JP6205868B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、特に電池外装用、医薬包装用に好適に使用できる二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
リチウム電池とは、リチウム2次電池ともいわれ、液状、ゲル状高分子、固体高分子、ポリマー電解質などを持ち、リチウムイオンの移動で電流を発生する電池であって、正極・負極活性物質が高分子からなるものを含むものである。リチウム2次電池の構成としては、正極集電材(アルミ、ニッケル)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料)/電解質層(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質)/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子負極材料)/負極集電材(銅、ニッケル、ステンレス)及びそれらを包装する外装体からなる。近年ではリチウム電池は、その高い体積効率、重量効率から多岐に渡って使用されており、パソコン、携帯端末装置(携帯電話、PDA等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星等に小型大容量電源として用いられている。
リチウム電池の外装体としては、金属をプレス加工し円筒状または直方体状に容器化した金属製缶、あるいは、最外層/アルミニウム/シーラント層から構成される多層フィルムを袋状にしたものが用いられている。しかしながら、金属製缶においては容器外壁が剛直であるため、電池自体の形状が決められてしまい、ハードウエア側を電池に合わせ設計するため、該電池を用いるハードウエアの寸法が電池により決定されてしまうなどデザインに制約ができてしまうという問題があるため、多層フィルムからなる袋状の外装体が好まれるようになってきている。リチウム電池の外装体として要求される物性・機能としては防湿性、耐内容物性(内容物として使用する電解液などの化合物に対する耐性、つまり内容物に対する安定性)、成形性等であるが、これらを満足するフィルム素材として現在使用されているものとしては、例えばポリアミドフィルムなどが用いられている(例えば特許文献1参照)。しかしながらポリアミドフィルムは防湿性、耐酸性(電解質の劣化や加水分解により発生する酸液に対する耐性)が不十分であり、改善が求められていた。また、防湿性、耐酸性に優れるポリエステルフィルムを用いた検討も行われている(例えば特許文献2参照)。しかしながら、ここで提案されているポリエステルフィルムは、成形性が必ずしも十分ではなく、深絞成形への対応は難しかった。また、フィルムの延伸倍率を高くすることにより深絞成形性を向上させたポリエステルフィルムも提案されている(例えば特許文献3参照)。しかしながら、ここで提案されているポリエステルフィルムは、金属箔と張り合わせた積層体を成形した後に成形体がポリエステルフィルム側への反りが大きくなる問題が生じていた。また、耐ピンホール性、耐衝撃性に優れるポリブチレンテレフタレート(以下、PBT)フィルムを使用することにより、成形性を改善した例が開示されている(例えば特許文献4参照)。しかしながら、ここで提案されているPBTフィルムは、PBTの結晶化抑制のためにチューブラ法にて作成されたものであり、成形性は未だ不十分であり、厚み不均一性に伴う品質の低下も招いていた。また、PETとPBTを厚み方向に多層積層する事により、Tダイ法にて二軸延伸フィルムを得る方法が開示されている(例えば特許文献5参照)。しかしながら、ここで提案されている方法で得られたフィルムは、伸び率が50%となった際の引張応力σ1と、降伏点における引張応力σ2との比である応力比A(σ1/σ2)が1.5未満であり、より厳しい成形条件においてPETとPBT層の間に層間剥離を生じるため商品として使用に耐えない場合がある。また、ポリアミドフィルムとポリエステルフィルムを貼り合わせるフィルムも検討されているが、貼り合わせの工程が必要となり、生産コストの増加を招いている。
また、医薬包装についても、内容物の劣化を防ぐために、アルミニウムを始めとする金属箔を有する包装形態のニーズが高まっており、内容物の形状に合わせて金属箔の成形性向上が求められている。
特開2006−236938号公報 特開2004−362953号公報 特開2011−204674号公報 特開2012−172091号公報 特開2004−122764号公報
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、電池外装用、医薬包装用として、成形性、耐反り性、耐酸性に優れ、かつ成型時の層間剥離のない積層体を提供するものである。
上記課題を解決するため、本発明では以下の構成とする。
ポリエステルAからなるA層とポリエステルBからなるB層とが厚み方向に交互に50層以上積層されたポリエステルフィルムであって、ポリエステルAが、DSC測定において、昇温速度が20℃/minの時の結晶融解熱量が20J/g以上60J/g未満であり、ポリエステルBが、(I)もしくは(II)のどちらかの特性と積層比を持ち、引張試験における応力−伸度曲線において、伸び率が50%となった際の引張応力σ1と、降伏点における引張応力σ2との比である応力比A(σ1/σ2)が1.5以上であり、引張応力σ2が100MPa未満であり、弾性率が4000MPa未満であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
(I)DSC測定において、昇温速度が20℃/minの時の結晶融解熱量が0.01J/g未満であり、A層/B層の各層厚みの積層比が1〜6の範囲にある。
(II)DSC測定において、昇温速度が20℃/minの時の結晶融解熱量が20J/g以上60J/g未満であり、ガラス転移温度が60℃以下であり、A層/B層の各層厚みの積層比が0.3〜5の範囲にある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、成形性と成形体の反りを改善したものである。高容量化対応の電池外装用構成体、医薬包装用構成体に好適に使用することができる。
フィルムの引張試験により得られる応力−伸度曲線の図である。 成形追従性の評価において成形できた構成体を真上からみた図である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステルAとポリエステルBとが厚み方向に交互に50層以上積層されてなることを要する。厚み方向の積層数としては、好ましくは100層以上であり、より好ましくは200層以上であり、さらに好ましくは400層以上である。このように層数が多くなることにより、層の界面の数が増加し、耐ピンホール性や耐衝撃性が向上して、成形性の向上につながる。また、使用するポリエステルがPBTのように結晶化速度が非常に速い樹脂を使用した場合においても、結晶化が抑制されて未延伸フィルムは極めて低い結晶状態を保っているため、高倍率延伸の安定性が飛躍的に向上する。積層数が50層より少ない場合には、得られた未延伸フィルムの結晶性が高くなり延伸性が低下するばかりでなく、極端な場合には延伸破れが発生する場合がある。
本発明の積層フィルムにおいては、その積層構成は特に限定されない。例えば、同種の樹脂のみを積層、2種の樹脂をランダムに積層、3種以上の樹脂を交互に積層するなど、任意の積層構成を選択することができる。具体的な積層構成としては3種類の樹脂層からなる場合を例にとると、たとえば全くランダムであっても良いし、A(BCA)n、A(BCBA)n、A(BABCBA)n(ここで、nは自然数)などの規則的順列で積層されていてもよい。より好ましくは、規則的序列で積層されていることである。
本発明では、積層フィルムを構成する主要な層の厚みが200nm以下であることが好ましい。ここで積層フィルムを構成する主要な層の厚みが200nm以下であるとは、フィルム断面において面積比率で約70%以上の部分が層厚み200nm以下の層から構成されている状態のことを言う。各主要な層の厚みを200nm以下とすることにより、一層に占める界面部分の割合が大きくなり、積層フィルム全体として層界面の物性が発現し、ガスバリア性、耐衝撃性、耐ピンホール性が向上する。また、加熱による結晶成長が抑制されるため、延伸性が格段に向上する。
