以下に、図示した実施形態に基づいて本考案を説明する。本考案による作業用台車は、図1,図2,図3および図4に示すように、基台1と、支柱2と、作業台3と、梯子4(図1,図2および図3参照)とを備え、さらには、起伏動作補助手段5(図2および図3参照)を備えてなる。
なお、本考案による作業用台車は、多くの構成部材をアルミ合金などの金属製としており、したがって、以下の説明において、要する場合を除き、構成部材の素材についての説明を省略する。
また、図1,図2,図3および図4は、本考案による作業用台車の概略を示すが、各図における煩雑化を避けるために、各図において構成部材の一部の図示を省略することがある。
基台1は、可動手段11(図1,図2および図3参照)および静止手段12(図1および図4参照)を備えてなるもので、支柱2の立設および梯子4の連結を可能にする限りには、任意に構成されて良い。
そして、基台1は、図示するところでは、所定の自己支持性および機械的強度を備えるように角パイプからなるフレーム構造に形成されて、平面視形状を矩形にしている。
具体的には、基台1は、図2中で左右方向となる軸線方向を図1中で左右方向となる直交方向に比較して長くする、つまり、軸線方向を長くする長方形を呈するとしている(図4参照)。
ちなみに、本考案では、基台1が任意に構成されて良いことからして、基台1の平面視形状が上記の長方形以外の形状とされることを妨げるものではなく、たとえば、四隅部に丸みを帯びさせた矩形とされたり、長円形や円形とされたり、さらには、楕円形とされたりしても良い。
また、基台1は、いたずらに重量を大きくしない限りにおいて、フレーム構造に形成されるのみに代えて、フレーム構造に形成された言わば本体の上端に板材を展設した構造に形成されるとしても良い。
一方、本考案にあって、基台1は、作業員の手動操作によるが、可動手段11によって作業用台車の設置場所への移動を可能にし、また、静止手段12によって設置場所での固定状態の維持を可能にする。
ちなみに、本考案にあって、可動手段11および静止手段12は、周知の構造に形成されて良く、図示するところでは、可動手段11が基台1の四隅部に設けられるキャスター(符示せず)を備えてなり、静止手段12がアウトリガー構造に形成されてなるとし、この静止手段12も上記の可動手段11と同様に基台1の四隅部に設けられている(図4参照)。
そして、静止手段12にあっては、図4に示すように、使用時に基台1の側面から振り出される腕121の先端のロッド122が接地するとし、腕121が基台1の側面に副うように収納されてロッド122が接地しない場合に比較して、基台1の言わば接地面積を大きくして、高い安定性が得られるとしている。
なお、本考案にあって、基台1は、この作業台車の作業員の手動操作による移動を可能にするように、適宜の部位にハンドル13(図2および図3参照)を備えており、このハンドル13は、補強部材(符示せず)が連結されるなどして作業員の力、つまり、外力に対する機械的強度が保障されている。
支柱2は、基台1に立設して上下方向に伸縮自在とされるもので、その限りには、任意に構成されて良いが、図示するところでは、縦方向に長尺となる軸線を横切る横方向の断面において、寸法が大小する角パイプ2a,2b,2c(図1および図2参照)を上下方向にテレスコピック型に連結してなる。
支柱2を基台1に立設するのについては、任意の構成が採用されて良いが、図示するところでは、基台1の上端に固設したベースプレート21(図2,図3および図4参照)に同じく固設したブラケット22(図1,図2および図3参照)の利用で立設されている。
なお、支柱2は、図示するところでは、ベースプレート21およびブラケット22を利用して基台1に立設されるが、これに代えて、ベースプレート21やブラケット22を利用せずして基台1に一体に立設されるとしても良く、また、支柱2は、角パイプ2a,2b,2cからなることに代えて、丸パイプからなるとしても良い。
