JP2016192404A - 電池用包装材料、その製造方法及び電池 - Google Patents

電池用包装材料、その製造方法及び電池 Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁性及び耐久性が高い電池用包装材料を提供する。【解決手段】少なくとも、基材層1と、金属層3と、第1絶縁層51と、第2絶縁層52と、熱融着性樹脂層4とをこの順に備える積層体からなり、第1絶縁層51の溶融温度が、200℃以上であり、第2絶縁層52の溶融温度は、第1絶縁層51の溶融温度よりも低い。第1絶縁層51は、酸変性ポリオレフィン及びエポキシ樹脂により形成されており、第2絶縁層52は、溶融温度が150℃以上のポリプロピレンにより形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、電池用包装材料、その製造方法及び電池に関する。
従来、様々なタイプの電池が開発されている。これらの電池において、電極、電解質などにより構成される電池素子は、包装材料などにより封止される必要がある。電池用包装材料としては、金属製の包装材料が多用されている。
近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パーソナルコンピュータ、カメラ、携帯電話などの高性能化に伴い、多様な形状を有する電池が求められている。また、電池には、薄型化、軽量化なども求められている。しかしながら、従来多用されている金属製の包装材料では、電池形状の多様化に追従することが困難である。また、金属製であるため、包装材料の軽量化にも限界がある。
そこで、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る電池用包装材料として、基材層/金属層/熱融着性樹脂層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている。
例えば、特許文献1には、外側層としての2軸延伸ポリアミドフィルム層と、内側層としての熱可塑性樹脂未延伸フィルム層と、これら両フィルム層間に配設されたアルミニウム箔層とを含む電池ケース用包材が開示されている。
また、特許文献2には、基材層、接着剤層、腐食防止処理層を設けたアルミニウム箔層、接着性樹脂層、接着性樹脂層の前記基材層との反対側に設けられたシーラント層とが順次積層され、接着性樹脂層が酸変性ポリオレフィン樹脂とエラストマーとを含んだリチウムイオン電池用外装材が開示されている。
特開2008−287971号公報 特開2013−258162号公報
しかしながら、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、特許文献2に開示されたような電池用包装材料では、電池用包装材料を電池に適用した場合、絶縁性及び耐久性が低下する場合があるという課題が見出された。
そこで、本発明者がさらに鋭意検討を重ねた結果、電池の製造工程において、電極活物質や電極タブの破片などの微小な異物が、熱融着性樹脂層の表面に付着する場合があり、電池素子を電池用包装材料でヒートシールする際の熱と圧力によって、熱融着性樹脂層の異物が付着した部分が薄肉になる場合があることが明らかとなった。例えば、熱融着性樹脂層同士がヒートシールされる部分などにおいて、熱融着性樹脂層が薄肉になると、電池用包装材料の絶縁性及び耐久性が不十分となる場合があるという問題がある。
さらに、電極活物質や電極タブの破片などの微小な異物は、導電性を有する。電極タブと熱融着性樹脂層との間に導電性の異物が存在する場合には、ヒートシール時の熱と圧力によって、異物が熱融着性樹脂層を貫通すると、電極タブと電池用包装材料の金属層とが電気的に接続されて短絡するおそれがある。
本発明は、これらの問題に鑑みなされた発明である。すなわち、本発明は、電極活物質や電極タブの破片などの微小な異物が、熱融着性樹脂層同士の界面や電極タブと熱融着性樹脂層との間などのヒートシールされる部分に存在する場合にも、高い絶縁性及び耐久性を有する電池用包装材料を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、電池用包装材料を、少なくとも、基材層と、金属層と、第1絶縁層と、第2絶縁層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体とし、第1絶縁層の溶融温度を200℃以上とし、第2絶縁層の溶融温度を第1絶縁層の溶融温度よりも低く設定することにより、絶縁性及び耐久性の高い電池包装用材料が得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の電池用包装材料、その製造方法、及び電池を提供する。
項1. 少なくとも、基材層と、金属層と、第1絶縁層と、第2絶縁層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体からなり、
前記第1絶縁層の溶融温度が、200℃以上であり、
前記第2絶縁層の溶融温度は、前記第1絶縁層の溶融温度よりも低い、電池用包装材料。
項2. 前記第1絶縁層は、酸変性ポリオレフィン及びエポキシ樹脂により形成されている、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記第2絶縁層は、溶融温度が150℃以上のポリプロピレンにより形成されている、項1または2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記熱融着性樹脂層の溶融温度が、前記第2絶縁層の溶融温度よりも低い、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とが、接着層を介して接着されている、項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. 前記第1絶縁層の厚みが、10μm以下である、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
項7. 前記第2絶縁層の厚みが、10μm以上50μm以下である、項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
項8. 前記接着層の厚みが、20μm以下である、項5〜7のいずれかに記載の電池用包装材料。
項9. 前記熱融着性樹脂層は、ポリオレフィンにより形成されている、項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料。
項10. 前記熱融着性樹脂層は、その表面に微細な凹凸を備えている、項1〜9のいずれかに記載の電池用包装材料。
項11. 正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜11のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包装体によって封止されてなる、電池。
項12. 少なくとも、基材層と、金属層と、第1絶縁層と、第2絶縁層と、熱融着性樹脂層とをこの順に積層して積層体を得る工程を備え、
前記第1絶縁層の溶融温度を200℃以上とし、
前記第2絶縁層の溶融温度を、前記第1絶縁層の溶融温度よりも低く設定する、電池用包装材料の製造方法。
本発明の電池用包装材料によれば、電極活物質や電極タブの破片などの微小な異物が、熱融着性樹脂層同士の界面や電極タブと熱融着性樹脂層との間などのヒートシールされる部分に存在する場合にも、絶縁性及び耐久性が高い電池用包装材料を提供することができる。すなわち、本発明の電池用包装材料によって電池素子を封止することにより、電池の絶縁性及び耐久性を高めることができる。
