JP6199730B2 - 電流センサ及び電流センサモジュール - Google Patents

電流センサ及び電流センサモジュール Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、電流センサ及び電流センサモジュールに関する。
スピン技術を用いた電流センサが提案されている。電流センサは、例えば、スマートメータやHEMS(Home Energy Management System)に用いられる。広いダイナミックレンジにおいて、このような電流センサの精度を向上させることが望まれる。
特許第5250109号公報
本発明の実施形態は、高精度の電流センサを提供する。
本発明の実施形態によれば、第1センサ素子と、電線と、を含む電流センサが提供される。前記第1センサ素子は、第1電極と、第2電極と、第1積層体と、を含む。前記第1積層体は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる。前記第1積層体は、第1磁性層と、第2磁性層と、非磁性の第1中間層と、第1層と、非磁性層と、を含む。前記第2磁性層は、前記第1磁性層と、前記第2電極との間に設けられる。前記第1中間層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ、結晶構造を含む。前記第1層は、前記第2磁性層と前記第2電極との間に設けられ酸化物及び窒化物の少なくともいずれかを含む。前記非磁性層は、前記第1層と前記第2電極との間に設けられ前記第1層と接する。前記第2磁性層の磁化は、前記電線を流れる電流によって生じる磁界に応じて変化する。前記第2磁性層の少なくとも一部は、アモルファスであり、ホウ素を含む。前記第2磁性層は、第1部分と、前記第1部分と前記第1層との間に位置する第2部分と、を含む。前記第1部分におけるホウ素の濃度は、前記第2部分におけるホウ素濃度よりも低い。
図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態に係る電流センサを示す模式的斜視図である。 第1の実施形態に係る電流センサの一部を示す模式的斜視図である。 図3(a)及び図3(b)は、電流センサの特性を示すグラフ図である。 図4(a)及び図4(b)は、電流センサの特性を示すグラフ図である。 電流センサの特性を示すグラフ図である。 電流センサにおけるノイズの測定を示す模式図である。 図7(a)〜図7(d)は、第1の実施形態に係る電流センサの特性を示す顕微鏡像である。 図8(a)〜図8(d)は、電流センサの特性を示す顕微鏡像である。 図9(a)及び図9(b)は、第1の実施形態に係る電流センサの特性を示す模式図である。 図10(a)及び図10(b)は、電流センサの特性を示す模式図である。 第1の実施形態に係る電流センサを示す模式図である。 第1の実施形態に係る電流センサの特性を示す顕微鏡像である。 図13(a)及び図13(b)は、第1の実施形態に係る電流センサの特性を示す模式図である。 第1の実施形態に係る電流センサの一部を示す模式的斜視図である。 第1の実施形態に係る電流センサの一部を示す模式的斜視図である。 第1の実施形態に係る電流センサの一部を示す模式的斜視図である。 第1の実施形態に係る電流センサの一部を示す模式的斜視図である。 第1の実施形態に係る電流センサの一部を示す模式的斜視図である。 図19(a)〜図19(c)は、第2の実施形態に係る電流センサを示す模式的斜視図である。 図20(a)及び図20(b)は、第2の実施形態に係る電流センサを示す模式図である。 第2の実施形態に係る電流センサを示す模式的斜視図である。 第2の実施形態に係る電流センサを示す模式的斜視図である。 図23(a)〜図23(c)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールを示す模式図である。 図24(a)〜図24(c)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールの動作を示す模式図である。 図25(a)〜図25(c)は、第3の実施形態に係る別の電流センサモジュールを示す模式図である。 図26(a)〜図26(c)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールの動作を示す模式図である。 図27(a)〜図27(c)は、第3の実施形態に係る別の電流センサモジュールを示す模式図である。 図28(a)および図28(b)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールに用いられるセンサ素子を示す模式的斜視図である。 第3の実施形態に係る電流センサモジュールの構成を示す模式的斜視図である。 図30(a)〜図30(j)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールの製造方法を示す模式図である。 図31(a)〜図31(c)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールを示す模式図である。 図32(a)〜図32(c)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールの動作を示す模式図である。 図33(a)及び図33(b)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールを示す透視平面図である。 第3の実施形態に係る電流センサモジュールを示す透視平面図である。 第3の実施形態に係る電流センサを示す模式図である。 図36(a)〜図36(d)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールの動作を示す模式図である。 第3の実施形態に係る電流センサモジュールの動作を示す模式図である。 第3の実施形態に係る電流センサを示す模式図である。 第3の実施形態に係る電流センサモジュールを示す模式図である。 図40(a)〜図40(c)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールを示す模式図である。 図41(a)〜図41(d)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールを示す模式図である。
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態に係る電流センサを例示する模式的斜視図である。
図1(a)は、第1の実施形態に係る電流センサ200の構成を例示している。
図1(a)に表したように、実施形態に係る電流センサ200は、センサ素子50(第1センサ素子51)を含む。電流センサ200は、電線70(電流線)をさらに含んでもよい。この例では、センサ素子50は、電線70の延在する方向に対して交差する方向において、電線70と並ぶ(例えば、離間する)。電流センサ200は、電線70に流れる電流を検知する。
電線70には、例えば、電流I1が流れる。電流I1によって、電線70の周りに磁界H1が生じる。電流センサ200は、磁界H1を用いて電線70に流れる電流I1を検知する。
図1(b)は、センサ素子50(第1センサ素子51)の構成を例示する模式的斜視図である。
図1(b)に表したように、第1センサ素子51は、第1電極E1と、第2電極E2と、第1積層体10sと、を含む。
第1積層体10sは、第1電極E1と、第2電極E2と、の間に設けられる。第1積層体10sは、第1磁性層10と、第2磁性層20と、中間層30(第1中間層)と、を含む。
第1磁性層10は、第1電極E1と第2電極E2との間に設けられる。第2磁性層20は、第1磁性層10と第2電極E2との間に設けられる。中間層30は、第1磁性層10と第2磁性層20との間に設けられる。
第1磁性層10から第2磁性層20へ向かう方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直で、Z軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
この例では、電線70の延在する方向は、Z軸方向に沿う。電線70の延在する方向は、X軸方向に沿ってもよい。但し、実施形態においては、電線70の延在する方向は、上記に限られない。
第2磁性層20は、アモルファス部分を含む。第2磁性層20は、例えば、ホウ素(B)を含む。第2磁性層20の磁化(の方向)は、可変である。第2磁性層20の磁化は、磁界H1に応じて変化する。第2磁性層20は、例えば、アモルファス構造を有する。後述するように、第2磁性層20は、アモルファス部分と、結晶部分と、を含んでも良い。すなわち、第2磁性層20の少なくとも一部は、アモルファスである。
中間層30は、例えば、非磁性層である。第2磁性層20は、例えば、磁化自由層である。第1磁性層10は、例えば、参照層である。参照層として、磁化固定層、または、磁化自由層が用いられる。例えば、第2磁性層20の磁化の変化は、第1磁性層10の磁化の変化よりも容易である。磁界H1が生じたときに、第1磁性層10の磁化と第2磁性層10の磁化との間の相対角度は、変化する。
第1電極E1と第2電極E2との間に電圧を印加することで、第1磁性層10、中間層30、第2磁性層20を含む第1積層体10sに電流を流すことができる。電流は、第1磁性層10と第2磁性層20との間において、例えば、Z軸方向に沿っている。これにより、センサ素子50における電気抵抗を測定することができる。センサ素子50における電気抵抗は、磁界H1によって変化する。この電気抵抗の変化を用いて、電線70に流れる電流I1を検知する。
センサ素子が、センサとして機能する動作は、「磁気抵抗効果」の応用に基づく。「磁気抵抗効果」は、例えば、磁化自由層と中間層と参照層(例えば磁化固定層)との積層膜において発現する。磁化自由層に磁界が印加されると、磁化自由層における磁化の方向が変化する。その結果、磁化自由層の磁化と参照層(例えば磁化固定層)の磁化との間の相対角度が変化する。この際に「磁気抵抗効果(MR効果)」により、電気抵抗の変化が引き起こされる。MR効果は、例えば、GMR(Giant magnetoresistance)効果、または、TMR(Tunneling magnetoresistance)効果などを含む。第1積層体10sに電流を流すことで、磁化の向きの相対角度の変化を電気抵抗変化として読み取ることで、MR効果が発現する。例えば、第1積層体10sに磁界H1が印加され、磁界H1によって第2磁性層20(磁化自由層)の磁化の向きが変化する。第2磁性層20の磁化の向きと、第1磁性層10(参照層)の磁化の向きと、の相対角度が変化する。すなわち、電線70を流れる電流I1によって生じる磁界H1によってMR効果が発現する。
磁化自由層と中間層と参照層(例えば磁化固定層)との積層体の材料の組み合わせが正の磁気抵抗効果を有する場合は、磁化自由層と磁化固定層の相対角度が小さい場合に電気抵抗が減少する。磁化自由層と中間層と磁化固定層との積層体の材料の組み合わせが負の磁気抵抗効果を有する場合は、磁化自由層と磁化固定層の相対角度が小さい場合に電気抵抗が増大する。
センサ素子50の例について説明する。
以下において、「材料A/材料B」の記載は、材料Aの層の上に、材料Bの層が設けられている状態を示す。
図2は、第1の実施形態に係る電流センサの一部を例示する模式的斜視図である。
図2に表したように、本実施形態に用いられるセンサ素子50(センサ素子51a)は、第1電極E1と、下地層10lと、ピニング層10pと、第1磁性層10と、中間層30と、第2磁性層20と、機能層25と、キャップ層26cと、を含む。第1電極E1と第1磁性層10との間に下地層10lが設けられる。下地層10lと第1磁性層10との間に、ピニング層10pが設けられる。第2電極E2と第2磁性層20との間に、機能層25が設けられる。機能層25と第2電極E2との間に、キャップ層26cが設けられる。この例では、第1磁性層10は、第1磁化固定層10iと、第2磁化固定層10jと、磁気結合層10kと、を含む。第2磁化固定層10jと中間層30との間に第1磁化固定層10iが設けられる。第2磁化固定層10jと、第1磁化固定層10iと、の間に、磁気結合層10kが設けられる。
下地層10lには、例えば、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さ(Z軸方向の長さ)は、例えば、3ナノメートル(nm)である。このRu層の厚さは、例えば、2nmである。
ピニング層10pには、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。
第2磁化固定層10jには、例えば、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。
磁気結合層10kには、例えば、0.9nmの厚さのRu層が用いられる。
第1磁化固定層10iには、例えば、3nmの厚さのCo40Fe4020層が用いられる。
中間層30には、例えば、1.6nmの厚さのMg−O層が用いられる。
第2磁性層20には、例えば、4nmの厚さのCo40Fe4020が用いられる。
機能層25には、例えば、1.5nmの厚さのMg−O層が用いられる。
キャップ層26cには、例えばTa/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
第1電極E1及び第2電極E2には、例えば、金属が用いられる。
以下、実施形態に係るセンサ素子の特性の例について説明する。
第1試料S01に含まれる各層の材料と厚さは、以下である。
下地層10l :Ta(1nm)/Ru(2nm)
ピニング層10p :Ir22Mn78 (7nm)
第2磁化固定層10j :Co75Fe25 (2.5nm)
磁気結合層10k :Ru (0.9nm)
第1磁化固定層10i :Co40Fe4020 (3nm)
中間層30 :Mg−O (1.6nm)
第2磁性層20 :Co40Fe4020 (4nm)
機能層25 :Mg−O (1.5nm)
キャップ層26c :Cu(1nm)/Ta(20nm)/Ru(50nm)
第1試料S01においては、第2磁性層20は、アモルファス部分を含む。例えば、機能層25を設けることによって、第2磁性層20をアモルファスとすることができる。
参考例の第2試料S02においては、第2磁性層20は、アモルファス部分を含まない。例えば、第2試料S02には機能層25が設けられない。これ以外の第2試料S02の構成は、第1試料S01と同じである。
上記の積層膜は、第1電極E1の上に形成され、積層膜の上に、第2電極E2が形成される。上記の積層膜(第1試料S01及び第2試料S02)は、ドット形状の素子に加工されている。積層膜(試料)の素子サイズは、20μm×20μmである。第1電極E1と第2電極E2との間の、垂直通電特性が評価される。
図3(a)及び図3(b)は、電流センサの特性を例示するグラフ図である。
図3(a)は、第1試料S01における電気抵抗の磁場依存性を例示している。図3(b)は、第2試料S02における電気抵抗の磁場依存性を例示している。
これらの図の横軸は、外部磁場H(エルステッド:Oe)である。縦軸は、電気抵抗R(オーム:Ω)である。測定時の外部磁場Hの方向は、第1磁化固定層10iの層面内で、平行な方向である。負の外部磁場Hは、第1磁化固定層10iの磁化の方向と、同じ方向の磁場に対応する。
