JP6202325B2 - ステアリング装置 - Google Patents
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そこで、本発明の目的は、ロックし易く且つロック解除し難い簡単な構造のステアリング装置を提供することである。
また、車体(14)に固定される固定側板(26,27)と、ステアリングシャフト(4)を回転可能に支持するステアリングコラム(8)に固定されたコラム側板(23,24)と、前記固定側板および前コラム側板にそれぞれ設けられた締付軸挿通溝(34,33)を挿通した締付軸(35)と、前記締付軸の中心軸線(C1)の回りに回転操作される操作レバー(20)と、締付軸によって支持され前記操作レバーと共に前記中心軸線の回りに回転する第1部材(37P)と、前記締付軸によって支持され前記締付軸挿通溝によって回転規制された第2部材(38P)と、前記締付軸によって支持され前記第1部材と前記第2部材との間に介在する第3部材(70P)と、前記第1部材と前記第3部材との間に介在し前記第1部材および前記第3部材の一方を他方に対して回転可能にスラスト支持する摩擦低減機構(80)と、前記第2部材および前記第3部材に設けられ前記締付軸の軸方向に互いに対向する一対の軸方向対向面(48Pb,70a)と、前記第2部材の軸方向対向面に形成されたカム面(44P)と、前記第2部材と第3部材の相対回転に伴って両軸方向対向面間を転動する複数の転動体(41)と、各前記転動体をそれぞれ保持するポケットを有し前記第1部材と一体回転する環状の保持器(42)と、を含み、前記固定側板を前記コラム側板に締め付けてロックを達成するカム機構(40P)と、を備え、前記ポケットの内周(54a)は、ロック時に前記転動体と接触する第1領域(A1)と、ロック解除時に前記転動体と接触する第2領域(A2)と、を含み、前記第1領域の摩擦係数が、前記第2領域の摩擦係数よりも小さくされているステアリング装置(1P)を提供する。
図1は、本発明の一実施形態に係る位置調整式のステアリング装置1の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、ステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2と、操舵部材2の操舵に連動して転舵輪(図示せず)を転舵するステアリング機構3とを備えている。ステアリング機構3としては、例えばラックアンドピニオン機構が用いられている。
アウターチューブ11は、軸受9を介してアッパーシャフト6を回転可能に支持している。また、アウターチューブ11は、軸受9を介してステアリングシャフト4の軸方向X1に同行移動可能にアッパーシャフト6に連結されている。
チルト中心軸16の回りに、ステアリングシャフト4およびステアリングコラム8を回動させることで、操舵部材2の高さ位置を調整できるようになっている(いわゆるチルト調整)。また、ステアリングシャフト4およびステアリングコラム8を軸方向X1に伸縮させることで、操舵部材2の高さ位置および前後方向位置を調整できるようになっている(いわゆるテレスコピック調整)。
各取付体30と取付ステー29とは、それぞれ取付ステー29を上下方向に貫通する破断可能な連結部材としての合成樹脂製のピン31によって連結されており、各取付体30は、固定ボルト32によって車体14に固定されている。
カム機構40は、第1部材37および第3部材70にそれぞれ設けられ少なくとも一方にカム面44が形成された軸方向対向面37aおよび軸方向端面70aと、これら軸方向端面37a,70a間を転動する複数の転動体としてのボール41と、ボール41を保持し第2部材38によって中心軸線C1の回りの回転が規制された保持器42とを含んでいる。
ここで、カム機構とは、カムの表面形状(本実施形態ではカム面44の形状に相当)に従って,従動部(本実施形態では第3部材70に相当)に所定の運動(本実施形態では締付軸35の軸方向Y1への直動)を与える機械的な連動機構である。
スリーブ21の外周21bには、前述したようにカム状突起からなる押圧部22が設けられている。押圧部22は、スリーブ21の回転に伴って、アウターチューブ11に設けられた挿通孔11aを挿通して、インナーチューブ12の外周12aを押圧可能である。
図5、図5のVI−VI線に沿う断面図である図6、および第1部材37の周方向断面図である図7に示すように、保持溝43の底に、周方向Z1に進むにしたがって軸方向Y1に起伏するカム面44が形成されている。
図5に示すように、第1部材37の周縁部には、軸方向対向面37aから第2部材38側へ突出する複数の円弧状突起からなる第1ストッパ47が、周方向Z1に等間隔離隔して形成されている。各第1ストッパ47は、周方向Z1に対向する一対のストッパ面としての周方向端面47aを有している。
