JP4998153B2 - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、耐溶剤性、耐熱性、成形性に優れる積層ポリエステルフィルムに関する。
印刷および成形加工して用いられる転写箔用フィルムとしては、従来、二軸延伸ポリエステルフィルム(例えば、特許文献1、特許文献2参照)が用いられているが、この二軸延伸ポリエステルフィルムを用いた転写箔は、絞り比の大きい部材や形状の複雑な部材への転写に対しては、成形性の点で不十分であった。
また、成形性の改善を目的としたポリエステルフィルムとしては、二軸延伸ポリエステルフィルムに比べて成形応力の低い共重合ポリエステルフィルムを用いた転写箔(例えば、特許文献3参照)、およびポリエステルを構成するグリコール成分としてブタンジオールなどの特定のグリコール成分を含有する成形、加工、印刷製品など向けのポリエステルフィルム(例えば、特許文献4参照)が提案されているが、これらのポリエステルフィルムを用いた転写箔は、成形性が良いものの、印刷性に関しては特に考慮されておらず、印刷インキに含まれる有機溶剤、例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、アセトンなどによって、白化し易く、透明性、フィルム表面の平滑性が悪化し、印刷欠点が発生しやすいなどの問題があった。
これより、印刷インキに含まれる各種溶剤に対する耐溶剤性、すなわち印刷性に優れるフィルムが望まれていた。
また、ポリエステル無延伸フィルムは、二軸延伸フィルムに比べ、成形性が良いものの、例えば、転写箔などの成形用途に用いる場合、フィルムに離型層、トップ層、印刷層が順次コートされる。それらの層を形成するために酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、アセトンなど溶剤またはそれらの混合溶剤に溶解し、溶液として塗工され、溶剤を乾燥し、順次各層が形成される。溶剤を乾燥する温度は、各溶剤の沸点近くまたは沸点以上{酢酸エチル(沸点:77℃)、メチルエチルケトン(沸点:80℃)、トルエン(沸点:110℃)、アセトン(沸点:56℃)}に加熱され、乾燥される。しかしながら、ポリエステル無延伸フィルムは、二軸延伸フィルムと比べ、乾燥温度で張力をかけるとフィルムにシワ、伸び、収縮などの変形などが生じ易い、それを成形物に転写した場合、印刷物が変形して、成形不良の原因となり、80〜120℃の耐熱性が不十分であるという問題があった。
また、融点が180℃以上、結晶化パラメーターΔTcg(結晶化温度−ガラス転移温度)が50℃以下の熱可塑性ポリエステルを他の熱可塑性ポリエステルの両面に積層した成形用ポリエステルシートが提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、積層表面の結晶性を考慮しておらず、耐溶剤性、耐熱性、成形性の全てを満足するものではなかった。そこで、耐溶剤性、耐熱性、成形性の全てを満足するフィルムが望まれている。
特開平6−210799号公報 特開2000−344909号公報 特許第3090911号公報 特開2002−97261号公報 特開平4−070333号公報
本発明は、ポリエステル(A)層にポリエステル(B)層を積層し、ポリエステル(B)層表面のレーザーラマン法における1730cm−1のスペクトルバンド半値全幅および面配向係数を特定の範囲にすることで、耐溶剤性に優れ、耐熱性と成形性を両立する積層ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、次のような手段を採用するものである。すなわち、
[1]ポリエステル(A)層の少なくとも片面に、ポリエステル(B)層が積層された積層フィルムであって、下記(1)〜(3)を満足することを特徴とする、積層ポリエステルフィルム。
(1)ポリエステル(B)層表面のレーザーラマン法における1730cm−1のスペクトルバンド半値全幅が、23cm−1未満であること、
(2)前記ポリエステル(B)層の厚みが1μm以上であり、かつポリエステル(B)層の厚みの合計がフィルム全体の厚みの5〜50%の範囲であること、
(3)面配向係数fnが、0.00〜0.05の範囲であること。
[2]前記ポリエステル(A)層がポリエステル(A)を主成分とする層であり、該ポリエステル(A)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびこれらの共重合体から選ばれた少なくとも一種からなるポリエステルであることを特徴とする、前記[1]に記載の積層ポリエステルフィルム。
[3]前記ポリエステル(B)層がポリエステル(B)を主成分とする層であり、該ポリエステル(B)が、ポリブチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルであることを特徴とする、前記[1]または[2]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
[4] 前記ポリエステル(B)層がポリエステル(B)を主成分とする層であり、該ポリエステル(B)が、ポリブチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルであることを特徴とする、前記[3]に記載の積層ポリエステルフィルム。
本発明により、印刷性、耐熱性、成形性に優れた、積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
より具体的には、本発明の積層ポリエステルフィルムは、印刷インクに含有する溶剤、特に酢酸エチル、メチルエチルケトンなどに対しての耐溶剤性に優れるため、各種印刷インクを用いることができ、印刷性に優れる。
