JP2009012219A - 合成樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

合成樹脂成形品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009012219A
JP2009012219A JP2007174122A JP2007174122A JP2009012219A JP 2009012219 A JP2009012219 A JP 2009012219A JP 2007174122 A JP2007174122 A JP 2007174122A JP 2007174122 A JP2007174122 A JP 2007174122A JP 2009012219 A JP2009012219 A JP 2009012219A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
synthetic resin
resin sheet
mold
molded product
resin molded
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007174122A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiro Kurosawa
和広 黒沢
Kimiyasu Yoshizaka
公靖 吉坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SAKAIYA KK
Sakaiya Co Ltd
Original Assignee
SAKAIYA KK
Sakaiya Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SAKAIYA KK, Sakaiya Co Ltd filed Critical SAKAIYA KK
Priority to JP2007174122A priority Critical patent/JP2009012219A/ja
Publication of JP2009012219A publication Critical patent/JP2009012219A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】
インモールド成形法を使用して製造する合成樹脂成型品において、合成樹脂成型品の製造過程において生じる、合成樹脂シートの外表面に生じる擦り傷を無くすることによって、合成樹脂成型品の外観品質を向上させることを課題とするものである。
【解決手段】
合成樹脂シートの片面に印刷層を設けるステップと、印刷層を設けた合成樹脂シートを所定の形状に切断加工するステップと、合成樹脂シートの印刷層を設けた反対面が金型に接する面となるようにして、合成樹脂シートを金型内に設置するステップと、合成樹脂シートと金型によって画成される空間に溶融合成樹脂を射出し、合成樹脂シートと一体化した合成樹脂成形品を成形するステップと、から成る構成の合成樹脂成形品の製造方法であって、前記合成樹脂シートを金型内に設置するステップにおいて、合成樹脂シートが金型に接する面に保護フィルムを配置するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、意匠面を有する合成樹脂成形品において意匠面の外観品質を向上させることができる合成樹脂成形品の製造方法を提供するものであり、更に詳細には、インモールド成形法を利用した、高品質な意匠面を有する合成樹脂成形品の製造方法を提供するものである。
近年、自動車の内装品や家電製品など、直接ユーザーの目に触れ、あるいはユーザーが直接手に触れる合成樹脂成形品においては、装飾性や触感を向上させるために、合成樹脂表面に平滑な面を持った意匠面を設けるようになってきている。
合成樹脂成形品の装飾性を高めるために、これまでは射出成形等によって成形された合成樹脂成形品の外表面に後から印刷、塗装を施して仕上げるのが一般的であった。しかし、合成樹脂成形品の外表面を印刷により加飾する場合には、種々の問題が生じる。
例えば、合成樹脂成形品に印刷を施す場合、合成樹脂成形品を固定して位置決めするためのセットアップ治具が必要になるが、このようなセットアップ治具は、一般的に複雑な形状になるため製作に費用がかかりすぎるという問題がある。また、合成樹脂成形品の製造バラツキによって高品質の印刷面が得られにくく、その結果製品歩留まりが低下するという問題もある。
