JP2019019765A - 遠心圧縮機、ターボチャージャ - Google Patents

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大塚 正義
Masayoshi Otsuka
正義 大塚
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Abstract

【課題】遠心圧縮機のサージングの発生を抑制することができる遠心圧縮機、ターボチャージャを得る。【解決手段】回転翼へ空気を導く流入流路に、軸方向から見て流入流路の周方向に並んでいる複数の第一凹部と、空気を導く導入方向において第一凹部の上流側で、流入流路の全周に亘って形成され、回転翼の軸線に沿って切断した断面形状が、第一凹部の径寸法より大きくされ、前記導入方向の上流側の部分で湾曲する釣り針形状とされている第二凹部とが形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、遠心圧縮機、及びターボチャージャに関する。
特許文献1に記載の遠心圧縮機では、遠心圧縮機から排出される圧縮空気の流量が少なくなると、遠心圧縮機の空気入口に設けられた案内羽根の傾斜角度を大きくすることで、空気の流れ方向が変えられるようになっている。
国際公開第2014/033878号公報
ターボチャージャ用の遠心圧縮機では、同一回転数で圧縮機出口の流路を絞ると、出口圧力が高くなり圧縮空気の流量が少なくなる。これにより、回転翼の回転数が低い場合には、一部の空気が、インペラ(回転翼)出口からシュラウド側の隙間を通って、インペラ入口に逆流する。この逆流は、インペラの回転方向に旋回する螺旋状の流れとなって、遠心圧縮機の流入流路の壁面に沿って流れる。具体的には、一部の空気が、インペラ出口からシュラウド側の隙間を通って、インペラ入口に逆流し、他の空気が、インペラ出口からインペラの径方向の外側へ流れる。このように空気が分かれる(剥離する)ことで、サージジングが発生しやすくなる。換言すると、このように空気が逆流することで、サージジングが発生しやすくなる。
本願発明の課題は、遠心圧縮機のサージングの発生を抑制することである。
本発明の請求項1に係る遠心圧縮機は、軸周りに回転し、軸方向から流入する空気を圧縮して径方向へ流す回転翼と、前記回転翼へ空気を導く流入流路が前記軸方向に延びて形成されている導入部であって、前記流入流路に、前記軸方向から見て前記流入流路の周方向に並んでいる複数の第一凹部と、空気を導く導入方向において前記第一凹部の上流側で、前記流入流路の全周に亘って形成され、前記回転翼の軸線に沿って切断した断面形状が、前記第一凹部の径寸法より大きくされ、前記導入方向の上流側の部分で湾曲する釣り針形状とされている第二凹部とが形成されている前記導入部と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、回転する回転翼は、導入部に形成された軸方向に延びる流入流路から流入する空気を圧縮して回転翼の径方向へ流す。ここで、回転翼の回転数が低く、圧縮機出口圧力が高い場合には、回転する回転翼によって圧縮されて径方向へ流された空気の一部は、逆方向に折り返して流入流路側へ流れる(逆流する)。
そして、流入流路側へ逆流した空気は、流入流路を螺旋状に流れる。流入流路を螺旋状に流れる空気において径方向の外側の部分の空気は、第一凹部の壁面に沿って流れる。第一凹部の壁面に沿って流れる空気は、流れ方向が変えられ、軸方向から見て、回転翼の回転中心側に流れる。これによって、回転翼側に流れる空気は、軸方向から見て、回転翼の回転中心側に押され、回転翼側へ流れる空気の圧力が高くなる。
さらに、流入流路側へ逆流した空気は、第二凹部の壁面に沿って流れる。ここで、第二凹部は、流入流路の全周に亘って形成され、回転翼の軸線に沿って切断した断面形状は、流入流路が空気を導く導入方向の上流側に湾曲部を有する釣り針形状とされている。このため、第二凹部の壁面に沿って螺旋状に流れる空気は、湾曲部によって進行方向が変えられ、回転翼の回転中心側に進行する。
この回転翼の回転中心側に進行する空気によって、回転翼側へ流れる空気は、軸方向から見て、回転翼の回転中心側に押される。これにより、回転翼側へ流れる空気の圧力は高くなる。
このように、流入流路に第一凹部、及び第二凹部が形成されていることで、回転翼側へ流れる空気の圧力は高くなる。このため、回転する回転翼によって圧縮されて径方向へ流れる空気の逆流が抑制される。
