JP2014146611A - 電気化学セル用包装材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、安定した密封性、絶縁性を示す電気化学セル用包装材料を提供する。
【解決手段】基材層111と、金属箔層112と、熱接着性樹脂層115とを、少なくとも順次積層して構成される電気化学セル用包装材料110であって、金属箔層112表面にアルミナ層113を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気化学セル用包装材料に関し、特に、安定した絶縁性及び水蒸気バリア性を示す電気化学セル用包装材料に関するものである。
リチウムイオン電池とは、リチウム二次電池ともいわれ、液状、ゲル状又は高分子ポリマー状の電解液を持ち、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。リチウムイオン電池の構成は、正極集電材/正極活性物質層/電解液層/負極活性物質層/負極集電材から構成される電池本体及び、これらを包装する外装体からなり、外装体を形成する包装材料として多層フィルムが用いられる。
図5は従来の電気化学セル用包装材料の層構成を示す断面図であり、図5に示すように、従来の電気化学セル用包装材料210は、少なくとも基材層211、金属箔層212、熱接着性樹脂層215が順次積層して構成されている。
この包装材料を利用した電池用外装体には2種類のタイプがあり、一つは包装材料を袋状に加工し、内部に電池本体を収納するパウチタイプであり、もう一方は、包装材料をプレス加工して凹部を形成し、凹部内部に電池本体を収納するエンボスタイプである。いずれのタイプの電池用外装体も内部に電池本体を収納し、熱接着性樹脂層215同士を重ね合わせてヒートシールすることにより、電池用外装体内部に電池本体を密封収納する。
図6は従来のエンボスタイプのリチウムイオン電池221の斜視図であり、図7は図6のリチウムイオン電池221のB−B’における断面図である。図6及び図7に示すように、外装体220はリチウムイオン電池本体222から外装体220外部に延伸する金属端子224を熱接着性樹脂層215で挟持しながら、外装体周縁部220aをヒートシールして(以下、ヒートシールされた部分をヒートシール部220aとする)、リチウムイオン電池本体222を内部に密封収納している。
しかし、リチウムイオン電池221の長期間の使用又は急速な充電により、リチウムイオン電池本体222が発熱して、リチウムイオン電池本体222と接触する熱接着性樹脂層215の一部が溶融し、外装体220内部に充填された電解液が金属箔層212に浸透して短絡することがあった。また、リチウムイオン電池本体222に含まれるセパレータの一部又は電極から剥がれた電極活物質がヒートシール部220aに噛み込んだ状態でヒートシールされ、セパレータの一部又は電極から剥がれた電極活物質が金属箔層212と接触して短絡をおこすことがあった。
従来、これらの問題を解決するため、金属箔層212と熱接着性樹脂層215との間にポリエチレンテレフタレート等の耐熱性に優れた耐熱性樹脂層を介在させた包装材料が提案されていた。また、特許文献1では、金属箔層212と熱接着性樹脂層215とを、ポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とする耐熱性接着剤により接着した包装材料が提案されていた。
特開2007−134304号公報
しかし、耐熱性樹脂層を熱接着性樹脂層215と金属箔層212との間に介在させた場合、金属箔層212と耐熱性樹脂層とを接着するためにあらたな接着剤層を介在させる必要があり、接着剤層の端面から水蒸気ガスが外装体220内部に透過して電解液と反応してフッ化水素ガスが発生するおそれがあった。また、特許文献1に記載の包装材料においても同様に、耐熱性接着剤の端面から水蒸気ガスが外装体220内部に透過して電解液と反応してフッ化水素ガスが発生するおそれがあった。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、短絡を防止する十分な絶縁性を有するとともに、水蒸気バリア性に優れる電気化学セル用包装材料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、基材層と、金属箔層と、熱接着性樹脂層とを、少なくとも順次積層して構成される電気化学セル用包装材料であって、金属箔層は熱接着性樹脂層側の面に絶縁層を有し、その絶縁層がセラミック材料により構成されていることを特徴とする。