図3(a)及び図3(b)に表したように、第1試料S01におけるR−Hループの形状と、第2試料S02におけるR−Hループの形状と、は、異なる。磁化が飽和していない領域において、第1試料S01の外部磁場に対する変化は、第2試料S02の外部磁場に対する変化よりも低磁場で生じるとともに、角型性がよく急峻である。このような良好な特性はセンサのしての線形性(リニアリティー)の向上につながる特性である。。第1試料S01の軟磁気特性は、第2試料S02の軟磁気特性よりも良好である。例えば、磁化自由層(第2磁性層20)がアモルファスを含むことで、軟磁気特性が向上する。これは、結晶粒に基づく磁気異方性のばらつきが低減されることに基づく。具体的には、磁化自由層の磁化容易軸の保磁力Hcが小さくなることが分かる。第1試料S01における軟磁気特性と、参考例の第2試料S02における軟磁気特性との差は、明瞭である。本発明による特性の向上は、明瞭である。これは、弱い磁界においても磁化自由層の不要な磁気異方性の影響を受けずに、磁化方向が変化可能であることを意味する。
図4(a)及び図4(b)は、電流センサの特性を例示するグラフ図である。
図4(a)は、第1試料S01における磁化Bと外部磁場Hとの関係を例示している。
図4(b)は、参考例の第2試料S02における磁化Bと外部磁場Hとの関係を例示している。
図4(a)及び図4(b)においては、磁化自由層の磁化困難軸方向に磁場が印加されている。
図4(a)に表したように、第1試料S01においては、磁化困難軸方向においても直線性のよい、良好な線形性(リニアリティー)の応答が得られており、磁気異方性が適切に付与されていることがわかる。これはアナログ値を読むことが必要とされるアナログセンサとしては、極めて重要な指標である。
一方、図4(b)に表したように、磁化自由層に結晶のCoFeBが用いられた参考例の第2試料S02においては、困難軸方向のB−Hループでも保持力が生じている。これでは、アナログセンサとして活用することはできない。
本実施形態のように磁化自由層がアモルファスのCoFeBを含む場合には、保持力が小さく(無く)、B−Hループは良好な線形性を示す。これは、例えば、成膜時の磁場中成膜によって付与された誘導磁気異方性に起因する。誘導磁気異方性は、成膜後のポスト処理の磁場中アニールによっても追加付与される場合がある。第1試料S01は、例えば、300℃において磁場中でアニールされる。例えば、容易軸方向の保磁力Hcが小さい場合には、どの方向にも異方性が付与されない可能性もある。しかし、実施形態においては、図4(a)に表したように、保磁力Hcが小さいまま、磁気異方性が適切に付与されていることがわかる。参考例との差、及び、本発明による特性の向上は、明瞭である。
なお、図4(a)及び図4(b)は、磁化自由層に磁場バイアスが付与されないシート膜を用いた場合の特性を例示している。実際の電流センサには、ハードバイアス膜やインスタックバイアスなどのバイアス機構が設けられる。これにより、さらに良好な線形性を示す特性となる。
一方、MR変化率は、アモルファス構造とすることで低下する。参考例の結晶構造をもつ磁化自由層を用いた場合は、MR変化率は、200%程度である。それに対し、実施形態のようにアモルファス構造の磁化自由層を用いた場合は、MR変化率は、例えば、150%程度に低下する。
中間層にMgOを用いた場合には、磁化自由層の結晶化を促進しないとMR変化率が増大しないことが知られている。HDD(Hard Disk Drive)の磁気ヘッド、及び、MRAM(Magnetic Random Access Memory)では、このMR変化率の低下は、致命的な欠点となる。これは、HDDヘッド及びMRAMは、”0”か”1”かのデジタル信号を読むデバイスであるためである。このため、HDDヘッド及びMRAMにおいては、MR変化に基づく出力信号の強度が、そのままデバイスの性能に直結する。
しかし、実施形態に係る電流センサのように、電流による磁界の大きさを検知するアナログセンサの用途においては、MR変化率の大きさが最大の性能指標とはならない。アナログセンサにおいてもMR変化率が大きいことが望ましいことは、同様である。しかし、アナログセンサは、”0”か”1”かの1bitの情報を読むデバイスではない。アナログセンサは、磁化自由層の磁化アライメントに基づく低抵抗状態と高抵抗状態との間の変化をアナログ値として検知する。このアナログ値は、デジタル値に変換した場合に、例えば、16bit〜24bitに相当する。アナログセンサは、このような非常に高精度な検知を求められる。アナログセンサは、HDDヘッド及びMRAMのように、1bitの情報を検知するためのデバイスとは対照的である。アナログセンサに求められる性能は、HDDヘッド及びMRAMに求められる性能と、大きく異なる。このようなアナログセンサは、16bit〜24bitのデジタル情報に相当する膨大な情報を識別することが求められる。このため、単なる出力の大きさという指標だけでなく、図4(a)及び図4(b)に表したような困難軸方向の線形応答性(リニアリティー)が良好であることが非常に重要である。困難軸方向の線形応答性において、いかに多くの領域がヒステリシスなく反応するかによって、アナログセンサの性能が決まる。図4(a)及び図4(b)に表したように、磁化自由層がアモルファスを含む場合には、参考例に比べて大きく特性が改善する。このため、MR変化率が200%から150%へと3/4に低下したとしても、アモルファスを含む磁化自由層の方が望ましいことを本発明者は、見出した。これは、従来のHDDヘッドの分野またはMRAMの分野で議論されている方向性とは全く逆の方向性である。
HDDヘッド及びMRAMなどの分野においては、線形応答性(リニアリティー)の良し悪しよりも、出力が大きいことが重要であるので、MR変化率が低下しないような工夫が非常に重要となっている。
図5は、電流センサの特性を例示するグラフ図である。
図5は、第1試料S01を用いた電流センサにおけるノイズと、第2試料S02を用いた電流センサにおけるノイズを例示している。実施形態のようにアモルファス構造を含む磁化自由層を用いることで、上述のような線形性の改善に加え、ノイズが著しく低減されることを実験的に見出した。アナログセンサの場合には、16〜24bitのデジタル情報量に相当する情報を検知する。このため、センサ自体のノイズを大きく低減させることが強く求められる。MR変化率が3/4倍程度に低減することを、大きく上回るメリットを実験的に確認することができた。MR変化率が3/4倍に低減するこということは、信号出力が3/4倍になることを意味する。これは、信号出力の低下に伴いSNR(Signal to Noise Ratio)が2.5dB低下することに相当する。一方、ノイズの低減は、実験的に7dB〜11dBにも相当した。つまり、信号出力の低下によってSNRが2.5dB低下したとしても、ノイズの低減を考慮すると、SNRは4.5dB〜8.5dB程度改善する。実施形態においては、上述のような線形性の改善に加え、SNRが4.5dB〜8.5dB程度改善するという大きなメリットが生じる。
以下に実験概要について詳述する。
磁化自由層がアモルファス構造を含む第1試料S01と、磁化自由層が結晶構造である参考例の第2試料S02と、の比較を行った。
図6は、電流センサにおけるノイズの測定を例示する模式図である。
図6に表したように、定電流源81において一定のDC電流を電流センサ200aに通電し、電流センサ200aの両端に電圧を発生させる。増幅回路82を用いて、発生した電流センサの両端の電圧を、測定可能な電圧まで増幅する。FFTアナライザ83を用いて、パワースペクトル測定を行う。なお、高精度の測定を行えるように、定電流源及び増幅回路は、電池により駆動させる。
実施形態に係る電流センサの自己ノイズにおいては、3つのノイズが支配的である。3つのノイズは、2つの周波数無相関ノイズ及び1つの周波数相関ノイズである。
本実施形態に係る電流センサは、例えば、トンネル伝導を用いた可変抵抗体である。周波数無相関ノイズには、抵抗値によって決まるジョンソンノイズ(熱ノイズ)と、抵抗値と電流値によって決まるショットノイズと、がある。そのため、周波数無相関ノイズは、抵抗値及び電流値によって、(例えば一意に)決定される。
実施形態に係る電流センサにおける周波数有相関ノイズは、例えば、CMOSトランジスタと同様に素子電圧(素子抵抗×電流値)、素子サイズ及び物性値パラメータ(hoogle value)によって決まるフリッカノイズである。そのため、周波数無相関ノイズは、抵抗値、電流値、素子サイズ及び物性値パラメータによって、(例えば一意に)決定される。
本ノイズ測定においては、第1試料S01における抵抗値、電流値、及び素子サイズは、それぞれ、第2試料S02における抵抗値、電流値、及び素子サイズと実質的に同じに設定される。そのため、第1試料S01におけるノイズと、第2試料S02におけるノイズとの差は、物性値パラメータの差を表している。
図5の縦軸は、増幅後のノイズ出力Noise (dBrms/√Hz)である。図5の横軸は、サンプルの違いを表す。図5に表したように、第1試料S01のノイズは、第2試料S02のノイズよりも、7.6dB〜11.3dB程度低い。これは、第1試料S01の1/fノイズパラメータ(Hooge value)は、第2試料S02の物性値パラメータよりも低いことを表している。
図5に表したように、第1試料S01においては、第2試料S02におけるよりも、ノイズNが7.6dB〜11.3dB程度低い。このように、磁化自由層(第2磁性層20)をアモルファスとすることで、軟磁気特性が向上し、ノイズを抑制することができる。
例えば、第2試料S02のような磁化自由層がアモルファスを含まない積層体は、比較的感度が高い。このため、磁化自由層がアモルファスを含まない積層体は、広く用いられている。例えば、この積層体は、ハードディスクの磁気ヘッドなどに用いられている。
一方、アナログセンサにおいては、例えば、感度よりも精度を向上することが望まれる。第1試料S01は、第2試料S02と比べると軟磁気特性が良好である。第2試料S02を電流センサに用いた場合、高精度で電流を検知することが難しい場合がある。これに対して、実施形態においては、磁化自由層をアモルファスとすることで、MR効果のリニアリティが向上し、ノイズが抑制される。第1試料S01を、電流センサのようなアナログセンサに用いることで、高精度な検知を実現することができる。
図7(a)〜図7(d)は、第1の実施形態に係る電流センサの特性を例示する顕微鏡像である。
図7(a)は、第1試料S01のセンサ素子の断面透過型電子顕微鏡(断面TEM)写真像である。図7(a)は、第1試料S01の積層構造の写真である。
図7(b)〜図7(d)は、それぞれ、図7(a)の点P1〜P3についての、電子線のナノディフラクションによる結晶格子回折像である。
図7(a)においては、第2磁化固定層10j(Co50Fe50層)の一部からキャップ層26c(Ru層)の一部までを含めた領域が示されている。
図7(a)からわかるように、第1磁化固定層10i(Co−Fe−B層)は、結晶部分を含んでいる。中間層30(Mg−O層)も結晶である。一方、中間層30と機能層25(Mg−O層)に挟まれた第2磁性層20(磁化自由層であるCo−Fe−B層)の大部分においては、原子の規則的な配列が観察されない。すなわち、第2磁性層20は、アモルファスである。
結晶格子回折像により、結晶状態が確認できる。図7(a)における点P1〜P3の結晶格子回折像が、図7(b)〜図7(d)にそれぞれ示されている。点P1は、第1磁化固定層10iに対応する。点P2は、中間層30に対応する。点P3は、第2磁性層20(磁化自由層)に対応する。
図7(b)に示すように、第1磁化固定層10i(Co−Fe−B層)に対応する点P1の回折像において、回折スポットが観察される。この回折スポットは、第1磁化固定層10iが結晶構造を有していることに起因する。
図7(c)に示すように、中間層30(Mg−O層)に対応する点P2の回折像において、回折スポットが観察されている。この回折スポットは、中間層30が結晶構造を有していることに起因する。
一方、図7(d)に示すように、第2磁性層20(磁化自由層のCo−Fe−B層)に対応する点P3の回折像においては、明確な回折スポットが観察されない。この回折像においては、アモルファス構造を反映したリング状の回折像が観察されている。この結果から、第1試料S01の第2磁性層20(磁化自由層のCo−Fe−B層)が、アモルファス部分を含んでいることがわかる。
図8(a)〜図8(d)は、電流センサの特性を例示する顕微鏡像である。
図8(a)は、第2試料S02のセンサ素子の断面透過型電子顕微鏡(断面TEM)写真像である。図8(b)〜図8(d)は、それぞれ、図8(a)の点P4〜P6についての、電子線のナノディフラクションによる結晶格子回折像である。
図8(a)からわかるように、第1磁化固定層10i(Co−Fe−B層)は結晶部分を含み、中間層30(Mg−O層)も結晶である。そして、中間層30の上の第2磁性層20(磁化自由層であるCo−Fe−B層)も、結晶部分を多く含んでいる。
図8(b)に示すように、第1磁化固定層10i(Co−Fe−B層)の回折像において、結晶構造に起因する回折スポットが確認される。
図8(c)に示すように、中間層30(Mg−O層)の回折像において、結晶構造に起因した回折スポットが確認される。
図8(d)に示すように、第2磁性層20(磁化自由層のCo−Fe−B層)の回折像においても、結晶構造に起因する回折スポットが確認される。この結果から、第2試料S02の第2磁性層20(磁化自由層のCo−Fe−B層)の大部分は、結晶構造を有していることがわかる。
図7(a)〜図7(d)からわかるように、良好な軟磁気特性を示す第1試料S01の磁化自由層は、アモルファス構造を含んでいる。一方、図8(a)〜図8(d)からわかるように、第2試料S02の磁化自由層は、結晶構造を有している。
本明細書において、結晶構造及びアモルファス構造は、上述のように、回折スポット測定によって、スポット状になるか、リング状になるかで区別される。アモルファス構造においては、その領域の回折を観測したときにリング状になる。
第1試料S01及び第2試料S02の磁化自由層の結晶状態に違いについて、さらに説明する。
図9(a)、図9(b)、図10(a)及び図10(b)は、電流センサの特性を例示する模式図である。
図9(b)は、図7(a)の一部に対応し、図10(b)は、図8(a)の一部に対応する。
図9(a)及び図10(a)は、電子エネルギー損失分光法(Electron Energy-Loss Spectroscopy:EELS)による、試料の元素のデプスプロファイルの評価結果である。図9(a)は、第1試料S01に対応し、図7(a)に示した線L1における元素のデプスプロファイルを示す。図10(b)は、第2試料S02に対応し、図8(a)に示した線L2における元素のデプスプロファイルを示す。これらの図において、横軸は、元素の検出の強度Int(任意単位)である。縦軸は、深さDp(nm)である。深さDpは、例えば、Z軸方向における距離に対応する。これらの図においては、鉄、ホウ素及び酸素に関するデプスプロファイルが示されている。
図10(a)に示したように、第2試料S02においては、キャップ層26cにおけるホウ素の強度Intが、第2磁性層20(磁化自由層であるCo−Fe−B層)におけるホウ素の強度Intよりも高い。第2磁性層20において、キャップ層26c側の側の部分におけるホウ素の強度Intは、第2磁性層20の中央部分におけるホウ素の強度Intよりも高い。ホウ素が、第2磁性層20からキャップ層26c側に拡散しており、第2磁性層20におけるホウ素の濃度が低下していると考えられる。
一方で、図9(a)に示したように、第1試料S01においては、第2磁性層20(磁化自由層のCo−Fe−B層)の中央部分において、ホウ素のピークが生じている。そして、キャップ層26cのホウ素含有量は少ない。第2磁性層20(磁化自由層のCo−Fe−B層)のホウ素濃度は、他の層にほとんど拡散せずに成膜時の初期状態を維持している。例えば、機能層25によって、第2磁性層20からのホウ素の拡散が抑制される。
