JP2007105948A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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育男 神谷
Masamichi Miyagawa
正道 宮川
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Abstract

【課題】加工上の問題や外観上の問題を発生させることなく、貼り合わせ用や意匠シート用に好適に使用できるポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】積層2軸延伸ポリエステルフィルムであって、厚さが大きい層(A層)の融点Tm1と厚さが小さい層(B層)の融点Tm2がそれぞれ下記式を満たし、かつ長手方向と幅方向の伸び率が100%のときの強度の和が350MPa以下であることを特徴とするポリエステルフィルム。
Tm1≧246℃
Tm1−Tm2>15℃
【選択図】なし

Description

本発明は、例えばリチウムイオン電池外装材などのようにドライラミネートなどの方法によって直接熱ラミネートすることなく金属箔と貼り合わされる用途、あるいは化粧板に使用されるような、他のプラスチックフィルムと貼り合わされる意匠シート用のポリエステルフィルムに関し、特に、絞り成形や張り出し成形などの冷間成形性(成形加工上ヒーター等により加熱しない加工の成形性)に優れ、かつ、貼り合わせ構成体とした後に融点未満でヒートシールや成形しても白化することのない耐熱性に優れたポリエステルフィルムに関する。
ラミネートに好適で成形可能なポリエステルフィルムは数多く提案されている。代表的な分野として金属缶ラミネート用フィルムがあるが、この用途におけるラミネート方式では、ポリエステルフィルムの融点付近または融点以上に加熱しながら圧着するため、配向や結晶構造が崩れ、本来ポリエステルフィルムが有する耐熱性や耐薬品性が損なわれるおそれがある。また、ポリエステルフィルムに予めヒートシール層を設けたり、印刷などにより意匠性を持たせたり、あるいは耐候剤をコーティングするなどして機能性を付与した構成体を金属板にラミネートすることは、高温で、基材となるポリエステルがほば融解に近い状態で貼り合わされるため、不適である。これらの理由によりリチウムイオン電池用外装材用などの金属箔との貼り合わせや、家電製品などに使用される意匠シートを貼り合わせた化粧板を製造する際には、ドライラミネートなど接着剤を介して貼り合わせるのが一般的である。
しかしながら、これらの構成体は、実用段階で成形加工することが多く、延伸ポリエステルフィルムの伸度や強度あるいは剛性が貼り合わせる他素材や接着材とは異なるため、延伸ポリエステルフィルムが構成体成形時に追従しにくく、ピンホールやクラックまたはデラミネーション等の欠点が発生しやすいという問題点があった。
このような問題点を解決するために、例えば特許文献1には熱成形を前提として共重合ポリエステルフィルムを使用することが好ましいとされているが、張り出し成形や引き込み成形などの冷間成形が必要な場合には、やはりピンホールやデラミネーションの発生が問題となる。このため、上記用途には金属箔(例えば、アルミ箔)の伸びに追従しやすい延伸ナイロンフィルムが好んで用いられることが多いが(例えば、特許文献2)、その場合、吸湿による寸法変化により平面性が悪化しやすく加工上不具合が生じやすいという問題があった。
また、共重合ポリエステルフィルムを使用した構成体を成形後に袋体にする場合はヒートシール加工が必要となり、加熱温度によっては白化して外観を損なったり、クラックの原因となる問題点があった。
特開平10−157008号公報 特開2001−307688号公報
そこで本発明の課題は、上記のような加工上の問題や外観上の問題を発生させることなく、貼り合わせ用や意匠シート用に好適に使用できるポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成のフィルムによれば上記課題を解決できることを見出し本発明に至った。すなわち、本発明に係るポリエステルフィルムは、A層およびB層からなる積層2軸延伸ポリエステルフィルムであって、厚さが大きい層(A層)の融点Tm1と厚さが小さい層(B層)の融点Tm2がそれぞれ下記式を満たし、かつ長手方向と幅方向の伸び率が100%のときの強度の和が350MPa以下であることを特徴とするフィルムからなる。
Tm1≧246℃
Tm1−Tm2>15℃
このポリエステルフィルムにおいては、B層と積層フィルムの厚み(積層フィルムの全厚み)の比B/(A+B)が0.1以上0.2以下であることが好ましい。ここで、AはA層厚み、BはB層厚みである。
