JP5122903B2 - 位置調整式ステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、位置調整式ステアリング装置に関する。
乗用車等の車両のステアリング装置には、ステアリングホイールの位置を上下に調整するめのチルト調整機構や、ステアリングホイールの位置を前後に調整するためのテレスコ調整機構を備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、互いに分離された一対のコラムチューブを有し、ステアリングホイール側の一方のコラムチューブと車体側の他方のコラムチューブとを、電動モータを用いて相対移動するようになっている。
特開2001−200909号公報
ところで、ステアリングホイールを手動で移動させてチルト調整やテレスコ調整を行うステアリング装置等では、ステアリングホイールの位置調整を行うためにステアリングホイールを動かす際に、移動抵抗が少な過ぎると、運転者が調整動作を行っているという感覚を得難く、節度感に欠ける場合がある。また、車両の衝突に伴い運転者がステアリングホイールに衝突する2次衝突のときに、ステアリングホイールの位置が意図しない方向に移動することを防止する必要がある。
本発明は、かかる背景に基づいてなされたものであり、ステアリングホイールの位置調整のときにステアリングホイールの移動に適度な抵抗を付与することができ、且つ2次衝突のときに、ステアリングホイールの位置が意図しない方向に移動することを防止できる位置調整式ステアリング装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、一端にステアリングホイール(2)が連結されたステアリングシャフト(3)を支持し、ステアリングホイールの位置調整のために所定方向(S)に相対移動する固定部(17;9)および可動部(8;18)と、上記固定部および可動部のいずれか一方に設けられて互いに螺合するねじ軸(48)およびナット(49)と、上記固定部および可動部のいずれか他方に設けられ、上記固定部および可動部の相対移動に伴って上記ナットを上記ねじ軸の軸線方向(E)に押すことによって上記ねじ軸およびナットを相対回転させる駆動部材(38;38A;38C;38D)と、を備え、上記ねじ軸の軸線(C2)が上記所定方向に沿わされていて、上記ねじ軸およびナットは、ステアリングホイールから上記軸線方向の衝撃荷重を受けたときに固定部および可動部を互いにロックする機構(50,52;50E,52E)を有することを特徴とする位置調整式ステアリング装置(1)を提供するものである(請求項1)。
本発明によれば、ステアリングホイールの位置調整のときに、ねじ軸およびナットで駆動抵抗が生じ、固定部および可動部の相対移動に適度な抵抗を付与できる。これにより、運転者がステアリングホイールの位置調整を行っているという感覚を得ることができ、節度感を得ることができる。また、衝撃荷重を受けたときに、ねじ軸およびナットによって固定部および可動部が互いにロックされて両者の相対移動が規制されるようになっており、ステアリングホイールが不用意に移動することを確実に防止できる。
また、この場合、駆動抵抗を発生させるのに、互いに螺合されたねじ軸およびナットを用いるという簡易な構成でよい。
また、この場合、ナットをねじ軸の軸線方向に確実に押すことができる。
本発明において、上記駆動部材は、ねじ軸の軸線方向に関してナットの端面(49a;49b)に対向する第1の対向部(68;68D)および第2の対向部(69;69D)を含み、第1の対向部と上記ナットの上記端面との間に空隙(70)が設けられており、第2の対向部と上記ナットの上記端面との間に弾性部材(66;76)が介在しており、ねじ軸およびナットが衝撃を受けたときに、弾性部材が圧縮されることにより、第1の対向部と上記ナットの端面とが係合するようにしてあることが好ましい(請求項)。
この場合、ステアリングホイールの位置調整のときには第1の対向部とナットの端面とが接していないので、駆動部材とナットとの間の摩擦抵抗を相対的に小さくできる。これにより、ステアリングホイールの位置調整の際のねじ軸およびナットの駆動抵抗が大きくなりすぎないようにできる。また、ねじ軸およびナットが衝撃を受けたときには、第1の対向部とナットの端面とが接することにより、駆動部材とナットとの間の摩擦抵抗を相対的に大きくできる。これにより、ナットの回転を確実に規制でき、その結果、固定部および可動部を確実にロックできる。
本発明において、上記ナットの端面および上記弾性部材の両者の間に、両者の相対回転の抵抗を低減する抵抗低減部材(65;74)が介在していることが好ましい(請求項)。この場合、ステアリングホイールの位置調整の際のねじ軸およびナットの駆動をより滑らかにでき、操作者によるステアリングホイールの位置調整をスムーズに行うことが可能となる。
本発明において、上記抵抗低減部材は、スラスト軸受(65)を含むことが好ましい(請求項)。この場合、ナットの端面と弾性部材との間のスラスト荷重をスラスト軸受で受けつつ、両者の相対回転の抵抗を低減することができ、ステアリングホイールの位置調整の際のねじ軸およびナットの駆動をより滑らかにできる。
本発明において、上記抵抗低減部材は、上記ナットの端面および上記弾性部材の少なくとも一方に設けられた低摩擦部材(74)を含むことが好ましい(請求項)。この場合、ナットの端面と弾性部材との間の摩擦抵抗をより小さくでき、ステアリングホイールの位置調整の際のねじ軸およびナットの駆動をより滑らかにできる。
本発明において、上記ねじ軸の雄ねじ部(50)およびナットの雌ねじ部(52)の互いの接触領域(53)の一部に合成樹脂(55)が設けられ、衝撃荷重を受けたときに、合成樹脂が変形して雄ねじ部および雌ねじ部が互いに金属接触するようにされていることが好ましい(請求項)。
この場合、ステアリングホイールの位置調整のときには、金属よりも摺動性が良好な合成樹脂の摺動を用いることができ、雄ねじ部と雌ねじ部との摩擦抵抗を適度な強さにできる。また、衝撃吸収のときには、雄ねじ部および雌ねじ部が互いに金属接触して大きな摩擦抵抗を発生でき、固定部および可動部の相対移動を確実に阻止できる。
