JP6199730B2 - 電流センサ及び電流センサモジュール - Google Patents
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Description
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態に係る電流センサを例示する模式的斜視図である。
図1(a)は、第1の実施形態に係る電流センサ200の構成を例示している。
図1(a)に表したように、実施形態に係る電流センサ200は、センサ素子50(第1センサ素子51)を含む。電流センサ200は、電線70(電流線)をさらに含んでもよい。この例では、センサ素子50は、電線70の延在する方向に対して交差する方向において、電線70と並ぶ(例えば、離間する)。電流センサ200は、電線70に流れる電流を検知する。
図1(b)に表したように、第1センサ素子51は、第1電極E1と、第2電極E2と、第1積層体10sと、を含む。
以下において、「材料A/材料B」の記載は、材料Aの層の上に、材料Bの層が設けられている状態を示す。
図2に表したように、本実施形態に用いられるセンサ素子50(センサ素子51a)は、第1電極E1と、下地層10lと、ピニング層10pと、第1磁性層10と、中間層30と、第2磁性層20と、機能層25と、キャップ層26cと、を含む。第1電極E1と第1磁性層10との間に下地層10lが設けられる。下地層10lと第1磁性層10との間に、ピニング層10pが設けられる。第2電極E2と第2磁性層20との間に、機能層25が設けられる。機能層25と第2電極E2との間に、キャップ層26cが設けられる。この例では、第1磁性層10は、第1磁化固定層10iと、第2磁化固定層10jと、磁気結合層10kと、を含む。第2磁化固定層10jと中間層30との間に第1磁化固定層10iが設けられる。第2磁化固定層10jと、第1磁化固定層10iと、の間に、磁気結合層10kが設けられる。
ピニング層10pには、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。
磁気結合層10kには、例えば、0.9nmの厚さのRu層が用いられる。
第1磁化固定層10iには、例えば、3nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。
中間層30には、例えば、1.6nmの厚さのMg−O層が用いられる。
キャップ層26cには、例えばTa/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
第1電極E1及び第2電極E2には、例えば、金属が用いられる。
第1試料S01に含まれる各層の材料と厚さは、以下である。
下地層10l :Ta(1nm)/Ru(2nm)
ピニング層10p :Ir22Mn78 (7nm)
第2磁化固定層10j :Co75Fe25 (2.5nm)
磁気結合層10k :Ru (0.9nm)
第1磁化固定層10i :Co40Fe40B20 (3nm)
中間層30 :Mg−O (1.6nm)
第2磁性層20 :Co40Fe40B20 (4nm)
機能層25 :Mg−O (1.5nm)
キャップ層26c :Cu(1nm)/Ta(20nm)/Ru(50nm)
第1試料S01においては、第2磁性層20は、アモルファス部分を含む。例えば、機能層25を設けることによって、第2磁性層20をアモルファスとすることができる。
参考例の第2試料S02においては、第2磁性層20は、アモルファス部分を含まない。例えば、第2試料S02には機能層25が設けられない。これ以外の第2試料S02の構成は、第1試料S01と同じである。
図3(a)は、第1試料S01における電気抵抗の磁場依存性を例示している。図3(b)は、第2試料S02における電気抵抗の磁場依存性を例示している。
図4(a)は、第1試料S01における磁化Bと外部磁場Hとの関係を例示している。
図4(b)は、参考例の第2試料S02における磁化Bと外部磁場Hとの関係を例示している。
図4(a)及び図4(b)においては、磁化自由層の磁化困難軸方向に磁場が印加されている。
