JP6376393B2 - ステアリング装置 - Google Patents
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Description
そこで、本発明の目的は、転動体と保持器との衝突による打音を抑制することができるステアリング装置を提供することである。
請求項3のように、請求項1または2において、前記保持器は、前記複数のポケットを周方向に並べて配置した環状の本体(92)と、前記本体の径方向に関して各前記ポケットの外方で前記本体の外周(92a)に設けられた補強突起(93)と、を含んでいてもよい。
また、請求項4の発明によれば、第2部材の係合溝に係合して第2部材に対して保持器を回転規制する係合突起が、その突起高さよりも周方向幅を大きくしている。これにより、樹脂製の保持器において、係合突起の強度が確保される。
また、請求項6の発明によれば、保持器において、係合突起が、本体の径方向に関して欠如部の外方を避けた位置に設けられるので、係合突起の強度低下が抑制される。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る位置調整式のステアリング装置1の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、ステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2と、操舵部材2の操舵に連動して転舵輪(図示せず)を転舵する転舵機構3とを備えている。転舵機構3として、例えばラックアンドピニオン機構が用いられている。
ステアリングシャフト4は、例えばスプライン嵌合やセレーション嵌合によって相対摺動可能に嵌合された筒状のアッパーシャフト6およびロアーシャフト7を有している。操舵部材2は、アッパーシャフト6の一端に連結されている。また、ステアリングシャフト4は、その軸方向X1に伸縮可能である。ステアリングシャフト4は、筒状のステアリングコラム8内に挿通されており、複数の軸受9,10を介してステアリングコラム8によって回転可能に支持されている。
アウターチューブ11は、軸受9を介してアッパーシャフト6を回転可能に支持している。また、アウターチューブ11は、軸受9を介してステアリングシャフト4の軸方向X1に同行移動可能にアッパーシャフト6に連結されている。
チルト中心軸16の回りに、ステアリングシャフト4およびステアリングコラム8を回動させることで、操舵部材2の高さ位置が調整可能である(いわゆるチルト調整)。また、ステアリングシャフト4およびステアリングコラム8を軸方向X1に伸縮させることで、操舵部材2の高さ位置および前後方向位置が調整可能である(いわゆるテレスコピック調整)。
各取付体30と取付ステー29とは、それぞれ取付ステー29を上下方向に貫通する破断可能な連結部材としての樹脂製のピン31によって連結されており、各取付体30は、固定ボルト32によって車体14に固定されている。
また、締付機構17は、締付軸35の他端35bに形成されたねじ部に螺合するナット36と、締付軸35の他端35bの近傍の軸部35cに嵌合しナット36と他方の固定側板27との間に介在する第1介在部材61および第2介在部材62とを備えている。
また、締付機構17は、第1部材37と第2部材38との間に介在する第3部材70と、第2部材38と第3部材70との間に介在する摩擦低減機構としてのスラストベアリング80と、カム機構40とを備えている。スラストベアリング80は、図示のようなスラストワッシャであってもよいし、また、スラスト玉軸受やスラストころ軸受であってもよい。
ここで、カム機構とは、カムの表面形状(本実施形態ではカム面44の形状に相当)に従って,従動部(本実施形態では第3部材70に相当)に所定の運動(本実施形態では締付軸35の軸方向Y1への直線運動)を与える機械的な連動機構である。
スリーブ21の外周21bには、前述したようにカム状突起からなる押圧部22が設けられている。ロック時において、押圧部22は、スリーブ21の回転に伴って、アウターチューブ11に設けられた挿通孔11aを挿通して、インナーチューブ12の外周12aを押圧する。
図3に示すように、第1部材37は孔空き円板からなる。図5に示すように、第1部材37の軸方向対向面37aには、それぞれボール41を保持する複数の円弧状の保持溝43が、周方向Z1に等間隔離隔して形成されている。