本発明においては、ポリエステルA、Bには、本発明の効果が妨げられない限りにおいて、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶核剤、難燃剤、不活性無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤などが添加されていてもよい。ここで、粒子を添加する場合は、これら粒子は積層フィルムの積層界面を乱さないために平均粒径が主要な層の厚みの1倍から50倍程度であることが好ましい。また、積層フィルムの表層部に、これらの機能を持たせた層を設けることも可能である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、引張試験における応力−伸度曲線において、伸び率が50%となった際の引張応力σ1と、降伏点における引張応力σ2との比である応力比A(σ1/σ2)が1.5以上であり、引張応力σ2が100MPa未満であり、弾性率が4000MPa未満であることを要する。
また、二軸配向とは、構成高分子の主鎖が長手方向、幅方向の二軸方向に配向・配列したものであり、広角X線回折による極点図形や屈折率の面内分布などの異方性から判定できる。
このような構成を採ることにより、優れた成形性、強度および耐反り性を有し、特に冷間成形の際にこれらの特性を発揮できる。本発明において、冷間成形とは、樹脂のガラス転移点(Tg)未満の温度雰囲気下で行う成形をいう。かかる冷間成形はアルミニウム箔等の金属層との成形に用いられる冷間成形機を用いて、シート材料を雌金型に対して雄金型で押し込み、高速でプレスすることが好ましく、かかる冷間成形によると、加熱することなく型付け、曲げ、剪断、絞り等の塑性変形を生じさせることができる。
本発明において、フィルムの伸び率、応力比A、および弾性率は、引張試験(試料幅10mm、引っ張り間距離50mm、引張速度300mm/min)を実施し、これにより得られた応力−ひずみ曲線に基づいて求める。
ここで、上記引張試験により得られる応力−伸度曲線としては、例えば図1に示すものが挙げられる。
図1において、縦軸は二軸配向ポリエステルフィルムの引張応力σ(MPa)を示し、横軸は二軸配向ポリエステルフィルムの伸度(%)を示す。二軸配向ポリエステルフィルムの引張試験を実施すると、伸度の増加に伴い、引張応力σが略一次関数的に増加し、所定の伸度において引張応力σの増加傾向が大きく変化する。本発明ではこの点を降伏点として定義する。そして、伸度が更に増加し所定の歪みに到達するとフィルムが破断点に到達する。こうして得られた図1に示す応力−伸度曲線において、伸び率が50%となった際の引張応力σ1と、降伏点における引張応力σ2との比である応力比A(σ1/σ2)が、1.5以上であることが必要である。好ましくは1.7以上でありさらに好ましくは2.0以上である。応力比A(σ1/σ2)が、1.5未満であると、成形性が急激に低下することから好ましくない。このメカニズムについては明確に解明できていないが、本発明者らは次のように推定している。アルミニウム箔のような金属層とともにフィルムを成形させると、金属層はもともと変形しにくい材料であるため、フィルムに追従して変形されるが、フィルム変形時に明確な降伏点がある、つまり降伏点後の応力の傾きが小さいと金属層がその応力変化に追従できずに破断しやすくなる。このため、応力比Aが1.5以上であると金属層がフィルムの変形にそって追従変形できるものと推定している。
また、引張応力σ2は100MPa未満であることが必要である。より好ましくは80MPa未満である。また、弾性率は4000MPa未満であることが必要である。より好ましくは3800MPa未満である。引張応力σ2が100MPa以上もしくは4000MPa以上であると、強い成形力が必要となるため、成形した金属層が薄膜化しやすくなり成形性が低下する。また、成形後のフィルム収縮力が高くなり反りも大きくなるため好ましくない。
応力比A(σ1/σ2)1.5以上とするためには、分子鎖の配向を高くする必要があり、かかる延伸方向における延伸倍率としては、長手方向と幅方向のそれぞれの方向に、3.5〜4.5倍、好ましくは3.6〜4.2倍、さらに好ましくは3.7〜4倍で延伸を行う。一方で、配向を高くするとσ2と弾性率も高くなることから、単一のポリエステルフィルムにおいて、上述の応力比A、σ2、弾性率の値を満たすことは非常に困難である。
そのため、本発明においては、上記物性を満たすため、ポリエステルAが、DSC測定において、昇温速度が20℃/minの時の結晶融解熱量が20J/g以上60J/g未満の、いわゆる結晶性の樹脂であることを要する。ポリエステルAの結晶融解熱量が20J/g未満であると、分子鎖の結晶配向が阻害されるため応力比A(σ1/σ2)1.5以上を達成することが困難となり、また、フィルムの耐酸性も劣ったものとなる。
また、ポリエステルB及び層厚みの積層比(A層厚み/B 層厚み)は、以下のどちらかであることを要する。
(I)DSC測定において、昇温速度が20℃/minの時の結晶融解熱量が0.01J/g未満の、いわゆる非晶性の樹脂であり、A層/B層の各層厚みの積層比が1〜6の範囲にある。
(II)DSC測定において、昇温速度が20℃/minの時の結晶融解熱量が20J/g以上60J/g未満の、いわゆる結晶性の樹脂であり、
ガラス転移温度が60℃以下であり、A層/B層の各層厚みの積層比が0.3〜5の範囲にある。
このような構成をとることにより、応力比A(σ1/σ2)を高くしつつ、σ2と弾性率を低くすることが可能となる。特に、応力比A(σ1/σ2)を1.7以上、σ2を80MPa以下、弾性率を3800MPa以下とするには(II)の構成の方が好ましい。
また、ここで示される積層比とは、フィルム断面のTEM写真から得られた各層厚みの比率(A層厚み/B 層厚み)のことである。
本発明に用いる結晶性のポリエステルAは、合成が簡便であることから望ましくジカルボン酸成分とジオール成分とが重縮合して得られる構造を有する。ここでポリエステルAが結晶性であるとは、示差熱量分析(DSC)において昇温速度20℃/分の結晶融解熱量が20J/g以上であり、ポリエステルAとして用いうるものとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが代表的なものであり、これらの共重合体、ブレンド体であっても構わない。特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ好ましい。
本発明に用いる非晶性のポリエステルBは、合成が簡便であることから望ましくポリエステルA同様にジカルボン酸成分とジオール成分とが重縮合して得られる構造を有するものであることが望ましい。ここで、ポリエステルBが非晶性であるとは、示差熱量分析(DSC)において、昇温速度20℃/分の結晶融解熱量が0.01J/g以下であるものをいう。好ましい非晶性ポリエステルは、例えば、以下のジカルボン酸成分とジオール成分が重縮合して得られる構造を有するものである。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。グリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。特に好ましい非晶性のポリエステルBとしては、イソフタル酸または1,4−シクロヘキサンジメタノールが15〜40%共重合されたポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。B層に用いられる非晶性のポリエステルBは非晶性である限り2種以上のポリエステル樹脂が混合されたものであってもよい。
本発明に用いる、ガラス転移温度が60℃以下である結晶性のポリエステルBは、グリコール単位の90モル%以上が、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール由来の構造単位であり、かつ、ジカルボン酸単位の90モル%以上がテレフタル酸由来の構造単位であることが好ましい。