この構成によると、接着剤層を介在させることなく絶縁層を金属箔層表面に形成することができる。このため、接着剤層の端面から水蒸気が浸透することがなく、本構成の電気化学用包装材料は水蒸気バリア性にも優れる。また、セラミック材料により構成される絶縁層は耐熱性樹脂材料と比較して耐熱性に優れるとともに強度が高く、バリが絶縁層を貫通して短絡が発生することもない。
本発明の第2の構成は、上記電気化学セル用包装材料において、セラミック材料が金属酸化物であることを特徴とする。
この構成によると、金属箔層と金属酸化物との間に十分な接着強度が得られ、金属箔層と金属酸化物との剥離が発生しにくい。
本発明の第3の構成は、上記電気化学セル用包装材料において、金属酸化物がアルミナであることを特徴とする。
この構成によると、金属箔層表面に絶縁性を有する絶縁層を容易に形成することができる。また、アルミナは熱接着性樹脂層との接着性に優れ、電気化学セル用包装材料のラミネート強度及び耐電解性の低下を防ぐことができる。
本発明の第4の構成は、上記電気化学セル用包装材料において、絶縁層がセラミック粒子とリン酸との混合液を塗布して形成されることを特徴とする。
この構成によると、化学的手法により金属箔層表面に絶縁層を形成することができる。
本発明の第5の構成は、上記電気化学セル用包装材料において、絶縁層表面にクロメート処理が施されていることを特徴とする。
この構成によると、絶縁層が形成された金属箔層と熱接着性樹脂層との接着性が安定し、ラミネート強度及び耐電解液性を高めることができる。
本発明の第6の構成は、上記電気化学セル用包装材料において、絶縁層がセラミック粒子とリン酸とバインダー溶液との混合液を塗布して形成されることを特徴とする。
この構成によると、絶縁層表面にクロメート処理を施さなくても、絶縁層が形成された金属箔層と熱接着性樹脂層との接着性を安定させ、高いラミネート強度及び耐電解液性を得ることができる。これにより、クロムを含まない電気化学セル用包装材料を提供することができる。
本発明の第7の構成は、上記電気化学セル用包装材料において、バインダー溶液がアミノ化フェノール溶液であることを特徴とする。
この構成によると、絶縁層が形成された金属箔層と熱接着性樹脂層との接着性を安定させることができる。
本発明の第8の構成は、上記電気化学セル用包装材料において、金属箔層は基材層側の面にも絶縁層を有することを特徴とする。
この構成によると、電気化学セル用包装材料を用いた電気化学セルは外部からの通電を防ぐことができる。これにより、この包装材料を用いた電気化学セルをスタック状に複数並べて使用する際、電気化学セルの一部が放電しても隣接する電気化学セルは絶縁性が確保される。
は、本発明の電気化学セル用包装材料の層構成を示す断面図である。 は、本発明の電気化学セル用包装材料を用いて形成された外装体で構成されるリチウムイオン電池の斜視図である。 は、図2中のリチウムイオン電池のA−A’における断面図である。 は、本発明の電気化学セル用包装材料の変形例を示す断面図である。 は、従来の電気化学セル用包装材料の層構成を示す断面図である。 は、従来の電気化学セル用包装材料を用いて形成された外装体で構成されるリチウムイオン電池の斜視図である。 は、図6中のリチウムイオン電池のB−B’における断面図である。
本発明は、短絡を防止する十分な絶縁性を有するとともに、水蒸気バリア性に優れる電気化学セル用包装材料であり、図等を利用してさらに詳細に説明する。なお、従来例の図5〜図7と共通する部分は説明を省略する。
図1は本発明の実施形態の一例である電気化学セル用包装材料の層構成を示す断面図であり、図1に示すように、本実施形態に係る電気化学セル用包装材料110は延伸ナイロンフィルム層111、アルミニウム箔層112、酸変性ポリプロピレン層114、ポリプロピレン層115が順次積層して構成されており、酸変性ポリプロピレン層114側のアルミニウム箔層112表面にはアルミナ層113が形成されている。なお、本発明の電気化学セル用包装材料110は上記各層を含むとともに各層間に異なる層を介在させた場合も本発明の技術範囲に含むものとする。また、延伸ナイロンフィルム層111は本発明における「基材層」の一例であり、アルミニウム箔層112は本発明における「金属箔層」の一例であり、アルミナ層113は本発明における「絶縁層」の一例であり、酸変性ポリプロピン層114及びポリプロピレン層115は本発明における「熱接着性樹脂層」の一例である。
