JP6206195B2 - 複合体、複合体にシーラント層を積層した構成体。 - Google Patents

複合体、複合体にシーラント層を積層した構成体。 Download PDF

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Description

本発明は電池外装用ポリエステルフィルム、医薬包装用ポリエステルフィルム、該フィルムに接着層を介して金属箔が積層された複合体、および該複合体とシーラント層とを含む構成体に関し、特に電池外装用、医薬包装用に好適に使用できるポリエステルフィルム、複合体および構成体に関する。
リチウム電池とは、リチウム2次電池ともいわれ、液状、ゲル状高分子、固体高分子、ポリマー電解質などを持ち、リチウムイオンの移動で電流を発生する電池であって、正極・負極活性物質が高分子からなるものを含むものである。リチウム2次電池の構成としては、正極集電材(アルミ、ニッケル)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料)/電解質層(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質)/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子負極材料)/負極集電材(銅、ニッケル、ステンレス)及びそれらを包装する外装体からなる。近年、リチウム電池はその高い体積効率、重量効率から多岐分野に渡って使用されており、パソコン、携帯端末装置(携帯電話、PDA等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星等に小型大容量電源として用いられている。
リチウム電池の外装体としては、金属をプレス加工して、円筒状または直方体状に容器化した金属製缶が代表的に挙げられる。しかしながら、金属製缶を用いると容器外壁が剛直であるために電池自体の形状が決められてしまい、ハードウエア側を電池に合わせて設計する必要があり、該電池を用いるハードウエアの寸法が電池により決定されてしまうなどデザインに制約ができてしまうという問題がある。そこで、樹脂層/アルミニウム/シーラント層から構成される構成体を角型に絞り成形加工した成形体2つをヒートシールでラミネートした外装体が好まれるようになってきている。構成体において、シーラント層はヒートシール性、アルミニウムはバリア性、樹脂層は深絞り性を担っている。最近では、バッテリー製造工程において、電解液の漏れ等による構成体を構成する樹脂層の劣化に起因した歩留まり低下が問題視されており、樹脂層には深絞り性の付与に加えて、耐電解液性が求められるようになってきている。
これまで、樹脂層として、例えばポリアミドフィルムなどが用いられている(例えば特許文献1参照)。しかしながらポリアミドフィルムは防湿性、電解液に対する安定性が十分ではなく、電池製造工程に電解液が付着した際にポリアミドフィルムが劣化してしまう場合があり、改善が求められていた。また、ポリエステルを最外装に設ける構成が提案されている(特許文献2参照)が、ポリエステルフィルムとポリアミドを貼り合わせるための工程が余分に必要とされるため、生産性に劣るといった課題があった。
また、ポリエステルフィルム単体での検討も行われている(例えば特許文献3参照)。しかしながら、提案されているポリエステルフィルムは、成形性が必ずしも十分ではなく、深絞り成形への対応が不可能であった。さらに、絞り成形性を向上させたポリエステルフィルムも提案されている(例えば特許文献4、5参照)。
特開2006−236938号公報 特開2000−334891号公報 特開2011−204674号公報 特開2012−238491号公報 特開2013−56457号公報
上記ポリエステルフィルムを用いることで、深絞り成形性、耐電解液性は改良されているものの、金属箔とシーラント層を貼り合わせた構成体を成形した後に成形体がポリエステルフィルム側へ反るという課題があり、解決するに至っていない。本発明は耐電解液性および深絞り性に優れるだけでなく、低曲げ剛性と高加工硬化性を有することにより、深絞り性と成形後の耐反り性を両立したポリエステルフィルムを提供することである。
上記課題を解決するため、本発明のポリエステルフィルムは以下の構成とする。
(1)厚みあたり曲げ剛性が長手方向と幅方向の平均値で0.05mg/μm以上、0.35mg/μm以下であって、加工硬化指数の長手方向幅方向の平均値が1.8以上、3.0以下であるポリエステルフィルムと厚みが10μm以上100μm以下である金属箔とを接着層を介して貼り合せた複合体であって、長手方向と幅方向の破断伸度が共に23%以上50%以下かつ、長手方向と幅方向の平均破断伸度が25%以上42%以下である複合体。
(2)前記ポリエステルフィルムの厚みが18μm以上30μm以下である(1)に記載の複合体
(3)前記ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレートを主体として構成される層(A層)とガラス転移温度がA層を構成する樹脂よりも20℃以上低い樹脂を主体として構成される層(B層)を含む(1)または(2)に記載の複合体
(4)前記ポリエステルフィルムが、B層/A層/B層の順に積層された少なくとも3層構成である(1)〜(3)のいずれかに記載の複合体
(5)前記ポリエステルフィルムのB層の厚みがポリエステルフィルム全層厚みに対して18%以上67%以下の割合である(3)又は(4)に記載の複合体
(6)前記ポリエステルフィルムのB層を構成する樹脂の示差走査型熱量計から得られる融解吸熱ピーク温度が195℃以上230℃以下である(3)〜(5)のいずれかに記載の複合体
(7)前記ポリエステルフィルムのB層を構成する樹脂がポリブチレンテレフタレートを主たる構成成分とする(3)〜(6)のいずれかに記載の複合体
(8)前記ポリエステルフィルムのB層を構成する樹脂が炭素数4以上の脂肪族ジカルボン酸が全ジカルボン酸成分全量に対して3モル%以上の割合で共重合されたポリブチレンテレフタレートを10質量%以上100質量%以下の割合で含む(3)〜(7)のいずれかに記載の複合体
(9)前記ポリエステルフィルムのB層を構成する樹脂がドデカンジオン酸を全ジカルボン酸成分全量に対して3モル%以上の割合で共重合されたポリブチレンテレフタレートを10質量%以上100質量%以下の割合で含む(3)〜(8)のいずれかに記載の複合体
(10)電池外装用に用いられる(1)〜(9)のいずれかに記載の複合体
(11)医薬包装用に用いられる(1)〜(9)のいずれかに記載の複合体
12)(1)に記載の複合体とさらに金属箔側にシーラント層を設けたポリエステルフィルム/接着層/金属箔/シーラント層の順となるように配置された構成体。
本発明のポリエステルフィルムはポリエステル樹脂を用いることにより耐電解液性に優れ、厚みあたりの曲げ剛性と加工硬化指数を特定範囲とすることによって深絞り成形性および成形後の耐反り性を両立することができ、高容量化対応の電池外装用構成体、様々な形状に対応可能な医薬包装用構成体に好適に使用することができる。
矩形状雄型、矩形状雌型から成る口金を側面からみた概略図である。 成形追従性の評価において成形できた構成体を真上からみた図である。
本発明のポリエステルフィルムは厚みあたり曲げ剛性が長手方向幅方向の平均値で0.05mg/μm以上、0.35mg/μm以下である。絞り成形では、ダイス部での曲げ、フランジ周方向への収縮、絞り方向への伸びといった変形を伴いながら材料が加工されることが知られている。本発明者らの鋭意検討によると、成形後の反り原因のひとつは、このダイス部での曲げによる弾性変形に起因しており、厚みあたり曲げ剛性を長手方向幅方向の平均値で0.05mg/μm以上、0.35mg/μm以下とすることで絞り成形後の反りを抑制できることを見出した。曲げ剛性が0.35mg/μmを超えると絞り成形後にポリエステルフィルム側に反りが発生する。反りを抑制する観点から、厚みあたりの曲げ剛性は低いほど好ましいが、後述する成形性に寄与する加工硬化指数と相反傾向を示すため、必要な特性に応じて曲げ剛性を0.35mg/μm以下で適正な範囲にすればよい。ポリエステルフィルムにおいて、曲げ剛性を0.35mg/μm以下とするにはフィルムの配向を低下させればよく、具体的には延伸倍率を低下させるか、フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度よりも20℃以上の温度にて面積倍率が14.4倍以下となるように二軸延伸すれば良い。面積倍率が14.4倍を超えると曲げ剛性を0.35mg/μm以下とするのは困難である。