更に、多色刷り印刷を行う場合には、合成樹脂製品の表面に付着した塵埃を取り除く必要が生じ、これを取り除く洗浄作業において、合成樹脂成形品の角の部分が欠けたり、あるいは出っ張り部分が欠け落ちたりすることがあった。
また、合成樹脂成形品が単曲面あるいは複曲面を有するような場合、パッド印刷という特殊な印刷方法を採用せざるを得なくなる。このパッド印刷は、パッド上に一旦インクを転写させた上で、パッドを合成樹脂成形品の外表面に押し当て、インクを合成樹脂成形品の外表面に転写するという方法をとっているため、印刷層が薄くなったり、印刷ムラが生じたりするため、例えば、自動車の計器盤や空調用パネルあるいはオーディオ製品等のバックライティングを行う場所等に使用すると、バックライティングによって浮き立たせるようにした絵柄や文字にピンホールが現れたり、地色の部分(例えば、黒地の部分)に夜空の星のごとく漏光が生じてしまい、外観品質を大きく低下させてしまうという問題があった。
そして、最も重要なことであるが、合成樹脂成形品の外表面に一つ一つ印刷を行うと、多大な人手がかかり、大幅なコスト増加につながるという問題があった。
このような問題を解決するために、意匠面をなす印刷層を備えた合成樹脂シートを表皮材として成形金型の内側面に予め配置し、その合成樹脂シートの裏面側に溶融した合成樹脂を射出し、この合成樹脂シートと溶融合成樹脂を融着一体化させることにより、綺麗な意匠面を有する合成樹脂成形品を製造するインモールド成形法という製造方法が採用されてきている。
インモールド成形法は、意匠の自由度が高く、また意匠の位置精度を高く維持することが可能である。また、透過意匠(バックライティングとも言い、成形品の後方あるいは横方向から光を当て、これを前面から見た場合に、印刷された絵柄や文字が明るく浮かびあがって見える意匠部分のことを言う)を設けることも可能である(特許文献1参照)。更に、絵柄や文字の印刷状態を制御することにより透過意匠部の光の透過の程度を調節することも可能になるなどの長所を有している。また、インモールド成形法の製造条件を改良することによっては、合成樹脂成形品に生じるウェルドラインやゲートマークを外観上見えなくようにすることも可能となる。
しかしながら、このようなインモールド成形法を採用した場合、印刷層を備えた合成樹脂シートを表皮材として成形金型の内側面に予め配置しておく必要があるが、これを金型内に配置する際に、合成樹脂シートと金型が擦れ、合成樹脂シートの外表面(金型に接触する面)に微小な擦り傷が無数に生じる。このような擦り傷は、完成した合成樹脂成型品の外表面に残ってしまい、合成樹脂成型品の外観品質を大きく低下させてしまうことになる。合成樹脂シートの意匠面に印刷された色(例えばピアノブラックのような黒色)によっては、この擦り傷が特に目立つようになる。
このような合成樹脂シートの外表面に生じる擦り傷の問題を解決するために、金型内面を鏡面仕上げにしたとしても、かかる問題を解決するには至っていない。
また、このようなインモールド成形法を採用した場合、意匠面をなす合成樹脂シートを予め金型形状に合わせて、所定の形状に切断したり、あるいは金型の形状(例えば曲面)に沿うように、合成樹脂シート単体で予備成型しておく必要が生じる場合もある。
このような合成樹脂シートの切断工程や予備成型の工程においても、射出成型の工程と同様、合成樹脂シートの外表面に微小な擦り傷が無数に生じ、合成樹脂成型品の外観品質を更に低下させてしまう原因になっている。
また、合成樹脂成型品の側面(立ち上がり部分)にまで合成樹脂シートを回す(配置する)ことができない部分においては、合成樹脂成型品の当該側面を斜め方向から見ると、合成樹脂シートの端面が直接視認することができるようになるため、この合成樹脂シートの端面に存在する切断傷等が目立ち、合成樹脂成型品の外観品質を更に低下させてしまうという問題もある。
特開2002-178362号公報
本発明はかかる問題を解決するためになされたものである。即ち、意匠面をなす印刷層を備えた合成樹脂シートを表皮材として使用するインモールド成形法を使用して製造する合成樹脂成形品であって、当該合成樹脂成形品の製造過程において生じる、合成樹脂シートの外表面に生じる擦り傷を無くすることによって、合成樹脂成型品の外観品質を向上させることを課題とするものである。