上記の結果から、機能層25を設けない第2試料S02のCo40Fe4020層における結晶化が、第1試料S01のCo40Fe4020層よりも進行していると言える。すなわち、第1試料S01においては、Co40Fe4020層は、アモルファス構造を維持している。一方、第2試料S02においては、結晶化が進行している。例えば、実施形態において、第2磁性層20は、ホウ素を含む。これにより、第2磁性層20はアモルファス構造を維持する。
以下、実施形態に係るセンサ素子の例について説明する。
第1電極E1及び第2電極E2には、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム銅合金(Al−Cu)、銅(Cu)、銀(Ag)、及び、金(Au)の少なくともいずれかが用いられる。第1電極E1及び第2電極E2として、このような電気抵抗が比較的小さい材料を用いることで、センサ素子51aに効率的に電流を流すことができる。第1電極E1には、非磁性材料を用いることができる。第1電極E1は、例えば、第1電極E1用の下地層(図示せず)と、第1電極E1用のキャップ層(図示せず)と、それらの間に設けられた、Al、Al−Cu、Cu、Ag、及び、Auの少なくともいずれかの層と、を含んでも良い。下地層及びキャップ層には、例えば、Ta、TiまたはTiNなどが用いられる。
下地層10lには、例えば、バッファ層(図示せず)と、シード層(図示せず)と、を含む積層構造を用いることができる。このバッファ層は、例えば、第1電極E1の表面の荒れを緩和し、このバッファ層の上に積層される層の結晶性を改善する。バッファ層として、例えば、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)及びクロム(Cr)よりなる群から選択された少なくともいずれかが用いられる。バッファ層として、これらの材料から選択された少なくとも1つの材料を含む合金を用いても良い。
下地層10lのうちのバッファ層の厚さは、1nm以上10nm以下が好ましい。バッファ層の厚さは、1nm以上5nm以下がより好ましい。バッファ層の厚さが薄すぎると、バッファ効果が失われる。バッファ層の厚さが厚すぎると、センサ素子51aの厚さが過度に厚くなる。バッファ層の上にシード層が形成され、そのシード層がバッファ効果を有することができる。この場合、バッファ層は省略しても良い。バッファ層には、例えば、3nmの厚さのTa層が用いられる。
下地層10lのうちのシード層は、このシード層の上に積層される層の結晶配向を制御する。このシード層は、このシード層の上に積層される層の結晶粒径を制御する。このシード層として、fcc構造(face-centered cubic structure:面心立方格子構造)、hcp構造(hexagonal close-packed structure:六方最密格子構造)またはbcc構造(body-centered cubic structure:体心立方格子構造)の金属等が用いられる。
下地層10lのうちのシード層として、hcp構造のルテニウム(Ru)、または、fcc構造のNiFe、または、fcc構造のCuを用いることにより、例えば、シード層の上のスピンバルブ膜の結晶配向をfcc(111)配向にすることができる。シード層には、例えば、2nmの厚さのCu層、または、2nmの厚さのRu層が用いられる。シード層の上に形成される層の結晶配向性を高める場合には、シード層の厚さは、1nm以上5nm以下が好ましい。シード層の厚さは、1nm以上3nm以下がより好ましい。これにより、結晶配向を向上させるシード層としての機能が十分に発揮される。
一方、例えば、シード層の上に形成される層を結晶配向させる必要がない場合(例えば、アモルファスの磁化自由層を形成する場合など)には、シード層は省略しても良い。シード層としては、例えば、2nmの厚さのRu層が用いられる。
ピニング層10pは、例えば、ピニング層10pの上に形成される第1磁性層10(強磁性層)に、一方向異方性(unidirectional anisotropy)を付与して、第1磁性層10の磁化10mを固定する。ピニング層10pには、例えば、反強磁性層が用いられる。ピニング層10pには、例えば、Ir―Mn、Pt―Mn、Pd―Pt―Mn及びRu―Rh―Mnよりなる群から選択された少なくともいずれかが用いられる。十分な強さの一方向異方性を付与するために、ピニング層10pの厚さは適切に設定される。
ピニング層10pとして、PtMnまたはPdPtMnが用いられる場合には、ピニング層10pの厚さは、8nm以上20nm以下が好ましい。ピニング層10pの厚さは、10nm以上15nm以下がより好ましい。ピニング層10pとしてIrMnを用いる場合には、ピニング層10pとしてPtMnを用いる場合よりも薄い厚さで、一方向異方性を付与することができる。この場合には、ピニング層10pの厚さは、4nm以上18nm以下が好ましい。ピニング層10pの厚さは、5nm以上15nm以下がより好ましい。ピニング層10pには、例えば、7nmの厚さのIr22Mn78層が用いられる。
ピニング層10pとして、ハード磁性層を用いても良い。ハード磁性層として、例えば、CoPt(Coの比率は、50at.%以上85at.%以下)、(CoPt100−x100−yCr(xは、50at.%以上85at.%以下であり、yは、0at.%以上40at.%以下)、または、FePt(Ptの比率は、40at.%以上60at.%以下)などを用いても良い。
第2磁化固定層10jには、例えば、CoFe100−x合金(xは、0at.%以上100at.%以下)、NiFe100−x合金(xは、0at.%以上100at.%以下)、または、これらに非磁性元素を添加した材料が用いられる。第2磁化固定層10jとして、例えば、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくともいずれかが用いられる。第2磁化固定層10jとして、これらの材料から選択された少なくとも1つの材料を含む合金を用いても良い。第2磁化固定層10jとして、(CoFe100−x100−y合金(xは、0at.%以上100at.%以下であり、yは、0at.%以上30at.%以下)を用いることもできる。第2磁化固定層10jとして、(CoFe100−x100−yのアモルファス合金を用いることで、センサ素子51aのサイズが小さい場合にも、センサ素子51aの特性のばらつきを抑えることができる。
第2磁化固定層10jの厚さは、例えば、1.5nm以上5nm以下が好ましい。これにより、例えば、ピニング層10pによる一方向異方性磁界の強度をより強くすることができる。例えば、第2磁化固定層10jの上に形成される磁気結合層10kを介して、第2磁化固定層10jと第1磁化固定層10iとの間の反強磁性結合磁界の強度をより強くすることができる。例えば、第2磁化固定層10jの磁気膜厚(飽和磁化Bsと厚さtとの積(Bs・t))は、第1磁化固定層10iの磁気膜厚と、実質的に等しいことが好ましい。
薄膜でのCo40Fe4020の飽和磁化は、約1.9T(テスラ)である。例えば、第1磁化固定層10iとして、3nmの厚さのCo40Fe4020層を用いると、第1磁化固定層10iの磁気膜厚は、1.9T×3nmであり、5.7Tnmとなる。一方、Co75Fe25の飽和磁化は、約2.1Tである。上記と等しい磁気膜厚が得られる第2磁化固定層10jの厚さは、5.7Tnm/2.1Tであり、2.7nmとなる。この場合、第2磁化固定層10jには、約2.7nmの厚さのCo75Fe25層を用いることが好ましい。第2磁化固定層10jとして、例えば、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。
センサ素子51aにおいては、第1磁性層10には、第2磁化固定層10jと磁気結合層10kと第1磁化固定層10iとにより、シンセティックピン構造が用いられている。第1磁性層10に、1層の磁化固定層からなるシングルピン構造を用いても良い。シングルピン構造を用いる場合には、磁化固定層として、例えば、3nmの厚さのCo40Fe4020層が用いられる。シングルピン構造の磁化固定層に用いる強磁性層として、上述した第2磁化固定層10jの材料と同じ材料を用いても良い。
磁気結合層10kは、第2磁化固定層10jと第1磁化固定層10iとの間において、反強磁性結合を生じさせる。磁気結合層10kは、シンセティックピン構造を形成する。磁気結合層10kとして、例えば、Ruが用いられる。磁気結合層10kの厚さは、例えば、0.8nm以上1nm以下であることが好ましい。第2磁化固定層10jと第1磁化固定層10iとの間に十分な反強磁性結合を生じさせる材料であれば、磁気結合層10kとしてRu以外の材料を用いても良い。磁気結合層10kの厚さは、RKKY(Ruderman-Kittel-Kasuya-Yosida)結合のセカンドピーク(2ndピーク)に対応する0.8nm以上1nm以下の厚さに設定することができる。さらに、磁気結合層10kの厚さは、RKKY結合のファーストピーク(1stピーク)に対応する0.3nm以上0.6nm以下の厚さに設定しても良い。磁気結合層10kとして、例えば、0.9nmの厚さのRuが用いられる。これにより、高信頼性の結合がより安定して得られる。
第1磁化固定層10iに用いられる磁性層は、MR効果に直接的に寄与する。第1磁化固定層10iとして、例えば、Co−Fe−B合金が用いられる。具体的には、第1磁化固定層10iとして、(CoFe100−x100−y合金(xは、0at.%以上100at.%以下であり、yは、0at.%以上30at.%以下)を用いることもできる。第1磁化固定層10iとして、(CoFe100−x100−yのアモルファス合金を用いた場合には、例えば、センサ素子51aのサイズが小さい場合においても、結晶粒に起因した素子間のばらつきを抑えることができる。
第1磁化固定層10iの上に形成される層(例えばトンネル絶縁層(図示せず))を平坦化することができる。トンネル絶縁層の平坦化により、トンネル絶縁層の欠陥密度を減らすことができる。これにより、より低い面積抵抗で、より大きいMR変化率が得られる。例えば、トンネル絶縁層の材料としてMg−Oを用いる場合には、第1磁化固定層10iとして、(CoFe100−x100−yのアモルファス合金を用いることで、トンネル絶縁層の上に形成されるMg−O層の(100)配向性を強めることができる。Mg−O層の(100)配向性をより高くすることで、より大きいMR変化率が得られる。(CoFe100−x100−yBy合金は、アニール時にMg−O層の(100)面をテンプレートとして結晶化する。このため、Mg−Oと(CoFe100−x100−y合金との良好な結晶整合が得られる。良好な結晶整合を得ることで、より大きいMR変化率が得られる。
第1磁化固定層10iとして、Co−Fe−B合金以外に、例えば、Fe−Co合金を用いても良い。
第1磁化固定層10iがより厚いと、より大きなMR変化率が得られる。より大きな固定磁界を得るためには、第1磁化固定層10iは、薄いほうが好ましい。MR変化率と固定磁界との間には、第1磁化固定層10iの厚さにおいてトレードオフの関係が存在する。第1磁化固定層10iとしてCo−Fe−B合金を用いる場合には、第1磁化固定層10iの厚さは、1.5nm以上5nm以下が好ましい。第1磁化固定層10iの厚さは、2.0nm以上4nm以下がより好ましい。
第1磁化固定層10iには、上述した材料の他に、fcc構造のCo90Fe10合金、または、hcp構造のCo、または、hcp構造のCo合金が用いられる。第1磁化固定層10iとして、例えば、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つが用いられる。第1磁化固定層10iとして、これらの材料から選択された少なくとも1つの材料を含む合金が用いられる。第1磁化固定層10iとして、bcc構造のFeCo合金材料、50at.%以上のコバルト組成を含むCo合金、または、50at.%以上のNi組成の材料(Ni合金)を用いることで、例えば、より大きなMR変化率が得られる。
第1磁化固定層10iとして、例えば、CoMnGe、CoFeGe、CoMnSi、CoFeSi、CoMnAl、CoFeAl、CoMnGa0.5Ge0.5、及び、CoFeGa0.5Ge0.5などのホイスラー磁性合金層を用いることもできる。例えば、第1磁化固定層10iとして、例えば、3nmの厚さのCo40Fe4020層が用いられる。
中間層30は、例えば、第1磁性層10と第2磁性層20との磁気的な結合を分断する。中間層30には、例えば、金属または絶縁体または半導体が用いられる。この金属としては、例えば、Cu、AuまたはAg等が用いられる。中間層30として金属を用いる場合、中間層30の厚さは、例えば、1nm以上7nm以下程度である。この絶縁体または半導体としては、例えば、マグネシウム酸化物(Mg−O等)、アルミニウム酸化物(Al等)、チタン酸化物(Ti−O等)、亜鉛酸化物(Zn−O等)、または、ガリウム酸化物(Ga−O)などが用いられる。中間層30として絶縁体または半導体を用いる場合は、中間層30の厚さは、例えば0.6nm以上2.5nm以下程度である。中間層30として、例えば、CCP(Current-Confined-Path)スペーサ層を用いても良い。スペーサ層としてCCPスペーサ層を用いる場合には、例えば、酸化アルミニウム(Al)の絶縁層中に銅(Cu)メタルパスが形成された構造が用いられる。例えば、中間層30として、1.6nmの厚さのMg−O層が用いられる。
第2磁性層20には、強磁性体材料が用いられる。本実施形態では、第2磁性層20として、ホウ素を含むアモルファス構造の強磁性材料を用いることで、良好な軟磁気特性を実現することができる。
第2磁性層20には、Fe、Co及びNiよりなる群から選択される少なくとも一つの元素とホウ素(B)とを含む合金を用いることができる。例えば、第2磁性層20には、Co−Fe−B合金、Fe−B合金、または、Fe−Co−Si−B合金などを用いることができる。例えば、第2磁性層20には、4nmの厚さのCo40Fe4020層を用いることができる。
第2磁性層20は、多層構造を有しても良い。第2磁性層20は、例えば、2層構造を有しても良い。中間層30としてMg−Oのトンネル絶縁層を用いる場合には、第2磁性層20のうちの中間層30に接する部分には、Co−Fe−B合金やFe−B合金の層を設けることが好ましい。これにより、高い磁気抵抗効果が得られる。
例えば、第2磁性層20は、中間層30の側の第1部分と、機能層25の側の第2部分と、を含む。第1部分は、例えば、第2磁性層20のうちの中間層30に接する部分を含む。この第1部分には、Co−Fe−B合金の層が用いられる。そして、第2部分には、例えば、Fe−B合金が用いられる。すなわち、第2磁性層20として、例えば、Co−Fe−B/Fe−B合金が用いられる。このCo40Fe4020層の厚さは、例えば、0.5nmである。第2磁性層20として用いられる上記のFe−B合金層の厚さは、例えば、6nmである。
本実施形態において、第2磁性層20として、ホウ素を含みアモルファス部分を含む強磁性材料を用いる。これにより、良好な軟磁気特性を得ることができる。第2磁性層20に用いることのできる材料の例については、後述する。
本実施形態においては、機能層25には、酸化物または窒化物を用いることができる。機能層25として、例えば、1.5nmの厚さのMg−O層を用いることができる。