本発明のポリエステルフィルムは、加工硬化指数を1.8以上、3.0以下とする。ここで、加工硬化指数とは評価方法(8)ポリエステルフィルムの破断強度、にて定めた引張り試験から得られる伸度5%時の応力および伸度60%時の応力より算出された値のことであり、詳細は評価方法(6)加工硬化指数で定めたとおりである。前述のとおり絞り成形における材料の変形挙動は主に、ダイス部での曲げ、フランジ周方向への収縮、絞り方向への伸びを伴う。ここで、成形性に影響をおよぼす因子としては、材料に掛かる変形抵抗が挙げられ、小さいほど深絞りがし易いと言える。機械的側面において、変形抵抗は材料と接触するダイス角やパンチ角の半径、フランジ押さえ圧、材料との摩擦力が影響すると考えられている。また、絞り方向へ材料が伸びるとき、材料全体でみると変形抵抗が小さい部分から変形を開始する。この変形抵抗への着目のため、材料は変形抵抗の小さいもの、つまり強度が小さく柔軟なものほど絞り性が良いと考えられる傾向にある。しかしながら、実際には材料面から絞り性を向上させるために、変形抵抗自体は小さい方がよいものの、成形時の応力集中による局部的な変形を避ける必要があり、そのためには加工硬化指数を大きくする必要がある。加工硬化指数とは加工硬化の度合いを示す指数であり、加工硬化とは材料に応力を加えると塑性変形によって硬さが増す現象である。仮に加工硬化の小さい材料を絞り成形した場合、硬化を伴わない変形抵抗の小さい部分に応力が集中し続けるため、変形量に対して材料が破壊しやすい。一方、材料変形時に加工硬化が促進しやすいものは、周囲の変形抵抗が小さい箇所に応力が拡散し、材料の変形を全体にわたって一様にできるため、絞り性が向上する。
ポリエステルフィルムの加工硬化指数を1.8以上とするには、フィルムの破断強度を長手方向、幅方向の平均で200MPa以上にするのが好ましい方法として挙げられる。なお、ここでフィルムの長手方向と幅方向はフィルムの任意の一方向(0°)、該方向から15°、30°、45°、60°、75°、90°、105°、120°、135°、150°、165°の方向の破断強度を測定し、最も破断強度の高かった方向を幅方向とし、幅方向と直交する方向を長手方向とする。ポリエステルフィルム破断強度の平均を200MPa以上とするには高倍率で延伸するとよい。具体的には二軸に延伸するのが最も好ましく、公知の方法で逐次または同時で面積倍率を10倍以上として延伸すると良い。加工硬化指数が1.8未満であると絞り成形性に劣る。一方、絞り成形性にとって加工硬化指数は高いほど好ましいと考えられるがポリエステルを主成分とした分子骨格の特徴より、厚みあたりの曲げ剛性を0.35mg/μm以下とした範囲において加工硬化指数は3.0が限界と考えられる。また、加工硬化指数は高くなるほど絞り成形時の曲げによる弾性変形が大きくなるため、成形後の反りが大きくなる傾向がある。このため、加工硬化指数は必要とされる反りの程度に応じて最低限に抑えることが重要である。
本発明のポリエステルフィルムはポリエステルを主体として構成される。ポリエステルとは主鎖における主要な結合をエステル結合とする高分子化合物の総称である。そして、ポリエステルは、通常ジカルボン酸あるいはその誘導体とジオールあるいはその誘導体を重縮合反応させることによって得ることができ、ポリエステルを主体として構成することで耐電解液性を得ることができる。また、本発明でいう主体として構成する、は対象全体に対して、60質量%以上100質量%以下の割合で占めることを指し、ここではポリエステルフィルムに対して占める割合のことをいう。ここで、ジカルボン酸単位(構造単位)あるいはジオール単位(構造単位)とは、重縮合によって除去される部分を除かれた2価の有機基を意味し、以下の一般式で表される。
ジカルボン酸単位(構造単位): −CO−R−CO−
ジオール単位(構造単位): −O−R’―O−
(ここで、R、R’は二価の有機基。RとR’は同じであっても異なっていてもよい。)
本発明に用いるポリエステルを与える、ジオールあるいはその誘導体としては、エチレングリコール以外に、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、それらの誘導体が挙げられる。
また、本発明に用いるポリエステルを与えるジカルボン酸あるいはその誘導体としては、テレフタル酸以外には、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、並びに、それらの誘導体を挙げることができる。ジカルボン酸の誘導体としてはたとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどのエステル化物を挙げることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、厚みあたりの曲げ剛性を0.05mg/μm以上、0.35mg/μm以下、かつ加工硬化指数を1.8以上、3.0以下とするために、ポリエチレンテレフタレートを主体として構成される層(A層)とガラス転移温度がA層を構成する樹脂よりも20℃以上低い樹脂を主体として構成される層(B層)を含むことが好ましい。ポリエチレンテレフタレートを主体として構成される、とはA層に対してポリエチレンテレフタレートを繰り返し単位とする樹脂が60質量%以上、100質量%以下の割合で構成されることを言う。また、ガラス転移温度がA層を構成する樹脂よりも20℃以上低い樹脂を主体として構成される、とはガラス転移温度がA層を構成する樹脂よりも20℃以上低い樹脂がB層に対して60%質量%以上、100質量%以下の割合で構成されることを言う。ここで、ガラス転移温度とはJIS K7121 (1987)に準じて測定したものであり、詳細は特性の評価方法(5)ガラス転移温度で定めたとおりである。成形後の反り原因は、ダイス部での曲げによる弾性変形に起因しているため、反りを抑制するには曲げ剛性を小さくする必要がある。一方、成形性の観点から、加工硬化指数を1.8以上とする必要があり、そのために破断強度やヤング率を大きくして、剛性を高める手段をとる。このように単層構成のポリエステルフィルムでは、曲げ剛性と加工硬化指数は二律背反の関係にあり両立するのは難しい。そこで、高加工硬化指数に寄与するA層と曲げ剛性低下に寄与するB層といった機能を分離して積層することは、低曲げ剛性と高加工硬化指数を両立するために好ましい構成である。本発明のポリエステルフィルムを構成するA層は、分子鎖を均一配向し、破断強度を高める観点からホモポリマーであることが好ましく、グリコール成分がエチレングリコールであり、かつ、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であるホモのポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。ここで、少なくともA層/B層を有する構成とする場合、二軸延伸する際の延伸温度はA層のガラス転移温度を基準とする条件で製膜することが加工硬化指数を1.8以上とするために重要である。上記延伸条件の前提のもと、B層を構成する樹脂がA層を構成する樹脂対比で20℃以上ガラス転移温度が低いことにより、二軸延伸時の延伸温度が相対的に高く、分子配向が低くなることにより、低剛性とすることができる。このため、B層を構成する樹脂のガラス転移温度はA層を構成する樹脂よりも20℃以上低いのが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、B層を構成する樹脂は示差走査型熱量計から求められる融解吸熱ピーク温度が195℃以上230℃以下であることが好ましい。本発明のフィルムを電池用外装材として使用したとき、シーラント層同士をヒートシールすることによって容器化する。このため、ヒートシールの熱によってフィルムが熱収縮し、金属箔とデラミネーションを抑制する必要があり、低熱収縮特性が求められる。熱収縮率は二軸延伸後の熱処理温度によって制御が可能であり、A層がポリエチレンテレフタレートであるとき、ヒートシール時のデラミを抑制するには熱処理温度を200〜225℃に設定すればよい。このとき、B層も同様の熱履歴を受けるため、B層を構成する樹脂のTmが195℃未満であると、樹脂の配向緩和が進行しすぎて、結晶が融解し、必要以上に低剛性が進行した上に加工硬化指数が低下する懸念がある。一方、融点が230℃以上であるとB層の配向緩和が不十分でなく、低剛性を維持できなくなることがある。B層の融点を195℃以上、230℃以下とすることで、低剛性と高加工硬化指数を両立することができるため好ましい。
