JP2013202999A - 成形用フィルム、及びそれを用いた成型転写箔 - Google Patents

成形用フィルム、及びそれを用いた成型転写箔 Download PDF

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Abstract

【課題】成形性、耐溶剤性(印刷塗工性)、転写箔の生産性に優れ、さらに厚み斑が少なく、易滑性に優れる成形用フィルムを提供する。
【解決手段】Vert Scan法で表面を幅方向に観察した際に、フィルムの幅方向に凹a1、a2と凸b1、b2とが交互に存在し、凹a1のピークと、それに隣り合う凸b1、b2のピークの一方との、幅方向の位置の差x1、x2が、100〜2,000μmであり、凹a1のピークと、前記それに隣り合う凸b1、b2のピークの一方との、厚み方向の位置y1、y2の差が、10〜200nmであり、凹のピークと凸のピークの合計が、5個/(10mm)以上であることを特徴とする成形用フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、成形性、転写成形後の成形体の美麗性、耐溶剤性(印刷塗工性)、トップコート層を積層して転写箔とする際の生産性に優れ、さらに厚み斑が少なく、易滑性に優れる成形用フィルムに関する。
近年、環境意識の高まりにより、家電製品用部品や自動車内外装部品などの成形部材の加飾において、有害物質であるクロムや環境負荷物質である鉛などが使用されるメッキ加工や、多数の工程を必要とし、溶剤系の塗料を厚膜塗装する塗装加工のような加飾方法から、フィルムを使用した加飾方法への代替が進んでいる。そのような中で、印刷層などの転写層を形成して転写箔として使用する成形用フィルムや、加飾層を形成して成形もしくは成形樹脂と一体成形する成形用フィルムとして、二軸延伸ポリエステルフィルムを用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、成形比の高い絞り成形に用いられる成形用フィルムについては、成形応力が特定の範囲のポリエステルフィルムを用い、成形性の改善の目的で二軸延伸PETに比べて成形応力の低いポリエステル、特に共重合ポリエステルを用いることが示されている(特許文献2参照)。
しかしながら、二軸延伸ポリエステルフィルムを用いる方法は、深絞り成形品や形状の複雑な部材への転写に対しては、成形性の点で不十分であった。また、共重合ポリエステルフィルムを用いる方法は、二軸延伸ポリエステルフィルムでは発現しにくい深絞り追従性、すなわち成形性が良いものの、融点が低いので耐熱性に劣り、さらに印刷塗工時には、各種コーティング剤および印刷インキに含まれる、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエンなどの溶剤によってフィルム表面の平滑性が悪化し、コーティング不良や印刷欠点が発生しやすいなどの問題があった。
そこで、成形性に優れる無延伸のポリエステルフィルムに、耐溶剤性に優れるポリオレフィンフィルムを貼り合わせて、成形性と印刷塗工性を両立させた貼り合わせフィルムが開発されている(特許文献3参照)。しかし、ポリエステルフィルムとポリオレフィンフィルムは極性の差が大きいことから接着性が悪く、別工程で製膜した両フィルムを接着剤で貼り合わせる工程が必要であり、製造コストが高くなるという問題点がある。
特開平06−210799号公報 特開2000−238070号公報 特開2004−188708号公報
特許文献1、2、3においては、成形性と印刷塗工性(耐溶剤性)を両立させたフィルムを生産性に優れる簡易な工程によって製造することは困難であった。
そこで本発明は、従来技術の問題点を解決し、成形性、耐溶剤性、転写箔の生産性を同時に満足し、さらに厚み斑が少なく、易滑性に優れる成形用フィルムを提供することを課題とする。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
(I) Vert Scan法で表面を幅方向に観察した際に、少なくとも一方の表面においてフィルムの幅方向に凹と凸とが交互に存在し、凹のピークと、それに隣り合う凸のピークの一方との、幅方向の位置の差が、100〜2,000μmであり、凹のピークと、前記それに隣り合う凸のピークの一方との、厚み方向の位置の差が、10〜200nmであり、凹のピークと凸のピークの合計が、5個/(10mm)以上であることを特徴とする成形用フィルム。
(II) 凹のピークと、それに隣り合う凸のピークとの、幅方向の位置の差が、両側ともに100〜2,000μmであり、凹のピークと、それに隣り合う凸のピークとの、厚み方向の位置の差が、両側ともに10〜200nmであることを特徴とする(I)に記載の成形用フィルム。
(III) ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層を、この順に有することを特徴とする、(I)または(II)に記載の成形用フィルム。
(IV) トップコート層及び(I)〜(III)のいずれかに記載の成形用フィルムを含むことを特徴とする、成型転写箔。
本発明により、成形性、耐溶剤性、転写箔の生産性を同時に満足し、さらに厚み斑が少なく、易滑性に優れる成形用フィルムを得ることができる。
