JP6881298B2 - 電池用包装材料、その製造方法及び電池 - Google Patents

電池用包装材料、その製造方法及び電池 Download PDF

Info

Publication number
JP6881298B2
JP6881298B2 JP2017510213A JP2017510213A JP6881298B2 JP 6881298 B2 JP6881298 B2 JP 6881298B2 JP 2017510213 A JP2017510213 A JP 2017510213A JP 2017510213 A JP2017510213 A JP 2017510213A JP 6881298 B2 JP6881298 B2 JP 6881298B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
battery
base material
packaging material
metal layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017510213A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2016159278A1 (ja
Inventor
大佑 安田
大佑 安田
山下 力也
力也 山下
山下 孝典
孝典 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=57005153&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP6881298(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Publication of JPWO2016159278A1 publication Critical patent/JPWO2016159278A1/ja
Priority to JP2021078523A priority Critical patent/JP7314970B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6881298B2 publication Critical patent/JP6881298B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M50/00Constructional details or processes of manufacture of the non-active parts of electrochemical cells other than fuel cells, e.g. hybrid cells
    • H01M50/10Primary casings; Jackets or wrappings
    • H01M50/14Primary casings; Jackets or wrappings for protecting against damage caused by external factors
    • H01M50/141Primary casings; Jackets or wrappings for protecting against damage caused by external factors for protecting against humidity
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B15/00Layered products comprising a layer of metal
    • B32B15/04Layered products comprising a layer of metal comprising metal as the main or only constituent of a layer, which is next to another layer of the same or of a different material
    • B32B15/08Layered products comprising a layer of metal comprising metal as the main or only constituent of a layer, which is next to another layer of the same or of a different material of synthetic resin
    • B32B15/09Layered products comprising a layer of metal comprising metal as the main or only constituent of a layer, which is next to another layer of the same or of a different material of synthetic resin comprising polyesters
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G11/00Hybrid capacitors, i.e. capacitors having different positive and negative electrodes; Electric double-layer [EDL] capacitors; Processes for the manufacture thereof or of parts thereof
    • H01G11/78Cases; Housings; Encapsulations; Mountings
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M50/00Constructional details or processes of manufacture of the non-active parts of electrochemical cells other than fuel cells, e.g. hybrid cells
    • H01M50/10Primary casings; Jackets or wrappings
    • H01M50/102Primary casings; Jackets or wrappings characterised by their shape or physical structure
    • H01M50/105Pouches or flexible bags
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M50/00Constructional details or processes of manufacture of the non-active parts of electrochemical cells other than fuel cells, e.g. hybrid cells
    • H01M50/10Primary casings; Jackets or wrappings
    • H01M50/14Primary casings; Jackets or wrappings for protecting against damage caused by external factors
    • H01M50/145Primary casings; Jackets or wrappings for protecting against damage caused by external factors for protecting against corrosion
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Sealing Battery Cases Or Jackets (AREA)
  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、電池用包装材料、その製造方法及び電池に関する。
従来、様々なタイプの電池が開発されているが、あらゆる電池において、電極や電解質等の電池素子を封止するために包装材料が不可欠な部材になっている。従来、電池用包装として金属製の包装材料が多用されていた。
一方、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話等の高性能化に伴い、電池には、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の電池用包装材料では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
そこで、近年、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る電池用包装材料として、基材/金属層/熱融着性樹脂層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている。
また、このような電池用包装材料においては、一般的に、冷間成形により凹部が形成され、当該凹部によって形成された空間に電極や電解液などの電池素子を配し、熱融着性樹脂層同士を熱溶着させることにより、電池用包装材料の内部に電池素子が収容された電池が得られる。しかしながら、このようなフィルム状の包装材料は、金属製の包装材料に比べて薄く、成形時にピンホールやクラックが生じ易いという欠点がある。電池用包装材料にピンホールやクラックが生じた場合には、電解液が金属層にまで浸透して金属析出物を形成し、その結果、短絡を生じさせることになりかねないため、フィルム状の電池用包装材料には、成形時にピンホールが生じ難い特性、即ち優れた成形性を備えさせることは不可欠となっている。
近年、電池の小型化、薄型化の要求に伴い、電池用包装材料に対しても、より一層の薄膜化が求められている。しかしながら、電池用包装材料の厚みが薄くなると、金属層についても薄くなる(例えば、40μm以下、さらには35μm以下)ため、成形時に金属層にピンホールやクラックが生じやすくなるという問題がある。そこで、薄型の電池用包装材料の基材層としては、成形性に優れる観点から、ナイロンなどのポリアミドフィルムが広く使用されている(例えば特許文献1を参照)。
特開2008−288117号公報
前述の通り、薄型の電池用包装材料においては、ナイロンなどのポリアミド樹脂を基材層として、成形性を高められている。
