JP6319387B2 - 電池用包装材料 - Google Patents
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Description
このような状況下、本発明の主な目的は、少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなる電池用包装材料において、成形後のカールを抑制する技術を提供することにある。
項1. 少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、
前記積層体のMD方向における10%伸長時の応力をA1、TD方向における10%伸長時の応力をB1とし、
前記基材層のMD方向における10%伸長時の応力をA2、TD方向における10%伸長時の応力をB2とした場合において、
(A1−A2)≧60N/15mm、及び
(B1−B2)≧50N/15mm
の関係を充足する、電池用包装材料。
項2. (A1−A2)と(B1−B2)の比が、(A1−A2)/(B1−B2)=1.00〜1.20の関係を充足する、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記基材層表面の動摩擦係数をC、前記シーラント層表面の動摩擦係数をDとした場合に、下記の関係:
C≦0.3、
D≦0.3、及び
C/D=0.5〜2.5
を充足する、項1または2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記基材層が、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の少なくとも一方により形成されている、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 前記金属層が、アルミニウム箔により形成されている、項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. 前記金属層の少なくとも一方の面に化成処理が施されている、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
項7. 成形深さが4mm以上の深さで成形される深絞り用の電池用包装材料である、項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
項8. 前記積層体の厚みが、120μm以下である、項1〜7のいずれかに記載の電池用包装材料。
項9. 二次電池用の包装材料である、項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料。
項10. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜9のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。
積層体のMD方向における10%伸長時の応力をA1、TD方向における10%伸長時の応力をB1とし、
基材層のMD方向における10%伸長時の応力をA2、TD方向における10%伸長時の応力をB2とした場合において、
(A1−A2)≧60N/15mm、及び
(B1−B2)≧50N/15mm
の関係を充足することを特徴とする。以下、本発明の電池用包装材料について詳述する。
電池用包装材料10は、図1に示すように、少なくとも、基材層1、金属層3、及びシーラント層4が順次積層された積層体からなる。本発明の電池用包装材料において、基材層1が最外層になり、シーラント層4は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置するシーラント層4同士が熱溶着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
本発明の電池用包装材料は、当該電池用包装材料を構成するMD方向における10%伸長時の応力をA1、TD方向における10%伸長時の応力をB1とし、基材層1のMD方向における10%伸長時の応力をA2、TD方向における10%伸長時の応力をB2とした場合において、(A1−A2)≧60N/15mm、及び(B1−B2)≧50N/15mmの関係を充足することを特徴とする。具体的には、電池用包装材料を構成する積層体の流れ方向(MD方向)における10%伸長時の応力の値A1と、基材層1を構成する樹脂フィルムの流れ方向(MD方向)における10%伸長時の応力の値A2との差(A1−A2)が、(A1−A2)≧60N/15mmの関係を充足し、さらに、電池用包装材料を構成する積層体のMD方向とは同一平面の垂直方向(TD方向)における10%伸長時の応力の値B1と、基材層1を構成する樹脂フィルムのMD方向とは同一平面の垂直方向(TD方向)における10%伸長時の応力の値B2との差(B1−B2)が、(B1−B2)≧50N/15mmの関係を充足する。なお、電池用包装材料が、シート状の積層体の巻取体である場合には、巻取体から積層体を巻き出した際に、積層体の長さ方向(巻き出し方向)がMD方向であり、積層体の幅方向がTD方向である。本発明において、積層体及び基材層1のMD方向及びTD方向における、上記10%伸長時の応力は、それぞれ、JIS K7127に規定された方法に準拠して測定された値である。
C≦0.3、D≦0.3、C/D=0.5〜2.5
の関係を充足することが好ましい。電池用包装材料の両表面の動摩擦係数が、上記の値よりも小さく、かつ、両表面おける動摩擦係数の差が所定の範囲にあることにより、電池用包装材料の成形時における形状変化のバランスがよくなり、結果として成形後のカールをより一層抑制することが可能になるからである。同様の観点から、C≦0.25、D≦0.20、C/D=0.8〜2.0の関係を充足することがより好ましい。なお、基材層1表面の動摩擦係数C及びシーラント層4表面の動摩擦係数Dは、それぞれ、JIS K7125の規定に準拠した方法により測定した値である。
[基材層1]