更に、合成樹脂成型品の側面(立ち上がり部分)にまで合成樹脂シートを回す(配置する)ことができない部分において、合成樹脂シートの端面に存在する切断傷等が外観上目立たないように処理することによって、合成樹脂成型品の外観品質を更に向上させることを課題とするものである。
上述したような課題を解決するために、請求項1に記載された発明においては、合成樹脂シートの片面に印刷層を設けるステップと、印刷層を設けた合成樹脂シートを所定の形状に切断加工するステップと、合成樹脂シートの印刷層を設けた反対面が金型に接する面となるようにして、合成樹脂シートを金型内に設置するステップと、合成樹脂シートと金型によって画成される空間に溶融合成樹脂を射出し、合成樹脂シートと一体化した合成樹脂成形品を成形するステップと、から成る構成の合成樹脂成形品の製造方法であって、前記合成樹脂シートを金型内に設置するステップにおいて、合成樹脂シートが金型に接する面に保護フィルムを配置するようにした。
また、請求項2に記載された発明においては、請求項1に記載された合成樹脂成形品の製造方法であって、合成樹脂シートを所定の形状に切断加工するステップにおいて、更に、合成樹脂シートの少なくとも印刷層を設けた反対面に保護フィルムを配置して切断加工する構成とした。
また、請求項3に記載された発明においては、請求項1または2に記載された合成樹脂成形品の製造方法であって、保護フィルムがポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッソ樹脂系、ポリビニルブチラール、ポリビニルクロライド、PVA、EVA、PP、LDPE、ポリウレタンフィルノいずれかから選択されたものである構成とした。
更に、請求項4に記載された発明においては、請求項3に記載された合成樹脂成形品の製造方法であって、保護フィルムのガラス化点温度が60℃以上である構成とした。
また、請求項5に記載された発明においては、請求項4に記載された合成樹脂成形品の製造方法であって、保護フィルムの厚さが0.01〜0.2mmである構成とした。
また、請求項6に記載された発明においては、請求項1乃至5のいずれかに記載された合成樹脂成形品の製造方法であって、合成樹脂シートの切断面が合成樹脂成形品の輪郭より0〜1mm内側になるように前記合成樹脂シートの寸法が設定される構成とした。
上述したような構成の発明とすることによって、意匠面をなす印刷層を備えた合成樹脂シートの外表面に生じる擦り傷を無くすることが可能になり、合成樹脂成型品の外観品質を向上させることができた。
更に、合成樹脂成型品の側面(立ち上がり部分)にまで合成樹脂シートを回す(配置する)ことができない部分において、合成樹脂シートの端面に存在する切断傷等が外観上目立たないようにすることが可能になり、合成樹脂成型品の外観品質を更に向上させることができた。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる合成樹脂成形品の基本的な製造工程を示したものである。本発明にかかる合成樹脂成形品の製造工程は、大きく分けて以下の6つの工程から成り立っている。
(1)合成樹脂シートに印刷層を印刷する工程 11
(2)印刷層を設けた合成樹脂シートを所定の形状に切断する工程 12
(3)所定の形状に切断した合成樹脂シートの一面を保護フィルムで覆う工程 13(予め保護シートを貼り合わせた後に所定の形状に切断する工程であってもよい)
(4)保護フィルムで覆われた面を金型に直接触れる面となるようにして合成樹脂シートを金型内に設置する工程 14
(5)溶融合成樹脂の射出により、合成樹脂シートと一体化した合成樹脂成形品を成形する工程 15
(6)合成樹脂成形品を金型から取り出し、合成樹脂成形品の外面(即ち、合成樹脂シートの外面)を覆う保護フィルムを除去する工程 16
ここでは、合成樹脂シート21を所定の形状に切断する工程の前に、保護フィルム30で合成樹脂シート21の一面を覆うようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、合成樹脂シート21を所定の形状に切断した工程の後に合成樹脂シート21を保護フィルム30で覆うようにしても良いし、または、合成樹脂シート21に印刷層28を印刷する工程の前に合成樹脂シート21を保護フィルム30で覆うようにしても良い。