図5、図5のVI−VI線に沿う断面図である図6、および第1部材37の周方向断面図である図7に示すように、第1部材37において、保持溝43の底に、周方向Z1に進むにしたがって軸方向Y1に起伏するカム面44が形成されている。
軸方向対向面37aからの深さに関して、解除保持部44Kは、ロック保持部44Rよりも深く形成されている。斜面部44Sは、ロック保持部44Rから解除保持部44Kへ向かうにしたがって、軸方向対向面37aからの深さが深くなるように傾斜している。
図5に示すように、第1部材37の周縁部には、軸方向対向面37aから第2部材38側へ突出する複数の円弧状突起からなる第1ストッパ47が、周方向Z1に等間隔離隔して形成されている。各第1ストッパ47は、周方向Z1に対向する一対のストッパ面としての周方向端面47aを有している。
次いで、第2部材38の構成および機能を説明する。
また、第2部材38は、締付面48aに形成された筒状の嵌合凸部49と、座面48bの周縁から嵌合凸部49側の反対方向(第1部材37側)に立ち上がる周側壁50とを備えている。
嵌合凸部49は、固定側板26のチルト溝34に嵌合する部分に、例えば互いの間に二面幅を形成する一対の平坦面(図示せず)を設けている。嵌合凸部49がチルト溝34に係合することによって、第2部材38の回転が規制されている。
図16に示すように、保持器90の各係合突起94が、回転規制された第2部材38の対応する係合溝53に係合することにより、保持器90の中心軸線C1回りの回転が規制されている。
第1ストッパ47の周方向端面47a(ストッパ面)と、その周方向端面47aに対向する、第2ストッパ(突起51)の周方向端面51a(ストッパ面)とが当接することにより、第2部材38に対する第1部材37の回転量の最大値が規制される。
図13に示すように、保持器90は、例えばPOM(ポリアセタール樹脂)等の樹脂製の環状板である。保持器90は、それぞれ対応するボール41を転動可能に収容する複数のポケット91が周方向に並べて配置された環状の本体92を備える。
また、保持器90は、本体92の径方向に関して各ポケット91の外方で本体92の外周92aに設けられた補強突起93と、本体92の径方向に関して各ポケット91(欠如部に相当)外方を避けた位置で、本体92の外周92aに設けられた1または複数の係合突起94とを備える。
係合突起94は、図15に示すように、第2部材38に対する保持器90の回転が規制されるように第2部材38の対応する突起51の係合溝53に係合する。
図10および図10のXI−XI線に沿う断面図である図11に示すように、第3部材70は、孔空き円板からなる。第3部材70は、軸方向に対向する一対の軸方向対向面70a,70b(軸方向端面に相当)を有している。図4に示すように、一方の軸方向対向面70aが第1部材37の軸方向対向面37aに対向し、他方の軸方向対向面70bがスラストベアリング80と対向している。一方の軸方向対向面70aには、転動するボール41を周方向Z1(回転方向に相当)に案内する環状の案内溝71が形成されている。
図4および図12に示すように、摩擦低減機構としてのスラストベアリング80は、例えばスラストワッシャである。スラストベアリング80としてのスラストワッシャは、孔空き円板からなり、環状をなす一対の軸方向端面80a,80bを有している。
一方の軸方向端面80aが、第3部材70の他方の軸方向対向面70bに摺接する。他方の軸方向端面80bは、第2部材38の本体48の座面48bに摺接する。
再び図2を参照して、締付軸35の一端部に螺合されたナット36とアッパー固定ブラケット19の他方の固定側板27との間には、第1介在部材61と第2介在部材62とが介在している。第1介在部材61は、第1部分611と第2部分612とを有している。第1介在部材61の第1部分611は、アッパー固定ブラケット19の他方の固定側板27の外側面に沿わされている。
例えば、ロック解除時に,操作レバー20をロック解除方向に回転させると、模式図である図17(a),(b)および(c)に順次に示すように、カム面44が形成された第1部材37が、回転方向K1へ移動する。