一方、電池用包装材料の薄型化に伴い、電池の絶縁性についても低下するという問題がある。ところが、ナイロンなどのポリアミド樹脂を用いた場合には、成形性には優れるものの、絶縁性が不十分になる場合がある。
薄型の電池用包装材料の絶縁性を高めるために、本発明者らは、基材層として、ポリエステルを用いることを検討した。ところが、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルは、ナイロンなどに比して、成形性に劣るため、ポリエステルにより基材層を形成した場合、例えば金属層の厚みを非常に薄くする(例えば、40μm以下、さらには35μm以下)と、電池用包装材料の成形時に金属層にピンホールなどが発生しやすいという問題が発生した。
このような状況下、本発明の主な目的は、少なくとも、ポリエステルにより形成された基材層、金属層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体からなる電池用包装材料において、優れた絶縁性を備えており、さらに、成形時にピンホールやクラックが生じ難く、優れた成形性を有する電池用包装材料を提供することにある。
また、電池の小型化、薄型化の要求に伴い、電池用包装材料に対しても、より一層の薄膜化が求められているが、電池用包装材料の厚みが薄くなると、冷間成形によって電池用包装材料に形成された凹部の周縁部がカール(湾曲)しやすくなる。カールが生じると、電池素子の収容や熱融着性樹脂層の熱溶着を阻害して、電池の生産効率を低下させる場合がある。
本発明者が検討を行ったところ、電池用包装材料の外層側に位置する層として、ポリエステルフィルムを用いた場合には、このようなカールの問題が生じやすいことが明らかとなった。特に、自動車用の二次電池など、大型の二次電池に使用される電池用包装材料は、サイズが大きいため、電池の生産性に与えるカールの影響が非常に大きいという問題を有している。
このような状況下、本発明は、少なくとも、基材層、接着層、金属層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体からなる電池用包装材料において、優れた成形性を備えており、さらに、成形後のカールが効果的に抑制された電池用包装材料を提供することも主な目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、ポリエステルにより形成された基材層、金属層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体からなる電池用包装材料において、金属層として、厚みが40μm以下のものを用いるにもかかわらず、基材層の厚みを15μm以上30μm以下に設定することにより、優れた絶縁性を備えているだけでなく、意外にも、成形性にも優れた電池用包装材料となることを見出した。また、本発明者らは、少なくとも、ポリエステルを含む基材層と、金属層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体からなり、長さ100mm×幅15mmとした前記基材層は、25℃下において、引張速度50mm/分で引張り、15MPaの引張応力が加わった際の変位が5%以下であり、長さ100mm×幅15mmとした前記積層体は、25℃下において、引張速度50mm/分で引張り、40MPaの引張応力が加わった際の変位が5%以下である電池用包装材料は、優れた成形性を備えており、さらに、成形後のカールが効果的に抑制されることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の電池用包装材料及び電池を提供する。
項1. 少なくとも、基材層、金属層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体からなり、
前記金属層の厚みが40μm以下であり、
前記基材層は、ポリエステルにより形成されており、
前記基材層の厚みが、15μm以上30μm以下である、電池用包装材料。
項2. 前記積層体の厚みが、140μm以下である項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記基材層は、ポリエステルにより形成された1層により構成されている、項1または2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記基材層は、ポリエステルにより形成された複数の層により構成されている、項1または2に記載の電池用包装材料。
項5. 前記金属層の少なくとも一方の面に耐酸性皮膜層を備える、項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. 前記金属層が、アルミニウム箔である、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
項7. 少なくとも、基材層、金属層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体を得る工程を備えており、
前記金属層として、厚みが40μm以下のものを用い、
前記基材層として、ポリエステルにより形成されており、厚みが15μm以上30μm以下のものを用いる、電池用包装材料の製造方法。
項8. 少なくとも、ポリエステルを含む基材層と、金属層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体からなり、
長さ100mm×幅15mmとした前記基材層は、25℃下において、引張速度50mm/分で引張り、15MPaの引張応力が加わった際の変位が5%以下であり、
長さ100mm×幅15mmとした前記積層体は、25℃下において、引張速度50mm/分で引張り、40MPaの引張応力が加わった際の変位が5%以下である、電池用包装材料。
項9. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包装体内に収容されている、電池。
本発明によれば、少なくとも、ポリエステルにより形成された基材層、金属層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体からなる電池用包装材料において、金属層として、厚みが40μm以下のものを用いるにもかかわらず、基材層の厚みを15μm以上30μm以下に設定することにより、優れた絶縁性を備えているだけでなく、成形性にも優れた電池用包装材料を提供することができる。また、本発明によれば、優れた成形性を備えており、さらに、成形後のカールが効果的に抑制された電池用包装材料を提供することもできる。
本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。 本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。 本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。 カールの評価方法を説明するための模式図である。 カールの評価方法を説明するための模式図である。 実施例1B,2B,6Bの電池用包装材料の基材層から作製した試験片について、引っ張りを行った時の引張応力(MPa)と変位(%)の関係を示すグラフである。 比較例1B,4B,5Bの電池用包装材料の基材層から作製した試験片について、引っ張りを行った時の引張応力(MPa)と変位(%)の関係を示すグラフである。 実施例1B,2B,6Bの電池用包装材料から作製した試験片について、引っ張りを行った時の引張応力(MPa)と変位(%)の関係を示すグラフである。 比較例1B,4B,5Bの電池用包装材料から作製した試験片について、引っ張りを行った時の引張応力(MPa)と変位(%)の関係を示すグラフである。
本発明の第1の態様の電池用包装材料は、少なくとも、基材層、金属層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体からなり、金属層の厚みが40μm以下であり、基材層は、ポリエステルにより形成されており、基材層の厚みが、15μm以上30μm以下であることを特徴とする。本発明の第1の態様の電池用包装材料は、このような構成を備えていることにより、優れた絶縁性を備えているだけでなく、成形性にも優れる。また、本発明の第2の態様の電池用包装材料は、少なくとも、ポリエステルを含む基材層と、金属層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体からなり、長さ100mm×幅15mmとした前記基材層は、25℃下において、引張速度50mm/分で引張り、15MPaの引張応力が加わった際の変位が5%以下であり、長さ100mm×幅15mmとした前記積層体は、25℃下において、引張速度50mm/分で引張り、40MPaの引張応力が加わった際の変位が5%以下であることを特徴とする。本発明の第2の態様の電池用包装材料は、このような構成を備えていることにより、優れた成形性を備えており、さらに、成形後のカールが効果的に抑制される。以下、本発明の電池用包装材料について詳述する。
なお、本明細書において、数値範囲を示す「〜」の表示は、その左側に付している数値以上且つその右側に付している数値以下であることを示し、例えば数値範囲「X〜Y」の表記はX以上Y以下であることを意味する。
1.電池用包装材料の積層構造
電池用包装材料は、図1に示すように、少なくとも、基材層1、金属層3、及び熱融着性樹脂層4をこの順に備える積層体からなる。本発明の電池用包装材料において、基材層1が最外層になり、熱融着性樹脂層4は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置する熱融着性樹脂層4同士が熱溶着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
本発明の電池用包装材料は、図2に示すように、基材層1と金属層3との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着剤層2が設けられていてもよい。また、本発明の電池用包装材料は、図3に示すように、金属層3と熱融着性樹脂層4との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着層5が設けられていてもよい。
