以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
A.第1実施形態:
A−1.全体構成:
A−2.カード受入関連構成:
A−3.カード取引処理:
B.第2実施形態:カード取引処理:
A.第1実施形態:
A−1.全体構成:
図1は本発明のカード取引装置が組み込まれた一実施形態として自動取引装置20(ATM20)を含む現金取引処理システム100の概略構成を示す説明図である。現金取引処理システム100は、ATM20と、各金融機関ごとのホストコンピューター10とを備え、ネットワークNTを介して接続されている。ホストコンピューター10は、サーバーとして機能し、ATM20からの情報照会に対応して、必要なデーター、例えば現金の入出金取引の際の記帳項目やその記帳フォーマット等のデーターや、入出金取引の対象とされた預金口座の残高や当該口座に特有の暗証番号等の口座情報データーをネットワークNTを介してATM20に出力する。
ATM20は、銀行店舗のみならず、駅や百貨店、ショッピングモール等の機器ブースに設置され、ユーザーの操作とカード情報とに基づいて入出金等の所定の現金取引を行なうよう構成されている。こうしたATM20は、ユーザーと対面する装置前面に、操作部3と、カード機構部4と、明細票機構部5と、紙幣入出金機構部6と、硬貨入出金機構部7と、静脈認証機構部11とを備える。明細票機構部5、ユーザーが挿入した通帳を受け付ける。カード機構部4は、ユーザーが挿入したICカード300(図3参照)を受け付ける。本実施形態のカード機構部4は、ICカード取引処理にも対応できる手動操作式、いわゆるDIP式のカードリーダーであり、ユーザーによるカード挿入を経たカード受け取り、受け取ったカードに記憶済みのカード情報の読み取り、ユーザーによるカード抜取を経たカード受渡等を行う。そして、このカード機構部4は、こうしたカード受取等を支障なく行うべく、カード挿入およびカード抜取の検知機能、挿入されたカードの磁気ストライプからのデーターリード機能、ICチップからのデーターリード・ライト機能、さらに、図示しないカード挿入口シャッターの開閉、挿入されたカードのロック・解除操作、カードが挿入されたかどうかを検知するセンサー機能などを有する。本発明に関与するカード機構部4の構成とその機能については、後述する。
ATM20は、明細票機構部5が発行した取引明細書を、必要に応じて明細票機構部5の排出口から排出し、ユーザーに払い出す。操作部3は、後述の制御部2の制御を受けて駆動し、ユーザーへのガイダンスメッセージや入力受付画像等を表示すると共に、ユーザーの指等による接触位置の座標を取得するポインティングデバイスとして構成される。そして、この操作部3は、指等の接触によるユーザーからの指示入力を表示画像で受け付け、表示画像におけるユーザー操作を、データー変換して後述の制御部2に出力する。紙幣入出金機構部6と硬貨入出金機構部7は、それぞれユーザーからの硬貨や紙幣の受け入れと排出を行うが、本発明の要旨と直接関係しないので、その詳細な説明については、これを省略する。静脈認証機構部11は、ユーザーの指等からユーザーの静脈を認識してユーザー識別を行うが、本発明の要旨と直接関係しないので、その詳細な説明については、これを省略する。
A−2.カード受入関連構成:
図2はATM20とホストコンピューター10の内部構成を概略的に示す説明図である。ATM20は、制御部2と、操作部3と、カード機構部4と、明細票機構部5と、紙幣入出金機構部6と、硬貨入出金機構部7と、静脈認証機構部11の他、回線接続部8と、音声案内ガイダンス部9と、画像取得機構部17と、タイマ機構部18と、金銭真偽判別機構部19と、処理指示取得部21と、処理指示記憶部22とを備える。制御部2は、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピューターとして構成され、後述のカード取引処理を含む各種処理を実行するためのプログラムおよびデーターを記憶しており、操作部3やカード機構部4等を統括制御する。回線接続部8は、ホストコンピューター10の後述の回線接続部12と接続され、ホストコンピューター10とATM20との間のデーター送信に関与する。音声案内ガイダンス部9は、制御部2の制御を受けて、ユーザー操作の後述の案内ガンダンス等を図示しないスピーカーからユーザーに音声報知する。画像取得機構部17は、制御部2の制御を受けて、ユーザー操作の後述の案内ガンダンス等を操作部3にテキストや画像等にて表示し、案内ガイダンスをユーザーに報知する。
タイマ機構部18は、カード機構部4にユーザーによりICカード300が挿入されてからの経過時間や何らかのユーザー操作がなされてからの経過時間等を計時して、その経過時間を制御部2に出力する。金銭真偽判別機構部19は、紙幣入出金機構部6や硬貨入出金機構部7に投入された紙幣・硬貨の真偽を判別し、その判別結果を制御部2に出力する。処理指示取得部21は、操作部3のユーザー操作からATM20に求められている処理の指示を取得し、取得した処理指示を制御部2に出力する。処理指示記憶部22は、処理指示取得部21の取得した処理指示を取引処理完了まで一時的に記憶し、取引途中で中断した取引の再開等に備える。