そして、支柱2は、図示するところでは、最も太い角パイプ2aが下段とされて最も細い角パイプ2cが上段とされる正立に設けられるが、これに代えて、最も太い角パイプが上段とされて最も細い角パイプが下段とされる倒立に設けられても良く、さらに、支柱2は、図示するところでは、一本とされるが、これに代えて、複数本とされても良い。
戻って、本考案にあって、支柱2は、作業員による手動操作で上下方向に伸縮する設定とされており、下段の角パイプ2aに設けた手動ウィンチ23(図2参照)を作業員が操作することで、支柱2の上下方向への伸縮が実現される。
ちなみに、支柱2にあっては、手動ウィンチ23の作動で、下段の角パイプ2aに対して中段の角パイプ2bが昇降し、この中段の角パイプ2bの昇降で上段の角パイプ2cが昇降するように設定されている。
ここで、作業台3に先んじて、梯子4について説明する。梯子4は、図1,図2および図3に示すように、基台1と作業台3とを繋いで支柱2の伸縮に連れて伸縮し、伸長時に長くなって作業員の昇降を可能にし、収縮時に背丈を低くして搬送時や格納時の障害にならないようにしている。
そして、梯子4は、図示するところでは、前記した支柱2における下段の角パイプ2aに相応する下段梯子4aと、同じく支柱2における中段の角パイプ2bに相応する中段梯子4bと、同じく支柱2における上段の角パイプ2cに相応する上段梯子4cとを備えてなる。
ちなみに、梯子4は、凡そ梯子として機能する限りには、また、梯子4が特異な形状に形成されることで、作業用台車としての機能を変更するものでない限りにおいて、任意の構造に形成されて良く、また、梯子4にあっては、収縮時はともかく、伸長時の態勢を恒久的に維持できるように、図示しないが、ストッパ機構を備えるとするのが良い。
そして、この梯子4にあっては、詳しい図示を省略するが、図2に示すように、下段梯子4aの下端部が枠体などを利用して基台1に連結されると共に、下段梯子4aの上端部が枠体などを利用して下段の角パイプ2aに連結され、中段梯子4bの上端部が枠体などを利用して中段の角パイプ2bに連結され、上段梯子4cの上端部が作業台3の台部31に連結されるとして、作業員が昇降し易い傾斜状態を具現化するとしている。
作業台3は、支柱2の上端に設けられる(図1および図2参照)もので、図5および図6に示すように、支柱2の上端に固定状態に設けられる台部31と、この台部31に枢着されて起伏自在とされる手摺枠32とを備えてなる。
台部31は、図示するところでは、所定の自己支持性および機械的強度を備えるように角パイプからなるフレーム構造に形成の本体(符示せず)の上端に板材(符示せず)を展設して平面視形状を矩形にする(図6(C)参照)板状に形成され、ブラケット24(図5参照)の利用で支柱2の上端に水平に設けられている。
そして、台部31が作業員の立ち入りを許容し、また、工具などの物が置かれることから、台部31を形成する板材の上端は、粗面にされて摩擦を大きくすることを可能にし、作業員が滑ることを阻止すると共に、物が簡単に転がることを効果的に阻止するとしている。
ちなみに、台部31にあって、物の転がりを阻止する観点からすれば、上記の板材がネット材に代えられても良く、ネット材が本体に展設される場合には、板材が本体に展設される場合に比較して台部31の重量を小さくする上で有利になる。
手摺枠32は、手摺と柵の機能を果すのはもちろんのこと、本考案にあっては、これが台部31に枢着されて作業員による手動操作で起伏自在とされることからして、図示するところでは、丸パイプを折り曲げ溶接するなどしてフレーム状に形成され、所定の自己支持性および機械的強度を備える限りにおいて、軽量にしていたずらに重量を大きくしないとしている。
そして、手摺枠32は、平面視で台部31の三方を囲む態勢に形成される、つまり、平面視形状をコ字状にする態勢に形成されるとし(図6(C)参照)、このとき、内側に隙間を有して台部31を位置決めするように、つまり、手摺枠32が台部31に干渉せずして起伏自在となるように形成される。