より具体的には、コーティング剤や印刷インキに含まれる溶剤、特に酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエンなどの溶剤に対する耐溶剤性に優れるため、各種コーティング剤および印刷インキを用いて転写層や加飾層などを成形用フィルム表面に設けることができる。また、本発明の成形用フィルムは、深絞り性や被転写体の細かな形状部分への追従性などの成形性に優れるため、真空成形、圧空成形、プレス成形、インモールド成形、インサート成形など、様々な成形加工方法に適用が可能であり、例えば、家電製品用部品や自動車内外装部品などの成形部材の加飾に好適に用いることができる。
Tダイリップ先端部分のアールの大きさを示すダイの断面図である。 Tダイのリップ間隙を示すダイの断面図である。 Vert Scan法で観察した表面の形状を示す図である。
本発明の成形用フィルムは、Vert Scan法で表面を幅方向に観察した際に、少なくとも一方の表面においてフィルムの幅方向に凹と凸とが交互に存在し、凹のピークと、それに隣り合う凸のピークの一方との、幅方向の位置の差が、100〜2,000μmであることが重要である。凹のピークと、それに隣り合う凸のピークの一方との、幅方向の位置の差が、2,000μmを超えると、易滑性が劣る場合があり、100μm未満の場合、ピーク形状のアスペクト比(厚み方向の位置の差の値/幅方向の位置の差の値)が高くなるために、本発明のフィルムを成型転写箔として使用した場合に被転写体に転写された凹凸により印刷斑やスジ状欠点などの美麗性の低下の原因となる場合がある。凹のピークと、それに隣り合う凸のピークの一方との、幅方向の位置の差は、500〜2,000μmであることがより好ましい。
ここで、凹のピークとは、図3に示すピークの凹部の頂点a1、a2のことであり、凸のピークとは、図3に示すピークの凸部の頂点b1、b2のことである。ここで、凹部とは、凹のピークを1つ含む谷になった部分(図3で、厚み方向の位置が0よりも低い部分)を意味し、凸部とは、凸のピークを1つ含む山になった部分(図3で、厚み方向の位置が0よりも高い部分)を意味する。
そのため、凹のピークとそれに隣り合う凸のピークの一方との幅方向の位置の差が100〜2,000μmであるとは、図3に照らすと、a1の幅方向の位置とb1の幅方向の位置の差x1が100〜2,000μmであるか、若しくは、a1の幅方向の位置とb2の幅方向の位置の差x2が100〜2,000μmであることを意味する。
転写後の被転写体の美麗性の観点からは、凹のピークと、それに隣り合う凸のピークとの幅方向の位置の差は、両側ともに100〜2,000μmであることが好ましく、両側ともに500〜2,000μmであることがより好ましい。
なお、凹のピークとそれに隣り合う凸のピークとの幅方向の位置の差が両側ともに100〜2,000μmであるとは、図3に照らせば、a1の幅方向の位置とb1の幅方向の位置の差x1が100〜2,000μmであり、さらにa1の幅方向の位置とb2の幅方向の位置の差x2が100〜2,000μmであることを意味する。
また、本発明の成形用フィルムは、Vert Scan法で表面を幅方向に観察した際に、少なくとも一方の表面においてフィルムの幅方向に凹と凸とが交互に存在し、凹のピークと、それに隣り合う凸のピークの一方との、幅方向の位置の差が、100〜2,000μmであり、さらに凹のピークと、前記それに隣り合う凸のピークの一方との、厚み方向の位置の差が、10〜200nmであることが重要である。凹のピークと、前記それに隣り合う凸のピークの一方との、厚み方向の位置の差が、10nm未満の場合、易滑性が劣る場合があり、200nmを超えると成型転写箔として使用した場合に被転写体に転写された凹凸によりスジ状欠点を生じ、美麗性の低下の原因となる場合がある。凹のピークと、前記それに隣り合う凸のピークの一方との、厚み方向の位置の差は、10〜100nmであることが好ましい。
なお、凹のピークとそれに隣り合う凸のピークの一方との厚み方向の位置の差が10〜200nmであるとは、図3に照らせば、a1の厚み方向の位置とb1の厚み方向の位置の差y1が10〜200nmであるか、若しくは、a1の厚み方向の位置とb2の厚み方向の位置の差y2が10〜200nmであることを意味する。
転写後の被転写体の美麗性の観点からは、凹のピークと、それに隣り合う凸のピークとの、厚み方向の位置の差が、両側ともに10〜200nmであることが好ましく、両側ともに10〜100nmであることがより好ましい。
なお、凹のピークとそれに隣り合う凸のピークの一方との厚み方向の位置の差が、両側ともに10〜200nmであるとは、図3に照らせば、a1の厚み方向の位置とb1の厚み方向の位置の差y1が10〜200nmであり、さらにa1の厚み方向の位置とb2の厚み方向の位置の差y2も10〜200nmであることを意味する。
また、本発明の成形用フィルムは、Vert Scan法で表面を幅方向に観察した際の凹のピークと凸のピークの合計が、少なくとも一方の表面において5個/(10mm)以上であることが重要である。凹のピークと凸のピークの合計が5個/(10mm)未満であると、易滑性が劣る場合がある。易滑性の観点からは、10個/(10mm)以上であることがより好ましい。凹のピークと凸のピークの合計の上限値は特に限定されるものではないが、凹のピークと、それに隣り合う凸のピークとの幅方向の位置の差を100μm以上とするためには、凹のピークと凸のピークの合計が100個/(10mm)であることが上限と考えられ、50個/(10mm)以下であることがより好ましい。