本発明のポリエステルフィルムB層を構成する樹脂は、ガラス転移温度がA層を構成する樹脂よりも20℃以上低く、かつ融解吸熱ピーク温度が195℃以上、230℃以下の範囲を満たす観点からポリブチレンテレフタレートを主体として構成することが好ましい。また、ポリブチレンテレフタレートは炭素数4以上の脂肪族ジカルボン酸が全ジカルボン酸成分に対して3モル%以上の割合で共重合されていることが好ましい。炭素数4以上の脂肪族ジカルボン酸がB層を構成する樹脂中で3モル%以上の割合であるならば、共重合ポリブチレンテレフタレートは10質量%以上100質量%以下の割合でポリブチレンテレフタレートに混合することも好ましい。炭素数4以上の脂肪族長鎖である分子骨格を有することによって、曲げ変形部の弾性変形が塑性変形となりやすく形状保持性が付与されて、成形後の反りを低減させることができる。好ましくは5モル%以上の割合で共重合またはB層成分中に存在することである。加工硬化指数を1.8以上とする観点からは炭素数4以上の脂肪族ジカルボン酸は15モル%以下とすることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸としてはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などが挙げられる。中でも成形後の反りを低減させる観点から、ドデカンジオン酸を全ジカルボン酸成分全量に対して3モル%以上の割合で含むことが好ましい。加工硬化指数を1.8以上かつ、曲げ剛性を0.35mg/μm以下を両立させる観点から、5モル%以上15モル%以下の割合で共重合することが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、多層構成である場合、B層/A層/B層のように中心層を基点に対称構成であることが製膜後の反りを抑制する観点から好ましい。製膜後に反りが発生すると、その後の電池製造工程などでハンドリング性が悪化することがある。また、本発明ではB/A/B/A/Bといった5層の構成でもよい。多層構成である場合、製膜後の反りの観点からB/A/Bの3層積層構成が好ましい。本発明では分子配向が異なるA層/B層のような2層構成であると、製膜直後の時点で反りが発生することがある。ただし、本発明の効果を阻害しないのであれば、A/Bの2層構成のように非対称構成でもかまわない。
本発明ではB層の厚みがポリエステルフィルム全層厚みに対して18%以上67%以下の割合であることが好ましい。反り抑制のために低剛性を担うB層の厚みがポリエステルフィルム全層に対して18%未満であると、絞り成形後に反りが発生することがある。一方、B層の厚みが67%を超えると、成形性を担うA層の比率が少なくなってしまうため、成形性に劣ることがある。B層の厚みをポリエステルフィルム全体の18%以上67%以下とすることで、反り抑制と成形性両立のために好ましい構成である。
本発明のポリエステルフィルムは、絞り性向上のため、ダイス側接触面の動摩擦係数μdを0.3以下とすることが好ましい。動摩擦係数を上記範囲とすることによって絞り成形時の変形抵抗が小さくなり加工性が向上する。動摩擦係数を0.3以下とするには特に限定されないが、例えば、平均粒径0.005μm以上10μm以下の無機粒子、および/または有機粒子を0.3質量%以上、5質量%以下含有する層を最外層に有することが好ましい。より好ましくは0.5質量%以上3質量%以下である。ただし、粒子を添加し過ぎると複合体の破断伸度を低下させることがある。このため、本発明を阻害しない範囲にて粒子を添加させることが重要である。なお、本発明において粒子として、平均一次粒径として0.005μm以上のものを用いる。ここでいう粒径とは数平均粒径のことを示し、フィルムの断面内において観察される粒子径を意味する。形状が真円でない場合には同面積の真円に変換した値を粒子径とする。ここで、数平均粒径Dnは次の(1)〜(4)の手順により求めることができる。
(1)まず、ミクロトームを用いて、フィルム断面を厚み方向に潰すことなく切断し、走査型電子顕微鏡を用いて、拡大観察画像を得る。このとき、切断はフィルムTD方向(横方向)と平行方向になるよう行なう。
(2)次いで、該画像中の断面内に観察される各粒子について、その断面積Sを求め、次式にて粒径dを求める。
d=2×(S/π)1/2
(3)得られた粒径dと、樹脂粒子の個数nを用いて、次式によりDnを求める。
Dn=Σd/n
但し、Σdは観察面内における粒子の粒径の総和、nは観察面内の粒子の総数。
(4)上記(1)〜(3)を、5箇所場所を変えて実施し、その平均値を粒子の数平均粒径とする。なお、観察点1箇所に付き、2500μm以上の領域にて上記評価を実施する。
無機粒子としては、例えば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミ、マイカ、カオリン、クレーなどを使用することができる。また、有機粒子としては、スチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を使用することができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、アルミナ、炭酸カルシウムなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を使用することが好ましい。さらに、これらの無機粒子および有機粒子は二種以上を併用してもよい。また、最大表面高さを制御するためにフィルム表面にエンボス加工、サンドブラスト加工といった凹凸加工を施すことも好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、ヒートシール時に金属箔とのデラミネーションを抑制する観点から長手方向と幅方向の150℃熱収縮率が合計で3.0%以下であることが好ましい。同様の理由にて、長手方向と幅方向の200℃熱収縮率が合計で10%以下であることが好ましい。150℃および200℃熱収縮率を上記範囲とするためには二軸延伸した後の熱処理温度を200℃以上とする方法が好ましく挙げられる。熱処理温度が高いほど熱収縮率は低下するが、加工硬化指数を1.8以上とする観点から熱処理温度はポリエステルフィルムを構成する樹脂の融点よりも10℃以下とした方がよい。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、構成体としたときの成形追従性、成形後の反りの観点から、18μm以上30μm以下であることが好ましい。最も好ましくは、22μm以上28μm以下である。18μm未満であると成形性に劣ることがあり、30μm以上であると剛性が高くなり成形後に反りが発生することがある。