本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステルA(A層)とポリエステルB(B層)の層間密着強度が0.4N/mm以上であることが好ましい。層間密着強度が0.4N/mm以上であると、成型時や熱加工時の収縮による層間剥離を抑制することが可能となる。層間密着強度を0.4N/mm以上とするためには、ポリエステルA(A層)とポリエステルB(B層)の親和性を高めることが重要であり、本発明においてはポリエステルAからなる層をA層、ポリエステルBからなる層をB層とし、それぞれ、A層はポリエステルAが50質量%よりも多く含まれ、B層はポリエステルBが50質量%よりも多く含まれるそうであり、A層にポリエステルBを、またはB層にポリエステルAを5〜25質量%の範囲で添加することが好ましい。5質量%未満では層間密着性向上の効果は見られず、25質量%より多く添加すると、分子鎖の結晶配向が阻害されるため、より好ましい応力比A(σ1/σ2)1.7以上を達成することが困難となることがある。
本発明におけるポリエステルとは、ジカルボン酸誘導体とジオール誘導体との重縮合体であるポリエステル樹脂を含む。本発明に用いるポリエステルを与える、グリコールあるいはその誘導体としては、エチレングリコール以外に、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、それらの誘導体が挙げられる。また、本発明に用いるポリエステルを与えるジカルボン酸あるいはその誘導体としては、テレフタル酸以外には、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、並びに、それらの誘導体を挙げることができる。ジカルボン酸の誘導体としてはたとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどのエステル化物を挙げることができる。
本発明のポリエステルとしては、ホモ樹脂、共重合またはブレンドであってもよいが、ポリエステルAおよびポリエステルBの少なくとも一方は、ホモ樹脂であることが好ましい。両方の樹脂が共重合またはブレンド体であると、応力比A(σ1/σ2)が1.5以上であることを達成することが困難となることがある。ポリエステルの共重合し得るジカルボン酸成分として、例えば、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、セバシン酸、ダイマー酸が挙げられる。また、共重合し得るグリコール成分として、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、サンジメタノールなどが挙げられる。
また、ポリエステル同士をブレンドする場合、互いの樹脂が相溶化して分子鎖の結晶配向が阻害されるため、より好ましい特性である応力比A(σ1/σ2)が1.7以上であることを達成することが困難となることがある。そのため、ポリエステル同士の相溶化を抑制するために、ポリエステルAとポリエステルBの少なくとも一方の樹脂に含まれる触媒が失活されているものが使用されていると良い。ここでいう失活とは、ポリエステル中に含まれる触媒のエステル交換能が不活性化することである。最も失活効果の高い触媒は二酸化ゲルマニウム触媒であり、熱水に10分〜120分接触させることにより失活する。二酸化ゲルマニウム触媒を有するPET樹脂としては三井化学製の三井PETが挙げられる。
特に、ポリエステルAは、安価で適度な結晶延伸性を持つポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエステルBは、(I)の非晶性樹脂の場合、イソフタル酸または1,4−シクロヘキサンジメタノールが15〜40%共重合されたポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。ポリエステルBが(II)の結晶性樹脂の場合、ポリエステルBのグリコール単位の90モル%以上が1,4−ブタンジオール由来の構造単位であり、かつ、ジカルボン酸単位の90モル%以上がテレフタル酸由来の構造単位であることが好ましい。
このような構成を採り、かつ適正な延伸を行うことにより、応力比、引張応力σ2、弾性率を好ましい範囲とすることができる。
また、ポリエステルBのグリコール単位の90モル%以上が1,4−ブタンジオール由来の構造単位とした場合、延伸による結晶化が大きく、面倍率を12.3倍以上にするためには、B層の結晶化をできるだけ抑制することが好ましく、延伸区間に至るまでの予熱温度を、ポリエステルBのガラス転移温度(以下Tgと表す)より−10〜+20℃の範囲とすることが好ましい。Tg−10℃未満であると熱量不足によるフィルム厚み変動が生じやすくなり、Tg+10℃より大きいと結晶化の進行により延伸倍率を大きくすることが困難となる。予熱温度を低く設定することによりポリエステルAの延伸に要する熱量が不足する場合は、延伸区間におけるラジエーションの加熱容量を上昇することにより補う。
また、結晶化はフィルム厚みの厚いエッジ部分での進行が速く、エッジ部分での破れが問題となることが多いことから、口金の厚み調整や、テンターに入るまでにエッジ部分のトリミングを行い、(エッジ厚み/フィルム厚み)の値が5以下、好ましくは4以下となるように調整することが好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、耐熱性の観点から、190℃雰囲気下に10分保持したときの熱収縮率が5%以下であることが好ましい。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、電池外装用、医薬包装用として用いられる場合はポリエステルフィルム/アルミニウム箔/シーラントフィルムの構成で用いられることが多いが、シーラントフィルムをヒートシールする際、および電池製品となった後の降温環境下での耐熱性が必要となる場合がある。190℃における熱収縮率が5%以下である場合、構成体としてのカールの発生を抑制でき、かつ降温環境下に曝されたときの収縮起因によるポリエステルフィルム/アルミニウム箔間での剥離も抑制することができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの190℃雰囲気下に10分保持したときの熱収縮率を5%以下とするためには、例えば二軸延伸後のフィルムの熱処理条件を調整する方法が挙げられる。耐熱性、フィルム品位の観点から二軸延伸後の熱処理条件は200℃〜240℃であれば好ましく、210〜230℃であればさらに好ましい。また、熱処理時間としては、好ましくは10〜60秒間、より好ましくは15〜30秒間行うのがよい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。さらに、熱処理は、長手方向及び/又は幅方向に弛緩させながら行うことで、熱収縮率を低減させることができるため好ましい。熱処理時の好ましい弛緩率(リラックス率)は、3%以上であり、寸法安定性、生産性の観点からは、3%以上10%以下であれば好ましく、3%以上5%以下であれば最も好ましい。
また、2段階以上の条件で熱処理する方法も非常に好ましい。200℃〜240℃の高温での熱処理後に、熱処理温度より低い温度で、長手方向及び/又は幅方向に弛緩させながら熱処理することで、さらに熱収縮率を低減させることが可能となる。このときの2段階目の熱処理温度は120℃〜180℃であれば好ましく、150℃〜180℃であればさらに好ましい。