本発明の電池用包装材料において、基材層1は最外層を形成する層である。基材層1を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層1を形成する素材としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、珪素樹脂、フェノール樹脂、及びこれらの混合物や共重合物等の樹脂フィルムが挙げられる。これらの中でも、好ましくはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられ、より好ましくは2軸延伸ポリエステル樹脂、2軸延伸ポリアミド樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。また、ポリアミド樹脂としては、具体的には、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。
本発明の電池用包装材料において、接着層2は、基材層1と金属層3を強固に接着させるために、必要に応じて、これらの間に設けられる層である。
電池用包装材料において、金属層3は、電池用包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止するためのバリア層として機能する層である。金属層3を構成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタンなどが挙げられ、好ましくはアルミニウムが挙げられる。金属層3は、金属箔や金属蒸着などにより形成することができ、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム箔により形成することがさらに好ましい。電池用包装材料の製造時に、金属層3にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O、JIS A8079P−O)など軟質アルミニウム箔により形成することがより好ましい。
本発明の電池用包装材料において、シーラント層4は、最内層に該当し、電池の組み立て時にシーラント層同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。
本発明の電池用包装材料において、接着層5は、金属層3とシーラント層4を強固に接着させために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
本発明の電池用包装材料においては、意匠性、耐電解液性、耐擦過性、成形性の向上などを目的として、必要に応じて、基材層1の上(基材層1の金属層3とは反対側)に、必要に応じて、コーティング層を設けてもよい。コーティング層は、電池を組み立てた時に、最外層に位置する層である。
マット化剤の材質については、特に制限されないが、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物等が挙げられる。また、マット化剤の形状についても、特に制限されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状等が挙げられる。マット化剤として、具体的には、タルク,シリカ,グラファイト、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化ネオジウム,酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム,硫酸バリウム、炭酸カルシウム,ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム,シュウ酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ類、高融点ナイロン、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケル等が挙げられる。これらのマット化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのマット化剤の中でも、分散安定性やコスト等の観点から、好ましくはりシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、マット化剤には、表面に絶縁処理、高分散性処理等の各種表面処理を施しておいてもよい。
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されないが、例えば、以下の方法が例示される。
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として使用される。
<電池用包装材料の製造>
基材層1/接着層2/金属層3が順に積層された積層体に対して、サーマルラミネート法で接着層5及びシーラント層4を積層させることにより、基材層1/接着層2/金属層3/接着層5/シーラント層4が順に積層された積層体からなる電池用包装材料を製造した。電池用包装材料を構成する各層及び製造条件の詳細は、以下に示す通りである。
基材層1として使用したナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの詳細を以下に示す。なお、PETとナイロンの積層体は、PETフィルムとナイロンフィルムとを接着層2を形成する接着剤で接着したものである。
ナイロン6を主成分とする原料からなる未延伸原反フィルムをチューブラー法による同時二軸延伸した後、200℃で熱処理することにより製造したものである。ナイロンフィルムは、延伸倍率が流れ方向(MD)3.0倍、幅方向(TD)3.3倍の条件で製造した。
ポリエチレンテレフタレートを主成分とする原料からなる未延伸原反フィルムをテンター法による逐次二軸延伸した後、210℃で熱処理することにより製造したものである。PETフィルムは、延伸倍率が流れ方向(MD)3.2倍、幅方向(TD)3.2倍の条件で製造した。
以下の表1に示す厚み及び物性を有するアルミニウム箔(8079材)をそれぞれ使用した。なお、引張破断強度及び引張破断伸度は、それぞれ、JIS K7127の規定に準拠した方法で測定した値である。また、0.2%耐力は、JIS Z 2241に規定する引張試験によって測定される値である。
基材層1と金属層3とを接着する接着層2として、融点142℃、MFR(230℃)が6g/10分であるエチレンープロピレン共重合体(ランダム共重合タイプ)からなる酸変性ポリプロピレンを用いた。
シーラント層4として、融点132℃、MFR(230℃)が12g/10分であるプロピレン・エチレン共重合体を用いた。
