JP5531854B2 - 成型用積層体 - Google Patents

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Description

本発明は基材フィルムと保護フィルムとを有する成型用積層体に関する。詳しくは、熱処理においてもカール変形のない成型用積層体に関する。
印刷、装飾などの加飾を施した成型用の基材フィルムを用いて、成型体表面を装飾する方法が広まっている。このような成型用基材フィルムとしては、アクリル、ポリカーボネート、塩ビ素材などのシート材が用いられる。印刷や成型加工時に生じる傷や汚染防止などの防止するため、基材フィルムの表面を保護フィルムで保護することが行なわれている(特許文献1、特許文献2)。成型体表面に張り合わされた保護フィルムは加工の段階のいずれかの時点で剥がされた後、成型体として供される。
一方、成型用基材フィルムとしては、成型品としての剛性や耐溶剤性などの点から配向性を有するポリエステル系フィルムが用いられるようになってきている(特許文献3)。ポリエステル系フィルムからなる成型用基材フィルムは、印刷・ハードコート適性や表面の平滑さなどにおいても利点があり、成型用基材フィルムとしての用途が広がっている。
特開平10−166524号公報 特開2009−12219号公報 特開2005−171124号公報
印刷などの加飾処理では、予熱工程や乾燥工程において成型材に対して加熱処理が施される場合がある。また、成型工程においても基材フィルムの成型温度に応じて所定の加温処理が施される。この際、基材フィルムと保護フィルムを含む積層体については、加熱処理によりカールや変形が生じることがある。特に、配向性を有する延伸ポリエステル系フィルムは、未延伸シート材に比較して高い熱収縮率を有するため、バイメタル構造に由来する加熱カールが生じやすい。
さらに、近年、印刷加飾においては高精細化が進展しており、多色印刷での見当合わせに高度な精度が求められる。そのため、従来は問題ない程度の加熱カールであっても、印刷の位置ズレの問題が顕在化しつつある。
本発明は上記問題点、特に基材フィルムとして延伸されたポリエステル系フィルムを用いた場合であっても、加熱処理時のカールを防止し、取り扱い性と保護性の両特性を同時に満足する成型用積層体を提供するものである。
上記課題を解決する本発明は以下の構成を有する。すなわち、
(1)基材フィルムと、基材フィルムの一方の面に積層された保護フィルムを有する成型用積層体であって、前記基材フィルムが少なくとも一方向に延伸されたポリエステル系フィルムであり、前記保護フィルムがポリプロピレン系フィルムであり、下記測定法による熱カール値が50mm以下であることを特徴とする成型用積層体。
(熱カール測定)
500mm×500mmの成型用積層体試料について、90℃、30分間加熱処理した後、室温で30分放置した後の成型用積層体の4隅の変形高さの平均値を算出する。
(2)前記基材フィルムが融点200〜245℃のポリエステル系フィルムであることを特徴とする前記成型用積層体。
(3)前記ポリプロピレン系フィルムがホモポリプロピレン樹脂もしくはα−オレフィン含有量が5質量%以下のポリプロピレン系ランダム共重合樹脂からなることを特徴とする前記成型用積層体。
(4)前記保護フィルムが、基材フィルム面側に粘着剤層、他面側に剥離処理層を有することを特徴とする前記成型用積層体。
(5)基材フィルムにハードコート層、印刷層もしくはゴム強化スチレン系樹脂層の少なくとも1種の機能層が積層されている前記成型用積層体。
(6)前記成型用積層体を成型して得られる成型体。
(7)前記成型用積層体を50〜120℃に加熱し、金型面側を真空とし、他面側を1気圧超10気圧以下の気圧とし圧空成型を行なうことを特徴とする成型体の製造方法。
本発明の成型用積層体は、基材フィルムとして延伸ポリエステル系フィルムを用い、保護フィルムとしてポリプロピレン系フィルムを用いるための、加熱処理時のカールを防止し、取り扱い性と保護性の両特性を同時に満足しうるものである。
(基材フィルム)
本発明において、基材フィルムは製造工程において少なくとも一軸方向に延伸したポリエステル系フィルムであり、成型性を有することを特徴とする。ここで成型性とは、金型成型や圧空成型、真空成型などの成型加工により成型体を形成しうることをいう。具体的には成型によって局部的に伸長された部分において、部分的に高い応力が発生した際にも基材フィルムが破断せずに成型体を形成可能なフィルム応力特性を有するものである。
ポリエステル系フィルムとしては、低い温度や低い圧力下での加熱成型時の成型性に優れた共重合ポリエステルを含むポリエステルフィルムが好ましく、より好ましくは共重合ポリエステルとホモポリエステルを構成成分として含む二軸延伸ポリエステルフィルムである。
前記のポリエステル系フィルムの融点は、耐熱性及び成型性の点から、200〜245℃であることが好ましい。使用するポリマーの種類や組成、さらに製膜条件を前記融点の範囲内に制御することにより、成型性と仕上がり性とのバランスが取れ、高品位の成型品を経済的に生産することができる。ここで、融点とは、いわゆる示差走査熱量測定(DSC)の1次昇温時に検出される融解時の吸熱ピーク温度のことである。該融点は、示差走査熱量分析装置(マックサイエンス社製、DSC3100S)を用いて、昇温速度20℃/分で測定して求めた。融点の下限値は、210℃がさらに好ましく、特に好ましくは230℃である。融点が200℃未満であると、耐熱性が悪化する傾向がある。そのため、成型時や成型品の使用時に高温にさらされた際に、問題となる場合がある。以下に本発明のポリエステル系フィルムに用いる原料、好ましい製造方法を記述する。