図2は本発明の電気化学セル用包装材料110を用いて形成されたパウチ型の外装体120内にリチウムイオン電池本体122(図2中、不図示)を収納したリチウムイオン電池121の斜視図であり、図3は図2中のリチウムイオン電池121のA−A’における断面図である。図2及び図3に示すように、外装体120は金属端子124を挟持した状態で、その挟持部分を含む周縁部がヒートシールされ、外装体120内部に電解液を含むリチウムイオン電池本体122が密封収納されている。
ここで、アルミニウム箔層112表面に形成されたアルミナ層113は絶縁性を有する酸化アルミニウムにより形成されており、リチウムイオン電池本体122の発熱より酸変性ポリプロピレン層114及びポリプロピレン層115の一部が溶融した場合でも、アルミナ層113は溶融しない。このため、酸変性ポリプロピレン層114及びポリプロピレン層115の溶融した部位から電解液が浸透した場合でも、電解液はアルミナ層113により遮断されアルミニウム箔層112と導通しない。これにより、リチウムイオン電池121の短絡発生が防止される。
また、ヒートシール部120aにおいて、金属端子124に発生したバリが、ヒートシール時に酸変性ポリプロピレン層114及びポリプロピレン層115に噛み込んだ場合でも、アルミナ層113は強固であり、アルミニウム箔層112にまで達しない。これにより、金属端子124とアルミニウム箔層112とが導通して発生する短絡を防ぐことができる。なお、後述するが、アルミナ層113は化学的手法によりアルミニウム箔層112表面に形成されており、接着剤層を介してアルミニウム箔層112と接合していない。これにより、外装体120の端面より接着剤層を介して水蒸気が内部に浸透するおそれがない。このため、水蒸気バリア性にも優れる。また、アルミナ層113と酸変性ポリプロピレン層114とは安定して熱接着しており、ヒートシール部120aにおいて高いラミネート強度を有する。また、アルミナ層113と酸変性ポリプロピレン層114の熱接着は電解液に対しても安定しており、電解液の影響によるアルミナ層113と酸変性ポリプロピレン層114間のラミネート強度低下も少ない。
また、図示していないが、アルミナ層を延伸ナイロンフィルム層111側のアルミニウム箔層112表面に形成してもよい。これにより、リチウムイオン電池121は外装体120外部に対しても絶縁性を有し、リチウムイオン電池121をスタック状に複数並べて使用する際、リチウムイオン電池121の一部が放電しても隣接するリチウムイオン電池121は絶縁性が確保される。
ここで、アルミナ層113はアルミナ粒子とリン酸とアミノ化フェノール溶液との混合液をアルミニウム箔層112に塗布して形成され、アミノ化フェノール溶液のようなバインダー溶液を用いることにより、アルミナ層113表面にクロメート処理等の化成処理を施さなくてもアルミナ層113と酸変性ポリプロピレン層114との接着性が安定化し、ヒートシール部120aにおいて、高いラミネート強度及び耐電解液性が得られる。なお、アミノ化フェノール溶液以外のバインダー溶液として、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂を用いても同様の効果が得られる。
また、アルミナ粒子にはナノサイズの粒子が好適に用いられ、アルミナ材料以外の絶縁層を形成する場合、セラミック材料の粒子を用いて絶縁層を形成することができる。また、セラミック材料の粒子として金属酸化物を用いることもできる。具体的にはセラミック材料として、第1リン酸アルミ、窒化アルミ、金属酸化物材料として、酸化ジルコン、酸化チタン等が挙げられる。なお、絶縁層を形成するセラミック材料には、平均粒径0.03μm〜3.0μmの粒子を用いることが好ましく、さらには0.10μm〜1.0μmの粒子を用いることがより好ましい。平均粒径が3.0μmを超えるものは、セラミック材料の粒子が均一に分散されず、絶縁層が不均一に形成されることがあり、平均粒径が0.03μmより小さい場合、バインダー溶液に添加するアルミナ粒子の量を増やす必要があり製造原価のコストアップにつながる。
また、アルミナ層113はバインダー溶液を用いず、アルミナ粒子とリン酸との混合溶液を塗布して成形することもできる。この場合、バインダー溶液を用いた場合と比較してアルミナ層113と酸変性ポリプロピレン層114間の接着強度が低下するため、図4に示すように、アルミナ層113表面に化成処理を施し化成処理層116を形成することにより、ヒートシール部120aにおいて、高いラミネート強度及び耐電解液性を得ることができる。
ここで、化成処理層116はアルミナ層113と酸変性ポリプロピレン層114とを安定的に接着し、アルミナ層113と酸変性ポリプロピレン層114との剥離を防止するとともにアルミナ層113の腐食を防止する働きも有し、具体的には、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物等の耐酸性皮膜により形成される。