本発明に使用される合成樹脂シート21としては、特に限定されるものではないが、板厚0.1mm程度から2.0mm程度の範囲の熱可塑性合成樹脂シート21が望ましい。合成樹脂シート21の板厚が薄すぎると、金型27内に設置する場合に腰が弱く、金型27の構造によっては金型面27a,27bからずれてしまうことがある。また、後述する溶融合成樹脂22の温度によっては合成樹脂シート21が部分的に溶けてしまい、その形状を保持できない場合がある。また、合成樹脂シート21の板厚が厚すぎる場合には、金型27に装着する際に金型27の形状に合わせて切断する必要があるが、この切断作業が難しくなる傾向にある。更に、合成樹脂シート21の板厚が厚すぎる場合には、金型27の曲面が強かったり曲面が複雑な形状をしていると、溶融合成樹脂22を射出しても合成樹脂シート21が金型内面に沿えず、所望の成形品を得ることができないという問題が生じる。また、バックライティングを行う場合には、この合成樹脂シート21は透明、または半透明であることが望ましい。
合成樹脂シート21に印刷層28を印刷する工程11において採用される印刷方式の代表的なものにスクリーン印刷がある。スクリーン印刷以外の印刷方式を採用した場合、一度の印刷で得られる印刷膜厚としては1μm以下の膜厚のものしか得られず、印刷層にピンホール等の欠陥が発生しやすい。従って、特にバックライティングするような場合や、ピアノブラック地のような高級感を持たせた印刷層を設ける場合には、ピンホール等の欠陥が発生しないことが必須の要件となり、このような欠陥が発生しにくい充分な印刷膜厚(例えば4μm以上)を一度の印刷で実現できるスクリーン印刷方式が望ましい。なお、バックライティングを行う領域であって、印刷部分が黒色で地を形成しているような場合(絵柄や文字ではない場合)や、ピアノブラック地を形成させようとする場合には、スクリーン印刷で二層の重ね印刷を施すことにより、印刷膜厚を充分厚く(例えば8μm以上)しておくことが望ましい。印刷部分が黒色で地を形成しているような場合(例えば、ピアノブラックのごときもの)には、絵柄や文字の印刷とは異なり、黒色の地の部分の面積が広い分ピンホールが発現しやすいからである。
合成樹脂シート21上に印刷する印刷層28は、合成樹脂シート21の片面のみに印刷されたものであっても良いし、両面に印刷することによって立体感を出すようしたものであっても良い。また、印刷層28には合成樹脂成形品23に加飾性を与えることができるデザイン性に富んだ模様や、ピアノブラックのような重厚な印象を与える黒色地が印刷される。また、バックライティングするような場合には、印刷層28のバックライティングする領域(透過意匠部とも言う)に、透光性又は不透光性の絵柄や文字を同時に印刷しておくことが必要になる。
上述したような印刷層28を施した合成樹脂シート21を後述するように金型27内に設置するために、合成樹脂シート21は金型27の開口部形状に合わせて切断加工される。合成樹脂シート21の切断は、鋏や裁断機(シャーリング)で切断することもできるが、打ち抜き金型を利用したプレス機械によって切断加工するようにしても良い。なお、ここでは、合成樹脂シート21に印刷層28を印刷したの後に、合成樹脂シート21を金型27の開口部形状に合わせて切断加工するように説明したが、これに限定されるものではない。即ち、合成樹脂シート21を金型27の開口部形状に合わせて切断加工した後に当該合成樹脂シート21に印刷層28を印刷するようにしても良い。
また、金型の開口部形状に合わせて切断加工された合成樹脂シート21は、金型の内面形状に合わせて予めフォーミングしておくようにしても良い。このフォーミングする方法としては、熱板式真空圧空成形法を使用したり、あるいはホットプレス成形法を使用したりすることができる。
合成樹脂シート21の一面を保護する保護フィルム30としては、合成樹脂シートが曲面を形成する場合にも一体となって撓むことができる程度の柔軟性と、合成樹脂シート21を保護するための十分な強度が必要であることから、ホ゜リエチレンテレフタレート、ホ゜リエーテルイミト゛、ホ゜リイミト゛、フッソ樹脂系、ホ゜リヒ゛ニルフ゛チラール、ホ゜リヒ゛ニルクロライト゛、PVA、EVA、PP、LDPE、ホ゜リウレタンフィルのいずれかから選択されたフィルムを使用することが望ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