また、B層の面配向係数は0.095未満であることが好ましい。
このような本発明に係るポリエステルフィルムは、とくに、貼り合わせ用ポリエステルフィルム、あるいは、意匠シート用ポリエステルフィルムとして好適なものである。
本発明に係るポリエステルフィルムによれば、ドライラミネートなどの方法によって直接熱ラミネートすることなく貼り合わされる構成体や、他のプラスチックフィルムやシートおよび金属箔などと貼り合わされる複合的な構成体が、冷間で絞り成形や張り出し成形されてもピンホールやクラックまたはデラミネーション等の欠点が発生せず、かつ、その構成体を融点未満で成形やヒートシール加工する際にも、白化しにくい積層ポリエステルフィルムを提供することができる。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明に係る積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、主鎖中の主要な結合である、モノマー残基とモノマー残基を結合する共有結合がエステル結合からなる高分子の総称であって、通常、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物、もしくはジカルボン酸エステル化合物とジヒドロキシ化合物を重縮合反応させることによって得ることができる。ここで、ジカルボン酸化合物としては、例えば、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などを挙げることができる。また、ジカルボン酸エステル化合物としては上記ジカルボン酸化合物のエステル化物、例えばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどを挙げることができる。
一方、ジヒロドキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物などが挙げられる。これらの中でも、ジカルボン酸化合物としてはテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸もしくはこれらのジメチルエステル化合物を、ジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコールなどを好ましく用いることができる。この中でもテレフタル酸とエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレートを主たる構成成分とすることが好ましく、イソフタル酸もしくはこれらのジメチルエステル化合物と共重合したものあるいは、1,4−ブタンジオールや1,6−ヘキサンジオールと共重合したものは、ポリエチレンテレフタレートと共押し出して、その積層シートを2軸延伸しても層間剥離が発生しにくいため、より好ましい。
本発明において用いるポリエステルを製造するに際しては、反応触媒、着色防止剤を使用することができる。反応触媒としては、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物などを、また着色防止剤としては、リン化合物などを使用することができるが、本発明では特にこれらに限定するものではない。
本発明に係る積層ポリエステルフィルムの融点は、厚みが大きい層(A層)の融点Tm1が246℃以上であることが必要で、さらに好ましくは250℃以上である。融点Tm1が246℃未満になると、当該積層ポリエステルフィルムを他の素材と貼り合わせた後ヒートシールなどの加熱加工をした際に、加熱側となるA層表面付近から結晶化が促進し、白化するので好ましくない。
また、本発明に係る積層ポリエステルフィルムの厚みが小さい層(B層)の融点Tm2は(Tm1−Tm2)>15℃を満たすことが必要で、さらに好ましくは(Tm1−Tm2)>20℃である。A層およびB層の融点を同じ共重合成分の重合比率で調整する場合、(Tm1−Tm2)が15℃以下になるとB層の結晶化度がA層の結晶化度に近づくため、当該積層ポリエステルフィルムを他の素材と貼り合わせた構成体を成形した際に、他素材の伸び挙動に追従せずクラックやデラミネーションなどが問題となる。
各層の融点の測定は、積層ポリエステルフィルムを示差走査熱量計(DSC)を用いて測定し、吸熱ピークの頂点を読みとるか、各層の融点が近くて厚みの薄いB層に対応するピークの読みとりが困難な場合は、B層を剃刀刃やスクレーパーなどで削り取ってサンプルとし、それを測定してもよい。融点の調整は共重合ポリエステルのジカルボン酸成分あるいはジヒドロキシ成分のモル比で調整してもよく、また、融点が既知である複数のポリエステルのマスターバッチをブレンドすることにより調整してもよい。