電池用包装材料の成形性を向上させることを目的として、実施例6において形成した層である。コーティング層は、基材層1の上に、ビスフェノールAを骨格中の単位として有するエポキシ樹脂を塗工量2.5g/m2で塗布し、乾燥後、190℃で2分間加熱して硬化膜として形成した。
(実施例1)
ナイロン(15μm)/接着層2(3μm)/金属層3(40μm)/接着層5(25μm)/シーラント層4(25μm)
(実施例2)
ナイロン(25μm)/接着層2(3μm)/金属層3(40μm)/接着層5(25μm)/シーラント層4(25μm)
(実施例3)
PET(12μm)/接着剤(3μm)/ナイロン(15μm)/接着層2(3μm)金属層3(40μm)/接着層5(25μm)/シーラント層4(25μm)
(実施例4)
PET(12μm)/接着層2(3μm)/金属層3(40μm)/接着層5(25μm)/シーラント層4(25μm)
(実施例5)
ナイロン(15μm)/接着層2(3μm)/金属層3(35μm)/接着層5(25μm)/シーラント層4(25μm)
(実施例6)
コーティング層(3μm)/ナイロン(25μm)/接着層2(3μm)/金属層3(40μm)/接着層5(25μm)/シーラント層4(25μm)
(実施例7)
ナイロン(15μm)/接着層2(3μm)/金属層3(30μm)/接着層5(25μm)/シーラント層4(25μm)
(比較例1)
PET(12μm)/接着剤(3μm)/ナイロン(25μm)/接着層2(3μm)金属層3(40μm)/接着層5(25μm)/シーラント層4(25μm)
(比較例2)
ナイロン(25μm)/接着層2(3μm)/金属層3(35μm)/接着層5(25μm)/シーラント層4(25μm)
(比較例3)
PET(12μm)/接着剤(3μm)/ナイロン(15μm)/接着層2(3μm)/金属層3(30μm)/接着層5(25μm)/シーラント層4(25μm)
(比較例4)
ナイロン(15μm)/接着層2(3μm)/金属層3(30μm)/接着層5(10μm)/シーラント層4(10μm)
上記で得られた電池用包装材料のMD方向、TD方向における10%伸長時応力A1、B1、及び使用した基材層1のMD方向、TD方向における10%伸長時応力A2、B2は、それぞれJIS K7127の規定に準拠した方法で測定した。なお、測定条件は、サンプル幅を15mm、標線間距離を50mm、引張速度を100mm/分とした。結果を表2に示す。
上記で得られた電池用包装材料の基材層表面(実施例6はコーティング層表面)及びシーラント層表面それぞれについて、JIS K7125の規定に準拠した方法により、動摩擦係数を測定した。結果を表2に示す。
上記で得られた電池用包装材料を裁断して、150×100mmの短冊片を作製し、これを試験サンプルとした。30×50mmの矩形状の雄型とこの雄型とのクリアランスが0.5mmの雌型からなるストレート金型を用い、雄型側にシーラント層4側が位置するように雌型上に上記試験サンプルを載置し、成形深さ6mmとなるように当該試験サンプルを0.1MPaの押え圧(面圧)で押えて、冷間成形(引き込み1段成形)した。成形を行った位置の詳細は、図3に示される通りである。図3に示されるように、矩形状の成形部Mと電池用包装材料10の端部Pとの最短距離d=25mmとなる位置で成形した。次に、成形後の電池用包装材料10を、図4に示すようにして水平面20におき、水平面20から端部Pまでの垂直方向yの距離の最大値tをカールしている部分の最大高さとした。成形後のカールの評価基準は、以下の通りである。結果を表2に示す。
〇:t=0mm以上、10mm未満であり、カールが小さく、生産性をほとんど低下させない
△:t=10mm以上、20mm未満であり、カールがやや大きいが、生産性の低下は小さい
×:t=20mm以上、30mm未満であり、カールが大きく、生産性の低下が大きい
××:t=30mm以上であり、カールが非常に大きく、生産性の低下が非常に大きい
2 接着層
3 金属層
4 シーラント層
5 接着層
10 電池用包装材料
M 成形部
P 端部
Claims (8)
- 少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層が順次積層された積層体からなり、
前記積層体の厚みが、120μm以下であり、
前記基材層は、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の少なくとも一方を含み、
前記金属層は、アルミニウム箔であり、
前記シーラント層は、ポリオレフィンであり、
前記積層体のMD方向における10%伸長時の応力をA1、TD方向における10%伸長時の応力をB1とし、
前記基材層のMD方向における10%伸長時の応力をA2、TD方向における10%伸長時の応力をB2とした場合において、
(A1−A2)≧60N/15mm、及び
(B1−B2)≧50N/15mm
の関係を充足する、電池用包装材料。 - (A1−A2)と(B1−B2)の比が、(A1−A2)/(B1−B2)=1.00〜1.20の関係を充足する、請求項1に記載の電池用包装材料。
- 前記基材層表面の動摩擦係数をC、前記シーラント層表面の動摩擦係数をDとした場合に、下記の関係:
C≦0.3、
D≦0.3、及び
C/D=0.5〜2.5
を充足する、請求項1または2に記載の電池用包装材料。 - 前記金属層の少なくとも一方の面に化成処理が施されている、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 成形深さが4mm以上の深さで成形される深絞り用の電池用包装材料である、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 前記積層体の厚みが、60μm以上110μm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 二次電池用の包装材料である、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜7のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。
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