キャップ層26cは、キャップ層26cの下に設けられる層を保護する。キャップ層26cには、例えば、複数の金属層が用いられる。キャップ層26cには、例えば、Ta層とRu層との2層構造(Ta/Ru)が用いられる。このTa層の厚さは、例えば1nmであり、このRu層の厚さは、例えば5nmである。キャップ層26cとして、Ta層やRu層の代わりに他の金属層を設けても良い。キャップ層26cの構成は、任意である。例えば、キャップ層26cとして、非磁性材料を用いることができる。キャップ層26cの下に設けられる層を保護可能なものであれば、キャップ層26cとして、他の材料を用いても良い。
第2磁性層20(磁化自由層)の構成及び材料の例についてさらに説明する。
第2磁性層20には、Fe、Co及びNiから選択される少なくとも一つの元素と、ホウ素(B)と、を含む合金を用いることができる。第2磁性層20には、例えば、Co−Fe−B合金、Fe−B合金、Fe−Si−B合金、またはFe−Al−Si合金などを用いることができる。第2磁性層20には、例えば、(CoFe100−x100−y合金(xは、0at.%以上100at.%以下であり、yは、0at.%よりも大きく40at.%以下)を用いることができる。第2磁性層20には、例えば、4nmの厚さのCo40Fe4020層、または、4nm厚さのFe8020層を用いることができる。第2磁性層20として、例えば、Fe−Ga−B合金、Fe−Co−Ga−B合金、または、Fe−Co−Si−B合金を用いても良い。
第2磁性層20は、上記のように、アモルファス部分を含む。第2磁性層20のうちの一部が結晶化していてもよい。第2磁性層20は、結晶化した部分を含みつつ、アモルファス部分を含んでも良い。
第2磁性層20におけるホウ素濃度(例えば、ホウ素の組成比)は、5at.%(原子パーセント)以上が好ましい。これにより、アモルファス構造が得易くなる。第2磁性層20におけるホウ素濃度は、35at.%以下が好ましい。ホウ素濃度が高すぎると、例えば、磁歪定数が減少する。第2磁性層20におけるホウ素濃度は、例えば、5at.%以上35at.%以下が好ましく、10at.%以上30at.%以下がさらに好ましい。
例えば、第2磁性層20は、中間層30の側の第1部分と、機能層25の側の第2部分と、を含む。第1部分は、例えば、第2磁性層20のうちの中間層30に接する部分を含む。この第1部分には、Co−Fe−B合金の層が用いられる。そして、第2部分には、例えば、Fe−Ga−B合金を用いる。すなわち、第2磁性層20として、例えば、Co−Fe−B/Fe−Ga−B合金が用いられる。このCo40Fe4020層の厚さは、例えば、2nmである。このFe−Ga−B層の厚さは、例えば、6nmである。また、Co−Fe−B/Fe−B合金を用いることができる。このCo40Fe4020の厚さは、例えば、0.5nmである。このFe−B厚さは、例えば、4nmである。既に説明したように、第2磁性層20として、例えば、Co−Fe−B/Fe−B合金を用いても良い。この場合、Co40Fe4020層の厚さは、例えば、0.5nmである。このFe−B層の厚さは、例えば、4nmである。このように、中間層30側の第1部分に、Co−Fe−B合金を用いることで高いMR変化率を得ることができる。
第2磁性層20のうちの中間層30との界面を含む第1部分には、結晶化した、Fe50Co50(厚さ0.5nm)を用いても良い。第2磁性層20のうちの中間層30との界面を含む第1部分には、結晶化した、Fe50Co50(厚さ0.5nm)/Co40Fe4020(厚さ2nm)のような2層構造を用いても良い。
第2磁性層20として、Fe50Co50(厚さ0.5nm)/Co40Fe4020(厚さ4nm)の積層膜を用いても良い。第2磁性層20として、Fe50Co50(厚さ0.5nm)/Co40Fe4020(厚さ2nm)/Co35Fe3530(厚さ4nm)の積層膜を用いても良い。この積層膜においては、中間層30から離れるに従って、ホウ素濃度が上昇する。
図11は、第1の実施形態に係る電流センサを例示する模式図である。
図11は、実施形態に係るセンサ素子50(センサ素子51a)におけるホウ素濃度の分布を例示している。
図11に表したように、第2磁性層20は、第1部分20pと、第2部分20qと、を含む。第1部分20pは、中間層30と第2部分20qとの間に設けられる。例えば、第1部分20pは、第2磁性層20のうちの中間層30に接する部分を含む。例えば、第2部分20qは、第2磁性層20のうちの機能層25に接する部分を含む。
図11に表したように、第2磁性層20のうちの第1部分20p(中間層30の側の部分)のホウ素濃度Cを低くすることによって、第1部分20pにおけるMR変化率を向上することができる。これにより、磁化(磁化の方向)の変化に対する電気抵抗Rの変化を大きくできる。一方、第2部分20q(中間層30から離れた部分)におけるホウ素濃度Cを高くすることで、第2部分20qにおいて、保磁力Hcを小さくすることができ、第2磁性層20全体の保磁力Hcを小さくすることができる。
中間層にMg−Oなどを用いたトンネル型の磁気抵抗効果を用いる場合、MR変化率は、中間層に接する約0.5nmの厚さの磁性材料の組成や結晶構造に依存する。つまり、MR変化率は、中間層近傍の磁性層のみで決定される。一方、磁化自由層が積層膜の場合、磁歪及び保磁力などの磁気特性においては、積層膜に含まれる各層の厚さに応じて、例えば、最も厚い層の特徴が最も強く反映される。これは、磁化自由層に含まれる磁性材料の積層体が交換結合して平均化されるためである。実施形態において、例えば、中間層の近傍に結晶性を有する磁性材料の層を設ける。これにより、高いMR変化率が得られる。一方、中間層に接しない第2部分20qに、ホウ素を含有するアモルファスの磁性材料の層を設ける。これにより、低い保磁力が得られる。これにより、高いMR変化率とともに、低い保磁力を得ることができる。
このようなホウ素濃度Cの分布に関する情報は、例えば、SIMS分析(secondary ion mass spectrometry)により得られる。断面TEMとEELSとの組み合わせにより、この情報が得られる。EELS分析により、この情報が得られる。3次元アトムプローブ分析によっても、この情報が得られる。
第1部分20p(結晶化の程度が相対的に高い部分)の厚さは、例えば、第2部分20q(結晶化の程度が相対的に低い部分であり、アモルファス部分)の厚さよりも薄い。これにより、例えば、小さい保磁力Hcを得ることが容易になる。第1部分20pの厚さは、例えば、第2部分20qの厚さの1/3以下である。
以下、第3試料S03について説明する。第3試料S03においては、第2磁性層20の第1部分20pにおけるホウ素濃度は、第2部分20qにおけるホウ素濃度濃度よりも低くされている。
第3試料S03に含まれる各層の材料と厚さは、以下である。
下地層10l :Ta(1nm)/Ru(2nm)
ピニング層10p :Ir22Mn78 (7nm)
第2磁化固定層10j :Co75Fe25 (2.5nm)
磁気結合層10k :Ru (0.9nm)
第1磁化固定層10i :Co40Fe4020 (3nm)
中間層30 :Mg−O (1.6nm)
第2磁性層20 :Co50Fe50(0.5nm)/Co40Fe4020(8nm)
機能層25 :Mg−O (1.5nm)
キャップ層26c :Cu(1nm)/Ta(2nm)/Ru(5nm)
第3試料S03では、磁化自由層にCo50Fe50(0.5nm)/Co40Fe4020(8nm)を用い、磁化自由層に、ホウ素濃度が低い第1部分20pと、ホウ素濃度の高い第2部分20qと、を設けている。
第3試料S03の評価結果の例について説明する。
図12は、第1の実施形態に係る電流センサの特性を例示する顕微鏡像である。
図12は、第3試料S03のセンサ素子の断面透過型電子顕微鏡写真像である。
図12からわかるように、第2磁性層20において、中間層30の側の第1部分20pは、結晶構造を有している。機能層25の側の第2部分20qは、アモルファス構造を有していることがわかる。
図13(a)及び図13(b)は、第1の実施形態に係る電流センサの特性を例示する模式図である。
図13(b)は、図12(a)の一部に対応する。
図13(a)は、EELSによる、第3試料S03の元素のデプスプロファイルの評価結果である。図13(a)は、図12(a)に示した線L3における元素のデプスプロファイルを示す。
図13(a)表したように、磁化自由層中のうちの中間層30の側の第1部分20pにおけるホウ素のEELS強度は、機能層25の側の第2部分20qにおけるホウ素のEELS強度よりも低い。
第3試料S03のMRの値は、187%である。第3試料S03のMRの値は、第1試料S01のMRの値よりも高い。第3試料S03においては、MR変化率が向上する。これは、中間層30(Mg−O層)の側に、結晶性を有する第1部分20pが設けられていることに起因していると考えられる。
第3試料S03において、磁歪は、20ppmであり、保磁力は、3.8Oeである。この結果より、結晶性を有する第1部分20pを設けた場合でも、アモルファス構造の第2部分20qを設けることで、低い保磁力が実現できる。第2磁性層20における磁気特性は、例えば、第1部分20pの磁気特性と、第2部分20qの磁気特性と、の和となる。
機能層25には、酸化物材料、または、窒化物材料が用いられる。酸化物材料または窒化物材料は、それぞれの材料内で原子が化学結合している。これにより、例えば、ホウ素の拡散を抑制する。
機能層25(第1機能層)に用いる酸化物材料または窒化物材料として、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Zn、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる第1群から選択された少なくともいずれかの元素を含む酸化物材料、または、第1群から選択された少なくともいずれかの元素を含む窒化物材料を用いることができる。
機能層25は、磁気抵抗効果には寄与しない。このため、機能層25の面積抵抗は低いことが好ましい。例えば、機能層25の面積抵抗は、磁気抵抗効果に寄与する中間層30の面積抵抗よりも低いことが好ましい。機能層25には、例えば、Mg、Ti、V、Zn、Sn、Cd及びGaよりなる群から選択された少なくともいずれかの元素を含む酸化物、または、その元素を含む窒化物が用いられる。これらの元素の酸化物または窒化物のバリアハイトは、低い。これらの元素の酸化物または窒化物を用いることで、機能層25の面積抵抗を低減できる。
本願明細書において、酸窒化物は、酸化物及び窒化物のいずれかに含める。例えば、酸窒化物において、酸素の比率が窒素の比率よりも高い場合は、その酸窒化物は酸化物に含めることができる。例えば、酸窒化物において、窒素の比率が酸素の比率よりも高い場合は、その酸窒化物は窒化物に含めることができる。
機能層25に酸化物または窒化物を用いる場合、機能層25の厚さは、0.5nm以上5nm以下が好ましく、1nm以上3nm以下がさらに好ましい。
図14は、第1の実施形態に係る電流センサの一部を例示する模式的斜視図である。
図14に表したように、実施形態に用いられるセンサ素子50(センサ素子51b)においては、絶縁層35が設けられる。例えば、第1電極E1と第2電極E2との間に、絶縁層35(絶縁部分)が設けられている。絶縁層35は、第1電極E1と第2電極E2との間において、第1積層体10sを囲む。第1積層体10sの側壁に対向して、絶縁層35が設けられる。
絶縁層35には、例えば、アルミニウム酸化物(例えば、Al)、または、シリコン酸化物(例えば、SiO)などを用いることができる。絶縁層35により、第1積層体10sの周囲におけるリーク電流を抑制することができる。
図15は、第1の実施形態に係る電流センサの一部を例示する模式的斜視図である。
図15に表したように、実施形態に用いられるセンサ素子50(センサ素子51c)においては、ハードバイアス層36(第1ハードバイアス層、第1磁性バイアス層)がさらに設けられる。第1電極E1と第2電極E2との間に、ハードバイアス層36が設けられる。ハードバイアス層36は、例えば、第1電極E1から第2電極E2へ向かう第1方向と交差する第2方向において第1積層体10sと並ぶ。例えば、ハードバイアス層36と積層体10sとの間に、絶縁層35が配置される。この例では、ハードバイアス層36と第1電極E1との間に、絶縁層35が延在している。
ハードバイアス層36の磁化により、第1磁性層10の磁化10m及び第2磁性層20の磁化20mの少なくともいずれかが、所望の方向に設定される。ハードバイアス層36により、磁界H1がセンサ素子に印加されていない状態において、磁化10m及び磁化20mの少なくともいずれかを所望の方向に設定できる。
ハードバイアス層36には、例えば、CoPt、CoCrPt、または、FePt等の磁気異方性が比較的高い硬質強磁性材料が用いられる。ハードバイアス層36には、FeCoまたはFeなどの軟磁性材料の層と、反強磁性層と、を積層した構造を用いることができる。この場合には、交換結合により、磁化が所定の方向に沿う。ハードバイアス層36の厚さ(例えば、第1電極E1から第2電極E2に向かう方向に沿った長さ)は、例えば5nm以上50nm以下である。
上記のハードバイアス層36及び絶縁層35は、上記及び以下で説明するセンサ素子のいずれにも適用できる。
図16は、第1の実施形態に係る電流センサの一部を例示する模式的斜視図である。
図16に表したように、本実施形態に用いられるセンサ素子50(センサ素子51d)は、順に並んだ、第1電極E1(例えば、下部電極)と、下地層10lと、機能層25と、第2磁性層20(磁化自由層)と、中間層30と、第2磁化固定層10jと、磁気結合層10kと、第1磁化固定層10iと、ピニング層10pと、キャップ層26cと、第2電極E2(例えば上部電極)と、を含む。センサ素子51dは、トップスピンバルブ型である。
下地層10lには、例えば、Ta/Cuが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、3nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
機能層25には、例えば、Mg−Oが用いられる。このMg−O層の厚さは、例えば、1.5nmである。
第2磁性層20には、例えば、Co40Fe4020が用いられる。
このCo40Fe4020層の厚さは、例えば4nmである。
中間層30には、例えば、1.6nmの厚さのMg−O層が用いられる。
第1磁化固定層10iには、例えば、Co40Fe4020/Fe50Co50が用いられる。このCo40Fe4020層の厚さは、例えば2nmである。このFe50Co50層の厚さは、例えば1nmである。
磁気結合層10kには、例えば、0.9nmの厚さのRu層が用いられる。
第2磁化固定層10jには、例えば、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。
ピニング層10pには、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。
キャップ層26cには、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
センサ素子51dに含まれる層のそれぞれには、例えば、センサ素子51aに関して説明した材料を用いることができる。
図17は、第1の実施形態に係る電流センサの一部を例示する模式的斜視図である。
図17に表したように、本実施形態に用いられるセンサ素子50(センサ素子51e)は、順に並んだ、第1電極E1(例えば下部電極)と、下地層10lと、ピニング層10pと、第1磁性層10と、中間層30と、第2磁性層20と、機能層25と、キャップ層26cと、第2電極E2(例えば上部電極)と、を含む。センサ素子51eには、単一の磁化固定層を用いたシングルピン構造が適用されている。