図5は、第1試料S01を用いた電流センサにおけるノイズと、第2試料S02を用いた電流センサにおけるノイズを例示している。実施形態のようにアモルファス構造を含む磁化自由層を用いることで、上述のような線形性の改善に加え、ノイズが著しく低減されることを実験的に見出した。アナログセンサの場合には、16〜24bitのデジタル情報量に相当する情報を検知する。このため、センサ自体のノイズを大きく低減させることが強く求められる。MR変化率が3/4倍程度に低減することを、大きく上回るメリットを実験的に確認することができた。MR変化率が3/4倍に低減するこということは、信号出力が3/4倍になることを意味する。これは、信号出力の低下に伴いSNR(Signal to Noise Ratio)が2.5dB低下することに相当する。一方、ノイズの低減は、実験的に7dB〜11dBにも相当した。つまり、信号出力の低下によってSNRが2.5dB低下したとしても、ノイズの低減を考慮すると、SNRは4.5dB〜8.5dB程度改善する。実施形態においては、上述のような線形性の改善に加え、SNRが4.5dB〜8.5dB程度改善するという大きなメリットが生じる。
磁化自由層がアモルファス構造を含む第1試料S01と、磁化自由層が結晶構造である参考例の第2試料S02と、の比較を行った。
図6は、電流センサにおけるノイズの測定を例示する模式図である。
図7(a)においては、第2磁化固定層10j(Co50Fe50層)の一部からキャップ層26c(Ru層)の一部までを含めた領域が示されている。
一方、図7(d)に示すように、第2磁性層20(磁化自由層のCo−Fe−B層)に対応する点P3の回折像においては、明確な回折スポットが観察されない。この回折像においては、アモルファス構造を反映したリング状の回折像が観察されている。この結果から、第1試料S01の第2磁性層20(磁化自由層のCo−Fe−B層)が、アモルファス部分を含んでいることがわかる。
図8(a)は、第2試料S02のセンサ素子の断面透過型電子顕微鏡(断面TEM)写真像である。図8(b)〜図8(d)は、それぞれ、図8(a)の点P4〜P6についての、電子線のナノディフラクションによる結晶格子回折像である。
図8(c)に示すように、中間層30(Mg−O層)の回折像において、結晶構造に起因した回折スポットが確認される。
図8(d)に示すように、第2磁性層20(磁化自由層のCo−Fe−B層)の回折像においても、結晶構造に起因する回折スポットが確認される。この結果から、第2試料S02の第2磁性層20(磁化自由層のCo−Fe−B層)の大部分は、結晶構造を有していることがわかる。
図9(a)、図9(b)、図10(a)及び図10(b)は、電流センサの特性を例示する模式図である。
図9(b)は、図7(a)の一部に対応し、図10(b)は、図8(a)の一部に対応する。
図9(a)及び図10(a)は、電子エネルギー損失分光法(Electron Energy-Loss Spectroscopy:EELS)による、試料の元素のデプスプロファイルの評価結果である。図9(a)は、第1試料S01に対応し、図7(a)に示した線L1における元素のデプスプロファイルを示す。図10(b)は、第2試料S02に対応し、図8(a)に示した線L2における元素のデプスプロファイルを示す。これらの図において、横軸は、元素の検出の強度Int(任意単位)である。縦軸は、深さDp(nm)である。深さDpは、例えば、Z軸方向における距離に対応する。これらの図においては、鉄、ホウ素及び酸素に関するデプスプロファイルが示されている。
第1電極E1及び第2電極E2には、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム銅合金(Al−Cu)、銅(Cu)、銀(Ag)、及び、金(Au)の少なくともいずれかが用いられる。第1電極E1及び第2電極E2として、このような電気抵抗が比較的小さい材料を用いることで、センサ素子51aに効率的に電流を流すことができる。第1電極E1には、非磁性材料を用いることができる。第1電極E1は、例えば、第1電極E1用の下地層(図示せず)と、第1電極E1用のキャップ層(図示せず)と、それらの間に設けられた、Al、Al−Cu、Cu、Ag、及び、Auの少なくともいずれかの層と、を含んでも良い。下地層及びキャップ層には、例えば、Ta、TiまたはTiNなどが用いられる。
第2磁性層20には、Fe、Co及びNiから選択される少なくとも一つの元素と、ホウ素(B)と、を含む合金を用いることができる。第2磁性層20には、例えば、Co−Fe−B合金、Fe−B合金、Fe−Si−B合金、またはFe−Al−Si合金などを用いることができる。第2磁性層20には、例えば、(CoxFe100−x)100−yBy合金(xは、0at.%以上100at.%以下であり、yは、0at.%よりも大きく40at.%以下)を用いることができる。第2磁性層20には、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層、または、4nm厚さのFe80B20層を用いることができる。第2磁性層20として、例えば、Fe−Ga−B合金、Fe−Co−Ga−B合金、または、Fe−Co−Si−B合金を用いても良い。