本発明に係る電池用包装材料の一例の略図的断面図である。 本発明に係る電池用包装材料の一例の略図的断面図である。 本発明に係る電池用包装材料の一例の略図的断面図である。 本発明に係る電池用包装材料の一例の略図的断面図である。 実施例における「耐久性評価」の方法を説明するための模式図である。 実施例における「異物噛み込みに対する絶縁性評価」の方法を説明するための模式図である。
本発明の電池用包装材料は、少なくとも、基材層と、金属層と、第1絶縁層と、第2絶縁層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体からなり、第1絶縁層の溶融温度が、200℃以上であり、第2絶縁層の溶融温度は、第1絶縁層の溶融温度よりも低いことを特徴とする。以下、図1〜図4を参照しながら、本発明の電池用包装材料、その製造方法、及び電池素子が本発明の電池用包装材料により封止された本発明の電池について詳述する。
1.電池用包装材料の積層構造
電池用包装材料は、図1に示すように、少なくとも、基材層1、金属層3、第1絶縁層51、第2絶縁層52、及び熱融着性樹脂層4をこの順に備える積層体からなる。本発明の電池用包装材料において、後述の表面被覆層を有していない場合には、基材層1が最外層になり、熱融着性樹脂層4は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置する熱融着性樹脂層4同士が熱溶着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
本発明の電池用包装材料は、図2に示すように、基材層1と金属層3との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着層2が設けられていてもよい。また、本発明の電池用包装材料は、図3,4に示すように、第1絶縁層51と第2絶縁層52との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着層6が設けられていてもよい。さらに、図4に示すように、金属層3と第1絶縁層51との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着層7が設けられていてもよい。
2.電池用包装材料を形成する各層の組成
[基材層1]
本発明の電池用包装材料において、後述の表面被覆層を有していない場合には、基材層1は最外層を形成する層である。基材層1を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層1を形成する素材としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、珪素樹脂、フェノール樹脂、及びこれらの混合物や共重合物等の樹脂フィルムが挙げられる。これらの中でも、好ましくはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられ、より好ましくは2軸延伸ポリエステル樹脂、2軸延伸ポリアミド樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。また、ポリアミド樹脂としては、具体的には、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。
基材層1は、1層の樹脂フィルムから形成されていてもよいが、耐ピンホール性や絶縁性を向上させるために、2層以上の樹脂フィルムで形成されていてもよい。具体的には、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとを積層させた多層構造、ナイロンフィルムを複数層積層させた多層構造、ポリエステルフィルムを複数層積層させた多層構造などが挙げられる。基材層1が多層構造である場合、2軸延伸ナイロンフィルムと2軸延伸ポリエステルフィルムの積層体、2軸延伸ナイロンフィルムを複数積層させた積層体、2軸延伸ポリエステルフィルムを複数積層させた積層体が好ましい。例えば、基材層1を2層の樹脂フィルムから形成する場合、ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂を積層する構成、ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂を積層する構成、またはポリエステル樹脂とポリアミド樹脂を積層する構成にすることが好ましく、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートを積層する構成、ナイロンとナイロンを積層する構成、またはポリエチレンテレフタレートとナイロンを積層する構成にすることがより好ましい。また、ポリエステル樹脂は、例えば電解液が表面に付着した際に変色し難いことなどから、当該積層構成においては、ポリエステル樹脂が最外層に位置するように基材層1を積層することが好ましい。基材層1を多層構造とする場合、各層の厚みとして、好ましくは2μm以上25μm以下が挙げられる。
基材層1を多層の樹脂フィルムで形成する場合、2以上の樹脂フィルムは、接着剤または接着性樹脂などの接着成分を介して積層させればよく、使用される接着成分の種類や量等については、後述する接着剤層2の場合と同様である。なお、2層以上の樹脂フィルムを積層させる方法としては、特に制限されず、公知方法が採用でき、例えばドライラミネート法、サンドラミネート法などが挙げられ、好ましくはドライラミネート法が挙げられる。ドライラミネート法により積層させる場合には、接着層としてウレタン系接着剤を用いることが好ましい。このとき、接着層の厚みとしては、例えば2μm以上5以下μm程度が挙げられる。
基材層1の厚みについては、基材層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、4μm以上50μm以下程度、好ましくは10μm以上35μm以下程度が挙げられる。
[接着層2]
本発明の電池用包装材料において、接着層2は、基材層1と金属層3を強固に接着させるために、必要に応じて、これらの間に設けられる層である。
接着層2は、基材層1と金属層3とを接着可能である接着剤によって形成される。接着層2の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着層2の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
接着層2の形成に使用できる接着成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系樹脂;フェノール樹脂系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン系樹脂等が挙げられる。これらの接着成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの接着成分の中でも、好ましくはポリウレタン系接着剤が挙げられる。
接着層2の厚みについては、接着層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、1μm以上10μm以下程度、好ましくは2μm以上5μm以下程度が挙げられる。
[金属層3]
