JP6198200B2 - 回転機械 - Google Patents
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Description
このシール機構としては、メンテンナス性などの観点から非接触型のシール機構が一般的である。しかし、非接触型のシール機構は、流体の漏れ量を低減するためにできるだけクリアランスを小さく設定する必要がある。
上記シール機構は、流入する流体の旋回流(以下、単にスワールと称す)によって自励振動する場合がある。シール機構は、この自励振動によって静止側と回転側とが接触しないようにクリアランスを設定しなければならない。そのため、非接触型のシール機構においては、クリアランスを小さくできず、流体の更なる漏れ量低減が困難となっていた。
静止側と回転側との間にできる隙間に流入した流体に対して高圧の流体を噴出させて自励振動の原因になるスワールを打ち消す技術が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
一方で、スワールを低減可能な非接触型のシール機構として、静止側の内周面に無数の穴が形成されたいわゆるホールシールが知られている。このホールシールを用いた場合、ホール内に渦流が生じる。このホール内の渦流がスワールに干渉してスワールが抑制される。
また、ホールシールの場合には、スワールを渦流によって低減できる。しかし、ホールシールの場合、軸方向に流れる流体については、隙間によって縮流されるだけであるため、今まで以上の漏れ量低減が困難になる。
この発明の第八の態様によれば、回転機械は、軸線に沿って延びるロータと、該ロータの外周側に配置され、前記ロータに対して前記軸線回りに相対回転するステータと、前記ステータに固定されて前記ロータと前記ステータとの間の空間を高圧側と低圧側とに区画するとともに、前記ロータの外周面に対向し、それぞれ底面を有する複数の第一穴部が周方向に間隔をあけて形成され、前記ロータの前記軸線方向に間隔をあけて複数設けられる第一穴列を有するホールパターンシールと、を備え、前記ホールパターンシールは、前記複数の第一穴列のそれぞれの高圧側に前記ロータ側に向かって延出し、周方向に延びるフィン部を有し、前記複数の第一穴部の内部空間は、それぞれ前記周方向で隣り合う第一穴部の内部空間同士が、前記ホールパターンシールの内部で連通されずにそれぞれ独立して形成され、前記ロータは、該ロータの外周面から前記第一穴部に向かって突出して周方向に延びて、前記フィン部の低圧側で前記第一穴部に対向する凸部を備え、該凸部は、前記ロータの軸線方向で高圧側の前記フィン部側を向く壁面を備え、前記フィン部は、先端側が高圧側に向くように傾斜している。
この発明の第九の態様によれば、回転機械は、第八の態様において、前記フィン部が、先端側が先細り状に形成されていてもよい。
図1は、この発明の第一実施形態に係る遠心圧縮機1を示す概略構成断面図である。
図1に示すように、この実施形態における遠心圧縮機1は、多段式遠心圧縮機である。遠心圧縮機1は、例えば2組の3段式インペラ群を備えている。
回転軸(ロータ)2は、軸線O回りに回転する。
インペラ3は、回転軸2に取り付けられ遠心力を利用してプロセスガス(流体)Gを圧縮する。
ケーシング5は、回転軸2を回転可能に支持する。このケーシング5には、プロセスガスGを高圧側から低圧側に流すリターン流路4が形成されている。
シール機構20は、回転軸2の外周面に沿って設けられている。
ディスク3aは、軸線O方向で排出口5d,5f側に向かって漸次拡径された略円盤状に形成されている。
ブレード3bは、ディスク3aに放射状に取り付けられている。ブレード3bは、周方向に複数並んでいる。
カバー部3cは、複数のブレード3bの先端側を周方向に覆うように取り付けられている。
まず、3段式インペラ群3Aにおいて、吸込口5cから吸込まれたプロセスガスGを、リターン流路4に流入させて、インペラ3、ディフューザ部12、ベンド部13、および、リターン部14の順に1段目から3段目まで流しながら圧縮する。その後、3段目のディフューザ部12まで流過した圧縮されたプロセスガスGを排出口5dから排出する。排出口5dから排出されたプロセスガスGは、排出口5dから吸込口5eへとつながる図示しない管路を通って吸込口5eへと送られる。