図17(c)に示すように、ボール41が、カム面44のロック保持部44Rから解除保持部44Kへ向かう斜面部44Sを転がり落ち始めるときに、ボール41が保持器90のポケット91の縁部91eと衝突する。このとき、保持器90が樹脂製であるので、衝突打音の発生が抑制される。
また、摩擦低減機構としてのスラストベアリング80は、第2部材38に対する第3部材70の回転抵抗を、ボール41の転がり抵抗により第3部材70が受ける反力よりも小さくするように機能する。したがって、操作レバー20を回転させると、ボール41が、第1部材37および第3部材70に対して確実に転動する。その結果、操作レバー20の操作力が低減される。
また、図13に示すように、保持器90において、補強突起93が、ポケット91の径方向外方(本体92の径方向に関してポケット91の外方)で、径方向に関する樹脂の肉量(径方向幅Nに相当)を増加させることにより、樹脂製の保持器90の強度を確保することができる。
また、保持器90において、回転規制用の係合突起94が、欠如部であるポケット91の径方向外方(本体92の径方向に関してポケット91の外方)を避けた位置に設けられるので、係合突起94の強度低下が抑制される。
(第2実施形態)
次いで、図18は本発明の第2実施形態を示している。図18の第2実施形態が図4の第1実施形態と主に異なるのは、下記である。すなわち、第1実施形態では、摩擦低減機構として、スラストベアリング80を用いている。これに対して、本第2実施形態では、摩擦低減機構として、第3部材70(の軸方向対向面70b)と、第2部材38(の本体48の座面48b)との間に介在する、潤滑剤LUBを用いている。潤滑剤LUBとしては、グリースの他、第3部材70(の軸方向対向面70b)と第2部材38(の本体48の座面48b)との少なくとも一方に固着された固体潤滑剤(例えばPTFE)を用いることができる。
(第3実施形態)
次いで、図19は本発明の第3実施形態を示している。図19の第3実施形態が図4の第1実施形態と主に異なるのは、下記である。すなわち、第1実施形態では、摩擦低減機構として、スラストベアリング80を用いている。これに対して、本第3実施形態では、摩擦低減機構として、第3部材70(の軸方向対向面70b)と、第2部材38(の本体48の座面48b)との何れか一方に被覆された例えばフッ素樹脂等の低摩擦材の被覆層CTLを用いている。図示していないが、第3部材70(の軸方向対向面70b)と、第2部材38(の本体48の座面48b)との双方に、低摩擦材の被覆層CTLを設けてもよい。
(第4実施形態)
図20は、本発明の第4実施形態において第1部材37のカム面44の断面を示している。本第4実施形態では、ロック時に、ボール41が、カム面44の解除保持部44Kから斜面部44Sを経て、山の頂部44R1を乗り越えて、浅い谷となるロック保持部44R2に移動して保持される。これにより、ロック保持力が高められる。
本発明は前記第2〜第4実施形態に限定されるものではなく、例えば、カム機構40によるロック時に、第1部材37と第2部材38との相対回転を規制する相対回転規制機構として、第1部材37および第2部材38の何れか一方に設けられた係合部(凸部または凹部)と、第1部材37および第2部材38の他方に設けられた被係合部(凹部または凸部)とを設けてもよい。
(第5実施形態)
また、図21は、本発明の第5実施形態を示している。図21の第5実施形態が、図4の第1実施形態、図18の第2実施形態、図19の第3実施形態と主に異なるのは、下記である。
これに対して、図21の第5実施形態では、締付機構17Pにおいて、カム機構40Pの樹脂製の保持器90が、操作レバー20と一体回転する第1部材37Pと一体回転し、スラストベアリング80P(摩擦低減機構)が、第1部材37Pと第3部材70Pとの間に介在している。また、カム面44P(図7または図20のカム面44と同じ形状)が、第2部材38Pの本体48Pの締付面48Pa側とは反対側の軸方向対向面48Pbに設けられている。
図21の第5実施形態の構成要素において、図4の第1実施形態の構成要素と同じ構成要素には、図4の第1実施形態の構成要素の参照符号と同じ参照符号を付してある。
また、ボール41(転動体)を保持した保持器90が、第1部材37Pと一体回転し、第2部材38Pのカム面44Pに対して、ボール41が転動する。また、スラストベアリング80P(摩擦低減機構)は、第1部材37Pに対する第3部材70Pの回転抵抗を、ボール41の転がり抵抗により第3部材70Pが受ける反力よりも小さくするように機能する。
