JP7416347B1 - 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイス - Google Patents

蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイス Download PDF

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Abstract

少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成されており、前記基材層は、2層以上により構成されており、前記基材層は、1層以上のポリエステルフィルムを含み、前記基材層は、長手方向と幅方向の加工硬化指数がともに2.5以上4.5以下であって、かつ長手方向と幅方向の加工硬化指数の差が1.4以下である、蓄電デバイス用外装材。

Description

本開示は、蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイスに関する。
従来、様々なタイプの蓄電デバイスが開発されているが、あらゆる蓄電デバイスにおいて、電極や電解質等の蓄電デバイス素子を封止するために包装材料(外装材)が不可欠な部材になっている。従来、蓄電デバイス用外装材として金属製の外装材が多用されていた。
一方、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話等の高性能化に伴い、蓄電デバイスには、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の蓄電デバイス用外装材では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
そこで、従来、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る蓄電デバイス用外装材として、基材/アルミニウム箔層/熱融着性樹脂層が順次積層されたフィルム状の外装材が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
このようなフィルム状の外装材においては、一般的に、冷間成形により凹部が形成され、当該凹部によって形成された空間に電極や電解液などの蓄電デバイス素子を配し、熱融着性樹脂層同士を熱融着させることにより、外装材の内部に蓄電デバイス素子が収容された蓄電デバイスが得られる。
特開2008-287971号公報
フィルム状の外装材には、蓄電デバイスのエネルギー密度をより一層高める観点などから、蓄電デバイス素子を収容する凹部を外装材に深く形成することが求められている。しかしながら、フィルム状の外装材を成形して凹部を形成する場合に、クラックやピンホールが発生しやすいという問題がある。
ここで、フィルム状の外装材の基材層としては、例えばポリアミドフィルムやポリエステルフィルムなどが使用されており、外装材の成形性を高めるためには、ポリアミドフィルムを使用することが好適である。
しかしながら、ポリアミドフィルムは、ポリエステルフィルムと比較すると、成形性に優れる一方、機械的強度や絶縁性などは劣るため、基材層にポリエステルフィルムを用いて、蓄電デバイス用外装材の成形性を高める技術が求められる。
さらに、フィルム状の外装材の基材層を2層以上により構成し、基材層に含まれる各層の材料や物性を調整すると、外装材全体の特性(成形性など)も好適に調整できるという利点がある。
本開示は、少なくとも、ポリエステルフィルムを含み、かつ、2層以上で構成された基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体からなる蓄電デバイス用外装材であって、成形性に優れた蓄電デバイス用外装材を提供することを主な目的とする。
本開示の発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、ポリエステルフィルムを含み、かつ、2層以上により構成された基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成された蓄電デバイス用外装材において、基材層全体について、長手方向と幅方向の加工硬化指数、及び、長手方向と幅方向の加工硬化指数の差を特定の範囲内に設定することにより、蓄電デバイス用外装材が優れた成形性を発揮することを見出した。
本開示は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。即ち、本開示は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
前記基材層は、2層以上により構成されており、
前記基材層は、1層以上のポリエステルフィルムを含み、
前記基材層は、長手方向と幅方向の加工硬化指数がともに2.5以上4.5以下であって、かつ長手方向と幅方向の加工硬化指数の差が1.4以下である、蓄電デバイス用外装材。
本開示によれば、少なくとも、ポリエステルフィルムを含み、かつ、2層以上により構成された基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体からなる蓄電デバイス用外装材であって、成形性に優れた蓄電デバイス用外装材を提供することができる。また、本開示によれば、蓄電デバイス用外装材の製造方法、及び蓄電デバイスを提供することもできる。
本開示の蓄電デバイス用外装材の断面構造の一例を示す模式図である。 本開示の蓄電デバイス用外装材の断面構造の一例を示す模式図である。 本開示の蓄電デバイス用外装材の断面構造の一例を示す模式図である。 本開示の蓄電デバイス用外装材の断面構造の一例を示す模式図である。 本開示の蓄電デバイス用外装材により形成された包装体中に蓄電デバイス素子を収容する方法を説明するための模式図である。
本開示の蓄電デバイス用外装材は、少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成されており、基材層は、2層以上により構成されており、基材層は、1層以上のポリエステルフィルムを含み、基材層は、長手方向(MDの方向)と幅方向の加工硬化指数がともに2.5以上4.5以下であって、かつ長手方向と幅方向の加工硬化指数の差が1.4以下であることを特徴とする。本開示の蓄電デバイス用外装材は、ポリエステルフィルムを含むにも拘わらず、優れた成形性を備えている。
以下、本開示の蓄電デバイス用外装材について詳述する。なお、本開示において、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、別個に記載された、上限値と上限値、上限値と下限値、又は下限値と下限値を組み合わせて、それぞれ、数値範囲としてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
なお、蓄電デバイス用外装材において、後述のバリア層3については、通常、その製造過程におけるMD(Machine Direction)とTD(Transverse Direction)を判別することができる。例えば、バリア層3がアルミニウム合金箔やステンレス鋼箔等の金属箔により構成されている場合、金属箔の圧延方向(RD:Rolling Direction)には、金属箔の表面に、いわゆる圧延痕と呼ばれる線状の筋が形成されている。圧延痕は、圧延方向に沿って伸びているため、金属箔の表面を観察することによって、金属箔の圧延方向を把握することができる。また、積層体の製造過程においては、通常、積層体のMDと、金属箔のRDとが一致するため、積層体の金属箔の表面を観察し、金属箔の圧延方向(RD)を特定することにより、積層体のMDを特定することができる。また、積層体のTDは、積層体のMDとは垂直方向であるため、積層体のTDについても特定することができる。
また、アルミニウム合金箔やステンレス鋼箔等の金属箔の圧延痕により蓄電デバイス用外装材のMDが特定できない場合は、次の方法により特定することができる。蓄電デバイス用外装材のMDの確認方法として、蓄電デバイス用外装材の熱融着性樹脂層の断面を電子顕微鏡で観察し海島構造を確認する方法がある。当該方法においては、熱融着性樹脂層の厚み方向に対して垂直な方向の島の形状の径の平均が最大であった断面と平行な方向を、MDと判断することができる。具体的には、熱融着性樹脂層の長さ方向の断面と、当該長さ方向の断面と平行な方向から10度ずつ角度を変更し、長さ方向の断面に対して垂直な方向までの各断面(合計10の断面)について、それぞれ、電子顕微鏡写真で観察して海島構造を確認する。次に、各断面において、それぞれ、個々の島の形状を観察する。個々の島の形状について、熱融着性樹脂層の厚み方向に対して垂直方向の最左端と、当該垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を径yとする。各断面において、島の形状の当該径yが大きい順に上位20個の径yの平均を算出する。島の形状の当該径yの平均が最も大きかった断面と平行な方向をMDと判断する。
1.蓄電デバイス用外装材の積層構造
本開示の蓄電デバイス用外装材10は、例えば図1に示すように、基材層1、バリア層3、及び熱融着性樹脂層4をこの順に備える積層体から構成されている。蓄電デバイス用外装材10において、基材層1が最外層側になり、熱融着性樹脂層4は最内層になる。蓄電デバイス用外装材10と蓄電デバイス素子を用いて蓄電デバイスを組み立てる際に、蓄電デバイス用外装材10の熱融着性樹脂層4同士を対向させた状態で、周縁部を熱融着させることによって形成された空間に、蓄電デバイス素子が収容される。本開示の蓄電デバイス用外装材10を構成する積層体において、バリア層3を基準とし、バリア層3よりも熱融着性樹脂層4側が内側であり、バリア層3よりも基材層1側が外側である。
本開示において、基材層1は、2層以上により構成されている。例えば図1~図4には、基材層1が第1基材層11と第2基材層12とを含む積層体により構成されている図を示している。本開示において、基材層1が第1基材層11と第2基材層12とを含む場合、第1基材層11が外側(バリア層側とは反対側)に位置し、第2基材層12が内側(バリア層側)に位置しているものとする。基材層1には、1層以上のポリエステルフィルムが含まれており、後述のように、第1基材層11がポリエステルフィルムにより形成されていることが好ましい。
第1基材層11と第2基材層12とは接していてもよいし、図示を省略するが、第1基材層11と第2基材層12との間には、接着剤層が存在していてもよい。なお、第1基材層11と第2基材層12との間に接着剤層が存在する場合、基材層1は、第1基材層11と接着剤層と第2基材層12とがこの順に積層された3層構成となる。後述のとおり、本開示において、基材層1の最も好ましい構成は、第1基材層11が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにより形成され、第2基材層12が延伸ナイロンフィルムにより形成され、第1基材層11と第2基材層12とが接着剤層(厚みは例えば2~5μm程度)によって接着された積層構成である。
蓄電デバイス用外装材10は、例えば図2から図4に示すように、基材層1とバリア層3との間に、これらの層間の接着性を高めることなどを目的として、必要に応じて接着剤層2を有していてもよい。また、例えば図3及び図4に示すように、バリア層3と熱融着性樹脂層4との間に、これらの層間の接着性を高めることなどを目的として、必要に応じて接着層5を有していてもよい。また、図4に示すように、基材層1の外側(熱融着性樹脂層4側とは反対側)には、必要に応じて表面被覆層6などが設けられていてもよい。なお、基材層1の外側に表面被覆層6が存在する場合、基材層1は、表面被覆層6も含めた構成、具体的には、表面被覆層6と第1基材層11と第2基材層12とがこの順に積層された3層構成、或いは、表面被覆層6と第1基材層11と接着剤層と第2基材層12とがこの順に積層された4層構成となる。
蓄電デバイス用外装材10を構成する積層体の厚みとしては、特に制限されないが、コスト削減、エネルギー密度向上等の観点からは、好ましくは約190μm以下、約155μm以下、約120μm以下が挙げられる。また、蓄電デバイス用外装材10を構成する積層体の厚みとしては、蓄電デバイス素子を保護するという蓄電デバイス用外装材の機能を維持する観点からは、好ましくは約35μm以上、約45μm以上、約60μm以上が挙げられる。また、蓄電デバイス用外装材10を構成する積層体の好ましい範囲については、例えば、35~190μm程度、35~155μm程度、35~120μm程度、45~190μm程度、45~155μm程度、45~120μm程度、60~190μm程度、60~155μm程度、60~120μm程度が挙げられ、特に60~155μm程度が好ましい。
蓄電デバイス用外装材10において、蓄電デバイス用外装材10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、基材層1、必要に応じて設けられる接着剤層2、バリア層3、必要に応じて設けられる接着層5、熱融着性樹脂層4、及び必要に応じて設けられる表面被覆層6の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。具体例としては、本開示の蓄電デバイス用外装材10が、基材層1、接着剤層2、バリア層3、接着層5、及び熱融着性樹脂層4を含む場合、蓄電デバイス用外装材10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、これら各層の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。また、本開示の蓄電デバイス用外装材10が、基材層1、接着剤層2、バリア層3、及び熱融着性樹脂層4を含む積層体である場合にも、蓄電デバイス用外装材10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、これら各層の合計厚みの割合は、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上とすることができる。
2.蓄電デバイス用外装材を形成する各層
[基材層1]
本開示において、基材層1は、蓄電デバイス用外装材の基材としての機能を発揮させることなどを目的として設けられる層である。基材層1は、蓄電デバイス用外装材の外層側に位置する。基材層1は、最外層(外表面を構成する層)であってもよいし、例えば後述する表面被覆層6を設ける場合には、表面被覆層6が最外層(外表面を構成する層)であってもよい。
本開示において、基材層1は、2層以上により構成されている。基材層1は、図1~4に示すように、第1基材層11と第2基材層12とを含む積層体により構成されていることが好ましい。また、基材層1は、1層以上のポリエステルフィルムを含む。第1基材層11がポリエステルフィルムにより形成されていることが好ましい。
本開示の蓄電デバイス用外装材10において、基材層1は、全体として、長手方向(MDの方向)と幅方向の加工硬化指数がともに2.5以上4.5以下であって、かつ、長手方向と幅方向の加工硬化指数の差(絶対値)が1.4以下である。
ここで、基材層1の加工硬化指数とは、後述の実施例の評価方法「(14)基材層全体の加工硬化指数」に記載の方法にて定めた引張り試験から得られる、伸度5%時の応力および伸度60%時の応力より算出される値のことである。
蓄電デバイス用外装材に用いられる積層体は、基材層、バリア層及び熱融着性樹脂層が含まれており、これらの中でも、基材層の厚みが最も薄く設計される傾向がある。蓄電デバイス用外装材に対して絞り成形を行った際、厚み方向に掛かる応力は、各層の加工硬化状態に応じて中立軸が決定され、厚み方向のどの位置に応力が集中するのかが決まる。基材層1全体の加工硬化状態、すなわち加工硬化指数が2.5以上であることにより、中立軸がバリア層と熱融着性樹脂層側に偏ることが抑制され、バリア層に均一に応力が掛かりやすくなり、その結果、絞り加工におけるバリア層の破断やピンホールの発生が抑制される。このため、基材層1は、全体としての加工硬化指数が2.5以上である必要がある。中立軸が最外層側に偏らないようにする観点から、基材層1の加工硬化指数は、長手方向(MDの方向)、幅方向(TDの方向)のいずれの方向においても4.5以下とする必要がある。
基材層1の長手方向(MDの方向)と幅方向(TDの方向)の加工硬化指数をともに2.5以上4.5以下するためには、例えば、基材層1の長手方向(MDの方向)と幅方向(TDの方向)の破断強度は180MPa以上にすることが好ましく、より好ましくは200MPa以上、220MPa以上、230MPa以上である。また、基材層1の長手方向(MDの方向)と幅方向(TDの方向)の破断伸度は80%以上にすることが好ましく、より好ましくは90%以上、95%以上、100%以上である。基材層1の破断強度及び破断伸度は、それぞれ、後述の実施例の評価方法「(13)基材層全体の破断強度及び破断伸度」に記載の方法にて定めた引張り試験から得られる値のことである。