下地層10lには、例えば、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、3nmである。このRu層の厚さは、例えば、2nmである。
ピニング層10pには、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。
第1磁性層10には、例えば、3nmの厚さのCo40Fe4020層が用いられる。
中間層30には、例えば、1.6nmの厚さのMg−O層が用いられる。
第2磁性層20には、例えば、Co40Fe4020が用いられる。このCo40Fe4020層の厚さは、例えば4nmである。
機能層25には、例えば、1.5nmの厚さのMg−O層が用いられる。
キャップ層26cには、例えば、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
センサ素子51eに含まれる層のそれぞれには、例えば、センサ素子51aに関して説明した材料を用いることができる。
図18は、第1の実施形態に係る電流センサの一部を例示する模式的斜視図である。
図18に表したように、本実施形態に用いられるセンサ素子50(センサ素子51f)は、順に並んだ、第1電極E1(例えば下部電極)と、下地層10lと、別の機能層25a(第2の機能層)と、第1磁性層10、中間層30と、第2磁性層20と、機能層25(第1の機能層)と、キャップ層26cと、第2電極E2(例えば上部電極)と、を含む。この例では、第1磁性層10は、磁化自由層であり、第2磁性層20も磁化自由層である。
下地層10lには、例えば、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、3nmである。このRu層の厚さは、例えば、45nmである。
機能層25aには、例えば、1.5nmの厚さのMg−O層が用いられる。
第1磁性層10には、例えば、4nmの厚さのCo40Fe4020層が用いられる。
中間層30には、例えば、1.6nmの厚さのMg−O層が用いられる。
第2磁性層20には、例えば、Co40Fe4020が用いられる。このCo40Fe4020層の厚さは、例えば、4nmである。
機能層25には、例えば、1.5nmの厚さのMg−O層が用いられる。
キャップ層26cには、例えば、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
センサ素子51fに含まれる層のそれぞれには、例えば、センサ素子51aに関して説明した材料を用いることができる。センサ素子51fにおける第1磁性層10には、センサ素子51aにおける第2磁性層20に関して説明した材料及び構成が適用できる。センサ素子51fにおける機能層25aには、センサ素子51aにおける機能層25に関して説明した材料及び構成が適用できる。
この例において、第1磁性層10を第2磁性層20と見なし、機能層25を機能層25aと見なしても良い。
センサ素子51fのように、2つの磁化自由層が設けられる場合において、2つの磁化自由層の磁化どうしの間の相対角度が、磁界H1に応じて変化する。これにより、磁界センサとして機能させることができる。この場合、第2の磁化自由層の磁界に対する応答と、第1の磁化自由層の磁界に対する応答と、が互いに異なるように設計することができる。これにより、2つの磁化自由層のそれぞれの磁化における相対角度が、磁界H1に応じて変化する。
(第2の実施形態)
図19(a)〜図19(c)は、第2の実施形態に係る電流センサを例示する模式的斜視図である。
図19(a)は、第2の実施形態に係る電流センサ201の構成を例示している。
図19(a)に表したように、実施形態に係る電流センサ201は、複数のセンサ素子50を含む。例えば、電流センサ201は、第1センサ素子51と第2センサ素子52と、を含む。電流センサ201は、電線70をさらに含んでもよい。
この例では、第1センサ素子51及び第2センサ素子52は、電線70の延在する方向に対して交差する方向において、電線70と並ぶ(例えば離間する)。電流I1によって、例えば、第1センサ素子51の位置に磁界H1が生じ、第2センサ素子52の位置に磁界H2が生じる。電流センサ201は、磁界H1及び磁界H2を用いて電流I1を検知する。
このように実施形態に係る電流センサは、複数のセンサ素子を含んでも良い。電流センサ201においては、2つのセンサ素子が設けられる。実施形態に係る電流センサにおいては、センサ素子の数は、3以上でも良く、任意である。例えば、第1センサ素子51と電線70との間の距離(最短距離)は、第2センサ素子52と電線70との間の距離(最短距離)よりも短い。
図19(b)は、第2センサ素子52の構成を例示する模式的斜視図である。
図19(b)に表したように、第2センサ素子52は、第3電極E3と、第4電極E4と、第2積層体10sbと、を含む。
第2積層体10sbは、第3電極E3と、第4電極E4と、の間に設けられる。第2積層体10sbは、第3磁性層10bと、第4磁性層20bと、第2中間層30bと、を含む。
第3磁性層10bは、第3電極E3と第4電極E4との間に設けられる。第4磁性層20bは、第3磁性層10bと第4電極E4との間に設けられる。第2中間層30bは、第3磁性層10bと第4磁性層20bとの間に設けられる。
この例では、第2センサ素子52の積層方向(第3磁性層10bから第4磁性層20bへ向かう方向)は、Z軸方向に沿っている。但し、実施形態においては、第2センサ素子52の積層方向は、Z軸方向に限られない。
第4磁性層20bの少なくとも一部は、アモルファスである。第4磁性層20bの磁化(磁化の方向)は、磁界(磁界H2)に応じて変化する。第4磁性層20bは、例えば、磁化自由層である。第3磁性層10bは、例えば、参照層である。第2中間層30bは、非磁性層である。
第2センサ素子52の磁化自由層、磁化固定層、非磁性層及び電極には、センサ素子50について第1の実施形態で説明した磁化自由層、磁化固定層、非磁性層及び電極と同様の構成及び材料などを適用できる。第4磁性層20bの構成は、第2磁性層20の構成と同様である。第3磁性層10bの構成は、第1磁性層10の構成と同様である。第2中間層30bの構成は、中間層30の構成と同様である。第3電極E3及び第4電極E4の構成は、第1電極E1及び第2電極E2の構成と同様である。
すなわち、第2センサ素子52には、第1センサ素子51(センサ素子51a〜51f)と同様の構成を適用することができる。第2センサ素子52の構成は、材料やサイズなどにおいて第1センサ素子51と異なっていても良い。
図19(c)は、第2センサ素子52(センサ素子52c)の構成を例示する模式的斜視図である。
図19(c)に表したように、センサ素子52cにおいても、第3電極E3と、第4電極E4と、第2積層体10sbと、が設けられる。この例では、センサ素子52cには、下地層10lb、ピニング層10pb、第1磁化固定層10ib、第2磁化固定層10jb、磁気結合層10kb、キャップ層26cbが設けられる。第4磁性層20bと第4電極E4との間に第2機能層25bが設けられる。これらの構成及び材料には、第1の実施形態において説明したのと同様の構成及び材料を適用することができる。
この例では、さらに、絶縁層35bと、ハードバイアス層36(第2ハードバイアス層36b、第2磁性バイアス層)と、が設けられている。これらの構成は、第1の実施形態において説明した構成と同様である。第2ハードバイアス層36bは、第3電極E3と第4電極E4との間に設けられる。第2ハードバイアス層36bは、前記第3電極から前記第4電極へ向かう第3方向と交差する第4方向において前記第2積層体と並ぶ。センサ素子を複数設けることで、高い精度で電流を検知することができる。
図20(a)及び図20(b)は、第2の実施形態に係る電流センサを例示する模式図である。
図20(a)は、実施形態に係る電流センサ202を例示している。
図20(a)に表したように、電流センサ202は、第1センサ素子51と、第2センサ素子52と、を含む。電流センサ201は、電線70をさらに含んでもよい。これらには、電流センサ201について説明した構成を適用することができる。この例では、第1センサ素子51と電線70との間の距離(最短距離)は、第2センサ素子52と電線70との間の距離(最短距離)と、実質的に同じである。例えば、第1センサ素子51と電線70との間の距離は、第2センサ素子52と電線70との間の距離の0.9倍以上1.1倍以下である。
実施形態に係る電流センサは、処理部80を含んでもよい。処理部80は、例えば、第1センサ素子51及び第2センサ素子52と電気的に接続される。
図20(b)は、実施形態に係る電流センサの動作を例示する模式図である。
図20(b)に表したように、例えば、第1センサ素子51から磁界H1に応じた第1信号Sg1が得られる。第2センサ素子52から磁界H2に応じた第2信号Sg2が得られる。処理部80は、第1信号Sg1及び第2信号Sg2を処理する。
例えば、磁界に対する応答が互いに異なる複数のセンサ素子を用いる。すなわち、例えば、電線70に10mA程度の小さい電流が流れる場合、第1センサ素子51の検知精度を、第2センサ素子52の検知精度よりも、高くする。例えば、電線70に100A程度の大きい電流が流れる場合、第2センサ素子52の検知精度を、第1センサ素子51の検知精度よりも高くする。
処理部80は、例えば、電線70に流れる電流の大きさに応じて、第1信号Sg1及び第2信号Sg2を処理する。処理部80は、第1信号Sg1及び第2信号Sg2の少なくともいずれかにより求められた電流の大きさに基づいて、第1信号Sg1及び第2信号Sg2のいずれかに基づく信号を出力する。例えば、電流の大きさに応じて、精度の高いセンサ素子の信号を選択する。例えば、10mA程度の小さい電流が流れる場合は、第1信号Sg1を選択する。100A程度の大きい電流が流れる場合、第2信号Sg2を選択する。
このように、複数のセンサ素子を設ける。複数のセンサ素子においては、高い精度で検知できる電流の大きさが互いに異なる。これにより、非常に広い電流の範囲において、電流を検知する精度を向上させることができる。
例えば、積層体とハードバイアス層との距離を調整することで、高い精度で検知できる電流の大きさを調整することができる。例えば、第1ハードバイアス層36と第1積層体10sとの間の距離を、第2ハードバイアス層36bと第2積層体10sbとの間の距離よりも短くする。
例えば、ハードバイアス層の磁気膜厚を調整することで、高い精度で検知できる電流の大きさを調整することができる。例えば、第1ハードバイアス層36の磁気膜厚を、第2ハードバイアス層の磁気膜厚よりも厚くする。これにより、広いダイナミックレンジにおいて、電流を検知する精度を向上させることができる。
また、上記の例においては、バイアス層として磁気的にハードな材料のハードバイアス層を用いるとしているが、磁気的なバイアスが印加できる機構であれば、ハードバイアス層に限らず、ほかのバイアス機構を用いても良い。例えば、磁性層に対して、反強磁性層を積層してバイアスする機構を用いても良い。このような機構の場合には、例えば、外部磁界ノイズを受けたとしても、瞬間的にはバイアス磁界が効かなくなるが、強磁界ノイズがなくなったときには反強磁性層によるバイアスで、もとのバイアス形態に戻ることがメリットである。ハードバイアスの強度を劣化させるような強磁界ノイズの影響を防ぐことを重視する場合には、このような反強磁性層を用いたバイアス機構も有効となる。
図21は、第2の実施形態に係る電流センサを例示する模式的斜視図である。
図21に表したように、電流センサ203は、センサ素子50と、電線70(第1電線70a)と、第2電線70bと、を含む。
電線70及びセンサ素子50には、電流センサ200について説明した構成を適用することができる。第2電線70bを流れる電流I2によって、センサ素子50の位置に磁界H3が生じる。例えば、磁界H3によって、センサ素子50の位置における磁界が磁界H1に対して小さくなる(例えば、相殺する)ように、電流I2が流される。この電流に基づいて、電線70を流れる電流I1を検知してもよい。
図22は、第2の実施形態に係る電流センサを例示する模式的斜視図である。
図22に表したように、電流センサ204は、センサ素子50と、電線70と、を含む。電線70の一端は、電線71と電気的に接続される。電線70の他端は、電線72と電気的に接続される。電線71及び電線72を介して、電線70に電流I1が流れる。センサ素子50は、電流I1によって生じる磁界によって、電流I1を検知する。
(第3の実施形態)
図23(a)〜図23(c)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールを例示する模式図である。
図23(a)は、実施形態に係る電流センサモジュール250を例示する模式的斜視図である。
図23(b)は、電流センサモジュール250を例示する透視平面図である。
図23(c)は、電流センサモジュール250を例示する透視平面図である。
図23(a)〜図23(c)においては、図を見易くするために、要素の一部は、省略して描かれている。
電流センサモジュールは、例えば、スマートメータや家庭電器用のHEMS(Home Energy Management System)用途に適用可能である。スマートメータは、例えば、電力を測定するために用いられる。スマートメータは、例えば、電圧、および電流を測定する。電圧は、従来の半導体素子を用いて測定することが可能である。このため、実施形態に係る電流センサを付加することで、電流センサとしてだけでなく、スマートメータとして機能する。電流センサモジュールをHEMS用途で用いた場合には、家庭電器の消費電力量を常時モニタする目的で用いる。
図23(a)〜図23(c)に表したように、電流センサモジュール250は、筐体300と、電線70と、センサ素子50と、を含む。さらに、電流センサモジュール250は、絶縁部301と、電線支持部302と、基板支持部303と、電子基板モジュール304と、センサ基板モジュール305と、を含む。例えば、電線70、センサ素子50、絶縁部301、電線支持部302、基板支持部303、電子基板モジュール304及びセンサ基板モジュール305は、筐体300の内側に収容される。
この例では、筐体300は、第1筐体面300aと、第2筐体面300bとを有する。第2筐体面300bは、第1筐体面300aと離間した面である。
第1筐体面300aから第2筐体面300bへ向かう方向をZ1軸方向とする。Z1軸方向と垂直な1つの方向をX1軸方向とする。Z1軸方向に垂直で、X1軸方向に垂直な1つの方向をY1軸方向とする。
筐体300の第2筐体面300bには、表示部306が設けられている。表示部306は、計測した電力量を外部に表示する。
例えば、一対の電線が筐体に接続される。一対の電線の一方は、例えば、電線70の一端と電気的に接続される。一対の電線の他方は、例えば、電線70の他端と電気的に接続される。これにより、電線70が通電され、電力量を計測することができる。電線70に流れる電流I1は、例えば、50〜60Hz程度の交流電流である。電流I1は、直流電流であっても良い。図23(a)〜図23(c)において、電流I1によって生じる磁界H1の方向を説明するため電流I1の方向を図示している。これは、直流電流のような電流の方向が変化しない場合を示している。電流I1が交流電流の場合には、電流I1の方向は、時間に応じて逆極性に変化する。図23(a)〜図23(c)は、電流I1が100V〜200V程度の単相交流の電流である場合を示している。実施形態に係る電流I1は、三相交流の電流で合っても良い。三相交流の場合には、外部から3対の電線が筐体に接続される。以下に説明する電流センサモジュールのそれぞれにおいても、同様である。