本発明において、上記ねじ軸の雄ねじ部(50E)およびナットの雌ねじ部(52E)は、ステアリングホイールの位置調整のときに互いに接触する第1の接触領域(61)と、衝撃荷重を受けたときに互いに接触する第2の接触領域(62)とを含み、第2の接触領域における各上記ねじ部のねじ山の角度(D1,D2)が、第1の接触領域における各上記ねじ部のねじ山の角度よりも大きくされていることが好ましい(請求項)。
この場合、ステアリングホイールの位置調整のときには、第1の接触領域で相対的に小さい摩擦抵抗を生じさせて、適度な抵抗を付与できる。また、衝撃吸収のときには、第2の接触領域で相対的に大きい摩擦抵抗を生じさせて、ステアリングホイールが不用意に動かないように固定部および可動部を確実にロックできる。
本発明において、テレスコピック調整のために互いに軸方向に摺動可能に嵌合し、ステアリングシャフトを回転可能に支持するロアチューブ(9)およびアッパチューブ(8)を備え、上記固定部は、車体(12)に固定された固定側部材(17)またはロアチューブを含み、上記可動部は、アッパチューブまたはアッパチューブと上記軸方向に一体移動可能な部材(18)を含むことが好ましい(請求項)。
この場合、テレスコピック調整のときにステアリングホイールの移動に適度な抵抗を付与できる。
なお、上記において、括弧内の数字は、後述する実施の形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる位置調整式ステアリング装置の概略構成を示す模式的な一部断面側面図である。図1を参照して、位置調整式ステアリング装置1(以下、単にステアリング装置1ともいう)は、ステアリングホイール2と、ステアリングホイール2に連なるステアリングシャフト3とを有している。このステアリング装置1は、ステアリングホイール2の位置を後述するピボット軸16の回りに移動させるチルト調整と、ステアリングホイール2の位置をステアリングシャフト3の軸方向S1(以下、単に軸方向S1ともいう)に沿って調整するテレスコピック調整とを行えるようになっている。
ステアリングシャフト3は、伸縮可能とされており、互いに嵌め合わされたアッパシャフト4およびロアシャフト5を有している。これらのシャフト4,5は、スプライン嵌合等によって一体回転可能且つ軸方向に相対移動可能とされている。
アッパシャフト4の一端に上記ステアリングホイール2が連結され、アッパシャフト4の他端にロアシャフト5の一端が連結されている。ロアシャフト5の他端には、自在継手6等を介して舵取り機構(図示せず)が連結されている。舵取り機構は、例えば、ラックアンドピニオン機構を含んでいる。
ステアリングホイール2が操作されると、ステアリングシャフト3が回転し、この回転が舵取り機構を介して左右の転舵輪(図示せず)に伝わり、これらの転舵輪が転舵する。
ステアリングシャフト3は、コラムチューブ7に回転可能に支持されている。コラムチューブ7は、伸縮可能とされており、テレスコピック調整のために軸方向S1に互いに摺動可能に嵌め合わされた円筒状のアッパチューブ8およびロアチューブ9を含んでいる。
アッパチューブ8は可動部を構成している。このアッパチューブ8の一端は、軸受10を介してアッパシャフト4を回転自在且つ軸方向に同行移動可能に支持している。アッパチューブ8の他端は、ロアチューブ9の一端に外嵌されている。ロアチューブ9の他端は、軸受11を介してロアシャフト5を回転自在且つ軸方向に同行移動可能に支持している。
コラムチューブ7は、車体12に支持されている。具体的には、車体12に固定された固定ブラケット14およびロアチューブ9に固定された可動ブラケット15が、ピボット軸16を介して相対回転可能に連結されている。これにより、コラムチューブ7およびステアリングシャフト3は、車体12に対して、ピボット軸16の回りを回動可能である。
また、車体12に固定された固定部(固定側部材)としての固定ブラケット17と、アッパチューブ8に固定された可動ブラケット18とが近接して配置されている。
これらのブラケット17,18は、相対移動可能とされており、ロック機構19によって、所定の規制力で相対移動が規制されるようになっている。
図2は、図1のII−II線に沿う要部の断面図である。図1および図2を参照して、可動ブラケット18は、全体として上向きに開放する溝形をなしており、一対の側板20,21と、一対の側板20,21の下端部間を繋ぐ底板22とを有している。
これら可動ブラケット18の一対の側板20,21には、軸方向S1に相対的に長い長孔形状の支軸挿通孔36がそれぞれ形成されている。
固定ブラケット17は、車体12の左右方向に相対向する一対の側板23,24と、これら側板23,24の上端部を互いに連結する上板25とを備えており、下方に開放する溝形をなしている。固定ブラケット17の各側板23,24には、円弧状をなす縦長の支軸挿通孔26が形成されている。
また、各上記側板23,24の一部の上縁を外向きに折り曲げることにより取付ステー27,28が形成されている。各取付ステー27,28は、当該取付ステー27,28、およびカプセル構造をなすカプセル29の双方を挿通するボルト30を用いて、車体12に取り付けられている。
カプセル29は、2次衝突時に破断する樹脂ピン(図示せず)を含んでいる。このピンが破断することにより、車体12に沿っての各取付ステー27,28の移動が許容される。
可動ブラケット18の一対の側板20,21の支軸挿通孔36、および固定ブラケット17の一対の側板23,24の支軸挿通孔26に、ボルトからなる支軸31が挿通されている。
支軸31の一端にはねじ部31aが設けられ、このねじ部31aには螺合部材としてのナット32が螺合している。このナット32は、支軸31の他端に設けられる挟持部としての頭部31bとの間で固定ブラケット17の一対の側板23,24を挟持して締め付けることができるようになっている。
頭部31bと固定ブラケット17の側板24の外面との間には、平座金33が介在している。また、支軸31の頭部31bに近接する支軸31の部分31cは、角形形状をなしており、固定ブラケット17の側板24の縦長の支軸挿通孔26に係合することにより、支軸31の回動を規制している。支軸31の残りの部分は円柱形形状をなしている。
支軸31は、当該支軸31の軸線C1回りに回動可能な操作レバー34を支持している。操作レバー34は、ナット32の座面と側板23の外面との間に介在しており、長尺のレバー本体34aを含んでいる。