本発明のポリエステル系フィルムは、芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール及び、分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールを含むグリコール成分とから構成される共重合ポリエステルを、二軸配向ポリエステルフィルムの原料の一部に用いることが好ましい。
前記共重合ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分が主としてテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体からなるが、全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸および/またはナフタレンジカルボン酸成分の量は70モル%以上、好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、とりわけ好ましくは100モル%である。
また、分岐状脂肪族グリコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオールなどが例示される。脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどが例示される。これらのなかでも、ネオペンチルグリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。さらに、本発明においては、上記のグリコール成分に加えて1,3−プロパンジオールや1,4−ブタンジオールを共重合成分とすることが、より好ましい実施態様である。これらのグリコールを共重合成分として使用することは、前記の特性を付与するために好適であり、さらに、透明性や耐熱性にも優れ、機能層との密着性を向上させる点からも好ましい。
さらに、必要に応じて、前記共重合ポリエステルに下記のようなジカルボン酸成分及び/又はグリコール成分を1種又は2種以上を共重合成分として併用してもよい。 テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とともに併用することができる他のジカルボン酸成分としては、(1)イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(2)シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(3)シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(4)p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
一方、エチレングリコール及び、分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールとともに併用することができる他のグリコール成分としては、例えばペンタンジオール、ヘキサンジオール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族グリコール及びそれらのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ダイマージオール等が挙げられる。さらに、必要に応じて、前記共重合ポリエステルに、さらにトリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合させることもできる。
前記共重合ポリエステルを製造する際に用いる触媒としては、例えば、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物などが使用できる。これらのなかでも、チタン化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物が触媒活性の点から好ましい。前記共重合ポリエステルを製造する際に、熱安定剤としてリン化合物を添加することが好ましい。前記リン化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸などが好ましい。
前記共重合ポリエステルは、成型性、密着性、製膜安定性の点から、固有粘度が0.50dl/g以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.55dl/g以上、特に好ましくは0.60dl/g以上である。固有粘度が0.50dl/g未満では、成型性が低下する傾向がある。また、メルトラインに異物除去のためのフィルターを設けた場合、溶融樹脂の押出時における吐出安定性の点から、固有粘度の上限を1.0dl/gとすることが好ましい。
また、フィルムの滑り性や巻き取り性などのハンドリング性を改善するために、フィルム表面に凹凸を形成させることが好ましい。フィルム表面に凹凸を形成させる方法としては、一般にフィルム中に粒子を含有させる方法が用いられる。前記粒子としては、平均粒子径が0.01〜10μmの内部析出粒子、無機粒子及び/又は有機粒子などの外部粒子が挙げられる。平均粒子径が10μmを越える粒子を使用すると、フィルムの欠陥が生じ易くなり、意匠性や透明性が悪化する傾向がある。一方、平均粒子径が0.01μm未満の粒子では、フィルムの滑り性や巻き取り性などのハンドリング性が低下する傾向がある。前記粒子の平均粒子径は、滑り性や巻き取り性などのハンドリング性の点から、下限は0.10μmとすることがさらに好ましく、特に好ましくは0.50μmである。一方、前記粒子の平均粒子径は、透明性や粗大突起によるフィルム欠点の低減の点から、上限は5μmとすることがさらに好ましく、特に好ましくは2μmである。なお、粒子の平均粒子径は、少なくとも200個以上の粒子を電子顕微鏡法により複数枚写真撮影し、OHPフィルムに粒子の輪郭をトレースし、該トレース像を画像解析装置にて円相当径に換算して算出する。