ここで、上述した回転軸2が回転すると、回転軸2の周囲のプロセスガスGには、インペラ3を含む回転体から回転接線方向にせん断力が作用する。このせん断力の作用によって周方向の速度成分を有するスワールが発生する。このスワールを含むプロセスガスGが、軸線O方向両側の圧力差によって高圧側から低圧側に向かって流れようとする。
この第二実施形態は、上述した第一実施形態と、ホールパターンシールにおける穴部22の配置が異なるだけであるので、同一部分に同一符号を付して説明し、重複説明を省略する(以下、第三から第七実施形態も同様)。
さらに、凸部25に対向する隔壁K3が周方向に連続するため、凸部25と隔壁K3との間のクリアランスを周方向で略均一にすることができる。その結果、スワールの更なる低減を図りつつ、ラビリンス構造によるシール効果を向上して流体の漏れ流量を低減することが可能となる。なお、ホールパターンシール121の強度という点では、上述した第一実施形態のホールパターンシール21の方が隔壁K2,K3がより厚く形成される点で有利である。
上述した第一実施形態および第二実施形態のフィン部24の先端部24aが径方向に延びていたのに対して、第三実施形態の遠心圧縮機のフィン部124は、基部24bよりも先端部24aが高圧側に配置されるように傾斜状態で形成されている。図9においては、フィン部124を直線状に形成する一例を示しているが、回転軸2側に向かって徐々に傾斜角度が軸線Oの角度に近づくように形成されてもよい。
上述した第一実施形態並びに第二実施形態のフィン部24,124が一定の厚さで形成されていたのに対して、この第四実施形態の遠心圧縮機のフィン部224は、先端部224aに向かうほど幅寸法が薄く形成された先細り状に形成されている。図10においては、フィン部224全体が先細り状に形成される一例を示しているが、基部224bと先端部224aとの途中の中間部から先端部224a側のみを先細り状としても良い。
第二穴部22Cは、その直径と深さ寸法とが同等に形成されている。より具体的には、第二穴部22Cは、その直径に対する深さ寸法のアスペクト比が0.8〜1.2、より好ましくは、1.0とされている。
また、第二穴部22Cのアスペクト比が0.8〜1.2、より好ましくは、1.0とされることで、より渦流を生じ易くすることができる。
図14に示す変形例は、第二穴部22Cの深さを、上述した第七実施形態の第二穴部22Cよりも浅く形成している。この変形例における第二穴部22Cは、その直径に対する深さ寸法のアスペクト比が0.8〜1.2、より好ましくは、1.0とされている。このようにすることで、第五実施形態と同様に、第二穴部22C内に渦流を形成し易くなる。そのため、隔壁K31および隔壁K32によるシール性の向上に加えて、渦流の干渉によるスワールの更なる低減を図ることができる。
例えば、上述した各実施形態においては、ホールパターンシール21の穴部22を断面円形状とした場合について説明した。しかし、穴部22の形状は、上記形状に限られず、例えば、断面多角形状としてもよい。更に穴部22の内径は、必ずしも全て同一である必要は無く、必要に応じて内径を変化させるようにしても良い。
さらに、遠心圧縮機は3段式に限られない。また、インペラ群を背中合わせに配置するものに限られるものではない。
さらに、上述した各実施形態においては、回転軸2に形成された凸部25が径方向に延びる縦壁25bを備える一例を説明した。しかし、縦壁25bが延びる方向は、径方向に限られるものではない。縦壁25bは、例えば、傾斜していても良く、また、平面に限られず曲面であっても良い。
2 回転軸(ロータ)
2a 外周面
3 インペラ
3A 3段式インペラ群
3B 3段式インペラ群
3a ディスク
3b ブレード
3c カバー部
4 リターン流路
5 ケーシング(ステータ)
5a ジャーナル軸受
5b スラスト軸受
5c 吸込口
5d 排出口
5e 吸込口
5f 排出口
6 内部空間
6a 内部空間
6b 内部空間
12 ディフューザ部
13 ベンド部
14 リターン部
20 シール機構
21,121 ホールパターンシール
21a 内周面
22 穴部
22A 第一穴部
22B 第二穴部
22C 第二穴部
22a 底面
22b 開口部
24,124,224 フィン部
24a 先端部