レバー本体34aは、一端部に支軸31を挿通させる支軸挿通孔34bを有しており、側板23に沿わされている。ナット32は、操作レバー34に固定された連結部材35によって、操作レバー34に対する回動が規制されている。
このため、操作レバー34の回動操作にナット32が同伴回転して、ナット32がねじ部31aにねじ込まれたり、ねじ戻されたりするようになっている。これにより、ナット32と支軸31の頭部31bとの軸方向距離が増減し、固定ブラケット17の側板23,24が可動ブラケット18の側板20,21に対する挟持を強めて、所定の挟持力(規制力)でチルト・テレスコロックを実現したり、挟持を解除してロック解除を実現したりできるようになっている。ナット32と支軸31とにより前述のねじ式のロック機構19が構成されている。
ロック機構19による一対の側板23,24の挟持を解除している間、コラムチューブ7は、ピボット軸16の回りを揺動することができ、且つ、アッパチューブ8は、ロアチューブ9に対して軸方向S1に相対移動することができる。
上記の構成により、固定ブラケット17とアッパチューブ8とを用いて、ステアリングシャフト3を支持している。また、ステアリングホイール2の位置調整(テレスコ調整)のために、所定方向としての上記軸方向S1に、固定ブラケット17およびアッパチューブ8が相対移動する。
本実施の形態の特徴とするところは、テレスコ調整を行っているときに、ステアリングホイール2の移動に適度な抵抗力が生じるようにされ、且つ衝撃吸収のときにステアリングホイール2が不用意に動かないようにされている点にある。
図3は、図2のIII−III線に沿う要部の断面図である。図4は、ステアリング装置1の要部の分解斜視図である。
図2および図3を参照して、ステアリング装置1は、支持部材37および駆動部材38と、これら支持部材37および駆動部材38(固定ブラケット17およびアッパチューブ8)の相対移動に従動して駆動される減速機39とを備えている。
図3および図4を参照して、支持部材37は、固定ブラケット17に支持されており、軸方向S1に関して、固定ブラケット17に対する移動が規制されている。この支持部材37は、例えば板金部材を用いて形成されており、固定ブラケット17の一方の側板23に沿わされた主体部40を含んでいる。
主体部40の一側面40aは、固定ブラケット17の側板23の内側面23a側に突出する円弧状の係合突起41,42を有している。
係合突起41,42は、固定ブラケット17の側板23に形成された円弧状の係合孔23b,23cを挿通している。これにより、チルト調整のとき、各係合突起41,42は、対応する係合孔23b,23cのそれぞれに対して移動し、テレスコ調整のとき、対応する係合孔23b,23cとの係合により軸方向S1への相対移動が規制される。
軸方向S1に関する主体部40の一対の端部には、一対の側板43,44がそれぞれ突設されている。これら一対の側板43,44は、軸方向S1に関して離隔しつつまっすぐに対向しており、可動ブラケット18を互いの間に挟んでいる。
駆動部材38は、固定ブラケット17およびアッパチューブ8の相対移動に伴って後述するナット49をねじ軸48の軸線方向に押すためのものである。この駆動部材38は、例えばコ字形形状をなす板金部材を用いてなり、上端部がアッパチューブ8の外周面に溶接等により固定されている。駆動部材38はアッパチューブ8と軸方向S1に同行移動する。
駆動部材38は、主体部45と、軸方向S1に関する主体部45の一対の端部からそれぞれ延設された一対の側板46,47とを含んでいる。一対の側板46,47は、軸方向S1に関して、離隔しつつまっすぐに対向しており、支持部材37の一対の側板43,44に挟まれている。
減速機39は、ステアリングホイールの位置調整のときに、固定ブラケット17およびアッパチューブ8の相対移動に従動して駆動されることにより適度な摩擦抵抗を付与し、且つ衝撃荷重を受けたときにこれら固定ブラケット17およびアッパチューブ8を互いにロックするためのものであり、互いに螺合されたねじ軸48およびナット49を含んでいる。
ねじ軸48の軸線C2は、軸方向S1と平行に延びている。ねじ軸48の外周には、軸方向の全域に亘って雄ねじ部50が形成されている。雄ねじ部50は、1条または複数条(例えば、2条、3条)の雄ねじからなる。好ましくは2条または3条ねじとされる。2条または3条ねじであれば、ナット49が回転するときの摩擦抵抗を大きすぎず且つ小さすぎない適度な値にし易い。
ねじ軸48は、駆動部材38の一対の側板46,47にそれぞれ形成された貫通孔51を貫通しており、この駆動部材38に対して回転自在である。
ねじ軸48の一対の端部は、それぞれ、支持部材37の対応する側板43,44にそれぞれ溶接等により固定されており、軸線C2回りの回転が規制されている。
ナット49は、例えば円筒状をなしており、軸方向S1に相対向する一対の端面49a,49bを有している。ナット49の内周面には、雄ねじ部50と螺合する雌ねじ部52が形成されている。
雄ねじ部50の進み角A1は、例えば、20度以上とされる。進み角A1が20度以上であれば、雄ねじ部50と雌ねじ部52との間に作用する摩擦抵抗が大きくなりすぎることを防止するのに好適である。
このナット49は、駆動部材38の一対の側板46,47間に配置されている。ナット49の一方の端面49aは、駆動部材38の一方の側板46に対向しており、ナット49の他方の端面49bは、駆動部材38の他方の側板47に対向している。
駆動部材38の一対の側板46,47は、ナット49を軸方向S1に押すようになっている。ナット49が軸方向S1に押されると、当該ナット49がねじ軸48の回りを回転する。
上記の構成により、テレスコ調整のときに、固定ブラケット17とアッパチューブ8とが軸方向S1に相対移動すると、支持部材37および駆動部材38が軸方向S1に相対移動し、これに伴いねじ軸48の雄ねじ部50およびナット49の雌ねじ部52が摩擦抵抗を生じながら相対回転する。
ねじ軸48の雄ねじ部50およびナット49の雌ねじ部52は、衝撃荷重を受けたときに支持部材37および駆動部材38(固定ブラケット17およびアッパチューブ8)を互いにロックする機構となっている。
図5(A)は、ねじ軸48およびナット49の要部の断面図である。図5(A)を参照して、ねじ軸48の雄ねじ部50、およびナット49の雌ねじ部52の互いの接触領域53の一部に合成樹脂が設けられている。具体的には、ねじ軸48の雄ねじ部50は、合成樹脂の層55と、合成樹脂の層55を保持する金属製のねじ山本体56とを含んでいる。ナット49の雌ねじ部52は、金属製のねじ山本体57を含んでいる。