前記外部粒子としては、例えば、湿式及び乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、カオリン、クレー、ヒドロキシアパタイト等の無機粒子及びスチレン、シリコーン、アクリル酸類等を構成成分とする有機粒子等を使用することができる。なかでも、乾式、湿式及び乾式コロイド状シリカ、アルミナ等の無機粒子及びスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼン等を構成成分とする有機粒子等が、好ましく使用される。これらの内部粒子、無機粒子及び/又は有機粒子は二種以上を、本願発明で規定した特性を損ねない範囲内で併用してもよい。さらに、前記粒子のフィルム中での含有量は0.001〜10質量%の範囲であることが好ましい。0.001質量%未満の場合、フィルムの滑り性が悪化したり、巻き取りが困難となったりするなどハンドリング性が低下しやすくなる。一方、10質量%を越えると、粗大突起の形成、製膜性や透明性の悪化などの原因となりやすい。また、フィルム中に含有させる粒子は、一般的には屈折率がポリエステルと異なるため、フィルムの透明性を低下させる要因となる。
成型体の意匠性を高めるために、基材フィルムを成型する前にフィルム表面に印刷が施される場合が多い。このような印刷層は、基材フィルムの裏側に施されることが多いため、印刷鮮明性の点から、フィルムの透明性が高いことが好ましい。そのため、フィルムのハンドリング性を維持しながら、高度な透明性を得るために、主層の基材フィルム中に実質的に粒子を含有させず、厚みが0.01〜5μmの表面層にのみ粒子を含有させた積層構造を有する積層フィルムを用いることが有効である。なお、上記でいう「基材フィルム中に実質的に粒子を含有させず」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に検出限界以下となる含有量を意味する。これは意識的に粒子を基材フィルムに添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分などが混入する場合があるためである。
また、インキ密着性を付与するために基材フィルム表面に密着性改質層をコーティング法によって形成させることも好ましい態様である。コーティング法の場合、粒子を含有する密着性改質樹脂からなる組成物を塗布層として用いることで、印刷層との密着性も改良することができる。前記の密着性改質樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル系重合体および/またはそれらの共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる樹脂を用いてもよい。
本発明のポリエステル系フィルムは、単層でもよいし、他の機能を付与するために積層構造を採用することもできる。積層構造の形態は、特に限定されないが、例えば、A/Bの2種2層構成、B/A/B構成の2種3層構成、C/A/Bの3種3層構成の積層形態が挙げられる。
本発明のポリエステル系フィルムは、耐溶剤性や形態保持安定性の付与の点から少なくとも一軸方向に延伸された配向ポリエステル系フィルムであることが重要である。特に、二軸方向に延伸された二軸配向ポリエステル系フィルムは強度の点から望ましい態様である。
前記二軸配向ポリエステル系フィルムの製造方法として、例えばポリエステル樹脂を必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸シートを得た後、かかる未延伸シートを二軸延伸する方法を用いる。
二軸延伸方法としては、未延伸シートをフィルムの長手方向(MD)及び幅方向(TD)に延伸、熱処理し、目的とする面内配向度を有する二軸延伸フィルムを得る方法が採用される。これらの方式の中でも、フィルム品質の点で、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸するMD/TD法、又は幅方向に延伸した後、長手方向に延伸するTD/MD法などの逐次二軸延伸方式、長手方向及び幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方式が望ましい。また、同時二軸延伸法の場合、リニアモーターで駆動するテンターを用いてもよい。さらに、必要に応じて、同一方向の延伸を多段階に分けて行う多段延伸法を用いても構わない。
二軸延伸する際のフィルム延伸倍率としては、長手方向と幅方向に1.6〜4.2倍とすることが好ましく、特に好ましくは1.7〜4.0倍である。この場合、長手方向と幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよいし、同一倍率としてもよい。長手方向の延伸倍率は2.8〜4.0倍、幅方向の延伸倍率は3.0〜4.5倍で行うことがより好ましい。
縦延伸においては、後の横延伸がスムースにできるように、延伸温度は50〜110℃、延伸倍率は1.6〜4.0倍とすることがさらに好ましい。