また、ポリエステル(B)層表面のレーザーラマン法における1730cm−1付近のスペクトルバンド半値全幅を23cm−1未満および面配向係数を0.00〜0.05の範囲にすることで、各種溶剤を乾燥するコーター適性(耐熱性)と成形性を両立することが可能となる。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、深絞り性、被転写体の表面形状への追従性などの成形性に優れるため、印刷および成形して用いるインモールド転写箔、さらに自動車内外装部品、浴室パネル、家電製品用部品、包装容器などの印刷の転写加工を行うための転写箔として好適に用いられる。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、印刷インキに含まれる溶剤に対する耐溶剤性、すなわち印刷性の点から、ポリエステル(A)を主成分とするポリエステル(A)層の少なくとも片面に、ポリエステル(B)を主成分とするポリエステル(B)層を積層することが重要である。
また、例えば温度や湿度などによる各層の伸縮応力の違いに起因するフィルムのカール現象の抑制やフィルムの取り扱い性の点より、ポリエステル(B)層/ポリエステル(A)層/ポリエステル(B)層のフィルム構成で積層することが好ましいが、本発明はこのフィルム構成に限定されるものではない。
本発明の積層ポリエステルフィルムのポリエステル(A)層に用いるポリエステル(A)は、ジカルボン酸成分とグリコール成分とで基本的に構成されるポリマーであることが好ましい。
ジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、マロン酸、1,1−ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、デカメチレンジカルボン酸などを用いることができる。
本発明の積層ポリエステルフィルムのポリエステル(A)層に用いるポリエステル(A)は、耐熱性や生産性の点から、ジカルボン酸成分の中でナフタレンジカルボン酸成分および/またはテレフタル酸成分を90モル%以上100モル%以下含有するポリエステルであることがさらに好ましい。上記ナフタレンジカルボン酸成分およびテレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分を使用したり、上記ジカルボン酸成分中のナフタレンジカルボン酸成分および/またはテレフタル酸成分を90モル%未満とすると、耐熱性および生産性が低下し易くなるので好ましくない。
また、グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノール−A、ビスフェノール−Sなどの芳香族グリコールなどのグリコール成分やポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−プロピレングリコール共重合体などを用いることができる。
成形性と生産性の点から、グリコール成分の中でエチレングリコール成分が100モル%、もしくは、グリコール成分の中でエチレングリコール成分60〜98モル%の範囲、かつ1,3−プロパンジオールおよび/または1,4−ブタンジオール成分が2〜40モル%の範囲、を含有することが好ましい。上記エチレングリコール成分、1,3−プロパンジオール成分、および1,4−ブタンジオール成分以外のグリコール成分を使用したり、上記エチレングリコール成分が100モル%、もしくは、エチレングリコール成分60〜98モル%、かつ1,3−プロパンジオールおよび/または1,4−ブタンジオール成分が2〜40モル%、以外の組成比であると、成形性および生産性が低下し易くなるので好ましくない。
ポリエステル(A)として使用される具体的なポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびそれらの共重合体などが挙げられる。ガラス転移温度の点から、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびそれらの共重合体が好ましい。
また、本発明の積層ポリエステルフィルムのポリエステル(A)を主成分とするポリエステル(A)層とは、フィルムのガラス転移温度が低下し難い点から、上記ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびこれらの共重合体から選ばれた少なくとも一種からなるポリエステル(A)を80重量%以上100重量%以下含有するポリエステル(A)層とすることが好ましいものである。より好ましくは90重量%以上100重量%以下、さらに好ましくは95重量%以上100重量%以下である。
本発明の積層ポリエステルフィルムのポリエステル(B)層に用いられるポリエステル(B)は、ポリエステル(A)層に用いられるポリエステル(A)と同様のジカルボン酸成分とグリコール成分を使用することが可能である。
本発明の積層ポリエステルフィルムのポリエステル(B)層に用いられるポリエステル(B)は、耐溶剤性の点から、結晶化速度の速いポリエステルまたはガラス転移温度の高いポリエステルであることが好ましく、例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびそれらの共重合体などが挙げられる。ポリエステル(B)は、これらの中から選ばれた少なくとも一種からなるポリエステルであることが好ましい。結晶化速度の速いポリエステルとして、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレートが挙げられる。これらの中でもポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートが好ましく、ポリブチレンテレフタレートが特に好ましい。ガラス転移温度の高いポリエステルとしては、ポリエチレンナフタレートが挙げられ、特に好ましく用いられる。