電池用包装材料において、金属層3は、電池用包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止するためのバリア層として機能する層である。金属層3を構成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタンなどが挙げられ、好ましくはアルミニウムが挙げられる。金属層3は、金属箔や金属蒸着などにより形成することができ、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム箔により形成することがさらに好ましい。電池用包装材料の製造時に、金属層3にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS H4160 A8021H−O、JIS H4160 A8079H−O、JIS H4000:2014 A8021P−O、JIS H4000:2014 A8079P−O)など軟質アルミニウム箔により形成することがより好ましい。
金属層3の厚みは、水蒸気などのバリア層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、10μm以上50μm以下程度、好ましくは10μm以上35μm以下程度とすることができる。
また、金属層3は、接着の安定化、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも一方の面、好ましくは両面が化成処理されていることが好ましい。ここで、化成処理とは、金属層の表面に耐酸性皮膜を形成する処理をいう。化成処理としては、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロムなどのクロム酸化合物を用いたクロム酸クロメート処理;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸などのリン酸化合物を用いたリン酸クロメート処理;下記一般式(1)から(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理などが挙げられる。なお、当該アミノ化フェノール重合体において、下記一般式(1)から(4)で表される繰り返し単位は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上の任意の組み合わせであってもよい。
一般式(1)から(4)中、Xは、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基またはベンジル基を示す。また、R1及びR2は、それぞれ同一または異なって、ヒドロキシル基、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)から(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1から4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1及びR2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基が1個置換された炭素数1から4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。一般式(1)から(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基及びヒドロキシアルキル基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。一般式(1)から(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシル基またはヒドロキシアルキル基であることが好ましい。一般式(1)から(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、500以上100万以下であることが好ましく、1000以上2万以下程度であることがより好ましい。
また、金属層3に耐食性を付与する化成処理方法として、リン酸中に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズなどの金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を行うことにより、金属層3の表面に耐食処理層を形成する方法が挙げられる。また、耐食処理層の上には、カチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層をさらに形成してもよい。ここで、カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフト重合させた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノールなどが挙げられる。これらのカチオン性ポリマーとしては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する化合物、シランカップリング剤などが挙げられる。これらの架橋剤としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
化成処理は、1種類の化成処理のみを行ってもよいし、2種類以上の化成処理を組み合わせて行ってもよい。さらに、これらの化成処理は、1種の化合物を単独で使用して行ってもよく、また2種以上の化合物を組み合わせて使用して行ってもよい。化成処理の中でも、クロム酸クロメート処理や、クロム酸化合物、リン酸化合物、及びアミノ化フェノール重合体を組み合わせたクロメート処理などが好ましい。
化成処理において金属層3の表面に形成させる耐酸性皮膜の量については、特に制限されないが、例えば、上記のクロメート処理を行う場合であれば、金属層3の表面1m2当たり、クロム酸化合物がクロム換算で約0.5mg以上約50mg以下、好ましくは約1.0mg以上約40mg以下、リン化合物がリン換算で約0.5mg以上約50mg以下、好ましくは約1.0mg以上約40mg以下、及びアミノ化フェノール重合体が約1mg以上約200mg以下、好ましくは約5.0mg以上150mg以下の割合で含有されていることが望ましい。
化成処理は、耐酸性皮膜の形成に使用する化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法などによって、金属層の表面に塗布した後に、金属層の温度が70℃以上200℃以下程度になるように加熱することにより行われる。また、金属層に化成処理を施す前に、予め金属層を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法などによる脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、金属層の表面の化成処理をより効率的に行うことが可能となる。
[第1絶縁層51]
本発明において、第1絶縁層51は、電池用包装材料の絶縁性及び耐久性を高めるために、後述の第2絶縁層52と共に、金属層3と熱融着性樹脂層4との間に設けられる層である。第1絶縁層51が金属層3側に積層されており、第2絶縁層52が熱融着性樹脂層4側に積層されている。
第1絶縁層51の溶融温度は、200℃以上である。本発明の電池用包装材料においては、このような高い溶融温度を有する第1絶縁層51と共に、第1絶縁層51よりも溶融温度の低い第2絶縁層52を備えていることにより、電極活物質や電極タブの破片などの微小な異物が、熱融着性樹脂層同士の界面や電極タブと熱融着性樹脂層との間などのヒートシールされる部分に存在する場合にも、電池用包装材料の絶縁性や耐久性が高められている。