また、手摺枠32は、台部31に対して起伏自在とされるについて、図5中で右端部となる一端部たる基端部32aが同じく図5中で右端部となる台部31の一端部たる基端部31aに枢着されることで、つまり、作業台3の図5中で右端部となる基端部(符示せず)に枢着部33(図6(C)参照)が形成されることで達成されるとしている。
戻って、手摺枠32は、図示するところでは、図6(A)に示す側面において、また、図示しないが、図6(A)の反対側となる側面において、最上段に設けられる手摺321と、この手摺321を両側で支える支柱322と、この両側の支柱322の上端部間を連結する上桟323と、両側の支柱322の中間部間を連結する中桟324と、上桟323および中桟324に平行して両側の支柱322の最下端を連結する脚繋ぎ325と、この脚繋ぎ325,上桟323および中桟324を一体に連結する縦地材326とを備えてなる。
そして、この手摺枠32は、図6(B)に示す背面、つまり、台部31の図5中で右端部となる基端部31aの上方に位置決めされる基端側の側面において、両側の支柱322の上端部間に上記の上桟323と同一レベルに設けられる上桟327と、両側の支柱322の中間部間に上記の中桟324と同一レベルに設けられる中桟328と、上桟327および中桟328に平行して上記の脚繋ぎ325と同一レベルで両側の支柱322の最下端を連結する脚繋ぎ329とを備えてなる。
一方、作業台3の基端部に設けられる枢着部33は、図6(B)中の拡大図に示すように、台部31の基端部31aに固設される下方部たる取付部331と、この取付部331の上端に連設されて手摺枠32の基端部32aを形成する脚繋ぎ329を回動自在に挿通させる上方部たる筒部332とを備え、他に附勢手段としてのコイルスプリングなどを備えない簡単な構造とされている。
つまり、本考案による作業用台車にあっては、後述するように、作業台3において、台部31とこの台部31に対して起伏自在に設けられる手摺枠31との間に起伏動作補助手段5を備えるから、台部31と手摺枠32とを枢着する枢着部33において、手摺枠32の起伏動作を補助する手段を設けることを要しないことになり、したがって、枢着部33の構造を簡素化し得ることになる。
なお、図6(B)中の拡大図において、符号333で示す筒状ストッパは、手摺枠32における基端部32aを形成する脚繋ぎ329の外周に固設され、この筒状ストッパ333が上記の筒部332に当接することで、この筒状ストッパ333を設ける脚繋ぎ329を有して形成される手摺枠32が図6(B)中で左右方向に移動することになるズレを阻止するとしている。
手摺枠32は、上記のようにして、台部31に起伏自在に設けられるが、この起伏自在な手摺枠32を、たとえば、図5(A)に示す起立状態から図5(B)に示す倒伏状態にするのについては、手摺枠32を上記の枢着部33を介して90度縦方向に回転することを要すことになる。
ちなみに、手摺枠32を倒伏するのについて、手摺枠32を90度以下に、たとえば、45度回転するのは、作業台車における背丈を十分に低くできないので、好ましくなく、また、手摺枠32を90度以上に回転させるのは、手摺枠31における脚繋ぎ324の高さ関係から無意味となり、同じく好ましくない。
戻って、手摺枠32を上記した枢着部33を支点にして90度縦方向に回転するのについては、基本的には、手摺枠32が他部に干渉しないことが肝要になり、特に、本考案にあっては、作業台3の台部31が正面側に梯子4の上端部を連結させるから(図1参照)、また、作業台3の台部31が支柱2の上端に連結されるから、手摺枠32は、この梯子4の上端部および支柱2に干渉しないように形成されることが肝要になる。
そのため、手摺枠32は、梯子4の上端部が連結される台部31における他端部たる先端部31bの上方に位置する正面側を開放部(符示せず)に設定して、この開放部を介しての手摺枠32における縦方向の回転を保障するとし、併せて、この開放部を介しての作業員の台部31、つまり、作業台3に対する出入りを自在にし得るようにしている。