合成樹脂の層55は、ナイロン等の材料を用いて形成されており弾性を有している。この合成樹脂の層55の厚みは、例えば、数十μm程度とされている。
合成樹脂の層55がねじ山本体56の基端側の一部を覆っており、ねじ軸48の外表面の一部を構成している。ねじ山本体56は、断面がテーパ状(山形形状)に形成されており、先端部が、合成樹脂の層55に覆われずに露出している。ねじ山本体56への合成樹脂の層55の形成は、例えば、コーティング加工やインジェクション加工によって行われる。
ナット49の雌ねじ部52のねじ山本体57は、断面がテーパ状(山形形状)に形成されている。
図1および図5(A)を参照して、テレスコ調整のときには、操作レバー34を操作してロック機構19によるロックを解除することにより、固定ブラケット17と可動ブラケット18との(固定部17とアッパチューブ8との)相対移動が許容される。
このとき、ねじ軸48とナット49(固定ブラケット17とアッパチューブ8)とは、軸方向S1に比較的ゆっくりと相対移動され、雄ねじ部50の合成樹脂の層55と雌ねじ部52のねじ山本体57とは、すべり接触して相対回転する。合成樹脂の層55とねじ山本体57とは、相対的に低い摩擦抵抗を生じる。
図1および図3を参照して、一方、車両が衝突する1次衝突に伴い運転者がステアリングホイール2に衝突する2次衝突が生じると、衝撃荷重は、アッパシャフト4、軸受10、およびアッパチューブ8を介して駆動部材38に伝わり、駆動部材38の一方の側板46がナット49に衝突する。
このときの衝撃荷重によって、図5(B)に示すように雌ねじ部52のねじ山本体57が合成樹脂の層55を押してこの層55を変形させ、その結果、雄ねじ部50のねじ山本体56と雌ねじ部52のねじ山本体57とが互いに金属接触する。
これにより、雄ねじ部50および雌ねじ部52が相対的に高い摩擦係数で互いに摩擦接触して両者の相対移動が規制され、図3に示す支持部材37と駆動部材38とが軸方向S1に相対移動することを規制され、ステアリングホイールの位置が保持される。
本実施の形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。すなわち、ステアリングホイール2の位置調整のときに、減速機39のねじ軸48およびナット49の相対回転で駆動抵抗が生じ、固定ブラケット17およびアッパチューブ8の相対移動に適度な抵抗を付与できる。
これにより、運転者がステアリングホイール2の位置調整を行っているという感覚を得ることができ、節度感を得ることができる。また、衝撃荷重を受けたときに、減速機39によって固定ブラケット17およびアッパチューブ8が互いにロックされて両者の相対移動が規制されるようになっており、ステアリングホイール2が不用意に移動することを確実に防止できる。
さらに、駆動抵抗を発生させるのに、互いに螺合されたねじ軸48およびナット49を用いるという簡易な構成でよい。また、駆動部材38の一対の側板46,47でナット49を軸方向S1に押すことにより、ナット49を軸方向S1に確実に押すことができる。
さらに、ステアリングホイール2の位置調整のときには、金属よりも摺動性が良好な合成樹脂の摺動を用いることができ、雄ねじ部50と雌ねじ部52との摩擦抵抗を適度な強さにできる。また、衝撃吸収のときには、雄ねじ部50および雌ねじ部52が互いに金属接触して大きな摩擦抵抗を発生でき、固定ブラケット17およびアッパチューブ8の相対移動を確実に阻止できる。
以上のように、テレスコピック調整のときにステアリングホイール2の移動に適度な抵抗を付与できる。また、衝撃吸収のときにステアリングホイール2が不用意に移動することを確実に防止できる。
従来、衝撃吸収のときにステアリングホイールが不用意に移動しないようにするための構成として、固定部材と可動部材との間に多数の摩擦板を介在させ、これらの摩擦板の摩擦力で両者の相対移動を規制するものや、ラチェット機構を用いて固定部材と可動部材との相対移動を規制するものがある。
しかしながら、摩擦板を用いる場合、固定部材と可動部材との相対移動を規制する規制力を高くするためには多数枚の摩擦板が必要となり、部品点数が多い。また、ラチェット機構の場合、ラチェットの歯の山同士が噛み合って、確実なロックをすることができない場合があり、山同士の噛み合いを防止するために別途専用部品が必要となる。部品点数が多くなってしまう。
これに対し、本実施の形態によれば、ねじ軸48およびナット49の2つの部材を用いればよく、部品点数が少なく、且つ確実なロックを達成できる。
図6は、本発明の別の実施の形態の要部の断面図である。図7は、図6の要部の拡大図である。なお、以下では、図1〜図5に示す実施の形態と異なる点について説明し、同様の構成については図に同様の符号を付してその説明を省略する。
図6および図7を参照して、本実施の形態の特徴の1つは、ステアリングホイールの位置調整のときのねじ軸48とナット49(固定ブラケットとアッパチューブ8)との相対移動をより滑らかにできるようにし、且つ衝撃荷重を受けたときにこれらねじ軸48およびナット49を互いに確実にロックできるようにしてある点にある。
具体的には、駆動部材38Aの一方の側板46Aとナット49との間に、第1の軸受65および弾性部材66が配置され、且つ、駆動部材38Aの他方の側板47とナット49との間に、第2の軸受67が配置されている。
ナット49の一対の端面49a,49bは、それぞれ、円環状をなしてねじ軸48の軸線方向Eに相対向している。
駆動部材38Aの一方の側板46Aは、第1の対向部68と第2の対向部69とを含んでいる。第1の対向部68および第2の対向部69は、ナット49の一方の端面49aに平行に対向している。第1および第2の対向部68,69は、軸線方向Eとは直交して延びる環状の平面を構成している。
軸線方向Eに関して、第1の対向部68は、相対的にナット49の一方の端面49aに近接して配置されており、第2の対向部69は、相対的にナット49の一方の端面49aから遠く配置されている。第1の対向部68とナット49の一方の端面49aとの間に空隙70が設けられている。