基材層1の破断強度を180MPa以上とし、破断伸度を80%以上とするためには、例えば、基材層1に含まれるポリエステルフィルムの製造時に、高倍率で延伸するとよい。具体的には二軸に延伸することが最も好ましく、公知の方法で逐次または同時で面積延伸倍率を11.0倍以上として延伸すると良い。後述するポリエステルフィルムの加工硬化指数が1.6以上であると絞り成形性に優れる。一方、加工硬化指数は高くなるほど絞り成形時の曲げによる弾性変形が大きくなるため、成形後の反りが大きくなる傾向がある。このため、加工硬化指数は必要とされる反りの程度に応じて最低限に抑えることが好ましい。
本発明の効果をより好適に発揮する観点から、基材層1全体としての加工硬化指数は、好ましくは約2.6以上である。また、基材層1全体としての加工硬化指数は、好ましくは4.0以下である。基材層1全体としての加工硬化指数の好ましい範囲としては、2.5~4.5程度、2.5~4.0程度、2.6~4.5程度、2.6~4.0程度が挙げられる。
本開示では、面内均一性の観点から、基材層1の長手方向(MDの方向)と幅方向(TDの方向)の加工硬化指数の差は、1.4以下である。長手方向と幅方向の加工硬化指数の差が1.4以下であることにより、面内均一性が高く、絞り加工した際に均一に負荷が掛かり、局部的な変形が起こりにくく、絞り成形性に優れたものとなる。加工硬化指数の差は好ましくは1.2以下が好ましい。
次に、基材層1に含まれるポリエステルフィルムについて詳述する。
基材層1に含まれるポリエステルフィルムは、長手方向(MDの方向)と幅方向(TDの方向)の加工硬化指数がともに1.6以上3.0以下であって、かつ長手方向と幅方向の加工硬化指数の差が0.5以下であることが好ましい。また、当該ポリエステルフィルムは、固有粘度が0.66dl/g以上1.00dl/g以下であることが好ましく、0.66dl/g以上0.95dl/g以下であることが好ましい。また、当該ポリエステルフィルムは、剛直非晶量が5%以上60%以下であることが好ましい。
ポリエステルフィルムの加工硬化指数とは、後述の実施例の評価方法「(10)加工硬化指数」に記載の方法にて定めた引張り試験から得られる、伸度5%時の応力および伸度60%時の応力より算出される値のことである。
前記の通り、蓄電デバイス用外装材に対して絞り成形を行った際、厚み方向に掛かる応力は、各層の加工硬化状態に応じて中立軸が決定され、厚み方向のどの位置に応力が集中するのかが決まる。基材層1に含まれるポリエステルフィルムの加工硬化状態、すなわち加工硬化指数が1.6以上であることにより、中立軸がバリア層と熱融着性樹脂層側に偏りにくく、バリア層に均一に応力が掛かりやすくなり、その結果、絞り加工におけるバリア層の破断やピンホールの発生が抑制される。このため、本開示の基材層1において、ポリエステルフィルムは少なくとも加工硬化指数が1.6以上であることが好ましい。中立軸が最外層側に偏らないようにする観点から、ポリエステルフィルムの加工硬化指数は、長手方向(MDの方向)、幅方向のいずれの方向においても3.0以下であることが好ましい。
ポリエステルフィルムの長手方向(MDの方向)と幅方向(TDの方向)の加工硬化指数をともに1.6以上3.0以下するためには、例えば、フィルムの長手方向(MDの方向)と幅方向(TDの方向)の破断強度は200MPa以上にすることが好ましい。
ポリエステルフィルムの破断強度を200MPa以上とするためには、ポリエステルフィルムの製造時に、高倍率で延伸するとよい。具体的には二軸に延伸することが最も好ましく、公知の方法で逐次または同時で面積延伸倍率を11.0倍以上として延伸すると良い。加工硬化指数が1.6以上であると絞り成形性が向上する。一方、加工硬化指数が高くなり過ぎると絞り成形時の曲げによる弾性変形が大きくなるため、成形後の反りが大きくなる傾向がある。このため、加工硬化指数は必要とされる反りの程度に応じて最低限に抑えることが好ましい。
本発明の効果をより好適に発揮する観点から、ポリエステルフィルムの加工硬化指数は、例えば1.6以上、好ましくは1.8以上、より好ましくは2.0以上である。また、ポリエステルフィルムの加工硬化指数は、3.0以下、好ましくは2.9以下である。ポリエステルフィルムの加工硬化指数の好ましい範囲としては、1.6~3.0程度、1.6~2.9程度、1.8~3.0程度、1.8~2.9程度、2.0~3.0程度、2.0~2.9程度が挙げられる。
本開示では、面内均一性の観点から、ポリエステルフィルムの長手方向(MDの方向)と幅方向(TDの方向)の加工硬化指数の差(絶対値)は、0.5以下であることが好ましい。長手方向(MDの方向)と幅方向の加工硬化指数の差が0.5以下であることにより、面内均一性が高く、絞り加工した際に均一に負荷が掛かり易く、局部的な変形が抑制される。加工硬化指数の差は好ましくは0.3以下が好ましい。
本開示では、面内均一性の観点から、ポリエステルフィルムの長手方向(MDの方向)と幅方向(TDの方向)の加工硬化指数の差は、0.5以下であることが好ましい。長手方向(MDの方向)と幅方向の加工硬化指数の差が0.5以下であることにより、面内均一性が高く、絞り加工した際に均一に負荷が掛かり易く、局部的な変形が抑制される。加工硬化指数の差は好ましくは0.3以下が好ましい。
本開示において、ポリエステルフィルムの長手方向(MDの方向)と幅方向(TDの方向)のうち少なくとも一方向の破断伸度は65%以上であることが好ましい。絞り加工における材料の変形挙動の1つは伸長である。フィルムの伸度が大きい程、変形挙動のうち、伸び変形できる要素は大きくなり、絞り加工性は向上する。このため、長手方向と幅方向の破断伸度のうち少なくとも一方向について、65%以上であることが好ましく、長手方向と幅方向の破断伸度のいずれもが65%以上であることがより好ましい。長手方向と幅方向の破断伸度を65%以上とするには、いずれの方向の延伸倍率も4.0倍以下であることで調整可能である。延伸倍率が4.0倍を超えた方向がある場合は、加工硬化指数を大きくする上で有利であるものの、当該延伸方向の破断伸度が65%未満となり、絞り成形性が低下には不利である。ポリエステルフィルムの長手方向と幅方向ともに、破断伸度は、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは100%以上、さらに好ましくは110%以上であり、また、好ましくは150%以下、より好ましくは140%以下、さらに好ましくは130%以下であり、当該破断伸度の好ましい範囲としては、65~150%程度、65~140%程度、65~130%程度、70~150%程度、70~140%程度、70~130%程度、75~150%程度、75~140%程度、75~130%程度、90~150%程度、90~140%程度、90~130%程度、100~150%程度、65~140%程度、65~130%程度が挙げられる。ポリエステルフィルムの破断伸度は、後述する実施例の評価方法「(6)破断伸度」に記載の方法にて測定する。
本開示において、ポリエステルフィルムは、フィルム全体に対する剛直非晶量が5%以上60%以下であることが好ましい。ここで、剛直非晶量は、後述する実施例の評価方法「(8)剛直非晶量」に記載の方法にて測定される値である。剛直非晶量が本範囲であることによって特に顕著な厚み方向に対する特性である突き刺し耐性を得ることができる。蓄電デバイス用外装材に行われている絞り加工は、一般に、四隅を金型で固定し、厚み方向に絞る加工である。フィルム全体に対する剛直非晶量を本範囲に制御することによって、前述の絞り加工において、優れた絞り加工特性が発現する。剛直非晶量が60%以下であることにより、非晶成分がフィルムバルク構成の大半を占めることが抑制され、フィルムの寸法安定性が向上する傾向にある。一方、剛直非晶量が5%以上であることにより、厚み方向に対する特性である突き刺し耐性が向上しやすくなる。
本発明の効果をより好適に発揮する観点から、ポリエステルフィルムの剛直非晶量は、例えば5%以上、好ましくは6%以上、より好ましくは8%以上で、さらに好ましくは15%以上、さらに好ましくは28%以上、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは35%以上である。また、ポリエステルフィルムの剛直非晶量は、60%以下、好ましくは58%以下、より好ましくは55%以下、さらに好ましくは53%以下である。ポリエステルフィルムの剛直非晶量の好ましい範囲としては、5~60%程度、5~58%程度、5~55%程度、5~53%程度、6~60%程度、6~58%程度、6~55%程度、6~53%程度、8~60%程度、8~58%程度、8~55%程度、8~53%程度、15~60%程度、15~58%程度、15~55%程度、15~53%程度、28~60%程度、28~58%程度、28~55%程度、28~53%程度、30~60%程度、30~58%程度、30~55%程度、30~53%程度、35~60%程度、35~58%程度、35~55%程度、35~53%程度が挙げられる。
フィルムバルク状態については、使用原料の結晶性に加えて、製膜条件によって決定されるものであり、例えばポリエチレンテレフタレートを用いた場合、剛直非晶量を5%以上とするには、例えばフィルムの面配向係数fnを0.165以上とする手段が挙げられる。ここで、フィルムの面配向係数は、後述する実施例の評価方法「(5)ポリエステルフィルムの面配向係数fn」に記載の方法にて測定する。フィルムの面配向係数を0.165以上とするには、二軸延伸する際の面積延伸倍率を12.25倍以上とする方法などが挙げられる。この上で、逐次二軸延伸後の熱処理温度によって剛直非晶量を制御することが好ましく、フィルム製膜中に掛かる最も高い温度(熱処理温度)を、200℃以下とすることが重要である。一方、熱処理温度を230℃以上にすることでも樹脂の融解が開始することに起因して、剛直非晶量は増加する傾向を示すが、熱によるフィルムの結晶化を促進させてしまうため、後述する結晶化度が多くなり、フィルムバルク構成として剛直非晶よりも結晶化度が高くなる。このため、熱処理温度は200℃以下とすることが重要である。フィルムの熱処理温度が200℃を超え、230℃未満である場合、剛直非晶量は5%未満となることがある。
本発明の効果をより好適に発揮する観点から、ポリエステルフィルムは、結晶化度が15%以上40%以下であることが好ましい。延伸による配向結晶化や、熱による結晶化によって結晶化度を制御し、フィルムの機械的強度を上昇させることが可能である。結晶化度が15%未満であるとフィルム面配向が不足し加工硬化指数を本開示の範囲に制御できないことがあり、結晶化度が40%を超える場合、剛直非晶量を本開示の範囲にすることができなくなることがある。結晶化度を15%以上40%以下とするには、例えば、ホモポリエステル樹脂を用い、フィルムの面配向係数を0.165以上、0.170以下とした上で、熱処理温度を150℃以上、200℃以下とすることで調整可能であるが、他の樹脂を混合しても構わない。ポリエステルフィルムの結晶化度は、後述する実施例の評価方法「(7)結晶化度」に記載の方法にて測定する。
本発明の効果をより好適に発揮する観点から、ポリエステルフィルムの結晶化度は、例えば15%以上、好ましくは16%以上、より好ましくは18%以上、さらに好ましくは20%以上である。また、ポリエステルフィルムの結晶化度は、40%以下、好ましくは39%以下、より好ましくは35%以下、さらに好ましくは32%以下である。ポリエステルフィルムの結晶化度の好ましい範囲としては、15~40%程度、15~39%程度、15~35%程度、15~32%程度、16~40%程度、16~39%程度、16~35%程度、16~32%程度、18~40%程度、18~39%程度、18~35%程度、18~32%程度、20~40%程度、20~39%程度、20~35%程度、20~32%程度が挙げられる。
ポリエステルフィルムは、固有粘度が、好ましくは0.66dl/g以上1.00以下、より好ましくは0.66dl/g以上0.95dl/g以下である。ここで固有粘度は後述する実施例の評価方法「(4)固有粘度」に記載の方法にて測定される値である。固有粘度が本範囲であることによって分子鎖の絡み合いが上昇し、厚み方向に対する変形、特に突き刺し耐性を得ることができる。固有粘度が0.66dl/g未満であると分子鎖の絡み合いが不足し、絞り加工性が低下し易くなる。一方、固有粘度が0.95dl/g以下、さらには1.00dl/g以下であることにより、溶融製膜時の濾圧が上昇することに伴って吐出量を低くする必要がなく、生産性に優れる。固有粘度は溶融製膜に使用する原料で調整可能であり、フィルムの固有粘度を高くしたい場合はフィルム製膜時に使用する原料の固有粘度が高くすると良い。分子鎖の絡み合い効果と生産性のいずれも考慮すると固有粘度は0.69dl/g以上0.88dl/g以下であることが好ましい。
ポリエステルフィルムは、固有粘度が、好ましくは0.66dl/g以上0.95dl/g以下である。ここで固有粘度は後述する実施例の評価方法「(4)固有粘度」に記載の方法にて測定される値である。固有粘度が本範囲であることによって分子鎖の絡み合いが上昇し、厚み方向に対する変形、特に突き刺し耐性を得ることができる。固有粘度が0.66dl/g未満であると分子鎖の絡み合いが不足し、絞り加工性が低下し易くなる。一方、固有粘度が0.95dl/gを超えると溶融製膜時の濾圧が上昇することに起因して吐出量を低くせざるを得なく、生産性に劣る。固有粘度は溶融製膜に使用する原料で調整可能であり、フィルムの固有粘度を高くしたい場合はフィルム製膜時に使用する原料の固有粘度が高くすると良い。分子鎖の絡み合い効果と生産性のいずれも考慮すると固有粘度は0.69dl/g以上0.88dl/g以下であることが好ましい。
本発明の効果をより好適に発揮する観点から、ポリエステルフィルムの長手方向(MDの方向)と幅方向(TDの方向)の150℃熱収縮率は、いずれも3.5%以上14.0%以下であることが好ましい。基材層1にポリエステルフィルムを使用し、加熱を伴う二次加工、例えば溶融した樹脂をフィルムに直接ラミネートする押出ラミネート工程など150℃程度の熱が掛かるラミネート工程において、押出しラミネート時のシワを抑制するにあたり、150℃熱収縮率は3.5%以上であることが好ましい。一方、ラミネート時に掛かる温度の熱収縮率が14%を超えるとラミネート時の熱収縮により、フィルムがラミネート時に変形しすぎて不具合を起こすことがある。ラミネート時のシワと熱変形を両立する観点から、ポリエステルフィルムは長手方向および幅方向の150℃熱収縮率は10%以下であることが好ましい。長手方向と幅方向の150℃熱収縮率を3.5%以上14.0%以下とするためには、フィルムの面積倍率を12.25倍以上とした上、熱処理温度を160℃以上200℃以下で熱処理することで制御可能である。ポリエステルフィルムの長手方向と幅方向の150℃熱収縮率は、後述する実施例の評価方法「(11)ポリエステルフィルムの長手方向と幅方向の150℃熱収縮率」に記載の方法にて測定する。
本発明の効果をより好適に発揮する観点から、ポリエステルフィルムは、示差走査型熱量計から求められる融点(融解吸熱ピーク温度(Tm))が235℃以上であることが好ましい。ポリエステルフィルムを蓄電デバイス用外装材の基材層に使用したとき、熱融着性樹脂層同士をヒートシールすることによって容器化する。このため、ヒートシールの熱による外装材の溶融を抑制する必要がある。融解吸熱ピーク温度Tmが235℃未満であるとヒートシールを行う際の加熱温度を低下させる必要があり、ヒートシールによって容器化するまでの所要時間が長くなった結果、量産性に劣ることがある。融解吸熱ピーク温度Tmを235℃以上とするにはホモポリエステルを用いることが最も好ましい。なお、ポリエステルフィルムの加工性の観点からは、融点は320℃以下であることが好ましい。ポリエステルフィルムの融点は、後述する実施例の評価方法「(9)ガラス転移温度Tg、融点(融解吸熱ピーク温度Tm)」に記載の方法にて測定する。
本発明の効果をより好適に発揮する観点から、ポリエステルフィルムの融点は、235℃以上、好ましくは238℃以上、より好ましくは240℃以上、さらに好ましくは245℃以上である。また、ポリエステルフィルムの融点は、例えば320℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは290℃以下、さらに好ましくは270℃以下である。ポリエステルフィルムの融点の好ましい範囲としては、235~320℃程度、235~300℃程度、235~290℃程度、235~270℃程度、238~320℃程度、238~300℃程度、238~290℃程度、238~270℃程度、240~320℃程度、240~300℃程度、240~290℃程度、240~270℃程度、245~320℃程度、245~300℃程度、245~290℃程度、245~270℃程度が挙げられる。