本発明の成形用フィルムにおいては、フィルムの少なくとも一方の表面に、上記のような幅方向に凹と凸とが交互に存在し、凹のピークとそれに隣り合う凸のピークの一方との幅方向の位置の差、厚み方向の位置の差、凹のピークと凸のピークの合計数を制御した形状(以下、これを本発明の凹凸形状という)を形成すればよい。本発明の凹凸形状は、フィルムの少なくとも一方の表面に存在することが重要であるが、トップコート層や蒸着層、印刷層などの加飾層を形成する際に発生する欠点を抑制する観点からは、少なくともトップコート層を形成する面に存在することが好ましく、易滑性付与の観点からは、フィルムの両面に形成することが好ましい。
本発明の成形用フィルムの表面に上記のような本発明の凹凸形状を形成する方法としては、例えば、押出時のTダイリップ先端部分の形状やTダイのリップ間隙を調整する方法、粒子を添加する方法、Tダイの内面やリップの内面を研磨する方法、冷却ロールにエンボスロールを使用する方法などが挙げられるが、制御が容易であること、装置のメンテナンスが簡易であることから、押出時のTダイリップ先端部分の形状やTダイのリップ間隙を調整する方法によることが好ましい。

本発明の成形用フィルムは、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層を、この順に有することが好ましい。ここで、主成分とするとは、層を構成するすべての成分の合計100質量%において、60質量%以上100質量%以下を占める成分を意味する。つまり、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層は、該層の全成分の合計100質量%において、ポリブチレンテレフタレートを60質量%以上100質量%以下含み、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層は、該層の全成分の合計100質量%において、ポリエチレンテレフタレートを60質量%以上100質量%以下含む。そのため各層は、主成分となる樹脂以外の他の樹脂や各種粒子、添加剤などの他の成分を、40質量%以下含有しても良い。
ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層を、この順に有する本発明の成型用フィルムは、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層とポリエチレンテレフタレートを主成分とする層との間に、他の層が存在しても構わないが、特に好ましくは、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層が、層間に他の層を介在させることなく、この順に直接積層していることが特に好ましい。
主成分の物性の発現を阻害しないようにする点、及び耐溶剤性の点から、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層は、該層100質量%においてポリブチレンテレフタレートを70質量%以上100質量%以下含有することが好ましく、80質量%以上100質量%以下含有することが好ましく、90質量%以上100質量%以下含有することが特に好ましい。同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする層は、該層100質量%においてポリエチレンテレフタレートを70質量%以上100質量%以下含有することが好ましく、80質量%以上100質量%以下含有することが好ましく、90質量%以上100質量%以下含有することが特に好ましい。
本発明において、ポリブチレンテレフタレートとは、ジオール成分の合計100モル%において、ブチレングリコール成分を70モル%以上100モル%以下含み、ジカルボン酸成分の合計100モル%において、テレフタル酸成分を70モル%以上100モル%以下含む樹脂である。ブチレングリコール成分以外のグリコール成分及びテレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分としては、ポリエステルに通常用いられる共重合成分を含むことができる。耐溶剤性及び耐熱性の観点からは、ポリブチレンテレフタレートは、ジオール成分の合計100モル%において、ブチレングリコール成分を85モル%以上100モル%以下含み、ジカルボン酸成分の合計100モル%において、テレフタル酸成分を85モル%以上100モル%以下含む樹脂であることが好ましく、ブチレングリコール成分を90モル%以上100モル%以下含み、テレフタル酸成分を90モル%以上100モル%以下含む樹脂であることが特に好ましい。
ポリブチレンテレフタレートに共重合しうる成分としては、ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、エイコ酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、トリメリット酸、およびピロメリット酸等の多官能酸等を挙げることができる。一方、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよびトリエチレングリコール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSなどの芳香族グリコール、ジエチレングリコール、およびポリテトラメチレングリコール等を挙げることができる。また、これらジカルボン酸及び/またはジオール成分を複数用いて共重合体とすることもできる。