ホストコンピューター10は、回線接続部12と、口座情報ファイル制御部13と、ファイル部14と、ホストコンピューター制御部15とを備える。回線接続部12は、ATM20の回線接続部8と接続され、ホストコンピューター10とATM20との間のデーター送信に関与する。ホストコンピューター制御部15は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成され、ホストコンピューター10に求められている各種処理を実行するためのプログラムおよびデーターを記憶しており、ホストコンピューター10を統括制御する。ファイル部14は、口座情報ファイル16を備え、当該ファイルに、ユーザーごとの口座情報をICカード300の暗証番号やユーザーの静脈情報等と関連付けて記憶している。口座情報ファイル制御部13は、口座情報に関するデーター更新や関連付け等を制御する。
次に、ICカード300におけるカード情報の記憶の様子やカード構成、およびカード機構部4の構成について説明する。図3はICカード300の平面図とICカード300における磁気ストライプ302に記憶済みのデーター構成を示す説明図である。ICカード300は、表面に帯状の磁気ストライプ302とICチップ301とを備える。つまり、ICカード300は、磁気カードとしての機能と、接触式ICカードとしての機能を兼ね備える。磁気ストライプ302は、ユーザーにて設定済みの暗証番号303やサービスコード304といった各種のカード情報を磁気的に記録している。ICチップ301は、暗証番号303を含む各種のカード情報を電気的に記憶している。
サービスコード304は、その記録数値により、ATM20で実行可能な取引種別、具体的には、ICカード取引が実行可能か磁気カード取引が実行可能かを規定する。よって、ICチップ301と磁気ストライプ302とを備える図3に示すICカード300であれば、ICチップ301のカード情報によるICカード取引も磁気ストライプ302のカード情報による磁気カード取引も実行可能であるので、サービスコード304には、数値「2」或いは数値「6」が記録される。その一方、ICチップ301を備えないICカード300であれば、磁気カード取引のみが実行可能であるので、サービスコード304には、数値「2」と数値「6」以外の数値データーが記録される。そうすると、ICカード300の磁気ストライプ302の読み取りで得られたサービスコード304の記録数値により、ユーザーが使用したICカード300では、ICカード取引が実行可能か磁気カード取引が実行可能かを判明できる。
図4はカード機構部4に使用するDIP式のカードリーダー400の概略構成をICカード300と共に示す説明図、図5は図4におけるA方向からカードリーダー400を透視して内部の概略構成を示す説明図である。図4に示すように、カードリーダー400は、筐体前方側、即ち図1におけるATM20のユーザー正面側に、左右のカード案内突起410,412を備え、当該突起で囲まれた領域にカード挿入孔414を備える。この他、カードリーダー400は、筐体内部に、カードロック機構401と、磁気ヘッド402と、ICチップ接点機構403と、カード挿入センサー404とを有する。磁気ヘッド402は、図4に示したカード案内突起410,412の一方、例えばカード案内突起410に組み込まれている。そして、磁気ヘッド402は、カード挿入孔414へのユーザーによるカードの挿入を経て挿入されたICカード300の磁気ストライプ302のカード情報を読み取って当該情報を制御部2に出力する。なお、図5では、図示の都合上、磁気ヘッド402は、紙面における下方側に位置するが、挿入されるICカード300における磁気ストライプ302と対向して、カード案内突起410に配設される。
カード挿入センサー404は、紙面における右方側、即ちカードリーダー400の奥側に配設されている。そして、このカード挿入センサー404は、カード挿入孔414へのユーザーによるカードの挿入を経て挿入されたICカード300の先端を検知し、その検知信号を制御部2に出力する。こうしてカード挿入センサー404がカードを検知すると、カード挿入を経て受け取ったICカード300は、カード受取位置KPに位置することになる。このカード受取位置KPに位置する磁気カード300は、図4に示すカード案内突起410,412との間において、カード端部をカード挿入孔414から露出させている。よって、ユーザーは、カード受取位置KPに位置する磁気カード300の露出範囲において磁気カード300を指で把持し、カード挿入とカード抜取を行う。