ねじ軸48の径方向に関して、第1の対向部68はねじ軸48から相対的に遠くに配置されており、第2の対向部69はねじ軸48から相対的に近くに配置されている。
第1の対向部68と第2の対向部69との間に環状の周面71が介在している。環状の周面71は、ねじ軸48と同心に形成されており、ねじ軸48とはねじ軸48の径方向に対向している。この環状の周面71と第2の対向部69とによって、弾性部材66と第1の軸受65の一部とが収容される環状の収容溝72が区画されている。
第1の軸受65は、ナット49の一方の端面49aと一方の側板46A(弾性部材66)との相対回転の抵抗を低減する抵抗低減部材を構成している。第1の軸受65は、これら一方の端面49aと弾性部材66との間に介在している。
この第1の軸受65は、軸線方向Eに沿ってのスラスト荷重を受けつつ、ナット49の駆動抵抗を低減するためのものであり、例えば、単列スラスト玉軸受からなる。この第1の軸受65は、ねじ軸48と同軸的に配置されており、一対の軌道輪651,652と、これら一対の軌道輪651,652間に介在する玉等の転動体653とを含んでいる。一方の軌道輪651は、弾性部材66に当接しており、他方の軌道輪652は、ナット49の一方の端面49aに当接している。
弾性部材66は、第1の対向部68とナット49の一方の端面49aとを所定の弾性反発力で互いに離隔させるためのものであり、例えば皿ばねからなる。この弾性部材66は、駆動部材38Aの第2の対向部69とナット49の一方の端面49aとの間に介在しており、第1の軸受65の一方の軌道輪651と第2の対向部69とに挟まれている。
弾性部材66の外径部は第2の対向部69に当接しており、弾性部材66の内径部は第1の軸受65の一方の軌道輪651に当接している。弾性部材66は軸線方向Eに弾性的に圧縮されており、弾性部材66が弾性反発力を生じている。第1の軸受65は、この弾性反発力によって軸線方向Eに付勢され、ナット49と第2の対向部69との間で浮動支持されている。
軸線方向Eに関して、駆動部材38Aの第1の対向部68とナット49の一方の端面49aとの間の空隙70の長さF1が相対的に短くされている。また、軸線方向Eに関して、第2の対向部69と一方の軌道輪651との相対移動に伴う弾性部材66の圧縮の許容値F2が相対的に長くされている(F1<F2)。
上記の構成により、第1の軸受65の一方の軌道輪651は、ねじ軸48回りの回転が規制されており、他方の軌道輪652は、ナット49とともにねじ軸48の回りに回転可能となっている。
第2の軸受67は、第1の軸受65と同様のスラスト軸受からなる。ナット49は、前述の弾性部材66の弾性反発力によって第2の軸受67側へ付勢されている。これにより、第2の軸受67の一方の軌道輪671は、ナット49の他方の端面49bとともにねじ軸48の回りに回転可能である。第2の軸受67の他方の軌道輪672は、他方の側板47に固定されている。
ステアリングホイールの位置調整のためにアッパチューブ8を軸方向Sの一方S1に変位させると、駆動部材38Aの一方の側板46Aが、弾性部材66および第1の軸受65を介してナット49を軸方向Sの一方S1に押圧し、その結果、ナット49がねじ軸48に対して適度な摺動抵抗を生じながら回転する。
また、ステアリングホイールの位置調整のためにアッパチューブ8を軸方向Sの他方S2に変位させると、駆動部材38Aの他方の側板47が、第2の軸受67を介してナット49を軸方向Sの他方S2に押圧し、その結果、ナット49がねじ軸48に対して適度な摺動抵抗を生じながら回転する。
一方、2次衝突の際にステアリングホイール等を介してアッパチューブ8および駆動部材38に軸線方向Eの一方E1を向く衝撃荷重が作用すると、図8に示すように、弾性部材66が一方の側板46Aとナット49との間で圧縮される。これにより、一方の側板46Aの第1の対向部68とナット49の一方の端面49aとが摩擦係合する。これにより、ナット49の回転が第1の対向部68によって規制される。ナット49の回転が規制されていることにより、ナット49の軸線方向Eへの移動が規制され、その結果、駆動部材38Aおよびアッパチューブ8の軸線方向Eへの移動が規制される。
以上の次第で、本実施の形態によれば、ステアリングホイールの位置調整のときには第1の対向部68とナット49の一方の端面49aとは接していない。これにより、駆動部材38Aとナット49との間の摩擦抵抗を相対的に小さくでき、ステアリングホイールの位置調整の際の減速機39の駆動抵抗が大きくなりすぎないようにできる。
また、減速機39が衝撃を受けたときには、第1の対向部68とナット49の一方の端面49aとが接することにより、駆動部材38Aとナット49との間の摩擦抵抗を相対的に大きくできる。これにより、ナット49の回転を確実に規制でき、その結果、固定ブラケット17およびアッパチューブ8を確実にロックできる。
さらに、ナット49の一方の端面49aおよび弾性部材66の間に第1の軸受65が介在している。これにより、ステアリングホイールの位置調整の際の減速機39の駆動をより滑らかにでき、操作者によるステアリングホイールの位置調整をスムーズに行うことが可能となる。
また、第1の軸受65としてスラスト軸受を用いていることにより、ナット49の一方の端面49aと弾性部材66との間のスラスト荷重を第1の軸受65で受けつつ、両者の相対回転の抵抗を低減することができる。
なお、第1の対向部68およびナット49の一方の端面49aのそれぞれに互いに噛合可能なラチェット歯を形成し、2次衝突のときにこれらのラチェット歯が噛合することにより、駆動部材38Aがナット49の回転を規制するようにしてもよい。
また、第1および第2の軸受65,67として、スラストころ軸受等の他のスラスト軸受を用いてもよい。
さらに、弾性部材66に代えてコイルばね等の他の一般の弾性部材を用いてもよい。
また、図9に示すように、第1の軸受65に代えて介装部材78を用いてもよい。介装部材78は、例えば、ねじ軸48を取り囲むスラストすべり軸受を構成しており、主体部73および低摩擦部材74を含んでいる。
主体部73は、例えば金属を用いて形成されており、環状をなしている。主体部73の一部が収容溝72に収容されている。主体部73の一方の端面73aは弾性部材66の内径部に当接している。主体部73の他方の端面73bに低摩擦部材74が固定されている。