また、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層には、ポリブチレンテレフタレート以外の樹脂を含んでも良い。ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層に好適に用いられるポリブチレンテレフタレート以外の樹脂としては、ポリブチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート共重合体以外のポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレートなどのポリエステル及び/またはこれらのポリエステルに上記共重合成分を共重合した共重合ポリエステルが好ましく用いられる。
また、本発明のフィルムを製造する際に発生するフィルム屑などを回収し、粉砕工程などの工程を経た再生原料をポリブチレンテレフタレートを主成分とする層に添加することにより、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層の構成成分がポリブチレンテレフタレートを主成分とする層に含まれることも、製造コストの観点から好ましい。
また、本発明において、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層はポリエチレンテレフタレートを主成分とする層の両面に積層することが好ましいが、一方のポリブチレンテレフタレートを主成分とする層と他方のポリブチレンテレフタレートを主成分とする層とは、ポリブチレンテレフタレートを主成分としさえすれば、同一の原料を用いることも、共重合成分やその含有量、粒子などの添加剤の添加量の異なる原料を用いることもできる。共通の押出機を用いて溶融押出が可能である観点からは、両外層のポリブチレンテレフタレートを主成分とする層が同一の原料を用いて製造したものであることが好ましい。また、同一の原料を用いる場合であっても、積層厚みを調整することにより両外層のポリブチレンテレフタレートを主成分とする層の厚みを異なるものとすることは制限されない。
また、本発明において、ポリエチレンテレフタレートとは、ジオール成分の合計100モル%において、エチレングリコール成分を70モル%以上100モル%以下含み、ジカルボン酸成分の合計100モル%において、テレフタル酸成分を70モル%以上100モル%以下含む樹脂である。エチレングリコール成分以外のグリコール成分及びテレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分としては、ポリエステルに通常用いられる共重合成分を含むことができる。耐溶剤性及び耐熱性の観点からは、ポリエチレンテレフタレートは、ジオール成分の合計100モル%において、エチレングリコール成分を85モル%以上100モル%以下含み、ジカルボン酸成分の合計100モル%において、テレフタル酸成分を85モル%以上100モル%以下含む樹脂であることが好ましく、エチレングリコール成分を90モル%以上100モル%以下含み、テレフタル酸成分を90モル%以上100モル%以下含む樹脂であることが特に好ましい。
エチレンテレフタレートに共重合しうる成分としては、上記ポリブチレンテレフタレートの共重合成分として例示したものと同様の成分を用いることができ、カルボン酸及び/またはジオール成分を複数用いて共重合体とすることも出来る。その中でも、成形性と耐熱性の両立の観点から、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジメタノールが好ましく用いられる。
また、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層には、成形性の観点から、ポリエチレンテレフタレート以外の樹脂を含むことが好ましい。好ましい含有量としては、含有させる樹脂によって異なるが、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層の合計100質量%のうち、ポリエチレンテレフタレート以外の樹脂の含有量が0〜40質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、1〜10質量%であることが特に好ましい。ポリエチレンテレフタレートの含有量が60質量%未満であると成形時に厚み斑が発生する場合がある。ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層に好適に用いられるポリエチレンテレフタレート以外の樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレートなどのポリエステル及び/またはこれらのポリエステルに上記共重合成分を共重合した共重合ポリエステルが好ましく用いられる。
また、本発明のフィルムを製造する際に発生するフィルム屑などを回収し、粉砕工程などの工程を経た再生原料をポリエチレンテレフタレートを主成分とする層に添加することにより、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層の構成成分がポリエチレンテレフタレートを主成分とする層に含まれることも、製造コストの観点から好ましい。