ICチップ接点機構403は、カード挿入孔414から挿入されて上記したカード受取位置KPに位置するICカード300と対向するよう配設されている。そして、ICチップ接点機構403は、制御部2の制御を受けて駆動してICカード300の接点と接触し、ICチップ301に記憶済みのカード情報を読み取って当該情報を制御部2に出力する。なお、ICチップ接点機構403は、制御部2の制御を受けて、ICチップ301へのデーター書き込みも行う。
カードロック機構401は、磁気ヘッド402と反対側のカード案内突起412に組み込まれ、制御部2の制御を受けて駆動して、ユーザーのカード挿入を経てカード受取位置KPに受け取ったICカード300を、カード挿入孔414の側でロックする。これにより、カード受取位置KPに位置するICカード300をカード挿入孔414から引き抜くユーザーのカード抜取は、不可となり、挿入済みのICカード300をユーザーが抜取ることができなくなる。なお、挿入されたICカード300或いはカード受取位置KPに位置するICカード300のユーザーへのカード受渡は、カードロック機構401によるロックがなされていない間のユーザーによるカード抜取を経てなされる。
A−3.カード取引処理:
次に、カード取引処理について説明する。図6はATM20にて行われる一連のカード取引処理の前半を占める各処理を示すフローチャート、図7はカード取引処理の後半を占める各処理を示すフローチャート、図8はカード取引処理の遂行に伴う操作部3での第1案内表示推移を示す説明図、図9はカード取引処理の遂行に伴う操作部3での第2案内表示推移を示す説明図である。
図示するカード取引処理は、制御部2による各機器制御下で行われ、まず、制御部2は、カード取引のタイプを選択する案内画像を操作部3に表示して(ステップS100)、その案内画像をユーザーに提供する。このステップS100で、制御部2は、図8(a)に示す画像情報を取得するよう画像取得機構部17を制御し、操作部3に、図8(a)の取引選択案内画像を表示する。この場合、制御部2は、図8(a)に示す取引選択案内画像を常時、操作部3に表示してもよいし、図1において省略した人体検知センサー等にてユーザーの接近を検知し、ユーザー検知に合わせて図8(a)に示す取引選択案内画像を表示してもよい。制御部2は、図8(a)の取引選択案内画像を表示した後、ユーザーによる取引タイプの選択を待機する(ステップS110)。
ユーザーが磁気取引を選択すると、制御部2は、図8(b)に示す画像情報を取得するよう画像取得機構部17を制御し、操作部3に、図8(b)のカード挿入案内画像を表示する(ステップS120)。次いで、制御部2は、カード機構部4のカード挿入孔414(図4参照)へのユーザーによるカード挿入を待機し(ステップS130)、カード挿入があると、そのカード挿入の際に、磁気ストライプ302に記録済みのカード情報を磁気ヘッド402にて読み取り(ステップS140)、このカード情報を一旦記憶する。この場合のカードは、ステップS110にて磁気取引が選択済みなので、ICチップ301を備えない磁気カードである。よって、磁気取引の際のカードを、磁気カード300と称する。なお、図8(b)のカード挿入案内画像の表示の後に所定時間経過すると、案内画像をフラッシュ表示したり、音声案内ガイダンス部9にてカード挿入を促すアナウンスを流して、ユーザーに磁気カード300の挿入を促すようにしてもよい。
カード情報の読み取りに続き、制御部2は、挿入された磁気カード300がカードリーダー400(図5参照)におけるカード受取位置KPに位置しているか否かを、カード挿入センサー404のセンサー出力に基づいて判定する(ステップS150)。ここで肯定判定すると、制御部2は、図8(c)に示す画像情報を取得するよう画像取得機構部17を制御し、操作部3に、図8(c)のカード抜取案内画像を表示して、ユーザーによる磁気カード300の抜取を待機する(ステップS160)。上記のカード抜取案内画像の表示の後、制御部2は、ステップS140で読み取ったカード情報に応じた各種の磁気取引処理、例えば、ユーザー所望の入金処理、出金処理等を行って(ステップS170)、一旦、本ルーチンを終了する。一方、ステップS150で否定判定すると、制御部2は、ステップS170に移行して、ステップS140で読み取ったカード情報に応じた各種処理を実行し、一旦、本ルーチンを終了する。つまり、ステップS110にて磁気取引がユーザーにより選択されれば、制御部2は、既存のATMにてなされているよう、ATM20を制御する。この場合、ステップS150での否定判定は、ユーザーが慣れ親しんだカード挿入とカード抜取の一連動作を行う場合に下されるが、カード挿入の際に既に磁気ストライプ302からカード情報は読み取り済み(ステップS140)なため、ステップS170での磁気取引処理に支障は無い。また、ユーザーが磁気カード300をカード受取位置KPに位置するようカード挿入を行っただけであっても、ステップS150での肯定判定とこれに続くカード抜取案内により、磁気カード300は、ユーザーのカード抜取により、ユーザーに受け渡される。
