JP6492496B2 - 電池用包装材料 - Google Patents
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Description
このような状況下、本発明の主な目的は、少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなる電池用包装材料において、成形後のカールを抑制する技術を提供することにある。
項1. 少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、
前記シーラント層の厚みが、前記基材層の厚みの3倍以上である、電池用包装材料。
項2. 少なくとも、基材層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、
前記接着層と前記シーラント層との合計厚みが、前記基材層の厚みの3倍以上である、電池用包装材料。
項3.前記積層体の厚みが、160μm以下である、項1または2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記基材層が、延伸樹脂フィルムにより形成されており、前記シーラント層が、未延伸樹脂フィルムにより形成されている、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 前記基材層が、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の少なくとも一方により形成されている、項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. 前記金属層が、アルミニウム箔により形成されている、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
項7. 前記金属層の少なくとも一方の面に化成処理が施されている、項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
項8. 二次電池用の包装材料である、項1〜7のいずれかに記載の電池用包装材料。
項9. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。
電池用包装材料10は、図1に示すように、少なくとも、基材層1、金属層3、及びシーラント層4が順次積層された積層体からなる。本発明の電池用包装材料において、基材層1が最外層になり、シーラント層4は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置するシーラント層4同士が熱溶着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
本発明の電池用包装材料においては、後述するシーラント層4の厚み(接着層5とシーラント層4との合計厚み)が、後述する基材層1の厚みの3倍以上に設定されていることを特徴としている。前述の通り、電池用包装材料の厚みが薄くなると、電池用包装材料に形成された凹部の周縁部がカール(湾曲)して、電池素子の収容やシーラント層の熱融着を阻害して、電池の生産効率を低下させる場合がある。これに対して、本発明の電池用包装材料においては、電池用包装材料を構成している基材層1の厚みよりも、シーラント層4の厚み(接着層5とシーラント層4との合計厚み)が3倍以上大きくなるように設定していることにより、例えば、電池用包装材料の厚みが160μm以下、さらには130μm以下、さらには100〜120μmと非常に薄い場合にも、成形後のカールを効果的に抑制することができる。
[基材層1]
本発明の電池用包装材料において、基材層1は最外層を形成する層である。基材層1を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層1を形成する素材としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、珪素樹脂、フェノール樹脂、及びこれらの混合物や共重合物等の樹脂フィルムが挙げられる。これらの中でも、好ましくはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられ、より好ましくは2軸延伸ポリエステル樹脂、2軸延伸ポリアミド樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。また、ポリアミド樹脂としては、具体的には、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。
本発明の電池用包装材料において、接着層2は、基材層1と金属層3を強固に接着させるために、必要に応じて、これらの間に設けられる層である。
電池用包装材料において、金属層3は、電池用包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止するためのバリア層として機能する層である。金属層3を構成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタンなどが挙げられ、好ましくはアルミニウムが挙げられる。金属層3は、金属箔や金属蒸着などにより形成することができ、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム箔により形成することがさらに好ましい。電池用包装材料の製造時に、金属層3にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O、JIS A8079P−O)など軟質アルミニウム箔により形成することがより好ましい。
本発明の電池用包装材料において、シーラント層4は、最内層に該当し、電池の組み立て時にシーラント層同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。本発明の電池用包装材料において、後述の接着層5が積層されている場合には、接着層5とシーラント層4との厚みの合計が、基材層1の厚みの3倍以上であればよく、シーラント層4単独の厚みは、基材層1の厚みの3倍以上であってもよいし、3倍未満であってもよい。一方、後述の接着層5が積層されていない場合には、シーラント層4単独の厚みは、基材層1の厚みの3倍以上である。
