JP6203715B2 - エネルギー線硬化型樹脂組成物、硬化物及び積層体 - Google Patents
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Description
[1](A)エネルギー線硬化性官能基数が10〜20の範囲である多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、(B)エネルギー線硬化性官能基数が2〜6の範囲であるシクロ環構造を有する(メタ)アクリレートモノマー、3〜15のエチレンオキサイド鎖を有する(メタ)アクリレートモノマー、及びデンドリック構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマーから選択される少なくとも1種と、(C)光重合開始剤と、を含有するエネルギー線硬化型樹脂組成物であって、前記(A)成分と(B)成分との配合割合が質量比で60:40〜95:5の範囲であり、さらに(E)成分として、親水基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを含むことを特徴とするものである。
[7][1]記載のエネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させてなる硬化物である。
[8]基材の少なくとも一方の面に[7]記載の硬化物から構成されてなるハードコート層を有することを特徴とする積層体である。
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、(A)エネルギー線硬化性官能基数が10〜20の範囲である多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、(B)官能基数が2〜6の範囲であるシクロ環構造を有する(メタ)アクリレートモノマー、3〜15のエチレンオキサイド鎖を有する(メタ)アクリレートモノマー及びデンドリック構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマーから選択される少なくとも1種と、(C)光重合開始剤と、必要により添加される(D)光重合開始助剤と、(E)親水基を有する多官能モノマーとを含有するものである。各成分について以下に詳細に説明する。
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、(A)エネルギー線硬化性官能基数が10〜20の範囲である多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることが必須である。このような多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることによって、高架橋度を達成することができるため、必要な硬度、耐擦傷性を得ることができる。多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのエネルギー線硬化性官能基数を10以上とすることにより架橋密度を十分なものとし硬度を高くすることができ、特に耐擦傷性を飛躍的に高くすることができる。また、官能基数を20以下、好ましくは16以下とすることにより架橋密度が高くなりすぎることによる立体障害を抑制し、硬化阻害による硬度低下を招くことを防止することができる。
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、エネルギー線硬化性官能基数が2〜6の範囲であるシクロ環構造を有する(メタ)アクリレートモノマー、3〜15のエチレンオキサイド鎖を有する(メタ)アクリレートモノマー、デンドリック構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマーから選択される少なくとも1種を用いることが必須である。これらのものを使用することにより、硬度、特に耐擦傷性の性能を維持しつつ柔軟性に優れた硬化物を得ることが可能となる。
上述したように本発明においては(A)成分としてエネルギー線硬化性官能基数が10〜20の範囲の(メタ)アクリレートモノマーを用いているため、一般的なハードコート硬化物よりも架橋密度が高く、高硬度の硬化物が得られる易くなる反面、架橋密度が高いため柔軟性が低くなっていく傾向にある。しかしながら、本発明では(B)成分としてシクロ環構造を有する(メタ)アクリレートモノマーを用いることができるため、当該(B)成分と(A)成分とを架橋させることにより、硬化物とした際に架橋密度が高くなりすぎるのを抑制するとともにシクロ環構造が架橋密度の高くなった硬化物の剛性を緩和させるため、硬化物とした際に硬度、特に耐擦傷性の性能を維持しつつ柔軟性を付与することができる。このようなシクロ環構造を有する(メタ)アクリレートモノマーはエネルギー線硬化性官能基数が2以上、6以下である必要がある。エネルギー線硬化性官能基数を2以上とすることにより(A)成分及び(B)成分、又は(B)成分同士を十分に架橋させることができるため、硬化物とした際に硬度、特に耐擦傷性を低下させることなく柔軟性を付与することができる。エネルギー線硬化性官能基数を6以下とすることにより、架橋密度が高くなりすぎることによる立体障害を抑制することができ、硬度低下を招くことを防止することができる。