本発明に用いられるポリエステルフィルムは、金属箔積層後の成形追従性、成形後の耐反り性の観点から、厚みが、12μm以上40μmであることが好ましく、16μm以上38μm以下がさらに好ましく18μm以上30μm以下であれば最も好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、電池外装用に好ましく用いられる。電池外装には、電池性能維持のために、水蒸気の進入を防ぐ水蒸気バリア性、電解液で膨潤しない耐電解液性、高容量化へのニーズに対応する深絞成形性、深絞り成型時の反り返りが少ない耐反り性が求められる。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを金属箔と積層する事により水蒸気バリア性を有し(金属箔と積層した状態を以後、積層フィルムと呼ぶ)、また、積層フィルムは成形追従性が良好であり、さらに成形後の耐反り性も両立していることから、電池外装用途に適用することで高容量化に対応することができ、優れた電池外装用積層体さらには、構成体を得ることが可能である。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、医薬包装用途にも好ましく用いられる。医薬包装は、内容物の劣化を防ぐために、ガスバリア性、水蒸気バリア性が必要であり、印刷を施す仕様に対応できるように印刷適性が求められる。さらに、様々な形状の内容物に対応できるような深絞成形性へのニーズが高まっている。積層フィルムは成形追従性が良好であり、さらに成形後の耐反り性も両立していることから、医薬包装用途に適用することで、様々な形状の医薬品に対応することができる非常に優れた医薬包装用積層体さらには、構成体を得ることが可能である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを電池外装用もしくは医薬包装用途に用いる場合、内容物の劣化を防ぐためのバリア層である金属箔との積層が不可欠となる。最外層としてポリエステルフィルムを金属箔の片側に設けることによって、電池外装用などに用いた場合に、防湿性、内容物に対する安定性を確保することができる。金属箔を構成する金属としては、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル、チタン、錫、銀、金、亜鉛、鉄など目的に応じて使用することができる。中でも、成形性、ガスバリア性、水蒸気バリア性、強度、経済性の観点からアルミニウムを含有する層であることが好ましい。金属箔は、アルミニウム単体であってもよく、銅、亜鉛、マンガン、マグネシウム、シリコン、リチウム、鉄などが添加されたアルミニウム合金であってもよい。金属箔に対してアルミニウムの含有量が95質量%以上であることが好ましく、純アルミニウム系または、アルミニウム/鉄合金が好ましく用いられる。厚みは10μm以上100μm以下の金属箔であることが好ましく、厚みが10μm未満であると冷間プレスなどによる成形性に劣る。また、100μmを超えると特性向上が見込めない上に経済性の点で劣る。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムと金属箔を積層する方法としては、特に限定されないが、密着性の観点から接着剤を用いたドライラミネーションが好ましく用いられる。用いる接着剤としては、熱硬化タイプでも熱可塑タイプでも構わないが、熱硬化タイプが好ましい。例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルニトリル− ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート− ブタジエン共重合体、クロロプレン、ポリブタジェン等のゴム系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリブタジエン、あるいはこれらの樹脂のカルボキシル変性物、エポキシ系樹脂、セルロース系誘導体、エチレン酢酸ビニル系共重合体、ポリエチレンオキサイド、アクリル系樹脂、リグニン誘導体等からなる接着剤が挙げられる。ポリエステルフィルムと金属箔との密着性の点からは、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂からなる接着剤が好ましい。
本発明に用いられる二軸配向ポリエステルフィルムには金属箔との接着性を向上させるために、表面に、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、易接着処理を施すことも好ましい方法として挙げられる。
また、積層フィルムは、金属箔の上にさらにシーラントフィルムを積層してもよい。シーラントフィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン、 エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂、メチルペンテン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル単量体と共重合し得るエチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化アリル、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエーテル等と塩化ビニルとの共重合体及びこれらの混合物等の塩化ビニル系樹脂が好ましく用いられる。
また、金属箔とシーラントフィルムとの密着性を向上させるために、金属箔とシーラントフィルムの間に変性ポリオレフィン樹脂を介在させる方法も好ましく用いられる。ここで、変性ポリオレフィン樹脂とは、ポリオレフィン樹脂の片末端、両末端及び内部の少なくともいずれかに一つ以上の極性基を含有するポリオレフィン樹脂のことを指す。ここで、極性基とは、酸素原子、窒素原子など電気陰性度の大きな原子を含む官能基であり、具体的には、アミド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基などの官能基、およびそれら官能基を含む置換基である。
かかる変性ポリオレフィン樹脂としては、不飽和ジカルボン酸による変性、もしくは樹脂の酸化分解により変性されたポリオレフィン樹脂であることが好ましく、不飽和ジカルボン酸により変性された変性ポリオレフィン樹脂がより好ましい。具体的には低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、その他α−オレフィンモノマーからなるランダム共重合体、ブロック共重合体等のポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸で変性した変性ポリオレフィン樹脂であることが、ポリエステルフィルムとの層間密着性の点から好ましい。不飽和ジカルボン酸としては、無水マレイン酸が特に好ましく、つまりポリオレフィン樹脂を無水マレイン酸で変性した変性ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。
このような不飽和ジカルボン酸による変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、三洋化成製“ユーメックス”、三井化学製“アドマー”、三菱化学製“モディック”、アルケマ製“オレバック”、“ロタダー”、東洋化成製“トーヨータック”などの各種樹脂が挙げられる。また、樹脂の酸化分解により変性された変性ポリオレフィン樹脂としては、三洋化成製“ビスコール”、“サンワックス”などが挙げられる。
次に、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。
まず、本発明のフィルムで用いるポリエステルA,Bについては、市販されているポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂を購入し所望の組成にブレンド等して用いることができるが、たとえば、ポリエステルAとしてポリエチレンテレフタレート樹脂を用いる場合、以下のように重合することができる。
テレフタル酸ジメチル、およびエチレングリコールの混合物に、酢酸マグネシウムと三酸化アンチモンとを添加して、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行なう。ついで、該エステル交換反応生成物に、リン酸85%水溶液を添加した後、重縮合反応釜に移行する。重合釜内で加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1hPaの減圧下、290℃で重縮合反応を行い、所望の極限粘度のポリエチレンテレフタレート樹脂を得ることができる。粒子を添加する場合は、エチレングリコールに粒子を分散させたスラリーを所定の粒子濃度となるように重合反応釜に添加して、重合を行なうことが好ましい。