低摩擦部材74は、ナット49の一方の端面49aおよび弾性部材66の間に、両者の相対回転の抵抗を低減するための抵抗低減部材として設けられている。低摩擦部材74は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の合成樹脂を用いて形成されている。低摩擦部材74はナット49の一方の端面49aにすべり接触している。これにより、弾性部材66とナット49の一方の端面49aとの間の摩擦抵抗が低減されており、両者の滑らかな相対回転が実現される。なお、低摩擦部材74をナット49の一方の端面49aに固定し、主体部73の他方の端面73bとすべり接触させてもよい。また、低摩擦部材74を、ナット49の一方の端面49aと主体部73の他方の端面73bのそれぞれに設けてもよい。
また、図6に示す第1の軸受65および弾性部材66に代えて、これら第1の軸受65および弾性部材66の双方の機能を有する部材を用いてもよい。具体的には、図10(A)に示す介装部材75を用いてもよい。介装部材75は、弾性部材76と、低摩擦部材74とを含んでいる。
弾性部材76は、例えばゴム等の樹脂部材を用いて形成された環状の部材であり、軸線方向Eに沿って弾性変形可能となっている。弾性部材76の一方の端面76a側の一部が環状の収容溝72に収容されており、他方の端面76b側の一部が収容溝72から突出している。
弾性部材76の一方の端面76aは、一方の側板46Aの第2の対向部69に固定されている。弾性部材76の他方の端面76bに低摩擦部材74が固定されている。低摩擦部材74は、ナット49の一方の端面49aおよび弾性部材76の間に、両者の相対回転の抵抗を低減するための抵抗低減部材として設けられている。
低摩擦部材74により、弾性部材76とナット49の一方の端面49aとの間の摩擦抵抗が低減されており、両者の滑らかな相対回転が実現される。なお、低摩擦部材74をナット49の一方の端面49aに固定し、弾性部材76の他方の端面76bとすべり接触させてもよい。また、低摩擦部材74を、ナット49の一方の端面49aと、弾性部材76の他方の端面76bのそれぞれに設けてもよい。
2次衝突の際にステアリングホイール等を介してアッパチューブ8および駆動部材38Aに軸線方向Eの一方E1を向く衝撃荷重が作用すると、図10(B)に示すように、弾性部材76が一方の側板46Aとナット49との間で圧縮される。これにより、一方の側板46Aの第1の対向部68とナット49の一方の端面49aとが摩擦係合する。これにより、ナット49の回転が第1の対向部68によって規制される。
ナット49の回転が規制されていることにより、ナット49の軸線方向Eへの移動が規制され、その結果、駆動部材38Aおよびアッパチューブ8の軸線方向Eへの移動が規制される。
この場合、低摩擦部材74を用いていることにより、ナット49の一方の端面49aと弾性部材76との間の摩擦抵抗をより小さくでき、ステアリングホイールの位置調整の際の減速機の駆動をより滑らかにできる。
また、図11に示す介装部材77を設けてもよい。介装部材77は、弾性部材66と、低摩擦部材74とを含んでいる。弾性部材66の内径部に低摩擦部材74が固定されており、ナット49の一方の端面49aとすべり接触している。なお、ナット49の一方の端面49aに低摩擦部材74を固定し、弾性部材66の内径部とすべり接触させてもよい。また、低摩擦部材74を、弾性部材66の内径部とナット49の一方の端面49aのそれぞれに設けてもよい。
図12は、本発明のさらに別の実施の形態の要部の断面図である。図13は、図12の要部の一部分解斜視図である。なお、以下では、図1〜図5に示す実施の形態と異なる点について説明し、同様の構成については図に同様の符号を付してその説明を省略する。
図12および図13を参照して、本実施の形態では、支持部材37Cおよび駆動部材38Cを用いている。駆動部材38Cは、主体部45Cと、一対の側板46,47とを含んでいる。主体部45Cの上端部が、アッパチューブ8に形成された挿通孔58を挿通し、且つ固定部としてのロアチューブ9に溶接等により固定されている。
駆動部材38Cは、ロアチューブ9と軸方向S1に相対移動不能である。挿通孔58は、軸方向S1に延びており、主体部45Cがアッパチューブ8に接触しないようにされている。
支持部材37Cは、可動部(アッパチューブ8と軸方向S1に一体移動可能な部材)としての可動ブラケット18の底板22に固定される主体部40Cと、一対の側板43,44とを有している。
上記の構成により、テレスコピック調整のときに、アッパチューブ8(可動ブラケット18)が軸方向S1に移動すると、支持部材37Cがねじ軸48を軸方向S1に押す。ナット49は、駆動部材38Cの一対の側板46,47に挟まれていることにより、駆動部材38Cによって軸方向S1(ねじ軸48の軸線方向E)に押される。これにより、ナット49とねじ軸48とが相対回転する。
また、2次衝突のときには、駆動部材38Cがナット49をねじ軸48の軸線方向Eに衝撃的に押すこととなり、その結果、ねじ軸48がナット49に衝突し、ねじ軸48の雄ねじ部とナット49の雌ねじ部とが互いに金属接触して相対回転が規制される。
なお、図12および図13に示す実施の駆動部材38Cに代えて、図14(A)に示す駆動部材38Dを用いるとともに、弾性部材66、第1の軸受65および第2の軸受67を用いてもよい。
ナット49と駆動部材38Dの他方の側板47Dとの間に、第1の軸受65および弾性部材66が配置され、且つ、ナット49と一方の側板46との間に、第2の軸受67が配置されている。
駆動部材38Dの他方の側板47Dに第1の対向部68Dおよび第2の対向部69Dが設けられている。
軸線方向Eに関して、第1の対向部68Dは、相対的にナット49の他方の端面49bに近接して配置されており、第2の対向部69Dは、相対的にナット49の他方の端面49bから遠く配置されている。
第1の軸受65は、ナット49の他方の端面49bと弾性部材66との相対回転の抵抗を低減する抵抗低減部材を構成しており、ナット49の他方の端面49bと弾性部材66との間に介在している。
第1の軸受65の他方の軌道輪652は、弾性部材66に当接しており、一方の軌道輪651は、ナット49の他方の端面49bに当接している。
弾性部材66は、駆動部材38Dの第2の対向部69Dとナット49の他方の端面49bとの間に介在しており、第1の軸受65の他方の軌道輪652と第2の対向部69Dとに挟まれている。