次に(B)成分として3〜15のエチレンオキサイド鎖を有する(メタ)アクリレートモノマーを用いた場合について説明する。(B)成分として3〜15のエチレンオキサイド鎖を有する(メタ)アクリレートモノマーを用いた場合は、当該(B)成分と(A)成分とを架橋させることにより、硬化物とした際に架橋密度が高くなりすぎるのを抑制するとともにエチレンオキサイド鎖が架橋密度の高くなった硬化物の剛性を緩和させるため、硬化物とした際に硬度、特に耐擦傷性の性能を維持しつつ柔軟性を付与することができる。このようなエチレンオキサイド鎖を有する(メタ)アクリレートモノマーはエチレンオキサイド鎖が3以上、15以下である必要がある。エチレンオキサイド鎖が3以上とすることにより、架橋密度の高くなった硬化物の剛性を緩和させることができるため、硬化物とした際に硬度、特に耐擦傷性を低下させることなく柔軟性を付与することができる。エチレンオキサイド鎖が15以下とすることにより、架橋密度が低下しすぎるのを防止し、硬化物とした際の硬度、特に耐擦傷性が低下することを防止することができる。
次に(B)成分としてデンドリック構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマーを用いた場合について説明する。デンドリック構造とは、一つの核から放射線状にモノマーが枝分かれしながら重合し、放射状に広がった形状を意味する。(B)成分としてデンドリック構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマーを用いた場合は、当該(B)成分と(A)成分とを架橋させることにより、硬化物とした際に架橋密度が高くなりすぎるのを抑制するとともに放射線状構造が架橋密度の高くなった硬化物の剛性を緩和させるため、硬化物とした際に硬度、特に耐擦傷性の性能を維持しつつ柔軟性を付与することができる。デンドリック構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、市販品を使用することができ、例えばビスコートV#1000、V#5020、STAR−501(何れも大阪有機化学工業社製)を挙げることができる。これらのものは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
また、本発明では、必要に応じて(E)成分として、親水基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを含有させることもできる。親水基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを用いることにより、より指紋拭き取り性を向上させることができる。親水基としては水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル基等が挙げられ、このような親水基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらのものは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物における(E)成分の含有量は、全樹脂固形分中30質量%以下の範囲とすることが好ましい。
本発明に使用される(C)成分の光重合開始剤としては、光の作用によりラジカルを発生するであれば特に限定することはない。例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類、アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン類、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類等を挙げることができる。これらのものは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物には、(D)成分として光重合開始助剤を添加することが好ましい。光重合開始助剤を添加させることにより、本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物をエネルギー線の照射により硬化させる際に、硬化物表面に酸素阻害が生じることを防止することができるため、より硬度の高い硬化物を得ることができる。このような光重合開始助剤としては、例えば、アミン化合物、カルボン酸化合物、多官能チオール化合物等を挙げることができる。このような光重合開始助剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよいが、よりラジカル重合反応の効率を向上させることができるため、多官能チオール化合物を含むように用いることが好ましい。
次に本発明の硬化物について説明する。本発明の硬化物は上述した本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物を所望の被塗布対象に塗布し、硬化させることにより得ることができる。被塗布対象としては、耐擦傷性が望まれる基材である。本実施形態で用いることのできる基材の態様は、特に限定されず、フィルム状、シート状またはプレート状等、いかなる厚みを有するものであってもよい。また、基材は、その表面が、例えば凸凹形状であってもよく、あるいは三次元曲面を有する立体的な形状であってもよい。
本発明の積層体は、基材の少なくとも一方の面に上述した硬化物から構成されてなるハードコート層を有するものである。このような本発明の積層体は、前記ハードコート層の表面を、#0000番のスチールウールで、500g/3cm2の荷重をかけながら、速度200mm/secで100往復摩擦させる耐スチールウール試験において、耐スチールウール試験前後のヘーズの差(ΔH)が0.5%以下である。このように本発明の積層体は、当該ハードコート層が耐擦傷性に極めて優れているものである。