24b 基部
25 凸部
25a 外周面
25b 縦壁
224a 先端部
224b 基部
c クリアランス
G プロセスガス
g1,g2,g3 隙間
K1,K2,K3 隔壁
K31,K32 隔壁
L1 第1列(第一穴列)
L2 第2列(第二穴列)
L3 第3列(第二穴列)
L21 第1列(第一穴列)
L22 第2列(第二穴列)
O 軸線
R 列群
S1,S2,S3,S4 間隔
Claims (10)
- 軸線に沿って延びるロータと、
該ロータの外周側に配置され、前記ロータに対して前記軸線回りに相対回転するステータと、
前記ステータに固定されて前記ロータと前記ステータとの間の空間を高圧側と低圧側とに区画するとともに、前記ロータの外周面に対向し、それぞれ底面を有する複数の第一穴部が周方向に間隔をあけて形成され、前記ロータの前記軸線方向に間隔をあけて複数設けられる第一穴列を有するホールパターンシールと、を備え、
前記ホールパターンシールは、
前記複数の第一穴列のそれぞれの高圧側に前記ロータ側に向かって延出し、周方向に延びるフィン部を有し、
前記複数の第一穴部の内部空間は、それぞれ前記周方向で隣り合う第一穴部の内部空間同士が、前記ホールパターンシールの内部で連通されずにそれぞれ独立して形成され、
前記ロータは、
該ロータの外周面から前記第一穴部に向かって突出して周方向に延びて、前記フィン部の低圧側で前記第一穴部に対向する凸部を備え、
該凸部は、前記ロータの軸線方向で高圧側の前記フィン部側を向く壁面を備え、
前記凸部は、各フィン部の低圧側で各第一穴列の前記第一穴部に対向するように設けられ、
前記ホールパターンシールは、
各第一穴列の低圧側に、それぞれ底面を有する複数の第二穴部が周方向に間隔をあけて形成され、前記複数の第二穴部の内部空間は、前記第一穴部とも、前記周方向で隣り合う第二穴部の内部空間同士とも、前記ホールパターンシールの内部で連通されずにそれぞれ独立して形成される第二穴列を少なくとも一列有する回転機械。 - 前記第一穴部と前記第二穴部とは、正方配列されている請求項1に記載の回転機械。
- 前記フィン部は、先端側が高圧側に向くように傾斜している請求項1又は2に記載の回転機械。
- 前記フィン部は、先端側が先細り状に形成されている請求項1から3の何れか一項に記載の回転機械。
- 前記第二穴部は、前記第一穴部の深さよりも浅く形成されている請求項1から4の何れか一項に記載の回転機械。
- 前記第一穴部は、前記第二穴部よりも大径に形成されている請求項1から5の何れか一項に記載の回転機械。
- 軸線方向で隣り合う前記第一穴列の間には、複数の前記第二穴部が軸線方向に並んで設けられている請求項1から6の何れか一項に記載の回転機械。
- 軸線に沿って延びるロータと、
該ロータの外周側に配置され、前記ロータに対して前記軸線回りに相対回転するステータと、
前記ステータに固定されて前記ロータと前記ステータとの間の空間を高圧側と低圧側とに区画するとともに、前記ロータの外周面に対向し、それぞれ底面を有する複数の第一穴部が周方向に間隔をあけて形成され、前記ロータの前記軸線方向に間隔をあけて複数設けられる第一穴列を有するホールパターンシールと、を備え、
前記ホールパターンシールは、
前記複数の第一穴列のそれぞれの高圧側に前記ロータ側に向かって延出し、周方向に延びるフィン部を有し、
前記複数の第一穴部の内部空間は、それぞれ前記周方向で隣り合う第一穴部の内部空間同士が、前記ホールパターンシールの内部で連通されずにそれぞれ独立して形成され、
前記ロータは、
該ロータの外周面から前記第一穴部に向かって突出して周方向に延びて、前記フィン部の低圧側で前記第一穴部に対向する凸部を備え、
該凸部は、前記ロータの軸線方向で高圧側の前記フィン部側を向く壁面を備え、
前記フィン部は、先端側が高圧側に向くように傾斜している回転機械。 - 前記フィン部は、先端側が先細り状に形成されている請求項8に記載の回転機械。
- 前記凸部は、軸線方向で前記フィン部が形成されていない位置に形成され、
前記ロータの軸線方向で高圧側の前記フィン部側を向く前記凸部の壁面は、前記第一穴部と前記軸線方向で重なる位置に配置されている請求項8又は9に記載の回転機械。
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