第1絶縁層51の溶融温度としては、200℃以上であれば特に制限されないが、好ましくは200以上260℃以下程度、より好ましくは200以上240℃以下程度が挙げられる。なお、本発明において、溶融温度は、JIS K7196:2012「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」の規定に準拠した方法で測定された値であり、具体的には、実施例に記載の方法で測定された値である。針入温度を溶融温度とした。
前述の通り、電池の製造工程において、電極活物質や電極タブの破片などの微小な異物が、熱融着性樹脂層の表面に付着する場合があり、これによって、熱融着性樹脂層に薄肉部分や貫通孔が生じ、絶縁性が低下する虞がある。これに対して、本発明の電池用包装材料においては、特定の溶融温度を有する第1絶縁層51と共に、当該溶融温度よりも低い溶融温度を有する第2絶縁層52が形成されているため、ヒートシール時などの熱が加わったときの高い耐熱機械的強度を有し、柔軟性も高く、屈曲などの応力による微細クラックの発生を効果的に抑制することができる。このため、熱融着性樹脂層4において、薄肉部分で発生し易い微細クラック、異物などによる貫通孔、電解液を噛み込んだ状態でヒートシールされた場合に発生する熱融着性樹脂層の電解液発泡による空隙などが形成された場合にも、第1絶縁層51と第2絶縁層52によって、電解液が直接金属層と接触することが防止でき、金属層3が保護される。また、熱融着性樹脂層4が異物などを噛み込んだ時なども、高い耐熱性と高い柔軟性を併せ持つ第1絶縁層51及び第2絶縁層52の組み合わせによって、異物による電池用包装材料の絶縁性低下を防止できる。
第1絶縁層51を形成する樹脂としては、前述の溶融温度を有するものであれば特に制限されない。第2絶縁層52と共に用いることによって、より一層絶縁性及び耐久性を高める観点からは、第1絶縁層51は、酸変性ポリオレフィン及びエポキシ樹脂により形成されていることが好ましい。
酸変性ポリオレフィンとしては、不飽和カルボン酸またはその酸無水物で変性されたポリオレフィンを用いることが好ましい。さらに、酸変性ポリオレフィンは、(メタ)アクリル酸エステルでさらに変性されていてもよい。なお、(メタ)アクリル酸エステルでさらに変性された変性ポリオレフィンは、不飽和カルボン酸またはその酸無水物と(メタ)アクリル酸エステルとを併用して、ポリオレフィンを酸変性することにより得られるものである。本発明において、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、「アクリル酸エステル」または「メタアクリル酸エステル」を意味する。酸変性ポリオレフィンは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
酸変性されるポリオレフィンは、少なくともモノマー単位としてオレフィンを含む樹脂であれば特に限定されない。ポリオレフィンは、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方により構成することができ、ポリプロピレンにより構成することが好ましい。ポリエチレンは、例えば、ホモポリエチレン及びエチレンコポリマーの少なくとも一方により構成することができる。ポリプロピレンは、例えば、ホモポリプロピレン及びプロピレンコポリマーの少なくとも一方により構成することができる。プロピレンコポリマーとしては、エチレン−プロピレンコポリマー、プロピレン−ブテンコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンコポリマーなどのプロピレンと他のオレフィンとのコポリマーなどが挙げられる。ポリプロピレンに含まれるプロピレン単位の割合は、電池用包装材料の絶縁性や耐久性をより高める観点から、50モル%以上100モル%以下程度とすることが好ましく、80モル%以上100モル%以下程度とすることがより好ましい。また、ポリエチレンに含まれるエチレン単位の割合は、電池用包装材料の絶縁性や耐久性をより高める観点から、50モル%以上100モル%以下程度とすることが好ましく、80モル%以上100モル%以下程度とすることがより好ましい。エチレンコポリマー及びプロピレンコポリマーは、それぞれ、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーのいずれであってもよい。また、エチレンコポリマー及びプロピレンコポリマーは、それぞれ、結晶性、非晶性のいずれであってもよく、これらの共重合物または混合物であってもよい。ポリオレフィンは、1種類のホモポリマーまたはコポリマーにより形成されていてもよいし、2種類以上のホモポリマーまたはコポリマーにより形成されていてもよい。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられる。また、酸無水物としては、上記例示した不飽和カルボン酸の酸無水物が好ましく、無水マレイン酸および無水イタコン酸がより好ましい。酸変性ポリオレフィンは、1種類の不飽和カルボン酸またはその酸無水物で変性されたものであってもよいし、2種類以上の不飽和カルボン酸またはその酸無水物で変性されたものであってもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数が1〜30のアルコールとのエステル化物、好ましくは(メタ)アクリル酸と炭素数が1〜20のアルコールとのエステル化物が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。ポリオレフィンの変性において、(メタ)アクリル酸エステルは1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。
酸変性ポリオレフィン中における不飽和カルボン酸またはその酸無水物の割合は、それぞれ、0.1質量%以上30質量%以下程度であることが好ましく、0.1質量%以上20質量%以下程度であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、電池用包装材料の絶縁性や耐久性をより高め得る。
また、酸変性ポリオレフィン中における(メタ)アクリル酸エステルの割合は、0.1質量%以上40質量%以下程度であることが好ましく、0.1質量%以上30質量%以下程度であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、電池用包装材料の絶縁性や耐久性をより高め得る。
酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量は、それぞれ、6000以上200000以下程度であることが好ましく、8000以上150000以下程度であることがより好ましい。なお、本発明において、酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量は、標準サンプルとしてポリスチレンを用いた条件で測定された、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定された値である。また、酸変性ポリオレフィンの融点は、50℃以上160℃以下程度であることが好ましく、50℃以上120℃以下程度であることがより好ましい。なお、本発明において、酸変性ポリオレフィンの融点とは、示差走査熱量測定における吸熱ピーク温度をいう。