本発明の電池用包装材料を構成する積層体の厚みとしては、特に制限されないが、厚みを薄くしつつ、成形性と絶縁性の低下を効果的に抑制する観点からは、好ましくは150μm以下、より好ましくは110μm〜145μm程度が挙げられる。本発明の電池用包装材料を構成する積層体の厚みが、例えば150μm以下と非常に薄い場合にも、本発明の第1の態様によれば、成形によるピンホール等の発生を効果的に抑制し、さらには絶縁性の低下も効果的に抑制することができる。また、本発明の第2の態様によれば、成形によるピンホール等の発生を効果的に抑制し、さらには成形後のカールが効果的に抑制される。このため、本発明の電池用包装材料は、電池のエネルギー密度の向上に寄与することができ、電池の生産性も向上させることができる。
また、本発明の第2の態様の電池用包装材料を構成している積層体は、長さ100mm×幅15mmとした場合に、25℃下において、引張速度50mm/分で引張り、40MPaの引張応力が加わった際の変位が5%以下である。当該変位としては、好ましくは2%〜4%程度が挙げられる。
2.電池用包装材料を形成する各層
[基材層1]
本発明の電池用包装材料において、基材層1は最外層側を形成する層である。基材層1は、ポリエステルにより形成されている。前述の通り、近年、電池の小型化、薄型化の要求に伴い、電池用包装材料に対しても、より一層の薄膜化が求められている。しかしながら、電池用包装材料の厚みが薄くなると、成形時に金属層にピンホールやクラックが生じやすくなるという問題がある。さらに、絶縁性についても低下しやすくなる。
これに対して、本発明の第1の態様においては、基材層1がポリエステルにより形成されており、かつ、当該基材層1の厚みが、15μm〜30μmの範囲にあることにより、金属層3におけるピンホールやクラックの発生が効果的に抑制され、さらに、ナイロンなどにより形成する場合に比して絶縁性が飛躍的に向上する。電池用包装材料を薄型化すると、成形性が低下するため、従来、ポリエステルのように成形性に劣る樹脂を単独で基材層に使用することは考えられなかった。従って、ポリエステルにより形成された基材層1の厚みを上記特定の範囲に設定することにより、絶縁性だけでなく、成形性にも優れた電池用包装材料になることは、意外なことであった。本発明の電池用包装材料において、ポリエステルを用いているにも関わらず、優れた成形性が発揮される機序の詳細の詳細は明らかではないが、例えば次のように考えることができる。すなわち、本発明においては、ポリエステルにより形成された基材層1の厚みが上記特定の範囲に設定されていることにより、成形時における金属層3の急激な伸びが基材層1によって適切に制御され、結果として、金属層3のピンホール等の発生が抑制されているものと考えられる。
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル−ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートは、耐電解液性に優れ、電解液の付着に対して白化等が発生し難いという利点があり、基材層1の形成素材として好適に使用される。
第1の態様において、基材層1の厚みとしては、15μm〜30μmの範囲にあれば特に制限されないが、電池用包装材料をより一層薄型化しつつ、優れた絶縁性と優れた成形性とを担保する観点から、より好ましくは20μm〜25μm程度が挙げられる。なお、後述のように、基材層1が複数の層により構成されており、各層が接着剤などの接着成分により接着されている場合には、当該接着成分の厚みは基材層の1の厚みには含まない。当該接着成分は、電池用包装材料の絶縁性と成形性の向上に実質的に寄与しないためである。
基材層1は、ポリエステルにより形成された1層により構成されていてもよいし、ポリエステルにより形成された複数の層により構成されていてもよい。基材層1が複数の層により構成されている場合、ポリエステルにより形成された2層により構成されていることが好ましい。
基材層1は、好ましくは、ポリエステルフィルム、特に好ましくはポリエチレンテレフタレートフィルムにより構成することができる。基材層1が複数の層により構成されている場合、特に、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された2層構成が好ましい。
基材層1が複数の層により構成されている場合、各層の間は、接着剤または接着性樹脂などの接着成分を介して積層させればよく、使用される接着成分の種類や量等については、後述する接着剤層2の場合と同様である。2層以上のポリエステルフィルムを積層させる方法としては、特に制限されず、公知方法が採用でき、例えばドライラミネート法、サンドイッチラミネート法などが挙げられ、好ましくはドライラミネート法が挙げられる。ドライラミネート法により積層させる場合には、接着剤層としてウレタン系接着剤を用いることが好ましい。このとき、接着剤層の厚みとしては、例えば2μm〜5μm程度が挙げられる。
本発明の第2の態様において、基材層1は、長さ100mm×幅15mmとした場合に、25℃下において、引張速度50mm/分で引張り、15MPaの引張応力が加わった際の変位が5%以下である。当該変位としては、好ましくは2%〜4%程度が挙げられる。本発明の第2の態様においては、前述の積層体の変位が上記所定範囲内にあり、かつ、基材層1の当該変位が5%以下であることにより、成形によるピンホール等の発生を効果的に抑制し、さらには成形後のカールが効果的に抑制される。本発明の第2の態様において、基材層1の厚さとしては、例えば、10μm〜50μm程度、好ましくは12μm〜30μm程度が挙げられる。
基材層1には、成形性を向上させるために低摩擦化させておいてもよい。基材層1を低摩擦化させる場合、その表面の摩擦係数については特に制限されないが、例えば1.0以下が挙げられる。基材層1を低摩擦化するには、例えば、マット処理、滑剤の薄膜層の形成、これらの組み合わせ等が挙げられる。
マット処理としては、予め基材層1にマット化剤を添加し表面に凹凸を形成したり、エンボスロールによる加熱や加圧による転写法や、表面を乾式又は湿式ブラスト法やヤスリで機械的に荒らす方法が挙げられる。マット化剤としては、例えば、粒径が0.5nm〜5μm程度の微粒子が挙げられる。マット化剤の材質については、特に制限されないが、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物等が挙げられる。また、マット化剤の形状についても、特に制限されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状等が挙げられる。マット化剤として、具体的には、タルク,シリカ,グラファイト、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化ネオジウム,酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム,硫酸バリウム、炭酸カルシウム,ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム,シュウ酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ類、高融点ナイロン、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケル等が挙げられる。これらのマット化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのマット化剤の中でも、分散安定性やコスト等の観点から、好ましくはりシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、マット化剤には、表面に絶縁処理、高分散性処理等の各種表面処理を施しておいてもよい。
滑剤の薄膜層は、基材層1上に滑剤をブリードアウトにより表面に析出させて薄層を形成させる方法や、基材層1に滑剤を積層することで形成できる。滑剤としては、特に制限されないが、例えば、後述するようなアマイド系滑剤、金属石鹸、親水性シリコーン、シリコーンをグラフトしたアクリル、シリコーンをグラフトしたエポキシ、シリコーンをグラフトしたポリエーテル、シリコーンをグラフトしたポリエステル、ブロック型シリコーンアクリル共重合体、ポリグリセロール変性シリコーン、パラフィン等が挙げられる。これらの滑剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[接着剤層2]
本発明の電池用包装材料において、接着剤層2は、基材層1と金属層3を強固に接着させるために、これらの間に設けられる層である。
接着剤層2は、基材層1と金属層3とを接着可能である接着剤によって形成される。接着剤層2の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着剤層2の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
接着剤層2の形成に使用できる接着成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系樹脂;フェノール樹脂系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン系樹脂等が挙げられる。これらの接着成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの接着成分の中でも、好ましくはポリウレタン系接着剤が挙げられる。
接着剤層2の厚みについては、接着剤層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、1μm〜10μm程度、好ましくは2μm〜5μm程度が挙げられる。
[金属層3]
電池用包装材料において、金属層3は、電池用包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止するためのバリア層として機能する層である。金属層3を構成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタンなどが挙げられ、好ましくはアルミニウムが挙げられる。金属層3は、金属箔や金属蒸着などにより形成することができ、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム箔により形成することがさらに好ましい。電池用包装材料の製造時に、金属層3にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS H4160 A8021H−O、JIS H4160 A8079H−O、JIS H4000:2014 A8021P−O、JIS H4000:2014 A8079P−O)など軟質アルミニウム箔により形成することがより好ましい。