このように空気の逆流が抑制されることで、サージングの発生を抑制することができる。
本発明の請求項2に係る遠心圧縮機は、請求項1に記載の遠心圧縮機において、前記流入流路において前記第一凹部に対して前記導入方向の下流側の部分には、前記回転翼へ空気を導くと共に、前記軸方向に対して直交した方向に切断した断面形状が円状で前記軸方向に延びる円状部が形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、円状部は、断面形状が円状で軸方向に延びている。このため、回転翼の回転数が低い場合には、円状部の壁面に沿って回転翼側に流れるが、回転翼の回転数が高い場合には、第一凹部の傾斜面からの流れが円状部入口で剥離を生じ、生じた剥離領域は圧力が低下しているので、インペラ出口からの流れが逆流してくる。したがって、円状部の壁面に沿って回転翼側に流れる空気は、円状部が形成されていない場合と比して、径方向の内側から回転翼へ流入する。このため、インペラ入口外周部の回転翼の背面で空気が剥離することに起因する渦の発生が抑制される。
このように渦の発生が抑制されることで、サージングの発生を抑制することができる。
本発明の請求項3に係る遠心圧縮機は、請求項1又は2に記載の遠心圧縮機において、前記第一凹部は、前記軸方向から見て、前記第一凹部の端部を通る円に接する接線であって、前記回転翼の回転方向の下流側に延びる直線部と、一端が前記直線部と接し他端が前記円に達している湾曲状の湾曲部とを含んで形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、第一凹部は、第一凹部の端部を通る円に接する接線である直線部と、一端が直線部と接する湾曲部とを含んで形成されている。このため、流入流路側へ逆流して直線部に沿って流れる空気は、壁面と剥離することなく流れ、湾曲部に達する。そして、湾曲部に達した空気は、湾曲部によって流れ方向が変えられ、軸方向から見て、回転翼の回転中心側に流れる。このように第一凹部が直線部と湾曲部とを含んで形成されることで、第一凹部が直線部と湾曲部とを含んで形成されていない場合と比して、第一凹部の壁面に沿って流れる空気を、回転翼の回転中心側に流すことができる。
本発明の請求項4に係る遠心圧縮機は、請求項1〜3の何れか1項に記載の遠心圧縮機において、前記第一凹部は、前記流入流路の周方向に同様の間隔で並んでいることを特徴とする。
上記構成によれば、複数の第一凹部は流入流路の周方向に同様の間隔(ピッチ)で並んでいる。これにより、第一凹部が流入流路の周方向に同様の間隔で並んでいない場合と比して、第一凹部の壁面に沿って流れる空気を、回転翼の回転中心側に流すことができる。
本発明の請求項5に係る遠心圧縮機は、請求項1〜4の何れか1項に記載の遠心圧縮機において、前記回転翼の軸線に沿って切断した前記第二凹部の断面形状は、前記回転翼の軸線に対して傾斜した傾斜直線部と、前記傾斜直線部の前記導入方向の上流側の端部と接する上流湾曲部とを含んで形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、第二凹部の断面は、回転翼の軸線に対して傾斜した傾斜直線部と、直線部と接した上流湾曲部とを含んで形成されている。これにより、傾斜直線部に沿って螺旋状に流れる空気は、傾斜直線部の壁面と剥離することなく進行して上流湾曲部に達する。そして、上流湾曲部に達した空気は、上流湾曲部によって進行方向が変えられ、軸方向から見て、回転翼の回転中心側に進行する。
このように、傾斜直線部に沿って螺旋状に流れる空気は、壁面と剥離することなく進行するため、傾斜直線部が形成されていない場合と比して、上流湾曲部によって流れ方向が変えられ、回転翼の回転中心側に進行する空気の流量を多くすることができる。
本発明の請求項6に係るターボチャージャは、エンジンから排出される排気ガスが流れる力によって回転するタービンロータを有するタービンユニットと、前記タービンロータから回転力が回転翼に伝達され、前記エンジンに供給する空気を圧縮する請求項1〜5の何れか1項に記載の遠心圧縮機と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、遠心圧縮機におけるサージングの発生が抑制されることで、圧縮空気をエンジンに効率よく供給することができる。