酸変性ポリオレフィンにおいて、ポリオレフィンの変性方法は、特に限定されず、例えば不飽和カルボン酸またはその酸無水物や、(メタ)アクリル酸エステルがポリオレフィンと共重合されていればよい。このような共重合としては、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられ、好ましくはグラフト共重合が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、分子内に存在するエポキシ基によって架橋構造を形成することが可能な樹脂であれば、特に制限されず、公知のエポキシ樹脂を用いることができる。
エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
第1絶縁層51における、エポキシ樹脂の割合としては、酸変性ポリオレフィン100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下の範囲にあることが好ましく、1質量部以上10質量部以下の範囲にあることがより好ましい。これにより、電池用包装材料の絶縁性や耐久性をより高め得る。
第1絶縁層51の厚みとしては、特に制限されないが、第2絶縁層52と共に絶縁性及び耐久性をより一層高める観点からは、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下程度が挙げられる。
[第2絶縁層52]
本発明において、第2絶縁層52は、電池用包装材料の絶縁性及び耐久性を高めるために、前述の第1絶縁層51と共に、金属層3と熱融着性樹脂層4との間に設けられる層である。第2絶縁層52が熱融着性樹脂層4側に積層されており、第1絶縁層51が金属層3側に積層されている。
第2絶縁層52の溶融温度は、第1絶縁層51の溶融温度よりも低い。第2絶縁層52の溶融温度が第1絶縁層51の溶融温度よりも低く設定されているため、第1絶縁層51と第2絶縁層52とが併せて高い耐久性と高い柔軟性を発揮し、異物による電池用包装材料の絶縁性低下を効果的に防止できる。
第2絶縁層52の溶融温度としては、第1絶縁層51の溶融温度よりも低ければ特に制限されないが、好ましくは150℃以上、より好ましくは150℃以上180℃以下程度が挙げられる。
第2絶縁層52を形成する樹脂としては、前述の溶融温度を有するものであれば特に制限されない。第1絶縁層51と共に用いることによって、より一層絶縁性及び耐久性を高める観点からは、第2絶縁層52は、ポリオレフィンにより形成されていることが好ましい。
ポリオレフィンは、少なくともモノマー単位としてオレフィンを含む樹脂であれば特に限定されない。ポリオレフィンは、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方により構成することができ、ポリプロピレンにより構成することが好ましい。ポリエチレンは、例えば、ホモポリエチレン及びエチレンコポリマーの少なくとも一方により構成することができる。ポリプロピレンは、例えば、ホモポリプロピレン及びプロピレンコポリマーの少なくとも一方により構成することができる。プロピレンコポリマーとしては、エチレン−プロピレンコポリマー、プロピレン−ブテンコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンコポリマーなどのプロピレンと他のオレフィンとのコポリマーなどが挙げられる。ポリプロピレンに含まれるプロピレン単位の割合は、電池用包装材料の絶縁性や耐久性をより高める観点から、50モル%以上100モル%以下程度とすることが好ましく、80モル%以上100モル%以下程度とすることがより好ましい。また、ポリエチレンに含まれるエチレン単位の割合は、電池用包装材料の絶縁性や耐久性をより高める観点から、50モル%以上100モル%以下程度とすることが好ましく、80モル%以上100モル%以下程度とすることがより好ましい。エチレンコポリマー及びプロピレンコポリマーは、それぞれ、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーのいずれであってもよく、ブロックプロピレンコポリマーが好ましい。また、エチレンコポリマー及びプロピレンコポリマーは、それぞれ、結晶性、非晶性のいずれであってもよく、これらの共重合物または混合物であってもよい。ポリオレフィンは、1種類のホモポリマーまたはコポリマーにより形成されていてもよいし、2種類以上のホモポリマーまたはコポリマーにより形成されていてもよい。
ポリオレフィンの融点は、120℃以上180℃以下程度であることが好ましく、140℃以上180℃以下程度であることがより好ましい。なお、本発明において、ポリオレフィンの融点とは、示差走査熱量測定における吸熱ピーク温度をいう。
第2絶縁層52の厚みとしては、特に制限されないが、第1絶縁層51と共に絶縁性及び耐久性をより一層高める観点からは、好ましくは10μm以上50μm以下程度、より好ましくは15μm以上40μm以下程度が挙げられる。
[接着層6]
接着層6は、第1絶縁層51と第2絶縁層52との密着性を高めるために、必要に応じて、これらの層の間に設けられる層である。
接着層6は、第1絶縁層51と第2絶縁層52とを接着可能である接着剤によって形成される。接着層6を形成する樹脂としては、特に制限されないが、好ましくはポリオレフィンが挙げられる。ポリオレフィンとしては、前述の第2絶縁層52で例示したものが挙げられる。接着層6を形成するポリオレフィンとしては、ランダムプロピレンコポリマーが好ましい。
接着層6の厚みについては、接着層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、20μm以下、好ましくは2μm以上10μm以下程度が挙げられる。
[接着層7]
本発明の電池用包装材料において、接着層7は、金属層3と第1絶縁層51を強固に接着させるために、必要に応じて、これらの層の間に設けられる層である。
接着層7は、金属層3と第1絶縁層51とを接着可能である接着剤によって形成される。接着層7の形成に使用される接着剤について、その接着機構、接着剤成分の種類等は、前記接着層2の場合と同様である。接着層7に使用される接着剤成分として、好ましくは酸変性ポリオレフィン、更に好ましくはカルボン酸変性ポリオレフィン、特に好ましくはカルボン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
接着層7の厚みについては、接着層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、1μm以上10μm以下程度、好ましくは1μm以上5μm以下程度が挙げられる。
[熱融着性樹脂層4]
本発明の電池用包装材料において、熱融着性樹脂層4は、最内層に該当し、電池の組み立て時に熱融着性樹脂層同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。
熱融着性樹脂層4に使用される樹脂成分については、熱溶着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンなどが挙げられる。
ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー;等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられ、より好ましくはポリプロピレンが挙げられる。
ポリオレフィンは、環状ポリオレフィンであってもよい。環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、等が挙げられる。また、環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、更に好ましくはノルボルネンが挙げられる。