保護フィルム30のフィルム厚さは0.01〜0.2mmの範囲にあることが望ましい。0.01mmより薄いと強度が弱く、合成樹脂シート21の外面を保護する機能が失われることがあり、0.2mmより厚いと柔軟性が失われ、合成樹脂シート21の外面に沿わせることが難しくなるからである。しかし、合成樹脂成形品がフラットな平板状の形状を有するような場合には、0.2mmより厚くなっても差し支えない。
また、保護フィルム30は耐熱性を有していることが望ましい。保護フィルム30は、加熱溶融された合成樹脂(ベース樹脂)が射出される金型27内に配置されるものであり、耐熱性がないと溶融合成樹脂22が金型27内に射出されたときに破損する恐れがあり、保護フィルムとしての機能を果たせなくなるからである。従って、保護フィルム30のガラス化点温度Tgが60℃以上、望ましくは80℃以上であることが要求される。
所定の形状に切断した合成樹脂シート21の一面を保護フィルム30で覆う方法としては、若しくは合成樹脂シート21の形状に合わせて保護フィルム30を裁断し、この保護フィルム30を合成樹脂シート21の保護面に重ねることによって行うことができる。このとき、保護フィルム30自身が有する粘着性を利用して合成樹脂シート21に保護フィルム30を接合するようにしても良いし、あるいは、後で保護フィルム30を合成樹脂シート21から剥がして除去することを考慮し、比較的接合力の弱い粘着液を合成樹脂シート21の保護すべき面に塗布しておき、その粘着液を塗布した面に裁断した保護フィルム30を貼付するようにしても良い。
なお、ここでは合成樹脂シート21を所定の形状に切断する前に保護フィルム30を合成樹脂シート21の保護面に貼付することについて説明したが、前述したように、合成樹脂シート21を所定の形状に切断した後に合成樹脂シート21を保護フィルム30で覆うようにしても良いし、合成樹脂シート21に印刷層28を印刷する前に合成樹脂シート21を保護フィルム30で覆うようにすることもできる。この場合においても、保護フィルム30自身が有する粘着性、あるいは比較的接合力の弱い粘着液を利用することによって、保護フィルム30を合成樹脂シートに貼付することができる。
保護フィルムで覆われた面を金型に直接触れる面となるようにして合成樹脂シート21を金型27内に設置する工程においては、合わせ型の開口部から合成樹脂シート21の保護フィルム30で覆われた面が金型27内面に向く、即ち合成樹脂成形品23の外表面(意匠面)となるようにして挿入し、セットする。金型27内の適切な位置に合成樹脂シート21を保持するようにするために、予め金型27に微小な孔を設けておき、この孔と真空ポンプ等の真空源とを接続させることによって金型内表面と合成樹脂シート21の間を真空状態に維持するようにしても良い。このように、金型27内に配置された合成樹脂シート21の外表面、即ち金型27と接触する面は、保護フィルム30によって保護されているので、合成樹脂シート21を金型に設置する際、あるいは後述する溶融合成樹脂23を金型27内に射出する際に合成樹脂シート21の外表面が傷つけられることは無い。
以上のように金型27内に一面を保護フィルム30で覆われた合成樹脂シート21を装着し、金型を閉じた後、合成樹脂シート21と一体化した合成樹脂成形品23を成形する工程15に移行する。この工程は、一般に行われている熱可塑性樹脂による射出成形の工程と基本的には同じであるが、溶融した熱可塑性樹脂(以後単に「溶融合成樹脂」と言う)はゲートを通り、既に装着されている合成樹脂シート21の背面と金型が成す空間に圧入される。従って、圧入される溶融合成樹脂によって予め金型内に装着してある合成樹脂シート21を破るようなことがないよう、例えばゲートの向きが、合成樹脂シート21と直行することがないようにするなどの配慮が必要となる。このように合成樹脂シート21の背面と金型が成す空間に溶融合成樹脂を圧入した後、溶融した合成樹脂の温度がある程度下がると合成樹脂シート21と一体化した合成樹脂成形品23が成形される。(圧入された溶融合成樹脂が凝固した部分を以後「ベース樹脂」と呼ぶことにする。)この段階では、合成樹脂成形品23の外表面(意匠面)には、合成樹脂シート21上に設けた保護フィルム30が残っている。
図2−3に基づいて、合成樹脂シート21と一体化した合成樹脂成形品23を成形する工程15について更に詳細に説明する。
図2は、図3に示す合成樹脂成形品23のA部における金型の状況を示したものである。
金型27aの内面側に保護フィルム30で一面を覆われた合成樹脂シート21を装着させておき、合成樹脂シート21の背面と金型27bとの間に画成される空間に溶融合成樹脂22が圧入される。このとき、合成樹脂シート21の保護フィルム30で覆われた面が金型27aに接触するように配置される。