ポリエステルフィルムが2種以上の混合物であり融点が2点以上発現するものについては、最も高い融点温度が235℃以上であればよい。ポリエステルに混合される混合物は特に限定はしないが、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
ポリエステルフィルムは、ポリエステルを主体として構成される。ポリエステルとは主鎖における主要な結合をエステル結合とする高分子化合物の総称である。そして、ポリエステルは、通常ジカルボン酸あるいはその誘導体とジオールあるいはその誘導体を重縮合反応させることによって得ることができ、ポリエステルを主体として構成することで耐電解液性を得ることができる。また、本開示でいう主体として構成する、は対象全体に対して、60質量%以上100質量%以下の割合で占めることを指し、ここではポリエステルフィルムに対して占める割合のことをいう。ここで、ジカルボン酸単位(構造単位)あるいはジオール単位(構造単位)とは、重縮合によって除去される部分を除かれた2価の有機基を意味し、以下の一般式で表される。
ジカルボン酸単位(構造単位):-CO-R-CO-
ジオール単位(構造単位):-O-R’―O-
(ここで、R、R’は二価の有機基。RとR’は同じであっても異なっていてもよい。)
ポリエステルを与えるジオールあるいはその誘導体としては、エチレングリコール以外に、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、それらの誘導体が挙げられる。
また、ポリエステルを与えるジカルボン酸あるいはその誘導体としては、テレフタル酸以外には、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、並びに、それらの誘導体を挙げることができる。ジカルボン酸の誘導体としてはたとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2-ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどのエステル化物を挙げることができる。
ポリエステルフィルムは、単層構成であっても、2層以上の多層構成であってもよい。多層構成である場合、B層/A層/B層のように中心層を基点に対称構成であることが製膜後の反りを抑制する観点から好ましい。製膜後に反りが発生すると、その後の電池製造工程などでハンドリング性が悪化することがある。また、本開示ではB/A/B/A/Bといった5層の構成でもよい。多層構成である場合、製膜後の反りの観点からB/A/Bの3層積層構成が好ましい。本開示では分子配向が異なるA層/B層のような2層構成であると、製膜直後の時点で反りが発生することがある。ただし、本発明の効果を阻害しないのであれば、A/Bの2層構成のように非対称構成でもかまわない。
ポリエステルフィルムは、絞り性向上のため、ダイス側接触面の動摩擦係数μdを0.3以下とすることが好ましい。動摩擦係数を上記範囲とすることによって絞り成形時の変形抵抗が小さくなり加工性が向上する。ポリエステルフィルムの動摩擦係数は、後述する実施例の評価方法「(12)ポリエステルフィルムの動摩擦係数」に記載の方法にて測定する。動摩擦係数を0.3以下とするには特に限定されないが、例えば、平均粒径0.005μm以上10μm以下の無機粒子、および/または有機粒子を0.3質量%以上、5質量%以下含有する層を最外層に有することが好ましい。より好ましくは0.5質量%以上3質量%以下である。ただし、粒子を添加し過ぎると外装材の破断伸度を低下させることがある。このため、本発明の効果を阻害しない範囲にて粒子を添加させることが重要である。なお、本開示において粒子として、平均一次粒径として0.005μm以上のものを用いる。ここでいう粒径とは数平均粒径のことを示し、フィルムの断面内において観察される粒子径を意味する。形状が真円でない場合には同面積の真円に変換した値を粒子径とする。ここで、数平均粒径Dnは次の(1)~(4)の手順により求めることができる。
(1)まず、ミクロトームを用いて、フィルム断面を厚み方向に潰すことなく切断し、走査型電子顕微鏡を用いて、拡大観察画像を得る。このとき、切断はフィルムTD方向(横方向)と平行方向になるよう行なう。
(2)次いで、該画像中の断面内に観察される各粒子について、その断面積Sを求め、次式にて粒径dを求める。
d=2×(S/π)1/2
(3)得られた粒径dと、樹脂粒子の個数nを用いて、次式によりDnを求める。
Dn=Σd/n
但し、Σdは観察面内における粒子の粒径の総和、nは観察面内の粒子の総数。
(4)上記(1)~(3)を、5箇所場所を変えて実施し、その平均値を粒子の数平均粒径とする。なお、観察点1箇所に付き、2500μm2以上の領域にて上記評価を実施する。
無機粒子としては、例えば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミ、マイカ、カオリン、クレーなどを使用することができる。また、有機粒子としては、スチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を使用することができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、アルミナ、炭酸カルシウムなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を使用することが好ましい。さらに、これらの無機粒子および有機粒子は二種以上を併用してもよい。また、最大表面高さを制御するためにフィルム表面にエンボス加工、サンドブラスト加工といった凹凸加工を施すことも好ましい。
ポリエステルフィルムの厚みは、蓄電デバイス用外装材の基材層に用いた際の成形追従性、成形後の反りの観点から、5μm以上40μm以下であることが好ましく、9μm以上30μm以下であることがさらに好ましい。最も好ましくは、12μm以上28μm以下である。必要とされる絞り深さに依存するが、5μm未満であると成形性に劣ることがあり、40μm以上であると剛性が高くなり成形後に反りが発生することがある。
ポリエステルフィルムには、例えば隣接する層との接着性を向上させるために、表面に、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、アンカーコート層を設けるなどの表面処理を施すことも好ましい。アンカーコート層の形成方法としては、樹脂をフィルム表面に被覆(複合溶融押出法、ホットメルトコート法、水以外の溶媒、水溶性および/または水分散性樹脂からのインライン、オフラインコート法など)する方法が挙げられる。なかでも、配向結晶化が完了する前のフィルムの一方の面に被膜塗剤を塗布し、少なくとも一方向に延伸し、熱処理して、配向結晶化を完了させるインラインコーティング法が均一な被膜形成や生産性の点で好ましい。また、アンカーコート層を設ける場合、樹脂としては、特に限定されるものではないが、たとえば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ビニル系樹脂、塩素系樹脂、スチレン系樹脂、各種グラフト系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂などを使用することができ、これらの樹脂の混合物を使用することもできる。密着性の観点からポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、またはウレタン系樹脂を用いるのが好ましい。ポリエステル系樹脂を水系塗液として用いる場合には、水溶性あるいは水分散性のポリエステル樹脂が用いられるが、このような水溶性化あるいは水分散化のためには、スルホン酸塩基を含む化合物や、カルボン酸塩基を含む化合物を共重合させることが好ましい。またアクリル樹脂を水性塗液として用いる場合には、水に溶解あるいは分散された状態にする必要があり、乳化剤として界面活性剤(例えば、ポリエーテル系化合物などが挙げられるが、限定されるものではない。)を使用する場合がある。また、アンカーコート層には、さらに接着性を向上させるために、樹脂に各種の架橋剤を併用することができる。架橋剤樹脂としては、メラミン系、エポキシ系、オキサゾリン系樹脂が一般に用いられる。
本開示において、基材層1は、ポリエステルフィルムを少なくとも1層含んでいればよい。前記の通り、基材層1は、2層以上により構成されている。このため、基材層1がポリエステルフィルムのみで構成されている場合、基材層1には2層以上のポリエステルフィルムが含まれる。また、基材層1は、ポリエステルフィルムに加えて、ポリエステルフィルムとは異なる層(他の層)を含んでいてもよい。他の層を形成する素材については、基材としての機能、すなわち少なくとも絶縁性を備えることを限度として特に制限されない。他の層は、例えば樹脂を用いて形成することができ、樹脂には後述の添加剤が含まれていてもよい。
他の層は、例えば、樹脂により形成された樹脂フィルムであってもよいし、樹脂を塗布して形成したものであってもよい。樹脂フィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムとしては、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムが挙げられ、二軸延伸フィルムが好ましい。二軸延伸フィルムを形成する延伸方法としては、例えば、逐次二軸延伸法、インフレーション法、同時二軸延伸法等が挙げられる。樹脂を塗布する方法としては、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、押出コーティング法などが挙げられる。
他の層を形成する樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂などの樹脂や、これらの樹脂の変性物が挙げられる。また、他の層を形成する樹脂は、これらの樹脂の共重合物であってもよいし、共重合物の変性物であってもよい。さらに、これらの樹脂の混合物であってもよい。
本開示の効果をより一層好適に発揮する観点から、他の層を形成する樹脂としては、これらの中でも、好ましくはポリアミドが挙げられる。すなわち、本開示の基材層1がポリエステルフィルムとは異なる他の層をさらに含む場合、基材層1は、ポリエステルフィルムとポリアミドフィルムとの積層体であることが好ましい。
ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合体等の脂肪族ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン-イソフタル酸-テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリアミドMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミドPACM6(ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンアジパミド)等の脂環式ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等のポリアミドが挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリアミドフィルムは、延伸ポリアミドフィルムであることが好ましく、延伸ナイロンフィルムであることがより好ましく、二軸延伸ナイロンフィルムであることがさらに好ましい。
基材層1は、各フィルムを接着剤などで積層させた積層体であってもよいし、樹脂を共押出しして2層以上としたフィルムの積層体であってもよい。また、樹脂を共押出しして2層以上とした樹脂フィルムの積層体を、未延伸のまま基材層1としてもよいし、一軸延伸または二軸延伸して基材層1としてもよい。
ポリエステルは、例えば電解液が表面に付着した際に変色し難いことなどから、ポリエステルフィルムが基材層1の最外層側(第1基材層11)に位置することが好ましい。
本開示において、基材層1は、第1基材層11がポリエステルフィルム、第2基材層12がポリアミドフィルムであることがより好ましく、第1基材層11としてのポリエステルフィルムと第2基材層12としてのポリアミドフィルムが接着剤層により接着された積層体であることが特に好ましい。
本開示において、基材層1の好ましい構成は、第1基材層11がポリエステルフィルムフィルムにより形成され、第2基材層12がポリアミドフィルムにより形成され、第1基材層11と第2基材層12とが接着剤層(厚みは例えば2~5μm程度)によって接着された積層構成である。基材層1のより好ましい構成は、第1基材層11がポリエチレンテレフタレートフィルムにより形成され、第2基材層12がナイロンフィルムにより形成され、第1基材層11と第2基材層12とが接着剤層(厚みは例えば2~5μm程度)によって接着された積層構成である。基材層1のさらに好ましい構成は、第1基材層11が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにより形成され、第2基材層12が延伸ナイロンフィルムにより形成され、第1基材層11と第2基材層12とが接着剤層(厚みは例えば2~5μm程度)によって接着された積層構成である。これらの積層構成は、いずれも、外側から順に第1基材層11、接着剤層、第2基材層12が積層された3層構成である。
第1基材層11と第2基材層12とを接着する好ましい接着剤については、後述の接着剤層2で例示する接着剤と同様のものが挙げられる。なお、2層以上の樹脂フィルムを積層させる方法としては、特に制限されず、公知方法が採用でき、例えばドライラミネート法、サンドイッチラミネート法、押出ラミネート法、サーマルラミネート法などが挙げられ、好ましくはドライラミネート法が挙げられる。ドライラミネート法により積層させる場合には、接着剤としてポリウレタン接着剤を用いることが好ましい。このとき、接着剤の厚みとしては、例えば2~5μm程度が挙げられる。また、ポリエステルフィルムについて説明したのと同様、基材層に用いる樹脂フィルムにアンカーコート層を形成し積層させても良い。アンカーコート層は、後述の接着剤層2で例示する接着剤と同様のものが挙げられる。このとき、アンカーコート層の厚みとしては、例えば0.01から1.0μm程度が挙げられる。
また、基材層1の表面及び内部の少なくとも一方には、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤、耐電防止剤等の添加剤が存在していてもよい。添加剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本開示において、蓄電デバイス用外装材の成形性を高める観点からは、基材層1の表面には、滑剤が存在していることが好ましい。滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。アミド系滑剤の具体例としては、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、脂肪酸エステルアミド、芳香族ビスアミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸アミドの具体例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。置換アミドの具体例としては、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミドなどが挙げられる。また、メチロールアミドの具体例としては、メチロールステアリン酸アミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミドなどが挙げられる。脂肪酸エステルアミドの具体例としては、ステアロアミドエチルステアレートなどが挙げられる。また、芳香族ビスアミドの具体例としては、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルイソフタル酸アミドなどが挙げられる。滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
基材層1の表面に滑剤が存在する場合、その存在量としては、特に制限されないが、好ましくは約3mg/m2以上、より好ましくは4~15mg/m2程度、さらに好ましくは5~14mg/m2程度が挙げられる。
基材層1の表面に存在する滑剤は、基材層1を構成する樹脂に含まれる滑剤を滲出させたものであってもよいし、基材層1の表面に滑剤を塗布したものであってもよい。