酸変性ポリオレフィンとは、上記のポリオレフィンをカルボン酸等でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。変性に使用されるカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィンは、酸変性環状ポリオレフィンであってもよい。酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β―不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β―不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、変性に使用されるカルボン酸としては、酸変性シクロオレフィンコポリマーの変性に使用されるものと同様である。
これらの樹脂成分の中でも、好ましくはポリオレフィン;更に好ましくはプロピレンコポリマーが挙げられる。プロピレンコポリマーとしては、エチレン−プロピレンコポリマー、プロピレン−ブテンコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンコポリマーなどのプロピレンと他のオレフィンとのコポリマーなどが挙げられる。ポリプロピレンに含まれるプロピレン単位の割合は、電池用包装材料の絶縁性や耐久性をより高める観点から、50モル%以上100モル%以下程度とすることが好ましく、80モル%以上100モル%以下程度とすることがより好ましい。また、ポリエチレンに含まれるエチレン単位の割合は、電池用包装材料の絶縁性や耐久性をより高める観点から、50モル%以上100モル%以下程度とすることが好ましく、80モル%以上100モル%以下程度とすることがより好ましい。エチレンコポリマー及びプロピレンコポリマーは、それぞれ、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーのいずれであってもよく、ランダムプロピレンコポリマーが好ましい。
熱融着性樹脂層4は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。更に、熱融着性樹脂層4は、1層のみで成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。
熱融着性樹脂層4が複数層により形成されている場合、熱融着性樹脂層4の最内層(金属層3とは反対側)は、ドライラミネート法または押出成形により形成された層であることが好ましい。これにより、絶縁性及び成形性をより一層向上させることができる。
熱融着性樹脂層4の溶融温度は、第2絶縁層52の溶融温度よりも低いことが好ましい。熱融着性樹脂層4の溶融温度としては、好ましくは80℃以上160℃以下程度、より好ましくは100℃以上140℃以下程度が挙げられる。
熱融着性樹脂層4は、その表面(最内層側の表面)に、微細な凹凸備えていることが好ましい。これにより、成形性をより一層向上させることができる。なお、熱融着性樹脂層4の表面に微細な凹凸を形成する方法としては、後述の表面被覆層で例示するマット化剤を熱融着性樹脂層4に添加する方法、表面に凹凸を有する冷却ロールを当接させ賦型する方法などが挙げられる。
また、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、熱融着性樹脂層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、10μm以上40μm以下程度、好ましくは15μm以上40μm以下程度が挙げられる。
[表面被覆層]
本発明の電池用包装材料においては、意匠性、耐電解液性、耐擦過性、成形性の向上などを目的として、必要に応じて、基材層1の上(基材層1の金属層3とは反対側)に、必要に応じて、表面被覆層(図示しない)を設けてもよい。表面被覆層は、電池を組み立てた時に、最外層に位置する層である。
表面被覆層は、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などにより形成することができる。表面被覆層は、これらの中でも、2液硬化型樹脂により形成することが好ましい。表面被覆層を形成する2液硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂、2液硬化型ポリエステル樹脂、2液硬化型エポキシ樹脂などが挙げられる。また、表面被覆層には、マット化剤を配合してもよい。
マット化剤としては、例えば、粒径が0.5nm以上5μm以下程度の微粒子が挙げられる。マット化剤の材質については、特に制限されないが、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物等が挙げられる。また、マット化剤の形状についても、特に制限されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状等が挙げられる。マット化剤として、具体的には、タルク,シリカ,グラファイト、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化ネオジウム,酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム,硫酸バリウム、炭酸カルシウム,ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム,シュウ酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ類、高融点ナイロン、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケル等が挙げられる。これらのマット化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのマット化剤の中でも、分散安定性やコスト等の観点から、好ましくはりシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、マット化剤には、表面に絶縁処理、高分散性処理等の各種表面処理を施しておいてもよい。
表面被覆層を形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、表面被覆層を形成する2液硬化型樹脂を基材層1の一方の表面上に塗布する方法が挙げられる。マット化剤を配合する場合には、2液硬化型樹脂にマット化剤を添加して混合した後、塗布すればよい。
表面被覆層の厚みとしては、表面被覆層としての上記の機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、0.5μm以上10μm以下程度、好ましくは1μm以上5μm以下程度が挙げられる。
3.電池用包装材料の製造方法
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されず、少なくとも、基材層と、金属層と、第1絶縁層と、第2絶縁層と、熱融着性樹脂層とをこの順に積層して積層体を得る工程を備えており、第1絶縁層の溶融温度を200℃以上とし、第2絶縁層の溶融温度を、第1絶縁層の溶融温度よりも低く設定する方法を採用することができる。
すなわち、第1絶縁層51及び第2絶縁層52として、「2.電池用包装材料を形成する各層」の欄で説明したものを用いて、各層を積層することにより、本発明の電池用包装材料を製造することができる。