弾性部材66の外径部は第2の対向部69Dに当接しており、弾性部材66の内径部は第1の軸受65の他方の軌道輪652に当接している。第1の軸受65は、弾性部材66の弾性反発力によって軸線方向Eに付勢され、ナット49と第2の対向部69Dとの間で浮動支持されている。
上記の構成により、第1の軸受65の他方の軌道輪652は、ねじ軸48回りの回転が規制されており、一方の軌道輪651は、ナット49とともにねじ軸48の回りに回転可能となっている。
第2の軸受67の一方の軌道輪671は、駆動部材38Dの一方の側板46に固定されている。
2次衝突の際にステアリングホイール等を介して、支持部材37C、ねじ軸48およびナット49に軸線方向Eの一方E1を向く衝撃荷重が作用すると、図14(B)に示すように、弾性部材66がナット49と他方の側板47Dとの間で圧縮される。これにより、他方の側板47Dの第1の対向部68Dとナット49の他方の端面49bとが摩擦係合する。
これにより、ナット49の回転が第1の対向部68Dによって規制される。このとき、ナット49の回転が規制されていることにより、ナット49の軸線方向Eへの移動が規制され、その結果、減速機39がロックされる。
なお、図14(A)に示す実施の形態の第1の軸受65に代えて、図15に示す介装部材78を用いてもよい。介装部材78の主体部73の他方の端面73bは弾性部材66の内径部に当接している。主体部73の一方の端面73aに低摩擦部材74が固定されている。
低摩擦部材74は、ナット49の他方の端面49bおよび弾性部材66の間に、両者の相対回転の抵抗を低減するための抵抗低減部材として設けられている。低摩擦部材74はナット49の他方の端面49bにすべり接触している。なお、低摩擦部材74をナット49の他方の端面49bに固定し、主体部73の一方の端面73aとすべり接触させてもよい。また、低摩擦部材74を、ナット49の他方の端面49bと主体部73の一方の端面73aのそれぞれに設けてもよい。
また、図14(A)に示す実施の形態の第1の軸受65および弾性部材66に代えて、図16(A)に示す介装部材75を用いてもよい。介装部材75の弾性部材76の他方の端面76b側の一部が環状の収容溝72に収容されており、一方の端面76a側の一部が収容溝72から突出している。
弾性部材76の他方の端面76bは、他方の側板47Dの第2の対向部69Dに固定されている。弾性部材76の一方の端面76aには、低摩擦部材74が固定されている。低摩擦部材74は、ナット49の他方の端面49bとすべり接触している。なお、低摩擦部材74をナット49の他方の端面49bに固定し、弾性部材76の一方の端面76aとすべり接触させてもよい。また、低摩擦部材74を、ナット49の他方の端面49bと弾性部材76の他方の端面76bのそれぞれに設けてもよい。
2次衝突の際には、図16(B)に示すように、弾性部材76がナット49と他方の側板47Dとの間で圧縮される。これにより、他方の側板47Dの第1の対向部68Dとナット49の他方の端面49bとが摩擦係合する。これにより、ナット49の回転が第1の対向部68Dによって規制される。ナット49の回転が規制されることにより、ナット49の軸線方向Eへの移動が規制され、その結果、減速機39がロックされる。
また、図14に示す実施の形態の第1の軸受65および弾性部材66に代えて、図17に示す介装部材77を設けてもよい。介装部材77の低摩擦部材74が、ナット49の他方の端面49bとすべり接触している。なお、ナット49の他方の端面49bに低摩擦部材74を固定し、弾性部材66の内径部とすべり接触させてもよい。また、低摩擦部材74を弾性部材66の内径部とナット49の他方の端面49bのそれぞれに設けてもよい。
本発明は、以上の各実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、雌ねじ部52に合成樹脂の層55と同様の合成樹脂の層を形成してもよい。このとき、雄ねじ部50に合成樹脂の層55が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
また、図18(A)に示すように、ねじ軸48に雄ねじ部50Eを設け、ナット49に雌ねじ部52Eを設けてよい。
雄ねじ部50Eは金属製であり、雄ねじ部50Eの軸線を含む所定の平面で切断した断面(図18(A)に示す断面)においてインボリュート曲線をなすインボリュート曲線部59を含んでいる。インボリュート曲線部59は、雄ねじ部50Eの先端側に向かうに従い曲率半径が大きくなっており、先端側に向かうに従いねじ山の角度D1が大きくなっている。
雄ねじ部50Eと同様に、雌ねじ部52Eは金属製であり、雌ねじ部52Eの軸線を含む所定の任意の平面で切断した断面においてインボリュート曲線をなすインボリュート曲線部60を含んでいる。インボリュート曲線部60は、雌ねじ部52Eの先端側に向かうに従い曲率半径が大きくなっており、先端側に向かうに従いねじ山の角度D2が大きくなっている。
上記の構成により、テレスコ調整のときには、雄ねじ部50Eのインボリュート曲線部59の基端部59aと雌ねじ部52Eのインボリュート曲線部60の基端部60aとが互いにすべり接触する。このときの互いの接触部に関するねじ山の角度D1,D2は、相対的に小さく、両者の摩擦抵抗は相対的に少ない。
雄ねじ部50Eのインボリュート曲線部59の基端部59a、および雌ねじ部52Eのインボリュート曲線部60の基端部60aが、第1の接触領域61を構成している。
一方、衝撃吸収のとき(衝撃荷重を受けたとき)には、雄ねじ部50Eと雌ねじ部52Eとが衝撃的に接触して、図18(B)に示すように、雄ねじ部50Eおよび雌ねじ部52Eが互いに変位する。これにより、雄ねじ部50Eのインボリュート曲線部59の中間部59b、および雌ねじ部52Eのインボリュート曲線部60の中間部60bが、互いに摩擦接触する。このときの互いの接触部に関するねじ山の角度D1,D2は相対的に大きく、雄ねじ部50Eおよび雌ねじ部52Eの摩擦抵抗が大きいことから、両者の相対回転が規制される。
雄ねじ部50Eのインボリュート曲線部59の中間部59b、および雌ねじ部52Eのインボリュート曲線部60の中間部60bが、第2の接触領域62を構成している。
本実施の形態によれば、ステアリングホイール2の位置調整のときには、第1の接触領域61で相対的に小さい摩擦抵抗を生じさせて、適度な抵抗を付与できる。