本発明の第1の態様の電池用包装材料において、金属層3の厚みは40μm以下である。これにより、本発明の電池用包装材料においては、薄型のものとすることができる。電池用包装材料をさらに薄型化しつつ、成形性と絶縁性とを両立させる観点からは、金属層3の厚みは、より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは10μm〜35μm程度とすることができる。一方、本発明の第2の態様の電池用包装材料において、金属層3の厚みは40μm以下に限定されない。本発明の第2の態様において、金属層3の厚みは、水蒸気などのバリア層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、10μm〜50μm程度、好ましくは10μm〜40μm程度とすることができる。
また、金属層3は、接着の安定化、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも一方の面、好ましくは両面に、化成処理により形成された耐酸性皮膜層を備えることが好ましい。ここで、化成処理とは、金属層の表面に耐酸性皮膜を形成する処理をいう。化成処理としては、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロムなどのクロム酸化合物を用いたクロム酸クロメート処理;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸などのリン酸化合物を用いたリン酸クロメート処理;下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理などが挙げられる。なお、当該アミノ化フェノール重合体において、下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上の任意の組み合わせであってもよい。
Figure 0006881298
Figure 0006881298
Figure 0006881298
Figure 0006881298
一般式(1)〜(4)中、Xは、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基またはベンジル基を示す。また、R1及びR2は、それぞれ同一または異なって、ヒドロキシル基、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)〜(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1及びR2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。一般式(1)〜(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基及びヒドロキシアルキル基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。一般式(1)〜(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシル基またはヒドロキシアルキル基であることが好ましい。一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、500〜100万であることが好ましく、1000〜2万程度であることがより好ましい。
また、金属層3に耐食性を付与する化成処理方法として、リン酸中に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズなどの金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を行うことにより、金属層3の表面に耐食処理層を形成する方法が挙げられる。また、耐食処理層の上には、カチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層をさらに形成してもよい。ここで、カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフト重合させた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノールなどが挙げられる。これらのカチオン性ポリマーとしては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する化合物、シランカップリング剤などが挙げられる。これらの架橋剤としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
化成処理は、1種類の化成処理のみを行ってもよいし、2種類以上の化成処理を組み合わせて行ってもよい。さらに、これらの化成処理は、1種の化合物を単独で使用して行ってもよく、また2種以上の化合物を組み合わせて使用して行ってもよい。化成処理の中でも、クロム酸クロメート処理や、クロム酸化合物、リン酸化合物、及びアミノ化フェノール重合体を組み合わせたクロメート処理などが好ましい。
化成処理において金属層3の表面に形成させる耐酸性皮膜の量については、特に制限されないが、例えば、上記のクロメート処理を行う場合であれば、金属層3の表面1m2当たり、クロム酸化合物がクロム換算で約0.5mg〜約50mg、好ましくは約1.0mg〜約40mg、リン化合物がリン換算で約0.5mg〜約50mg、好ましくは約1.0mg〜約40mg、及びアミノ化フェノール重合体が約1mg〜約200mg、好ましくは約5.0mg〜150mgの割合で含有されていることが望ましい。
化成処理は、耐酸性皮膜の形成に使用する化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法などによって、金属層の表面に塗布した後に、金属層の温度が70℃〜200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、金属層に化成処理を施す前に、予め金属層を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法などによる脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、金属層の表面の化成処理をより効率的に行うことが可能となる。
[熱融着性樹脂層4]
本発明の電池用包装材料において、熱融着性樹脂層4は、最内層に該当し、電池の組み立て時に熱融着性樹脂層同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。
熱融着性樹脂層4に使用される樹脂成分については、熱溶着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。
前記ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー;等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
前記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、更に好ましくはノルボルネンが挙げられる。
前記カルボン酸変性ポリオレフィンとは、前記ポリオレフィンをカルボン酸でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。変性に使用されるカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
前記カルボン酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β−不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。カルボン酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、変性に使用されるカルボン酸としては、前記酸変性シクロオレフィンコポリマーの変性に使用されるものと同様である。
これらの樹脂成分の中でも、好ましくはカルボン酸変性ポリオレフィン;更に好ましくはカルボン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
熱融着性樹脂層4は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。更に、熱融着性樹脂層4は、1層のみで成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。
また、熱融着性樹脂層4は、必要に応じて滑剤などを含んでいてもよい。熱融着性樹脂層4が滑剤を含む場合、電池用包装材料の成形性を高め得る。滑剤としては、特に制限されず、公知のスリップ剤を用いることができ、例えば、上記の基材層1で例示したものなどが挙げられる。スリップ剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。熱融着性樹脂層4におけるスリップ剤の含有量としては、特に制限されず、電子包装用材料の成形性及び絶縁性を高める観点からは、好ましくは0.01質量%〜0.2質量%程度、より好ましくは0.05質量%〜0.15質量%程度が挙げられる。
熱融着性樹脂層4の厚さとしては、適宜選定することができるが、10μm〜100μm程度、好ましくは15μm〜50μm程度が挙げられる。
[接着層5]
本発明の電池用包装材料において、接着層5は、金属層3と熱融着性樹脂層4を強固に接着させために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
接着層5は、金属層3と熱融着性樹脂層4とを接着可能である樹脂によって形成される。接着層5の形成に使用される樹脂としては、その接着機構、接着剤成分の種類等は、接着剤層2で例示した接着剤と同様のものが使用できる。また、接着層5の形成に使用される樹脂としては、前述の熱融着性樹脂層4で例示したポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂も使用できる。金属層3と熱融着性樹脂層4との密着性に優れる観点から、ポリオレフィンとしては、カルボン酸変性ポリオレフィンが好ましく、カルボン酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。
さらに、電池用包装材料の厚みを薄くしつつ、成形後の形状安定性に優れた電池用包装材料とする観点からは、接着層5は、酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物であってもよい。酸変性ポリオレフィンとしては、好ましくは、熱融着性樹脂層4で例示したカルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンと同じものが例示できる。