また、化成処理層116は、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、塗布型クロメート処理等のクロム系化成処理、あるいは、ジルコニウム、チタン、リン酸亜鉛等の非クロム系(塗布型)化成処理等によりアルミナ層113面に形成されるものであるが、連続処理が可能であると共に水洗工程が不要で処理コストを安価にすることができるという点などから塗布型化成処理、特にアミノ化フェノール重合体、3価クロム化合物、リン化合物、を含有する処理液で処理するのが最も好ましい。
また、化成処理層116の形成方法としては、処理液をバーコー卜法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等の周知の塗布法を選択して成形すればよい。また、化成処理層116を形成する前にアルミナ層113表面に、予め、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、酸活性化法等の周知の脱脂処理法で処理を施しておく方が、化成処理層116の機能を最大限に発現させるとともに、長期間維持することができる点から好ましい。
酸変性ポリプロピレン層114はアルミナ層113とポリプロピレン層115とを安定して接着するために設ける層であり、ポリプロピレン層115に用いる樹脂種により適宜選択して用いる必要がある。酸変性ポリプロピレン以外の酸変性ポリオレフィン樹脂を用いる場合、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体、あるいは、金属架橋ポリオレフィン樹脂等があり、必要に応じてブテン成分、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、非晶質のエチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等を5%以上添加してもよい。
また、酸変性ポリプロピレンを用いる場合、
(1)ビガット軟化点115℃以上、融点150℃以上のホモタイプ、
(2)ビガット軟化点105℃以上、融点130℃以上のエチレンープロピレンとの共重合体(ランダム共重合タイプ)
(3)融点110℃以上である不飽和カルボン酸を用い酸変性重合した単体又はブレンド物等を用いることができる。
ポリプロピレン層115は、ポリプロピレンが好適に用いられるが、熱接着性を有するポリオレフィンを用いることができる。例えば、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンの単層または多層、または、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンのブレンド樹脂を使用することができる。また、ポリプロピレンには、ランダムプロピレン、ホモプロピレン、ブロックプロピレン等各タイプに分けることができる。
また、上記各タイプのポリプロピレン、すなわち、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレンには、低結晶性のエチレンーブテン共重合体、低結晶性のプロピレンーブテン共重合体、エチレンとブテンとプロピレンの3成分共重合体からなるターポリマー、シリカ、ゼオライト、アクリル樹脂ビーズ等のアンチブロッキング剤(AB剤)、脂肪酸アマイド系のスリップ剤等を添加してもよい。また、上記各タイプのポリプロピレン層を適時組み合わせて多層化してもよい。
アルミニウム箔層112は、外部からリチウムイオン電池121の内部に水蒸気が浸入することを防止するための層で、金属箔層単体のピンホール、及び加工適性(パウチ化、エンボス成形性)を安定化し、かつ耐ピンホール性をもたせるために厚さ15μm以上のアルミニウムを用いる。
また、ピンホールの発生を改善し、リチウムイオン電池の外装体のタイプをエンボスタイプとする場合、エンボス成形におけるクラックなどの発生のないものとするために、アルミニウム箔層112として用いるアルミニウムの材質を、鉄含有量が0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%とすることが望ましい。
これによって、鉄を含有していないアルミニウムと比較して、アルミニウムの展延性がよく、外装体として折り曲げによるピンホールの発生が少なくなり、包装材料をエンボス成形する時に側壁を容易に形成することができる。なお、鉄含有量が、0.3重量%未満の場合は、ピンホールの発生の防止、エンボス成形性の改善等の効果が認められず、アルミニウムの鉄含有量が9.0重量%を超える場合は、アルミニウムとしての柔軟性が阻害され、包装材料として製袋性が悪くなる。
