、昇降枠2にあって、床3が基端部を一方の可動支柱21に対して連結させながら、ローラ33およびガイド34を介してであるが、先端部を他方の可動支柱21に昇降自在に連結することは、この発明の足場装置にあって、基枠1に対して昇降枠2を昇降させるときに、図3中および図4中で左右のいずれか一方の可動支柱21を縦支柱11に対して昇降させても、左右のいずれか他方の可動支柱21が昇降せずして静止状態にあっても、左右のいずれか一方の可動支柱21の動作を不能にしないことを補償することになる。
その一方で、床3は、結果として、基端部にソケット32を備えると共に先端部にソケット35を備えるが、このソケット32,35は、このソケット32,35に縦方向から挿通する可動支柱21に設けた受け止め手段たる横ピン23(図3参照)にこの横ピン23の上方から当接し、また、この横ピン23から上方に離脱し得るように設定されている。
具体的に説明すると、前述したところだが、図8に示すように、床3は、基端部がソケット32を介して可動支柱21に昇降自在に連結され、先端部がソケット35を介して可動支柱21に昇降自在に連結されている。
床3が基端部および先端部をソケット32,35を介して可動支柱21に昇降自在に連結することで、床3は、可動支柱21の動き、すなわち、昇降に関わりなく昇降しないことも可能になる。
しかし、上記したように、床3にあって、ソケット32,35は、このソケット32,35を縦方向に貫通する可動支柱21に受け止め手段たる横ピン23を介して当接される、すなわち、可動支柱21の上昇に同期して上昇することがあるように構成されている。
このことからすると、昇降枠2にあって、床3は、可動支柱21が中間部に受け止め手段たる横ピン23を有し、この横ピン23に上方から床3に連結するソケット32,35を当接させるとするから、横ピン23に床3のソケット32,35が当接する限りにおいて、可動支柱21の上昇に同期して床3が上昇し得ることになる。
一方、昇降枠2にあって、可動支柱21が中間部に受け止め手段たる横ピン23を有することは、この横ピン23が基枠1側に干渉することになるとき、可動支柱21、すなわち、基枠1に対する昇降枠2のそれ以上の下降を阻止する事態になる。
そこで、図示するところでは、基枠1における縦支柱11の上端部に設けられた状態の他方の頭つなぎ13が、図6に示すように、可動支柱21の下降に伴って下降する床3を下方から受け止める一方で、可動支柱21に設けられた受け止め手段たる横ピン23の貫通をも許容する開口13aを備えてなるとしている。
これによって、昇降枠2における床3は、可動支柱21の下降で下降するとき、言わば途中で基枠1側に受け止めされてそれ以上の下降が阻止される一方で、可動支柱21自体は、基枠1に対してさらに下降し得ることになり、その結果として、昇降枠2が言わば目一杯下降して足場装置における全高を効率良く低くすることを可能にすることになる。
なお、この昇降枠2が目一杯下降した状態が図3に示されているが、この状態のとき、床3のソケット32,35には、手摺4における下桟42の両端部が上方から当接され、この下桟42の両端部には、上桟41の両端部が上方から当接される状況になり、全体として見るとき、足場装置における全高が言わば効率の良い低下状態を呈することになる。
ちなみに、横ピン23に当接されるソケット32,35は、横ピン23を当接させるのにあって、いわゆる嵌合構造を採用しており、横ピン23に受け止めされたとき、横方向への回動が阻止された状態になるとしている。
以上のように形成される昇降枠2は、基枠1に対して昇降され、特に、上昇時には、人力の作用を受けずにいわゆる放置される状態でも上昇状態を維持し得るように設定されるのが肝要である。
そのため、本発明の足場装置にあっては、図2および図3に示すように、昇降枠2における可動支柱21の上端部と下端部との中間部が、基枠2における縦支柱11の上端部に昇降自在に保持されると共に、縦支柱11に対して最上昇する可動支柱21の下端部が上記縦支柱11の上端近傍部に下降阻止手段Sを介して離脱可能に連結されるとする。