また、硬化剤としては、酸変性ポリオレフィンを硬化させるものであれば、特に限定されない。硬化剤としては、例えば、エポキシ系硬化剤、多官能イソシアネート系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤などが挙げられる。
エポキシ系硬化剤は、少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されない。エポキシ系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテルなどのエポキシ樹脂が挙げられる。
多官能イソシアネート系硬化剤は、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に限定されない。多官能イソシアネート系硬化剤の具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、これらをポリマー化やヌレート化したもの、これらの混合物や他ポリマーとの共重合物などが挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を少なくとも1つ有する化合物であれば、特に限定されない。カルボジイミド系硬化剤としては、カルボジイミド基を少なくとも2つ以上有するポリカルボジイミド化合物が好ましい。
オキサゾリン系硬化剤は、オキサゾリン骨格を有する化合物であれば、特に限定されない。オキサゾリン系硬化剤としては、具体的には、日本触媒社製のエポクロスシリーズなどが挙げられる。
接着層5による金属層3と熱融着性樹脂層4との密着性を高めるなどの観点から、硬化剤は、2種類以上の化合物により構成されていてもよい。
接着層5を形成する樹脂組成物における硬化剤の含有量は、0.1質量%〜50質量%の範囲にあることが好ましく、0.1質量%〜30質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1質量%〜10質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
接着層5の厚みについては、接着層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、接着剤層2で例示した接着剤を用いる場合であれば、好ましくは2μm〜10μm、より好ましくは2μm〜5μmが挙げられる。また、熱融着性樹脂層4で例示した樹脂を用いる場合であれば、好ましくは2μm〜50μm、より好ましくは10μm〜40μmが挙げられる。また、酸変性ポリオレフィンと硬化剤との硬化物である場合であれば、好ましくは30μm、より好ましくは0.1μm〜20μm、さらに好ましくは0.5μm〜5μmが挙げられる。なお、接着層5が酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物である場合、当該樹脂組成物を塗布し、加熱等により硬化させることにより、接着層5を形成することができる。
[表面被覆層]
本発明の電池用包装材料においては、意匠性、耐電解液性、耐擦過性、成形性の向上などを目的として、必要に応じて、基材層1の上(基材層1の金属層3とは反対側)に、必要に応じて、表面被覆層(図示しない)を設けてもよい。表面被覆層は、電池を組み立てた時に、最外層に位置する層である。
表面被覆層は、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などにより形成することができる。表面被覆層は、これらの中でも、2液硬化型樹脂により形成することが好ましい。表面被覆層を形成する2液硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂、2液硬化型ポリエステル樹脂、2液硬化型エポキシ樹脂などが挙げられる。また、表面被覆層には、マット化剤を配合してもよい。
マット化剤としては、例えば、粒径が0.5nm〜5μm程度の微粒子が挙げられる。マット化剤の材質については、特に制限されないが、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物等が挙げられる。また、マット化剤の形状についても、特に制限されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状等が挙げられる。マット化剤として、具体的には、タルク,シリカ,グラファイト、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化ネオジウム,酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム,硫酸バリウム、炭酸カルシウム,ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム,シュウ酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ類、高融点ナイロン、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケル等が挙げられる。これらのマット化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのマット化剤の中でも、分散安定性やコスト等の観点から、好ましくはりシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、マット化剤には、表面に絶縁処理、高分散性処理等の各種表面処理を施しておいてもよい。
表面被覆層を形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、表面被覆層を形成する2液硬化型樹脂を基材層1の一方の表面上に塗布する方法が挙げられる。マット化剤を配合する場合には、2液硬化型樹脂にマット化剤を添加して混合した後、塗布すればよい。
表面被覆層の厚みとしては、表面被覆層としての上記の機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、0.5μm〜10μm程度、好ましくは1μm〜5μm程度が挙げられる。
3.電池用包装材料の製造方法
本発明の第1の態様の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されず、少なくとも、基材層1、金属層3、及び熱融着性樹脂層4をこの順に備える積層体を得る工程を備えており、金属層3として、厚みが40μm以下のものを用い、基材層1として、ポリエステルにより形成されており、厚みが15μm〜30μmのものを用いる。また、本発明の第2の態様の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されず、少なくとも、基材層1、金属層3、及び熱融着性樹脂層4をこの順に備える積層体を得る工程を備えており、基材層1として、長さ100mm×幅15mmとした前記基材層は、25℃下において、引張速度50mm/分で引張り、15MPaの引張応力が加わった際の変位が5%以下のものを用い、得られる積層体を、長さ100mm×幅15mmとした場合に、25℃下において、引張速度50mm/分で引張り、40MPaの引張応力が加わった際の変位を5%以下とする。
すなわち、基材層1として、「2.電池用包装材料を形成する各層」の欄で説明した基材層1を用いて、各層を積層することにより、本発明の電池用包装材料を製造することができる。
本発明の電池用包装材料の製造方法の一例としては、以下の通りである。まず、基材層1、接着剤層2、金属層3をこの順に備える積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。積層体Aの形成は、具体的には、基材層1上又は必要に応じて表面が化成処理された金属層3に接着剤層2の形成に使用される接着剤を、グラビアコート法、ロールコート法等の塗布方法で塗布・乾燥した後に、当該金属層3又は基材層1を積層させて接着剤層2を硬化させるドライラミネート法によって行うことができる。
次いで、積層体Aの金属層3上に、熱融着性樹脂層4を積層させる。金属層3上に熱融着性樹脂層4を直接積層させる場合には、積層体Aの金属層3上に、熱融着性樹脂層4を構成する樹脂成分をグラビアコート法、ロールコート法等の方法により塗布すればよい。また、金属層3と熱融着性樹脂層4の間に接着層5を設ける場合には、例えば、(1)積層体Aの金属層3上に、接着層5及び熱融着性樹脂層4を共押出しすることにより積層する方法(共押出しラミネーション法)、(2)別途、接着層5と熱融着性樹脂層4が積層した積層体を形成し、これを積層体Aの金属層3上に熱ラミネーション法により積層する方法、(3)積層体Aの金属層3上に、接着層5を形成させるための接着剤を押出し法や溶液コーティングした高温で乾燥さらには焼き付ける方法等により積層させ、この接着層5上に予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4をサーマルラミネーション法により積層する方法、(4)積層体Aの金属層3と、予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4との間に、溶融させた接着層5を流し込みながら、接着層5を介して積層体Aと熱融着性樹脂層4を貼り合せる方法(サンドイッチラミネート法)等が挙げられる。
表面被覆層を設ける場合には、基材層1の金属層3とは反対側の表面に、表面被覆層を積層する。表面被覆層は、例えば表面被覆層を形成する上記の樹脂を基材層1の表面に塗布することに形成することができる。なお、基材層1の表面に金属層3を積層する工程と、基材層1の表面に表面被覆層を積層する工程の順番は、特に制限されない。例えば、基材層1の表面に表面被覆層を形成した後、基材層1の表面被覆層とは反対側の表面に金属層3を形成してもよい。
上記のようにして、必要に応じて設けられる表面被覆層/基材層1/接着剤層2/必要に応じて表面が化成処理された金属層3/必要に応じて設けられる接着層5/熱融着性樹脂層4からなる積層体が形成されるが、接着剤層2及び必要に応じて設けられる接着層5の接着性を強固にするために、更に、熱ロール接触式、熱風式、近又は遠赤外線式等の加熱処理に供してもよい。このような加熱処理の条件としては、例えば150℃〜250℃で1分間〜5分間が挙げられる。
本発明の電池用包装材料において、積層体を構成する各層は、必要に応じて、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性等を向上又は安定化するために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理を施していてもよい。