また、冷間圧延で製造されるアルミニウムは焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・腰の強さ・硬さが変化するが、本発明において用いるアルミニウムは焼きなましをしていない硬質処理品より、多少または完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウムがよい。
延伸ナイロンフィルム層111は、基材層として、延伸ポリエステルまたはナイロンフィルムを用いることができ、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。またナイロンとしては、ポリアミド樹脂、すなわち、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。
また、基材層は耐ピンホール性および電池の外装体とした時の絶縁性を向上させるために、ポリエステルフィルム又はナイロンフィルムの他、異なる材質のフィルムを積層化することも可能である。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、本発明の作用及び効果について、実施例を用いて具体的に説明する。実施例1は、アルミナ層を有する電気化学セル用包装材料の絶縁性について評価したものである。
[包装材料の試料作製]
アルミニウム箔(厚さ40μm)の片面に平均粒径0.2μmのアルミナ粒子とリン酸の混合液を塗布した後、乾燥させて、アルミニウム箔の片面にアルミナ層(厚さ3μm)を形成した。次に、アルミナ層の上面に酸変性ポリプロピレン(厚さ20μm)を溶融押出するとともにその上からポリプロピレン(厚さ15μm)を溶融押出して、アルミニウム箔/アルミナ/酸変性ポリプロピレン/ポリプロピレンで構成される本発明1に係る包装材料を得た。
次に、アルミニウム箔(厚さ40μm)の片面に平均粒径0.2μmのアルミナ粒子とリン酸の混合液を塗布した後、乾燥させて、アルミニウム箔の片面にアルミナ層(厚さ3μm)を形成した。次に、アルミナ層の上から化成処理を施し、化成処理面に酸変性ポリプロピレン(厚さ20μm)を溶融押出するとともにその上からポリプロピレン(厚さ15μm)を溶融押出して、アルミニウム箔/アルミナ/化成処理層/酸変性ポリプロピレン/ポリプロピレンで構成される本発明2に係る包装材料を得た。
ここで、化成処理は、処理液として、アミノ化フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、リン酸からなる水溶液を用い、ロールコート法により塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件において焼付けた。また、クロムの塗布量は10mg/m2(乾燥重量)とした。
次に、アルミニウム箔(厚さ40μm)の片面に平均粒径0.2μmのアルミナ粒子とリン酸とアミノ化フェノールの混合液を塗布した後、乾燥させて、アルミニウム箔の片面にアルミナ層(厚さ3μm)を形成した。次に、アルミナ層の上面に酸変性ポリプロピレン(厚さ20μm)を溶融押出するとともにその上からポリプロピレン(厚さ15μm)を溶融押出して、アルミニウム箔/アルミナ/酸変性ポリプロピレン/ポリプロピレンで構成される本発明3に係る包装材料を得た。
次に、アルミニウム箔(厚さ40μm)の片面に化成処理を施し、化成処理面に酸変性ポリプロピレン(厚さ20μm)を溶融押出するとともにその上からポリプロピレン(厚さ15μm)を溶融押出して、アルミニウム箔/化成処理層/酸変性ポリプロピレン/ポリプロピレンで構成される比較例1に係る包装材料を得た。
ここで、化成処理は、処理液として、アミノ化フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、リン酸からなる水溶液を用い、ロールコート法により塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件において焼付けた。また、クロムの塗布量は10mg/m2(乾燥重量)とした。
[絶縁性の評価]