さらに本発明に係る積層ポリエステルフィルムにおいては、縦方向と横方向の伸び率が100%のときの強度(F100)の和が350MPa以下であることが必要で、さらに好ましくは330MPa以下である。強度(F100)の和が350MPaを越えると、ポリエステルの分子配向や結晶構造を残したまま冷間成形する際に十分な伸びを得られず、絞り成形や張り出し成形で目標の成形深さが得られなかったり、コーナー部や曲げの部分でクラックやピンホールが発生する原因となるので好ましくない。
縦横のバランスに関しては、バランスが悪いと、成型加工時にカール等の歪み、あるいは曲げ部のシャープさや絞り深さの縦横差を発生させる原因となる点から、縦横の破断強度の差が縦横の破断強度の和の20%以下であることが好ましく、さらに好ましくは15%以下である。
また、本発明に係る積層ポリエステルフィルムの構成は、A層厚みをA、B層厚みをBとしたとき、B/(A+B)が0.1以上0.2以下であることが好ましい。A層がホモポリエステルでB層が共重合ポリエステルであり、かつA層側の配向が大きくなるような原料を選択した場合に、B/(A+B)が0.1以下であると、他素材とB層を貼り合わせたのち成形するときに層間剥離の原因となったりするので好ましくない。一方、B/(A+B)が0.2以上であると、B層内での割れの原因となったり、低融点の層が相対的に厚くなり一般的にはコストメリットがなくなるため好ましくない。積層厚みの調整は、後述の製造方法において押出機とTダイとの間に設置されたギアポンプによって計量押し出しすることによって達成される。
さらに本発明においては、積層ポリエステルフィルムのB層側の面配向係数が0.095以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.090以下である。面配向係数が0.095を超えると、B層と他の素材と貼り合わせた後に成形した際、あるいは当該ポリエステルフィルムを貼り合わせた構成体から強制剥離した際に、A層とB層の層間剥離やB層内での面方向への割れが発生することがある。面配向係数の調整は使用する原料や、後述の延伸条件や熱処理温度条件等によって決定され、これらを適切に設定することにより達成される。
本発明に係る積層ポリエステルフィルムは、取り扱い性と加工性を向上させるために、平均粒子径0.01〜10μmの内部粒子(内部で形成される粒子)、無機粒子および/または有機粒子を0.01〜3重量%含有することが好ましい。かかる無機粒子としては、例えば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミ、マイカ、カオリン、クレーなどを使用することができる。また、有機粒子としては、スチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を使用することができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、アルミナなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を使用することが好ましい。さらに、これらの内部粒子、無機粒子および有機粒子は二種以上を併用してもよい。また、A層とB層それぞれ別の粒子処方とすることは、フィルムのハンドリング性向上やヘイズの調整あるいはコストの点で好ましい。
本発明に係る積層ポリエステルフィルムの製造方法としては、使用するポリエステルを各々別々に窒素雰囲気、真空雰囲気などで例えば160℃、6時間など条件の乾燥を行い、その後個別の押出機に供給し溶融する。なお、この際二軸のベント式押出機を使用する場合は乾燥工程を省略してもよい。押出機にて溶融した樹脂は、別々の経路にてフィルターやギアポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を行い、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にて2層構成に積層した後、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する共押出法により未延伸シートを得ることができる。その際、ワイヤー状電極、テープ状電極もしくは針状電極を使用して静電印加しポリマーシートを冷却ドラムに密着させるキャスト法、冷却ドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けたキャスト法などにより、シート状ポリマーを冷却ドラムに密着させ冷却固化して未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、生産性や平面性の観点から静電印加する方法が好ましく使用され、特にテープ状電極を使用する方法が好ましく用いられる。