また、ポリエステルBに用いることができるポリブチレンテレフタレート樹脂の製造は、たとえば以下のように行なうことができる。テレフタル酸、および1,4−ブタンジオールの混合物を窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、オルトチタン酸テトラ−n−ブチルと、モノヒドロキシブチルスズオキサイドとを添加しエステル化反応を行なう。ついで、オルトチタン酸テトラ−n−ブチルを添加して、減圧下で重縮合反応を行い、所望の極限粘度のポリブチレンテレフタレート樹脂を得ることができる。
以上のようにして得られたポリエステルA,Bを用いて本発明のフィルムを製造する際の好ましい方法について、具体的に記述する。まず、使用するポリエステル樹脂を混合する場合は所定の割合となるように計量し混合する。ついで、窒素雰囲気、真空雰囲気などで、たとえば150℃5時間の乾燥を行い、ポリエステル樹脂中の水分率を好ましくは50ppm以下とする。
また、重縮合触媒として三酸化アンチモンの代わりにゲルマニウム化合物を使うことも好ましい。ゲルマニウム化合物は以下に記載する失活処理により失活効果が高いためである。好ましいゲルマニウム化合物として、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド等の化合物が挙げられる。ゲルマニウム化合物を使用する場合、生成ポリマー中のゲルマニウム残存量として好ましくは6〜70ppmであることが好ましい。
失活方法としては、得られたポリエステルチップを50〜100℃の熱水に10〜60分間浸漬させる方法が一般的である。
次に、ポリエステルA,Bは別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。
これらの2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出されたポリエステルAおよびBは、次に多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィールドブロックを用いることができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。そのフィードブロックの構造は、多数の微細スリットを有する櫛形のスリット板に部材を少なくとも1個有しており、2つの押出機から押し出されたポリエステルAとポリエステルBが、各マニホールドを経由して、スリット板に導入される。ここでは導入板を介して、樹脂Aと樹脂Bが選択的に交互にスリットに流入するため、最終的にはA/B/A/B/A・・・といった多層膜を形成することができる。また、スリット板をさらに重ね合わせることにより、層数を増やすことも可能である。また、両表層部に樹脂Cを設ける場合は、3つ目の押出機から樹脂Cを3層複合装置(フィードブロック)の表層側に導入し、中央層に多層膜を導入することによって、C/A/B/A・・・A/B/A/Cといった多層膜を形成することができる。
このようにして多層積層された溶融体を、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、たとえば、ワイヤー状電極もしくはテープ状電極を使用して静電印加する方法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
ついで、かかる未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行なう。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、それぞれの方向に、好ましくは、3.5〜4.5倍、さらに好ましくは3.6〜4.2倍、特に好ましくは3.7〜4倍が採用される。また、延伸速度は1,000〜200,000%/分であることが望ましい。また延伸温度は、ポリエステルBのガラス転移点(ガラス転移点+20℃)〜(ガラス転移点+70℃)の温度が採用される。好ましくは50〜100℃、特に好ましくは長手方向の延伸温度を55〜95℃、幅方向の延伸温度を60〜85℃とするのがよい。また、延伸は各方向に対して複数回行なってもよい。
さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行なう。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行なうことができる。この熱処理は120℃以上ポリエステルの融点以下の温度で行われるが、200〜240℃の熱処理温度とするのが好ましい。フィルムの透明性、寸法安定性の点からは210〜235℃であればより好ましい。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは1〜60秒間、より好ましくは1〜30秒間行なうのがよい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。さらに、横延伸工程の前で、インク印刷層や接着剤、蒸着層との接着力を向上させるため、少なくとも片面にコロナ処理を行ったり、コーティング層を設けることもできる。このときの塗工液はロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、バーコーター、ダイコーター、ディップコーター等の公知の塗工手段を用いて、前記透明基材に塗布する。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行なうことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として9〜30倍が好ましく、本発明の積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として12.3〜20.5倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+60℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行なうのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/または幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/または直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
また、得られたポリエステルフィルムは、必要に応じてコロナなどの表面処理をして、金属箔を接着させることができる。特に限定されないが、接着にはドライラミネート法を用いるのが好ましい。接着剤はウレタン系、アクリル系、エーテル系、エポキシ系などを用いればよい。接着後は接着力向上を目的に必要に応じてエージング処理を施せばよい。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、高容量化対応のためにアルミニウム箔を積層した後の成型性・耐反り性・耐酸性が重要な特性である。
(1)フィルム厚み、層厚み、積層比
フィルム全体の厚みを測定する際は、ダイヤルゲージを用いて、フィルムを200mm×300mmに切り出し、各々の試料の任意の場所5ヶ所の厚みを測定し、平均して求めた。また、各層厚みについては、フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、フィルム断面をミクロトームで切り出し、該断面を透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、フィルムの断面を40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影した。本発明の実施例では十分なコントラストが得られたため実施しなかったが、用いる熱可塑性樹脂の組み合わせによっては公知のRuOやOsOなどを使用した染色技術を用いてコントラストを高めても良い。得られた各層厚みからA層/B層の積層比を算出した。
(2)ポリエステルフィルムの破断伸度、応力、応力比、弾性率