本発明の電池用包装材料の製造方法の一例としては、以下の通りである。まず、基材層1、接着層2、金属層3をこの順に備える積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。積層体Aの形成は、具体的には、基材層1又は必要に応じて表面が化成処理された金属層3に接着層2の形成に使用される接着剤を、押出し法、グラビアコート法、ロールコート法等の塗布方法で塗布・乾燥した後に、当該金属層3又は基材層1を積層させて接着層2を硬化させるドライラミネート法によって行うことができる。
次いで、積層体Aの金属層3上に、少なくとも、第1絶縁層51と、第2絶縁層52と、熱融着性樹脂層4を積層させる。金属層3の上に第1絶縁層51と第2絶縁層52を積層する方法としては、制限されず、例えば、金属層3の上に第1絶縁層51を構成する樹脂と第2絶縁層52を構成する樹脂を順に塗布する方法が挙げられる。また、第1絶縁層51を構成する樹脂フィルムや、第2絶縁層52を構成する樹脂フィルムを積層してもよい。
第1絶縁層51と第2絶縁層52の間に接着層6を設ける場合には、接着層6を構成する樹脂を第1接着層51の上に塗布した後、第2絶縁層52を積層すればよい。また、あらかじめ第2絶縁層52に接着層6を積層したフィルムを、第1絶縁層51に積層してもよい。また、金属層3と第1接着層51との間に接着層7を設ける場合には、金属層3の上に接着層7を形成する樹脂を塗布した後、第1絶縁層51等を積層すればよい。
最後に第2絶縁層52の上に、熱融着性樹脂層4を積層することにより、本発明の電池用包装材料が得られる。なお、第2絶縁層52と熱融着性樹脂層4が積層された2層の樹脂フィルムを用いて、第1接着層51の上に積層してもよい。
表面被覆層を設ける場合には、基材層1の金属層3とは反対側の表面に、表面被覆層を積層する。表面被覆層は、例えば表面被覆層を形成する上記の樹脂を基材層1の表面に塗布することに形成することができる。なお、基材層1の表面に金属層3を積層する工程と、基材層1の表面に表面被覆層を積層する工程の順番は、特に制限されない。例えば、基材層1の表面に表面被覆層を形成した後、基材層1の表面被覆層とは反対側の表面に金属層3を形成してもよい。
上記のようにして、必要に応じて設けられる表面被覆層/基材層1/接着層2/必要に応じて表面が化成処理された金属層3/必要に応じて設けられる接着層7/第1絶縁層51/必要に応じて設けられる接着層6/第2絶縁層52/熱融着性樹脂層4からなる積層体が形成されるが、接着層2及び必要に応じて設けられる接着層5の接着性を強固にするために、更に、熱ロール接触式、熱風式、近又は遠赤外線式等の加熱処理に供してもよい。このような加熱処理の条件としては、例えば150℃以上250℃以下で1分間以上5分間以下が挙げられる。
本発明の電池用包装材料において、積層体を構成する各層は、必要に応じて、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性等を向上又は安定化するために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理を施していてもよい。
4.電池用包装材料の用途
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として使用される。すなわち、正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、本発明の電池用包装材料により形成された包装体によって封止されて、電池となる。
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材料で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(熱融着性樹脂層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部の熱融着性樹脂層同士をヒートシールして密封させることによって、電池用包装材料を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用包装材料を用いて電池素子を収容する場合、本発明の電池用包装材料のシーラント部分が内側(電池素子と接する面)になるようにして用いられる。
本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用包装材料が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛畜電池、ニッケル・水素畜電池、ニッケル・カドミウム畜電池、ニッケル・鉄畜電池、ニッケル・亜鉛畜電池、酸化銀・亜鉛畜電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。なお、溶融温度は、JIS K7196:2012の規定に準拠し、TMAの針入モードによる針入温度であり、装置として、セイコーインスツルメンツ社製のEXSTAR6000を用いて測定された値である。
<実施例1〜4及び比較例1〜4>
基材層としてのナイロンフィルム(厚み25μm)の上に、両面に化成処理を施したアルミニウム箔(厚み35μm)からなる金属層をドライラミネート法により積層させた。具体的には、アルミニウム箔の一方面に、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、金属層上に接着層(厚み3μm)を形成した。次いで、金属層上の接着層と基材層を積層した後、40℃で24時間のエージング処理を実施することにより、基材層/接着層/金属層の積層体を作成した。なお、金属層として使用したアルミニウム箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥重量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム箔の両面に塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより行った。
次に、得られた積層体の金属層の他方の面に、表1に記載の樹脂を2g/m2塗布し、80℃で乾燥させて第1絶縁層を形成した。次に、第1絶縁層の上から、表1に記載の樹脂により形成された第2絶縁層と熱融着性樹脂層との積層フィルムをドライラミネート法により積層した。この時、第1絶縁層と第2絶縁層が隣接するように積層した。なお、比較例1においては、第2絶縁層を設けなかった。また、比較例2においては、第1絶縁層を設けなかった。実施例4については、第1絶縁層の上から、接着層、第2絶縁層と熱融着性樹脂層の積層フィルムをドライラミネート法により積層した。各層を構成する樹脂、厚み、及び溶融温度は、それぞれ、表1の通りである。以上の工程により、実施例1〜3及び比較例3〜4では、基材層/接着層/金属層/第1絶縁層/第2絶縁層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された積層体を得た。また、実施例4では、基材層/接着層/金属層/第1絶縁層/接着層/第2絶縁層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された積層体を得た。比較例1では、基材層/接着層/金属層/第1絶縁層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された積層体を得た。比較例2では、基材層/接着層/金属層/第2絶縁層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された積層体を得た。得られた各積層体を70℃下で24時間エージングして、実施例1〜4及び比較例1〜4の電池用包装材料を得た。