かかる未延伸フィルムを用いて長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸法、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などにより延伸を行う。かかる延伸方法において、採用される延伸倍率としては、それぞれの方向に好ましくは1.6〜4.2倍で、厚みの均一性と他素材との貼り合わせ後の成形性とを両立するため2.4〜4.0倍であればさらに好ましい。また、延伸速度は1000〜200000%/分であることが好ましく、延伸温度はポリエステルのガラス転移点〜(ガラス転移点+100℃)の温度範囲であれば任意の温度とすることができるが、好ましくは80〜170℃、さらに好ましくは90〜150℃とするのがよい。フィルムに優れた成形性を付与するためには、長手方向に次いで幅方向に延伸する逐次2軸延伸方法の場合、長手方向の縦延伸温度を95〜130℃とすることが好ましく、特に縦延伸前において100℃以上の温度で1〜100秒間程度結晶化しない範囲において予熱した後に延伸することは、配向斑抑制による優れた成形性の発現などの点で好ましいことである。さらに、延伸は各方向に対して複数回行ってもよい。
さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行うが、この熱処理は、オーブン中で加熱されたロール上で行う方法、スリット上のノズルから加熱したエアをフィルムに吹き付ける方法など任意の方法により行うことができる。熱処理温度は、延伸温度〜厚みの大きい方であるA層に使用する原料の融点の範囲内で任意の温度とすることができるが、成形加工性の点から170〜240℃の熱処理温度であることが好ましい。かかる温度より低温であれば、得られたフィルムの成形性が悪化し、高温であれば製膜中にフィルム破れが頻発することがある。また、熱処理時間は他の特性を悪化させない範囲において任意とすることができるが、通常1〜30秒間行うのが好ましい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。
本発明に係る積層ポリエステルフィルムには他の基材と貼り合わせする際の接着性向上を目的としたコロナ放電処理や窒素雰囲気下でのコロナ放電処理、あるいはプラズマ処理などによる表面処理、またUV(紫外線)吸収剤や防汚性、傷防止、防曇性付与を目的としたの表面保護コーティング、滑性あるいは離型性付与を目的としたシリコーン系などの表面コーティング、美麗性付与のためにマット加工、ヘアライン加工、金属蒸着などの表面加工が施されてもよい。
以下に、本発明に係る積層ポリエステルフィルムについて、実施例に基づいてより具体的に説明する。本発明においては、以下の評価方法を用いた。
(1)融点
積層ポリエステルフィルムのB層をオルファ社製スクレーパーL−100で削りとり、粉状となったポリエステル約10mgをアルミ製のパンに入れ、示査走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)により、20℃/分の昇温速度で測定した。A層の融点については残ったフィルムサンプル約10mgを同様にして測定した。それぞれ得られた吸熱ピークの頂点を読みとり、融点とした。
(2)F100強度
フィルムを幅10mm、長さ200mmの短冊状に切り出しサンプルとした。このサンプルを測定長100mmで引っ張り試験機(オリエンテック社製テンシロン)を用いて温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下において200mm/分の速度で引っ張り、サンプルが原長に対して100%の伸びを示すときの強力値をサンプルの断面積で除した値をもってF100強度とした。
(3)フィルム厚さ
JIS−B7502に準じてマイクロメータで積層フィルムの厚さを測定した。B層の厚さ測定方法としては、実施例1に記載したようにA層にポリエチレンテレフタレート、B層にポリエチレンイソフタレート成分を含む共重合ポリエステルの積層フィルムを作成し、B層側をメチルエチルケトンで溶解して除去し、積層フィルムの厚みとB層除去後の厚みとの差をB層厚みとした。これによりA層とB層それぞれの押出量で調整された2層未延伸シートの積層比が積層フィルムのそれと一致することを確認し、A層およびB層とも共重合ポリエステル原料の場合(実施例4、比較例1)には、それぞれの押出量の比でB層厚みを決定した。
(4)面配向係数