図11は、実施形態に係るセンサ素子50(センサ素子51a)におけるホウ素濃度の分布を例示している。
下地層10l :Ta(1nm)/Ru(2nm)
ピニング層10p :Ir22Mn78 (7nm)
第2磁化固定層10j :Co75Fe25 (2.5nm)
磁気結合層10k :Ru (0.9nm)
第1磁化固定層10i :Co40Fe40B20 (3nm)
中間層30 :Mg−O (1.6nm)
第2磁性層20 :Co50Fe50(0.5nm)/Co40Fe40B20(8nm)
機能層25 :Mg−O (1.5nm)
キャップ層26c :Cu(1nm)/Ta(2nm)/Ru(5nm)
第3試料S03では、磁化自由層にCo50Fe50(0.5nm)/Co40Fe40B20(8nm)を用い、磁化自由層に、ホウ素濃度が低い第1部分20pと、ホウ素濃度の高い第2部分20qと、を設けている。
図12は、第1の実施形態に係る電流センサの特性を例示する顕微鏡像である。
図12は、第3試料S03のセンサ素子の断面透過型電子顕微鏡写真像である。
図12からわかるように、第2磁性層20において、中間層30の側の第1部分20pは、結晶構造を有している。機能層25の側の第2部分20qは、アモルファス構造を有していることがわかる。
図13(b)は、図12(a)の一部に対応する。
図13(a)は、EELSによる、第3試料S03の元素のデプスプロファイルの評価結果である。図13(a)は、図12(a)に示した線L3における元素のデプスプロファイルを示す。
図14に表したように、実施形態に用いられるセンサ素子50(センサ素子51b)においては、絶縁層35が設けられる。例えば、第1電極E1と第2電極E2との間に、絶縁層35(絶縁部分)が設けられている。絶縁層35は、第1電極E1と第2電極E2との間において、第1積層体10sを囲む。第1積層体10sの側壁に対向して、絶縁層35が設けられる。
図15に表したように、実施形態に用いられるセンサ素子50(センサ素子51c)においては、ハードバイアス層36(第1ハードバイアス層、第1磁性バイアス層)がさらに設けられる。第1電極E1と第2電極E2との間に、ハードバイアス層36が設けられる。ハードバイアス層36は、例えば、第1電極E1から第2電極E2へ向かう第1方向と交差する第2方向において第1積層体10sと並ぶ。例えば、ハードバイアス層36と積層体10sとの間に、絶縁層35が配置される。この例では、ハードバイアス層36と第1電極E1との間に、絶縁層35が延在している。
上記のハードバイアス層36及び絶縁層35は、上記及び以下で説明するセンサ素子のいずれにも適用できる。
図16に表したように、本実施形態に用いられるセンサ素子50(センサ素子51d)は、順に並んだ、第1電極E1(例えば、下部電極)と、下地層10lと、機能層25と、第2磁性層20(磁化自由層)と、中間層30と、第2磁化固定層10jと、磁気結合層10kと、第1磁化固定層10iと、ピニング層10pと、キャップ層26cと、第2電極E2(例えば上部電極)と、を含む。センサ素子51dは、トップスピンバルブ型である。
機能層25には、例えば、Mg−Oが用いられる。このMg−O層の厚さは、例えば、1.5nmである。
第2磁性層20には、例えば、Co40Fe40B20が用いられる。
このCo40Fe40B20層の厚さは、例えば4nmである。
中間層30には、例えば、1.6nmの厚さのMg−O層が用いられる。
第1磁化固定層10iには、例えば、Co40Fe40B20/Fe50Co50が用いられる。このCo40Fe40B20層の厚さは、例えば2nmである。このFe50Co50層の厚さは、例えば1nmである。
磁気結合層10kには、例えば、0.9nmの厚さのRu層が用いられる。
第2磁化固定層10jには、例えば、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。
ピニング層10pには、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。
キャップ層26cには、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