溶融合成樹脂22は射出成形用ノズル26、スプルー25、およびゲート24を通って金型27a、27b内に導入される。金型27aの内面側に装着される合成樹脂シート21と保護フィルム30は、予め金型27aの内面形状に合わせて成形しておくこともできる。合成樹脂シート21の背面と金型27bとの間の空間に圧入された溶融合成樹脂22は、合成樹脂シート21に溶着接合すると共に、比較的低温の金型により冷却されて凝固する。その結果図3に示すような合成樹脂シート21とベース樹脂22(溶融合成樹脂22が凝固したもの)が一体になった合成樹脂成形品23ができ上がる。
この場合、印刷層28は合成樹脂シート21の保護フィルム30側に設けても良いし、合成樹脂シート21の溶融合成樹脂22側に設けても良い。
金型27a、27b内に導入された溶融合成樹脂23が冷えて凝固した後、合成樹脂成形品23は金型内から取り出され、その後合成樹脂シート21の外表面に配置された保護フィルム30が取り除かれる(工程16)。
以上説明したように、合成樹脂成形品23の製造に当たり、金型27内に合成樹脂シート21の金型27に接する面を保護フィルム30で保護するようにしたことによって、意匠面をなす印刷層28を備えた合成樹脂シート21の外表面に生じる擦り傷を無くすることが可能になり、合成樹脂成型品23の外観品質を向上させることが可能となった。
また、合成樹脂成型品23の輪郭部分のうち、合成樹脂シート21が角部のRに沿って合成樹脂成型品23の側方にまで伸びている場合は別として、合成樹脂成型品23の端部で合成樹脂シート21が切り上げられている場合、例えば図3におけるA部におけるような合成樹脂シート21の場合には、合成樹脂シート21の側方端面が合成樹脂成型品23の外表面から視認することができるため、合成樹脂シート21の側方端面に生じた細かい傷が外観を悪化させることがある。この問題を解決するための実施例について、図4を参照しながら説明する。図4は図3に示すA部のような孔を有する合成樹脂成型品23を製造するときの、A部の近傍を示した図である。孔の部分には、入れ子31と呼ばれる型が金型27a,27b内に設置されている。この場合、金型27内に設置される合成樹脂シート21と保護フィルム30の孔径をaとし、入れ子31の外径をbとすると、a−bを0〜2mm、更に好ましくは0〜1mmとして、合成樹脂シート21と保護フィルム30の内径と、入れ子31の外径との間に空隙を設けるようにする。このようにすることによって、溶融合成樹脂を圧入した場合に、この空隙の間に溶融合成樹脂が回りこんで凝固するため、合成樹脂成型品23の外表面からは、合成樹脂シート21の側方端面を視認することができなくなる。その結果、合成樹脂シート21の側方端面に生じた細かい傷が合成樹脂成型品23の外表面から見えなくすることができ、合成樹脂成型品23の外観品質を更に高めることが可能となる。
本発明は、自動車や電器製品の計器盤やスイッチパネル、あるいはオーディオ製品の操作パネルなどの他、建築内装部品や日曜雑貨等、幅広い分野に使用される合成樹脂成形品に利用することができる。
図1は、本発明にかかる合成樹脂成形品の基本的な製造工程を示したものである。 図2は、図3に示す合成樹脂成形品のA部近傍の金型の状況を示したものである。 図3は、本発明に従って成形された合成樹脂成形品の実施例であって、その断面を模式的に示したものである。 図4は、図3のA部を形成するための別の実施例を示したものであって、金型内での各要素の配置状況を模式的に示したものである。
符号の説明
11 合成樹脂シートに印刷層を印刷する工程
12 印刷層を設けた合成樹脂シートを所定の形状に切断する工程
13 所定の形状に切断した合成樹脂シートの一面を保護フィルムで覆う工程
14 保護フィルムで覆われた面を金型に直接触れる面となるようにして合成樹脂シートを金型内に設置する工程
15 溶融合成樹脂の射出により、合成樹脂シートと一体化した合成樹脂成形品を成形する工程
16 合成樹脂成形品を金型から取り出し、合成樹脂成形品の外面(即ち、合成樹脂シートの外面)を覆う保護フィルムを除去する工程
21 合成樹脂シート
22 溶融合成樹脂(又は、ベース樹脂)
23 合成樹脂成形品
24 ゲート
25 スプルー
26 ノズル
27a,27b 金型
28 印刷層
30 保護フィルム
31 入れ子