図4、図8および図8のIX−IXに沿う断面図である図9に示すように、第2部材38は、固定側板26の外側面に沿う環状の締付面48aと締付面48aの反対側でスラストベアリング80を受ける平坦な環状の座面48bとを有する孔空き円板状の本体48と、締付面48aに形成された筒状の嵌合凸部49と、座面48bの周縁から嵌合凸部49とは反対方向(第1部材37側)に立ち上がる周側壁50とを備えている。
各ポケット54の内周54aは、ロック状態でボール41と接触する第1領域A1と、ロック解除状態でボール41と接触する第2領域A2とを含む。第1領域A1と第2領域A2とは、周方向Z1に対向して配置されている。第1領域A1の摩擦係数が、第2領域A2の摩擦係数よりも小さくされている。具体的には、第2領域A2の面粗さが、第1領域A1の面粗さよりも粗くされることにより、第1領域A1の摩擦係数が、第2領域A2の摩擦係数よりも小さくされている。
再び図2を参照して、締付軸35の一端部に螺合されたナット36とアッパー固定ブラケット19の他方の固定側板27との間には、第1介在部材61と第2介在部材62とが介在している。第1介在部材61は、第1部分611と第2部分612とを有している。第2介在部材61の第1部分611は、アッパー固定ブラケット19の他方の固定側板27の外側面に沿わされている。
本実施形態によれば、操作レバー20を回転させると、操作レバー20と共に第1部材37が回転して第1部材37のカム面44に対して転動体(ボール41)が転動する。一方、回転が規制された第2部材38によって摩擦低減機構(スラストベアリング80)を介して回転可能に支持された第3部材70が、第1部材37の回転方向とは反対方向に回転しつつ、転動体(ボール41)が第3部材70に対して転動する。保持器42のポケット54の内周54aにおいて、ロック時に転動体(ボール41)が接触する第1領域A1の摩擦係数が、ロック解除時に転動体(ボール41)が接触する第2領域A2の摩擦係数よりも小さくされている。したがって、ロック動作時に保持器42から転動体(ボール41)に与えられる第1摩擦抵抗が、ロック解除動作時に保持器42から転動体(ボール41)に与えられる第2摩擦抵抗よりも小さい。これにより、別途に部品を追加する必要がなく簡単な構造で、ロックし易く且つロック解除し難い特性を実現することができる。
また、ボール41を保持した保持器42が締付軸35の中心軸線C1の回りの回転を規制されており、また、摩擦低減機構としてのスラストベアリング80は、第2部材38に対する第3部材70の回転抵抗を、ボール41の転がり抵抗により第3部材70が受ける反力よりも小さくするように機能する。したがって、操作レバー20を回転させると、操作レバー20と共に第1部材37が回転する一方、回転が規制された第2部材38によってスラストベアリング80を介して回転可能に支持された第3部材70が、第1部材37の回転方向とは反対方向に回転することで、ボール41を第1部材37および第3部材70に対して確実に転動させることができる。その結果、操作レバー20の操作力を低減することができる。
次いで、図19は本発明の第2実施形態を示している。図19の第2実施形態が図4の第1実施形態と主に異なるのは、下記である。すなわち、第1実施形態では、摩擦低減機構として、スラストベアリング80を用いている。これに対して、本第2実施形態では、摩擦低減機構として、第3部材70(の軸方向端面70b)と、第2部材38(の本体48の座面48b)との間に介在する、潤滑剤LUBを用いている。潤滑剤LUBとしては、グリースの他、第3部材70(の軸方向端面70b)と第2部材38(の本体48の座面48b)との少なくとも一方に固着された固体潤滑剤(例えばPTFE)を用いることができる。
次いで、図20は本発明の第3実施形態を示している。図20の第3実施形態が図4の第1実施形態と主に異なるのは、下記である。すなわち、第1実施形態では、摩擦低減機構として、スラストベアリング80を用いている。これに対して、本第3実施形態では、摩擦低減機構として、第3部材70(の軸方向端面70b)と、第2部材38(の本体48の座面48b)との何れか一方に被覆された例えばフッ素樹脂等の低摩擦材の被覆層CTLを用いている。図示していないが、第3部材70(の軸方向端面70b)と、第2部材38(の本体48の座面48b)との双方に、低摩擦材の被覆層CTLを設けてもよい。
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば前記実施形態では係合部が凸部56であり、被係合部が凹部55であったが、これに限らず、係合部および被係合部の何れか一方が凸部を含み、他方が前記凸部に係合する凹部を含んでいればよい。その場合、係合部と被係合部とが凹凸係合するので、摩擦係合する場合と比較して、ロック状態の保持がより確実になる。
また、図22および図23は、本発明の第5実施形態を示している。図22および図23のの第5実施形態が、図4および図15の第1実施形態、図19の第2実施形態、図20の第3実施形態と主に異なるのは、下記である。