4.電池用包装材料の用途
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として使用される。
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材料で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(熱融着性樹脂層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部の熱融着性樹脂層同士をヒートシールして密封させることによって、電池用包装材料を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用包装材料を用いて電池素子を収容する場合、本発明の電池用包装材料のシーラント部分が内側(電池素子と接する面)になるようにして用いられる。
本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用包装材料が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛畜電池、ニッケル・水素畜電池、ニッケル・カドミウム畜電池、ニッケル・鉄畜電池、ニッケル・亜鉛畜電池、酸化銀・亜鉛畜電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1A−5A及び比較例1A−6A
<電池用包装材料の製造>
基材層の上に、両面に化成処理を施したアルミニウム箔からなる金属層をドライラミネート法により積層させた。具体的には、アルミニウム箔の一方面に、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、金属層上に接着剤層(厚さ3μm)を形成した。次いで、金属層上の接着剤層と基材層を積層した後、40℃で24時間のエージング処理を実施することにより、基材層/接着剤層/金属層の積層体を作製した。なお、金属層として使用したアルミニウム箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥重量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム箔の両面に塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより行った。次に積層体の金属層の上に、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、金属層上に接着層を形成した。次いで、熱融着性樹脂層としてのランダムポリプロピレンフィルムを(最内層)接着層の上に貼り付けることにより、金属層上に接着層/熱融着性樹脂層を積層させて、各電池用包装材料を得た。基材層、金属層、接着層、熱融着性樹脂層の厚みは、それぞれ、表1Aに記載の通りである。なお、表1Aにおいて、PET/PETは、ポリエチレンテレフタレート層が、接着剤層(2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物、厚み3μm)を介して接着された2層構造を有している。同様に、PET/ナイロンは、ポリエチレンテレフタレート層とナイロン層が、接着剤層(2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物、厚み3μm)を介して接着された2層構造を有している。基材層が2層構造を有している場合、基材層の厚みには接着剤層の厚みは含まれていない。
<成形性の評価>
上記で得られた各電池用包装材料を80mm×120mmの長方形に断裁してサンプルを作製した。このサンプルを32×55mmの口径を有する成形金型(雌型)と、これに対応した成形金型(雄型)を用いて、押さえ面圧0.1MPa〜0.2MPaで0.5mmの成形深さから0.5mm単位で成形深さを変えて、それぞれ20個のサンプルについて冷間成形を行った。冷間成形後のサンプルについて、シワやアルミニウム箔にピンホール、クラックが20個のサンプル全てにおいて発生しない最も深い成形深さを、そのサンプルの限界成形深さとした。結果を表1Aに示す。
<絶縁破壊電圧の測定>
実施例及び比較例で得られた各電池用包装材料の絶縁破壊電圧を、JIS C 2110−2(直流電圧印加による試験)の規定に準拠した方法により測定した。測定条件は、昇圧速度:0.5kV/s、周囲媒質:大気(23℃)、試験電極:φ25円柱/φ25円柱、試験装置:HAT−300−100RHOとした。結果を表1Aに示す。
Figure 0006881298
表1Aに示されるように、金属層の厚みが40μm以下であり、かつ、基材層がPETにより形成されているにも関わらず、基材層の厚みが15μm〜30μmの範囲内にある実施例1A〜5Aの電池用包装材料においては、成形性及び絶縁性に優れることが分かる。一方、PETにより形成された基材層の厚みが9μm〜12μmと、実施例よりも薄い比較例1A〜6Aにおいては、実施例1A〜5Aに比して、成形性及び絶縁性が劣っていた。
実施例1B−6B及び比較例1B−5B
<電池用包装材料の製造>
後述の引っ張りによる変位が表1Bの値となる各基材層を準備した。次に、各基材層の上に、両面に化成処理を施したアルミニウム箔からなる金属層をドライラミネート法により積層させた。具体的には、アルミニウム箔の一方面に、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、金属層上に接着剤層(厚さ3μm)を形成した。次いで、金属層上の接着剤層と基材層を積層した後、40℃で24時間のエージング処理を実施することにより、基材層/接着剤層/金属層の積層体を作製した。なお、金属層として使用したアルミニウム箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥重量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム箔の両面に塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより行った。接着層としてのカルボン酸変性ポリプロピレン(金属層側に配置)と熱融着性樹脂層としてのランダムポリプロピレンフィルムを(最内層)を共押し出し、金属層上に接着層/熱融着性樹脂層を積層させて、各電池用包装材料を得た。積層体の具体的な層構成は、表1Bに記載のとおりである。なお、表1Bにおいて、PET/PETは、ポリエチレンテレフタレート層が、接着剤層(2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物、厚み3μm)を介して接着された2層構造を有している。同様に、PET/ナイロンは、ポリエチレンテレフタレート層とナイロン層が、接着剤層(2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物、厚み3μm)を介して接着された2層構造を有している。基材層が2層構造を有している場合、基材層の厚みには接着剤層の厚みは含まれていない。
<基材層の引っ張りによる変位の測定>
実施例1B−5B及び比較例1B−6Bの電池用包装材料に使用した各基材層を、それぞれ、長さ100mm×幅15mmの長方形に裁断して試験片とした。各試験片を、それぞれ、25℃下において、引張速度50mm/分で引張り、15MPaの引張応力を測定した。引っ張りには、オートグラフ(SHIMAZU AUTOGRAPH AG−X Plus)を用いた。また、チャック間距離は30mmとした。結果を表1Bに示す。また、実施例1B,2B,6B及び比較例1B,4B,5Bの電池用包装材料で使用した基材層から作製した試験片について、この時の引張応力(MPa)と変位(%)の関係を示すグラフを図6,7に示す。
<電池用包装材料の引っ張りによる変位の測定>
実施例1B−5B及び比較例1B−6Bの電池用包装材料を、それぞれ、長さ100mm×幅15mmの長方形に裁断して試験片とした。各試験片を、それぞれ、25℃下において、引張速度50mm/分で引張り、40MPaの引張応力を測定した。引っ張りには、オートグラフ(SHIMAZU AUTOGRAPH AG−X Plus)を用いた。また、チャック間距離は30mmとした。結果を表1Bに示す。また、実施例1B,2B,6B及び比較例1B,4B,5Bの電池用包装材料から作製した試験片について、この時の引張応力(MPa)と変位(%)の関係を示すグラフを図8,9に示す。
<成形性の評価>
実施例1A−5A及び比較例1A−6Aの電池用包装材料の成形性の評価と同様にして、実施例1B−6B及び比較例1B−5Bの電池用包装材料の成形性の評価を行った。結果を表1Bに示す。
<成形カールの評価>
実施例1B−6B及び比較例1B−5B裁断して、長さ(z方向)150mm×幅(x方向)100mmの短冊片を作製し、これを試験サンプルとした。30mm×50mmの矩形状の雄型とこの雄型とのクリアランスが0.5mmの雌型からなるストレート金型を用い、雄型側に熱融着性樹脂層4側が位置するように雌型上に上記試験サンプルを載置し、成形深さ6mmとなるように当該試験サンプルを0.1MPaの押え圧(面圧)で押えて、冷間成形(引き込み1段成形)した。成形を行った位置の詳細は、図4に示される通りである。図5に示されるように、矩形状の成形部Mと電池用包装材料10の端部Pとの最短距離d=25mmとなる位置で成形した。次に、成形後の電池用包装材料10を、図に示すようにして水平面20におき、水平面20から端部Pまでの垂直方向yの距離の最大値tをカールしている部分の最大高さ(成形カール(mm))とした。結果を表1Bに示す。
Figure 0006881298
表1Bにおいて、ONyはナイロン、PETはポリエチレンテレフタレートである。PET/ONyは、ポリエチレンテレフタレートフィルムとナイロンフィルムの2層積層体であり、ONyが金属層側に位置している。なお、当該2層積層体の各層は、2液型ウレタン接着剤3μmで接着している。基材層の厚みには、当該接着剤の厚みは含んでいない。ALMはアルミニウム合金箔を意味する。PPはランダムポリプロピレン、PPaは無水マレイン酸変性ポリプロピレンを意味する。
なお、表1Bにおいて、括弧内の数値は、厚み(μm)を意味する。また、積層体の層構成において、基材層が2層積層体である場合の接着剤層(3μm)と、基材層と金属層との間に位置している接着剤層(3μm)の記載は省略している。
1 基材層
2 接剤着層
3 金属層
4 熱融着性樹脂層
5 接着層
10 電池用包装材料
20 水平面
M 成形部
P 端部