ステップS110にてユーザーがIC取引を選択すると、制御部2は、磁気取引の場合と同様に、図8(b)のカード挿入案内画像を表示して(ステップS180)、ユーザーによるICカード300の挿入を待機する(ステップS190)。そして、IC取引が可能なカードの挿入があると、そのカード挿入の際に、磁気ストライプ302に記録済みのカード情報を磁気ヘッド402にて読み取り(ステップS200)、このカード情報を一旦記憶する。この場合のカードは、ステップS110にてIC取引が選択済みなので、ICチップ301を備えるICカード300である。なお、このIC取引選択の場合であっても、図8(b)のカード挿入案内画像の表示の後に所定時間経過すると、案内画像をフラッシュ表示したり、音声案内ガイダンス部9にてカード挿入を促すアナウンスを流して、ユーザーにカード挿入を促すようにしてもよい。
カード情報の読み取りに続き、制御部2は、挿入されたICカード300がカードリーダー400(図5参照)におけるカード受取位置KPに、所定の待機時間に亘って存在しているか否かを、カード挿入センサー404のセンサー出力とタイマ機構部18の計時時間に基づいて判定する(ステップS210)。つまり、制御部2は、ユーザーによるカード挿入を経てICカード300をカード受取位置KPに受け取ってからの経過時間を計時し、ステップS210では、所定の待機時間、例えば、2〜5秒の待機時間が経過したか否かを判定する。ここで肯定判定すると、制御部2は、図7のステップS220に移行して、ICカード300をカード受取位置KPにロックする。即ち、制御部2は、カード受取位置KPにICカード300を受け取ってから所定の待機時間が経過した時点で、カードロック機構401(図5参照)を駆動制御して、ICカード300をカード受取位置KPにロックする(ステップS220)。これにより、ユーザーによるカード受取位置KPからのICカード300の抜取は不可となる。
上記したカードロックに続き、制御部2は、ICチップ接点機構403を駆動してICカード300のICチップ301に接点接触させた上、ICチップ301を所定の電流にて活性化させる(ステップS230)。その後、制御部2は、ICチップ301の活性化が成功したか否かを、ICチップ301に記憶済みのカード情報のデーター読み取りにより判定し(ステップS240)、肯定判定すれば、その読み取ったカード情報に応じた各種のIC取引処理、例えば、ユーザー所望の入金処理、出金処理等を行う(ステップS250)。
ICチップ301からのカード情報の読み取りを伴うIC取引処理が完了すると、制御部2は、カードロック機構401を復帰駆動制御して、ICカード300のロックを解除する(ステップS260)。これにより、カード受取位置KPからのICカード300の抜取が可能となるので、制御部2は、図8(c)のカード抜取案内画像を操作部3に表示して、ユーザーによるICカード300の抜取を待機して(ステップS270)、一旦、本ルーチンを終了する。
一方、ステップS240にて、ICチップ301の活性化が成功しなかったと否定判定すると、ICチップ301に記憶済みのカード情報に基づいたIC取引が不可であるとしてステップS260に移行して、カードロックを解除する。その後は、ステップS270でのカード抜取案内画像の表示を経て、本ルーチンを終了する。
制御部2は、ステップS210にて、挿入されたICカード300はカード受取位置KPに所定の待機時間に亘って存在していないと否定判定すると、図7のステップS280に移行する。ステップS210の否定判定は、ユーザーが慣れ親しんだカード挿入とカード抜取の一連動作をステップS210で規定する待機時間の経過前に行う場合に下される。よって、制御部2は、ステップS220のようなカードロックを行わず、図7のステップS280に移行する。このようにロックがなされないので、ICチップ接点機構403は、ICチップ301と対向してはいるものの、ICチップ301の側に向けて駆動していない。よって、ユーザーが行ったカード挿入とカード抜取の一連の動作は、ICチップ接点機構403がICチップ301に非接触の状態でなされることになる。そして、ステップS210での否定判定に続くステップS280では、制御部2は、ステップS200にて磁気ストライプ302から読み取り済みのカード情報、具体的には図3に示したサービスコード304の数値データーに基づいてIC取引が実行可能か否かを判定する。ここで、サービスコード304が数値「2」、数値「6」以外のデーターであれば、制御部2は、IC取引が不可であるとして何の処理も行うことなく本ルーチンを終了する。