また、本発明の積層ポリエステルフィルムのポリエステル(B)を主成分とするポリエステル(B)層とは、ポリエステル(B)層表面のレーザーラマン法における1730cm−1のスペクトルバンド半値全幅が23cm−1未満に制御しやすい点から、上記ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびこれらの共重合体から選ばれた少なくとも一種からなるポリエステル(B)を80重量%以上100重量%以下含有するポリエステル(B)層とすることが好ましいものである。より好ましくは90重量%以上100重量%以下、さらに好ましくは95重量%以上100重量%以下である。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル(B)積層表面のレーザーラマン法における1730cm−1のスペクトルバンド半値全幅が、23cm−1未満であることが重要である。レ−ザーラマン法の1730cm−1のスペクトルバンドは、ポリエステルのC=O結合のバンドによるものと言われている。このC=O結合のスペクトルバンド半値全幅が小さい程、結晶性が高く、耐溶剤性、耐熱性に優れていることが判明した。積層ポリエステルフィルムの、ポリエステル(B)積層表面のレーザーラマン法における1730cm−1のスペクトルバンド半値全幅が23cm−1を越えると、耐溶剤性、耐熱性が劣り易くなる。より好ましくは、22cm−1未満、さらに好ましくは21cm−1未満である。スペクトルバンド半値全幅の下限値は、実質的に15cm−1未満は認められないため、かかるバンド半値全幅の下限値は15cm−1である。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、耐溶剤性、耐熱性および成形性を両立させる点から、ポリエステル(B)を主成分とするポリエステル(B)層の厚みが1μm以上、かつ、ポリエステル(B)を主成分とするポリエステル(B)層の厚みの合計がフィルム全体の厚みの5〜50%の範囲で積層することが好ましい。
ポリエステル(B)層の厚みが1μm未満であると耐溶剤性、耐熱性が劣り易くなるので好ましくない。より好ましくは、ポリエステル(B)層の厚みが3μm以上、特に好ましくは4μm以上である。ポリエステル(B)の厚みの上限値は、フィルム全体の厚みによって異なり、後述の耐熱性と成形性を両立する点から、ポリエステル(B)の厚みの合計がフィルム全体の厚みの50%の厚みである。例えば、フィルム全体の厚みが20μmの場合、フィルム構成がB/A/B構成であれば、5μm、フィルム構成がB/A構成であれば、10μmである。また、フィルム全体の厚みが500μmの場合、フィルム構成がB/A/B構成であれば、125μm、フィルム構成がB/A構成であれば、250μmである。上限値を越えると耐溶剤性および耐熱性が優れるものの、成形性が劣り易くなるので好ましくない。また、ポリエステル(B)の厚みの合計がフィルム全体の厚みの5%未満であるとコーターなどで溶剤を乾燥するときフィルムが伸びるなどの耐熱性が劣り易いので好ましくない。逆にポリエステル(B)の厚みがフィルム全体の厚みの50%を越えると耐熱性が優れるものの、成形性が劣り易くなるので好ましくない。ポリエステル(B)層を1μm以上とすることで、耐溶剤性を得ることができ、ポリエステル(B)の厚みをフィルム全体の厚みの5〜50%の範囲とすることで、耐熱性と成形性を両立することが可能となるのである。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、成形性の点から面配向係数fnが0.00〜0.05の範囲であることが重要である。面配向係数fnを0.00〜0.05としたフィルムを得るためには、無延伸フィルムとする方法が挙げられる。無延伸フィルムであっても製膜時にドラフトがかかり、機械(長手)方向にフィルムがやや配向する場合があるので、面配向係数を0.00〜0.05とするためには無延伸の場合であっても配向を抑制することが重要である。面配向係数fnが0.05を越えると、成形時に機械(長手)方向と幅方向の成形性が異なる場合があるので好ましくない。より好ましくは、0.00〜0.03の範囲であり、さらに好ましくは0.00〜0.02の範囲である。
ここで、面配向係数(fn)とは、アッベ屈折計などを用いて測定されるフィルム長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率(それぞれNx、Ny、Nz)から次式により算出される値である。
・面配向係数:fn={(Nx+Ny)/2}−Nz
ここで、フィルムの長手方向や幅方向が分からない場合は、フィルム面内において最大屈折率を有する方向を長手方向、フィルム面内における長手方向に直行する方向を幅方向、フィルム面内に対して直行する方向を厚み方向として、面配向係数(fn)を求めることができる。また、フィルム面内における最大屈折率の方向は、面内全ての方向の屈折率をアッベ屈折率計で測定してもよいし、例えば、位相差測定装置(複屈折測定装置)などにより遅相軸方向を決定することで求めてもよい。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、応力1.2MPaの荷重を加えて昇温した際の5%変形温度が80〜120℃の範囲であることが好ましい。例えば、本発明の積層ポリエステルフィルムを転写箔用途に用いられる場合、フィルムに離型層、トップコート層、印刷層、接着層などの各層が設けられる。これらの塗剤中には各種有機溶剤が含まれており、有機溶剤の沸点近くまたは沸点以上に加熱されて有機溶剤が乾燥される。そのとき、フィルムが均一な表面が得られるように張力が掛けられる。その張力は、4.0〜1.2MPa程度である。その張力が高い程、フィルムにシワ、伸び、収縮などの変形などが生じ易い。本発明の積層ポリエステルフィルムによる転写箔を成形物に転写した場合、印刷物が変形して、成形不良の原因となり易い。この変形が生じ易い最大張力を測定張力とし、応力1.2MPaの荷重を加えて昇温した際の熱機械分析計(TMA)曲線から5%変形温度を求めた。5%変形温度の下限は、各種塗剤によく用いられる有機溶剤として、酢酸エチル(沸点:77℃)、メチルエチルケトン(沸点:80℃)、アセトン(沸点:56℃)が挙げられるが、メチルエチルケトンの沸点を下限とすると、80℃と考えられる。5%変形温度の上限は、耐熱性の点から、変形温度が高い程、好ましいが、高くなり過ぎると成形性が劣り易いので好ましく、120℃と考えられる。5%変形温度が、80℃未満では、コーター適性の点から好ましくない。逆に5%変形温度が、120℃を越えるとコーター適性に優れるものの、成形応力が大きくなり、成形性が悪化し易いので好ましくない。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、120℃の雰囲気下、400%伸長時の応力が2〜20MPaの範囲であることが好ましい。最近の塗剤は、UV硬化型などの塗剤が用いられており、UV硬化型の塗剤は、高い温度では発泡などの分解を生じるので成形温度の低温化が進められている。