これに対して、図22の第5実施形態では、ステアリング装置1Pの締付機構17Pにおいて、カム機構40Pの保持器42が、操作レバー20と一体回転する第1部材37Pと一体回転し、スラストベアリング80P(摩擦低減機構)が、第1部材37Pと第3部材70Pとの間に介在している。また、カム面44P(図21のカム面44Aと同じ形状であってもよい)が、第2部材38Pの本体48Pの締付面48Paとは反対側の軸方向対向面48Pbに設けられている。
ボール41(転動体)を保持した保持器42が、第1部材37Pと一体回転し、第2部材38Pのカム面44Pに対して、ボール41が転動する。スラストベアリング80P(摩擦低減機構)は、第1部材37Pに対する第3部材70Pの回転抵抗を、ボール41の転がり抵抗により第3部材70Pが受ける反力よりも小さくするように機能する。
本第5実施形態においても、第1実施形態と同じく、ロック動作時にボール41に付与される第1摩擦抵抗は、ロック解除動作時にボール41に付与される第2摩擦抵抗よりも小さくなる。したがって、別途に部品を追加する必要がなく簡単な構造で、ロックし易く且つロック解除し難い特性を実現することができる。
また、第1部材37Pと第3部材70Pとの間に介在するスラストベアリング80P(摩擦低減機構)が第1部材37Pと第3部材70Pの相対回転を許容することで、ボール41を第1部材37Pおよび第3部材70Pに対して確実に転動させることができる。その結果、操作レバー20の操作力を低減することができる。
その他、本発明において、転動体として、ボールに代えてころを用いる等、本発明の請求項記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
Claims (3)
- 車体に固定される固定側板と、
ステアリングシャフトを回転可能に支持するステアリングコラムに固定されたコラム側板と、
前記固定側板および前コラム側板にそれぞれ設けられた締付軸挿通溝を挿通した締付軸と、
前記締付軸の中心軸線の回りに回転操作される操作レバーと、
前記締付軸によって支持され前記操作レバーと共に前記中心軸線の回りに回転する第1部材と、
前記締付軸によって支持され前記締付軸挿通溝によって回転規制された第2部材と、
前記締付軸によって支持され前記第1部材と前記第2部材との間に介在する第3部材と、
前記第2部材と前記第3部材との間に介在し前記第2部材に対して前記第3部材を回転可能にスラスト支持する摩擦低減機構と、
前記第1部材および前記第3部材に設けられ前記締付軸の軸方向に互いに対向する一対の軸方向対向面と、前記第1部材の軸方向対向面に形成されたカム面と、前記第1部材と前記第3部材の相対回転に伴って両軸方向対向面間を転動する複数の転動体と、各前記転動体をそれぞれ保持するポケットを有し前記第2部材によって前記中心軸線の回りの回転が規制された環状の保持器と、を含み、前記固定側板を前記コラム側板に締め付けてロックを達成するカム機構と、を備え、
前記ポケットの内周は、ロック時に前記転動体と接触する第1領域と、ロック解除時に前記転動体と接触する第2領域と、を含み、
前記第1領域の摩擦係数が、前記第2領域の摩擦係数よりも小さくされているステアリング装置。 - 車体に固定される固定側板と、
ステアリングシャフトを回転可能に支持するステアリングコラムに固定されたコラム側板と、
前記固定側板および前コラム側板にそれぞれ設けられた締付軸挿通溝を挿通した締付軸と、
前記締付軸の中心軸線の回りに回転操作される操作レバーと、
締付軸によって支持され前記操作レバーと共に前記中心軸線の回りに回転する第1部材と、
前記締付軸によって支持され前記締付軸挿通溝によって回転規制された第2部材と、
前記締付軸によって支持され前記第1部材と前記第2部材との間に介在する第3部材と、
前記第1部材と前記第3部材との間に介在し前記第1部材および前記第3部材の一方を他方に対して回転可能にスラスト支持する摩擦低減機構と、
前記第2部材および前記第3部材に設けられ前記締付軸の軸方向に互いに対向する一対の軸方向対向面と、前記第2部材の軸方向対向面に形成されたカム面と、前記第2部材と第3部材の相対回転に伴って両軸方向対向面間を転動する複数の転動体と、各前記転動体をそれぞれ保持するポケットを有し前記第1部材と一体回転する環状の保持器と、を含み、前記固定側板を前記コラム側板に締め付けてロックを達成するカム機構と、を備え、
前記ポケットの内周は、ロック時に前記転動体と接触する第1領域と、ロック解除時に前記転動体と接触する第2領域と、を含み、
前記第1領域の摩擦係数が、前記第2領域の摩擦係数よりも小さくされているステアリング装置。 - 請求項1または2において、各前記ポケットの第1領域と第2領域とは、前記保持器の周方向に対向しているステアリング装置。
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