ところで、本考案にあって、作業台3、つまり、台部31は、前記した従来型の作業用台車の作業台における台部に比較して、複数(図示するところでは、二人)の作業員の立ち入りを許容するように広く形成されるとし、これによって、一の作業台3、つまり、一の作業用台車の利用で複数の作業員による複数の作業の同時進行を可能にし得るとしている。
このこと、つまり、台部31が広く形成されることについて少し説明すると、先ず、台部31は、図示するところでは、前記した基台1の平面視形状に同軸で相応する平面視形状を長方形とする(図4および図6(C)参照)が、このとき、台部31における長軸方向の長さ寸法を下方の基台1における長軸方向の長さ寸法よりやや短くなるように設定されてなるとしている。
具体的には、台部31の軸線方向の長さは、基台1における軸線方向の長さ以下であって、基台1における軸線方向長さの2/3より、あるいは、3/4より大きくなるとする。なお、この数値限定は、例示であって、本考案の趣旨からすれば、これに拘束されないのはもちろんである。
以上のように、台部31が従前に比較して大きく形成されることによって、作業台3の利用時に下方でアウトリガー構造に形成の静止手段12における腕121が、図4中に示すように、振り出された状態になるとしても、台部31の基端部31aを可能な限りに、たとえば、壁面に近づけるように位置決めすることが可能になる。
ちなみに、図示するところでは、台部31の巾寸法、つまり、長軸方向に直行する方向となる巾方向の寸法を基台1における巾方向の寸法より大きくして(図4中の参照一点鎖線図参照)、この台部31に複数、つまり、二人の作業員が立ち入るとしても、また、二人の作業員が同時に動いて作業をするとしても、互いに体が接触する機会を大幅に減じ得るように配慮している。
戻って、前記したように、本考案において、作業台3は、台部31とこの台部31に起伏自在に設けられる手摺枠32との間に手摺枠32の起伏動作を補助する起伏動作補助手段5を備えるが、この起伏動作補助手段5について少し説明する。
先ず、起伏動作補助手段5については、作業台3において、作業員の手動操作による手摺枠32の台部31に対する起伏動作を補助する限りには、任意に構成されて良いが、本考案にあっては、作業台3の起伏、つまり、稼動にあって、電動モータなどの動力源を利用せずして、作業員の人力によるの基本とする。
そうは言っても、手摺枠32の重量が大きくなる場合には、作業員の人力、たとえば、一人の作業員の人力のみでは、手摺枠32の起伏動作を容易に実現し得ない可能性がある。
そこで、一人の作業員が人力、つまり、手動操作で手摺枠32を起伏させるときに、その作業員が大きな力を出さなくても、手摺枠32の起伏を実行できるように、本考案では、ガススプリングを利用するとしている。
ガススプリングは、周知のように、所定圧のガスを充填するアウターチューブ内にインナーロッドを出没自在に挿通してなり、無負荷の状態で、インナーロッドがガス圧に基づく反力を具有してアウターチューブから突出するように形成されている。
このことから、ガススプリングは、負荷に応じてインナーロッドをアウターチューブ内に押し込んだ状態で静止状態たる中立状態を具現化できることになり、負荷を大小することで伸縮することになる。
したがって、起伏動作補助手段5がガススプリングからなる場合には、負荷がなくなることで充填されるガス圧に基づく反力で伸長し、この反力に勝る外力が作用することで収縮して、手摺枠32の起伏を補助し得ることになる。
そして、ガススプリングは、図7に示すように、アウターチューブ51を手摺枠32に連結し、インナーロッド52を台部31に連結し、図5(A)に示すように、伸長状態で手摺枠32を起立状態に維持し、図5(B)に示すように、収縮時に手摺枠32を倒伏状態にするとしている。