本発明の成形用フィルムには、目的や用途に応じて各種の粒子を含有することができる。含有する粒子は、ポリエステル樹脂に不活性なものであれば特に限定されないが、無機粒子、有機粒子、架橋高分子粒子、重合系内で生成させる内部粒子などを挙げることができる。これらの粒子を2種類以上添加しても構わない。かかる粒子の含有量は、本発明の成形用フィルムを構成するすべての成分の合計100質量%に対して0.01〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは0.03〜5質量%である。
無機粒子の種類としては、特に限定されないが、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの各種炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの各種硫酸塩、カオリン、タルクなどの各種複合酸化物、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどの各種リン酸塩、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化チタンなどの各種酸化物、フッ化リチウムなどの各種塩を使用することができる。
また有機粒子としては、カルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩などを使用することができる。
架橋高分子粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸のビニル系モノマーからの単独重合体または共重合体が挙げられる。その他、ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機粒子も好ましく使用される。
ポリエステル重合系内で生成させる内部粒子としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などをポリエステルの反応系内に添加する方法、これらの化合物に加えてさらにリン化合物を重合系内に添加する方法などの公知の方法によって生成される粒子が挙げられる。
本発明の成形用フィルムには、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐電防止剤、可塑剤、粘着性付与剤、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤またはポリシロキサン等の消泡剤などの各種の添加剤を本発明の効果を阻害しない範囲で適宜配合することが出来る。
本発明の成形用フィルムの厚みは、10〜300μmであることが、取り扱い性と転写箔などの用途に適用した際の成形性の観点から好ましい。フィルムの厚みが10μm未満であるとトップコート層や加飾層などを形成する場合の工程通過性に劣る場合があり、300μmを超えると成形性に劣る場合がある。成形性の観点からは、より好ましくは20〜250μmであり、30〜200μmであることが特に好ましい。
また、本発明の成形用フィルムにおけるポリブチレンテレフタレートを主成分とする層とポリエチレンテレフタレートを主成分とする層の積層比は、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層の合計厚みとポリエチレンテレフタレートを主成分とする層の厚みの比が1:9〜5:5であることが、耐溶剤性と成形性の両立の観点から好ましい。より好ましくは1:9〜3:7であり、2:8〜3:7であることが特に好ましい。また、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層の厚みは、耐溶剤性の観点から、少なくともトップコート層を形成する面側の層の厚みが0.5〜20μmであることが好ましく、耐溶剤性と成形性の両立の観点からは、1〜10μmであることがより好ましく、1〜5μmであることが特に好ましい。

本発明の成形用フィルムは、トップコート層と積層することにより、成型転写箔とすることが出来る。つまり本発明の成型転写箔は、トップコート層と本発明の成型用フィルムとを含む。成型転写箔として用いるトップコート層の材料としては、公知のものを用いることができ、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂などを好ましく用いることができる。また、トップコート層の材料には、耐候性を向上させるために、紫外線吸収剤、紫外線反射剤などの添加剤を配合することが出来る。
成形用フィルム上にトップコート層を形成する方法は特に制限されず、例えばロールコート法、グラビアコート法、コンマコート法などのコート法、また、例えばグラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷方法がある。また、トップコート層上に耐溶剤性を向上させるためのポリオレフィン系樹脂などの保護層、印刷層や蒸着層などの加飾層、被転写物である成形体との接着性を向上するための接着層などの他の層を形成しても良い。トップコート層は、転写成型後に被転写物である成形体の表面層となるが、転写成形により成形体表面にトップコート層などの加飾層を形成し、積層フィルムを剥離した後に、成形体表面のトップコート層上にさらに熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、熱線硬化樹脂などの硬化性樹脂によるコーティング層を形成させても構わない。