JIS K5400に準拠した方法で、本発明の積層体のハードコート層表面の鉛筆引っかき値を測定した。
耐スチールウール試験として、#0000のスチールウールを3cm2円柱治具へ被せて巻いたものを本発明のハードコート層上に載せ、加重500gをかけた状態で、速度200mm/secで100往復させ、ハードコート層の状態を観察した。その結果、キズが全くないものを○、キズが数本あるものを△、キズが数十本あるものを×とした。
本発明の積層体をJIS K5600−5−1:1999に準拠した円筒形マンドレル法で測定した耐屈曲試験の値を記録した。
本発明の積層体のハードコート層のぬれ張力を、JIS−K6768に準拠した方法で測定した。また、本発明の積層体のハードコート層の表面を人により指紋を付着させて柔らかい布を用いて500g/cm2の荷重をかけて拭き取り、指紋が目視にて確認できなくなる回数を測定し、以下のように指紋の拭き取り性を判定した。3往復以内であったものを○、4往復以上のものを×とした。
本発明の積層体のハードコート層の表面状態について、三波長蛍光灯下にてハードコート層側を斜めから目視で観察した。その結果、うねりが確認されず完全に鏡面となっているものを◎、うねりが確認されずほぼ鏡面となっているものを○、うねりが確認され表面の平面性が若干悪くなっているものを△とした。
(A1)80質量部、(B1)20質量部、(C1)3質量部、(D)1質量部にメチルエチルケトン(MEK)75質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)75質量部を加え、撹拌、添加することにより固形分が41%の参考例1のエネルギー線硬化型樹脂組成物を調製した。
表1〜3に示す組成のエネルギー線硬化型樹脂組成物をそれぞれ用い、参考例1と同様にして積層体を作製した。なお、参考例10〜12についてはハードコート層の膜厚を3μmとした。また、参考例13の積層体については、基材は厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:コスモシャインA4300、東洋紡社製)とし、ハードコート層の膜厚を10μmとした。これらの積層体の評価結果をあわせて同表に示す。
表3および4に示す組成のエネルギー線硬化型樹脂組成物をそれぞれ用い、参考例1と同様にして積層体を作製した。これらのエネルギー線硬化型樹脂組成物の組成及び積層体の評価結果を同表に示す。
Claims (12)
- (A)エネルギー線硬化性官能基数が10〜20の範囲である多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、(B)エネルギー線硬化性官能基数が2〜6の範囲であるシクロ環構造を有する(メタ)アクリレートモノマー、3〜15のエチレンオキサイド鎖を有する(メタ)アクリレートモノマー、及びデンドリック構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマーから選択される少なくとも1種と、(C)光重合開始剤と、を含有するエネルギー線硬化型樹脂組成物であって、前記(A)成分と(B)成分との配合割合が質量比で60:40〜95:5の範囲であり、さらに(E)成分として、親水基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを含むことを特徴とするエネルギー線硬化型樹脂組成物。
- 前記(C)成分は、融点が70℃以上の光重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1記載のエネルギー線硬化型樹脂組成物。
- (D)成分として、光重合開始助剤を含むことを特徴とする請求項1記載のエネルギー線硬化型樹脂組成物。
- 前記(D)光重合開始助剤は、多官能チオール化合物であることを特徴とする請求項3記載のエネルギー線硬化型樹脂組成物。
- 前記(D)成分の含有量は樹脂固形分100質量部に対し0.1質量部以上、5質量部以下であることを特徴とする請求項3記載のエネルギー線硬化型樹脂組成物。
- 請求項1記載のエネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化物。
- 基材の少なくとも一方の面に請求項6記載の硬化物から構成されてなるハードコート層を有することを特徴とする積層体。
- 前記ハードコート層の表面を、#0000番のスチールウールで、500g/3cm2の荷重をかけながら、速度200mm/secで100往復摩擦させる耐スチールウール試験において、耐スチールウール試験前後のヘーズの差(ΔH)が0.5%以下であることを特徴とする請求項7記載の積層体。
- JIS K5600−5−1:1999に準拠した円筒形マンドレル法で測定した耐屈曲試験の値が50μm〜188μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに前記ハードコート層を設けたものを試験片とした場合に16mm以下であることを特徴とする請求項7又は8記載の積層体。
- 前記ハードコート層の厚みが0.5μm以上、20μm以下であることを特徴とする請求項7記載の積層体。
- 前記ハードコート層は、JIS K6768に準拠して測定したぬれ張力が27mN/m以上、45mN/m以下であることを特徴とする請求項7記載の積層体。
- 請求項7記載の積層体であって、基材の少なくとももう一方の面に金属蒸着層、印刷層及び接着層を含む少なくとも一層を有することを特徴とする積層体。
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