例えば、電線70は、Z1軸方向に沿った方向に延在する。例えば、電流I1は、筐体の下部から上部に流れる(Z1軸方向に沿って流れる)。電線70は、絶縁部301及び電線支持部302によって、筐体300の内部に固定される。電線70と電線支持部302との間に絶縁部301が配置される。絶縁部301と、筐体300との間に電線支持部302が配置される。電線支持部(第1支持部)302は、電線70と筺体300との相対的な位置を規定する。
センサ素子50の筐体300に対する相対的な位置は、実質的に固定されている。電線70の筐体300に対する相対的な位置は、実質的に固定されている。これにより、センサ素子50と、電線70との間の距離が経時的に変化しにくい。センサ素子50と電線70との距離が変化しないようにする。これにより、電流を高い精度で検知することができる。
電子基板モジュール304は、基板支持部303を介して、筐体300に実質的に固定されている。基板支持部(第2支持部)303は、筺体300と電流センサとの相対的な位置関係を規定する。電子基板モジュール304の上にセンサ基板モジュール305が設けられる。センサ基板モジュール305の上にセンサ素子50が設けられる。電子基板モジュール304は、筺体300に固定されおり、センサ基板モジュール305は、電子基板モジュール304に固定されている。これにより、センサ素子50の筐体300に対する相対的な位置が実質的に固定される。電線70とセンサ素子50との間の距離が経時的に変化しにくい。
電流センサモジュール250においては、電子基板モジュール304及びセンサ基板モジュール305は、電線70を流れる電流I1の方向(Z1軸方向)に対して垂直な方向において、電流線70と並ぶ。
図23(c)に表したように、センサ基板モジュール305付近における電流磁界の方向は、例えば、X1軸方向である。
図24(a)〜図24(c)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールの動作を例示する模式図である。
図24(a)は、電流センサモジュール250を例示する透視平面図である。
図24(b)は、電流センサモジュール250に用いられるセンサ素子50を例示する模式的断面図である。
図24(c)は、電流センサモジュール250に用いられるセンサ素子50を例示する模式的斜視図である。
図24(b)に表したように、センサ素子50は、例えば、基板90を含む。基板90は、基板面90aを有する。基板面90aは、センサ基板モジュール305の主面に対して実質的に平行な平面(この例では、X1−Y1平面)である。基板面90aの上に第1電極E1が設けられる。基板面90aと第2電極E2との間に第1電極E1が配置される。
図24(a)〜図24(c)に表したように、第2磁性層20の磁化20mの方向は、例えば、電流I1の大きさがゼロの場合、X1−Y1平面内のいずれかの方向である。電流I1の大きさがゼロのときに、磁化20mの方向は、電線70が延在する方向(Z1軸方向)に対して垂直な方向である。例えば、第1磁性層10から第2磁性層20へ向かう方向(Z軸方向)は、Z1軸方向と平行である。
基板面90aは、例えば、電線70の延在する方向と実質的に垂直である。センサ素子50(第1センサ素子)は、基板面90aに設けられる。第1磁性層10から第2磁性層20へ向かう方向は、電流70の延在する方向と実質的に平行(または反平行)である。磁化20mの方向は、電流I1が流れていないときに、電線70からセンサ素子50へ向かう方向と、実質的に平行(または反平行)である。これにより、交流電流のいずれの極性の電流も線形性よく、検知することができる。
図24(a)〜図24(c)に表したような電線及び電流センサの配置では、図24(a)に示したように、電流センサモジュールの断面厚さ方向(例えば、積層体10sの積層方向)に電線を配置している(電線70が延在している)。このときの電流センサの磁化(磁化10mの方向及び磁化20mの方向)は、図24(b)のように、電流センサモジュールの面と平行な面内(積層方向に対して垂直な平面内)に配置されている。このような配置においては、外部ノイズに対して強いというメリットがある。例えば、外部磁界ノイズが最も印加されやすい電流センサモジュールの表面(例えば、第1筐体面300aまたは第2筐体面300b)から外部磁界が印加された場合、その面に直行する方向に磁界が印加される。しかしながら、電流センサの磁化は、例えば、その面と平行方向に配置されている。そのため、その面と直行する方向の磁界は、ノイズ源とはなり難い。このような磁化の配置は、外部磁界の影響をよけいな機構を付加することなく少なくする配置として、優れている。電流センサモジュールの断面方向(例えば、X1方向またはY1方向)からの外部磁界の影響は受けることになるので、例えば、必要に応じて電流センサモジュールの断面方向においては磁気シールドを設ける。この場合、電流センサモジュールにおいて、例えば最も断面積が小さくなるため、磁気シールドを追加することに伴うコストの増大を、例えば最小限に抑えることができる。
また、電流センサの基板面をそのまま電子基板モジュール304に貼り付けることが可能なので、配置ずれの影響などが少なく、高い精度を保つために必要な製造コストを例えば最小限に抑えることができる。
この特徴については、以降に説明する図24(a)〜図24(c)、図25(a)〜図25(c)、図26(a)〜図26(c)、図27(a)〜図27(c)及び図40(a)〜図40(c)に表した例おいても同様である。
後述する別の実施例の図31(a)〜図31(c)、図32(a)〜図32(c)、図33(a)、図33(b)及び図34に表した例では上記のようなメリットがなくなるため、図23、図24、図25、図26、図27及び図40のほうが好ましい実施形態である。
図25(a)〜図25(c)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールを例示する模式図である。
図25(a)は、実施形態に係る電流センサモジュール251を例示する模式的斜視図である。
図25(b)は、電流センサモジュール251を例示する透視平面図である。
図25(c)は、電流センサモジュール251を例示する透視平面図である。
図25(a)〜図25(c)においては、図を見易くするために、要素の一部は、省略して描かれている。
電流センサモジュール251においても筐体300、電線70、センサ素子50、絶縁部301、電線支持部302、基板支持部303、電子基板モジュール304及びセンサ基板モジュール305が設けられる。これらについては、電流センサモジュール250について説明した構成と同様の構成を適用することが出来る。電流センサモジュール251においては、複数のセンサ素子50が、設けられる。電線70からの距離が互いに異なる複数の位置のそれぞれに、センサ素子50が設けられる。これにより、広ダイナミックレンジの電流を検知することができる。複数のセンサ素子50のそれぞれと電線70との間の距離が、互いに異なる。これにより、電流I1によって生じる磁界H1の大きさは、複数のセンサ素子50のそれぞれの位置によって、異なる。
例えば複数のセンサ素子50は、第1センサ素子51と第2センサ素子52とを含む。第2センサ素子52は、電線70が延在する方向と交差する方向(例えばY1方向)において、第1センサ素子51と離間する。例えば、第1センサ素子51と電線70との間の距離は、第2センサ素子52と電線70との間の距離よりも短い。
例えば、センサ素子を電線から遠く離れた位置に配置した場合、大きな電流が流れている状態を検知できる。例えば、センサ素子を電線から近い位置に配置した場合、微弱な電流が流れている状態を検知できる。このように配置することで広い範囲の値の電流を検知することができる。
図26(a)〜図26(c)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールの動作を例示する模式図である。
図26(a)は、電流センサモジュール251を例示する透視平面図である。
図26(b)は、電流センサモジュール251に用いられるセンサ素子50を例示する模式的断面図である。
図26(c)は、電流センサモジュール251に用いられるセンサ素子50を例示する模式的斜視図である。
図26(a)〜図26(c)に表したように、センサ素子50のそれぞれにおいて、第2磁性層20の磁化20mの方向は、例えば、電流I1の大きさがゼロの場合、電線70が延在する方向(Z1軸方向)に対して垂直な方向である。
図27(a)〜図27(c)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールを例示する模式図である。
図27(a)は、実施形態に係る電流センサモジュール252を例示する模式的斜視図である。
図27(b)は、電流センサモジュール252を例示する透視平面図である。
図27(c)は、電流センサモジュール252を例示する透視平面図である。
図27(a)〜図27(c)においては、図を見易くするために、要素の一部は、省略して描かれている。
電流センサモジュール252においても筐体300、電線70、センサ素子50、絶縁部301、電線支持部302、基板支持部303、電子基板モジュール304及びセンサ基板モジュール305が設けられる。これらについては、電流センサモジュール250について説明した構成と同様の構成を適用することが出来る。電流センサモジュール252においては、複数のセンサ素子50が設けられる。電流センサモジュール252においては、複数のセンサ素子50のそれぞれは、電線70からの距離が実質的に同じ位置に設けられる。
例えば、複数のセンサ素子50は、第1センサ素子51と第2センサ素子52とを含む。例えば、第1センサ素子51と電線70との間の距離と、第2センサ52と電線70との間の距離は、実質的に同じである。例えば、第1センサ素子51と電線70との間の距離は、第2センサ52と電線70との間の距離の0.9倍以上1.1倍以下である。
電流センサモジュール251と異なり、電流センサモジュール252においては、複数のセンサ素子50のそれぞれと電線との間の距離は、ほぼ一定である。しかし、複数のセンサ素子50のそれぞれにおける磁界に対する感度を変えることができる。例えば、磁界に対する感度が互いに異なる複数のセンサ素子を設ける。これにより、複数のセンサ素子50のそれぞれが検知対象とする電流値を変える。これにより、広い範囲の値の電流を検知することができる。
図28(a)および図28(b)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールに用いられるセンサ素子を例示する模式的斜視図である。
図28(a)は、電流センサモジュール252に用いられる第1センサ素子51及び第2センサ素子52を例示している。この例では、センサ素子50は、ハードバイアス層を含む。第1センサ素子51は、第1ハードバイアス層36を含む。第2センサ素子52は、第2ハードバイアス層36bを含む。ハードバイアス層は、磁化自由層にバイアス磁界を印加する。
センサ素子50において、ハードバイアス層と磁化自由層との間の距離を変えることによって磁界に対する感度を変えることができる。
例えば、第1ハードバイアス層36と、第2磁性層20と、の間の距離(L1a及びL1b)は、第2ハードバイアス層36bと、第4磁性層20bと、の間の距離(L2A及びL2b)よりも長い。この例では、第2センサ素子52の磁界に対する感度よりも、第1センサ素子51の磁界に対する感度の方が高い。第1センサ素子51は、小さい電流の検知に用いられる。第2センサ素子52においては、第2ハードバイアス層36bの磁界強度が大きい。これにより、磁界に対する感度が低下する。第2センサ素子52は、大きい電流の検知に用いられる。
図28(b)は、第1センサ素子51及び第2センサ素子52を例示している。この例では、センサ素子50は、ハードバイアス層を含む。第1センサ素子51は、第1ハードバイアス層36を含む。第2センサ素子52は、第2ハードバイアス層36bを含む。
例えば、第1ハードバイアス層36の厚さ(Z軸方向に沿った長さ)t1a(厚さt1b)は、第2ハードバイアス層36bの厚さ(Z軸方向に沿った長さ)t2a(厚さt2b)よりも薄い。この場合、第1センサ素子51においては、磁界に対する感度が高くなる。第1センサ素子51は、小さい電流の検知に用いられる。第2センサ素子52においては、第2ハードバイアス層36bの磁界強度が大きい。これにより、磁界に対する感度が低下する。第2センサ素子52は、大きい電流の検知に用いられる。
図29は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールの構成を例示する模式的斜視図である。
図29は、実施形態に係る電流センサモジュール253の構成の一部を例示している。電流センサモジュール253においても、筐体300、電線70、センサ素子50、絶縁部301、電線支持部302、基板支持部303、電子基板モジュール304及びセンサ基板モジュール305が設けられる。これらについては、電流センサモジュール250について説明した構成と同様の構成を適用することが出来る。電流センサモジュール253には、例えば、第1センサ素子51と第2センサ素子52と第3センサ素子53とを含む複数のセンサ素子50が設けられている。第3センサ素子53は、第3積層体10scを含む。第3センサ素子53には、例えば、第1センサ素子51と同様の構成を適用することができる。例えば、複数のセンサ素子50は、X軸方向において並ぶ。この例では、第1センサ素子51と第2センサ素子52との間に第3センサ素子53が設けられる。
電流センサモジュール253は、第1ハードバイアス部36maと、第2ハードバイアス部36mbと、を含む。第1ハードバイアス部36maは、Z軸方向と交差する方向において、第2ハードバイアス部36mbと並ぶ。例えば、複数のセンサ素子50は、第1ハードバイアス部36maと第2ハードバイアス部36mbとの間に設けられる。
第1ハードバイアス部36maは、例えば、第1バイアス部ma1と第2バイアス部ma2と第3バイアス部ma3とを含む。例えば、第2バイアス部ma2は、X軸方向において第1バイアス部ma1と離間する。第3バイアス部ma3は、第1バイアス部ma1と第2バイアス部ma2との間に設けられる。
第2ハードバイアス部36mbは、例えば、第4バイアス部ma4と第5バイアス部ma5と第6バイアス部ma6とを含む。例えば、第4バイアス部ma4は、X軸方向において第5バイアス部ma5と離間する。第6バイアス部ma6は、第4バイアス部ma4と第5バイアス部ma5との間に設けられる。
例えば、第1センサ素子51は、第1バイアス部ma1と第4バイアス部ma4との間に設けられる。第2センサ素子52は、第2バイアス部ma2と第5バイアス部ma5との間に設けられる。第3センサ素子53は、第3バイアス部ma3と第6バイアス部ma6との間に設けられる。
第1ハードバイアス部36maと第1センサ素子51との間の距離は、第1ハードバイアス部36maと第2センサ素子52との間の距離よりも短い。第2ハードバイアス部36mbと第1センサ素子51との間の距離は、第2ハードバイアス部36mbと第2センサ素子52との間の距離よりも短い。
図30(a)〜図30(j)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールの製造方法を例示する模式図である。
図30(a)〜図30(j)は、電流センサモジュール253の一部の製造方法を例示する。複数のセンサ素子50、第1ハードバイアス部36ma及び第2ハードバイアス部36mbの製造方法を例示する。