前記共重合ポリエステルが共重合成分を1〜40モル%含む場合、降伏応力をなくすように延伸温度を高くしていくと、延伸応力は急激に低下する。特に、延伸の後半でも応力が高くならないため、配向が高くならず、ポリエステル系フィルムとしての形態安定性を保持しえない場合がある。
そのため、本発明の共重合したポリエステルを用いたフィルムの場合、横方向の延伸温度は、以下の条件とすることが好ましい。まず、予熱温度は50℃〜150℃とすることが好ましい。次いで、横延伸の前半部では延伸温度は予熱温度に対して−20℃〜+25℃とすることが好ましく、特に好ましくは−15℃〜+25℃とする。また、横延伸の後半部では、延伸温度は前半部の延伸温度に対して0℃〜−40℃とすることが好ましく、特に好ましくは−10℃〜−40℃とする。このような条件を採用することにより、横延伸の前半では降伏応力が小さいため延伸しやすく、また後半では配向しやすくなる。なお、横方向の延伸倍率は、2.5〜5.0倍とすることが好ましい。
さらに、二軸延伸後にフィルムの熱処理を行うが、この熱処理は、オーブン中で行う。また、熱処理温度及び熱処理時間は必要とされる熱収縮率のレベルによって、下記の範囲内で設定する。熱処理温度は120〜245℃の範囲が好ましく、特に好ましくは150〜240℃である。熱処理時間は、1〜60秒間行うことが好ましい。なお、かかる熱処理はフィルムをその長手方向及び/又は幅方向に弛緩させつつ行ってもよい。
さらに、本発明のポリエステル系フィルムは、印刷加工時等での加熱カールの防止の面から、長手方向及び横方向の150℃での熱収縮率の最大値が1.5%以上、6.0%以下であることが好ましい。1.5%未満とするためには共重合成分の添加を抑制しなければならず、成型性が不充分となり易い。上記150℃での熱収縮率が最大値の下限は1.7%以上がより好ましく、1.8%以上がさらに好ましい。また6.0%を超えると加熱による平面性の崩れによる取り扱い不良が発生し易い。上記150℃での熱収縮率が最大値の上限は5.0%以下がより好ましく、4.0%以下がさらに好ましく、3.0%以下がよりさらに好ましい。
フィルムの長手方向及び横方向の150℃での熱収縮率を上記範囲に制御するためには、熱処理温度を高くすること、熱処理時間を長くすること、弛緩処理を行うことが好ましい。具体的には、フィルムの長手方向及び幅方向における150℃での熱収縮率を6.0%以下とするためには、熱処理温度は200〜220℃で、弛緩率1〜8%で弛緩させながら行うことが好ましい。さらに、再延伸を各方向に対して1回以上行ってもよく、その後熱処理を行ってもよい。
フィルムの長手方向及び横方向の150℃での熱収縮率を上記範囲に制御するために、製造ラインを長くして熱処理時間を長くすることは設備上の制約により困難である。また、フィルムの送り速度を遅くすると、生産性が低下してしまう。このように、延伸区間までは区間温度を100℃近傍とかなり低温にすることが重要である。一方、熱固定では200℃程度の高温に速やかに昇温することが重要である。したがって、該課題を解決する方策として熱処理ゾーンに遠赤外線ヒーターを設置し加熱を補強することが好ましい実施態様として推奨される。
本発明のポリエステル系フィルムの厚みは、50〜400μmが好ましく、75〜300μmがより好ましく、80〜250μmがよりさらに好ましい。基材フィルムの厚みが上記下限以上の場合は、基材フィルムとしての強度が確保され、成型体としての形態保持に好適である。また、基材フィルムの厚みが上記上限以下の場合は、フィルム加工性の点で好適である。
基材フィルムには他の機能層を積層してもよい。例えば、ハードコート層、印刷層、ゴム強化スチレン系樹脂層などが挙げられる。これら機能層を設けることにより、成型体として各種用途に適用することができる。
印刷層としては、公知の方式の印刷方法により設けることが出来る。たとえば、溶剤型インキを用いたスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版型印刷、さらにはインキジェット型印刷がある。これらの印刷には、目的に応じて紫外線硬化型インキを適用しても良い。
ハードコート層としては、基材フィルムからなる基材の表面硬度を補い、耐擦傷性を向上せしめるべく、基材よりも高硬度な被膜を有し、かつ、成型時の変形にも追随可能な優れた成型性を有する層が好ましい。ハードコート層は、電離放射線硬化型樹脂を主成分とすることができる。電離放射線硬化型化合物とは、電子線、放射線、紫外線のいずれかを照射することによって重合、および/または反応する化合物のことを指し、かかる化合物が重合、および/または反応することによりハードコート層を構成する。電離放射線硬化型化合物としては、メラミン系、アクリル系、シリコン系の電離放射線硬化型化合物が挙げられるが、なかでも高い表面硬度を得る点でアクリレート系電離放射線硬化型化合物が好ましい。
ゴム強化スチレン系樹脂層としては、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン系ゴム−スチレン重合体)、AES(アクリロニトリル−エチレン・プロピレン系ゴム−スチレン重合体)、AAS(アクリロニトリル−アクリル系ゴム−スチレン重合体)樹脂などを用いることができ、成型体として剛性と外観に優れる。
以上、上記ポリエステル系フィルムを用いることで、成型時の成型圧力が10気圧以下の低圧下での真空成型や圧空成型などの成型方法においても、仕上がり性の良好な成型品を得ることができる。また、これらの成型法は成型コストが安いので、成型品の製造における経済性において優位である。なお、本発明のポリエステル系フィルムは、前記の成型方法以外にも、プレス成型、ラミネート成型、インモールド成型、絞り成型、折り曲げ成型などの成型方法を用いて成型する成型用材素材としても好適である。