一方、ステップS280にてIC取引が実行可能であると肯定判定すると、制御部2は、図9(a)に示す画像情報を取得するよう画像取得機構部17を制御し、操作部3に、図9(a)のカードの再挿入案内画像を表示する(ステップS290)。次いで、制御部2は、ユーザーによる2度目のカード挿入を待機し(ステップS300)、カード挿入があると、図9(b)に示す画像情報を取得するよう画像取得機構部17を制御し、操作部3に、図9(b)のカード抜取を禁止する案内画像を表示する(ステップS310)。この案内画像の表示に続いて、或いは画像表示と並行して、制御部2は、再度のカード挿入の際に、磁気ストライプ302に記録済みのカード情報を磁気ヘッド402にて再度読み取り(ステップS320)、このカード情報を一旦記憶する。
次いで、制御部2は、図6のステップS200で読取・記憶した当初のカード情報とステップS320で読取・記憶した2度目のカード情報とを対比し、今回挿入されたICカード300は当初に挿入済みのICカード300と異なるか否かを判定する(ステップS330)。ここで、今回挿入されたICカード300は当初に挿入済みのICカード300と異なると判定すると、制御部2は、IC取引が不可であるとしてカード抜取を促すべく、ステップS270に移行し、その後、本ルーチンを終了する。この場合のステップS270では、制御部2は、図9(c)に示す画像情報を取得するよう画像取得機構部17を制御し、操作部3に、図9(c)のカード抜取を案内する画像を表示する。
一方、ステップS330にて、今回挿入されたICカード300は当初に挿入済みのICカード300と同一である判定すると、制御部2は、カードの再挿入を経て受け取ったICカード300がカード受取位置KPに所定の待機時間に亘って存在しているか否かを、ステップS220と同様に判定する(ステップS340)。そして、このステップS340で肯定判定すると、制御部2は、既述したステップS220に移行して、カード受取位置KPでのICカード300のロック、ICチップ接点機構403の駆動を経たチップ活性化(ステップS230)、活性化の成否判定(ステップS240)、IC取引処理(ステップS250)、ICカード300のロック解除(ステップS260)、カード抜取案内画像の表示(ステップS270)といった一連の処理を行って、一旦、本ルーチンを終了する。また、ステップS340にて、再挿入されたICカード300はカード受取位置KPに所定の待機時間に亘って存在していないと否定判定すると、ステップS270に移行してカード抜取案内画像を表示した後、本ルーチンを終了する。なお、ステップS340にて否定判定した場合は、ユーザーにより既にICカード300はカード受取位置KPから抜き取られていると想定されるので、何の処理も行わず、本ルーチンを終了してもよい。
以上説明した構成を備える第1実施形態のATM20は、ユーザーのICカード300の挿入を経て、そのICカード300をカード受取位置KPに受け取る(ステップS180〜190)。その上で、第1実施形態のATM20は、ICカード300を受け取ってから所定の待機時間の経過後に、ICカード300をカードロック機構401にてカード受取位置KPにロックして(ステップS210〜220)、カード受取位置KPまで挿入済みのICカード300のユーザーによるカード抜取を不可とする。そして、第1実施形態のATM20は、ユーザーによるカード抜取を不可とした状況下において、ICカード300のICチップ301からICチップ接点機構403にてカード情報を読み取り、カード情報の読み取り後に、カードロック機構401によるカードロックを解除してカード抜取を可能とする(ステップS260)。よって、第1実施形態のATM20では、ICチップ接点機構403がICチップ301に接点接触して情報読取を行っている間は、ユーザーによるカード抜取を不可となる。この結果、カード挿入に続いてカード抜取を行う一連の動作にユーザーが慣れていても、カード挿入に続くカード抜取ができないために、第1実施形態のATM20によれば、ICチップ接点機構403やICチップ301の接点の損傷を回避できる。
第1実施形態のATM20は、ICカード300をユーザーによるカード挿入を経て受け取ってから所定の待機時間の経過前にユーザーがICカード300を抜き取っても、このカード抜取の際には、ICチップ接点機構403をICチップ301と接点接触させない。この点からも、第1実施形態のATM20によれば、ICチップ接点機構403やICチップ301の接点の損傷を回避でき、延いてはカード損傷を回避できる。
第1実施形態のATM20は、ICカード300を受け取ってから所定の待機時間の経過前にユーザーがICカード300を抜き取られると、カード取引を継続すべく、まずは、既に磁気ストライプ302から読取済みのカード情報(図3参照)に基づいてIC取引の実行可否を判定する(ステップS280)。そして、IC取引可能であれば、ICカード300の再度の挿入をユーザーに促し(ステップS290〜300)、この再度のICカード300の挿入に際しても、再挿入に伴うカード受取から所定の待機時間の経過後に、ICカード300をカードロック機構401にてカード受取位置KPにロックして(ステップS210〜220)、カード受取位置KPまで再挿入されたICカード300のユーザーによるカード抜取を不可とする。よって、第1実施形態のATM20によれば、ユーザーによるカード挿入を経たICカード300の受け取りが最初の受け取りであるか再度の受け取りであるかに拘わらず、カード挿入とカード抜取とが一連の動作としてユーザーになされても、接点損傷、延いてはカード損傷を回避できる。また、カード取引を継続できるので、利便性も高まる。