図17に表したように、本実施形態に用いられるセンサ素子50(センサ素子51e)は、順に並んだ、第1電極E1(例えば下部電極)と、下地層10lと、ピニング層10pと、第1磁性層10と、中間層30と、第2磁性層20と、機能層25と、キャップ層26cと、第2電極E2(例えば上部電極)と、を含む。センサ素子51eには、単一の磁化固定層を用いたシングルピン構造が適用されている。
ピニング層10pには、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。
中間層30には、例えば、1.6nmの厚さのMg−O層が用いられる。
第2磁性層20には、例えば、Co40Fe40B20が用いられる。このCo40Fe40B20層の厚さは、例えば4nmである。
機能層25には、例えば、1.5nmの厚さのMg−O層が用いられる。
キャップ層26cには、例えば、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
センサ素子51eに含まれる層のそれぞれには、例えば、センサ素子51aに関して説明した材料を用いることができる。
図18に表したように、本実施形態に用いられるセンサ素子50(センサ素子51f)は、順に並んだ、第1電極E1(例えば下部電極)と、下地層10lと、別の機能層25a(第2の機能層)と、第1磁性層10、中間層30と、第2磁性層20と、機能層25(第1の機能層)と、キャップ層26cと、第2電極E2(例えば上部電極)と、を含む。この例では、第1磁性層10は、磁化自由層であり、第2磁性層20も磁化自由層である。
機能層25aには、例えば、1.5nmの厚さのMg−O層が用いられる。
第1磁性層10には、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。
中間層30には、例えば、1.6nmの厚さのMg−O層が用いられる。
第2磁性層20には、例えば、Co40Fe40B20が用いられる。このCo40Fe40B20層の厚さは、例えば、4nmである。
機能層25には、例えば、1.5nmの厚さのMg−O層が用いられる。
キャップ層26cには、例えば、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
図19(a)〜図19(c)は、第2の実施形態に係る電流センサを例示する模式的斜視図である。
図19(a)は、第2の実施形態に係る電流センサ201の構成を例示している。
図19(a)に表したように、実施形態に係る電流センサ201は、複数のセンサ素子50を含む。例えば、電流センサ201は、第1センサ素子51と第2センサ素子52と、を含む。電流センサ201は、電線70をさらに含んでもよい。
図19(b)に表したように、第2センサ素子52は、第3電極E3と、第4電極E4と、第2積層体10sbと、を含む。
図19(c)に表したように、センサ素子52cにおいても、第3電極E3と、第4電極E4と、第2積層体10sbと、が設けられる。この例では、センサ素子52cには、下地層10lb、ピニング層10pb、第1磁化固定層10ib、第2磁化固定層10jb、磁気結合層10kb、キャップ層26cbが設けられる。第4磁性層20bと第4電極E4との間に第2機能層25bが設けられる。これらの構成及び材料には、第1の実施形態において説明したのと同様の構成及び材料を適用することができる。
図20(a)は、実施形態に係る電流センサ202を例示している。
図20(a)に表したように、電流センサ202は、第1センサ素子51と、第2センサ素子52と、を含む。電流センサ201は、電線70をさらに含んでもよい。これらには、電流センサ201について説明した構成を適用することができる。この例では、第1センサ素子51と電線70との間の距離(最短距離)は、第2センサ素子52と電線70との間の距離(最短距離)と、実質的に同じである。例えば、第1センサ素子51と電線70との間の距離は、第2センサ素子52と電線70との間の距離の0.9倍以上1.1倍以下である。
図20(b)に表したように、例えば、第1センサ素子51から磁界H1に応じた第1信号Sg1が得られる。第2センサ素子52から磁界H2に応じた第2信号Sg2が得られる。処理部80は、第1信号Sg1及び第2信号Sg2を処理する。
例えば、ハードバイアス層の磁気膜厚を調整することで、高い精度で検知できる電流の大きさを調整することができる。例えば、第1ハードバイアス層36の磁気膜厚を、第2ハードバイアス層の磁気膜厚よりも厚くする。これにより、広いダイナミックレンジにおいて、電流を検知する精度を向上させることができる。