本発明に用いられるポリエステルフィルムには接着層との接着性を向上させるために、表面に、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、アンカーコート層を設けるなどの表面処理を施すことも好ましい方法として挙げられる。アンカーコート層の形成方法としては、樹脂をフィルム表面に被覆(複合溶融押出法、ホットメルトコート法、水以外の溶媒、水溶性および/または水分散性樹脂からのインライン、オフラインコート法など)する方法が挙げられる。なかでも、配向結晶化が完了する前のフィルムの一方の面に被膜塗剤を塗布し、少なくとも一方向に延伸し、熱処理して、配向結晶化を完了させるインラインコーティング法が均一な被膜形成や生産性の点で好ましい。また、アンカーコート層を設ける場合、樹脂としては、特に限定されるものではないが、たとえば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ビニル系樹脂、塩素系樹脂、スチレン系樹脂、各種グラフト系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂などを使用することができ、これらの樹脂の混合物を使用することもできる。密着性の観点からポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、またはウレタン系樹脂を用いるのが好ましい。ポリエステル系樹脂を水系塗液として用いる場合には、水溶性あるいは水分散性のポリエステル樹脂が用いられるが、このような水溶性化あるいは水分散化のためには、スルホン酸塩基を含む化合物や、カルボン酸塩基を含む化合物を共重合させることが好ましい。またアクリル樹脂を水性塗液として用いる場合には、水に溶解あるいは分散された状態にする必要があり、乳化剤として界面活性剤(例えば、ポリエーテル系化合物などが挙げられるが、限定されるものではない。)を使用する場合がある。また、本発明に用いられるアンカーコート層には、さらに接着性を向上させるために、樹脂に各種の架橋剤を併用することができる。架橋剤樹脂としては、メラミン系、エポキシ系、オキサゾリン系樹脂が一般に用いられる。
本発明の複合体を構成する金属箔としては、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル、チタン、錫、銀、金、亜鉛、鉄など目的に応じて使用することができる。中でも、成形性、ガスバリア性、水蒸気バリア性、強度、経済性の観点からアルミニウムを含有する層であることが好ましい。金属箔は、アルミニウム単体であってもよく、銅、亜鉛、マンガン、マグネシウム、シリコン、リチウム、鉄などが添加されたアルミニウム合金であってもよい。金属箔に対してアルミニウムの含有量が95質量%以上であることが好ましく、純アルミニウム系または、アルミニウム/鉄合金が好ましく用いられる。厚みが10μm未満であると冷間プレスなどによる成形性に劣る。また、100μmを超えると特性向上が見込めない上に経済性の点で劣る。
本発明において、金属箔はポリエステルフィルムもしくは、その他の層との密着性を向上させるために、少なくとも片面に化成処理を施すことが好ましい。化成処理の方法としては、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、塗布型クロメート処理、ジルコニウム、チタン、リン酸亜鉛等の非クロム系(塗布型)化成処理、ベーマイト処理等が用いられる。
本発明の複合体は、長手方向と幅方向の破断伸度が共に23%以上50%以下かつ、長手方向と幅方向の平均破断伸度が25%以上42%以下であることが好ましい。ここで、破断伸度とは、試験長50mmの矩形型に切り出したフィルムサンプルを25℃、63%Rhの条件下で、300mm/分のひずみ速度で引張試験を行った際、複合体が破断した時点の伸度を示す。さらに長手方向と幅方向の破断伸度は共に26%以上であればより好ましく、29%以上であれば製膜時のフィルム破れも少なく、生産性と絞り成形性の点から最も好ましい。複合体の長手方向と幅方向の平均破断伸度が42%を超える場合、成形性追従性には最も好ましいがポリエステルフィルム製造時の延伸倍率が高くなりすぎて製膜中に破れが発生し、生産性が低下することがある。一方、どの方向においても複合体の破断点伸度が23%未満であると加工硬化が低く、一箇所に応力が集中し続けて、成形時に金属箔が破断する成形不良が生ずることがある。複合体の長手方向と幅方向の平均破断伸度を23%以上とするにはポリエスルフィルムの長手方向と幅方向の破断強度を供に200MPa以上とするのが好ましい。複合体の長手方向と幅方向の平均破断伸度を42%以上とするにはポリエステルフィルムの長手方向と幅方向の平均破断強度を260MPa以上にすればよく、このとき、延伸面積倍率は17倍以上でありかつ、樹脂の固有粘度を0.9以上にするのが好ましい方法である。
本発明のポリエステルフィルムと金属箔とを積層する方法としては、特に限定されないが、密着性の観点から接着剤からなる接着層を設けて接着させるドライラミネーションが好ましく用いられる。用いる接着剤としては、熱硬化タイプでも熱可塑タイプでも構わないが、熱硬化タイプが好ましい。例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルニトリル− ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート− ブタジエン共重合体、クロロプレン、ポリブタジェン等のゴム系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリブタジエン、あるいはこれらの樹脂のカルボキシル変性物、エポキシ系樹脂、セルロース系誘導体、エチレン酢酸ビニル系共重合体、ポリエチレンオキサイド、アクリル系樹脂、リグニン誘導体等からなる接着剤が挙げられる。ポリエステルフィルムの表面処理面と金属箔との密着性の点からは、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂からなる接着剤が好ましい。
本発明では、ヒートシール性およびバリア性向上の観点から複合体にさらにシーラント層が設けられたポリエステルフィルム/接着層/金属箔/シーラント層の順に配置された構成体とすることが好ましい。上記構成体を電池外装用として用いることで、耐電解液性、絞り成形性、成形後の耐反り性および生産性に優れた電池包装材とすることができる。シーラント層としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂、メチルペンテン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル単量体と共重合し得るエチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化アリル、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエーテル等と塩化ビニルとの共重合体及びこれらの混合物等の塩化ビニル系樹脂が好ましく用いられる。
また、金属箔とシーラントフィルムとの密着性を向上させるために、金属箔とシーラントフィルムの間に変性ポリオレフィン樹脂を介在させる方法も好ましく用いられる。ここで、変性ポリオレフィン樹脂とは、ポリオレフィン樹脂の片末端、両末端及び内部の少なくともいずれかに一つ以上の極性基を含有するポリオレフィン樹脂のことを指す。ここで、極性基とは、酸素原子、窒素原子など電気陰性度の大きな原子を含む官能基であり、具体的には、アミド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基などの官能基、およびそれら官能基を含む置換基である。