塗剤の分解が始まる上限温度は、120℃位と言われており、120℃での成形性が求められている。成形性は、成形温度での低応力で高伸長の特性が求められており、また、フィルムが均一に伸びるためには、応力−歪み曲線における降伏点がないことが求められている。そこで、鋭意検討した結果、深絞り成形の場合、120℃雰囲気下での破断伸度が400%以上で、400%伸長時の応力が、低い程好ましいが、低すぎるとドロー延伸状態となり、400%以上の破断伸度が得られないことが判明した。以上の点から400%伸長時の応力は2〜20MPaの範囲であることが好ましい。より好ましくは、5〜20MPaの範囲、さらに好ましくは5〜15MPaの範囲である。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル(A)にガラス転移温度80〜230℃の他のポリマーを添加しても構わない。他のポリマーのガラス転移温度が上記好ましい範囲であれば、ポリエステル(A)中に混合分散することが容易となる。ガラス転移温度が80〜230℃を有するポリマーとしては、溶融成形性を有するポリマーであれば、特に限定されないが、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアリレートなどが好ましく例示される。本発明では特にポリエステル、ポリイミドが好ましく例示される。ポリエステルでは、ポリナフタレンテレフタレートが好ましい。ポリイミドでは、ポリエーテルイミドが好ましい。
ポリエステル(A)中に混合分散するガラス転移温度が80〜230℃の他のポリマーの平均分散径は、1〜50nmとすることが好ましい。平均分散径がこの範囲内の、ガラス転移温度が80〜230℃の他のポリマーを混合分散させれば、耐熱性や成形性が大幅に向上したフィルムを得ることが可能となる。平均分散径が上記範囲より大きくなると、ガラス転移温度が80〜230℃の他のポリマーによるポリエステル分子の拘束力が低下するためガラス転移点が低下し、熱寸法安定性が悪化する。さらに良好な物性を得るためには、平均分散径は20nm以下が好ましく、最も好ましくは10nm以下である。また、好ましく用いられる他のポリマーの分子量が約20000であるので、その慣性半径を考慮すると、平均分散径を1nm未満とすることは実質的に不可能である。
なお、このポリマーの平均分散径は、例えば、後述するような透過型電子顕微鏡観察によって得られる透過型電子顕微鏡写真を、後述するような手法で画像解析することによって測定することができる。
なお、本発明の積層ポリエステルフィルム中には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤などの化合物や、無機粒子、有機粒子、他種ポリマーなどを添加してもかまわない。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、コロナ放電処理などの表面処理を施すことにより、必要に応じて塗工性、印刷性などを向上させることが可能である。また、各種コーティングを施してもよく、その塗布化合物の種類、塗布方法や厚みは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されない。さらに、必要に応じてエンボス加工などの成形加工、印刷などを施して使用することもできる。
フィルムの厚みは使用する用途に応じて自由にとることができる。厚みは通常20〜500μmの範囲であり、製膜安定性の面から好ましくは30〜200μm、さらに好ましくは50〜200μmの範囲である。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、Tダイ法またはインフレーション法などの溶融押出し法によって得られる。例えばTダイ法によりフィルムを得る場合、押出されたフィルムを急冷し、冷却固化することは重要な条件である。
次に、本発明の積層ポリエステルフィルムの製造方法について説明するが、本発明はこれに限定されない。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、例えば、ポリエステル(A)層のポリエステル(A)を主成分とする樹脂およびポリエステル(B)層のポリエステル(B)を主成分とする樹脂を必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給する。押出機は、一軸溶融押出機でもベント口を具備した2軸溶融押出機でも構わない。供給された樹脂は、それぞれのポリエステルの融点+20〜30℃の温度で溶融させた後、濾過精度20〜40μmのリーフディスクフィルターを通過させる。
次に、B層/A層/B層の3層またはB層/A層の2層ピノール管を通過させ、スリット状のTダイ口金に導き、シート状に押出す。押出されたシートの両端部に針状エッジピニング装置を用いる静電印加の方式、エアーノズル、エアーチャンバーなどの方式、吸引チャンバーの方式などにより、表面温度40〜80℃に調整したキャスティングドラムに密着させ、溶融状態から冷却固化することで、積層ポリエステルフィルムを得ることができる。キャスティングドラムは、鏡面ドラムでも、梨地ドラムでも構わないが、フィルムのドラムへの密着性、粘着性の点から梨地ドラムが好ましい。粘着性と粘着性を両立させる点から、梨地ドラムの表面粗さは、中心線表面粗さRaで100〜1000nmの範囲が好ましい。さらに好ましくは、200〜500nmの範囲である。梨地ドラムを用いた場合、ドラムへの密着性が不十分となり易く、透明性が劣るフィルムとなることがあるので他の密着方式を併用することが好ましい。