図21に表したように、電流センサ203は、センサ素子50と、電線70(第1電線70a)と、第2電線70bと、を含む。
図22に表したように、電流センサ204は、センサ素子50と、電線70と、を含む。電線70の一端は、電線71と電気的に接続される。電線70の他端は、電線72と電気的に接続される。電線71及び電線72を介して、電線70に電流I1が流れる。センサ素子50は、電流I1によって生じる磁界によって、電流I1を検知する。
図23(a)〜図23(c)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールを例示する模式図である。
図23(b)は、電流センサモジュール250を例示する透視平面図である。
図23(c)は、電流センサモジュール250を例示する透視平面図である。
図23(a)〜図23(c)においては、図を見易くするために、要素の一部は、省略して描かれている。
図24(a)は、電流センサモジュール250を例示する透視平面図である。
図24(b)は、電流センサモジュール250に用いられるセンサ素子50を例示する模式的断面図である。
図24(c)は、電流センサモジュール250に用いられるセンサ素子50を例示する模式的斜視図である。
図24(a)〜図24(c)に表したような電線及び電流センサの配置では、図24(a)に示したように、電流センサモジュールの断面厚さ方向(例えば、積層体10sの積層方向)に電線を配置している(電線70が延在している)。このときの電流センサの磁化(磁化10mの方向及び磁化20mの方向)は、図24(b)のように、電流センサモジュールの面と平行な面内(積層方向に対して垂直な平面内)に配置されている。このような配置においては、外部ノイズに対して強いというメリットがある。例えば、外部磁界ノイズが最も印加されやすい電流センサモジュールの表面(例えば、第1筐体面300aまたは第2筐体面300b)から外部磁界が印加された場合、その面に直行する方向に磁界が印加される。しかしながら、電流センサの磁化は、例えば、その面と平行方向に配置されている。そのため、その面と直行する方向の磁界は、ノイズ源とはなり難い。このような磁化の配置は、外部磁界の影響をよけいな機構を付加することなく少なくする配置として、優れている。電流センサモジュールの断面方向(例えば、X1方向またはY1方向)からの外部磁界の影響は受けることになるので、例えば、必要に応じて電流センサモジュールの断面方向においては磁気シールドを設ける。この場合、電流センサモジュールにおいて、例えば最も断面積が小さくなるため、磁気シールドを追加することに伴うコストの増大を、例えば最小限に抑えることができる。
また、電流センサの基板面をそのまま電子基板モジュール304に貼り付けることが可能なので、配置ずれの影響などが少なく、高い精度を保つために必要な製造コストを例えば最小限に抑えることができる。
この特徴については、以降に説明する図24(a)〜図24(c)、図25(a)〜図25(c)、図26(a)〜図26(c)、図27(a)〜図27(c)及び図40(a)〜図40(c)に表した例おいても同様である。
後述する別の実施例の図31(a)〜図31(c)、図32(a)〜図32(c)、図33(a)、図33(b)及び図34に表した例では上記のようなメリットがなくなるため、図23、図24、図25、図26、図27及び図40のほうが好ましい実施形態である。
図25(b)は、電流センサモジュール251を例示する透視平面図である。
図25(c)は、電流センサモジュール251を例示する透視平面図である。
図25(a)〜図25(c)においては、図を見易くするために、要素の一部は、省略して描かれている。
図26(a)は、電流センサモジュール251を例示する透視平面図である。
図26(b)は、電流センサモジュール251に用いられるセンサ素子50を例示する模式的断面図である。
図26(c)は、電流センサモジュール251に用いられるセンサ素子50を例示する模式的斜視図である。
図27(a)は、実施形態に係る電流センサモジュール252を例示する模式的斜視図である。
図27(b)は、電流センサモジュール252を例示する透視平面図である。
図27(c)は、電流センサモジュール252を例示する透視平面図である。
図27(a)〜図27(c)においては、図を見易くするために、要素の一部は、省略して描かれている。
図28(a)は、電流センサモジュール252に用いられる第1センサ素子51及び第2センサ素子52を例示している。この例では、センサ素子50は、ハードバイアス層を含む。第1センサ素子51は、第1ハードバイアス層36を含む。第2センサ素子52は、第2ハードバイアス層36bを含む。ハードバイアス層は、磁化自由層にバイアス磁界を印加する。