フィルムを長手方向および幅方向に長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした(ここで長手方向とはフィルムの流れる方向(巻き取り方向)を表しており、幅方向とは長手方向に直交する方向をさす)。25℃、63%Rhの条件下で、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いてクロスヘッドスピード300mm/分、幅10mm、試料長50mmとしてフィルムの長手方向、幅方向について、引張試験を行い、応力−歪み曲線を得た。得られた応力−ひずみ曲線から、弾性率、破断伸度、降伏点応力(σ1)、50%伸度応力(σ2)を求めた。各測定は長手方向、幅方向それぞれ5回ずつ行い、長手方向と幅方向に測定した値の全ての平均値を用いた。
(3)ポリエステルA(A層)とポリエステルB(B層)の層間密着強度
層間密着強度はT−剥離試験により求めた。T−剥離試験はJIS K−6854に規定されたもののうち、T形剥離の方法を参考に行なった。サンプルとなるフィルムの両面にコロナ処理を行ない、接着剤を塗布した。コロナ処理方法と接着剤は接着剤の接着強度が0.5N/mm以上となるように選定した。詳しくは、サンプルとなるフィルムの表層がポリエチレンテレフタレートを75モル%以上含む場合は大気中でコロナ処理を行い、三井武田ケミカル(株)製接着剤タケラックA610と硬化剤タケネートA50と酢酸エチルを36:4:60で混合した接着剤を、塗布厚み3μmとなるようにメタバーを用いて塗布した。これに被着材として片面をコロナ処理した東レ(株)製PETフィルム“ルミラー”T60(厚み100μm)を両面に貼り合わせ、40℃で96時間硬化させた。このときチャックでつかむ部分として、被着材のPETフィルムを一辺だけサンプルのフィルムより50mm以上はみだすようにした。ただし、他の接着剤を用いて貼り合わせる場合、硬化温度、硬化時間は接着剤により十分接着強度が得られる条件で行う。他の接着剤を用いて張り合わせる場合、これら張り合わせの工程でサンプルとなるフィルムの特性が変わらないよう、接着剤を選定する。次に幅25±0.2mm、接着部分125mm以上、チャックでつかむ部分50mmとなるように切り出し、東洋精機製作所株式会社製の引張試験機で、被着材のPETフィルムを上下のチャックにはさみ、100±5mm/minでチャックを移動させてサンプルのフィルムが剥離する時の荷重を測定した。密着強度の値としては試験後のフィルム断面をTEMで観察し、A層とB層の層間で剥離しているサンプルを選び、被着材に破れがなくサンプルとなるフィルムが剥離した試験の剥離開始25mmから125mmまでの荷重の平均値を試験片の幅(25±0.2mm)で除した値を用いた。また、接着剤部分で剥離した場合やフィルムで破れが生じた場合は試験を再度やり直した。接着剤部分での剥離は剥離及び/または劈開部分を酢酸エチルでふき取り、接着剤がふき取られたか否かで判断した。1サンプルについて7検体測定し、最大値と最小値をのぞいた残り5つの値の平均値を表1に記載した。
(4)熱収縮率
フィルムを幅10mm、長さ150mmにサンプリングし、サンプルに約100mm間隔の標線をマークした後、万能投影機を用いて正確にこの標線の間隔を測定した。次に、フィルムサンプルを長さ方向に吊し、3gの荷重を長さ方向に加えて、190℃の雰囲気に保たれた熱風オーブン中で30分間加熱した。この加熱後の標線の間隔を測定し、フィルムの収縮量を原寸法に対する割合として百分率で表した。
(5)構成フィルムの作成方法
本発明のポリエステルフィルムとアルミニウム箔(福田金属箔分工業株式会社製:厚み40μm)をウレタン系の接着剤(東洋モートン社製、AD−502、CAT10L、酢酸エチルを15:1.5:25(質量比))を使用して常法によりドライラミネートして電池外装用積層体を作成した。さらにアルミニウム箔の上に、シーラントとしてマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂とポリプロピレンとを共押出しした2層共押出しフィルム(マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂層:15μm、ポリプロピレン樹脂層:30μm)を、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂層がアルミニウム箔側に位置するようにし、ラミネーターを用いて加熱圧着(120℃、0.3MPa、2m/min)させることで積層させ、電池外装用構成フィルムを作成した。
(6)構成フィルムの成形性
(5)で得られた構成フィルムを、100mm×100mm大に切り出し、50mm×30mmの矩形状の雄型(型において角となる部分(深さのRと四角)のR:2mm)とこの雄型とのクリアランスが0.5mmの雌型(型において角となる部分(深さのRと四角)のR:2mm)からなる金型を用いて、構成フィルムの中心と雄型の中心とがあうように、かつ雄型側にシーラント側がくるように雌型上に構成フィルムをセットし、プレス成形(加圧:0.1MPa)を行い、ピンホールやクラックなどの欠陥が発生しない最高成形深さを0.5mmピッチで評価した。電池外装用途で実用上使用できる最高成形深さは4mm以上であり、最高成形深さが大きければ大きいほど成形性が良いことを表す。一方、3mm未満では成形破れが多く電池外装用途で使用できない。
(7)構成フィルムの耐反り性
(6)の成形性評価で破損せずに成形できた構成フィルムをシーラント面が上になるように方眼紙の上に置く。真上から観察すると、図2に示すように、成形によって構成フィルムは二軸延伸フィルム面側に反り返っており、成形前のフィルム面積(図2 3)より投影像が小さくなっている。キーエンス(株)製カメラCV−H035により、真上から観察した状態で見える成形後のフィルム面積(図2 2)をプロファイル計測にて求め、以下の式にて反り度数を求める。下記の基準で評価を行った。電池外装用途においては、反り度数◎〜□が許容範囲であり、△〜×は反りが大きいために使用することができない。
反り度数=成形後のフィルム面積/成形前のフィルム面積×100
◎:反り度数が90以上であるもの
○:反り度数が89〜80であるもの
□:反り度数が79〜75であるもの
△:反り度数が74〜70であるもの
×:反り度数が69未満であるもの。
(8)耐デラミネーション
(6)の成形追従性評価で破損せずに成形できた構成フィルムをタバイエスペック(株)製プレッシャークッカーにて温度60℃、相対湿度90%RHの条件下にて168時間処理を行い、その後ポリエステルフィルム/アルミニウム箔間におけるデラミネーションの発生状態を確認する。状態は目視で確認し、明らかにデラミが発生しているものについては不良と判定する。目視で判定できない場合は、成形によってできた凹凸部任意5点の断面をSEM(500倍)で観察し、ポリエステルフィルム(B)/アルミニウム箔間が100μm以上離れている箇所があるかないかで以下のように判定した。また、判定が○であっても、フィルムの層間で剥離が生じていた場合には△とする。
○:100μm以上離れている箇所がない
×:100μm以上離れている箇所が1箇所でもある
△:フィルムの層間で剥離が生じている
(9)耐酸性
得られた構成フィルムの二軸配向ポリエステル表面に、濃塩酸を0.05ml滴下し室温にて1時間放置した。放置後、滴下した酸を拭き取り、フィルムの状態を以下のように判定した。
○:変化なし
△:白化が見られる
×:フィルム表面が溶解して凹み痕がつく
(10)ガラス転移温度、結晶融解温度、結晶融解熱量
示差熱量分析計(DSC)“DSC−RDC220”(セイコー電子工業製)を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定・算出した。溶融して吐出後、すぐに10℃以下の冷水で冷却した樹脂試料を、25℃から290℃まで20℃/minで昇温した。このとき、結晶化ピークが見える前の変曲点をガラス転移温度、結晶融解時のピークトップを結晶融解温度とし、ベースラインからの積分値を結晶融解熱量とした。また、ピークトップが二つある場合は、それぞれのピークトップのベースラインからの積分値を算出し、その合計を結晶融解熱量とした。
以下、実施例1〜4、8は、参考例1〜4、8と読み替えるものとする。
(実施例1)