(保護フィルム)
本発明の成型用積層体は、前記基材フィルムの一方の面にポリプロピレン系フィルムからなる保護フィルムを有することが重要である。基材フィルムと保護フィルムとは直接積層しても良いし、他の層を介して積層しても良い。
保護フィルムとしては、従来ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムやポリエチレンフィルムが用いられる。しかしながら、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムは高い耐熱性は有するものの、賦形の追従性が低く、成型用途への適用範囲が狭い。一方、ポリエチレンフィルムは、賦形の追従性は良いものの、耐熱性が乏しく、溶融したポリエチレンが成形品や金型に密着し、汚れが生じる。また、本発明の基材フィルムは所定の熱収縮率を有するため、これら保護フィルムではバイメタル構造による加熱カールが生じやすく、加工性が低下するという問題があった。
そこで、鋭意検討した結果、成型用ポリエステル系フィルムと同程度の加熱変形挙動を示すポリプロピレン系フィルムを保護フィルムとすることにより、加熱処理時の熱カールの発生を抑制することを見出したのである。
すなわち、一般的に用いられている保護フィルムの素材には、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、未延伸ポリエチレンフィルム等がある。延伸PETによる保護フィルムでは、耐熱性が高過ぎ、成型用ポリエステル系フィルムと貼り合わせた後に加熱工程を経ると、保護フィルムを外側に熱変形(熱カール)を発生させるので好ましくない。また、未延伸ポリエチレンによる保護フィルムでは、耐熱性が低いため熱カールは発生しないが、貼り合わせたままで熱成型加工を施すと、成型用ポリエステル系フィルムに貼り付き剥離し難くなるという別の問題点が発生する。これら保護フィルム素材の種類により熱特性の差が生じる原因としては、未延伸ポリエチレンフィルムに関しては融点や粘着性発現温度が加熱使用温度域に近いこと、延伸PETフィルムに関しては、加熱使用温度域付近にガラス転移温度があり、二軸延伸によって熱変形が抑制されるため、成型用ポリエステル系フィルムよりも熱変形し難い。
本発明のポリプロピレン系フィルムはポリプロピレン系樹脂を主成分とするが、好ましくはフィルムにおいてポリプロピレン系樹脂を70質量%以上含有するのが好ましく、さらには80質量%以上含有するのが好ましい。
本発明において用いられるポリプロピレン系樹脂は、ホモポリプロピレン樹脂、エチレンやその他のα−オレフィンを共重合されたランダム共重合ポリプロピレン樹脂、ブロック共重合ポリプロピレン樹脂から1種ないしは2種の混合により用いることができる。
透明性の点からはホモポリプロピレン樹脂またはエチレンやその他のα−オレフィンを共重合されたランダム共重合ポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。
上記のポリプロピレン系樹脂の組成に関しては特に限定するものではないが、ホモポリプロピレン樹脂、または、ランダム共重合ポリプロピレン樹脂であれば、耐熱寸法安定性の観点からα−オレフィン含有量が5質量%以下のポリプロピレン系ランダム共重合樹脂が好ましい。α−オレフィン含有量の上記下限を超える場合は、加熱処理時の融着により剥離性が低下する場合がある。
上記ポリプロピレン系樹脂全体の極限粘度は、1.5〜4.0、20℃キシレン可溶部の極限粘度は1.0〜4.0、20℃キシレン不溶部の極限粘度は1.0〜4.0であるものが取り扱い性、腰の強さの点で好ましい。また、本発明で使用するポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(以降MFRと略する)は230℃において2〜20g/10分であるものが好ましい。これらの範囲を超えて剛直なポリプロピレン系樹脂になると、成型用ポリエステル系フィルムと貼り合わせた際の応力差が生じやすく、加熱後の熱カールが過大に発生しやすくなる。
本発明のポリプロピレン系フィルムとしては所定の柔軟性を有する未延伸ポリプロピレンフィルムが好ましい。二軸延伸ポリプロピレンフィルムでは、剛性が高くなり、印刷の加熱乾燥などに用いられる90℃付近の温度域では延伸PETフィルムと同様に熱収縮率が小さくなり、熱カールが生じやすくなる。
ポリプロピレン系フィルムの長手方向及び横方向の150℃での熱収縮率の最大値は、1.0%以上5.0%以下が好ましく、1.3%以上4.0%以下がさらに好ましく、1.5%以上2.0%以下が好ましい。バイメタル構造による熱カールを抑制するためには、ポリプロピレ系フィルムと基材フィルムとの長手方向及び横方向の150℃での熱収縮率の最大値の差は小さい方が好ましい。前記熱収縮率の差は、2%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましい。
但し、熱カールの発生は単に熱収縮率の差に基づくものではなく、保護フィルムの柔軟性(弾性力)にも依存する。そのため、より柔軟な未延伸ポリプロピレン系フィルムの採用やフィルム厚みを適宜調整することが好ましい。
保護フィルムの厚みは10〜200μmとすることが好ましく、20〜100μmであることがより好ましく、25〜50μmであることがよりさらに好ましい。保護フィルムの厚みは上記下限以上であれば、基材フィルム表面を傷や汚れから好適に保護することができる。また、保護フィルムの厚みが上記上限以下であれば、保護フィルムの柔軟性により基材フィルムの加熱収縮に追従しやすくなり、熱カールが好適に低減できる。なお、保護フィルムは単層が好ましく、複層であってもよい。