次に、本発明の成形転写箔用フィルムの代表的な製造方法について説明するが、本発明はこれに限定されない。
本発明の成形用フィルムは、Tダイを用いた溶融押出法によって製造することができる。
本発明の成形用フィルムの製造においては、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層を構成する原料(A原料)と、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層を構成する原料(B原料)とをそれぞれ必要に応じて乾燥した後、溶融押出機に供給する。ここで、押出機はとしては、一軸押出機、二軸押出機のいずれも好適に使用できる。供給された樹脂は、各原料のうち主成分である樹脂の融点+20〜30℃の温度で溶融させた後、異物や粗大粒子などを除去するためにリーフディスクフィルターまたは金網メッシュを通過させる。次に、A原料/B原料/A原料の積層構成になるようにフィードブロックを通過させ、スリット状のTダイに導き、シート状に押出を行う。
本発明においては、Tダイリップ先端部分のアールの大きさ(図1)およびTダイのリップ間隙(図2)を調整することが本発明の凹凸形状を制御するために重要である。
本発明において、使用するTダイリップ先端部分のアールの大きさ(図1)は、20〜150μmであることが好ましく、より好ましくは40〜120μmである。アールの大きさが20μm未満であると、フィルム表面に形成される凹凸形状において、フィルムの幅方向の凹のピークと、それに隣り合う凸のピークの一方との、厚み方向の位置の差が大きくなりすぎて、成型転写箔として使用した場合に凹凸が転写して欠点となる場合がある。また、Tダイリップ先端部分のアールの大きさが150μmを超えると、凹のピークと、それに隣り合う凸のピークの一方との、幅方向の位置の差が大きくなりすぎて、易滑性が劣る場合がある。ここで、Tダイリップ先端部分のアールとは、デジタルマイクロスコープで観察して半径(r)を測定し、半径(r)を2倍した値(直径)を意味する。
また、本発明において、使用するTダイのリップ間隙(図2)は、0.7〜4.0mmとすることが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0mmである。Tダイのリップ間隙が0.7mm未満であると、フィルム表面に形成される凹凸形状においてフィルムの幅方向の凹のピークと、それに隣り合う凸のピークの一方との、厚み方向の位置の差が大きくなりすぎて、成型転写箔として使用した場合に凹凸が転写して欠点となる場合がある。また、リップ間隙が4.0mmを超えると凹のピークと、それに隣り合う凸のピークの一方との、幅方向の位置の差が大きくなりすぎて、易滑性が劣る場合がある。
押出されたシートは、冷却ロールに密着させて冷却固化を行う。冷却ロールに押出されたシートを密着させる方法としては、押出されたシートの両端部に針状エッジピニング装置を用いて電圧を印加する静電印加方式、シート全面にエアチャンバー装置を用いて圧縮空気を吹き付ける空圧方式、シート全幅にワイヤー式またはテープ式静電印加装置を用いて電圧を印加する静電印加方式、シート全幅にエアーナイフ装置を用いて圧縮空気を吹き付けるエアーナイフ方式などが挙げられるが、表面に形成した凹凸形状の冷却工程での変形を抑制する観点からは、エアーナイフ方式を用いることが好ましい。
冷却ロールの表面温度は、25〜65℃が易滑性の観点から好ましく、より好ましくは40℃〜65℃である。冷却ロールの表面温度が25℃未満であるとフィルムの易滑性に劣る場合があり、65℃を超えると結晶化が進みすぎて成型転写箔として使用する場合に成形性が不良となる場合がある。
冷却ロールの表面は、鏡面でも梨地でも構わないが、フィルムの冷却ロールへの密着性、粘着性、表面に形成した凹凸形状の変形抑制の観点から、光沢度の低下などのフィルム表面への影響が無い範囲で、梨地とすることが好ましい。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定、評価した。
(1)凹凸形状(凹のピークと凸のピークとの幅方向の位置の差(nm)、厚み方向の位置の差(nm)、凹のピークと凸のピークの合計(個/(10mm)))
成形用フィルムの表面を、(株)菱化システムVertScan2.0 R5300GL-Lite-ACを使用して幅方向に撮影し、付属の解析ソフトにより撮影画面を多項式4次近似にて面補正して表面形状を求めた。撮影条件は以下の通り。
製造元 : 株式会社菱化システム
装置名 : VertScan2.0 R5300GL-Lite-AC
測定条件 : CCDカメラ SONY HR-57 1/2インチ
対物レンズ 5x
中間レンズ 0.5x
波長フィルタ 530nm white
測定モード Focus
測定ソフトウェア : VS-Measure Version5.5.1
解析ソフトフェア : VS-Viewer Version5.5.1