<耐久性評価>
上記で得られた各電池用包装材料をそれぞれ、図5の模式図に示すように、60mm(MD方向、縦方向)×150mm(TD方向、横方向)に裁断した(図5(a))。次に、裁断した電池用包装材料をTD方向において熱融着性樹脂層同士が対向するようにして2つ折りにした(図5(b))。次に、TD方向の対向する1辺Eと、MD方向の1辺Fを熱溶着(熱溶着部分Sの幅7mm)し、TD方向の1辺が開口する袋状の電池用包装材料を作製した(図5(c)開口部G)。なお、熱溶着の条件は、温度190℃、面圧1.0MPa、加熱・加圧時間3秒とした。次に、図5(d)のように、開口部Gから3gの電解液Hを注入した。次に、開口部Gを7mm幅で、上記と同じ条件で熱溶着した(図5(e))。なお、電解液Hは、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1の容積比で混合した溶液に6フッ化リン酸リチウムを混合して得られたものである。次に、電池用包装材料の開口部Gが位置していた部分を上向きにして(図5(e)の状態)、85℃の恒温層内に24時間静置した。
次に、各電池用包装材料を恒温層から取り出して、図5(f)に示すように、電解液Hを注入した側を切り取り(図5(f)の破線の位置)、電池用包装材料を開封して電解液Hを取り出した(図5(g))。次に、電池用包装材料のTD方向の幅W15mmの部分を短冊状に切り取り(図5(h)の破線部)、試験片Tを得た(図5(I))。得られた試験片Tの熱融着性樹脂層と金属層間を剥離させ、熱融着性樹脂層と金属層とを引張試験機(島津製作所製の商品名AGS−50D)を用いて、50mm/分の速度で引張り、試験片の剥離強度(N/15mm)を測定した(耐久性試験後の剥離強度)。一方、実施例1から12及び比較例1から17で得られた電池用包装材料を15mm巾に切り取った試験片Tについて、同様にして剥離強度を測定した(耐久性試験前の剥離強度)。結果を表1に示す。なお、熱融着性樹脂層と金属層間を剥離させた際、これらの層の間に位置する接着層は、熱融着性樹脂層と金属層のいずれか一方又は両層に積層された状態となる。
<異物噛み込みに対する絶縁性評価>
図6の模式図に示すように、上記で得られた各電池用包装材料を60mm(横方向)×150mm(縦方向)のサイズに切り取り試験片を得た(図6(a))。次に、この試験片を短辺同士が対向するように折り返し、試験片の熱融着性樹脂層の表面が互いに対向するように配置した。次に、互いに対向する熱融着性樹脂層の表面の間に25μmφのワイヤーMを挿入した(図6(b))。次に、この状態で電池用包装材料の長さ方向に直交する方向に上下共に7mm幅の平板状熱板からなるヒートシール機で熱融着性樹脂層同士をヒートシールした(図6(c)、熱溶着部分S)。このとき、ワイヤーMが位置している部分の上からヒートシールを行い、熱融着性樹脂層をワイヤーMに熱融着させた。次に、テスターのプラス極をワイヤーMに、マイナス極を片側の電池包装材料にそれぞれ接続した。このとき、テスターのマイナス極については、ワニ口クリップを電気用包装材料の基材層側からアルミニウム層に到達するように挟み込み、テスターのマイナス極とアルミニウム箔とを電気的に接続させた。次に、テスター間に100Vの電圧をかけ、短絡するまでの時間(秒)を測定した。結果を表1に示す。
表1において、酸変性PPは、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ランダムPPは、ランダムプロピレンコポリマー、ブロックPPは、ブロックプロピレンコポリマーを意味する。
表1に示されるように、電池用包装材料を、少なくとも、基材層と、金属層と、第1絶縁層と、第2絶縁層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体により構成し、第1絶縁層の溶融温度が200℃以上であり、第2絶縁層の溶融温度が第1絶縁層の溶融温度よりも低く設定されている実施例1〜4の電池用包装材料においては、耐久性及び絶縁性に優れることが分かる。一方、第2絶縁層を設けなかった比較例1の電池用包装材料においては、絶縁性が劣っていた。また、一方、第1絶縁層を設けなかった比較例2の電池用包装材料においては、耐久性及び絶縁性が劣っていた。さらに、第1絶縁層及び第2絶縁層を設けたが、第1絶縁層の溶融温度が200℃未満の比較例3,4の電池用包装材料においては、耐久性及び絶縁性が劣っていた。
1…基材層
2…接着層
3…金属層
4…熱融着性樹脂層
51…第1絶縁層
52…第2絶縁層
6…接着層
7…接着層

Claims (12)

  1. 少なくとも、基材層と、金属層と、第1絶縁層と、第2絶縁層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体からなり、
    前記第1絶縁層の溶融温度が、200℃以上であり、
    前記第2絶縁層の溶融温度は、前記第1絶縁層の溶融温度よりも低い、電池用包装材料。
  2. 前記第1絶縁層は、酸変性ポリオレフィン及びエポキシ樹脂により形成されている、請求項1に記載の電池用包装材料。
  3. 前記第2絶縁層は、溶融温度が150℃以上のポリプロピレンにより形成されている、請求項1または2に記載の電池用包装材料。
  4. 前記熱融着性樹脂層の溶融温度が、前記第2絶縁層の溶融温度よりも低い、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
  5. 前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とが、接着層を介して接着されている、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
  6. 前記第1絶縁層の厚みが、10μm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
  7. 前記第2絶縁層の厚みが、10μm以上50μm以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
  8. 前記接着層の厚みが、20μm以下である、請求項5〜7のいずれかに記載の電池用包装材料。
  9. 前記熱融着性樹脂層は、ポリオレフィンにより形成されている、請求項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料。
  10. 前記熱融着性樹脂層は、その表面に微細な凹凸を備えている、請求項1〜9のいずれかに記載の電池用包装材料。
  11. 正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜10のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包装体によって封止されてなる、電池。
  12. 少なくとも、基材層と、金属層と、第1絶縁層と、第2絶縁層と、熱融着性樹脂層とをこの順に積層して積層体を得る工程を備え、
    前記第1絶縁層の溶融温度を200℃以上とし、
    前記第2絶縁層の溶融温度を、前記第1絶縁層の溶融温度よりも低く設定する、電池用包装材料の製造方法。
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