保護フィルムには、取り扱い性、視認性などの目的で、無機およびまたは有機粒子を含むことも出来る。その他、本発明の効果を阻害しない範囲で熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、顔料、アンチブロッキング剤などを含むことも出来る。更に保護フィルムの一方の面に粘着剤層、他方の面に剥離処理層を含むことでロール巻状態での保護フィルムを形成することが可能になる。
保護フィルムには他の機能層を積層してもよい。例えば、粘着層、剥離処理層、帯電防止層が挙げられる。
粘着層としては、成型用ポリエステル系フィルムの上に糊残りを起こさない範囲であれば、アクリル系、シリコン系、ゴム系、ポリエステル系など、特に制限されるものではなく公知のものが用いることが出来る。取り扱い性の観点で好ましくはアクリル系樹脂である。
アクリル系の粘着性樹脂としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の単量体を重合することにより得られる。単量体の具体的な例として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。これらは、必要に応じて複数を共重合することもできる。
剥離処理層としては、シリコーン樹脂およびフッ素樹脂の中から選ばれた1種以上を主成分として含有することが好ましい。上記シリコーン樹脂としては、一般に剥離処理剤に利用されているシリコーン樹脂を用いることができ、「シリコーン材料ハンドブック」(東レダウコーニング編、1993.8)などに記載の当該分野で一般に使用されるシリコーン樹脂の中から選んで使用することができる。一般的には、熱硬化型または電離放射線硬化型のシリコーン樹脂(樹脂および樹脂組成物を包含して言う)が用いられる。熱硬化型シリコーン樹脂としては、例えば縮合反応型および付加反応型のシリコーン樹脂、電離放射線硬化型シリコーン樹脂としては、紫外線もしくは電子線硬化型のシリコーン樹脂などを用いることができる。これらを、基材であるフィルム上に塗布し、乾燥または硬化させることにより離型層が形成される。
さらに本発明に用いる保護フィルムには、静電気の発生を抑制する目的で帯電防止層を設けることが好ましい。この帯電防止層は、基材フィルムに帯電防止樹脂組成物を塗布することによって形成され得る。この帯電防止樹脂組成物に含まれる帯電防止剤としては、例えば、カチオン性帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、両性帯電防止剤、ノニオン性の帯電防止剤などの各種界面活性剤型帯電防止剤などが使用できる。
粘着剤層、離型層、および帯電防止層を、ポリプロピレン系フィルム表面に形成させる方法としては、特に限定されないが、コーティング法が好ましく用いられる。コーティング法としては、例えば、エアドクタコート法、ナイフコート法、ロッドコート法、正回転ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ビードコート法、スリットオリフェスコート法、キャストコート法などが用いられる。異なる層同士を積層する場合も同様である。
(成型体)
本発明の成型用積層体は、加熱加工によっても熱カールが生じにくく、かつ基材フィルム表面を傷や汚れから好適に保護しうる。そのため、本発明の成型積層体をそのまま、印刷や成型処理を施すことができる。
本発明の成型用積層体の後述の測定方法による90℃、30分間加熱処理後の熱カール値は50mm以下であり、好ましくは40mm以下であり、より好ましくは35mm以下である。上記熱カール値が上記上限以下であると、印刷や成型加工精度が向上し、高精細な印刷・加工処理が好適に可能となる。上記熱カール値の下限値は小さいことが好ましく、好ましくは0mmであり、より好ましくは5mmである。
基材フィルムと保護フィルムの厚みの比は、基材フィルム:保護フィルム=1:0.1〜0.5であることが好ましく、1:0.2〜0.4であることがさらに好ましい。保護フィルムの厚みが基材フィルムに比して厚すぎると、相対的に保護フィルムの柔軟性が低下するため熱カールが生じやすくなる。また、保護フィルムの厚みが基材フィルム厚みに比して薄すぎると、傷や汚れなどの表面保護性が低下する場合がある。
本発明の成型用積層体は、圧空成型、金型成型、真空成型などの種々の成型方法に対して好適に用いることができる。例えば、圧空成型の場合、50〜120℃に加熱し、金型面側を真空とし、他面側を1気圧超10気圧以下の気圧とし圧空成型を行なうことで、成型後の保護フィルムの融着もなく、剥離性も良好に保持することができる。
本発明の成型用積層体を成型加工して得られる成型体は、たとえば、自動車用の内装や外装の加飾材、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、ステレオ、携帯機器などの家電製品、化粧用コンパクト鏡などの鏡製品、自動車等の車両、船舶、航空機、建造物、遊具(スキー用ゴーグル等)、アミューズメント装置、その他各種機械装置類などに使用される銘板(表示板及びパネルを含む)として好適である。
(熱カールの測定)
基材フィルムの片面に保護フィルムを積層した状態で500mm角に裁断した成型用積層体試料を用意した。この試料を保護フィルム面を下にして90℃に設定した乾燥オーブン中に投入し30分間加熱処理した。取り出した試料を室温下で30分放置し、試料の角の4点の垂直方向のカール変形高さを300mmステンレス定規で計測、平均値をカール値として示した。ここで、カールの向きが保護フィルム側になる場合と基材フィルム側になる場合との両方が発生するが、角が測定面から浮き上がる状態で静置し測定を実施した。