このとき、図示するところでは、縦支柱11の上端部には、前記したように、他方の頭つなぎ13が連結されていることから、この頭つなぎ13に形成の孔13a(図6参照)に可動支柱21を挿通させることで、可動支柱21が縦支柱11に昇降自在に保持される状態を具現化している。
対して、下降阻止手段Sは、図示するところでは、図9に示すように、可動支柱21の下端部に設けられるフック部材S1と、縦支柱11の上端近傍部に設けられて、フック部材S1の上方向からの係止を許容する係止部材S2とを備えてなる。
このとき、フック部材S1は、図示するところでは、可動支柱21の下端部を繋ぐ足元つなぎ22の両端に設けられ、対して、係止部材S2は、図示するところでは、角パイプからなり(図9参照)、縦支柱11にクランプ(符示せず)利用で止着されている。
それゆえ、図示するところにあっては、たとえば、下降状態にある可動支柱21を上昇させて、フック部材S1が係止部材S2に接近する状態になるとき、フック部材S1が係止部材S2に干渉しないように言わば外側に引き離しながら、すなわち、交わしながら可動支柱21を上昇させ、係止部材S2の上方にフック部材S1が位置決めされたら(図9(C)参照)、上記の引き離しを解除すると共に、フック部材S1を下降させて係止部材S2に係止させる(図9(B)参照)ことで、可動支柱21の縦支柱11に対する下降を阻止することが可能な状態になる。
ちなみに、図示する下降阻止手段Sにあっては、図3中および図9中に示すように、係止部材S2が振れ止め17を備えてなるとし、基枠1に対する昇降枠2の昇降時に、縦支柱11に沿うようにして昇降する可動支柱21が、図4中で左右方向に、すなわち、可動支柱21が縦支柱11に対して左右にぶれることを効果的阻止し得るように配慮している。
なお、上記の下降阻止手段Sは、一例であって、上記したところに代えて、図示しないが、たとえば、縦支柱11の上端近傍部には複数の横孔が縦列に設けられていて、上記のフック部材S1に代えて設けられるブラケットに開穿の孔が上記の横孔に照準されるとき、両方の孔をピンで貫通するようにして、両者間における下降を阻止するとしても良い。
ところで、図示するところにあって、上記の係止部材S2は、クランプ構造下に縦支柱11に設けられて、縦支柱11の上端近傍部にあって、上下方向にその定着位置を変更し得るとしている。
すなわち、係止部材S2が縦支柱11に対する定着位置を上下方向に変更可能にすることは、この係止部材S2に係止されるフック部材S1を有する可動支柱21が縦支柱11に対する高さ位置を高低変更し得ることになることを意味する。
そして、可動支柱21が縦支柱11に対する高さ位置を高低変更し得ることは、この可動支柱21に設けられる床3および手摺4,5の高さ位置を高低変更し得ることになり、その結果、この足場装置が利用される現場の状況に合せて最適な状態に足場装置の全高を高低変更できる状態に設定できることになる。
ちなみに、上記のフック部材S1は、図4に示す左側面側で、また、図示しない右側面側で、それぞれ左右となる可動支柱21の足元を繋ぐ足元つなぎ22の両端に設けられてなるとし、したがって、足元つなぎ22は、人力操作で可動支柱21を昇降させる際のハンドルを構成することになる。
また、上記の係止部材S2を連結するクランプ(符示せず)は、図2中および図3中で左右となる正面側の縦支柱11、および、図示しない背面側で左右となる縦支柱11の上端部にそれぞれ締め付けられて定着されている。
なお、係止部材S2は、縦支柱11に対する定着位置の高さ変更を可能にするについて、上記に代えて、縦支柱11の上端近傍部に対して凹凸構造下で互いのレベル維持を可能にして定着されるとしても良い。
以上のように形成される昇降枠2にあって、図示しないが、床3は、上端部を底部にヒンジ結合して下端部を前記した基枠1に架設される足場板の上端面に着座させる梯子を備えるとし、足場板にいる作業者が梯子を登って床3に立ち入ることを可能にするようにしている。
重量体Wは、本発明の足場装置にあって、昇降枠2と重量でバランスするように設けられるもので、図示するところでは、昇降枠2の重量より小さい重量を備えるとしている。