また、衝撃吸収のときには、第2の接触領域62で相対的に大きい摩擦抵抗を生じさせて、ステアリングホイール2が不用意に動かないようにロアコラムチューブ9および可動ブラケット18を確実にロックできる。また、金属のみで雄ねじ部50Eおよび雌ねじ部52Eを構成できる。
なお、各上記実施の形態において、ねじ軸48を対応する支持部材に回転自在に支持し、且つナット49を対応する駆動部材に回転不能に接続してもよい。また、減速機として、ねじ機構を用いるものに限らず、ウォームギヤ機構等の他の減速機構を用いてもよい。
さらに、チルト調整の際にねじ軸48およびナット49が相対回転するようにしてもよい。
本発明の一実施の形態にかかる位置調整式ステアリング装置の概略構成を示す模式的な一部断面側面図である。 図1のII−II線に沿う要部の断面図である。 図2のIII−III線に沿う要部の断面図である。 ステアリング装置の要部の分解斜視図である。 ねじ軸およびナットの要部の断面図であり、(A)は、テレスコ調整のときの状態を示し、(B)は、2次衝突のときの状態を示している。 本発明の別の実施の形態の要部の断面図である。 図6の要部の拡大図である。 2次衝突により第1の対向部がナットに当接した状態を示す断面図である。 本発明のさらに別の実施の形態の要部の断面図である。 (A)は本発明のさらに別の実施の形態の要部の断面図であり、(B)は2次衝突により第1の対向部がナットに当接した状態を示す断面図である。 本発明のさらに別の実施の形態の要部の断面図である。 本発明のさらに別の実施の形態の要部の断面図である。 図12の要部の一部分解斜視図である。 (A)は、本発明のさらに別の実施の形態の要部の断面図であり、(B)は2次衝突により第1の対向部がナットに当接した状態を示す断面図である。 本発明のさらに別の実施の形態の要部の断面図である。 (A)は本発明のさらに別の実施の形態の要部の断面図であり、(B)は2次衝突により第1の対向部がナットに当接した状態を示す断面図である。 本発明のさらに別の実施の形態の要部の断面図である。 本発明のさらに別の実施の形態の要部の断面図であり、(A)は、テレスコ調整のときの状態を示し、(B)は、2次衝突のときの状態を示している。
符号の説明
1…ステアリング装置、2…ステアリングホイール、3…ステアリングシャフト、8…アッパチューブ(可動部)、9…ロアチューブ(固定部)、12…車体、17…固定ブラケット(固定部、車体に固定された固定側部材)、18…可動ブラケット(可動部、アッパチューブと軸方向に一体移動可能な部材)、38,38A,38C;38D…駆動部材、39…減速機、48…ねじ軸、49…ナット、49a,49b…(ナットの)端面、50,50E…雄ねじ部(ロックする機構の一部)、52,52E…雌ねじ部(ロックする機構の一部)、53…接触領域、55…合成樹脂の層、61…第1の接触領域、62…第2の接触領域、65…第1の軸受(抵抗低減部材、スラスト軸受)、66…弾性部材、68,68D…第1の対向部、69,69D…第2の対向部、70…空隙、74…低摩擦部材(抵抗低減部材)、76…弾性部材、C2…(ねじ軸の)軸線、D1,D2…ねじ山の角度、E…軸線方向、S…軸方向(所定方向)。

Claims (8)

  1. 一端にステアリングホイールが連結されたステアリングシャフトを支持し、ステアリングホイールの位置調整のために所定方向に相対移動する固定部および可動部と、
    上記固定部および可動部のいずれか一方に設けられて互いに螺合するねじ軸およびナットと、
    上記固定部および可動部のいずれか他方に設けられ、上記固定部および可動部の相対移動に伴って上記ナットを上記ねじ軸の軸線方向に押すことによって上記ねじ軸およびナットを相対回転させる駆動部材と、を備え、
    上記ねじ軸の軸線が上記所定方向に沿わされていて、
    上記ねじ軸およびナットは、ステアリングホイールから上記軸線方向の衝撃荷重を受けたときに固定部および可動部を互いにロックする機構を有することを特徴とする位置調整式ステアリング装置。
  2. 請求項において、上記駆動部材は、ねじ軸の軸線方向に関してナットの端面に対向する第1の対向部および第2の対向部を含み、
    第1の対向部と上記ナットの上記端面との間に空隙が設けられており、
    第2の対向部と上記ナットの上記端面との間に弾性部材が介在しており、
    上記ねじ軸およびナットが衝撃を受けたときに、弾性部材が圧縮されることにより、第1の対向部と上記ナットの端面とが係合するようにしてある位置調整式ステアリング装置。
  3. 請求項において、上記ナットの端面および上記弾性部材の両者の間に、両者の相対回転の抵抗を低減する抵抗低減部材が介在している位置調整式ステアリング装置。
  4. 請求項において、上記抵抗低減部材は、スラスト軸受を含む位置調整式ステアリング装置。
  5. 請求項において、上記抵抗低減部材は、上記ナットの端面および上記弾性部材の少なくとも一方に設けられた低摩擦部材を含む位置調整式ステアリング装置。
  6. 請求項の何れか1項において、上記ねじ軸の雄ねじ部およびナットの雌ねじ部の互いの接触領域の一部に合成樹脂が設けられ、
    衝撃荷重を受けたときに、合成樹脂が変形して雄ねじ部および雌ねじ部が互いに金属接触するようにされている位置調整式ステアリング装置。
  7. 請求項の何れか1項において、上記ねじ軸の雄ねじ部およびナットの雌ねじ部は、ステアリングホイールの位置調整のときに互いに接触する第1の接触領域と、衝撃荷重を受けたときに互いに接触する第2の接触領域とを含み、
    第2の接触領域における各上記ねじ部のねじ山の角度が、第1の接触領域における各上記ねじ部のねじ山の角度よりも大きくされている位置調整式ステアリング装置。
  8. 請求項1〜の何れか1項において、テレスコピック調整のために互いに軸方向に摺動可能に嵌合し、ステアリングシャフトを回転可能に支持するロアチューブおよびアッパチューブを備え、
    上記固定部は、車体に固定された固定側部材またはロアチューブを含み、
    上記可動部は、アッパチューブまたはアッパチューブと上記軸方向に一体移動可能な部材を含む位置調整式ステアリング装置。
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