このとき、ガススプリングは、アウターチューブ51が台部31の板厚を貫通して手摺枠32の内側から手摺枠32の下端部に連結、つまり、枢着されるとし、インナーロッド52が台部31に垂設された吊りブラケット53に支柱2の反対側から連結、つまり、枢着されるとしている(図2参照)。
ちなみに、ガススプリングにあって、図示するように、アウターチューブ51が台部31の板厚を貫通して台部31の上方に露出する設定の場合には、ガススプリングの取り付け方が逆になりインナーロッド52が台部31の上方に露出する場合に比較して、作業員の足元などがガススプリングに接触する事態になるとしても、作業員の足元などにインナーロッド52が接触することによる油汚れ招来させないで済むと共に、インナーロッド52の外表面が傷付くなどしてガススプリングが作動不能になることを未然に阻止し得る点で有利になる。
また、図示するところにあって、ガススプリングは、左右で一対となる二本使用とされて、各ガススプリングの負担反力を小さくする共に、仮に一本が故障して所定の反力の発揮を期待できなくなる場合にも、一本が残っていれば、その一本による反力を利用できることになり、全くガススプリングの反力を期待できなくなる一本使用の場合に比較して、有利になるとしている。
ちなみに、図示するガススプリングは、手摺枠32が台部31に対して倒伏状態になるときに、これを維持する反力を具有するように設定とされており、したがって、倒伏状態にある手摺枠32を起立状態にするのに際して、作業員は、手摺枠32の先端部32bを持ち上げるようにする力を出すことになり、起立状態にある手摺枠32を倒伏状態にするのに際して、作業員は、手摺枠32の先端部32bが高速で下降しないように制限する力を出すことになる。
その意味では、このガススプリングからなる起伏動作補助手段5は、主に手摺枠32を起立状態にする際に効果的に反力を発揮する言わば起立動作補助手段として機能することになる。
尤も、このガススプリング、つまり、起伏動作補助手段5は、起立状態にある手摺枠32を倒伏状態にする際に、手摺枠32の他端側を高速で下降させないように機能するから、その意味では、倒伏動作補助手段としても機能することになる。
なお、上記のガススプリングにおけるインナーロッド52を枢着させる吊りブラケット53は、台部31に垂設されて支柱2を形成する下段の角パイプ2aに設けられている手動ウィンチ23の上方に位置決めされているから、この手動ウィンチ23を手動操作する際に、作業員が注意を欠くと、作業員の頭部やその周辺部に吊りブラケット53の下端が接触することが危惧されるので、仮に吊りブラケット53の下端が作業員の体に接触する事態が招来されるとしても、作業員の体を守るべく、吊りブラケット53の下端に緩衝材を設けるのが好ましい。
一方、作業台3は、手摺枠32が台部31に対して起立されるときに、図5(A)に示すように、この起立状態を恒久的に維持できるようにするストッパ手段6を作業台3の図5中で左側端部となる一端部たる先端部(符示せず)に備えてなり、このストッパ手段6は、図8に示すように、手摺枠32の下端に設けた孔開きプレート61と、この孔開きプレート61に形成の孔61aを挿通可能にするピン62とを備えてなる。
少し説明すると、図9に示すように、ストッパ手段6にあって、孔開きプレート61は、手摺枠32を形成する脚繋ぎ325の下端にこの脚繋ぎ325の軸線方向に沿う状態に垂設されて、下方の台部31の側面に近隣し、孔61aが台部31の巾方向に沿う方向に形成されてなる。
そして、ストッパ手段6にあって、ピン62は、上記の孔61aに出入り自在とされる先端部62aを備え、この先端部62aに対して図9中で左右方向となる軸線方向の反対部となる後端部(符示せず)にハンドル62bを有しており、このハンドル62bは、ピン62の軸線方向を横切る方向に設けられていて、ハンドル62bを図9中で上下方向に回動することでピン62を回動し得るとしている。