Claims (6)

  1. (1) 合成樹脂シートの片面に印刷層を設けるステップと、
    (2) 当該印刷層を設けた合成樹脂シートを所定の形状に切断加工するステップと、
    (3) 当該合成樹脂シートの印刷層を設けた反対面が金型に接する面となるようにして、当該合成樹脂シートを金型内に設置するステップと、
    (4) 当該合成樹脂シートと金型によって画成される空間に溶融合成樹脂を射出し、当該合成樹脂シートと一体化した合成樹脂成形品を成形するステップと、
    から成る合成樹脂成形品の製造方法であって、
    合成樹脂シートを金型内に設置するステップにおいて、合成樹脂シートが金型に接する面に保護フィルムを配置することを特徴とする合成樹脂成形品の製造方法。
  2. 請求項1に記載された合成樹脂成形品の製造方法であって、前記合成樹脂シートを所定の形状に切断加工するステップにおいて、更に、前記合成樹脂シートの少なくとも印刷層を設けた反対面に保護フィルムを配置して切断加工することを特徴とする合成樹脂成形品の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載された合成樹脂成形品の製造方法であって、前記保護フィルムがポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッソ樹脂系、ポリビニルブチラール、ポリビニルクロライド、PVA、IO、EVA、EVOH、PP、PE、ポリウレタンフィルムノいずれかから選択されたものであることを特徴とする合成樹脂成形品の製造方法。
  4. 請求項3に記載された合成樹脂成形品の製造方法であって、前記保護フィルムのガラス化点温度が60℃以上であることを特徴とする合成樹脂成形品の製造方法。
  5. 請求項4に記載された合成樹脂成形品の製造方法であって、前記保護フィルムの厚さが0.01〜0.2mmであることを特徴とする合成樹脂成形品の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載された合成樹脂成形品の製造方法であって、
    前記合成樹脂シートの切断面が前記合成樹脂成形品の輪郭より0〜1mm内側になるように前記合成樹脂シートの寸法が設定されていることを特徴とする合成樹脂成形品の製造方法。
JP2007174122A 2007-07-02 2007-07-02 合成樹脂成形品の製造方法 Pending JP2009012219A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007174122A JP2009012219A (ja) 2007-07-02 2007-07-02 合成樹脂成形品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007174122A JP2009012219A (ja) 2007-07-02 2007-07-02 合成樹脂成形品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009012219A true JP2009012219A (ja) 2009-01-22