得られたフィルムは、面配向係数fnが0.00〜0.05の実質的に無配向の無延伸フィルムが得られる。B層積層表面のレーザーラマン法におけるスペクトルバンド半値全幅を23cm−1以下とするにはキャスティングドラム温度を40〜80℃とすることが好ましい。80℃を越えるとB層のレーザーラマン法におけるスペクトルバンド半値全幅は23cm−1以下以下となるが、フィルムがキャスティングドラムに粘着し易く生産性が劣るものとなる。また上限を越えるとフィルムが白化し、透明性が劣る場合や成形性が劣る場合があるので好ましくない。逆に40℃未満であるとB層のレーザーラマン法におけるスペクトルバンド半値全幅が23cm−1を越え、耐溶剤性や耐熱性が劣るものとなるので好ましくない。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、耐溶剤性、耐熱性に優れ、特に成形性では、立体形状への成形が可能であり、深みのある、優れた意匠性が得られるため、形状の複雑な部品表面、例えば自動車内外装部品、建材用化粧シート、浴室パネル、家電製品部品、OA製品部品、包装容器などの転写箔用フィルムとして好ましく用いることができる。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定、評価した。
(1)ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tc)および融点(Tm)
Seiko Instrument(株)社製示差走査熱量分析装置DSCII型を用い、試料5mgを昇温速度10℃/分で昇温していった際のDSC曲線からガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tc)、融点(Tm)を求めた。吸熱融解曲線のピーク温度を融点(Tm)とした。
(2)厚み、ポリエステル(B)層の積層厚みおよびポリエステル(B)層の割合
フィルム全体の厚みを測定する際は、ダイヤルゲージを用いて、フィルムから切り出した各々の試料の任意の場所5ヶ所の厚みを測定し、平均して求めた。
積層フィルムの層厚みを測定する際は、ライカマイクロシステムズ(株)社製金属顕微鏡LeicaDMLMを用いて、フィルム断面を倍率100倍の条件で透過光を写真撮影し、積層フィルムの各層の層厚みを測定した。
測定したポリエステル(B)層の各厚みからフィルム全体の厚みに対する割合を求めた。
(3)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から下式によって計算される値を用いる。すなわち、
ηsp/C=[η]+K[η]2×C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマー質量(g/100ml)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
(4)数平均粒子径
フィルムから樹脂をプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は樹脂が灰化するが、粒子がダメージを受けない条件を選択する。これを走査型顕微鏡で粒子数5,000〜10,000個を観察し、粒子画像を画像処理装置により円相当径から数平均粒子径を求めた。
(5)面配向係数(fn)
ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて、フィルムの表面の長手方向屈折率(Nx),幅方向屈折率(Ny),厚み方向屈折率(Nz)を測定し、下式から面配向係数(fn)を算出した。
・面配向係数 fn={(Nx+Ny)/2}−Nz
(6)レーザーラマン法における1730cm−1のスペクトルバンド半値全幅
積層ポリエステルフィルムをエポキシ樹脂包埋後、ミクロトームにより断面を作製し、フィルム表面から1μmの測定点について、下記装置および測定条件でラマンスペクトルを測定し、1730cm−1付近のラマンバンドの半値全幅(cm−1)を測定した。異なる場所で測定数n=5の測定を行い、その平均値を求め、スペクトルバンド半値全幅とした。
・装置:Ramnor T−64000(堀場Jobin Yvon)
顕微ラマン(ラマンマイクロプローブ)の機能を兼備
・マイクロプローブ
Beam Splitter:右
対物レンズ:×100
ビーム径:1μm
クロススリット:200μm
・光源
Ar+レーザー:NEC GLG3460 5145A
レーザーパワー:40mW
・分光器
構成:640mm Triple Monochromator
回折格子:PAC Holographic 76×76mm
Spectrograph 1800gr/mm
分散:Single、7A/mm
スリット:100μm
・検出器
CCD:Jobin Yvon 1024×256
(7)梨地ドラムの表面粗さRa
厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルム(ビオデンRFAトリアセチルセルロース/溶剤:酢酸メチル)を用い、トリアセチルセルロースフィルムを梨地ドラム面に圧着ローラーで線圧9.8N/cmを加えて、梨地ドラムの表面形状を転写させたものを室温で溶剤を乾燥して、このレプリカサンプルを測定サンプルとした。
上記測定サンプルのドラム表面形状を転写させた面側を、(株)小坂研究所製の高精度薄膜段差計ET−10を用いて測定した。触針先端半径0.5μm、針圧5mg、測定長1mm、カットオフ0.08mmの条件で測定し、中心線表面粗さRaを求めた。なお各パラメーターの定義は例えば、奈良次郎著表面粗さ評価方法(総合技術センター、1983)に示されているものである。
(8)5%変形温度
セイコーインスツルメンツ(株)製:TMA熱分析システムEXSTAR6000により、昇温速度10℃/分、測定温度範囲25〜200℃、サンプル試験長20mm、サンプル幅4mmとし、応力1.2MPaの荷重となる条件にて測定した。フィルムの長手方向、幅方向を試験数n=5の測定を行い、伸長曲線から試験長が5%伸長したときの温度を求め、長手方向、幅方向の平均値を5%変形温度とした。
(9)120℃雰囲気下での400%伸長時の応力および破断伸度
積層ポリエステルフィルムから、長さ200mm、幅10mmのサンプルを、機械方向および幅方向の2方向に切り出し、ASTM−D−882−81(A法)に従い、120℃雰囲気下で引張速度200mm/分で測定し、400%伸長時の応力を求めた。また同様の測定条件でサンプルの破断伸度も測定した。
(10)耐溶剤性
フィルム表面に酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエンを各々3ml滴下させて6時間放置した後、溶剤をきれいに拭き取って、表面状態を下記の評価基準の通り目視で観察し判定した。○と△であれば合格レベルである。