また、上記のピン62は、台部31の先端部31bを形成する側面に固設されたガイド筒63を挿通して、図9中で左右方向となる台部31の巾方向への移動が可能とされると共に、先端部62aに自らの重力で出没を自在にするストッパ片62cを備えてなる。
そして、このストッパ片62cは、図9(B)に示すように、先端部62aがガイド筒63内に引き込まれるとき、先端部62aに埋没するように形成され、図9(A)に示すように、先端部62aが孔開きプレート61の孔61aを貫通して下向きにされるとき、重力で先端部62aの外周に突出してストッパとして機能するとしている。
なお、台部31の先端部31bを形成する側面には、下がった状態のハンドル62b(図9(A)参照)が横方向に移動すること、つまり、ピン62が横方向に移動して孔開きプレート61の孔61aから抜け出すことを阻止する係止部64が設けられている。
それゆえ、このストッパ手段6にあっては、ピン62が孔開きプレート61の孔61aを挿通するとき、図5(A)および図8に示すところにあって、手摺枠32の先端部32bが台部31の先端部31bに対して下がること、つまり、図5(A)中に矢印で示すように、手摺枠32が台部31に対して倒伏することを阻止し得ることになる。
なお、図5(B)は、作業台3において、台部31に対して手摺枠32が倒伏された状態を示すが、このとき、手摺枠32の台部31に対するさらなる回転が阻止されるのは、詳しくは図示しないが、手摺枠32における背面側を形成する上桟327(図6(B)および(C)参照)が台部31に当接する状態になるからである。
ところで、前記したように、手摺枠32は、図6(C)に示すように、図中で左側となる正面側に開放部を設けて、この開放部を介しての手摺枠32における縦方向の回転を保障する一方で、この開放部を介しての作業員の台部31、つまり、作業台3に対する出入りを自在にし得るとしている。
言い換えれば、作業台3は、台部31に対して背面側で枢着されて起伏自在に設けられる手摺枠32の正面側に欠落部を設けて、この欠落部を介して手摺枠32を台部31に対して起伏自在にすると共に、この欠落部を開放部に設定して、この開放部を介しての作業員の作業台3に対する出入りを自在にするとしている。
そこで、本考案にあっては、要するとき、つまり、台部31に作業員が立ち入って作業をするときには、開放部が閉鎖されて作業員がこの開放部から墜落するなどの危険を排除するとし、そのため、この開放部には、開閉動作を自在にする手摺体7(図1および図2参照)が設けられるとしている。
少し説明すると、手摺体7は、図10に示すように、一端が手摺枠32にブラケット71を介して枢着され、図示するところでは、他端が水平方向に揺動自在とされ、この他端には、言わば左右となる一対の係止具72,73を備えている。
そして、この一対の係止具72,73のうち、一方の係止具72が図10(A)中で上方となる支柱322に固定状態に設けられた受け具74に着脱自在に連結するとし、また、他方の係止具73が図10(A)中で右方に位置決めされる受け具75に着脱自在に連結するとし、この受け具75は、手摺枠32を形成する手摺321と上桟323との間に立設される補助支柱76(図6参照)に固定状態に設けられている。
ちなみに、受け具74,75は、デッドポイントを有する構造に形成されていて、係止具72,73がデッドポイントを超えるときに手摺体7を静止状態に維持し、あるいは、手摺体7の揺動を許容する状態になるように設定されている。
それゆえ、手摺体7にあっては、作業員が言わば強制的に開閉動作をすることで、手摺枠32の開放部を開放状態に維持したり閉鎖状態に維持したりすることを可能にすることになる。
なお、手摺枠7は、図示するところでは、水平方向に揺動されて、開放部を開閉するとしているが、これに代えて、手摺体7が縦方向に揺動自在とされて、開放部の開閉を自在にするとしても良い。
以上のように形成される作業台3にあっては、手摺体7で手摺枠32の開放部を閉鎖することで、台部31に立ち入る作業員の安全を保障し得ることになるが、本考案にあっては、さらに、台部31の周辺部を囲む巾木が設けられるとしている。