(150℃での熱収縮率)
各フィルムの長手方向及び幅方向に対し、それぞれ長さ250mm及び幅20mmの短冊状試料を切り出す。各試料の長さ方向に200mm間隔で2つの印を付け、5gfの一定張力(長さ方向の張力)下で2つの印の間隔Aを測定する。続いて、短冊状の各試料の片側をカゴに無荷重下でクリップにて吊るし、150℃の雰囲気下のギアオーブンに入れると同時に時間を計る。30分後、ギアオーブンからカゴを取り出し、30分間室温で放置する。次いで、各試料について、5gfの一定張力(長さ方向の張力)下で、2つの印の間隔Bを金指により0.25mm単位で読み取る。読み取った間隔A及びBより、各試料の150℃での熱収縮率を下記式により算出する。
熱収縮率(%)=((A−B)/A)×100
(融点)
示差走査熱量分析装置(マックサイエンス社製、DSC3100S)を用いて、サンプル約7mgをサンプルパンに入れ、パンのふたをし、窒素ガス雰囲気下で室温から300℃に20℃/分の昇温速度で昇温して測定し、9・1項に定義される融解ピーク温度にて求めた。
(圧空成型テスト後の評価)
成型用積層体試料に5mm四方のマス目印刷を施した後、500℃に加熱した赤外線ヒーターでフィルムを10〜15秒加熱した後、金型温度80℃で、4気圧の加圧下で圧空成型を行った。なお、加熱条件は各フィルムに対し、上記範囲内で最適条件を選択した。金型の形状はカップ型で、開口部は直径が60mmであり、底面部は直径が55mmで、深さが50mmであり、全てのコーナーは直径0.5mmの湾曲をつけたものを用いた。この成型後、保護フィルムを剥がし、剥離の異常の有無を確認した。
実施例1
(塗布液の調整)
イソプロパノール40質量%水溶液に共重合ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、バイロナールMD−1250)を固形分で8.0質量%、平均粒径1.0μmのシリカ粒子を全樹脂に対し0.8質量%及び平均粒径0.05μmのシリカ粒子を全樹脂に対し10質量%含有するように、塗布液を調整した。次いで、バッグ式フィルター(住友スリーエム社製、リキッドフィルターバッグ)で濾過し、塗布液循環系ストックタンク内で、15℃で2時間撹拌した。
(基材フィルムの製造)
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位40モル%及びネオペンチルグリコール単位60モル%を構成成分とする、固有粘度が0.69dl/gの共重合ポリエステルのチップ(A)と、固有粘度が0.69dl/gで、かつ平均粒子径(SEM法)が1.5μmの無定形シリカを0.04質量%含有するポリエチレンテレフタレートのチップ(B)をそれぞれ乾燥させた。さらに、チップ(A)とチップ(B)を25:75の質量比となるように混合した。次いで、これらのチップ混合物を押出し機によりTダイのスリットから270℃で溶融押出し、表面温度40℃のチルロール上で急冷固化させ、同時に静電印加法を用いてチルロールに密着させながら無定形の未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に90℃で3.3倍に延伸した。次いで、一軸延伸フィルムの片面に、上記塗布液をリバースキスコート法により延伸前の樹脂固形分の厚みが0.9μmとなるように塗布した。塗布層を有するフィルムを乾燥しつつテンターに導き、120℃で10秒間予熱し、横延伸の前半部を110℃、後半部を100℃で3.9倍延伸した。さらに、横方向に7%の弛緩処理を行いながら235℃で熱固定処理を行い、厚さ188μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。本基材フィルムの融点は242℃であった。
(保護フィルムの製造)
エチレン含有量が0.5質量%のランダム共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=7)100質量部およびアクリレート系酸化防止剤であるスミライザーGS(住友化学社製)5質量%を含むホモポリプロピレン樹脂(MFR=7)よりなるアクリレート系酸化防止剤を含むマスターバッチ樹脂2質量部をTダイ製膜機にて溶融押出しを行い、冷却ロール温度60℃で冷却時間2.0秒(製膜速度60m/分)、溶融樹脂の引取り時のドラフト比0.64(ダイスリップギャップ:0.5mm、ダイスリップ出口溶融樹脂速度:4.8m/分、エアーギャップ:8cm)の製膜条件にて厚み40μmの未延伸フィルムを得た。
その片面に、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタアクリレート/酢酸ビニル/ヒドロキシエチルメタアクリレート/アクリル酸の各モノマーを重量比で45/45/6/1/3で配合し、窒素気流下、触媒添加、酢酸エチル中で重合して得た固形分30%のアクリル系樹脂溶液に、イソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン製、コロネートL)を適量添加し粘着剤とした。この粘着剤を、20g/mでワイヤーバー式塗布、80℃・5分間乾燥し乾燥後塗布量6g/mの粘着剤層を得た。
もう一方の面には、予めシリコン系離型剤(信越化学製、KS−774)を、トルエン/メチルエチルケトンの混合溶媒を用い乾燥後塗布量0.02g/m2になるよう塗布して離型層を作製しておいた。この保護フィルムを、188μmの基材フィルムとロールラミネーターを用いて貼り合せ、成型用積層体を得た。このフィルムを縦、横各々500mmで断裁し、評価用フィルムとした。