かかる変性ポリオレフィン樹脂としては、不飽和ジカルボン酸による変性、もしくは樹脂の酸化分解により変性されたポリオレフィン樹脂であることが好ましく、不飽和ジカルボン酸により変性された変性ポリオレフィン樹脂がより好ましい。具体的には低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、その他α−オレフィンモノマーからなるランダム共重合体、ブロック共重合体等のポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸で変性した変性ポリオレフィン樹脂であることが、ポリエステルフィルムとの層間密着性の点から好ましい。不飽和ジカルボン酸としては、無水マレイン酸が特に好ましく、つまりポリオレフィン樹脂を無水マレイン酸で変性した変性ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。
このような不飽和ジカルボン酸による変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、三洋化成製“ユーメックス”、三井化学製“アドマー”、三菱化学製“モディック”、アルケマ製“オレバック”、“ロタダー”、東洋化成製“トーヨータック”などの各種樹脂が挙げられる。また、樹脂の酸化分解により変性された変性ポリオレフィン樹脂としては、三洋化成製“ビスコール”、“サンワックス”などが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは電池外装用に好ましく用いられる。電池外装には、電池性能維持のために、水蒸気の進入を防ぐ水蒸気バリア性、電解液で膨潤しない、および製造工程時の電解液漏れによる最外装が劣化しないなどの耐電解液性、高容量化へのニーズに対応する深絞り成形性が求められる。本発明の構成体を用いることにより耐電解液性、成形追従性および成形後の耐反り性が良好であり、電池外装用途に適用することで工程不具合なく生産性に優れ、かつ高容量化に対応することができる。
また、本発明のポリエステルフィルムは、医薬包装用途にも好ましく用いられる。医薬包装は、内容物の劣化を防ぐために、ガスバリア性、水蒸気バリア性が必要であり、印刷を施す仕様に対応できるように印刷適性が求められる。さらに、様々な形状な内容物に対応できるような深絞成形性へのニーズが高まっている。高度なガスバリア性、水蒸気バリア性を達成するためには、金属箔を有していることが好ましいが、金属箔は深絞り成形が困難なため、フィルムを積層させ、フィルムに追従して成形させる必要がある。本発明のポリエステルフィルムを用いることにより、金属箔を積層した複合体の成形追従性が良好であり、さらに剛性も低いため、医薬包装用途に適用することで、成形後のデラミも少なく様々な形状に医薬品に対応することができる非常に優れた医薬包装用構成体を得ることが可能である。
本発明のポリエステルフィルム、複合体および構成体製造方法の概略を例示する。まずポリエステフィルムを製膜する。そのために、まず上述のポリエステル原料を公知の方法で溶融押出してポリエステルが結晶化しないように0℃〜35℃程度に調整されたキャスティングドラム上に密着性させてキャストシートを得る。密着方法は静電印加法やエアーナイフ法など公知の方法でよい。次いで、得られたキャストシートを公知の方法で二軸に延伸して配向させる。二軸延伸は逐次二軸、同時二軸、チューブラー法など公知の方法でよい。延伸の際、場合によっては一軸延伸後にアンカーコ−ト層をコーティングしてもよい。ここで、一軸目と二軸目の延伸倍率の積である延伸面積倍率を10倍以上にすることは少なくともポリエステルフィルム長手方向と幅方向の加工硬化指数平均値を1.8以上にさせる上で重要である。また、同様の理由により延伸温度をA層を構成する樹脂のガラス転移温度以上、ガラス転移温度+15℃以下とすることが好ましい。ただし、本発明の効果が得られるのであればこの限りではない。二軸延伸後は寸法安定性などの観点から熱処理を施すことが好ましい。ポリエステル原料がポリエチレンテレフタレートを主たる構成成分とする場合は190℃〜250℃以下の範囲で1秒〜120秒以下の範囲で熱処理することが好ましい。熱処理をした後は必要に応じてコロナなどの表面処理をしてポリエステルフィルムを得る。
次いで、得られたポリエステルフィルムの表面処理を施した面と金属箔を接着させることで複合体を得る。特に限定されないが、ドライラミネート法を用いて接着層を介して接着するのが好ましい。接着剤はウレタン系、アクリル系、エーテル系、エポキシ系などを用いればよい。接着後は接着力向上を目的に必要に応じてエージング処理を施せばよい。その後、シーラントを公知のドライラミネート法や熱ラミネート法を用いて接着して構成体を得る。
(評価方法)
以下の方法でポリエステルフィルム、複合体および構成体の製造、評価を行った。
(1)ポリエステルの組成
ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量した。
(2)フィルム、複合体、構成体の厚み、層厚み
フィルム全体の厚みを測定する際は、ダイヤルゲージを用いて、フィルムを200mm×300mmに切り出し、各々の試料の任意の場所5ヶ所の厚みを測定し、平均して求めた。また、フィルム、複合体および構成体の各層厚みについては、サンプルをエポキシ樹脂に包埋し、フィルム断面をミクロトームで切り出し、該断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEM H7100)で5000倍の倍率で観察することによって求めた。
(3)ポリエステルフィルム、複合体の長手方向と幅方向
本発明では、フィルムの任意の一方向(0°)、該方向から15°、30°、45°、60°、75°、90°、105°、120°、135°、150°、165°の方向の破断強度を測定し、最も破断強度の高かった方向を幅方向とし、幅方向と直交する方向を長手方向とした。なお、破断強度は(8)ポリエステルフィルムの破断強度に示した方法により得ることができる。
(4)ポリエステルフィルムの融解吸熱ピーク温度
JIS K7122 (1987)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置ロボットDSC-RDC220を、データ解析には“ディスクセッション”SSC/5200を用いて、ポリエステルフィルムの融解吸熱ピーク温度を測定した。測定は、サンプルパンに樹脂を5mg秤量し、1stRUNとして、樹脂を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱し、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下まで急冷し、2ndRunとして、再度室温から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って測定を行った。得られた2ndRunの結晶融解ピークにおけるピークトップの温度を融解吸熱ピーク温度とした。
(5)ガラス転移温度
JIS K7121 (1987)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置ロボットDSC-RDC220を、データ解析には“ディスクセッション”SSC/5200を用いて、樹脂のガラス転移温度を測定した。
(6)加工硬化指数
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。25℃、63%Rhの条件下で、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いてクロスヘッドスピード300mm/分、幅10mm、試料長50mmとしてフィルムの長手方向、幅方向について、引張試験を行い、初期長をL(mm)、5%伸長時の長さをL(mm)、5%伸長時の公称応力をP(MPa)、60%伸長時の長さをL(mm)、60%伸長時の公称応力をP(MPa)としたとき、5%伸長時の真ひずみを(1)式、60%伸長時の真ひずみを(2)式、5%伸長時の真応力を(3)式、60%伸長時の真応力(4)式よりそれぞれ得られた値とする。(1)〜(4)から得られた値より、X軸を真ひずみ、Y軸を真応力としたときに成す式から得られる傾きを加工硬化指数とした。これを長手方向、幅方向につき、それぞれ5回ずつ測定したときの平均値を用いた。
5%伸長時の真ひずみ=Ln(L/L)・・・(1)
60%伸長時の真ひずみ=Ln(L/L)・・・(2)