ポリエステルAとして、固有粘度0.65、融点255℃のポリエチレンテレフタレート(表中においてPET1と表す)[東レ製F20S]を用い、ポリエステルBとしてポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも表す)である“トレコン”(登録商標)[東レ製]それぞれ乾燥した後、別々の押出機に供給した。
ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bは、それぞれ、押出機にて270℃の溶融状態とし、FSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて吐出比がポリエステル樹脂A/ポリエステル樹脂B=1.5/1になるように計量しながら、フィードブロックによってポリエステルAおよびポリエステルBを交互に積層し51層に積層された積層体とした。マニホールドダイに供給、さらにその表層に別の押出機から供給したポリエステル樹脂Aからなる層を形成し、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。また、口金リップ間隙を調整して、(エッジ厚み/フィルム中央厚み)の値を3.5とした。この時のキャストフィルムはPBT層の結晶化によりやや白化していた。
得られたキャストフィルムを、60℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、延伸温度85℃で縦方向に3.5倍延伸し、その後一旦冷却した。次に、この一軸延伸フィルムをテンターに導き、85℃の熱風で予熱後、95℃の温度で横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、テンター内で210℃の熱風にて熱処理を行い、その後190℃に設定した区間で幅方向に5%のリラックスを掛け続いて同温度にて幅方向に5%の弛緩処理を施し、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、25μmであった(また、縦倍率と横倍率の延伸倍率はこれが限度であり、これ以上延伸倍率を上げるとテンターで破れが生じた)。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表1に示す。成形性および耐反り性が全て優れていることを確認した。耐デラミネーション試験においてわずかに層間剥離が認められた。
(実施例2)
スリット数を201層のフィードブロックに変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。PBT層の結晶化が抑制されたためにキャストフィルムはほぼ透明となり、縦方向と横方向の延伸倍率をそれぞれ3.6倍まで上げることができた(これ以上延伸倍率を上げるとテンターで破れが生じた)。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表1に示す。実施例1よりも成形性が向上していることを確認した。
(実施例3)
スリット数を491層のフィードブロックに変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。PBT層の結晶化が抑制されたためにキャストフィルムは透明となり、縦方向と横方向の延伸倍率をそれぞれ3.8倍まで上げることができた(これ以上延伸倍率を上げるとテンターで破れが生じた)。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表1に示す。実施例2よりも成形性が向上していることを確認した。
(実施例4)
積層比を0.8とした以外は実施例3と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表1に示す。σ1が下がったことにより成形性と耐反り性が向上していることを確認した。
(実施例5)
ポリエステルAを、PETに対しPBTを20重量%混合した。また、得られたキャストフィルムを、50℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、延伸温度74℃で縦方向に3.8倍延伸し、その後一旦冷却した。次に、この一軸延伸フィルムをテンターに導き、75℃の熱風で予熱後、85℃の温度で横方向に3.8倍延伸した。それ以外は実施例4と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表1に示す。層間密着力が大幅に向上したことにより、耐デラミネーションは改良することを確認した。一方で、A層が異なるポリエステル同士を組み合わせたことにより分子鎖の配向が阻害されており、応力比が低下して実施例3と比べると成形性は低下し、また耐酸性もわずかに悪化していた。
(実施例6)
積層比を0.8とした以外は実施例5と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表1に示す。σ1が下がったことにより成形性が向上していることを確認した。
(実施例7)
実施例6で使用されるポリエステルAのPETを、触媒失活されているPET(三井化学製J125)に変更した以外は、同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表1に示す。実施例6と比べて、成形性・耐酸性が向上することを確認した。
(実施例8)
実施例3で使用されるポリエステルBのPBTを、固有粘度0.7のイソフタル酸が17.5mol%共重合されたPET(表中においてPET/Iと表す)に変更した。また、得られたキャストフィルムを、70℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、延伸温度85℃で縦方向に4.2倍延伸し、その後一旦冷却した。次に、この一軸延伸フィルムをテンターに導き、95℃の熱風で予熱後、105℃の温度で横方向に4.2倍延伸した。それ以外は実施例3と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。延伸したフィルムは、テンター内で235℃の熱風にて熱処理を行い、その後210℃に設定した区間で幅方向に5%のリラックスを掛け続いて同温度にて幅方向に5%の弛緩処理を施し、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、25μmであった。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表1に示す。B層の融点以上で熱処理を行うことにより耐反り性が改善することを確認した。
(実施例9)
実施例8で使用されるポリエステルBを、GN001(イーストマンケミカル製、以下PETGとも表す)とPET1を82/18の重量比率で混合物に変更し、テンター内の熱処理温度を230℃、リラックス温度を210℃に設定した以外は、実施例8と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表1に示す。層間密着力が大幅に向上したことにより、耐デラミネーションは改良することを確認した。
(実施例10〜11)
実施例9の積層比をそれぞれ表に示すとおりの値に変更し、縦方向と横方向の延伸倍率を3.8倍とした以外は、実施例9と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリエステルBを、PET1に変更した以外は、実施例10と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た(実質PET1の単膜フィルムである)。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表2に示す。成形性に優れる一方で耐反り性が非常に悪かった。
(比較例2)