基材層1の厚み(総厚み)については、基材としての機能を発揮すれば特に制限されないが、本開示の発明の効果をより好適に奏する観点から、好ましくは約10μm以上、より好ましくは約15μm以上である。同様の観点から、好ましくは約60μm以下、より好ましくは約50μm以下、さらに好ましくは約45μm以下である。基材層1の厚みの好ましい範囲としては、10~60μm程度、10~50μm程度、10~45μm程度、15~60μm程度、15~50μm程度、15~45μm程度が挙げられる。基材層1の各層を構成している樹脂フィルム(ポリエステルフィルム、他の層)の厚みとしては、それぞれ、好ましくは2~25μm程度、より好ましくは5~25μm程度、さらに好ましくは10~25μmが挙げられる。
例えば、第1基材層11の厚みは、好ましくは約9μm以上、より好ましくは約10μm以上であり、また、好ましくは約40μm以下、より好ましくは約30μm以下、さらに好ましくは約25μm以下であり、好ましい範囲としては、9~40μm程度、9~30μm程度、9~25μm程度、10~40μm程度、10~30μm程度、10~25μm程度が挙げられる。
また、第2基材層12の厚みは、好ましくは約10μm以上、より好ましくは約12μm以上、さらに好ましくは約15μm以上であり、また、好ましくは約40μm以下、より好ましくは約35μm以下、さらに好ましくは約30μm以下であり、好ましい範囲としては、10~40μm程度、10~35μm程度、10~30μm程度、12~40μm程度、12~35μm程度、12~30μm程度、15~40μm程度、15~35μm程度、15~30μm程度が挙げられる。
[接着剤層2]
本開示の蓄電デバイス用外装材において、接着剤層2は、基材層1とバリア層3との接着性を高めることを目的として、必要に応じて、これらの間に設けられる層である。
接着剤層2は、基材層1とバリア層3とを接着可能である接着剤によって形成される。接着剤層2の形成に使用される接着剤は限定されないが、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。また、2液硬化型接着剤(2液性接着剤)であってもよく、1液硬化型接着剤(1液性接着剤)であってもよく、硬化反応を伴わない樹脂でもよい。また、接着剤層2は単層であってもよいし、多層であってもよい。
接着剤に含まれる接着成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステル等のポリエステル;ポリエーテル;ポリウレタン;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド;ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、酸変性環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;セルロース;(メタ)アクリル樹脂;ポリイミド;ポリカーボネート;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの接着成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの接着成分の中でも、好ましくはポリウレタン接着剤が挙げられる。また、これらの接着成分となる樹脂は適切な硬化剤を併用して接着強度を高めることができる。前記硬化剤は、接着成分の持つ官能基に応じて、ポリイソシアネート、多官能エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有ポリマー、ポリアミン樹脂、酸無水物などから適切なものを選択する。
ポリウレタン接着剤としては、例えば、ポリオール化合物を含有する第1剤と、イソシアネート化合物を含有する第2剤とを含むポリウレタン接着剤が挙げられる。好ましくはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびアクリルポリオール等のポリオールを第1剤として、芳香族系又は脂肪族系のポリイソシアネートを第2剤とした二液硬化型のポリウレタン接着剤が挙げられる。また、ポリウレタン接着剤としては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物と、イソシアネート化合物とを含むポリウレタン接着剤が挙げられる。また、ポリウレタン接着剤としては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物と、ポリオール化合物とを含むポリウレタン接着剤が挙げられる。また、ポリウレタン接着剤としては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物を、空気中などの水分と反応させることによって硬化させたポリウレタン接着剤が挙げられる。ポリオール化合物としては、繰り返し単位の末端の水酸基に加えて、側鎖にも水酸基を有するポリエステルポリオールを用いることが好ましい。第2剤としては、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族のイソシアネート系化合物が挙げられる。イソシアネート系化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化XDI(H6XDI)、水素化MDI(H12MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)等が挙げられる。また、これらのジイソシアネートの1種類又は2種類以上からの多官能イソシアネート変性体等が挙げられる。また、ポリイソシアネート化合物として多量体(例えば三量体)を使用することもできる。このような多量体には、アダクト体、ビウレット体、ヌレート体等が挙げられる。接着剤層2がポリウレタン接着剤により形成されていることで蓄電デバイス用外装材に優れた電解液耐性が付与され、側面に電解液が付着しても基材層1が剥がれることが抑制される。
また、接着剤層2は、接着性を阻害しない限り他成分の添加が許容され、着色剤や熱可塑性エラストマー、粘着付与剤、フィラーなどを含有してもよい。接着剤層2が着色剤を含んでいることにより、蓄電デバイス用外装材を着色することができる。着色剤としては、顔料、染料などの公知のものが使用できる。また、着色剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
顔料の種類は、接着剤層2の接着性を損なわない範囲であれば、特に限定されない。有機顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、ジオキサジン系、インジゴチオインジゴ系、ペリノン-ペリレン系、イソインドレニン系、ベンズイミダゾロン系等の顔料が挙げられ、無機顔料としては、カーボンブラック系、酸化チタン系、カドミウム系、鉛系、酸化クロム系、鉄系等の顔料が挙げられ、その他に、マイカ(雲母)の微粉末、魚鱗箔等が挙げられる。
着色剤の中でも、例えば蓄電デバイス用外装材の外観を黒色とするためには、カーボンブラックが好ましい。
顔料の平均粒子径としては、特に制限されず、例えば、0.05~5μm程度、好ましくは0.08~2μm程度が挙げられる。なお、顔料の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置で測定されたメジアン径とする。
接着剤層2における顔料の含有量としては、蓄電デバイス用外装材が着色されれば特に制限されず、例えば5~60質量%程度、好ましくは10~40質量%が挙げられる。
接着剤層2の厚みは、基材層1とバリア層3とを接着できれば、特に制限されないが、例えば、約1μm以上、約2μm以上である。また、接着剤層2の厚みは、例えば、約10μm以下、約5μm以下である。また、接着剤層2の厚みの好ましい範囲については、1~10μm程度、1~5μm程度、2~10μm程度、2~5μm程度が挙げられる。
[着色層]
着色層は、基材層1とバリア層3との間に必要に応じて設けられる層である(図示を省略する)。接着剤層2を有する場合には、基材層1と接着剤層2との間、接着剤層2とバリア層3との間に着色層を設けてもよい。また、基材層1の外側に着色層を設けてもよい。着色層を設けることにより、蓄電デバイス用外装材を着色することができる。
着色層は、例えば、着色剤を含むインキを基材層1の表面、またはバリア層3の表面に塗布することにより形成することができる。着色剤としては、顔料、染料などの公知のものが使用できる。また、着色剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
着色層に含まれる着色剤の具体例としては、[接着剤層2]の欄で例示したものと同じものが例示される。
[バリア層3]
蓄電デバイス用外装材において、バリア層3は、少なくとも水分の浸入を抑止する層である。
バリア層3としては、例えば、バリア性を有する金属箔、蒸着膜、樹脂層などが挙げられる。蒸着膜としては金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、炭素含有無機酸化物蒸着膜などが挙げられ、樹脂層としてはポリ塩化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)を主成分としたポリマー類やテトラフルオロエチレン(TFE)を主成分としたポリマー類やフルオロアルキル基を有するポリマー、およびフルオロアルキル単位を主成分としたポリマー類などのフッ素含有樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体などが挙げられる。また、バリア層3としては、これらの蒸着膜及び樹脂層の少なくとも1層を設けた樹脂フィルムなども挙げられる。バリア層3は、複数層設けてもよい。バリア層3は、金属材料により構成された層を含むことが好ましい。バリア層3を構成する金属材料としては、具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼、チタン鋼、鋼板などが挙げられ、金属箔として用いる場合は、アルミニウム合金箔及びステンレス鋼箔の少なくとも一方を含むことが好ましい。
アルミニウム合金箔は、蓄電デバイス用外装材の成形性を向上させる観点から、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム合金などにより構成された軟質アルミニウム合金箔であることがより好ましく、より成形性を向上させる観点から、鉄を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。鉄を含むアルミニウム合金箔(100質量%)において、鉄の含有量は、0.1~9.0質量%であることが好ましく、0.5~2.0質量%であることがより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であることにより、より優れた成形性を有する蓄電デバイス用外装材を得ることができる。鉄の含有量が9.0質量%以下であることにより、より柔軟性に優れた蓄電デバイス用外装材を得ることができる。軟質アルミニウム合金箔としては、例えば、JIS H4160:1994 A8021H-O、JIS H4160:1994 A8079H-O、JIS H4000:2014 A8021P-O、又はJIS H4000:2014 A8079P-Oで規定される組成を備えるアルミニウム合金箔が挙げられる。また必要に応じて、ケイ素、マグネシウム、銅、マンガンなどが添加されていてもよい。また軟質化は焼鈍処理などで行うことができる。
また、ステンレス鋼箔としては、オーステナイト系、フェライト系、オーステナイト・フェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系のステンレス鋼箔などが挙げられる。さらに成形性に優れた蓄電デバイス用外装材を提供する観点から、ステンレス鋼箔は、オーステナイト系のステンレス鋼により構成されていることが好ましい。
ステンレス鋼箔を構成するオーステナイト系のステンレス鋼の具体例としては、SUS304、SUS301、SUS316Lなどが挙げられ、これら中でも、SUS304が特に好ましい。
バリア層3の厚みは、金属箔の場合、少なくとも水分の浸入を抑止するバリア層としての機能を発揮すればよく、例えば9~200μm程度が挙げられる。バリア層3の厚みは、好ましくは約85μm以下、より好ましくは約50μm以下、さらに好ましくは約40μm以下、特に好ましくは約35μm以下である。また、バリア層3の厚みは、好ましくは約10μm以上、さらに好ましくは約20μm以上、より好ましくは約25μm以上である。また、バリア層3の厚みの好ましい範囲としては、10~85μm程度、10~50μm程度、10~40μm程度、10~35μm程度、20~85μm程度、20~50μm程度、20~40μm程度、20~35μm程度、25~85μm程度、25~50μm程度、25~40μm程度、25~35μm程度が挙げられる。バリア層3がアルミニウム合金箔により構成されている場合、上述した範囲が特に好ましい。また、バリア層3がアルミニウム合金箔により構成されている場合において、蓄電デバイス用外装材10に高成形性及び高剛性を付与する観点からは、バリア層3の厚みは、好ましくは約45μm以上、さらに好ましくは約50μm以上、より好ましくは約55μm以上であり、好ましくは約85μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは70μm以下であり、好ましい範囲としては、45~85μm程度、45~75μm程度、45~70μm程度、50~85μm程度、50~75μm程度、50~70μm程度、55~85μm程度、55~75μm程度、55~70μm程度である。蓄電デバイス用外装材10が高成形性を備えることにより、深絞り成形が容易となり、蓄電デバイスの高容量化に寄与し得る。また、蓄電デバイスが高容量化されると、蓄電デバイスの重量が増加するが、蓄電デバイス用外装材10の剛性が高められることにより、蓄電デバイスの高い密封性に寄与できる。また、特に、バリア層3がステンレス鋼箔により構成されている場合、ステンレス鋼箔の厚みは、好ましくは約60μm以下、より好ましくは約50μm以下、さらに好ましくは約40μm以下、さらに好ましくは約30μm以下、特に好ましくは約25μm以下である。また、ステンレス鋼箔の厚みは、好ましくは約10μm以上、より好ましくは約15μm以上である。また、ステンレス鋼箔の厚みの好ましい範囲としては、10~60μm程度、10~50μm程度、10~40μm程度、10~30μm程度、10~25μm程度、15~60μm程度、15~50μm程度、15~40μm程度、15~30μm程度、15~25μm程度が挙げられる。
また、バリア層3が金属箔の場合は、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも基材層と反対側の面に耐腐食性皮膜を備えていることが好ましい。バリア層3は、耐腐食性皮膜を両面に備えていてもよい。ここで、耐腐食性皮膜とは、例えば、ベーマイト処理などの熱水変成処理、化成処理、陽極酸化処理、ニッケルやクロムなどのメッキ処理、コーティング剤を塗工する腐食防止処理をバリア層の表面に行い、バリア層に耐腐食性(例えば耐酸性、耐アルカリ性など)を備えさせる薄膜をいう。耐腐食性皮膜は、具体的には、バリア層の耐酸性を向上させる皮膜(耐酸性皮膜)、バリア層の耐アルカリ性を向上させる皮膜(耐アルカリ性皮膜)などを意味している。耐腐食性皮膜を形成する処理としては、1種類を行ってもよいし、2種類以上を組み合わせて行ってもよい。また、1層だけではなく多層化することもできる。さらに、これらの処理のうち、熱水変成処理及び陽極酸化処理は、処理剤によって金属箔表面を溶解させ、耐腐食性に優れる金属化合物を形成させる処理である。なお、これらの処理は、化成処理の定義に包含される場合もある。また、バリア層3が耐腐食性皮膜を備えている場合、耐腐食性皮膜を含めてバリア層3とする。
耐腐食性皮膜は、蓄電デバイス用外装材の成形時において、バリア層(例えば、アルミニウム合金箔)と基材層との間のデラミネーション防止、電解質と水分とによる反応で生成するフッ化水素により、バリア層表面の溶解、腐食、特にバリア層がアルミニウム合金箔である場合にバリア層表面に存在する酸化アルミニウムが溶解、腐食することを防止し、かつ、バリア層表面の接着性(濡れ性)を向上させ、ヒートシール時の基材層とバリア層とのデラミネーション防止、成形時の基材層とバリア層とのデラミネーション防止の効果を示す。