Claims (11)

  1. 少なくとも、基材層、金属層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体からなり、
    前記金属層の厚みが30μm以上40μm以下であり、
    前記基材層は、ポリエステルにより形成されており、
    前記基材層の厚みが、20μm以上30μm以下である、電池用包装材料。
  2. 前記積層体の厚みが、140μm以下である請求項1に記載の電池用包装材料。
  3. 前記基材層は、ポリエステルにより形成された1層により構成されている、請求項1または2に記載の電池用包装材料。
  4. 前記基材層は、ポリエステルにより形成された複数の層により構成されている、請求項1または2に記載の電池用包装材料。
  5. 前記金属層の少なくとも一方の面に耐酸性皮膜層を備える、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
  6. 前記金属層が、アルミニウム箔である、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
  7. 最内層である前記熱融着性樹脂層が、ポリプロピレンにより形成されている、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
  8. 前記金属層と前記熱融着性樹脂層との間に、接着層を備えており、
    前記接着層は、カルボン酸変性ポリプロピレンにより形成されている、請求項1〜7のいずれかに記載の電池用包装材料。
  9. 少なくとも、基材層、金属層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体を得る工程を備えており、
    前記金属層として、厚みが30μm以上40μm以下のものを用い、
    前記基材層として、ポリエステルにより形成されており、厚みが20μm以上30μm以下のものを用いる、電池用包装材料の製造方法。
  10. 少なくとも、ポリエステルを含む基材層と、金属層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体からなり、
    前記金属層の厚みが30μm以上40μm以下であり、
    長さ100mm×幅15mmとした前記基材層は、25℃下において、引張速度50mm/分で引張り、15MPaの引張応力が加わった際の変位が5%以下であり、
    長さ100mm×幅15mmとした前記積層体は、25℃下において、引張速度50mm/分で引張り、40MPaの引張応力が加わった際の変位が5%以下である、電池用包装材料。
  11. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜10のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包装体内に収容されている、電池。
JP2017510213A 2015-03-31 2016-03-31 電池用包装材料、その製造方法及び電池 Active JP6881298B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021078523A JP7314970B2 (ja) 2015-03-31 2021-05-06 電池用包装材料、その製造方法及び電池