図30(a)〜図30(j)は、電流センサモジュール253の一部の製造方法を例示する。複数のセンサ素子50、第1ハードバイアス部36ma及び第2ハードバイアス部36mbの製造方法を例示する。
図31(a)は、実施形態に係る電流センサモジュール254を例示する模式的斜視図である。
図31(b)は、電流センサモジュール254を例示する透視平面図である。
図31(c)は、電流センサモジュール254を例示する透視平面図である。
図31(a)〜図31(c)においては、図を見易くするために、要素の一部は、省略して描かれている。
図32(a)は、電流センサモジュール254を例示する透視平面図である。
図32(b)は、電流センサモジュール254に用いられるセンサ素子50を例示する模式的断面図である。
図32(c)は、電流センサモジュール254に用いられるセンサ素子50を例示する模式的斜視図である。
基板面90aは、例えば、電線70の延在する方向と実質的に平行である。センサ素子50(第1センサ素子)は、基板面90aに設けられる。第1磁性層10から第2磁性層20へ向かう方向は、電線70の延在する方向と実質的に垂直である。磁化20mの方向は、電流I1が流れていないときに、電線70の延在する方向と、実質的に平行(または反平行)である。これにより、交流のいずれの極性の電流も検知することができる。
図33(a)及び図33(b)に表したように、電流センサモジュール255においては、複数のセンサ素子50が設けられる。これ以外は、電流センサモジュール255には、電流センサモジュール254と同様の構成を適用することができる。
図34に表したように、電流センサモジュール256においては、複数のセンサ素子50が設けられる。これ以外は、電流センサモジュール256には、電流センサモジュール254と同様の構成を適用することができる。
例えば、実施形態に係る電流センサ210は、センサ素子50と処理部80と、を含む。処理部80は、アンプ100と、アナログデジタル変換(ADC)部101と、メモリ102と、通信回路103と、を含む。
図36(a)〜図36(d)は、電流センサモジュール250におけるセンサ素子50の磁界に対する応答を例示している。この例では、第1磁性層10の磁化10mの方向は、X軸方向と平行である。
図36(d)に表したように、X軸に平行な方向において、Hsよりも小さい磁界H1を印加した場合に、磁界H1に対して電気抵抗Rは、例えば、線形に変化する。センサ素子50は、Hsよりも小さい磁界を検知することができる。
図37は、電流センサモジュール252におけるセンサ素子50の磁界に対する応答を例示している。
図37の横軸は、磁界H1である。図37の縦軸は、センサ素子50の電気抵抗Rである。例えば電流センサモジュール252には、磁界に対する感度が互いに異なる複数のセンサ素子50が設けられる。
実施形態に係る電流センサ211は、複数のセンサ素子50と、処理部80とを含む。この例では、処理部80は、複数のコンパレータ120と、レジスタ110と、マルチプレクサ111と、アンプ100と、を含む。例えば、複数のセンサ素子50は、第1センサ素子51と第2センサ素子52とを含む。処理部80は、第1コンパレータ121と第2コンパレータ122とを含む。
複数のコンパレータ120のそれぞれは、例えば、磁界に対して適切な値を出力すると推定されるセンサ素子50を選択し、選択した結果をレジスタ110に送る(演算値が出力される)。レジスタ110は、コンパレータ120のそれぞれから出力された演算値に基づく素子選択信号Siga(素子選択値)を保持し、素子選択信号Sigaをマルチプレクサ111へ送る。
図39に表したように、実施形態に係る電流センサモジュール257を用いて家庭用電気機械器具350の電力を測定することができる。
図40に表したように、電流センサモジュール257は、筐体300、電線70、センサ素子50、絶縁部301、電線支持部302、基板支持部303、電子基板モジュール304及びセンサ基板モジュール305を含む。電流センサ257には、電流センサモジュール250と同様の構成を適用することができる。電流センサ257には、電流センサモジュール251〜256と同様の構成を適用してもよい。電流センサ257においても、家庭用電気機械器具350と電流センサ257との相対的位置は、変化しにくいことが好ましい。電線70と、家庭用電気機械器具350の電線と、を接続する。これにより、電力を測定することができる。