ナトリウムD線(波長587nm)を光源とし、マウント液としてヨウ化メチレンを用いアッベ屈折率計にて長手方向、幅方向、厚み方向それぞれの屈折率(nx、ny、nz)を測定し、下記式により面配向係数を求めた。
(面配向係数)=(nx+ny)/2−nz
(5)張り出し成形性
積層ポリエステルフィルムのA層側にウレタン系ドライラミネート接着剤(東洋モートン社製:AD502/CAT10)を用いてアルミニウム−鉄系合金の厚さ40μmのアルミニウム箔(AA規格8079)をドライラミネートした。さらにアルミニウム箔側と厚さ30μmのCPPフィルム(東レ合成フィルム社製:トレファン3501)と同様の方法でドライラミネートして積層体とし、これを成形用サンプルとした。得られたサンプルをストレート金型にて張り出し成形(1段)を行い、コーナー部niンホールが発生しない最大深さで評価した。ランク付けは以下の通りである。
6mm以上:◎
4〜6mm:○
4mm以下:×
成形は摩擦による外乱を避けるためダイス内面にシリコーン系潤滑剤を塗布し、ダイス側に積層サンプルのポリエステルフィルム側がくるよう成形した。また、使用した金型のポンチ形状は長辺55mm、短辺35mm、コーナーのR2mm、ポンチのショルダー部Rは1mm、ダイスのショルダー部のRは0.5mmのものを使用した。
(6)耐熱性
上記(5)で得られた積層体のCPP面同士を合わせ、ヒートシール試験機を用いて200℃、3秒間、1MPaでヒートシールし、外装となる積層ポリエステルフィルムの白化を目視観察した。ランク付けは以下の通りである。
白化が認められない:○
白化が認められる :×
(7)剥離試験
接着剤として東洋モートン社製アドコートAD563を使用して積層ポリエステルフィルムのB層側と厚さ100μmの塩化ビニルフィルムをドライラミネートした。この積層体の塩化ビニルフィルム側を化成処理された厚さ0.5mmの亜鉛めっき鋼板に接着剤層を介して180℃で貼り合わせた後、加熱型金属ロールで加圧処理し、急水冷した。フィルム貼り合わせ鋼板のフィルム面に縦横2本ずつ5mm幅でクロスカットを入れ、ポイント直径20mmのエリクセン試験機を使用して、23℃においてクロスカットの交点が頂点にくるようにフィルム貼り合わせ面の反対側から6mm押し出した。続いて、クロスカット部からピンセットで強制的にポリエステルフィルムを剥離し、その剥離部分の長さで評価した。ランク付けは以下の通りである。
○:材破し、剥離が困難。
△:クロスカットの交点から剥離するが、平板部分までに切れる。
×:平板部分まで剥離が至る。
実施例1
原料1として平均粒子径1.5μmの不定形シリカを0.1重量%含む固有粘度0.65dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)のチップを170℃、1torrの減圧下で6時間乾燥し、単軸の押出機により290℃で溶融した。一方、原料2として平均粒子径1.5μmの不定形シリカを0.1重量%含み、イソフタル酸の共重合率が15.0モル%であるイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(PET/I)(固有粘度:0.68dl/g)を160℃、1torrの減圧下で6時間乾燥し、並列した別の単軸の押出機により280℃で溶融した。これらのポリマをそれぞれ15μmカットの金属焼結フィルターで濾過した後、2層用の合流ブロックで合流せしめ、Tダイからシート状に吐出し、10.5kvの静電印加により表面温度25℃の鏡面加工したドラム上に巻き付け冷却固化して2層の未延伸シートを得た。各層の厚みはそれぞれのポリマ管に設置されたギアポンプの回転数を調節し、押出量を制御することによってA層とB層の厚さの比が19:1になるように調節した。この未延伸シートをローラー方式の延伸機に通し、まず110℃まで加熱し、次いで表面温度100℃の冷却区間を設けて冷却し、同100℃において1.5倍に、引き続いて2.5倍にそれぞれ長手方向に2段階で延伸した後、表面温度30℃のローラーで冷却した。得られたフィルムをテンター方式の横延伸機に導き、100℃で3.3倍に幅方向に延伸し、230℃において定長下5秒間熱処理を行ったのち150℃において7%弛緩し、厚さ20μmの積層フィルムを得た。得られたフィルムの各特性は表1に示すとおり良好であった。
実施例2