なお、凹のピークとそれに隣り合う凸のピークとの幅方向の位置の差1および厚み方向の位置の差1は、1箇所につき、2.5mm幅の撮影を行い、任意の凹のピークとそれに隣接する一方の凸のピークとの関係について解析した値である。測定においては、フィルム表面の任意の10箇所について撮影し、解析して求めた値の平均値を測定値とした。
ここで、凹のピークまたは凸のピークについては、解析ソフトウェアの自動検出機能を使用して検出した凹の厚み方向の最小値を凹のピーク、凸の厚み方向の最大値を凸のピークとした。 また、上記任意の凹のピークに対して、反対側の凸のピークとの関係についても、同様に解析ソフトウェアの自動検出機能を使用して測定し、凹のピークとそれに隣り合う凸のピークとの幅方向の位置の差2および厚み方向の位置の差2とした。なお、2.5mm幅で撮影した際に凹のピークに隣接する凸のピークが撮影視野内に存在しない場合、撮影位置を幅方向に移動させて連続する2視野を撮影し、5mm幅相当の画像として解析を行った。
また、凹のピークと凸のピークの合計の値は、解析ソフトウェアの自動検出機能を使用して、1箇所につき2.5mm幅の撮影を幅方向に位置を移動させて連続する4点について行い、観察される凹のピークと凸のピークの数を合計することにより10mm相当の幅におけるピークの数を求め、これを1箇所における凹のピークと凸のピークの合計の値とした。測定においては、凹のピークと凸のピークの合計の値は、10箇所について同様に計数した値の平均値を測定値とした。
また、フィルムの測定面については、両面について測定を行い、平均値に対する個々の解析値のばらつきが少ない面を測定面とした。
(2)静摩擦係数(μd)
静摩擦係数をASTM−D−1894−63Tに準じ、23℃、65%RH、引張速度200m/分の条件で測定した。この測定法における本成形用フイルムの好ましい範囲は0.3〜1.0であり、以下のように判定した。なお、静摩擦係数の測定においては、VertScan法により測定した際に測定面とした側と同一の面について測定を行った。
○:1.0以下
×:1.0を超える
(3)凹凸の転写性
VertScan法により測定した際に測定面とした側をフィルムの転写面側とし、転写面側のフィルム表面に、アクリル系樹脂を用いてグラビアコート法で離型層を形成し、70℃で乾燥させた。その上に図柄層として、ビニル樹脂系インキによるメタリック色(アルミニウム顔料20%含有)のベタパターンをグラビア印刷で形成し、70℃で乾燥させた。次いで、40℃の温水で洗浄、乾燥し、最後にアクリル系樹脂の接着層を図柄上にグラビアコート法で形成し、70℃で乾燥させ、転写箔を得た。
上記により得られた転写箔を、布施真空株式会社製の三次元真空加熱成形機(TOM成形機/NFG−0406−T)にて、直径50mm、深さ30mmの深さ方向に直径が一定で、表面に文字サイズがフォント11の凹凸で形成されたロゴのある、アクリル樹脂製の円筒カップの凸部分に対して、金型温度100℃で金型内で接着層を内側にして、圧空条件300kPa/秒にて成形同時転写加工を行って転写箔の成形品を得た。
上記、転写箔の成形品に対し、転写箔の成形品表面の凹凸の転写状態を以下の基準で目視にて観察し、判定した。
○:凹凸の転写なし。
×:凹凸の転写有り。
(4)Tダイリップ先端部分のアールの大きさ(μm)
使用するTダイのリップ先端を横方向から、KEYENCE社製超解像デジタルマイクロスコープVHX−2000で100倍で観察した時に、図1に示すように半径rを求めた。この半径rを2倍して、直径を求めた。得られた直径をTダイリップ先端部分のアールの大きさとした。
(5)Tダイのリップ間隙(mm)
使用するTダイのリップの間隙に図2に示すように隙間ゲージを入れて測定した。

実施例および比較例には、以下のポリエステルおよび粒子マスターを使用した。
[ポリブチレンテレフタレートA(PBT−A)]
東レ(株)製“トレコン”(登録商標)1100Sのポリブチレンテレフタレート(融点225℃、固有粘度0.89dl/g)を用いた。
[ポリブチレンテレフタレートB(PBT−B)]
東レ(株)製“トレコン”(登録商標)1200Sのポリブチレンテレフタレート(融点225℃、固有粘度1.23dl/g)を用いた。
[ポリエチレンテレフタレートA(PET−A)]
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09重量%、三酸化アンチモン0.03重量部を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行った。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.20重量部を添加した後、重縮合反応槽に移行する。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常温により重縮合反応を行い、融点257℃、固有粘度0.71dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
[ポリエチレンテレフタレートB(PET−B)]
上記、ポリエチレンテレフタレートAの固相重合品、融点257℃、固有粘度1.23dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
但し、表中の略号は以下の通りである
PET:ポリエチレンテレフタレート