そして、この重量体Wには、たとえば、ワイヤからなる索体W1が連結され、この索体W1は、昇降枠2の下端部に連結されるとし、また、基枠1の上端部に設けられた折り返し手段たるプーリW2に掛け回されるとして、昇降枠2との間では、定滑車構造に設けられるとしている。
具体的には、図4に示すように、足場装置の左側面側にあって、また、図示しない足場装置の右側面側にあって、それぞれ中央部に重量体W,索体W1およびプーリW2が位置決めされるとしている(図6参照)。
これによって、足場装置の左側面側にあって、また、足場装置の右側面側にあって、それぞれ独立して昇降枠2の昇降に連れて重量体Wが昇降すること、すなわち、昇降枠2の上昇時に重量体Wが下降すること、および、昇降枠2の下降時に重量体Wが上昇することを実現し得ることになる。
ちなみに、重量体Wが昇降枠2といわゆる釣り合うように設けられることからすると、図示するように、足場装置の左側面側および右側面側にあって、重量体Wがそれぞれ独立する状態に設けられることに代えて、たとえば、図3中に二点鎖線図で示すように、高い剛性を備える横つなぎ材W3で連結されて、いわゆる二つの重量体Wが同期して昇降するように設定するとしても良い。
また、図示しないが、二つの重量体Wを設けることに代えて、単一の重量体Wとされて、この単一の重量体Wにそれぞれの索体W1が連結されるとしても良い。
一方、索体W1の一端が重量体Wに連結される態様、および、索体W1の他端が可動支柱の下端部に連結される態様については、基本的には任意で良いが、図示する実施形態では、索体W1の他端の可動支柱21の下端部への連結について、詳しくは図示しないが、前記した下降阻止手段Sを構成する係止部材S2を両端に設ける足元つなぎ22に連結されるとしている。
なお、プーリW2は、前記した他方の頭つなぎ13から、床3がある内側空間に向かって水平に張り出すアーム16(図2および図6参照)に吊持された状態で索体W1を掛け回しさせてなり、原理的には、昇降枠2の重量と重量体Wの重量とを同じにしてバランスさせることを可能にすることになる。
そして、図示するところでは、重量体Wの重量は、昇降枠2の重量より小さくなるとしており、したがって、重量体Wに外力が作用しない限りにおいて、基枠1に保持されている状態の昇降枠2は、重量体Wの重量に打ち勝って基枠1に対して下降することになる。
このように、重量体Wの重量が昇降枠2の重量より小さく設定され、したがって、足場装置において、基枠1に対する昇降枠2の自然下降が実現可能とされることは、昇降枠2を下降させて足場装置における全高を低くする際に外力、すなわち、人力を要しないことになり、いわゆる格納時などの静止時に徒に全高が高くなる不具合の招来を回避きる点で有利となる。
ちなみに、重量体Wの重量が昇降枠2の重量より小さく設定される場合には、昇降枠2を上昇させる際に、外力たる人力を要することになるが、重量差が極端に大きくならない限りには、僅かな人力操作で昇降枠2を上昇させることが可能になり、問題視されることはない。
また、基枠1に対して昇降枠2を下降させるときは、重量差が極端に大きくならない限りには、昇降枠2が高速で落下していわゆる衝突現象を発現されることはないが、それでも、昇降枠2の下降速度を適正にする抑制のための人力操作がなされることは好ましく、これも問題視されることはない。
以上からして、本発明の足場装置によれば、簡単な人力操作によって全高の高低変更を可能にし、また、簡単な人力操作で横方向への移動を可能にするから、足場装置を利用するのが、屋内の天井の修理などの一時的部分的な作業となる場合に、また、天井から下がり壁や下がり梁が垂下して横方向に連続する場合に、屋内での横方向への移動と、全高の高低変更を速やかになし得て、所定の作業を短時間で実践し得ることになる。
本発明の足場装置は、以上のように形成されてなるが、さらには、以下のような配慮、すなわち、適宜の変形がなされて良いので、以下に少し説明する。
先ず、本発明の足場装置にあって、基枠1に対する昇降枠2の最高となる上昇位置の設定は、前記したように、昇降枠2における可動支柱21の下端部の基枠1における縦支柱11への停止位置の設定如何で決定されるとしている。