○:すべての溶剤に対して、白化、収縮、変形、溶剤の痕跡が認められないもの。
△:いずれかの溶剤に対して、比較的軽い白化、収縮、変形が認められるもの。
×:いずれかの溶剤に対して、白化、収縮、変形が認められるもの。
(11)コーター適性および印刷性
バーコーターを用い、フィルムに1.2MPaの張力を掛け、印刷を実施した。ポリウレタン系樹脂を主成分とするグラビアインキ(大日精化工業(株)社製“ハイラミック”(登録商標)、主要溶剤:トルエン/メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール、インキ:723B黄)をフィルム表面に印刷(黄色50%面積)し、80℃で乾燥させた。
さらにポリウレタン系樹脂を主成分とするグラビアインキ(大日精化工業(株)社製“ハイラミック”、主要溶剤:トルエン/メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール、インキ:701R白)をフィルム表面に印刷(白色50%面積)し、80℃で乾燥させた。印刷版は175線35μmベタ版を用いた。
印刷フィルムの状態を印刷欠点、濁り、しわなどの点から以下の評価基準で目視にて観察し、判定した。○と△であれば合格レベルである。
○:非常にきれいであり、印刷欠点、しわ、濁りなど全くない。
△:比較的印刷は良好であるが、かすかな濁りや、ごくわずかのしわなどが認められる。
×:印刷の品質が悪く、印刷欠点または印刷に影響のある濁り、しわの発生が認められる。
(12)成形性
カップ型真空成形機を用いて120℃の温度条件で成形性を評価した。成形は、直径50mmのカップ型で絞り比1.0の条件で行い、最も良好な温度条件で成形した際の状態を以下に基準で判定した。○と△であれば合格レベルである。
○:コーナーもシャープに成形され、成形後の厚みも均一であった。
△:コーナーにやや丸みがあり、成形後の厚みもやや不均一であった。
×:成形後の厚みが不均一であり、しわ、破れが発生した。
(13)総合評価
耐熱性、耐溶剤性、印刷性、成形性の評価結果を踏まえ、以下の基準で判定した。○と△であれば合格レベルである。
○:耐熱性、耐溶剤性、印刷性、成形性のすべてに評価ついて、いずれも○の評価であり、転写箔用フィルムとして、好ましく用いることができる。
△:耐熱性、耐溶剤性、印刷性、成形性について、1項目または2項目について△の評価であったが、それ以外は○の評価であり、転写箔用フィルムとしての実用に十分耐えられる。
×:耐熱性、耐溶剤性、印刷性、成形性について、少なくとも1項目が×の評価、または3項目以上が△の評価であり、転写箔用フィルムとしての実用に耐えられない、または転写箔用フィルムとして使用することが困難である。
実施例および比較例には、以下のポリエステルおよび粒子マスターを使用した。
[ポリエチレンテレフタレート(PET)]
テレフタル酸ジメチル95.3重量部、エチレングリコール54.7重量部の混合物に、酢酸マグネシウム0.09重量部、三酸化二アンチモン0.03重量部を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行った。
次いで、該エステル交換反応生成物に、リン酸トリメチル0.026重量部を添加した後、重縮合反応槽に移送した。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1.33×10Pa以下の減圧下、290℃で常法により重合し、固有粘度0.65dl/gのポリエステルを作製した。
得られたポリマーのガラス転移温度は80℃、融点は257℃であった。
[ポリブチレンテレフタレート(PBT)]
テレフタル酸ジメチル69.7重量部、1、4−ブタンジオール80.3重量部の混合物に、テトラブチルチタネート0.05重量部、IRGANOX1010(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社)0.02重量部を加えて最終的に210℃まで昇温を行い、エステル交換反応を行った。
エステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.01重量部、テトラブチルチタネート0.07重量部、IRGANOX1010を0.03重量部添加した。徐々に昇温、減圧にし、最終的に245℃、1.33×10Pa以下で重縮合反応を行い、固有粘度0.85dl/gのポリエステルを作製した。
得られたポリマーのガラス転移温度は30℃、融点は224℃であった。
[ポリプロピレンテレフタレート(PPT)]
テレフタル酸ジメチル80.5重量部、1,3−プロパンジオール69.5重量部の混合物に、テトラブチルチタネート0.06重量部を加えて最終的に220℃まで昇温を行い、エステル交換反応を行った。
エステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.05重量部、テトラブチルチタネート0.04重量部を添加した。徐々に昇温、減圧にし、最終的に260℃、1.33×10Pa以下で重縮合反応を行い、固有粘度0.70dl/gのポリエステルを作製した。
得られたポリマーのガラス転移温度は50℃、融点は223℃であった。
[ポリエチレンナフタレート(PEN)]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル99.4重量部、エチレングリコール50.6重量部の混合物に、テトラブチルチタネート0.06重量部を加えて最終的に220℃まで昇温を行い、エステル交換反応を行った。
エステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.05重量部、テトラブチルチタネート0.04重量部を添加した。徐々に昇温、減圧にし、最終的に290℃、1.33×10Pa以下で重縮合反応を行い、固有粘度0.69dl/gのポリエステルを作製した。
得られたポリマーのガラス転移温度は、124℃、融点は270℃であった。
[ポリエーテルイミド(PEI)]
ポリエーテルイミドとして、“Ultem”1010(GeneralElectric社製)を用いた。
[粒子マスター1(MS−1)]