図30(a)に表したように、基板90は、基板面90aを有する。第1面90aに、下電極91となる膜91xを積層する。この例では、第1面90aは、X−Y平面と実質的に平行な面である。
図30(b)に表したように、膜91xを加工し、下電極91を形成する。例えば、下電極91は、第1〜第3下電極部91a〜91cを含む。第1〜第3下電極部91a〜91cは、X−Y平面に平行な方向において離間する。第1下電極部91aと第2下電極部91bとの間に第3下電極部91cが設けられる。
図30(c)に表したように、基板90の上に、絶縁層92を積層する。絶縁層92は、X−Y平面に平行な方向において下電極91と並ぶ。絶縁層92は、第1〜第3下電極部91a〜91cのそれぞれを互いに絶縁させる。
図30(d)に表したように、下電極91及び絶縁層92の上に、第1積層体10s、第2積層体10sb及び第3積層体10sc等となる積層膜10xを積層する。積層膜10xは、第1磁性層10、第2磁性層20及び中間層30等となる膜を含む。
図30(e)に表したように、積層膜10xを加工し、第1積層体10s、第2積層体10sb及び第3積層体10sc等を形成する。第1積層体10sは、第1下電極部91aの上に形成される。第2積層体10sbは、第2下電極部91bの上に形成される。第3積層体10scは、第3下電極部91cの上に形成される。
図30(f)に表したように、下電極91及び絶縁層92の上に絶縁層93を積層する。絶縁層93は、第1積層体10s、第2積層体10sb及び第3積層体10scとX−Y平面に対して平行な方向において並ぶ。絶縁層93は、第1積層体10s、第2積層体10sb及び第3積層体10scのそれぞれを、互いに絶縁させる。
図30(g)に表したように、絶縁層92を加工する。第1ハードバイアス部36ma及び第2ハードバイアス部36mbが設けられる位置において、絶縁層92の一部を除去する。
図30(h)に表したように、絶縁層92の一部の上に、第1ハードバイアス部36ma及び第2ハードバイアス部36mbを形成する。
図30(i)に表したように、第1積層体10s、第2積層体10sb、第3積層体10sc、第1ハードバイアス部36ma、第2ハードバイアス部36mb及び絶縁層93の上に上電極となる膜94xを積層する。
図30(j)に表したように、膜94xを加工し、上電極94を形成する。上電極94は、第1〜第3上電極部94a〜94cを含む。第1上電極部94aは、第1積層体10sの上に形成される。第2上電極部94bは、第2積層体10sbの上に形成される。第3上電極部94cは、第3積層体10scの上に形成される。これにより、第1〜第3センサ素子51〜53が形成される。
このように、ハードバイアス層(第1ハードバイアス部36ma及び第2ハードバイアス部36mb)と、複数のセンサ素子50と、を同時に形成することができる。磁界に対する感度が互いに異なる複数のセンサ素子50を形成するプロセスにおいて、工程数の増加を抑えることができる。これにより、製造コストの増大を抑制することができる。
図31(a)〜図31(c)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールを例示する模式図である。
図31(a)は、実施形態に係る電流センサモジュール254を例示する模式的斜視図である。
図31(b)は、電流センサモジュール254を例示する透視平面図である。
図31(c)は、電流センサモジュール254を例示する透視平面図である。
図31(a)〜図31(c)においては、図を見易くするために、要素の一部は、省略して描かれている。
電流センサモジュール254においても筐体300、絶縁部301、電線支持部302、基板支持部303、電子基板モジュール304及びセンサ基板モジュール305が設けられる。これらについては、電流センサモジュール250について説明した構成と同様の構成を適用することができる。
電流センサモジュール254においては、電線70は、X1−Y1平面に対して平行な方向に延在する。例えば、電流I1は、X1軸方向に沿って流れる。
図32(a)〜図32(c)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールの動作を例示する模式図である。
図32(a)は、電流センサモジュール254を例示する透視平面図である。
図32(b)は、電流センサモジュール254に用いられるセンサ素子50を例示する模式的断面図である。
図32(c)は、電流センサモジュール254に用いられるセンサ素子50を例示する模式的斜視図である。
図32(a)〜図32(c)に表したように、センサ素子50のそれぞれにおいて、第2磁性層20の磁化20mの方向は、例えば、電流I1の大きさがゼロの場合、電線70の延在する方向(例えばX1軸方向)と平行な平面内の方向である。磁化20mの方向は、例えば、電流I1の大きさがゼロの場合、電線70の延在する方向と平行な方向である。第1磁性層10から第2磁性層20へ向かう方向(Z軸方向)は、X1−Y1平面内の方向であり、例えば、Y1軸方向と平行である。
基板面90aは、例えば、電線70の延在する方向と実質的に平行である。センサ素子50(第1センサ素子)は、基板面90aに設けられる。第1磁性層10から第2磁性層20へ向かう方向は、電線70の延在する方向と実質的に垂直である。磁化20mの方向は、電流I1が流れていないときに、電線70の延在する方向と、実質的に平行(または反平行)である。これにより、交流のいずれの極性の電流も検知することができる。
図33(a)及び図33(b)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールを例示する透視平面図である。
図33(a)及び図33(b)に表したように、電流センサモジュール255においては、複数のセンサ素子50が設けられる。これ以外は、電流センサモジュール255には、電流センサモジュール254と同様の構成を適用することができる。
複数のセンサ素子50のそれぞれは、例えば、電線70の延在する方向(例えばX1軸方向)と交差する方向(例えばY1軸方向)において互いに離間する。例えば、複数のセンサ素子50は、第1センサ素子51と第2センサ素子52とを含む。第2センサ素子52は、例えば、第1センサ素子51とY1軸方向において離間する。例えば、電線70と第1センサ素子51との距離は、電線70と第2センサ素子52との距離よりも短い。このように配置することで広い範囲の値の電流を検知することができる。
図34は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールを例示する透視平面図である。
図34に表したように、電流センサモジュール256においては、複数のセンサ素子50が設けられる。これ以外は、電流センサモジュール256には、電流センサモジュール254と同様の構成を適用することができる。
複数のセンサ素子50のそれぞれは、例えば、電線70の延在する方向において近接して配置される。図33の場合とは異なり、電線からの距離は等しい距離に配置されるため、互いの素子を離して設ける必要はなく、近接して設けることが可能である。製造コスト削減のために、図34とは異なり、同一基板上に複数の電流センサを複数設ける構成も可能である。同一基板に作成することで、コストの低減を図ることが可能となる。
磁界に対する感度が互いに異なる複数のセンサ素子を設ける。これにより、例えば、広い範囲の値の電流を検知することができる。感度を変える方法として、図28及び図29で示したように、バイアス層からの磁界の強度を変える方法などがある。
図35は、第3の実施形態に係る電流センサを例示する模式図である。
例えば、実施形態に係る電流センサ210は、センサ素子50と処理部80と、を含む。処理部80は、アンプ100と、アナログデジタル変換(ADC)部101と、メモリ102と、通信回路103と、を含む。
センサ素子50の出力信号(第1センサ素子51から得られる第1信号Sig1)は、アンプ100によって増幅される。増幅された出力信号は、アナログデジタル変換部101によって、デジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号は、メモリ102に保持される。メモリ102に保持されたデジタル信号は、通信回路103によって、周辺機器へ送信される。
図36(a)〜図36(d)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールの動作を例示する模式図である。
図36(a)〜図36(d)は、電流センサモジュール250におけるセンサ素子50の磁界に対する応答を例示している。この例では、第1磁性層10の磁化10mの方向は、X軸方向と平行である。
図36(a)は、第1状態ST1におけるセンサ素子50を例示している。第1状態ST1においては、センサ素子50に磁界Hs1が印加されている。磁界Hs1は、電線70に流れる電流によって生じる。例えば、磁界Hs1の方向は、磁化20mの方向と平行である。磁界Hs1の大きさは、Hsである。例えば、第1状態ST1において、第1磁性層10の磁化10mの方向は、磁化20mの方向と平行ある。
図36(b)は、第2状態ST2におけるセンサ素子50を例示している。第2状態ST2においては、例えば、電線70に電流が流れていない。センサ素子50に磁界が印加されていない。例えば、第2状態ST2において、第1磁性層10の磁化10mの方向は、磁化20mの方向と垂直である。
図36(c)は、第3状態ST3におけるセンサ素子50を例示している。第3状態ST3においては、センサ素子50に磁界Hs2が印加されている。磁界Hs2は、電線70に流れる電流によって生じる。例えば、磁界Hs2の方向は、磁化20mの方向と反平行である。磁界Hs2の大きさは、Hsである。第2状態ST2において、磁化10mの方向は、磁化20mの方向と反平行である。
図36(d)は、センサ素子50の磁界に対する応答を例示している。図36(d)の横軸は、磁界H1である。図36(d)の縦軸は、センサ素子50の電気抵抗Rである。
図36(d)に表したように、X軸に平行な方向において、Hsよりも小さい磁界H1を印加した場合に、磁界H1に対して電気抵抗Rは、例えば、線形に変化する。センサ素子50は、Hsよりも小さい磁界を検知することができる。
図37は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールの動作を例示する模式図である。
図37は、電流センサモジュール252におけるセンサ素子50の磁界に対する応答を例示している。
図37の横軸は、磁界H1である。図37の縦軸は、センサ素子50の電気抵抗Rである。例えば電流センサモジュール252には、磁界に対する感度が互いに異なる複数のセンサ素子50が設けられる。
図37に表したように、例えば、第1センサ素子51における電気抵抗Rの磁界H1に対する傾きは、第2センサ素子52における電気抵抗Rの磁界H2に対する傾きよりも大きい。すなわち、第1センサ素子51の磁界に対する感度は、第2センサ素子52の磁界に対する感度よりも高い。
例えば、第1センサ素子51は、大きさがHt1以上Ht3以下の範囲の磁界に相当した電流を測定することができる。第1センサ素子51において、大きさがHt1以上Ht3以下の範囲の磁界は、例えば、R1〜R3の大きさの抵抗変化に相当する。R1〜R3の大きさの抵抗変化は、例えば、V1〜V3の大きさの出力電圧に相当する。
例えば、第2センサ素子52は、大きさがHt3以上Htn以下の範囲の磁界に相当した電流を測定することが出来る。第2センサ素子52において、大きさがHt3以上Htn以下の範囲の磁界は、例えば、V3〜Vnの大きさの出力電圧に相当する。
例えば、大きさがHt3の磁界に対する第1センサ素子51の出力電圧と、大きさがHt3の磁界に対する第2センサ素子52の出力電圧とは、異なる。素子によって、同じ磁界に対する出力電圧が異なる。このため、出力電圧が出力されたセンサ素子を識別することで、磁界の大きさを測定することができる。
図38は、第3の実施形態に係る電流センサを例示する模式図である。
実施形態に係る電流センサ211は、複数のセンサ素子50と、処理部80とを含む。この例では、処理部80は、複数のコンパレータ120と、レジスタ110と、マルチプレクサ111と、アンプ100と、を含む。例えば、複数のセンサ素子50は、第1センサ素子51と第2センサ素子52とを含む。処理部80は、第1コンパレータ121と第2コンパレータ122とを含む。
複数のセンサ素子50は、複数のコンパレータ120及びマルチプレクサ111と接続される。コンパレータ120のそれぞれには、例えば、基準値Vrefが予め設定される。コンパレータ120のそれぞれは、複数のセンサ素子50のいずれかの出力と、基準値Vrefとの大きさを比較する。例えば、センサ素子50の出力が基準値Vrefよりも大きい場合に「1」を出力し、センサ素子50の出力が基準値Vrefよりも小さい場合に「0」を出力する。
複数のコンパレータ120のそれぞれは、例えば、磁界に対して適切な値を出力すると推定されるセンサ素子50を選択し、選択した結果をレジスタ110に送る(演算値が出力される)。レジスタ110は、コンパレータ120のそれぞれから出力された演算値に基づく素子選択信号Siga(素子選択値)を保持し、素子選択信号Sigaをマルチプレクサ111へ送る。
マルチプレクサ111は、複数のセンサ素子50に接続されている。マルチプレクサ111は、素子選択信号Sigaに基づいて、いずれかのセンサ素子50の出力をアンプ100へ出力する。このようにマルチプレクサ111において、例えば一意的にセンサ素子を選択できる。アンプ100において、選択されたセンサ素子50の出力が増幅され、アナログ信号Sigbとして出力される。これにより、磁界に対して適切な出力を得ることができる。
例えば、第1コンパレータ121には、第1基準値Vref1が予め定められ、第2コンパレータ122には、第2基準値Vref2が予め定められる。第1コンパレータ121は、第1センサ素子51によって出力される第1信号Sig1と、第1基準値Vref1と、を比較し、第1演算値Vs1をレジスタ110へ出力する。第2コンパレータ122は、第2センサ素子52によって出力されるSig2と、第2基準値Vref2と、を比較し、第2演算値Vs2をレジスタ110へ出力する。レジスタ110は、第1演算値Vs1と、第2演算値Vs2とに基づく素子選択値を保持し、マルチプレクサ111へ出力する。マルチプレクサ111は、素子選択値、第1信号Sig1及び第2信号Sig2、に基づく信号を出力する。
実施形態に係る電流センサは、広いダイナミックレンジにおいて、高い精度で電流を検知することができる。上述のように、例えば、実施形態に係る電流センサは、電流センサモジュールに用いられる。実施形態に係る電流センサを、家庭用電気機械器具の電力測定に用いても良い。例えば、実施形態に係る電流センサをHEMSに用いても良い。
図39は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールを例示する模式図である。
図39に表したように、実施形態に係る電流センサモジュール257を用いて家庭用電気機械器具350の電力を測定することができる。
図40(a)〜図40(c)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールを例示する模式図である。