PBT:ポリブチレンテレフタレート
Figure 2013202999
Figure 2013202999
Figure 2013202999
実施例1〜5
ポリブチレンテレフタレートを主成分とする原料(A原料)として、PBT−A(100質量%)を用い、150℃で4時間減圧乾燥を行った後、押出温度250℃に設定した一軸押出機(L/D=28)にポリエチレンテレフタレートを主成分とする原料(B原料)として、PBT−A(5質量%)とPET−A(95質量%)の混合物を用い、180℃で4時間減圧乾燥を行った後、押出温度280℃に設定した一軸押出機(L/D=28)に、それぞれ投与し、A原料からなる層/B原料からなる層/A原料からなる層の3層になるようにフィードブロック積層装置を通し、280℃に設定した表1に示したリップ間隙(mm)、リップ先端アール(μm)に設定したTダイに導きフィルム状に押出し、押し出されたシートの両端部に針状エッジピニング装置を用いて静電印加方式およびエアチャンバー方式を併用して、温度60℃の表面粗さが8Sの梨地冷却ロールに密着させて冷却固化し、厚み75μmの成形用フィルムを得た。
このようにして得られた、本発明の成形用フィルムの各特性の測定結果は表に記した。また、このフィルムの静摩擦係数は小さく、これらのフィルムを用いた転写箔の成形品は、凹凸の転写もなかった。

実施例6〜10
ポリブチレンテレフタレートを主成分とする原料(A原料)として、PBT−B(100質量%)を用い、150℃で4時間減圧乾燥を行った後、押出温度250℃に設定した一軸押出機(L/D=28)にポリエチレンテレフタレートを主成分とする原料(B原料)
として、PBT−B(5質量%)とPET−B(95質量%)の混合物を用い、180℃で4時間減圧乾燥を行った後、押出温度280℃に設定した一軸押出機(L/D=28)に、それぞれ投与し、A原料からなる層/B原料からなる層/A原料からなる層の3層になるようにフィードブロック積層装置を通し、280℃に設定した表1に示したリップ間隙(mm)、リップ先端アール(μm)に設定したTダイに導きフィルム状に押出し、押し出されたシートの両端部に針状エッジピニング装置を用いて静電印加方式およびエアチャンバー方式を併用して、温度60℃の表面粗さが8Sの梨地冷却ロールに密着させて冷却固化し、厚み75μmの成形用フィルムを得た。
このようにして得られた、本発明の成形用フィルムの各特性の測定結果は表に記した。また、このフィルムの静摩擦係数は小さく、これらのフィルムを用いた転写箔の成形品は、凹凸の転写もなかった。
実施例11
ポリブチレンテレフタレートを主成分とする原料(A原料)として、PBT−A(96質量%)に粒子径4μmのシリカ粒子(4質量%)を添加した原料を用いたほかは実施例1と同様にして成形用フィルムを得た。
このようにして得られた、本発明の成形用フィルムの各特性の測定結果は表に記した。また、このフィルムの静摩擦係数は小さく、これらのフィルムを用いた転写箔の成形品は、凹凸の転写もなかった。
比較例1〜4
実施例1において、Tダイのリップ間隙(mm)、リップ先端アール(μm)を表のように変更した以外は同様にして厚み75μmの成形用フィルムを得た。
このようにして得られた、フィルムの静摩擦係数及び該フィルムを用いた転写箔の成形品の凹凸の転写については、満足できない結果となった。
比較例5〜8
実施例6において、Tダイのリップ間隙(mm)、リップ先端アール(μm)を表1のように変更した以外は同様にして厚み75μmの成形用フィルムを得た。
このようにして得られた、フィルムの静摩擦係数及び該フィルムを用いた転写箔の成形品の凹凸の転写については、満足できない結果となった。
本発明は、成形性、耐溶剤性(印刷塗工性)、転写箔の生産性に優れ、さらに厚み斑が少なく、易滑性に優れる成形用フィルムを得ることができる。
a1、a2 凹のピーク
b1、b2 凸のピーク
x1、x2 凹のピークと隣り合う凸のピークとの幅方向の位置の差
y1、y2 凹のピークと隣り合う凸のピークとの厚み方向の位置の差

Claims (4)

  1. Vert Scan法で表面を幅方向に観察した際に、少なくとも一方の表面においてフィルムの幅方向に凹と凸とが交互に存在し、凹のピークと、それに隣り合う凸のピークの一方との、幅方向の位置の差が、100〜2,000μmであり、凹のピークと、前記それに隣り合う凸のピークの一方との、厚み方向の位置の差が、10〜200nmであり、凹のピークと凸のピークの合計が、5個/(10mm)以上であることを特徴とする成形用フィルム。
  2. 凹のピークと、それに隣り合う凸のピークとの、幅方向の位置の差が、両側ともに100〜2,000μmであり、凹のピークと、それに隣り合う凸のピークとの、厚み方向の位置の差が、両側ともに10〜200nmであることを特徴とする請求項1に記載の成形用フィルム。
  3. ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする層を、この順に有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の成形用フィルム。
  4. トップコート層及び請求項1〜3のいずれかに記載の成形用フィルムを含むことを特徴とする、成型転写箔。
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