化成処理によって形成される耐腐食性皮膜としては、種々のものが知られており、主には、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物、及び希土類酸化物のうち少なくとも1種を含む耐腐食性皮膜などが挙げられる。リン酸塩、クロム酸塩を用いた化成処理としては、例えば、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、リン酸-クロム酸塩処理、クロム酸塩処理などが挙げられ、これらの処理に用いるクロム化合物としては、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロムなどが挙げられる。また、これらの処理に用いるリン化合物としては、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸などが挙げられる。また、クロメート処理としてはエッチングクロメート処理、電解クロメート処理、塗布型クロメート処理などが挙げられ、塗布型クロメート処理が好ましい。この塗布型クロメート処理は、バリア層(例えばアルミニウム合金箔)の少なくとも内層側の面を、まず、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法等の周知の処理方法で脱脂処理を行い、その後、脱脂処理面にリン酸Cr(クロム)塩、リン酸Ti(チタン)塩、リン酸Zr(ジルコニウム)塩、リン酸Zn(亜鉛)塩などのリン酸金属塩及びこれらの金属塩の混合体を主成分とする処理液、または、リン酸非金属塩及びこれらの非金属塩の混合体を主成分とする処理液、あるいは、これらと合成樹脂などとの混合物からなる処理液をロールコート法、グラビア印刷法、浸漬法等の周知の塗工法で塗工し、乾燥する処理である。処理液は例えば、水、アルコール系溶剤、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤など各種溶媒を用いることができ、水が好ましい。また、このとき用いる樹脂成分としては、フェノール系樹脂やアクリル系樹脂などの高分子などが挙げられ、下記一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理などが挙げられる。なお、当該アミノ化フェノール重合体において、下記一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上の任意の組み合わせであってもよい。アクリル系樹脂は、ポリアクリル酸、アクリル酸メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸マレイン酸共重合体、アクリル酸スチレン共重合体、またはこれらのナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩等の誘導体であることが好ましい。特にポリアクリル酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩、又はアミン塩等のポリアクリル酸の誘導体が好ましい。本開示において、ポリアクリル酸とは、アクリル酸の重合体を意味している。また、アクリル系樹脂は、アクリル酸とジカルボン酸又はジカルボン酸無水物との共重合体であることも好ましく、アクリル酸とジカルボン酸又はジカルボン酸無水物との共重合体のアンモニウム塩、ナトリウム塩、又はアミン塩であることも好ましい。アクリル系樹脂は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
Figure 0007416347000001
Figure 0007416347000002
Figure 0007416347000003
Figure 0007416347000004
一般式(1)~(4)中、Xは、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基またはベンジル基を示す。また、R1及びR2は、それぞれ同一または異なって、ヒドロキシ基、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)~(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基などの炭素数1~4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1及びR2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基が1個置換された炭素数1~4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。一般式(1)~(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基及びヒドロキシアルキル基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。一般式(1)~(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシ基またはヒドロキシアルキル基であることが好ましい。一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、500~100万程度であることが好ましく、1000~2万程度であることがより好ましい。アミノ化フェノール重合体は、例えば、フェノール化合物又はナフトール化合物とホルムアルデヒドとを重縮合して上記一般式(1)又は一般式(3)で表される繰返し単位からなる重合体を製造し、次いでホルムアルデヒド及びアミン(R12NH)を用いて官能基(-CH2NR12)を上記で得られた重合体に導入することにより、製造される。アミノ化フェノール重合体は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
耐腐食性皮膜の他の例としては、希土類元素酸化物ゾル、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するコーティング剤を塗工するコーティングタイプの腐食防止処理によって形成される薄膜が挙げられる。コーティング剤には、さらにリン酸またはリン酸塩、ポリマーを架橋させる架橋剤を含んでもよい。希土類元素酸化物ゾルには、液体分散媒中に希土類元素酸化物の微粒子(例えば、平均粒径100nm以下の粒子)が分散されている。希土類元素酸化物としては、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ネオジウム、酸化ランタン等が挙げられ、密着性をより向上させる観点から酸化セリウムが好ましい。耐腐食性皮膜に含まれる希土類元素酸化物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。希土類元素酸化物ゾルの液体分散媒としては、例えば、水、アルコール系溶剤、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤など各種溶媒を用いることができ、水が好ましい。カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフト重合させた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノ化フェノールなどが好ましい。また、アニオン性ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸またはその塩、あるいは(メタ)アクリル酸またはその塩を主成分とする共重合体であることが好ましい。また、架橋剤が、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、オキサゾリン基のいずれかの官能基を有する化合物とシランカップリング剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、前記リン酸またはリン酸塩が、縮合リン酸または縮合リン酸塩であることが好ましい。
耐腐食性皮膜の一例としては、リン酸中に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズなどの金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをバリア層の表面に塗布し、150℃以上で焼付け処理を行うことにより形成したものが挙げられる。
耐腐食性皮膜は、必要に応じて、さらにカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーの少なくとも一方を積層した積層構造としてもよい。カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマーとしては、上述したものが挙げられる。
なお、耐腐食性皮膜の組成の分析は、例えば、飛行時間型2次イオン質量分析法を用いて行うことができる。
化成処理においてバリア層3の表面に形成させる耐腐食性皮膜の量については、特に制限されないが、例えば、塗布型クロメート処理を行う場合であれば、バリア層3の表面1m2当たり、クロム酸化合物がクロム換算で例えば0.5~50mg程度、好ましくは1.0~40mg程度、リン化合物がリン換算で例えば0.5~50mg程度、好ましくは1.0~40mg程度、及びアミノ化フェノール重合体が例えば1.0~200mg程度、好ましくは5.0~150mg程度の割合で含有されていることが望ましい。
耐腐食性皮膜の厚みとしては、特に制限されないが、皮膜の凝集力や、バリア層や熱融着性樹脂層との密着力の観点から、好ましくは1nm~20μm程度、より好ましくは1nm~100nm程度、さらに好ましくは1nm~50nm程度が挙げられる。なお、耐腐食性皮膜の厚みは、透過電子顕微鏡による観察、または、透過電子顕微鏡による観察と、エネルギー分散型X線分光法もしくは電子線エネルギー損失分光法との組み合わせによって測定することができる。飛行時間型2次イオン質量分析法を用いた耐腐食性皮膜の組成の分析により、例えば、CeとPとOからなる2次イオン(例えば、Ce2PO4 +、CePO4 -などの少なくとも1種)や、例えば、CrとPとOからなる2次イオン(例えば、CrPO2 +、CrPO4 -などの少なくとも1種)に由来するピークが検出される。
化成処理は、耐腐食性皮膜の形成に使用される化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法などによって、バリア層の表面に塗布した後に、バリア層の温度が70~200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、バリア層に化成処理を施す前に、予めバリア層を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法などによる脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、バリア層の表面の化成処理をより効率的に行うことが可能となる。また、脱脂処理にフッ素含有化合物を無機酸で溶解させた酸脱脂剤を用いることで、金属箔の脱脂効果だけでなく不動態である金属のフッ化物を形成させることが可能であり、このような場合には脱脂処理だけを行ってもよい。
[熱融着性樹脂層4]
本開示の蓄電デバイス用外装材において、熱融着性樹脂層4は、最内層に該当し、蓄電デバイスの組み立て時に熱融着性樹脂層同士が熱融着して蓄電デバイス素子を密封する機能を発揮する層(シーラント層)である。
熱融着性樹脂層4を構成している樹脂については、熱融着可能であることを限度として特に制限されないが、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンなどのポリオレフィン骨格を含む樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル骨格を含む樹脂が好ましい。熱融着性樹脂層4を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能である。また、熱融着性樹脂層4を構成している樹脂を赤外分光法で分析すると、無水マレイン酸に由来するピークが検出されることが好ましい。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。熱融着性樹脂層4が無水マレイン酸変性ポリオレフィンより構成された層である場合、赤外分光法にて測定すると、無水マレイン酸由来のピークが検出される。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;エチレン-αオレフィン共重合体;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;プロピレン-αオレフィン共重合体;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレンが好ましい。共重合体である場合のポリオレフィン樹脂は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。これらポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ポリオレフィンは、環状ポリオレフィンであってもよい。環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4-メチル-1-ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。また、環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは環状アルケン、さらに好ましくはノルボルネンが挙げられる。
酸変性ポリオレフィンとは、ポリオレフィンを酸成分でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。酸変性されるポリオレフィンとしては、前記のポリオレフィンや、前記のポリオレフィンにアクリル酸若しくはメタクリル酸等の極性分子を共重合させた共重合体、又は、架橋ポリオレフィン等の重合体等も使用できる。また、酸変性に使用される酸成分としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸またはその無水物が挙げられる。
酸変性ポリオレフィンは、酸変性環状ポリオレフィンであってもよい。酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、酸成分に代えて共重合することにより、または環状ポリオレフィンに対して酸成分をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、酸変性に使用される酸成分としては、前記のポリオレフィンの変性に使用される酸成分と同様である。
好ましい酸変性ポリオレフィンとしては、カルボン酸またはその無水物で変性されたポリオレフィン、カルボン酸またはその無水物で変性されたポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
熱融着性樹脂層4は、1種の樹脂単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。さらに、熱融着性樹脂層4は、1層のみで形成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂によって2層以上で形成されていてもよい。
また、熱融着性樹脂層4は、必要に応じて滑剤などを含んでいてもよい。熱融着性樹脂層4が滑剤を含む場合、蓄電デバイス用外装材の成形性を高め得る。滑剤としては、特に制限されず、公知の滑剤を用いることができる。
滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。滑剤の具体例としては、基材層1で例示したものが挙げられる。滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
熱融着性樹脂層4の表面に滑剤が存在する場合、その存在量としては、特に制限されないが、蓄電デバイス用外装材の成形性を高める観点からは、好ましくは10~50mg/m2程度、さらに好ましくは15~40mg/m2程度が挙げられる。
熱融着性樹脂層4の表面に存在する滑剤は、熱融着性樹脂層4を構成する樹脂に含まれる滑剤を滲出させたものであってもよいし、熱融着性樹脂層4の表面に滑剤を塗布したものであってもよい。