実施例2
実施例1と同様の方法で厚さ100μmの基材フィルムを作り使用した他は、実施例1と同じ保護フィルムを使用し成型用積層体を得た。
実施例3
実施例1と同じ基材フィルムに対して、保護フィルムとして、エチレン含有量が4.0質量%のランダム共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=7)100質量部およびアクリレート系酸化防止剤であるスミライザーGS(住友化学社製)5質量%を含むホモポリプロピレン樹脂(MFR=7)よりなるアクリレート系酸化防止剤を含むマスターバッチ樹脂2質量部を、実施例1と同様の方法で作り、成型用積層体を得た。
実施例4
実施例1と同じ基材フィルムに対して、保護フィルムとして、エチレン含有量が8.0質量%のランダム共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=10)100質量部およびアクリレート系酸化防止剤であるスミライザーGS(住友化学社製)5質量%を含むホモポリプロピレン樹脂(MFR=7)よりなるアクリレート系酸化防止剤を含むマスターバッチ樹脂2質量部を、実施例1と同様の方法で作り、成型用積層体を得た。
比較例1
実施例1と同じ基材フィルムに市販のPET系保護フィルム(サンエー化研製、サニテクトH225E)25μmを貼り合わせ縦、横各々500mmで断裁し、成型用積層体とした。
比較例2
実施例1と同じ基材フィルムに市販のPE系保護フィルム(大王加工紙製、FM−5300)50μmを貼り合わせ縦、横各々500mmで断裁し、成型用積層体とした。
実施例1、2、3で得られた成型用積層体は、表面加工、印刷加工を想定した90℃・30分の加熱処理を施しても常用に差し支えないカールレベルを維持した。また貼りつけたままでの成型後の剥離性も良好な成型品が得られた。
一方、実施例4に示すα-オレフィン含有量が8質量%のPP系保護フィルムでは、熱カールは良好であったが、成型後の剥離性に劣り、188μmの基材フィルム表面に付着汚れが生じ外観が低下した。
比較例1に示す通常のPET系保護フィルムは、貼り合わせたままでの90℃・30分の加熱処理後に50mm以上のカールを生じ取り扱い性が甚だしく低下した。
また、比較例2のPE系保護フィルムは、熱カール性は良好であるが成型後の剥離性に劣り、金型や188μmの基材フィルム表面に付着残りが生じ外観が低下した。
Figure 0005531854
本発明は、ポリプロピレン系保護フィルムを用いることで加熱処理時のカールを防止し、とくに印刷時の加熱による乾燥の容易化、取り扱い性と保護性の両特性を同時に満足する成型用積層体として好適に使用することが出来る。このため、建材用部材や携帯電話用基材などの加飾成型用部材、自動車用の内装や外装の加飾材、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、ステレオ、携帯機器などの家電製品、化粧用コンパクト鏡などの鏡製品、自動車等の車両、船舶、航空機、建造物、遊具(スキー用ゴーグル等)、アミューズメント装置、その他各種機械装置類などに使用される銘板(表示板及びパネルを含む)として好適である。特に、高温湿熱下での用いられる用途(浴槽、洗面台、台所、サニタリーなどの水回り用品、建材、外装、太陽光パネル等の屋外用品、自動車内装、屋根裏などにさらに好適である。

Claims (7)

  1. 基材フィルムと、基材フィルムの一方の面に積層された保護フィルムを有する成型用積層体であって、
    前記基材フィルムが少なくとも一方向に延伸されたポリエステル系フィルムであり、
    前記保護フィルムがポリプロピレン系フィルムであり、
    下記測定法による熱カール値が50mm以下であることを特徴とする成型用積層体。
    (熱カール測定)
    500mm×500mmの成型用積層体試料について、90℃、30分間加熱処理した後、室温で30分放置した後の成型用積層体の4隅の変形高さの平均値を算出する。
  2. 前記基材フィルムが融点200〜245℃のポリエステル系フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の成型用積層体。
  3. 前記ポリプロピレン系フィルムがホモポリプロピレン樹脂もしくはα−オレフィン含有量が5質量%以下のポリプロピレン系ランダム共重合樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載の成型用積層体。
  4. 前記保護フィルムが、基材フィルム面側に粘着剤層、他面側に剥離処理層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成型用積層体。
  5. 基材フィルムにハードコート層、印刷層もしくはゴム強化スチレン系樹脂層の少なくとも1種の機能層が積層されている請求項1〜4のいずれかに記載の成型用積層体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の成型用積層体を成型して得られる成型体。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の成型用積層体を50〜120℃に加熱し、金型面側を真空とし、他面側を1気圧超10気圧以下の気圧とし圧空成型を行なうことを特徴とする成型体の製造方法。
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