Family

ID=40353728

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007174122A Pending JP2009012219A (ja) 2007-07-02 2007-07-02 合成樹脂成形品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009012219A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010228323A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Nec Personal Products Co Ltd プラスチックフィルムの印刷方法およびプラスチックフィルムと一体に成形された電子機器筐体
JP2012040713A (ja) * 2010-08-17 2012-03-01 Toyobo Co Ltd 成型用積層体
JP2018177183A (ja) * 2017-04-14 2018-11-15 冨士ベークライト株式会社 自動車用内装部品及びその製造方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006142698A (ja) * 2004-11-22 2006-06-08 Shin Etsu Polymer Co Ltd 多層成形体の製造方法および多層成形体
JP2006281740A (ja) * 2005-04-05 2006-10-19 Shin Etsu Polymer Co Ltd 加飾成形品用シート、加飾成形品及びその製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006142698A (ja) * 2004-11-22 2006-06-08 Shin Etsu Polymer Co Ltd 多層成形体の製造方法および多層成形体
JP2006281740A (ja) * 2005-04-05 2006-10-19 Shin Etsu Polymer Co Ltd 加飾成形品用シート、加飾成形品及びその製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010228323A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Nec Personal Products Co Ltd プラスチックフィルムの印刷方法およびプラスチックフィルムと一体に成形された電子機器筐体
JP2012040713A (ja) * 2010-08-17 2012-03-01 Toyobo Co Ltd 成型用積層体
JP2018177183A (ja) * 2017-04-14 2018-11-15 冨士ベークライト株式会社 自動車用内装部品及びその製造方法
JPWO2018189929A1 (ja) * 2017-04-14 2020-02-20 冨士ベークライト株式会社 自動車用内装部品及びその製造方法
JP6998037B2 (ja) 2017-04-14 2022-01-18 冨士ベークライト株式会社 自動車用内装部品及びその製造方法
JP7041967B2 (ja) 2017-04-14 2022-03-25 冨士ベークライト株式会社 自動車用内装部品及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9174536B2 (en) Functional unit with button functions
JP5818163B2 (ja) 射出成形装置及び積層成形品のフィルムインサート成形方法
JP4633181B2 (ja) 射出成形用金型及び複合品の製造方法
JP5065644B2 (ja) 化粧シート及びその製造方法並びに化粧シート付射出成形品
JP2017501376A (ja) 自動車用レーダーセンサのためのカバー
KR20140134235A (ko) 버튼 기능을 가진 기능 지지부
WO2013151071A1 (ja) 樹脂枠体付き板状体及び樹脂枠体付き板状体の製造方法
KR101034442B1 (ko) 성형 동시 가식성형품 및 성형 동시 가식성형품의 제조방법
JP4815622B2 (ja) 加飾性を向上させた合成樹脂成形品の製造方法
JP2008149635A (ja) 熱可塑性樹脂筐体及びその製造方法
JP2009012219A (ja) 合成樹脂成形品の製造方法
CN115083271A (zh) 一种带装饰纹理的隐藏式人机界面显示面板、装饰膜片及其制造方法
JP2005144986A (ja) 表示部の保護パネル及びその製造方法
JP2002178362A (ja) 合成樹脂成形品及びその製造方法
WO2004062905A1 (ja) 装飾用シート、成形品、自動車両ならびに成形品の製造方法
JP2006240033A (ja) 加飾シートおよび成形同時加飾成形品の製造方法
JP4472548B2 (ja) 成形同時両面加飾用金型および成形同時両面加飾成形品の製造方法
JP5530857B2 (ja) 樹脂成形装置、及び、樹脂成形方法、及び、多層成形品
WO2012105665A1 (ja) テキスタイル/樹脂積層構造ハウジング及びその製造装置
CN101407098A (zh) 模具及应用该模具成型成型品的方法
JP6528198B2 (ja) 射出成形方法
JP3964953B2 (ja) 艶消しインサートフィルムと艶消しインサート成形品の製造方法
JP7213663B2 (ja) 変形防止機能を備えたインモールド成形樹脂製品
JP2016026907A (ja) 内外装部品
JP4073470B1 (ja) フィルムインサート成形品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090702

A977 Report on retrieval

Effective date: 20110708

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20110726

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20111014

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Effective date: 20111014

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

A02 Decision of refusal

Effective date: 20111125

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02