第1実施形態のATM20は、ICカード300を用いた取引を所望するユーザーに対して、その取引の開始に先立ち、ユーザー自身にIC取引か磁気取引のいずれかの選択を委ねる(ステップS100)。よって、ユーザーがIC取引を選択すれば、そのユーザーは、IC取引選択以降のカードの取扱においては、カード挿入とこれに続くカード抜取を一連の動作として行わないようにする、との認識を持ち得る。しかしながら、カード取引に際してはカード挿入とこれに続くカード抜取を一連の動作として行うことにユーザーが慣れ親しんでいればいるほど、上記認識に反して、カード挿入とこれに続くカード抜取を一連の動作として行ってしまう不測の事態も起き得る。第1実施形態のATM20は、こうした不測の事態が起きた場合であっても、ユーザーによるカード抜取の際にはICチップ接点機構403をICチップ301に接点接触させないと共に、所定の経過時間の経過後でしかカードロックも行わないので、接点損傷、延いてはカード損傷を回避できる。
第1実施形態のATM20は、IC取引を選択したユーザーがカード挿入とこれに続くカード抜取を一連の動作として所定の待機時間の経過前に行うと、ユーザーにICカード300の再挿入を案内画面で促す。よって、第1実施形態のATM20によれば、ICカード300の再挿入の際には、ユーザーはカード挿入とこれに続くカード抜取を一連の動作として行わないようになると期待でき、この点からも、接点損傷回避やカード破損回避の上で有益となる。
第1実施形態のATM20は、IC取引を選択したユーザーがカード挿入とこれに続くカード抜取を一連の動作として所定の待機時間の経過前に行うと、ユーザーにICカード300の再挿入を案内画面で促した上で(ステップS280〜290)、当初挿入されたICカード300の磁気ストライプ302におけるカード情報と再挿入されたICカード300の磁気ストライプ302におけるカード情報との一致・不一致を判別する(ステップS300〜330)。そして、上記の両カード情報が不一致であれば、カードロック機構401によるカードロックを行うことなく、ユーザーにカード抜取を行うよう抜取案内画面の表示で促す。よって、第1実施形態のATM20によれば、誤ってユーザーが異なるICカード300を再挿入しても、誤挿入であることの画面報知(図9(c))を通して、ユーザーに当初挿入したICカード300と同じカードの挿入を促して、IC取引の継続を図ることができる。
B.第2実施形態:カード取引処理:
次図10はATM20にて行われる第2実施形態のカード取引処理の前半を占める各処理を示すフローチャート、図11は第2実施形態のカード取引処理の後半を占める各処理を示すフローチャート、図12は第2実施形態のカード取引処理におけるリスト作成処理の詳細を説明するためのフローチャート、図13は第2実施形態のカード取引処理の遂行に伴う操作部3での案内表示推移を示す説明図である。
第2実施形態のカード取引処理にあっても、制御部2による各機器制御下で行われ、まず、制御部2は、カード挿入を促す案内画像を操作部3に表示して(ステップS400)、その案内画像をユーザーに提供する。このステップS400で、制御部2は、図13(a)に示す画像情報を取得するよう画像取得機構部17を制御し、操作部3に、図13(a)のカード挿入案内画像を表示する。この場合、制御部2は、図13(a)に示すカード挿入案内画像を常時、操作部3に表示してもよいし、図1において省略した人体検知センサー等にてユーザーの接近を検知し、ユーザー検知に合わせて図13(a)に示すカード挿入案内画像を表示してもよい。制御部2は、図13(a)のカード挿入案内画像を表示した後、カード機構部4のカード挿入孔414(図4参照)へのユーザーによるカード挿入を待機する(ステップS410)。