図41(a)〜図41(d)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールに用いられるセンサ素子50(51g)を例示している。
インスタックバイアス層60は、分離層61と、バイアス磁性層62と、バイアスピニング層63と、を含む。バイアス磁性層62は、第1バイアス磁性層62aと、第2バイアス磁性層62bと、バイアス磁気結合層62cと、を含む。
図41(b)に表したようにセンサ素子51gを磁界中でアニールする。この例では、第2磁化固定層10jの磁化10jmの方向は、X軸方向と平行である。磁化10jmの方向と平行な方向の磁界Hxを印加した状態で第1アニールを行う。このとき、バイアス磁性層62の磁化62mの方向は、X軸方向と平行である。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
Claims (22)
- 第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた第1積層体であって、
第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2電極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ、結晶構造を含む非磁性の第1中間層と、
前記第2磁性層と前記第2電極との間に設けられ酸化物及び窒化物の少なくともいずれかを含む第1層と、
前記第1層と前記第2電極との間に設けられ前記第1層と接する非磁性層と、
を含む第1積層体と、
を含む第1センサ素子と、
電線と、
を備え、
前記第2磁性層の磁化は、前記電線を流れる電流によって生じる磁界に応じて変化し、
前記第2磁性層の少なくとも一部は、アモルファスであり、ホウ素を含み、
前記第2磁性層は、第1部分と、前記第1部分と前記第1層との間に位置する第2部分と、を含み、
前記第1部分におけるホウ素の濃度は、前記第2部分におけるホウ素濃度よりも低い電流センサ。 - 前記第2磁性層の少なくとも一部に含まれるホウ素の濃度は、5原子パーセント以上35原子パーセント以下である請求項1記載の電流センサ。
- 前記第2部分は、アモルファスである請求項1または2記載の電流センサ。
- 前記第1層は、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Zn、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる第1群から選択された少なくともいずれかの元素を含む酸化物材料、または、第1群から選択された少なくともいずれかの元素を含む窒化物材料、を含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の電流センサ。
- 前記第1センサ素子は、前記電線の延在する方向と交差する方向において、前記電線と並ぶ請求項1〜4のいずれか1つに記載の電流センサ。
- 第3電極と、
第4電極と、
前記第3電極と前記第4電極との間に設けられた第2積層体であって、
第3磁性層と、
前記第3磁性層と、前記第4電極との間に設けられた第4磁性層と、
前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた非磁性の第2中間層と、
を含む第2積層体と、
を含む第2センサ素子をさらに備え、
前記第4磁性層の磁化は、前記磁界に応じて変化し、
前記第4磁性層の少なくとも一部は、アモルファスである請求項1〜5のいずれか1つに記載の電流センサ。 - 第3電極と、
第4電極と、
前記第3電極と前記第4電極との間に設けられた第2積層体であって、
第3磁性層と、
前記第3磁性層と、前記第4電極との間に設けられた第4磁性層と、
前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた非磁性の第2中間層と、
を含む第2積層体と、
を含む第2センサ素子をさらに備え、
前記第4磁性層の磁化は、前記磁界に応じて変化し、
前記第4磁性層の少なくとも一部は、5原子パーセント以上35原子パーセント以下のホウ素を含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の電流センサ。 - 前記第2積層体は、前記第4磁性層と前記第4電極との間に設けられ酸化物及び窒化物の少なくともいずれかを含む第2層をさらに含む請求項6または7記載の電流センサ。