本発明の電池用包装材料において、接着層5は、金属層3とシーラント層4を強固に接着させために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。本発明の電池用包装材料において、接着層5が積層されている場合には、接着層5とシーラント層4との厚みの合計が、基材層1の厚みの3倍以上であればよく、接着層5単独の厚みは、基材層1の厚みの3倍以上であってもよいし、3倍未満であってもよい。
本発明の電池用包装材料においては、意匠性、耐電解液性、耐擦過性、成形性の向上などを目的として、必要に応じて、基材層1の上(基材層1の金属層3とは反対側)に、必要に応じて、コーティング層を設けてもよい。コーティング層は、電池を組み立てた時に、最外層に位置する層である。
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されないが、例えば、以下の方法が例示される。
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として使用される。
<電池用包装材料の製造>
基材層1/接着層2/金属層3が順に積層された積層体に対して、サーマルラミネート法で接着層5及びシーラント層4を積層させることにより、基材層1/接着層2/金属層3/接着層5/シーラント層4が順に積層された積層体からなる電池用包装材料を製造した。電池用包装材料の製造条件の詳細は、以下に示す通りである。
(実施例1)
PET(12μm)/接着剤層(3μm)/ナイロン(15μm)/接着層2(3μm)/金属層3(40μm)/接着層5(40μm)/シーラント層4(40μm)
(実施例2)
PET(9μm)/接着剤層(3μm)/ナイロン(12μm)/接着層2(3μm)/金属層3(30μm)/接着層5(35μm)/シーラント層4(35μm)
(実施例3)
PET(12μm)/接着層2(3μm)/金属層3(35μm)/接着層5(30μm)/シーラント層4(30μm)
(比較例1)
PET(12μm)/接着剤層(3μm)/ナイロン(15μm)/接着層2(3μm)/金属層3(40μm)/接着層5(30μm)/シーラント層4(30μm)
(比較例2)
PET(9μm)/接着剤層(3μm)/ナイロン(12μm)/接着層2(3μm)/金属層3(30μm)/接着層5(30μm)/シーラント層4(30μm)
(比較例3)
PET(12μm)/接着剤層(3μm)/ナイロン(15μm)/接着層2(3μm)/金属層3(35μm)/接着層5(30μm)/シーラント層4(30μm)
(比較例4)
PET(12μm)/接着剤層(3μm)/ナイロン(15μm)/接着層2(3μm)/金属層3(35μm)/接着層5(22μm)/シーラント層4(23μm)
(比較例5)
PET(12μm)/接着剤層(3μm)/ナイロン(12μm)/接着層2(3μm)/金属層3(35μm)/接着層5(30μm)/シーラント層4(30μm)
(比較例6)
ナイロン(25μm)/接着層2(3μm)/金属層3(40μm)/接着層5(25μm)/シーラント層4(25μm)
(比較例7)
ナイロン(15μm)/接着層2(3μm)/金属層3(30μm)/接着層5(20μm)/シーラント層4(15μm)
(比較例8)
ナイロン(15μm)/接着層2(3μm)/金属層3(30μm)/接着層5(15μm)/シーラント層4(10μm)
上記で得られた電池用包装材料を裁断して、150×100mmの短冊片を作製し、これを試験サンプルとした。30×50mmの矩形状の雄型とこの雄型とのクリアランスが0.5mmの雌型からなるストレート金型を用い、雄型側にシーラント層4側が位置するように雌型上に上記試験サンプルを載置し、成形深さ6mmとなるように当該試験サンプルを0.1MPaの押え圧(面圧)で押えて、冷間成形(引き込み1段成形)した。成形を行った位置の詳細は、図3に示される通りである。図3に示されるように、矩形状の成形部Mと電池用包装材料10の端部Pとの最短距離d=25mmとなる位置で成形した。次に、成形後の電池用包装材料10を、図4に示すようにして水平面20におき、水平面20から端部Pまでの垂直方向yの距離の最大値tをカールしている部分の最大高さとした。成形後のカールの評価基準は、以下の通りである。結果を表1に示す。
〇:t=0mm以上、10mm未満であり、カールが小さく、生産性をほとんど低下させない
×:t=10mm以上であり、カールが大きく、生産性の低下が大きい
2 接着層
3 金属層
4 シーラント層
5 接着層
10 電池用包装材料
M 成形部
P 端部
Claims (8)
- 少なくとも、基材層、金属層、接着層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、
前記接着層は、カルボン酸変性ポリオレフィンによって形成されており、
前記接着層は、厚みが15〜50μmであり、
前記積層体の厚みが、130μm以下であり
前記接着層と前記シーラント層との合計厚みが、前記基材層の厚みの3倍以上である、電池用包装材料。 - 前記積層体の厚みが、100〜120μmである、請求項1に記載の電池用包装材料。
- 前記基材層が、延伸樹脂フィルムにより形成されており、前記シーラント層が、未延伸樹脂フィルムにより形成されている、請求項1または2に記載の電池用包装材料。
- 前記基材層が、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の少なくとも一方により形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 前記金属層が、アルミニウム箔により形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 前記金属層の少なくとも一方の面に化成処理が施されている、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 二次電池用の包装材料である、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜7のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。
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