ユーザーによるカード挿入があると、制御部2は、そのカード挿入の際に、磁気ストライプ302に記録済みのカード情報を磁気ヘッド402にて読み取り(ステップS420)、この際のデーター読取状況により、取引タイプ選択リストの作成処理を実行する(ステップS500)。この取引タイプ選択リストの作成処理では、図12に示すように、制御部2は、ステップS420でのデーター読取対象となったカードが磁気ストライプ302を備えないカードか否かのカード判別を磁気ヘッド402によるデーター読取状況に基づいて実行する(ステップS510)。磁気ヘッド402を備えないカードであれば、磁気ヘッド402のデーター読取結果はヌル、或いは読取エラーとなるので、こうした読取状況からカード判別が可能である。そして、ステップS510で磁気ストライプ302を備えないカードであると肯定判定すると、制御部2は、読取対象のカードはICチップ301のみを有するIC取引専用のカードであるとして、取引選択画面に「IC取引」のみを表示する画像を操作部3に表示して(ステップS520)、取引タイプ選択リスト作成処理を抜け、後述のステップS600に移行する。ステップS520での画面表示では、制御部2は、図13(b)に示す画像情報を取得するよう画像取得機構部17を制御し、操作部3に、図13(b)の取引タイプ選択画像を表示する。
ステップS510で磁気ストライプ302を備えるカードであると否定判定すると、制御部2は、ステップS420にて磁気ストライプ302から読み取り済みのサービスコード304(図3参照)の数値データーに基づいてIC取引が実行可能か否かを判定する(ステップS530)。ここで、サービスコード304が数値「2」或いは数値「6」であれば、制御部2は、磁気ストライプ302の読取を伴う磁気取引も、ICチップ301の読取を伴うIC取引も実行可能であるとして、取引選択画面に「IC取引」と「磁気取引」の両者を表示する画像を操作部3に表示して(ステップS540)、取引タイプ選択リスト作成処理を抜け、後述のステップS600に移行する。ステップS540での画面表示では、制御部2は、図13(c)に示す画像情報を取得するよう画像取得機構部17を制御し、操作部3に、図13(c)の取引タイプ選択画像を表示する。
ステップS420にて読み取り済みのサービスコード304が数値「2」と数値「6」以外であるために、ステップS530でIC取引が実行不可であると否定判定すると、制御部2は、磁気ストライプ302の読取を伴う磁気取引のみが実行可能であるとして、取引選択画面に「磁気取引」のみを表示する画像を操作部3に表示して(ステップS550)、取引タイプ選択リスト作成処理を抜け、後述のステップS600に移行する。ステップS550での画面表示では、制御部2は、図13(d)に示す画像情報を取得するよう画像取得機構部17を制御し、操作部3に、図13(d)の取引タイプ選択画像を表示する。
よって、ステップS420での磁気ストライプ302の読取とこれに続くステップS500での取引タイプ選択リスト作成処理の後、制御部2は、図13(b)〜(d)のいずれか一つの取引タイプ選択画像が操作部3に表示して、ユーザーによる取引タイプの選択を待機する(ステップS600)。そして、ユーザーは、操作部3に表示された取引タイプ選択画像を見て取引を選択し、取引を継続する。まず、図13(d)の取引タイプ選択画像が表示された場合について説明する。
図13(d)の取引タイプ選択画像は、「磁気取引」のみを含むので、ユーザーはこの「磁気取引」を選択する。そうすると、制御部2は、この選択を受けて、挿入された磁気カード300がカードリーダー400(図5参照)におけるカード受取位置KPに位置しているか否かを、カード挿入センサー404のセンサー出力に基づいて判定する(ステップS610)。ここで肯定判定すると、制御部2は、図8(c)に示す画像情報を取得するよう画像取得機構部17を制御し、操作部3に、図8(c)のカード抜取案内画像を表示して、ユーザーによる磁気カード300の抜取を待機する(ステップS620)。上記のカード抜取案内画像の表示の後、制御部2は、ステップS420で読み取ったカード情報に応じた各種の磁気取引処理、例えば、ユーザー所望の入金処理、出金処理等を行って(ステップS630)、一旦、本ルーチンを終了する。
図13(c)の取引タイプ選択画像は、「IC取引」と「磁気取引」が含まれる。よって、ユーザーが「磁気取引」を選択すれば、制御部2は、上記したステップS610に移行して、既述した処理を実行する。一方、図13(c)の取引タイプ選択画像で「IC取引」が選択された場合、および、「IC取引」しか含まない図13(b)の取引タイプ選択画像で当然に「IC取引」が選択された場合、制御部2は、既述した第1実施形態のステップS210以降の処理に倣い、次のように各処理を実行する。なお、以下の説明に当たっては、第1実施形態と同じ処理については、その説明を簡略化する。
ユーザーにより「IC取引」が選択されると、制御部2は、挿入されたICカード300がカードリーダー400(図5参照)におけるカード受取位置KPに、所定の待機時間に亘って存在しているか否かを判定する(ステップS640)。ここで否定判定すると、既述した第1実施形態のステップS290〜S340と同様に、図9(a)のカードの再挿入案内画像の表示(ステップS650)、ユーザーによる2度目のカード挿入待機(ステップS660)、図9(b)のカード抜取禁止案内画像の表示(ステップS670)、磁気ストライプ302に記録済みのカード情報の再読み取り(ステップS680)を行う。