また、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、熱融着性樹脂層同士が熱融着して蓄電デバイス素子を密封する機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば約100μm以下、好ましくは約85μm以下、より好ましくは15~85μm程度が挙げられる。なお、例えば、後述の接着層5の厚みが10μm以上である場合には、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、好ましくは約85μm以下、より好ましくは15~45μm程度が挙げられ、例えば後述の接着層5の厚みが10μm未満である場合や接着層5が設けられていない場合には、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、好ましくは約20μm以上、より好ましくは35~85μm程度が挙げられる。
[接着層5]
本開示の蓄電デバイス用外装材において、接着層5は、バリア層3(又は耐腐食性皮膜)と熱融着性樹脂層4を強固に接着させるために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
接着層5は、バリア層3と熱融着性樹脂層4とを接着可能である樹脂によって形成される。接着層5の形成に使用される樹脂としては、例えば接着剤層2で例示した接着剤と同様のものが使用できる。また、接着層5と熱融着性樹脂層4とを強固に接着する観点から、接着層5の形成に使用される樹脂としてはポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましく、前述の熱融着性樹脂層4で例示したポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。一方、バリア層3と接着層5とを強固に接着する観点から、接着層5は酸変性ポリオレフィンを含むことが好ましい。酸変性成分としては、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸などのジカルボン酸やこれらの無水物、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられるが、変性のし易さや汎用性などの点から無水マレイン酸が最も好ましい。また、蓄電デバイス用外装材の耐熱性の観点からは、オレフィン成分はポリプロピレン系樹脂であることが好ましく、接着層5は無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含むことが最も好ましい。
接着層5を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。また、接着層5を構成している樹脂が酸変性ポリオレフィンを含むことは、例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
さらに、蓄電デバイス用外装材の耐熱性や耐内容物性などの耐久性や、厚みを薄くしつつ成形性を担保する観点からは、接着層5は酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物であることがより好ましい。酸変性ポリオレフィンとしては、好ましくは、前記のものが例示できる。
また、接着層5は、酸変性ポリオレフィンと、イソシアネート基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、及びエポキシ基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含む樹脂組成物の硬化物であることが好ましく、酸変性ポリオレフィンと、イソシアネート基を有する化合物及びエポキシ基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含む樹脂組成物の硬化物であることが特に好ましい。また、接着層5は、ポリウレタン、ポリエステル、及びエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ポリウレタン及びエポキシ樹脂を含むことがより好ましい。ポリエステルとしては、例えばエポキシ基と無水マレイン酸基の反応により生成するエステル樹脂、オキサゾリン基と無水マレイン酸基の反応で生成するアミドエステル樹脂が好ましい。なお、接着層5に、イソシアネート基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、エポキシ樹脂などの硬化剤の未反応物が残存している場合、未反応物の存在は、例えば、赤外分光法、ラマン分光法、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)などから選択される方法で確認することが可能である。
また、バリア層3と接着層5との密着性をより高める観点から、接着層5は、酸素原子、複素環、C=N結合、及びC-O-C結合からなる群より選択される少なくとも1種を有する硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。複素環を有する硬化剤としては、例えば、オキサゾリン基を有する硬化剤、エポキシ基を有する硬化剤などが挙げられる。また、C=N結合を有する硬化剤としては、オキサゾリン基を有する硬化剤、イソシアネート基を有する硬化剤などが挙げられる。また、C-O-C結合を有する硬化剤としては、オキサゾリン基を有する硬化剤、エポキシ基を有する硬化剤などが挙げられる。接着層5がこれらの硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物であることは、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析(GCMS)、赤外分光法(IR)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)、X線光電子分光法(XPS)などの方法で確認することができる。
イソシアネート基を有する化合物としては、特に制限されないが、バリア層3と接着層5との密着性を効果的に高める観点からは、好ましくは多官能イソシアネート化合物が挙げられる。多官能イソシアネート化合物は、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に限定されない。多官能イソシアネート系硬化剤の具体例としては、ペンタンジイソシアネート(PDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、これらをポリマー化やヌレート化したもの、これらの混合物や他ポリマーとの共重合物などが挙げられる。また、アダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体などが挙げられる。
接着層5における、イソシアネート基を有する化合物の含有量としては、接着層5を構成する樹脂組成物中、0.1~50質量%の範囲にあることが好ましく、0.5~40質量%の範囲にあることがより好ましい。これにより、バリア層3と接着層5との密着性を効果的に高めることができる。
オキサゾリン基を有する化合物は、オキサゾリン骨格を備える化合物であれば、特に限定されない。オキサゾリン基を有する化合物の具体例としては、ポリスチレン主鎖を有するもの、アクリル主鎖を有するものなどが挙げられる。また、市販品としては、例えば、日本触媒社製のエポクロスシリーズなどが挙げられる。
接着層5における、オキサゾリン基を有する化合物の割合としては、接着層5を構成する樹脂組成物中、0.1~50質量%の範囲にあることが好ましく、0.5~40質量%の範囲にあることがより好ましい。これにより、バリア層3と接着層5との密着性を効果的に高めることができる。
エポキシ基を有する化合物としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、分子内に存在するエポキシ基によって架橋構造を形成することが可能な樹脂であれば、特に制限されず、公知のエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは50~2000程度、より好ましくは100~1000程度、さらに好ましくは200~800程度が挙げられる。なお、第1の開示において、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、標準サンプルとしてポリスチレンを用いた条件で測定された、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定された値である。
エポキシ樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパンのグリシジルエーテル誘導体、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型グリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
接着層5における、エポキシ樹脂の割合としては、接着層5を構成する樹脂組成物中、0.1~50質量%の範囲にあることが好ましく、0.5~40質量%の範囲にあることがより好ましい。これにより、バリア層3と接着層5との密着性を効果的に高めることができる。
ポリウレタンとしては、特に制限されず、公知のポリウレタンを使用することができる。接着層5は、例えば、2液硬化型ポリウレタンの硬化物であってもよい。
接着層5における、ポリウレタンの割合としては、接着層5を構成する樹脂組成物中、0.1~50質量%の範囲にあることが好ましく、0.5~40質量%の範囲にあることがより好ましい。これにより、電解液などのバリア層の腐食を誘発する成分が存在する雰囲気における、バリア層3と接着層5との密着性を効果的に高めることができる。
なお、接着層5が、イソシアネート基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、及びエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種と、前記酸変性ポリオレフィンとを含む樹脂組成物の硬化物である場合、酸変性ポリオレフィンが主剤として機能し、イソシアネート基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、及びエポキシ基を有する化合物は、それぞれ、硬化剤として機能する。
接着層5には、カルボジイミド基を有する改質剤が含まれていてもよい。
接着層5の厚さは、好ましくは、約50μm以下、約40μm以下、約30μm以下、約20μm以下、約5μm以下である。また、接着層5の厚さは、好ましくは、約0.1μm以上、約0.5μm以上である。また、接着層5の厚さの範囲としては、好ましくは、0.1~50μm程度、0.1~40μm程度、0.1~30μm程度、0.1~20μm程度、0.1~5μm程度、0.5~50μm程度、0.5~40μm程度、0.5~30μm程度、0.5~20μm程度、0.5~5μm程度が挙げられる。より具体的には、接着剤層2で例示した接着剤や、酸変性ポリオレフィンと硬化剤との硬化物である場合は、好ましくは1~10μm程度、より好ましくは1~5μm程度が挙げられる。また、熱融着性樹脂層4で例示した樹脂を用いる場合であれば、好ましくは2~50μm程度、より好ましくは10~40μm程度が挙げられる。なお、接着層5が接着剤層2で例示した接着剤や、酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物である場合、例えば、当該樹脂組成物を塗布し、加熱等により硬化させることにより、接着層5を形成することができる。また、熱融着性樹脂層4で例示した樹脂を用いる場合、例えば、熱融着性樹脂層4と接着層5との押出成形により形成することができる。
[表面被覆層6]
本開示の蓄電デバイス用外装材は、意匠性、耐電解液性、耐傷性、成形性などの向上の少なくとも1つを目的として、必要に応じて、基材層1の上(基材層1のバリア層3とは反対側)に、表面被覆層6を備えていてもよい。表面被覆層6は、蓄電デバイス用外装材を用いて蓄電デバイスを組み立てた時に、蓄電デバイス用外装材の最外層側に位置する層である。
表面被覆層6は、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂などの樹脂や、これらの樹脂の変性物が挙げられる。また、これらの樹脂の共重合物であってもよいし、共重合物の変性物であってもよい。さらに、これらの樹脂の混合物であってもよい。樹脂は、好ましくは硬化性樹脂である。すなわち、表面被覆層6は、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物から構成されていることが好ましい。
表面被覆層6を形成する樹脂が硬化型の樹脂である場合、当該樹脂は、1液硬化型及び2液硬化型のいずれであってもよいが、好ましくは2液硬化型である。2液硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型ポリウレタン、2液硬化型ポリエステル、2液硬化型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも2液硬化型ポリウレタンが好ましい。
2液硬化型ポリウレタンとしては、例えば、ポリオール化合物を含有する第1剤と、イソシアネート化合物を含有する第2剤とを含むポリウレタンが挙げられる。好ましくはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびアクリルポリオール等のポリオールを第1剤として、芳香族系又は脂肪族系のポリイソシアネートを第2剤とした二液硬化型のポリウレタンが挙げられる。また、ポリウレタンとしては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物と、イソシアネート化合物とを含むポリウレタンが挙げられる。ポリウレタンとしては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物と、ポリオール化合物とを含むポリウレタンが挙げられる。ポリウレタンとしては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物を、空気中などの水分と反応させることによって硬化させたポリウレタンが挙げられる。ポリオール化合物としては、繰り返し単位の末端の水酸基に加えて、側鎖にも水酸基を有するポリエステルポリオールを用いることが好ましい。第2剤としては、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族のイソシアネート系化合物が挙げられる。イソシアネート系化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化XDI(H6XDI)、水素化MDI(H12MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)等が挙げられる。また、これらのジイソシアネートの1種類又は2種類以上からの多官能イソシアネート変性体等が挙げられる。また、ポリイソシアネート化合物として多量体(例えば三量体)を使用することもできる。このような多量体には、アダクト体、ビウレット体、ヌレート体等が挙げられる。なお、脂肪族イソシアネート系化合物とは脂肪族基を有し芳香環を有さないイソシアネートを指し、脂環式イソシアネート系化合物とは脂環式炭化水素基を有するイソシアネートを指し、芳香族イソシアネート系化合物とは芳香環を有するイソシアネートを指す。表面被覆層6がポリウレタンにより形成されていることで蓄電デバイス用外装材に優れた電解液耐性が付与される。
表面被覆層6は、表面被覆層6の表面及び内部の少なくとも一方には、該表面被覆層6やその表面に備えさせるべき機能性等に応じて、必要に応じて、前述した滑剤や、アンチブロッキング剤、艶消し剤、難燃剤、酸化防止剤、粘着付与剤、耐電防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、平均粒子径が0.5nm~5μm程度の微粒子が挙げられる。添加剤の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置で測定されたメジアン径とする。
添加剤は、無機物及び有機物のいずれであってもよい。また、添加剤の形状についても、特に制限されず、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、鱗片状などが挙げられる。
添加剤の具体例としては、タルク、シリカ、グラファイト、カオリン、モンモリロナイト、マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、高融点ナイロン、アクリレート樹脂、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケルなどが挙げられる。添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの添加剤の中でも、分散安定性やコストなどの観点から、好ましくはシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、添加剤には、表面に絶縁処理、高分散性処理などの各種表面処理を施してもよい。