上記方法により作製した本発明1〜本発明3及び比較例1にかかる電気化学セル用包装材料を40mm×120mmの短冊片に裁断し、表面に平均粒径44μmのカーボン粒子をまぶしたニッケルタブ(4mm×30mm)とポリプロピレン側の面とを当接させ、ヒーシールバー(幅30mm)を0.5MPa、190℃で押圧してニッケルタブと各試料をヒートシールした。このとき、カーボン粒子がヒートシールバーの押圧によりポリプロピレン及び酸変性ポリプロピレンへ噛み込み、ニッケルタブと包装材料間の絶縁性が低下する時間を測定し、その結果を表1に示す。なお、ニッケルタブと包装材料間の絶縁性が低下する時間とはニッケルタブとアルミニウム間に25Vの電圧を印加し、抵抗値が100MΩ以下になる時間のことをいう。
[表1]
Figure 2014146611
表1に示すように、アルミニウム箔にアルミナ層を形成した本発明1〜本発明3に係る包装材料はアルミナ層を形成していない比較例1に係る包装材料と比較して絶縁性に優れることがわかった。
実施例2は、アルミナ層を有する電気化学セル用包装材料のラミネート強度及び耐電解液性について評価したものである。
[ラミネート強度の評価]
実施例1において作製した本発明1〜本発明3及び比較例1にかかる電気化学セル用包装材料を裁断して15mm×250mmの短冊片を作製し、引張り試験機(島津製作所製、AGS−50D(商品名))によりアルミニウム箔と酸変性ポリプロピレン間を300mm/分の速度で剥離させながら、剥離時の強度を測定し、その強度をラミネート強度として表2に示す。なお、単位はN/15mm巾である。
[電解液浸漬後のラミネート強度の評価]
実施例1において作製した本発明1〜本発明3及び比較例1にかかる電気化学セル用包装材料を裁断して15mm×250mmの短冊片を作製し、その短冊片を85℃の電解液に24時間ドブ漬けした。その後、引張り試験機(島津製作所製、AGS−50D(商品名))によりアルミニウム箔と酸変性ポリプロピレン間を300mm/分の速度で剥離させながら、剥離時の強度を測定し、その強度を電解液浸漬後のラミネート強度として表2に示す。なお、単位はN/15mm巾である。
[表2]
Figure 2014146611
表2に示すように、アルミニウム箔にアルミナ層を形成した本発明1〜本発明3に係る包装材料は電解液に浸漬した後も大きなラミネート強度の低下はみられないことがわかった。また、本発明1〜本発明3に係る包装材料を比較した場合、アミノ化フェノールを用いてアルミナ層を形成した場合、アルミナ層に化成処理を施さなくても、高いラミネート強度が得られるとともに電解液浸漬後もラミネート強度が大きく低下しないことがわかった。
110、210 電気化学セル用包装材料
111、211 延伸ナイロンフィルム層(基材層)
112、212 アルミニウム箔層(金属箔層)
113 アルミナ層(絶縁層)
114 酸変性ポリプロピレン層(熱接着性樹脂層)
115、215 ポリプロピレン層(熱接着性樹脂層)
116 化成処理層
120、220 外装体
121、221 リチウムイオン電池
122、222 リチウムイオン電池本体
124、224 金属端子

Claims (8)

  1. 基材層と、金属箔層と、熱接着性樹脂層とを、少なくとも順次積層して構成される電気化学セル用包装材料であって、
    前記金属箔層は前記熱接着性樹脂層側の面に絶縁層を有し、
    前記絶縁層がセラミック材料により構成されていることを特徴とする電気化学セル用包装材料。
  2. 前記セラミック材料が金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル用包装材料。
  3. 前記金属酸化物がアルミナであることを特徴とする請求項2に記載の電気化学セル用包装材料。
  4. 前記絶縁層がセラミック粒子とリン酸との混合液を塗布して形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気化学セル用包装材料。
  5. 前記絶縁層表面にクロメート処理が施されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電気化学セル用包装材料。
  6. 前記絶縁層がセラミック粒子とリン酸とバインダー溶液との混合液を塗布して形成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電気化学セル用包装材料。
  7. 前記バインダー溶液がアミノ化フェノール溶液であることを特徴とする請求項6に記載の電気化学セル用包装材料。
  8. 前記金属箔層は前記基材層側の面にも前記絶縁層を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電気化学セル用包装材料。
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