図40に表したように、電流センサモジュール257は、筐体300、電線70、センサ素子50、絶縁部301、電線支持部302、基板支持部303、電子基板モジュール304及びセンサ基板モジュール305を含む。電流センサ257には、電流センサモジュール250と同様の構成を適用することができる。電流センサ257には、電流センサモジュール251〜256と同様の構成を適用してもよい。電流センサ257においても、家庭用電気機械器具350と電流センサ257との相対的位置は、変化しにくいことが好ましい。電線70と、家庭用電気機械器具350の電線と、を接続する。これにより、電力を測定することができる。
図41(a)〜図41(d)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールを例示する模式図である。
図41(a)〜図41(d)は、第3の実施形態に係る電流センサモジュールに用いられるセンサ素子50(51g)を例示している。
図41(a)に表したように、センサ素子51gは、第1電極E1と、第2電極E2と、下地層10lと、ピニング層10pと、第1磁性層10と、中間層30と、第2磁性層20と、キャップ層26cと、を含む。これらについては、センサ素子50について説明した構成を適用することができる。センサ素子51gには、さらにインスタックバイアス層60が設けられている。インスタックバイアス層60は、第2磁性層20とキャップ層26cとの間に設けられる。
インスタックバイアス層60は、分離層61と、バイアス磁性層62と、バイアスピニング層63と、を含む。バイアス磁性層62は、第1バイアス磁性層62aと、第2バイアス磁性層62bと、バイアス磁気結合層62cと、を含む。
第2電極E2と、第2磁性層20との間に分離層61が設けられる。分離層61と第2電極E2との間にバイアス磁性層62が設けられる。バイアス磁性層62と第2電極E2との間にバイアスピニング層63が設けられる。分離層61とバイアスピニング層63との間に第1バイアス磁性層62aが設けられる。第1バイアス磁性層62aとバイアスピニング層63との間に第2バイアス磁性層62bが設けられる。第1バイアス磁性層62aと第2バイアス磁性層62bとの間にバイアス磁気結合層62cが設けられる。分離層61は、非磁性である。バイアスピニング層63は、バイアス磁性層62の磁化方向を固着する。
図41(b)〜図41(d)は、センサ素子51gの製造方法を例示している。
図41(b)に表したようにセンサ素子51gを磁界中でアニールする。この例では、第2磁化固定層10jの磁化10jmの方向は、X軸方向と平行である。磁化10jmの方向と平行な方向の磁界Hxを印加した状態で第1アニールを行う。このとき、バイアス磁性層62の磁化62mの方向は、X軸方向と平行である。
図41(c)に表したように、その後、磁化10jmの方向と垂直な方向の磁界Hyを印加した状態で第2アニールを行う。このとき、バイアス磁性層62の磁化62mの方向は、Y軸方向と平行である。
図41(d)に表したように、室温において、磁化62mの方向はY軸方向と平行である。
インスタックバイアス層によって、第1磁性層10にバイアス磁界を印加することができる。例えば、分離層61の厚さ、第1バイアス磁性層62aの厚さ、第2バイアス磁性層62bの厚さ、及び、バイアスピニング層63の厚さのいずれかを調整する。これにより、センサ素子51gの磁界に対する感度を変化させることができる。
実施形態によれば、高精度の電流センサが提供できる。
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、第1電極、第2電極、第3電極、第4電極、第1積層体、第2積層体、第1磁性層、第2磁性層、第3磁性層、第4磁性層、中間層、第2中間層、第1センサ素子及び第2センサ素子などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した電流センサを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての電流センサも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…第1磁性層、 10b…第3磁性層、 10i、10ib…第1磁化固定層、 10j、10jb…第2磁化固定層、 10jm…磁化方向。 10k、磁気結合層…磁気結合層、 10l、10lb…下地層、 10m…磁化、 10p、10pb…ピニング層、 10s…第1積層体、 10sb…第2積層体、 10x…積層体、 20…第2磁性層、 20b…第4磁性層、 20m…磁化、 20p…第1部分、 20q…第2部分、 25、25a…機能層、 25b…第2機能層、 26c、26c…キャップ層、 30…中間層(第1中間層)、 30b…第2中間層、 35、35b…絶縁層、 36…第1ハードバイアス層(第1磁性バイアス層)、 36b…第2ハードバイアス層(第2磁性バイアス層)、 36ma…第1ハードバイアス部、 36mb…第2ハードバイアス部、 50…センサ素子、 51…第1センサ素子、 51a〜51g…センサ素子、 52…第2センサ素子、 52c…センサ素子、 53…第3センサ素子、 60…インスタックバイアス層、 61…分離層、 62…バイアス磁性層、 62a…第1バイアス磁性層、 62b…第2バイアス磁性層、 62c…バイアス磁気結合層、 62m…磁化、 63…バイアスピニング層、 70〜72…電線、 70b…第2電線、 80…処理部、 81…定電流源、 82…増幅回路、 83…アナライザ、 90…基板、 90a…基板面、 91…下電極、 91a〜91c…第1〜第3下電極部、 91x…膜、 92、93…絶縁層、 94…上電極、 94a〜94c…第1〜第3上電極部、 94x…膜、 100…アンプ、 101…アナログデジタル変換部、 102…メモリ、 103…通信回路、 110…レジスタ、 111…マルチプレクサ、 120…コンパレータ、 121〜122…第1〜第2コンパレータ、 200〜204、210、211…電流センサ、 250〜257…電流センサモジュール、 300…筐体、 300a…第1筐体面、 300b…第2筐体面、 301…絶縁部、 302…電線支持部(第1支持部)、 303…基板支持部(第2支持部)、 304…電子基板モジュール、 305…センサ基板モジュール、 306…表示部、 350…家庭用電気機械器具、 E1〜E4…第1〜第4電極、 H…外部磁場、 H1〜H3…磁界、 Hc…保磁力、 Hs1、Hs2、Hx、Hy…磁界、 I1、I2…電流、 Int…強度、 L1〜L3…線、 N…ノイズ、 P1〜P6…点、 PS…パワースペクトル、 R…電気抵抗、 S01〜S03…第1〜第3試料、 ST1〜ST3…第1〜第3状態、 Sg1〜Sg2…第1〜第2信号、 Siga…素子選択信号、 Sigb…アナログ信号、 Vref…基準値、 Vref1…第1基準値、 Vref2…第2基準値、 Vs1…第1演算値、 Vs2…第2演算値、 ma1〜ma6…第1〜第6バイアス部、 t、t1b、t2b…厚さ

Claims (22)

  1. 第1電極と、
    第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた第1積層体であって、
    第1磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2電極との間に設けられた第2磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ、結晶構造を含む非磁性の第1中間層と、
    前記第2磁性層と前記第2電極との間に設けられ酸化物及び窒化物の少なくともいずれかを含む第1層と、
    前記第1層と前記第2電極との間に設けられ前記第1層と接する非磁性層と、
    を含む第1積層体と、
    を含む第1センサ素子と、
    電線と、
    を備え、
    前記第2磁性層の磁化は、前記電線を流れる電流によって生じる磁界に応じて変化し、
    前記第2磁性層の少なくとも一部は、アモルファスであり、ホウ素を含み、
    前記第2磁性層は、第1部分と、前記第1部分と前記第1層との間に位置する第2部分と、を含み、
    前記第1部分におけるホウ素の濃度は、前記第2部分におけるホウ素濃度よりも低い電流センサ。
  2. 前記第2磁性層の少なくとも一部に含まれるホウ素の濃度は、5原子パーセント以上35原子パーセント以下である請求項1記載の電流センサ。
  3. 前記第2部分は、アモルファスである請求項1または2記載の電流センサ。
  4. 前記第1層は、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Zn、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる第1群から選択された少なくともいずれかの元素を含む酸化物材料、または、第1群から選択された少なくともいずれかの元素を含む窒化物材料、を含む請求項1〜のいずれか1つに記載の電流センサ。
  5. 前記第1センサ素子は、前記電線の延在する方向と交差する方向において、前記電線と並ぶ請求項1〜のいずれか1つに記載の電流センサ。
  6. 第3電極と、
    第4電極と、
    前記第3電極と前記第4電極との間に設けられた第2積層体であって、
    第3磁性層と、
    前記第3磁性層と、前記第4電極との間に設けられた第4磁性層と、
    前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた非磁性の第2中間層と、
    を含む第2積層体と、
    を含む第2センサ素子をさらに備え、
    前記第4磁性層の磁化は、前記磁界に応じて変化し、
    前記第4磁性層の少なくとも一部は、アモルファスである請求項1〜5のいずれか1つに記載の電流センサ。
  7. 第3電極と、
    第4電極と、
    前記第3電極と前記第4電極との間に設けられた第2積層体であって、
    第3磁性層と、
    前記第3磁性層と、前記第4電極との間に設けられた第4磁性層と、
    前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた非磁性の第2中間層と、
    を含む第2積層体と、
    を含む第2センサ素子をさらに備え、
    前記第4磁性層の磁化は、前記磁界に応じて変化し、
    前記第4磁性層の少なくとも一部は、5原子パーセント以上35原子パーセント以下のホウ素を含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の電流センサ。
  8. 前記第2積層体は、前記第4磁性層と前記第4電極との間に設けられ酸化物及び窒化物の少なくともいずれかを含む第2層をさらに含む請求項6または7記載の電流センサ。
  9. 前記第2層は、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Zn、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる第1群から選択された少なくともいずれかの元素を含む酸化物材料、または、第1群から選択された少なくともいずれかの元素を含む窒化物材料、を含む請求項8記載の電流センサ。
  10. 前記第2センサ素子は、前記電線の延在する方向と交差する方向において、前記電線と並ぶ請求項6〜9のいずれか1つに記載の電流センサ。
  11. 前記第1センサ素子と前記電流の流れる電線との間の距離は、前記第2センサ素子と前記電線との間の距離よりも短い請求項6〜10のいずれか1つに記載の電流センサ。
  12. 前記第1センサ素子は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ前記第1電極から前記第2電極へ向かう第1方向と交差する第2方向において前記第1積層体と並ぶ第1磁性バイアス層をさらに含む請求項〜11のいずれか1つに記載の電流センサ。
  13. 前記第2センサ素子は、
    前記第3電極と前記第4電極との間に設けられ、前記第3電極から前記第4電極へ向かう第3方向と交差する第4方向において前記第2積層体と並ぶ第2磁性バイアス層をさらに含み、
    前記第1磁性バイアス層と前記第1積層体との間の距離は、前記第2磁性バイアス層と前記第2積層体との間の距離よりも短い請求項12記載の電流センサ。
  14. 前記第2センサ素子は、
    前記第3電極と前記第4電極との間に設けられ、前記第3電極から前記第4電極へ向かう第3方向と交差する第4方向において前記第2積層体と並ぶ第2磁性バイアス層をさらに含み、
    前記第1磁性バイアス層の磁気膜厚は、前記第2磁性バイアス層の磁気膜厚よりも厚い請求項12記載の電流センサ。
  15. 前記第1センサ素子は、
    前記第2電極と前記第2磁性層との間に設けられ、非磁性の分離層と、
    前記分離層と前記第2電極との間に設けられたバイアス磁性層と、
    前記バイアス磁性層と前記第2電極との間に設けられ、前記バイアス磁性層の磁化方向を固着するバイアスピニング層と、
    をさらに含む請求項1〜11記載のいずれか1つに記載の電流センサ。
  16. 前記第1センサ素子から得られる第1信号と、前記第2センサ素子から得られる第2信号と、を処理する処理部をさらに備えた請求項6〜1のいずれか1つに記載の電流センサ。
  17. 前記処理部は、
    前記第1信号を増幅するアンプと、
    前記増幅された前記第1信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル出力変換部と、
    前記デジタル信号を保持するメモリ部と、
    前記デジタル信号を送信する通信回路と、
    を含む請求項16記載の電流センサ。
  18. 前記処理部は、前記第1信号及び前記第2信号の少なくともいずれかにより求められた前記電流の大きさに基づいて、前記第1信号及び前記第2信号のいずれかに基づく信号を出力する請求項16記載の電流センサ。
  19. 前記処理部は、
    レジスタと、
    マルチプレクサと、
    第1コンパレータであって、前記第1信号と予め定められた第1基準値とを比較し、第1演算値を前記レジスタへ出力する第1コンパレータと、
    第2コンパレータであって、前記第2信号と予め定められた第2基準値とを比較し、第2演算値を前記レジスタへ出力する第2コンパレータと、
    を含み、
    前記レジスタは、前記第1演算値及び前記第2演算値に基づく素子選択値を保持し、前記素子選択値を前記マルチプレクサに出力し、
    前記マルチプレクサは、前記素子選択値、前記第1信号及び前記第2信号、に基づく信号を出力する請求項16記載の電流センサ。
  20. 請求項1〜19のいずれか1つに記載の電流センサと、
    筺体と、
    前記電線と前記筺体との相対的な位置を規定する第1支持部と、
    前記電流センサと前記筺体との相対的な位置を規定する第2支持部と、
    を備えた電流センサモジュール。
  21. 前記第1磁性層から前記第2磁性層へ向かう方向は、前記電線の延在する方向と平行であり、
    前記第2磁性層の前記磁化の方向は、前記電流が流れていないときに、前記電線から前記第1センサ素子へ向かう方向と、平行である請求項20に記載の電流センサモジュール。
  22. 前記第1磁性層から前記第2磁性層へ向かう方向は、前記電線の延在する方向と垂直であり、
    前記第2磁性層の前記磁化の方向は、前記電流が流れていないときに、前記電線の延在する方向と、平行である請求項20に記載の電流センサモジュール。
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