つまり、台部31の周辺部を巾木で囲むことで、作業員の足が台部31から外に飛び出すことを阻止したり、台部31に置かれる工具などの物が台部31の外に出る、つまり、落下することを阻止したりすることを可能にするとしている。
少し説明すると、手摺枠32は、前記したように、平面視をコ字状にして台部31を三方から囲むように形成される(図6(C)参照)が、このとき、三方を形成する各部の下端部に巾木、つまり、固定巾木34,35,36を備えてなる。
そして、この固定巾木34,35,36は、手摺枠32の内側から両側の支柱322の下端部、および、縦地材326の下端部に固定状態に設けられ、それぞれの下端部が台部31の側部に近隣する、つまり、重複する態勢になるとしている。
固定巾木34,35,36が台部31の先端部31bを除く外側端部に近隣するように設けられることで、たとえば、台部31に置かれた工具が移動するとしても、巾木に当接した時点でそれ以上の移動が阻止され、その工具が台部31の外へ出ること、つまり、台部31から落下することを確実に阻止し得ることになる。
ちなみに、前記した起伏動作補助手段5たるガススプリングを形成するアウターチューブ51は、手摺枠32の内側から手摺枠32の背面側の下端部に固定状態に設けられている固定巾木35に連結、つまり、枢着されている(図7参照)。
一方、手摺枠32は、前記したように、先端部32bを欠落部にして開放部を形成することから、上記の固定巾木に相当する巾木を備えることができない状態にあり、したがって、この巾木を備えることができないことを補うために、図11に示すように、台部31が先端部31bに可動巾木8を備えるとしている。
少し説明すると、この可動巾木8は、図示するところでは、台部31の先端部31bに起伏自在に設けられるもので、起立したときに手摺枠32の背面側の下端部に設けられる固定巾木35(図6(C)参照)に対向することになる本体部81と、この本体部81の両側端に連設されて台部31の先端部31bに枢着する揺動部82とを備えてなる。
そして、揺動部82は、台部31の先端部31bに枢着するのについて、六角孔付ボルト83の捻じ込みによるとしており、図示しないが、六角孔付ボルト83の先端部の捻じ込みを許容するナットが台部31に設けられており、このナットに対する六角孔付ボルト83の捻じ込みトルクを大小調整することで、揺動部82の台部31に対する揺動の自在性を調整し得るとしている。
それゆえ、この可動巾木8にあっては、手動操作で本体部81が起立されるとき、揺動部82の台部31に対する接触摩擦で本体部81の起立状態を維持し、また、本体部81の手動操作による倒伏を可能にし、そして、倒伏された本体部81の倒伏状態を維持し得ることになる。
そして、この可動巾木8にあっては、本体部81が起立状態にあるときに、手摺枠32の背面側の下端部に設けられる固定巾木35に対向する内側面に板状に形成のスペーサ84,85を備えてなり、一方のスペーサ84、つまり、本体部81の図11(A)中で上端となる先端に近隣するように配設される一方のスペーサ84は、図11(B)に示すように、本体部81が倒伏されたときに、内側面と台部31の上端との間に作業員が手指を挿し込めるようにする隙間(符示せず)を出現させるとしている。
そして、他方のスペーサ85、つまり、本体部81の図11(A)中で下端となる後端に近隣するように配設される他方のスペーサ85は、図11(B)に示すように、本体部81が倒伏されたときに、内側面と台部31の上端との間に隙間を出現させず、このスペーサ85が設けられることで、たとえば、倒伏した状態にある本体部81の後端部を作業員が踏むなどしても、この後端部が曲がらないようにするとしている。
ちなみに、図示するところでは、一方のスペーサ84および他方のスペーサ85が別体に形成されて本体部81の内側面に配設されるとするが、その機能するところを勘案すると、スペーサ84,85が一体に形成されて本体部81の内側面に配設されるとしても良い。