5%伸長時の真応力=P(1+Ln(L/L))・・・(3)
60%伸長時の真応力=P(1+Ln(L/L))・・・(4)
(7)厚みあたりの曲げ剛性
東洋精機製作所株式会社製ループスティフネステスタを用いて、サンプルを測定方向に長さ120mm、幅5mmに切り出し、ループ周を100mm、押しつぶし距離は5mmとして測定し、ピークの値を曲げ剛性(mg)とした。次いで長手方向、幅方向共に5回ずつ測定を行い、各方向につき、その平均値をサンプルの厚みで割り返し、算出された値を厚みあたりの曲げ剛性(mg/μm)とした。
(8)ポリエステルフィルムの破断強度
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。25℃、63%Rhの条件下で、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いてクロスヘッドスピード300mm/分、幅10mm、試料長50mmとしてフィルムの長手方向、幅方向について、引張試験を行い、破断した際のフィルムにかかる荷重を読み取り、試験前の資料の断面積(ポリエステルフィルム厚み×10mm)で除した値を破断強度とする。各測定はそれぞれ5回ずつ行い、その平均を用いた。
(9)ポリエステルフィルムおよび複合体の破断伸度
フィルムおよび複合体を長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。25℃、63%Rhの条件下で、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いてクロスヘッドスピード300mm/分、幅10mm、試料長50mmとしてフィルムの長手方向、幅方向について、引張試験を行い、破断した際の伸度を読み取った値を破断伸度とする。測定は5回行い、その平均を用いた。
(10)ポリエステルフィルム幅方向、長手方向150℃熱収縮率の合計値
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルに100mmの間隔で標線を描き、3gの錘を吊して150℃に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から熱収縮率を算出し、熱収縮率とした。測定は長手方向および幅方向に5サンプル実施して平均値で評価を行った。この長手方向平均値と幅方向平均値の合計を150℃熱収縮率の合計値とした。
(11)ポリエステルフィルム幅方向、長手方向200℃熱収縮率の合計値
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルに100mmの間隔で標線を描き、3gの錘を吊して200℃に加熱した熱風オーブン内に10分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から熱収縮率を算出し、熱収縮率とした。測定は長手方向および幅方向に5サンプル実施して平均値で評価を行った。この長手方向平均値と幅方向平均値の合計を200℃熱収縮率の合計値とした。
(12)ポリエステルフィルムの動摩擦係数
東洋精機(株)製スリップテスターを用いて、JIS−K7125(1999年)に準じて、フィルムの両面を重ねて摩擦させた時の初期の立ち上がり後の抵抗値の安定領域を測定し、動摩擦係数μdとした。サンプルは、幅80mm、長さ200mmの長方形とし、長方形の長手方向となるようにロールから3セット(6枚)切り出した。3回測定を行い、平均値を求めた。
(13)複合体の作成方法
複合体はポリエステルフィルムと金属箔を接着層を介して接着させることで得る。また、接着層を構成する接着剤としてウレタン系接着剤である東洋インキ製“AD502”を主剤、同社のCAT10Lを架橋剤として用いAD502、CAT10L、酢酸エチルを15:1.5:25の質量比となるように混合した塗剤をドライラミネート法にて、5g/mとなるように均一にポリエステルフィルムの表面処理を施した面に塗布し、金属箔の化成処理を施していない面とポリエステルフィルム接着剤塗布面とを80℃に加熱したロールに0.5MPaで押し付けながら加熱圧着し、巻き取った。その後、60℃で7日間エージング処理を施し、複合体を得た。
(14)構成体の作成方法
本発明の複合体を構成する金属箔の上に、シーラント層としてマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂とポリプロピレンとを共押出しした2層共押出しフィルム(マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂層:20μm、ポリプロピレン樹脂層:60μm)を、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂層が化成処理を施した金属箔側と接着するようにし、ラミネーターを用いて実施例、比較例に記載の複合体と金属箔側とを加熱圧着(150℃、0.3MPa、2m/min)させることで、ポリエステルフィルム/接着層/金属箔/シーラント層となる構成体を作成した。
(15)構成体の絞り成形性
(14)で得られた構成体を、100mm×100mm大に切り出し、50mm×30mmの矩形状の雄型(構成体と接触する面と側面が成す角のR:2mm、図1)とこの雄型とのクリアランスが0.5mmの雌型(構成体と接触する面と側面が成す角のR:2mm、図1)からなる金型を用いて、雄型側にシーラント側がくるように雌型上に構成体をセットし、プレス成形(加圧:0.1MPa、ワンショット10秒、)を行い、下記の基準で評価を行った。
S:7mm以上で成形できた(破損なし)
A:5m以上7mm未満で破損が発生
B:4mm以上5mm未満で破損が発生
C:4mm未満で破損が発生。
(16)成形後の構成体の耐反り性
(15)の成形性追従性評価で破損せずに成形できた構成体を凸部が上になるように水平な台に置く。構成体の4角(図2(w)、(x)、(y)、(z))が前記台を起点に浮き上がった高さ平均値を、下記の基準で評価を行った。
S:反り高さ平均値が1cm未満であるもの
A:反り高さ平均値が1cm以上2cm未満であるもの
B:反り高さ平均値が2cm以上4cm未満であるもの
C:反り高さ平均値が4cm以上6cm未満であるもの
D:反り高さ平均値が6cm以上であるもの。
(ポリエステルフィルムの製造)
製膜に供したポリエステルフィルムを構成する各層の樹脂はA層は主原料、B層は主原料、副原料、粒子マスターを各実施例、各比較例につき表1に記載の種類、割合で混合した。また、各実施例および各比較例に用いた主原料、副原料、粒子マスターは以下のように準備した。
・ポリエチレンテレフタレート(PET)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)。
・ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)
ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.80)。
・ポリブチレンテレフタレート(PBT)(i)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分として1,4−ブタンジオール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度1.22)。
・ポリブチレンテレフタレート(PBT)(ii)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が87モル%、イソフタル酸が10モル%、グリコール成分として1,4−ブタンジオール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度1.22)。
・ポリブチレンテレフタレート(PBT)(iii)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が87モル%、アジピン酸が13モル%、グリコール成分として1,4−ブタンジオール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度1.22)。