表面被覆層6を形成する方法としては、特に制限されず、例えば、表面被覆層6を形成する樹脂を塗布する方法が挙げられる。表面被覆層6に添加剤を配合する場合には、添加剤を混合した樹脂を塗布すればよい。
表面被覆層6の厚みとしては、表面被覆層6としての上記の機能を発揮すれば特に制限されず、例えば0.5~10μm程度、好ましくは1~5μm程度が挙げられる。
3.蓄電デバイス用外装材の製造方法
蓄電デバイス用外装材の製造方法については、本開示の蓄電デバイス用外装材が備える各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されず、少なくとも、基材層1、バリア層3、及び熱融着性樹脂層4がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、基材層1は、2層以上により構成されており、基材層1は、1層以上のポリエステルフィルムを含み、基材層1は、長手方向(MDの方向)と幅方向(TDの方向)の加工硬化指数がともに2.5以上4.5以下であって、かつ長手方向と幅方向の加工硬化指数の差が1.4以下である。
本開示の蓄電デバイス用外装材の製造方法の一例としては、以下の通りである。まず、基材層1、接着剤層2、バリア層3が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。積層体Aの形成は、具体的には、基材層1上又は必要に応じて表面が化成処理されたバリア層3に接着剤層2の形成に使用される接着剤を、グラビアコート法、ロールコート法などの塗布方法で塗布、乾燥した後に、当該バリア層3又は基材層1を積層させて接着剤層2を硬化させるドライラミネート法によって行うことができる。
次いで、積層体Aのバリア層3上に、熱融着性樹脂層4を積層させる。バリア層3上に熱融着性樹脂層4を直接積層させる場合には、積層体Aのバリア層3上に、熱融着性樹脂層4をサーマルラミネート法、押出ラミネート法などの方法により積層すればよい。また、バリア層3と熱融着性樹脂層4の間に接着層5を設ける場合には、例えば、(1)積層体Aのバリア層3上に、接着層5及び熱融着性樹脂層4を押出しすることにより積層する方法(共押出しラミネート法、タンデムラミネート法)、(2)別途、接着層5と熱融着性樹脂層4が積層した積層体を形成し、これを積層体Aのバリア層3上にサーマルラミネート法により積層する方法や、積層体Aのバリア層3上に接着層5が積層した積層体を形成し、これを熱融着性樹脂層4とサーマルラミネート法により積層する方法、(3)積層体Aのバリア層3と、予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4との間に、溶融させた接着層5を流し込みながら、接着層5を介して積層体Aと熱融着性樹脂層4を貼り合せる方法(サンドイッチラミネート法)、(4)積層体Aのバリア層3上に、接着層5を形成させるための接着剤を溶液コーティングし、乾燥させる方法や、さらには焼き付ける方法などにより積層させ、この接着層5上に予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4を積層する方法などが挙げられる。
表面被覆層6を設ける場合には、基材層1のバリア層3とは反対側の表面に、表面被覆層6を積層する。表面被覆層6は、例えば表面被覆層6を形成する上記の樹脂を基材層1の表面に塗布することにより形成することができる。なお、基材層1の表面にバリア層3を積層する工程と、基材層1の表面に表面被覆層6を積層する工程の順番は、特に制限されない。例えば、基材層1の表面に表面被覆層6を形成した後、基材層1の表面被覆層6とは反対側の表面にバリア層3を形成してもよい。
上記のようにして、必要に応じて設けられる表面被覆層6/基材層1/必要に応じて設けられる接着剤層2/バリア層3/必要に応じて設けられる接着層5/熱融着性樹脂層4をこの順に備える積層体が形成されるが、必要に応じて設けられる接着剤層2及び接着層5の接着性を強固にするために、さらに、加熱処理に供してもよい。
蓄電デバイス用外装材において、積層体を構成する各層には、必要に応じて、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理などの表面活性化処理を施すことにより加工適性を向上させてもよい。例えば、基材層1のバリア層3とは反対側の表面にコロナ処理を施すことにより、基材層1表面へのインクの印刷適性を向上させることができる。
4.蓄電デバイス用外装材の用途
本開示の蓄電デバイス用外装材は、正極、負極、電解質等の蓄電デバイス素子を密封して収容するための包装体に使用される。すなわち、本開示の蓄電デバイス用外装材によって形成された包装体中に、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子を収容して、蓄電デバイスとすることができる。
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子を、本開示の蓄電デバイス用外装材で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子を外側に突出させた状態で、蓄電デバイス素子の周縁にフランジ部(熱融着性樹脂層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部の熱融着性樹脂層同士をヒートシールして密封させることによって、蓄電デバイス用外装材を使用した蓄電デバイスが提供される。なお、本開示の蓄電デバイス用外装材により形成された包装体中に蓄電デバイス素子を収容する場合、本開示の蓄電デバイス用外装材の熱融着性樹脂部分が内側(蓄電デバイス素子と接する面)になるようにして、包装体を形成する。2つの蓄電デバイス用外装材の熱融着性樹脂層同士を対向させて重ね合わせ、重ねられた蓄電デバイス用外装材の周縁部を熱融着して包装体を形成してもよく、また、図5に示す例のように、1つの蓄電デバイス用外装材を折り返して重ね合わせ、周縁部を熱融着して包装体を形成してもよい。折り返して重ね合わせる場合は、図5に示す例のように、折り返した辺以外の辺を熱融着して三方シールにより包装体を形成してもよいし、フランジ部が形成できるように折り返して四方シールしてもよいし、蓄電デバイス素子の周囲に蓄電デバイス用外装材を巻きつけ、熱融着性樹脂層同士をシールすることで熱融着部を形成し、両端の開口部をそれぞれ閉じるように蓋体などを配置して、蓄電デバイス素子の周囲に巻き付けた蓄電デバイス用外装材と熱融着して封止してもよい。蓋体は、例えば、樹脂成形品、金属成形品、蓄電デバイス用外装材などで形成できる。また、蓄電デバイス用外装材には、蓄電デバイス素子を収容するための凹部が、深絞り成形または張出成形によって形成されてもよい。図5に示す例のように、一方の蓄電デバイス用外装材には凹部を設けて他方の蓄電デバイス用外装材には凹部を設けなくてもよいし、他方の蓄電デバイス用外装材にも凹部を設けてもよい。
本開示の蓄電デバイス用外装材は、電池(コンデンサー、キャパシター等を含む)などの蓄電デバイスに好適に使用することができる。また、本開示の蓄電デバイス用外装材は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池に使用される。本開示の蓄電デバイス用外装材が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、全固体電池、半固体電池、擬固体電池、ポリマー電池、全樹脂電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本開示の蓄電デバイス用外装材の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本開示を詳細に説明する。但し本開示は実施例に限定されるものではない。
<ポリエステルフィルムの製造及び評価>
以下の方法でポリエステルフィルムの製造、評価を行った。
(1)ポリエステルの組成
ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、1H-NMRおよび13C-NMRを用いて各モノマー残基や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量した。
(2)フィルムの厚み、層厚み
フィルム全体の厚みを測定する際は、ダイヤルゲージを用いて、フィルムを200mm×300mmに切り出し、各々の試料の任意の場所5ヶ所の厚みを測定し、平均して求めた。また、フィルム及び外装材の各層厚みについては、サンプルをエポキシ樹脂に包埋し、フィルム断面をミクロトームで切り出し、該断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEMH7100)で5000倍の倍率で観察することによって求めた。
(3)ポリエステルフィルムの長手方向と幅方向
本開示では、ポリエステルフィルムの製造におけるTDの方向を幅方向とし、幅方向と直交する方向(MDの方向(流れ方向))を長手方向とした。
(4)固有粘度
ポリエステルフィルムをオルトクロロフェノール中、25℃でオストワルド粘度計を用いて溶液粘度を測定し、当該溶液粘度から算出した。固有粘度の単位は[dl/g]で示される。なお、n数は3とし、その平均値を採用した。
(5)ポリエステルフィルムの面配向係数fn
アッベ屈折率計を用いて面配向係数を測定する層(以下、測定層とする)をガラス面に密着させ、次いでナトリウムD線を光源として、a方向、b方向、厚み方向の屈折率(Nx、Ny、Nz)を測定し、下記式より測定層の面配向係数fnを求めた。
・面配向係数fn=(Nx+Ny)/2-Nz
(6)ポリエステルフィルムの破断伸度
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅15mmの矩形に切り出しサンプルとした。25℃、63%Rhの条件下で、引張試験機(オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA-100”)を用いてクロスヘッドスピード50mm/分、幅15mm、チャック間距離30mmとしてフィルムの長手方向、幅方向について、引張試験を行い、破断した際の伸度を破断伸度とする。測定は5回行い、その平均を用いた。
(7)ポリエステルフィルムの結晶化度
JISK7122(1999年)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置ロボットDSC-RDC220を、データ解析には“ディスクセッション”SSC/5200を用いて、フィルムサンプル5mgをアルミニウム製受け皿上で室温から300°まで昇温速度20℃/分で昇温し、300℃で5分間保持した。そのとき、測定によって得られた吸熱ピーク熱量ΔHm、冷結晶化熱量ΔHc、完全結晶PETの融解熱量ΔHm0(140.1J/g)より、下記式によって算出した。
結晶化度(%)=(ΔHm-ΔHc)/ΔHm0x100
(8)ポリエステルフィルムの剛直非晶量
剛直非晶量は、測定によって得られた可動非晶量、結晶化度より、以下の計算式にて算出した。
剛直非晶量(%)=100-(可動非晶量+結晶化度)。
ポリエチレンテレフタレート完全非晶物の比熱差理論値=0.4052J/(g℃)
また、本開示ではポリエチレンテレフタレートの完全非晶物の比熱差理論値を参照した。
なお、可動非晶量は以下の通り測定した。TAInstruments社製温度変調DSCを用い、試料5mgを窒素雰囲気下、0℃から150℃まで2℃/minの昇温速度、温度変調振幅±1℃、温度変調周期60秒で測定した。測定によって得られたガラス転移温度での比熱差を求め、以下の式より算出した。
可動非晶量(%)=(比熱差)/(ポリエステル完全非晶物の比熱差理論値)×100
ポリエチレンテレフタレート完全非晶物の比熱差理論値=0.4052J/(g℃)
また、本開示ではポリエチレンテレフタレートユニットが70モル%以上であるものについては、ポリエチレンテレフタレートの完全非晶物の比熱差理論値を参照した。
(9)ポリエステルフィルムのガラス転移温度Tg、融点(融解吸熱ピーク温度Tm)
JISK7122(1999年)に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツル製EXSTARDSC6220)を用いて、窒素雰囲気中で3mgの樹脂を30℃から300℃まで20℃/minの条件で昇温する。次いで、300℃で5分保持した後、40℃/minの条件で30℃まで降温する。さらに、30℃で5分保持した後、30℃から300℃まで20℃/minの条件で昇温する。この昇温時に得られるガラス転移温度を下記式(i)により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2・・・(i)
ここで、補外ガラス転移開始温度は、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度とする。補外ガラス転移終了温度は、高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度とする。また、樹脂の結晶融解に伴う吸熱ピークのピークトップを融点(融解吸熱ピーク温度Tm)とした。
(10)ポリエステルフィルムの加工硬化指数
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅15mmの矩形に切り出しサンプルとした。25℃、63%Rhの条件下で、引張試験機(オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA-100”)を用いてクロスヘッドスピード50mm/分、幅15mm、チャック間距離30mmとしてフィルムの長手方向、幅方向について、引張試験を行い、初期長をL0(mm)、5%伸長時の長さをL1(mm)、5%伸長時の公称応力をP1(MPa)、60%伸長時の長さをL2(mm)、60%伸長時の公称応力をP2(MPa)としたとき、5%伸長時の真ひずみを(1)式、60%伸長時の真ひずみを(2)式、5%伸長時の真応力を(3)式、60%伸長時の真応力(4)式よりそれぞれ得られた値とする。(1)~(4)から得られた値より、X軸を真ひずみ、Y軸を真応力としたときに成す式から得られる傾きを加工硬化指数とした。これを長手方向、幅方向につき、それぞれ5回ずつ測定したときの平均値を用いた。
5%伸長時の真ひずみ=Ln(L1/L0)・・・(1)
60%伸長時の真ひずみ=Ln(L2/L1)・・・(2)
5%伸長時の真応力=Ln(P1(1+Ln(L1/L0)))・・・(3)
60%伸長時の真応力=Ln(P2(1+Ln(L2/L1)))・・・(4)
※Ln:自然対数
(11)ポリエステルフィルムの長手方向と幅方向の150℃熱収縮率
フィルムを長手方向および幅方向に長さ120mm×幅120mmの長方形に切り出しサンプルとした。サンプルに長手方向及び幅方向に100mmの標線を垂直に交わるよう描き、150℃に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から熱収縮率を算出し、熱収縮率とした。測定は長手方向および幅方向に5サンプル実施して平均値で評価を行った。
(12)ポリエステルフィルムの動摩擦係数
東洋精機(株)製スリップテスターを用いて、JIS-K7125(1999年)に準じて、フィルムの両面を重ねて摩擦させた時の初期の立ち上がり後の抵抗値の安定領域を測定し、動摩擦係数μdとした。サンプルは、幅80mm、長さ200mmの長方形とし、長方形の長手方向となるようにロールから3セット(6枚)切り出した。3回測定を行い、平均値を求めた。
(ポリエステルフィルムの製造)
製膜に供したポリエステルフィルムを構成する樹脂は主原料、副原料、粒子マスターを各実施例、各比較例につき表1に記載の種類、割合で混合した。また、各実施例および各比較例に用いた主原料、副原料、粒子マスターは以下のように準備した。
・ポリエステルA
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.72dl/g)。
・粒子マスターA
ポリエステルA中に平均粒子径1.2μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度2質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター。
(塗剤A)
・メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸/N-メチロールアクリルアミド=63/35/1/1質量%の共重合組成から成るアクリル樹脂:3.00質量%