- 前記第2層は、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Zn、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる第1群から選択された少なくともいずれかの元素を含む酸化物材料、または、第1群から選択された少なくともいずれかの元素を含む窒化物材料、を含む請求項8記載の電流センサ。
- 前記第2センサ素子は、前記電線の延在する方向と交差する方向において、前記電線と並ぶ請求項6〜9のいずれか1つに記載の電流センサ。
- 前記第1センサ素子と前記電流の流れる電線との間の距離は、前記第2センサ素子と前記電線との間の距離よりも短い請求項6〜10のいずれか1つに記載の電流センサ。
- 前記第1センサ素子は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ前記第1電極から前記第2電極へ向かう第1方向と交差する第2方向において前記第1積層体と並ぶ第1磁性バイアス層をさらに含む請求項6〜11のいずれか1つに記載の電流センサ。
- 前記第2センサ素子は、
前記第3電極と前記第4電極との間に設けられ、前記第3電極から前記第4電極へ向かう第3方向と交差する第4方向において前記第2積層体と並ぶ第2磁性バイアス層をさらに含み、
前記第1磁性バイアス層と前記第1積層体との間の距離は、前記第2磁性バイアス層と前記第2積層体との間の距離よりも短い請求項12記載の電流センサ。 - 前記第2センサ素子は、
前記第3電極と前記第4電極との間に設けられ、前記第3電極から前記第4電極へ向かう第3方向と交差する第4方向において前記第2積層体と並ぶ第2磁性バイアス層をさらに含み、
前記第1磁性バイアス層の磁気膜厚は、前記第2磁性バイアス層の磁気膜厚よりも厚い請求項12記載の電流センサ。 - 前記第1センサ素子は、
前記第2電極と前記第2磁性層との間に設けられ、非磁性の分離層と、
前記分離層と前記第2電極との間に設けられたバイアス磁性層と、
前記バイアス磁性層と前記第2電極との間に設けられ、前記バイアス磁性層の磁化方向を固着するバイアスピニング層と、
をさらに含む請求項1〜11記載のいずれか1つに記載の電流センサ。 - 前記第1センサ素子から得られる第1信号と、前記第2センサ素子から得られる第2信号と、を処理する処理部をさらに備えた請求項6〜14のいずれか1つに記載の電流センサ。
- 前記処理部は、
前記第1信号を増幅するアンプと、
前記増幅された前記第1信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル出力変換部と、
前記デジタル信号を保持するメモリ部と、
前記デジタル信号を送信する通信回路と、
を含む請求項16記載の電流センサ。 - 前記処理部は、前記第1信号及び前記第2信号の少なくともいずれかにより求められた前記電流の大きさに基づいて、前記第1信号及び前記第2信号のいずれかに基づく信号を出力する請求項16記載の電流センサ。
- 前記処理部は、
レジスタと、
マルチプレクサと、
第1コンパレータであって、前記第1信号と予め定められた第1基準値とを比較し、第1演算値を前記レジスタへ出力する第1コンパレータと、
第2コンパレータであって、前記第2信号と予め定められた第2基準値とを比較し、第2演算値を前記レジスタへ出力する第2コンパレータと、
を含み、
前記レジスタは、前記第1演算値及び前記第2演算値に基づく素子選択値を保持し、前記素子選択値を前記マルチプレクサに出力し、
前記マルチプレクサは、前記素子選択値、前記第1信号及び前記第2信号、に基づく信号を出力する請求項16記載の電流センサ。 - 請求項1〜19のいずれか1つに記載の電流センサと、
筺体と、
前記電線と前記筺体との相対的な位置を規定する第1支持部と、
前記電流センサと前記筺体との相対的な位置を規定する第2支持部と、
を備えた電流センサモジュール。 - 前記第1磁性層から前記第2磁性層へ向かう方向は、前記電線の延在する方向と平行であり、
前記第2磁性層の前記磁化の方向は、前記電流が流れていないときに、前記電線から前記第1センサ素子へ向かう方向と、平行である請求項20に記載の電流センサモジュール。 - 前記第1磁性層から前記第2磁性層へ向かう方向は、前記電線の延在する方向と垂直であり、
前記第2磁性層の前記磁化の方向は、前記電流が流れていないときに、前記電線の延在する方向と、平行である請求項20に記載の電流センサモジュール。
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