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015073335 2015-03-31
JP2015073335 2015-03-31
PCT/JP2016/060761 WO2016159278A1 (ja) 2015-03-31 2016-03-31 電池用包装材料、その製造方法及び電池

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021078523A Division JP7314970B2 (ja) 2015-03-31 2021-05-06 電池用包装材料、その製造方法及び電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016159278A1 JPWO2016159278A1 (ja) 2018-02-22
JP6881298B2 true JP6881298B2 (ja) 2021-06-02

Family

ID=57005153

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017510213A Active JP6881298B2 (ja) 2015-03-31 2016-03-31 電池用包装材料、その製造方法及び電池
JP2021078523A Active JP7314970B2 (ja) 2015-03-31 2021-05-06 電池用包装材料、その製造方法及び電池

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021078523A Active JP7314970B2 (ja) 2015-03-31 2021-05-06 電池用包装材料、その製造方法及び電池

Country Status (2)

Country Link
JP (2) JP6881298B2 (ja)
WO (1) WO2016159278A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7294132B2 (ja) * 2017-08-02 2023-06-20 大日本印刷株式会社 電池用包装材料及び電池
CN111699566B (zh) * 2018-02-07 2022-11-08 大日本印刷株式会社 电池用包装材料、其制造方法和电池
JP7456378B2 (ja) 2018-03-27 2024-03-27 大日本印刷株式会社 電池用包装材料用ポリエチレンテレフタレートフィルム、電池用包装材料、電池用包装材料の製造方法及び電池
KR102672122B1 (ko) * 2021-06-21 2024-06-05 율촌화학 주식회사 외층 절연파괴전압이 우수한 셀 파우치 실란트 층 및 그 제조 방법

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6632538B1 (en) * 1998-02-05 2003-10-14 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Sheet for cell and cell device
JP2007105948A (ja) * 2005-10-12 2007-04-26 Toray Ind Inc ポリエステルフィルム
JP2011076735A (ja) * 2009-09-29 2011-04-14 Toppan Printing Co Ltd リチウムイオン電池用包装材
JP5424176B2 (ja) * 2010-07-02 2014-02-26 東レフィルム加工株式会社 二次電池容器用積層材及び二次電池容器
JP5888860B2 (ja) * 2011-02-23 2016-03-22 興人フィルム&ケミカルズ株式会社 二軸延伸ポリブチレンテレフタレート系フィルム、およびそれを用いた冷間成形用電池ケース包材
JP5321853B2 (ja) * 2011-04-04 2013-10-23 大日本印刷株式会社 ポリマー電池用包装材料
JP5966611B2 (ja) * 2011-05-24 2016-08-10 東レ株式会社 積層体
JP6019645B2 (ja) * 2012-03-21 2016-11-02 凸版印刷株式会社 リチウムイオン電池用外装材
JP2014002902A (ja) * 2012-06-18 2014-01-09 Kohjin Holdings Co Ltd 二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムを含む冷間成形用電池ケース包材
JP6064401B2 (ja) * 2012-07-12 2017-01-25 大日本印刷株式会社 電池用包装材料
JP2014069383A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Toray Ind Inc 積層体
JP6206195B2 (ja) * 2014-01-10 2017-10-04 東レ株式会社 複合体、複合体にシーラント層を積層した構成体。
JP6331482B2 (ja) * 2014-03-03 2018-05-30 大日本印刷株式会社 電池用包装材料

Also Published As

Publication number Publication date
JP7314970B2 (ja) 2023-07-26
JP2021122016A (ja) 2021-08-26
WO2016159278A1 (ja) 2016-10-06
JPWO2016159278A1 (ja) 2018-02-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6988933B2 (ja) 電池用包装材料
CN108701780B (zh) 电池用包装材料、其制造方法以及电池
CN109986855B (zh) 电池用包装材料
EP3689599B1 (en) Packaging material for battery
JP7314970B2 (ja) 電池用包装材料、その製造方法及び電池
KR102551200B1 (ko) 전지용 포장 재료, 그 제조 방법, 전지, 및 폴리에스테르 필름
JP6679918B2 (ja) 電池用包装材料
WO2016052294A1 (ja) 電池用包装材料
JP6492497B2 (ja) 電池用包装材料
WO2019017457A1 (ja) 電池用包装材料、電池用包装材料の製造方法、及び電池
JP2020161490A (ja) 電池用包装材料
CN109075270B (zh) 电池用包装材料和电池
JP6828680B2 (ja) 電池用包装材料、その製造方法及び電池
WO2017188396A1 (ja) 電池用包装材料、その製造方法、電池及びその製造方法
JP6485609B1 (ja) 電池用包装材料、電池用包装材料の製造方法、及び電池
JP6736837B2 (ja) 電池用包装材料
JP6597907B2 (ja) 電池用包装材料及び電池
JP2019016537A (ja) 電池用包装材料、その製造方法、及び電池
JP2016071952A (ja) 電池用包装材料
JP6627908B2 (ja) 電池用包装材料
JP7528974B2 (ja) 電池用包装材料
JP6879321B2 (ja) 電池用包装材料
JP6492496B2 (ja) 電池用包装材料
JP6773155B2 (ja) 電池用包装材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190301

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200526

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210209

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210406

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210419

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6881298

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R157 Certificate of patent or utility model (correction)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R157