第5実施形態において、例えば、カム機構40Pによるロック時に、第1部材37Pと第2部材38Pとの相対回転を規制する相対回転規制機構として、第1部材37Pおよび第2部材38Pの何れか一方に設けられた係合部(凸部または凹部)と、第1部材37Pおよび第2部材38Pの他方に設けられた被係合部(凹部または凸部)とを設けてもよい。
Claims (6)
- 車体に固定される固定側板と、
ステアリングシャフトを回転可能に支持するステアリングコラムに固定されたコラム側板と、
前記固定側板および前記コラム側板にそれぞれ設けられた締付軸挿通溝を挿通した締付軸と、
前記締付軸の中心軸線の回りに回転操作される操作レバーと、
前記締付軸によって支持され前記操作レバーと共に前記中心軸線の回りに回転する第1部材と、
前記締付軸によって支持され前記締付軸挿通溝によって回転規制された第2部材と、
前記締付軸によって支持され前記第1部材と前記第2部材との間に介在する第3部材と、
前記第2部材と前記第3部材との間に介在し前記第2部材に対して前記第3部材を回転可能にスラスト支持する摩擦低減機構と、
前記第1部材および前記第3部材に設けられ前記締付軸の軸方向に互いに対向する一対の軸方向対向面と、前記第1部材の軸方向対向面に形成されたカム面と、前記第1部材と前記第3部材の相対回転に伴って両軸方向対向面間を転動する複数の転動体と、各前記転動体をそれぞれ収容する複数のポケットを形成し前記第2部材によって前記中心軸線の回りの回転が規制された樹脂製の保持器と、を含み、前記固定側板を前記コラム側板に締め付けてロックを達成するカム機構と、を備えるステアリング装置。 - 車体に固定される固定側板と、
ステアリングシャフトを回転可能に支持するステアリングコラムに固定されたコラム側板と、
前記固定側板および前記コラム側板にそれぞれ設けられた締付軸挿通溝を挿通した締付軸と、
前記締付軸の中心軸線の回りに回転操作される操作レバーと、
前記締付軸によって支持され前記操作レバーと共に前記中心軸線の回りに回転する第1部材と、
前記締付軸によって支持され前記締付軸挿通溝によって回転規制された第2部材と、
前記締付軸によって支持され前記第1部材と前記第2部材との間に介在する第3部材と、
前記第1部材と前記第3部材との間に介在し前記第1部材および前記第3部材の一方を他方に対して回転可能にスラスト支持する摩擦低減機構と、
前記第2部材および前記第3部材に設けられ前記締付軸の軸方向に互いに対向する一対の軸方向対向面と、前記第2部材の軸方向対向面に形成されたカム面と、前記第2部材と第3部材の相対回転に伴って両軸方向対向面間を転動する複数の転動体と、各前記転動体をそれぞれ収容する複数のポケットを形成し前記第1部材に一体回転するように係合した樹脂製の保持器と、を含み、前記固定側板を前記コラム側板に締め付けてロックを達成するカム機構と、を備えるステアリング装置。 - 請求項1または2において、前記保持器は、前記複数のポケットを周方向に並べて配置した環状の本体と、前記本体の径方向に関して各前記ポケットの外方で前記本体の外周に設けられた補強突起と、を含むステアリング装置。
- 請求項1において、前記保持器は、前記複数のポケットが周方向に並べて配置された環状の本体と、前記本体の外周に設けられ前記第2部材に対する前記保持器の回転が規制されるように前記第2部材の係合溝に係合した係合突起と、を含み、
前記周方向に関する前記係合突起の幅である周方向幅が、前記係合突起の突起高さよりも大きくされているステアリング装置。 - 請求項2において、前記保持器は、前記複数のポケットが周方向に並べて配置された環状の本体と、前記本体の外周に設けられ前記第1部材と一体回転するように前記第1部材の係合溝に係合した係合突起と、を含み、
前記周方向に関する前記係合突起の幅である周方向幅が、前記係合突起の突起高さよりも大きくされているステアリング装置。 - 請求項4または5において、前記本体は、欠如部を含み、
前記係合突起は、前記本体の径方向に関して前記欠如部の外方を避けた位置に配置されているステアリング装置。
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