・ポリブチレンテレフタレート(PBT)(iv)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が93モル%、アジピン酸が7モル%、グリコール成分として1,4−ブタンジオール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度1.22)。
・ポリブチレンテレフタレート(PBT)(v)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が87モル%、セバシン酸が13モル%、グリコール成分として1,4−ブタンジオール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度1.22)。
・ポリブチレンテレフタレート(PBT)(vi)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が93モル%、セバシン酸が7モル%、グリコール成分として1,4−ブタンジオール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度1.22)。
・ポリブチレンテレフタレート(PBT)(vii)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が87モル%、ドデカンジオン酸が13モル%、グリコール成分として1,4−ブタンジオール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度1.22)。
・ポリブチレンテレフタレート(PBT)(viii)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が93モル%、ドデカンジオン酸が7モル%、グリコール成分として1,4−ブタンジオール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度1.22)。
・粒子マスターA
ポリブチレンテレフタレート(PBT)(i)中に平均粒子径1.2μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度2質量%で含有したポリブチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度1.1)。
・粒子マスターB
ポリブチレンテレフタレート(PBT)(i)中に平均粒子径4μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度6質量%で含有したポリブチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度1.1)。
(塗剤A)実施例1〜14、比較例1、3、4、5、7
・メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸/N−メチロールアクリルアミド=63/35/1/1質量%の共重合組成から成るアクリル樹脂: 3.00質量%
・メラミン架橋剤: 0.75質量%
・コロイダルシリカ粒子(平均粒径:80nm): 0.15質量%
・ヘキサノール: 0.26質量%
・ブチルセロソルブ: 0.18質量%
・水: 95.66質量%
(金属箔)実施例1〜14、比較例1〜7
本発明で使用した金属箔は以下のもの用いた。
・金属箔A
金属箔の両面に化成処理としてクロム酸クロメート処理を施した厚さが40μmの日本製箔製アルミニウム“8021”。
(実施例1〜14、比較例1、3〜5)
押出機1および押出機2を用い、表1に記載のポリエステル種、粒子マスターをそれぞれ真空乾燥機にて180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、表1に記載のとおり押出機1にはA層の主原料を、押出機2にはB層の主原料、副原料、粒子マスターを投入し、280℃にて溶融した。次いで押出機1から溶融押出された層がA層、押出機2から溶融押出された層がB層として、それぞれ表1および表2に示す積層構成、積層比、となるようにマルチマニホールドにて各層を合流させ、口金から吐出された樹脂を25℃に冷却されたキャストドラム上に冷却固化して未延伸シートを得た。その際、Tダイのリップと冷却ドラム間の距離は35mmに設定し、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して14kVの電圧で静電印加させ、冷却ドラムに密着をさせた。実施例1については、B層がキャストに接着する面とした。また、未延伸シートの冷却ドラムの通過速度は25m/分、未延伸シートの冷却ドラムとの接触長さは、2.5mとした。
続いて、該未延伸シートを60〜80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、88℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)にそれぞれ表2に示した倍率に延伸し、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。
この一軸延伸フィルムに空気中でコロナ放電処理を施し、その処理面にアンカーコート層として塗剤Aを超音波分散させながら混合し、#4メタリングバーにてキャストと接着した面に均一に塗布して表面処理を施した。次いで、一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の80℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に90℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)にそれぞれ表2に示した倍率に延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで表2に示す熱処理温度にて20秒間の熱処理を施し、さらに表2に示す弛緩温度で5%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷し、表2に示す厚さのポリエステルフィルムを得た。ポリエステルフィルムの特性は表1〜表3に示したとおりである。
得られたポリエステルフィルムの表面処理面側と金属箔Aが接着するようにドライラミネート法によって、ウレタン系接着剤である東洋インキ製“AD502”AD502、CAT10L、酢酸エチルを25:15:2の比率となるように混合した塗剤を接着層として用いて張り合わせた。ここで、接着剤塗布量は固形分としてポリエステルフィルム表面処理面側に5g/mとし、張り合わせ後に60℃、144時間のエージング処理をして複合体を得た。複合体の特性は表3に示したとおりである。
得られた複合体の金属箔A上に、シーラントとしてマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂とポリプロピレンとを共押出しした2層共押出しフィルム(マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂層:20μm、ポリプロピレン樹脂層:60μm)を、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂層が金属箔側に位置するようにし、ラミネーターを用いて加熱圧着(160℃、0.3MPa、2m/min)させることで積層させ、ポリエステルフィルム/接着層/アルミニウム箔/シーラントとなる構成体を作成した。得られた構成体の評価をした結果は表4に示したとおりであり、実施例1〜15については絞り成形性、成形後の反りに優れていることが確認できた。
一方、比較例1、3については曲げ剛性が0.35mg/μmを超えていたため成形後に反りが発生し、比較例4、5については加工硬化指数が1.8未満であったため成形性に劣った。