東レ製ナイロン6(品番:アミラン1021T 以降、Ny6)のペレットを乾燥後、押出機中で270℃で溶融し、フィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイより4℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出し、未延伸フィルムを得た。次に、テンター法によりMD方向及びTD方向の同時二軸延伸を行った。この延伸倍率は、MD方向で3.0倍、TD方向では3.2倍であった。この延伸フィルムをテンターで引き続き195℃で熱固定を施して、厚さ25μmのフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表2に示す。成形性と耐反り性に優れる一方で耐薬品性に劣っていた。
(比較例3)
東レ製PBT(品番:トレコン1200S)のペレットを140℃で5時間熱風乾燥機にて乾燥し、押出機中で270℃で溶融し、フィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、環状ダイにより円筒状のフィルムとして押出し、冷水で急冷して原反フィルムを作製した。引き続き、中に気体を封入して膨張させ、60℃の温度で加熱しチューブラー法によるMD方向及びTD方向の同時二軸延伸を行った。この延伸の際の倍率は、MD方向では3.0倍、TD方向では3.0倍であった(また、縦倍率と横倍率の延伸倍率はこれが限度であり、これ以上延伸倍率を上げるとテンターで破れが生じた)。この延伸フィルムをテンターで引き続き210℃で熱固定を施して、厚さ25μmのフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表2に示す。分子の配向が不足しているために成形性に劣っていた。
(比較例4)
実施例1と同じ樹脂を用いた。それぞれ、押出機にて270℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、フィードブロックにて合流させた。合流したポリエステルAおよびBは、スタティックミキサーに供給し、ポリエステルAが9層、ポリエステルBが8層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。この際、その流路形状は角状であった。具体的な積層方法としては、フィーブロックにて9層に積層した後、スクエアーミキサーを用いて519層になるよう設計した。また、ポリエステルAが両表層であり、総積層厚み比はA/B=1になるよう吐出量にて調整した。このようにして得られた519層からなる積層体をTダイに供給しシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度20℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.0倍延伸後、テンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に3.3倍延伸した(これ以上延伸倍率を上げるとテンターで破れが生じた)。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で190℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られた積層フィルムの厚みは、25μmであった。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表2に示す。分子の配向が不足しているために成形性に劣っていた。
(比較例5)
比較例4と同じ装置を用い、スクエアーミキサーを用いて33層となるよう設計した。使用する原料および条件は実施例1と同等の条件で行った。この時のキャストフィルムはPBT層の結晶化に特にエッジ部分の白化が大きく、縦方向と幅方向の倍率は3.1倍以上上げることができなかった(これ以上延伸倍率を上げるとテンターで破れが生じた)。得られた積層フィルムの厚みは、25μmであった。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表2に示す。分子の配向が不足しているために成形性に劣っていた。
(比較例6)
縦方向と横方向の延伸倍率を3.3倍とした以外は、実施例9と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表2に示す。分子の配向が不足しているために成形性に劣っていた。
(比較例7)
縦方向と横方向の延伸倍率を4.0倍とした以外は、実施例11と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表2に示す。分子の配向が高すぎるために耐反り性が悪かった。
(比較例8)
ポリエステルBのPBTを、アジピン酸が20mol%共重合されたPET(表中においてPET/Aと表す)に変更した以外は実施例3と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表2に示す。分子の配向が不足しているために成形性に劣っていた。
(比較例9)
ポリエステルAのPETをアジピン酸が20mol%共重合されたPET(表中においてPET/Aと表す)に変更した以外は実施例3と同様にしてフィルム厚み25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。この時のキャストフィルムは流れ模様が発生しており、縦方向と幅方向の倍率は3.1倍以上上げることができなかった(これ以上延伸倍率を上げるとテンターで破れが生じた)。得られた二軸配向ポリエステルフィルムと電池外装用構成フィルムの評価結果を表2に示す。分子の配向が不足しているために成形性に劣っており、ポリエステルAの結晶性が低いことから耐酸性に劣っていた。
Figure 0006205868
Figure 0006205868
1 成形後のフィルム面積
2 成形部分(凹状)
3 成形前のフィルム面積
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステルの機械強度を調整することによって成形後の成形性および耐反り性に優れることから、高容量化対応の電池外装用構成体、様々な形状に対応可能な医薬包装用構成体に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. ポリエステルAからなるA層とポリエステルBからなるB層とが厚み方向に交互に50層以上積層されたポリエステルフィルムであって、ポリエステルAが、DSC測定において、昇温速度が20℃/minの時の結晶融解熱量が20J/g以上60J/g未満であり、ポリエステルBが、(I)もしくは(II)のどちらかの特性と積層比を持ち、引張試験における応力−伸度曲線において、伸び率が50%となった際の引張応力σ1と、降伏点における引張応力σ2との比である応力比A(σ1/σ2)が1.5以上であり、引張応力σ2が100MPa未満であり、弾性率が4000MPa未満であり、A層とB層の層間密着強度が0.4N/mm以上であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
    (I)DSC測定において、昇温速度が20℃/minの時の結晶融解熱量が0.01J/g未満であり、A層/B層の各層厚みの積層比が1〜6の範囲にある。
    (II)DSC測定において、昇温速度が20℃/minの時の結晶融解熱量が20J/g以上60J/g未満であり、ガラス転移温度が60℃以下であり、A層/B層の各層厚みの積層比が0.3〜5の範囲にある。
  2. ポリエステルBのグリコール単位の90モル%以上が1,4−ブタンジール由来の構造単位であり、かつ、ジカルボン酸単位の90モル%以上がテレフタル酸由来の構造単位であることを特徴とする請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 190℃雰囲気下に10分保持したときの熱収縮率が5%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 電池外装用に用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 医薬包装用に用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
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