尤も、図示するように、スペーサ84,85が別体に形成されて配設される場合には、スペーサ84,85が一体に形成されて配設される場合に比較して、可動巾木8における重量を小さくできる点で有利になる。
また、スペーサ84,85は、隙間を設けあるいは隙間を埋めるものであることを鑑みると、これが金属製とされることに代えて、たとえば、プラスチック製とされても良く、また、ゴム製とされても良い。
それゆえ、この可動巾木8が本体部81を起立状態にする場合には、台部31の四方が巾木で囲まれる状態になり、たとえば、台部31に置かれた工具が移動するとしても、巾木に当接した時点でそれ以上の移動が阻止され、その工具が台部31の外へ出ること、つまり、台部31から落下することを確実に阻止し得ることになる。
以上のように形成される作業用台車にあっては、支柱2および梯子4を縮めて作業台3を下げ、背丈を小さくしてコンパクトにした状態で、可動手段11で設置場所に移動でき、設置場所では、静止手段12で基台1を固定状態に維持でき、手動ウィンチ23の駆動で支柱2および梯子4を伸ばして作業台3を上げ、高所作業用として利用可能な状態にし得ることになる。
そして、この作業用台車にあっては、支柱2および梯子4を縮めて背丈を小さくしてコンパクトにする際に、作業台3における手摺枠32を台部31に対して倒伏状態にすることとで、作業用台車における背丈を一層低くして、一層コンパクトな態勢にし得ることになる。
また、この作業用台車にあっては、作業台3において、手摺枠32と台部31との間に設けた起伏動作補助手段5によって手摺枠32の起伏動作に要する外力、つまり、作業員が出す力を大きくしなくて済み、台部31の面積が大きくなることで手摺枠32の重量が大きくなるとしても、手摺枠32の起伏動作を容易になし得ることになる。
さらに、この作業用台車にあっては、手摺枠32が起立時に台部31の先端部31aを除く外側端部に近隣する固定巾木34,35,36を備える一方で、台部31が先端部31aに起伏自在とされる可動巾木8を設けるから、この可動巾木8が起立されることで、台部31が巾木で囲まれる状態を現出し得ることになり、台部31に置かれる工具などの物が台部31の外に落下することを巾木で効果的に阻止することが可能になる。
そしてまた、この作業用台車にあっては、台部31が可動巾木8を起伏自在にするから、可動巾木8が倒伏されることで、台部31に対する作業員の出入りの際に障害にならなくなる。
そしてさらに、この作業用台車にあっては、手摺枠32が先端側に設けられる開放部に手摺体7を備えから、この手摺体7によって台部31に居る作業員の墜落を阻止して作業員の安全を保障できると共に、手摺体7が揺動されるとき、開放部を作業員が通過することを許容し、台部31に対する作業員の出入りを可能にすることになる。
その結果、本考案による作業用台車あっては、高所作業に利用でき、また、コンパクトにできるから格納時や搬送時のスペースを小さくできのはもちろんのこと、作業台3が複数の作業員の立ち入りを許容するように大きく形成されても稼動時における作業員の労力をいたずらに大きくさせないことが可能になるなど、使い勝手を良くして利便性が向上されることになる。
前記したところでは、本考案による作業用台車にあって、可動巾木8が作業台3を形成する台部31に起伏自在に設けられるとするが、これに代えて、図示しないが、可動巾木が台部31に対して昇降自在に設けられ、上昇するときに巾帰途して機能するのはもちろんのこと、下降するときに、上端が台部31の上端から突出しない設定されるのが良い。
また、前記したところでは、本考案による作業用台車が天井までの高さを6メートル未満とするような屋内での高所作業に向くとして説明したが、本考案が意図するところからすれば、屋外用として利用されるとしても良く、また、支柱2の長さを変更するなどして、より高所の作業に利用されるとしても良い。