すなわち、図示する実施形態では、可動支柱21の下端部に設けた下降阻止手段Sを構成するフック部材S1が同じく下降阻止手段Sを構成して縦支柱11の中間部に設けられる係止部材S2に係止されることで、可動支柱21の縦支柱11に対する落下が阻止される、すなわち、下降阻止状態に維持されるとしている。
そして、下降阻止手段Sにおけるフック部材S1の位置が不変とされても、下降阻止手段Sにおける係止部材S2の位置が縦支柱11に対して高低変更される場合には、可動支柱21の高さ位置が高低変更されることに繋がり、結果として、足場装置における全高が高低変更されるのはもちろんのこと、手摺4,5および床3の高さ位置が高低変更されることになる。
このことからすると、本発明の足場装置を利用する場所の状況が把握されている場合には、足場装置の全高が低くされる場合はともかく、足場装置の全高を変更することが可能になり、使い勝手を向上させることが可能になる。
次に、本発明の足場装置にあって、不使用時にこれを分解して格納したり搬送したりできるようにするために、図示するところでは、図2から図4に示すように、昇降枠2における可動支柱21を保持する基枠1における縦支柱11の上端部分11aと、この上端部分11aの下方となる縦支柱11の下端側部分11bとを分離可能に連結するとしている。
このとき、縦支柱11における上端部分11aは、前記した他方の頭つなぎ13、プーリW2およびプーリW2を保持するアーム16を備える態勢に、また、図示しないが、床3、重量体Wおよび重量体Wに連結される策体W1を備える態勢に分離される。
ちなみに、この基枠1から昇降枠2を分離する分解時には、図10に示すように、基枠1にあっては、縦支柱1が下端側部分11bを有してなり、一方の頭つなぎ12は、独立した部材になり、昇降枠2は、基枠1の縦支柱11における上端部分を有する部材になる。
なお、基枠1部分にあって、下端側部分11bは、斜材たるブレース14を有するが、このブレース14は、グラビティピン(符示せず)への解除操作で、下端側部分11bから分離される。
基枠1における縦支柱11が上端部分11aと下端側部分11bとに分離可能に連結される設定とすることによって、不使用時の足場装置にあって、基枠1における縦支柱11を上端部分11aと下端部分11bとに分断することが可能になり、その結果、図10に示すように、基枠1から昇降枠2を分離することが可能になり、使用済の足場装置を分解して、搬送や格納の際の作業性を良くすることが可能になる。
前記したところでは、本発明の足場装置が屋内に導入されて下がり壁や下がり梁を備える天井に対する修理や清掃などに向くとしたが、本発明の足場装置は、屋内以外のところ、たとえば、駅舎のホームなどでの利用を妨げるものではない。
すなわち、駅舎のホームにあっては、下がり壁や下がり梁に相当する看板や時刻表などがホームの屋根から垂下するので、このようなホームの屋根の内側の清掃や塗装などの際に、足場装置の上端が看板や時刻表に接触することを回避しながら移動して、所定の作業を実行することが可能になる。
また、前記したところでは、昇降枠2において、上桟41,51と下桟42,52を備える二段構成の手摺4,5にあって、特に、各下桟42,52が可動支柱21に対して昇降可能に連結されるとしたが、基枠1に対する昇降枠2の最上昇時に手摺4,5が所定の態勢に形成される限りには、基枠1に対する昇降枠2の最下降時における低下効率の上では好ましいと言えないが、手摺4,5における下桟42,52が可動支柱21に対して昇降不能に設けられていても良い。
そして、前記したところでは、昇降枠2において、床3が可動支柱21に対して昇降可能に連結されるとしたが、基枠1に対する昇降枠2の最上昇時に床3が所定の高さ位置に形成される限りには、基枠1に対する昇降枠2の最下降時における低下効率の上では好ましいと言えないが、床3が可動支柱21に対して昇降不能に設けられていても良い。
以上で本発明の足場装置についての説明を終了するが、本発明の足場装置は、これまでに説明した構成に限定されるものではなく、たとえば、昇降枠2に設けられる手摺4,5や床3が平面視で円形になることを妨げないなど、種々の変更がなされることを妨げるものではないことはもちろんである。