次いで、制御部2は、当初のカード情報とステップS680で読取・記憶した2度目のカード情報との一致・不一致判定を行い(ステップS0)。ここで、今回挿入されたICカード300は当初に挿入済みのICカード300と異なると判定すると、制御部2は、IC取引が不可であるとしてカード抜取を促すべく、ステップS770に移行し、その後、本ルーチンを終了する。この場合のステップS770では、制御部2は、操作部3に、図9(c)のカード抜取を案内する画像を表示する。
一方、ステップS690にて、今回挿入されたICカード300は当初に挿入済みのICカード300と同一である判定すると、制御部2は、カードの再挿入を経て受け取ったICカード300がカード受取位置KPに所定の待機時間に亘って存在しているか否かを、判定する(ステップS700)。そして、このステップS700で肯定判定すると、制御部2は、カード受取位置KPでのICカード300のロック(ステップS710)、ICチップ接点機構403の駆動を経たチップ活性化(ステップS720)、活性化の成否判定(ステップS730)、IC取引処理(ステップS740)、ICカード300のロック解除(ステップS750)、カード抜取案内画像の表示(ステップS770)といった一連の処理を行って、一旦、本ルーチンを終了する。また、ステップS700にて、再挿入されたICカード300はカード受取位置KPに所定の待機時間に亘って存在していないと否定判定すると、ステップS760に移行してカード抜取案内画像を表示した後、本ルーチンを終了する。なお、ステップS700にて否定判定した場合は、ユーザーにより既にICカード300はカード受取位置KPから抜き取られていると想定されるので、何の処理も行わず、本ルーチンを終了してもよい。
図10のステップS640にて、挿入されたICカード300がカード受取位置KPに所定の待機時間に亘って存在していると肯定判定すると、制御部2は、図11のステップS710に移行する。そして、それ以降、制御部2は、カード受取位置KPでのICカード300のロック(ステップS710)に続き、ICチップ接点機構403の駆動を経たチップ活性化(ステップS720)、活性化の成否判定(ステップS730)、IC取引処理(ステップS740)、ICカード300のロック解除(ステップS750)、カード抜取案内画像の表示(ステップS770)といった一連の処理を行って、一旦、本ルーチンを終了する。
以上説明した第2実施形態のATM20にあっても、ICカード300を受け取ってから所定の待機時間の経過後に(ステップS640)、ICカード300をカードロック機構401にてカード受取位置KPにロックして(ステップS710)、カード受取位置KPまで挿入されたICカード300のユーザーによるカード抜取を不可とする。よって、第2実施形態のATM20によっても、ICチップ接点機構403やICチップ301の接点損傷の回避と言った効果を奏することができる。
第2実施形態のATM20は、ユーザーが挿入したカードがICチップ301を有しない磁気カード300或いはICカード300のいずれであっても、挿入されたカードにて取引できるリストをユーザーに提示する(ステップS600:図13(b)〜(d))。よって、第2実施形態のATM20によれば、カード取引を行う際のユーザーの利便性を向上させる。
上記した実施形態では、挿入されたICカード300がカードリーダー400(図5参照)におけるカード受取位置KPに所定の待機時間に亘って存在しているか否かの判断を行うに当たり、この待機時間を2〜5秒に設定したが、この時間範囲に限らない。例えば、カメラ等にてユーザーのカード挿入とこれに続くカード抜取とが一連の動作として行われる状況を随時観察し、その観察結果に応じて、待機時間を変更設定したり、ATM管理者によるディップスイッチ等の操作にて随時変更するようにしてもよい。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。この他、本発明は、特許請求の範囲に記載した形態以外の種々の形態で実現することも可能であり、例えば、カードリーダーとしての形態や、紙幣のみを取り扱うATMにおけるカード取引や、紙幣と硬貨の両者を取り扱うATMにおけるカード取引としての形態、或いはATM以外のカード取引装置としての形態等で実現することが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。また、前記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVDなどの記録媒体に置くことができる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
なお、前述した各実施形態における構成要素の中の、請求項で記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。