・メラミン架橋剤:0.75質量%
・コロイダルシリカ粒子(平均粒径:80nm):0.15質量%
・ヘキサノール:0.26質量%
・ブチルセロソルブ:0.18質量%
・水:95.66質量%
押出機を用い、表1に記載のポリエステル種、粒子マスターをそれぞれ真空乾燥機にて180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、表1に記載のとおり押出機に主原料および副原料、粒子マスターを投入し、280℃にて溶融した。次いで押出機から溶融押出された樹脂を、口金から吐出された樹脂を25℃に冷却されたキャストドラム上に冷却固化して未延伸シートを得た。その際、Tダイのリップと冷却ドラム間の距離は35mmに設定し、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して14kVの電圧で静電印加させ、冷却ドラムに密着をさせた。また、未延伸シートの冷却ドラムの通過速度は25m/分、未延伸シートの冷却ドラムとの接触長さは、2.5mとした。
続いて、該未延伸シートを表2に記載したフィルム予熱温度に加熱したロール群で予熱した後、表2に記載したフィルム延伸温度に制御した加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)にそれぞれ表2に示した倍率に延伸し、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。この一軸延伸フィルムに空気中でコロナ放電処理を施し、その処理面にアンカーコート層として塗剤Aを超音波分散させながら混合し、#4メタリングバーにてキャストと接着した面に均一に塗布して表面処理を施した。次いで、一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内を表2に記載のフィルム予熱温度に制御した予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に表2に記載したフィルム延伸温度に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)にそれぞれ表2に示した倍率に延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで表2に示す熱処理温度にて20秒間の熱処理を施し、さらに表2に示す弛緩温度で表2示す弛緩率にて弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷し、それぞれ、表2に示す厚さのポリエステルフィルムを得た。ポリエステルフィルムの特性は表3に示したとおりである。
(13)基材層全体の破断強度及び破断伸度
基材層(PET/接着剤層/ONyの積層体)を長手方向および幅方向に長さ150mm×幅15mmの矩形に切り出しサンプルとした。25℃、63%Rhの条件下で、引張試験機(オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA-100”)を用いてクロスヘッドスピード50mm/分、幅15mm、チャック間距離30mmとしてフィルムの長手方向、幅方向について、引張試験を行い、破断した際の荷重を破断強度とし、その際の伸度を破断伸度とする。測定は5回行い、その平均を用いた。結果を表5に示す。
(14)基材層全体の加工硬化指数
基材層(PET/接着剤層/ONyの積層体)を長手方向および幅方向に長さ150mm×幅15mmの矩形に切り出しサンプルとした。25℃、63%Rhの条件下で、引張試験機(オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA-100”)を用いてクロスヘッドスピード50mm/分、幅15mm、チャック間距離30mmとして基材層の長手方向、幅方向について、引張試験を行い、初期長をL0(mm)、5%伸長時の長さをL1(mm)、5%伸長時の公称応力をP1(MPa)、60%伸長時の長さをL2(mm)、60%伸長時の公称応力をP2(MPa)としたとき、5%伸長時の真ひずみを(1)式、60%伸長時の真ひずみを(2)式、5%伸長時の真応力を(3)式、60%伸長時の真応力(4)式よりそれぞれ得られた値とする。(1)~(4)から得られた値より、X軸を真ひずみ、Y軸を真応力としたときに成す式から得られる傾きを加工硬化指数とした。これを長手方向、幅方向につき、それぞれ5回ずつ測定したときの平均値を用いた。結果を表5に示す。
5%伸長時の真ひずみ=Ln(L1/L0)・・・(1)
60%伸長時の真ひずみ=Ln(L2/L1)・・・(2)
5%伸長時の真応力=Ln(P1(1+Ln(L1/L0)))・・・(3)
60%伸長時の真応力=Ln(P2(1+Ln(L2/L1)))・・・(4)
※Ln:自然対数
<蓄電デバイス用外装材の製造>
(実施例1-4及び比較例1-2)
第1基材層11として、前記の方法で得られた樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム 厚みは表2に記載)を用意した。また、第2基材層12として、延伸ナイロンフィルム(厚み等の特性は表4に記載)を用意した。次に、第1基材層11と第2基材層12とを2液硬化型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート化合物 硬化後の厚みが3μm)で積層し、第1基材層11と第2基材層12とが接着剤層で積層された積層フィルムからなる基材層1を得た。次に、得られた基材層1と、両面に耐腐食性皮膜を形成したバリア層3としてのアルミニウム箔(JIS H4160:1994 A8079H-O、厚み60μm)を用意した。次に、2液硬化型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート化合物)を用いて、基材層のONy側とバリア層をドライラミネート法により積層させ、エージング処理を実施することにより、基材層(第1基材層/接着剤層/第2基材層)/接着剤層(硬化後の厚みが3μm)/バリア層(厚み60μm)の積層体を作製した。
次に、得られた積層体のバリア層の上に、接着層としての無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa、厚み40μm)と、熱融着性樹脂層としてのポリプロピレン(PP、厚み40μm)とを共押出しすることにより、バリア層上に接着層/熱融着性樹脂層を積層させた。次に、得られた積層体をエージングし、加熱することにより、基材層(PET/接着剤層/ONy)/接着剤層(厚み3μm)/バリア層(厚み60μm)/接着層(厚み40μm)/熱融着性樹脂層(厚み40μm)がこの順に積層された蓄電デバイス用外装材を得た。
(実施例5及び比較例3)
第1基材層11として、前記の方法で得られた樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム 厚みは表2に記載)を用意した。また、第2基材層12として、延伸ナイロンフィルム(厚み等の特性は表4に記載)を用意した。次に、第1基材層11と第2基材層12とを2液硬化型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート化合物 硬化後の厚みが3μm)で積層し、第1基材層11と第2基材層12とが接着剤層で積層された積層フィルムからなる基材層1を得た。次に、得られた基材層1と、両面に耐腐食性皮膜を形成したバリア層3としてのアルミニウム箔(JIS H4160:1994 A8021H-O、厚み40μm)を用意した。次に、2液硬化型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート化合物)を用いて、基材層のONy側とバリア層をドライラミネート法により積層させ、エージング処理を実施することにより、基材層(第1基材層/接着剤層/第2基材層)/接着剤層(硬化後の厚みが3μm)/バリア層(厚み40μm)の積層体を作製した。
次に、得られた積層体のバリア層の上に、接着層としての無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa、厚み40μm)と、熱融着性樹脂層としてのポリプロピレン(PP、厚み40μm)とを共押出しすることにより、バリア層上に接着層/熱融着性樹脂層を積層させた。次に、得られた積層体をエージングし、加熱することにより、基材層(PET/接着剤層/ONy)/接着剤層(厚み3μm)/バリア層(厚み40μm)/接着層(厚み40μm)/熱融着性樹脂層(厚み40μm)がこの順に積層された蓄電デバイス用外装材を得た。
各実施例及び比較例において、蓄電デバイス用外装材の基材層の外側表面には、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドを塗布した。
<成形性の評価>
蓄電デバイス用外装材を長さ(MD(Machine Direction))90mm×幅(TD(Transverse Direction))150mmの長方形に裁断して試験サンプルとした。このサンプルを31.6mm(MDの方向)×54.5mm(TD)の口径を有する矩形状の成形金型(雌型、表面は、JIS B 0659-1:2002附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が3.2μmである。コーナーR2.0mm、稜線R1.0mm)と、これに対応した成形金型(雄型、表面は、JIS B 0659-1:2002附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が1.6μmである。コーナーR2.0mm、稜線R1.0mm)を用いて、押さえ圧(面圧)0.25MPaで0.5mmの成形深さから0.5mm単位で成形深さを変えて、それぞれ10個のサンプルについて冷間成形(引き込み1段成形)を行った。このとき、雄型側に熱融着性樹脂層側が位置するよう、雌型上に上記試験サンプルを載置して成形を行った。また、雄型及び雌型のクリアランスは、0.3mmとした。成形は25℃環境で行った。冷間成形後のサンプルについて、暗室の中にてペンライトで光を当てて、光の透過によって、アルミニウム合金箔にピンホールやクラックが生じているか否かを確認した。アルミニウム合金箔にピンホール、クラックが10個のサンプル全てにおいて発生しない最も深い成形深さをAmm、アルミニウム合金箔にピンホール等が発生した最も浅い成形深さにおいてピンホール等が発生したサンプルの数をB個とし、以下の式により算出される値を小数点以下2桁目で四捨五入し、蓄電デバイス用外装材の限界成形深さとした。それぞれ、深さの基準を以下のように4段階で判定した。結果を表5に示す。
限界成形深さ=Amm+(0.5mm/10個)×(10個-B個)
(成形性評価基準)
S:限界成形深さが9.0mm以上
A:限界成形深さが8.5mm以上9.0mm未満
B:限界成形深さが8.0mm以上8.5mm未満
C:限界成形深さが7.5mm以上8.0mm未満
D:限界成形深さが7.5mm未満
Figure 0007416347000005
Figure 0007416347000006
Figure 0007416347000007
表3において、「-」は未測定であることを意味する。
Figure 0007416347000008
Figure 0007416347000009
以上の通り、本開示は、以下に示す態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成されており、
前記基材層は、2層以上により構成されており、
前記基材層は、1層以上のポリエステルフィルムを含み、
前記基材層は、長手方向と幅方向の加工硬化指数がともに2.5以上4.5以下であって、かつ長手方向と幅方向の加工硬化指数の差が1.4以下である、蓄電デバイス用外装材。
項2. 前記ポリエステルフィルムは、固有粘度が0.66dl/g以上1.00dl/g以下である、請求項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
項3. 前記ポリエステルフィルムは、剛直非晶量が5%以上60%以下である、項1又は2に記載の蓄電デバイス用外装材。
項4. 前記ポリエステルフィルムの厚みが、5μm以上40μm以下である、項1~3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項5. 前記ポリエステルフィルムの融点が、235℃以上である、項1~4のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項6. 前記ポリエステルフィルムの結晶化度が、15%以上40%以下である、項1~5のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項7. 前記基材層の長手方向と幅方向のうち少なくとも一方向の破断伸度が、80%以上である、項1~6のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項8. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子が、項1~7のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材により形成された包装体中に収容されている、蓄電デバイス。
項9. 少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、
前記基材層は、2層以上により構成されており、
前記基材層は、1層以上のポリエステルフィルムを含み、
前記基材層は、長手方向と幅方向の加工硬化指数がともに2.5以上4.5以下であって、かつ長手方向と幅方向の加工硬化指数の差が1.4以下である、蓄電デバイス用外装材の製造方法。
1 基材層
2 接着剤層
3 バリア層
4 熱融着性樹脂層
5 接着層
6 表面被覆層
10 蓄電デバイス用外装材

Claims (9)

  1. 少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成されており、
    前記基材層は、2層以上により構成されており、
    前記基材層は、1層以上のポリエステルフィルムを含み、
    前記基材層は、長手方向と幅方向の加工硬化指数がともに2.5以上4.5以下であって、かつ長手方向と幅方向の加工硬化指数の差が1.4以下である、蓄電デバイス用外装材。
  2. 前記ポリエステルフィルムは、固有粘度が0.66dl/g以上1.00dl/g以下である、請求項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
  3. 前記ポリエステルフィルムは、剛直非晶量が5%以上60%以下である、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用外装材。
  4. 前記ポリエステルフィルムの厚みが、5μm以上40μm以下である、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用外装材。
  5. 前記ポリエステルフィルムの融点が、235℃以上である、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用外装材。
  6. 前記ポリエステルフィルムの結晶化度が、15%以上40%以下である、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用外装材。
  7. 前記基材層の長手方向と幅方向のうち少なくとも一方向の破断伸度が、80%以上である、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用外装材。
  8. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子が、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用外装材により形成された包装体中に収容されている、蓄電デバイス。
  9. 少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、
    前記基材層は、2層以上により構成されており、
    前記基材層は、1層以上のポリエステルフィルムを含み、
    前記基材層は、長手方向と幅方向の加工硬化指数がともに2.5以上4.5以下であって、かつ長手方向と幅方向の加工硬化指数の差が1.4以下である、蓄電デバイス用外装材の製造方法。
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