上記で得られたPET90重量部、二酸化ケイ素(富士シリシア化学(株)製“サイリシア445”、平均粒子径2.5μm)10重量部の混合物を30mmφのベント式異方向二押出機(L/D=35)を用い、260℃で混練し、二酸化ケイ素を10重量%含有した二酸化ケイ素マスター(MS−1)を作製した。
[粒子マスター3(MS−2)]
上記で得られたPBT90重量部、二酸化ケイ素(富士シリシア化学(株)製“サイリシア445”、平均粒子径2.5μm)10重量部の混合物を30mmφのベント式異方向二押出機(L/D=35)を用い、260℃で混練し、二酸化ケイ素を10重量%含有した二酸化ケイ素マスター(MS−2)を作製した。
[粒子マスター4(MS−3)]
上記で得られたPPT90重量部、二酸化ケイ素(富士シリシア化学(株)製“サイリシア445”、平均粒子径2.5μm)10重量部の混合物を30mmφのベント式異方向二押出機(L/D=35)を用い、260℃で混練し、二酸化ケイ素を10重量%含有した二酸化ケイ素マスター(MS−3)を作製した。
[粒子マスター5(MS−4)]
上記で得られたPEN90重量部、二酸化ケイ素(富士シリシア化学(株)製“サイリシア445”、平均粒子径2.5μm)10重量部の混合物を30mmφのベント式異方向二押出機(L/D=35)を用い、300℃で混練し、二酸化ケイ素を10重量%含有した二酸化ケイ素マスター(MS−4)を作製した。
(実施例1)
ポリエステル(A)層のポリエステルとして、PETのペレット(100重量%)を用い、押出温度280℃に設定したベント式異方向二軸押出機A(ベント口2ヶ所、L/D=70)に、ポリエステル(B)層のポリエステルとして、PBTのペレット(98重量%)とシリカ粒子10重量%マスターMS−2のペレット(2重量%)の混合物を用い、押出温度260℃に設定したベント式異方向二軸押出機B(ベント口2ヶ所、L/D=70)にそれぞれ投与し、B層/A層/B層の3層ピノールを通し、280℃に設定したスリット間隙0.8mmのTダイ口金に導きフィルム状に押出し、押出されたシートの両端部に針状エッジピニング装置を用いて静電印加方式およびエアーチャンバー方式を併用し、表面温度60℃の梨地キャスティングドラム(中心線表面粗さRa=200〜350nm)に密着させて冷却固化し、厚み100μm(B層/A層/B層厚み=10μm/80μm/10μm)の積層ポリエステルフィルムを作製した。
フィルムの面配向係数(fn)は、0.00であった。積層ポリエステルフィルムは安定に製膜でき、カールなど生じず、取扱性に優れていた。また、転写箔とした場合、耐溶剤性、耐熱性、成形性に優れ、転写箔用フィルムとして優れたフィルムであった。
(実施例2)
ポリエステル(A)層のポリエステルとして、PETのペレット(92重量%)、PBTのペレット(8重量%)の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み75μm(B層/A層/B層厚み=11.3μm/53μm/11.3μm)の積層ポリエステルフィルムを作製した。
(実施例3)
ポリエステル(A)層のポリエステルとして、PETのペレット(95重量%)、PPTのペレット(5重量%)の混合物を用い、ポリエステル(B)層のポリエステルとして、PPTのペレット(98重量%)、シリカ粒子10重量%PPTマスターMS−3のペレット(2重量%)の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み50μm(B層/A層/B層厚み=10μm/30μm/10μm)の積層ポリエステルフィルムを作製した。
(実施例4)
ポリエステル(A)層のポリエステルとして、PETのペレット(90重量%)、PENのペレット(10重量%)の混合物を用い、ポリエステル(B)層のポリエステルとして、PENのペレット(98重量%)、シリカ10重量%PENマスターMS−4のペレット(2重量%)の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み60μm(B層/A層/B層厚み=3μm/54μm/3μm)の積層ポリエステルフィルムを作製した。
(実施例5)
ポリエステル(A)層のポリエステルとして、PETのペレット(95重量%)、PBTのペレット(5重量%)の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み30μm(B層/A層/B層厚み=7.5μm/15μm/7.5μm)の積層ポリエステルフィルムを作製した。
(実施例6)
ポリエステル(A)層のポリエステルとして、PETのペレット(90重量%)、PEIのペレット(10重量%)の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み75μm(B層/A層厚み=15μm/60μm)の積層ポリエステルフィルムを作製した。
(比較例1)
ポリエステル(A)層のポリエステルとして、PETのペレット(100重量%)を用い、ポリエステル(B)層のポリエステルとして、PETのペレット(98重量%)、シリカ10重量%PETマスターMS−1のペレット(2重量%)の混合物を用い、押出温度280℃に設定したベント式異方向二軸押出機(ベント口2ヶ所、L/D=70)を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み100μmの単層ポリエステルフィルムを作製した。
(比較例2)
ポリエステル(A)層のポリエステルとして、PETのペレット(80重量%)、PBTのペレット(20重量%)を用い、ポリエステル(B)層のポリエステルとして、PBTのペレット(98重量%)、シリカ10重量%PBTマスターMS−2のペレット(2重量%)の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み50μm(B層/A層/B層厚み=0.8μm/48.4μm/0.8μm)の積層ポリエステルフィルムを作製した。
(比較例3)
ポリエステル(A)層のポリエステルとして、PETのペレット(100重量%)を用い、ポリエステル(B)層のポリエステルとして、PBTのペレット(98重量%)、シリカ10重量%PBTマスターMS−2のペレット(2重量%)の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み100μm(B層/A層/B層厚み=33.5μm/33μm/33.5μm)の積層ポリエステルフィルムを作製した。