(比較例2)
表1に示したポリエステル種、粒子マスターをそれぞれ真空乾燥機にて150℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、押出機に供給、255℃で溶融し、溶融管状薄膜を環状ダイより下方に押出した。次いで冷却マンドレルの外径を通し、ロールで折りたたんだ後、ニップロールにより引き取り未延伸シートを得た。次いで、未延伸シートをチューブラー同時二軸延伸装置にて縦横同時二軸延伸を行った。延伸温度は60℃、延伸倍率は表2に示したとおりである。次いでこの二軸延伸フィルムをテンター式熱処理装置にて210℃で熱処理し、表面処理をコロナ処理としてポリエステルフィルムを得たこと以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルム、複合体、構成体の評価をした結果は表1〜表4に示したとおりであり、絞り成形性に優れるものの曲げ剛性が0.35mg/μmを超えていたため成形後に反りが発生した。
(比較例6)
押出機1を用い、表1に記載のポリエステル種を真空乾燥機にて180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、表1に記載のとおり押出機1にA層の主原料を投入し、280℃にて溶融した。次いで押出機1から溶融押出された層がA層として口金のマニホールドに導き、口金から吐出された樹脂を25℃に冷却されたキャストドラム上に冷却ドラムに密着をさせた。その際、Tダイのリップと冷却ドラム間の距離は35mmに設定し、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して14kVの電圧で静電印加させた未延伸シート得て、これをポリエステルフィルムとした。その際、未延伸シートの冷却ドラムの通過速度は100m/分、未延伸シートの冷却ドラムとの接触長さは、2.5mとした。得られたポリエステルフィルム、複合体、構成体の評価をした結果は表1〜表4に示したとおりであり、曲げ剛性に優れるものの加工硬化指数が1.8未満であったため絞り成形性に劣っていた。
(比較例7)
押出機1を用い、表1に記載のポリエステル種を真空乾燥機にて180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、表1に記載のとおり押出機1にA層の主原料を投入し、300℃にて溶融した。次いで表1に示す積層構成、積層比となるようにマニホールドに導き、口金から吐出された樹脂を25℃に冷却されたキャストドラム上に冷却固化して未延伸シートを得た。その際、Tダイのリップと冷却ドラム間の距離は35mmに設定し、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して14kVの電圧で静電印加させ、冷却ドラムに密着をさせた。また、未延伸シートの冷却ドラムの通過速度は25m/分、未延伸シートの冷却ドラムとの接触長さは、2.5mとした。
続いて、該未延伸シートを100〜120℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、135℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)にそれぞれ表2に示した倍率に延伸し、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。
この一軸延伸フィルムに空気中でコロナ放電処理を施し、その処理面にアンカーコート層として塗剤Aを超音波分散させながら混合し、#4メタリングバーにて均一に塗布した。
次いで、一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の120℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に140℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)にそれぞれ表2に示した倍率に延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで表2に示す熱処理温度にて20秒間の熱処理を施し、さらに表2に示す弛緩温度で5%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷し、表2に示す厚さのポリエステルフィルムを得たこと以外は実施例と同様にしてポリエステルフィルム、複合体、構成体を得た。得られた構成体の評価をした結果は表4に示したとおりであり、加工硬化指数が3.0を超えているため、絞り成形性には優れていたが、厚みあたりの曲げ剛性が0.35mg/μmを超えていたため耐反り性に劣っていた。
Figure 0006206195
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本発明のポリエステルフィルムはポリエステルを主体として構成し、かつ曲げ剛性と加工硬化指数を特定範囲とすることで耐電解液性を有するだけでなく、深絞り性と成形後の耐反り性を両立することによって高容量化対応の電池外装用構成体、様々な形状に対応可能な医薬包装用構成体に好適に使用することができる。
1 構成体
2 雄型金型
3 雌型金型
4 成形体

Claims (12)

  1. 厚みあたり曲げ剛性が長手方向と幅方向の平均値で0.05mg/μm以上、0.35mg/μm以下であって、加工硬化指数の長手方向幅方向の平均値が1.8以上、3.0以下であるポリエステルフィルムと厚みが10μm以上100μm以下である金属箔とを接着層を介して貼り合せた複合体であって、長手方向と幅方向の破断伸度が共に23%以上50%以下かつ、長手方向と幅方向の平均破断伸度が25%以上42%以下である複合体。
  2. 前記ポリエステルフィルムの厚みが18μm以上30μm以下である請求項1に記載の複合体
  3. 前記ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレートを主体として構成される層(A層)とガラス転移温度がA層を構成する樹脂よりも20℃以上低い樹脂を主体として構成される層(B層)を含む請求項1または請求項2に記載の複合体
  4. 前記ポリエステルフィルムが、B層/A層/B層の順に積層された少なくとも3層構成である請求項1〜3のいずれかに記載の複合体
  5. 前記ポリエステルフィルムのB層の厚みがポリエステルフィルム全層厚みに対して18%以上67%以下の割合である請求項3又は4に記載の複合体
  6. 前記ポリエステルフィルムのB層を構成する樹脂の示差走査型熱量計から得られる融解吸熱ピーク温度が195℃以上230℃以下である請求項〜5のいずれかに記載の複合体
  7. 前記ポリエステルフィルムのB層を構成する樹脂がポリブチレンテレフタレートを主たる構成成分とする請求項〜6のいずれかに記載の複合体
  8. 前記ポリエステルフィルムのB層を構成する樹脂が炭素数4以上の脂肪族ジカルボン酸が全ジカルボン酸成分全量に対して3モル%以上の割合で共重合されたポリブチレンテレフタレートを10質量%以上100質量%以下の割合で含む請求項3〜7のいずれかに記載の複合体
  9. 前記ポリエステルフィルムのB層を構成する樹脂がドデカンジオン酸を全ジカルボン酸成分全量に対して3モル%以上の割合で共重合されたポリブチレンテレフタレートを10質量%以上100質量%以下の割合で含む請求項3〜8のいずれかに記載の複合体
  10. 電池外装用に用いられる請求項1〜9のいずれかに記載の複合体
  11. 医薬包装用に用いられる請求項1〜9のいずれかに記載の複合体
  12. 請求項に記載の複合体とさらに金属箔側にシーラント層を設けたポリエステルフィルム/接着層/金属箔/シーラント層の順となるように配置された構成体。
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