実施例1に記載したのと同じ原料を準備し、延伸後の積層フィルムのA層とB層の厚さ比が18:2となるようギアポンプの回転数を調節した他は実施例1と同様の方法により2層の未延伸シートを得た。この未延伸シートをローラー方式の延伸機に通し、まず110℃まで加熱し、次いで表面温度100℃の冷却区間を設けて冷却し、同100℃において1.2倍に、引き続いて2.8倍にそれぞれ長手方向に延伸した後、表面温度30℃のローラーで冷却した。得られたフィルムをテンター方式の横延伸機に導き、100℃で3.3倍に幅方向に延伸し、230℃において定長下で5秒間熱処理を行ったのち150℃において7%の弛緩処理をし、厚さ20μmの積層フィルムを得た。得られたフィルムの各特性は表1に示すとおり良好であった。
実施例3
延伸後の積層フィルムのA層とB層の厚さ比が16:4となるようギアポンプの回転数を調節した他は実施例2と同じとした。得られたフィルムの各特性は表1に示すとおり良好であった。
実施例4
A層の原料として、実施例1で使用した原料1および原料2をそれぞれ重量比で80%と20%にブレンドした他は実施例2と同じにした。得られたフィルムの各特性は表1に示すとおり良好であった。
比較例1
A層の原料として実施例1で使用した原料1および原料2をそれぞれ重量比で57%と43%にブレンドした他は実施例3と同じにした。得られたフィルムは耐ヒートシール性に劣るものであった。
比較例2
実施例1と同じ原料を使用し、2層の未延伸シートを得た。延伸後の積層フィルムのA層とB層の厚さ比が16:4になるよう実施例3と同様にギアポンプの回転数で調節した。この未延伸シートをローラー方式の延伸機に通し、100℃において4.3倍に長手方向に延伸した後、表面温度30℃のローラーで冷却した。得られたフィルムをテンター方式の横延伸機に導き、95℃で3.3倍に幅方向に延伸し、220℃において定長下で5秒間熱処理を行ったのち150℃において7%の弛緩処理をし、厚さ20μmの積層フィルムを得た。得られたフィルムの各特性は表1に示すとおりで張り出し成形性に劣るものであった。
比較例3
実施例1に記載したと同じ原料を準備し、延伸後の積層フィルムのA層とB層の厚さ比が14:6となるようギアポンプの回転数を調節し、横延伸機における熱処理温度を215℃にした他は比較例2と同じにした。得られたフィルムの各特性は表1に示すとおりで張り出し成形性および耐ヒートシール性に劣るものであった。
比較例4
B層の原料として、実施例1で使用した原料1および原料2をそれぞれ重量比で71%と29%にブレンドした原料を準備し、実施例1と同様の方法によりA層とB層の厚さが14:6に積層された未延伸の積層シートを得た。この未延伸シートをローラー方式の延伸機に通し、100℃において4.4倍に長手方向に延伸した後、表面温度30℃のローラーで冷却した。得られたフィルムをテンター方式の横延伸機に導き、95℃で3.3倍に幅方向に延伸し、215℃において定長下で5秒間熱処理を行ったのち150℃において7%の弛緩処理をし、厚み20μmの積層フィルムを得た。得られたフィルムの各特性は表1に示すとおりで張り出し成形性に難があり、剥離試験ではA層とB層間の層間剥離が生じて実用上問題となるレベルであった。
Figure 2007105948
本発明に係るポリエステルフィルムは、リチウムイオン電池外装材などのようにドライラミネートなどの方法によって直接熱ラミネートすることなく金属箔と貼り合わされる用途、あるいは化粧板に使用されるような、他のプラスチックフィルムと貼り合わされる意匠シート用途に好適なものであるが、これらの用途に限らず、ラベル用途やインモールド印刷用の基材などにも適用できる。ただし、その適用範囲はこれらに限られるものではない。

Claims (5)

  1. A層およびB層からなる積層2軸延伸ポリエステルフィルムであって、厚さが大きい層(A層)の融点Tm1と厚さが小さい層(B層)の融点Tm2がそれぞれ下記式を満たし、かつ長手方向と幅方向の伸び率が100%のときの強度の和が350MPa以下であることを特徴とするポリエステルフィルム。
    Tm1≧246℃
    Tm1−Tm2>15℃
  2. B層と積層フィルムの厚みの比B/(A+B)が0.1以上0.2以下である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
    (ただし、AはA層厚み、BはB層厚みである。)
  3. B層の面配向係数が0.095未満である、請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 貼り合わせ用ポリエステルフィルムである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 意匠シート用ポリエステルフィルムである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
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