(比較例4)
ポリエステル(A)層のポリエステルとして、PBTのペレット(100重量%)を用い、ポリエステル(B)層のポリエステルとして、PBTのペレット(98重量%)、シリカ10重量%PBTマスターMS−2のペレット(2重量%)の混合物を用い、押出温度260℃に設定したベント式異方向二軸押出機(ベント口2ヶ所、L/D=70)を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み30μmの単層ポリエステルフィルムを作製した。
(比較例5)
梨地キャストドラムの温度を25℃とした以外は、実施例1と同様にして、厚み100μm(B層/A層/B層厚み=10μm/80μm/10μm)の積層ポリエステルフィルムを作製した。
(比較例6)
ポリエステル(A)層のポリエステルとして、PETのペレット(100重量%)(150℃×4時間減圧乾燥)を用い、押出温度280℃に設定した一軸押出機Aに、ポリエステル(B)層のポリエステルとして、PBTのペレット(98重量%)とシリカ粒子10重量%マスターMS−2のペレット(2重量%)の混合物(150℃×4時間減圧乾燥)を用い、押出温度260℃に設定した一軸押出機Bにそれぞれ投与し、B層/A層/B層の3層ピノールを通し、280℃に設定したスリット間隙0.8mmのTダイ口金に導き、フィルム状に押出し、静電印加させながら、25℃に保った鏡面金属ドラムに巻き付けて冷却固化せしめ、未延伸フィルムを得た。
次に、この未延伸フィルムを長手方向に90℃で3.2倍に延伸し、幅方向に115℃で3.2倍に延伸し、220℃で熱処理を行い、厚み30μm(B層/A層/B層厚み=3μm/24μm/3μm)の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを作製した。
上記実施例、比較例において用いたポリエステルの組成などおよびフィルム特性の評価結果を表1−1、表1−2に、それぞれまとめて示す。
Figure 0004998153
Figure 0004998153
上記表1において、
PET:ポリエチレンテレフタレート
PBT:ポリブチレンテレフタレート
PPT:ポリプロピレンテレフタレート
PEN:ポリエチレンナフタレート
PEI:ポリエーテルイミド
実施例1〜2で得られたフィルムは、転写箔とした場合、耐溶剤性、耐熱性、成形性に優れ、転写箔用フィルムとして優れたフィルムであった。
実施例3で得られたフィルムは、耐溶剤性、成形性にやや劣るものの、耐熱性に優れたフィルムであった。耐溶剤性、成形性は実用上問題なかった。
実施例4〜5で得られたフィルムは、耐溶剤性、耐熱性に優れ、成形性がやや劣るものであったが、実用上問題なかった。
実施例6で得られたフィルムは、耐溶剤性にやや劣るものの、耐熱性、成形性に優れたフィルムであった。
一方、比較例1〜6で得られたフィルムは、耐溶剤性、耐熱性、成形性のいずれも満足するフィルムではなかった。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、耐溶剤性(印刷性)、耐熱性、成形性に優れた、積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
より具体的には、耐溶剤性(印刷性)は、印刷インクに含有する溶剤、特に酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、アセトンなどに対しての耐溶剤性に優れるため、各種印刷インクを用いることができる。また、特定のポリマーを積層し、積層厚みの割合を特定することで、各種溶剤を乾燥するコーター適性(耐熱性)と成形性を両立することが可能となる。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、深絞り性、被転写体の表面形状への追従性などの成形性に優れるため、印刷および成形して用いるインモールド転写箔、さらに自動車内外装部品、浴室パネル、家電製品用部品、包装容器などの印刷の転写加工を行うための転写箔として好適に用いられる。

Claims (4)

  1. ポリエステル(A)層の少なくとも片面に、ポリエステル(B)層が積層された積層フィルムであって、下記(1)〜(3)を満足することを特徴とする、積層ポリエステルフィルム。
    (1)ポリエステル(B)層表面のレーザーラマン法における1730cm−1のスペクトルバンド半値全幅が、23cm−1未満であること、
    (2)前記ポリエステル(B)層の厚みが1μm以上であり、かつポリエステル(B)層の厚みの合計がフィルム全体の厚みの5〜50%の範囲であること、
    (3)面配向係数fnが、0.00〜0.05の範囲であること。
  2. 前記ポリエステル(A)層がポリエステル(A)を主成分とする層であり、該ポリエステル(A)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびこれらの共重合体から選ばれた少なくとも一種からなるポリエステルであることを特徴とする、請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
  3. 前記ポリエステル(B)層がポリエステル(B)を主成分とする層であり、該ポリエステル(B)が、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびこれらの共重合体から選ばれた少なくとも一種からなるポリエステルであることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
  4. 前記ポリエステル(B)層がポリエステル(B)を主成分とする層であり、該ポリエステル(B)が、ポリブチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルであることを特徴とする、請求項3に記載の積層ポリエステルフィルム。
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