本発明によれば、遠心圧縮機のサージングの発生を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る遠心圧縮機を示した断面図である。 本発明の実施形態に係る遠心圧縮機の第一凹部を示した断面図である。 本発明の実施形態に係る遠心圧縮機の第一凹部を示した拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る遠心圧縮機の第二凹部を示した拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る遠心圧縮機の第二凹部を示した断面斜視図である。 本発明の実施形態に係るターボチャージャを示した構成図である。 本発明の実施形態に係る遠心圧縮機、及び比較形態に係る遠心圧縮機のサージング限界をグラフで示した図面である。 (A)(B)本発明の実施形態に係る遠心圧縮機のCFD解析の解析結果、及び比較形態に係る遠心圧縮機のCFD解析の解析結果を示した図面である。 (A)(B)本発明の実施形態に係る遠心圧縮機のCFD解析の解析結果、及び比較形態に係る遠心圧縮機のCFD解析の解析結果を示した図面である。 本発明の実施形態に係る遠心圧縮機のインペラを示した斜視図である。 (A)(B)本発明の実施形態に係る遠心圧縮機の空気の流れ、及び比較形態に係る遠心圧縮機の空気の流れを示した図面である。 (A)(B)(C)(D)本発明の実施形態に係る遠心圧縮機の空気の流れ、及び比較形態に係る遠心圧縮機の空気の流れを示した図面である。 (A)(B)本発明の実施形態に係る遠心圧縮機のCFD解析の解析結果、及び比較形態に係る遠心圧縮機のCFD解析の解析結果を示した図面である。 本発明の比較形態に係る遠心圧縮機を示した断面図である。 本発明の比較形態に係る遠心圧縮機を示した断面図である。
本発明の実施形態に係る遠心圧縮機、及びターボチャージャの一例について図1〜図15を用いて説明する。
(全体構成)
本実施形態に係るターボチャージャ10は、図6に示されるように、タービンユニット20、遠心圧縮機30、及びタービンユニット20と遠心圧縮機30とを連結する連結ユニット40を備えている。そして、タービンユニット20は、自動車のエンジン(図示省略)の排気通路12の途中に配置され、遠心圧縮機30は、このエンジンの吸気通路14の途中に配置されている。
タービンユニット20は、ハウジング24を備え、遠心圧縮機30は、ハウジング50を備え、連結ユニット40は、ハウジング24とハウジング50とを連結するハウジング44を備えている。
さらに、ターボチャージャ10は、ハウジング24、ハウジング44、及び ハウジング50の内部を通る回転軸42を備えている、そして、この回転軸42の軸方向(図中矢印E方向:以下単に「軸方向」)の一端側(図中右側)から他端側(図中左側)へ、ハウジング24、ハウジング44、及び ハウジング50は、この順番で並んでおり、図示せぬ固定具で互いに固定されている。
〔タービンユニット〕
タービンユニット20は、図6に示されるように、ハウジング24と、タービンロータ22とを備えている。ハウジング24は、内部が空洞とされ、このハウジング24の内部に、タービンロータ22が配置されている。そして、タービンロータ22は、回転軸42の軸方向の一端側の部分に固定されているロータ軸部28と、ロータ軸部28から延出する複数のタービン翼26とを有している。
また、ハウジング24においてタービンロータ22に対して回転軸42の径方向(図中矢印K方向:以下単に「径方向」)の外側の部分には、排気通路12を流れる排気ガスをハウジング24の内部へ流入させる渦巻き状の渦巻き流路24Aが形成されている。さらに、ハウジング24においてタービンロータ22に対して軸方向の外側(図中右側)の部分には、排気ガスをハウジング24の外部に排出させて排気通路12に流出させる排出流路24Bが形成されている。
この構成において、渦巻き流路24Aからハウジング24の内部へ流入した排気ガス(流体の一例)は、隣り合うタービン翼26の間に流れ込むようになっている。そして、排気ガスは、複数のタービン翼26を押すことで、タービンロータ22を回転させるようになっている。さらに、タービンロータ22を回転させた排気ガスは、排出流路24Bから排出されるようになっている。つまり、タービンロータ22は、所謂ラジアルタービンロータとされている。
〔連結ユニット〕
連結ユニット40は、図6に示されるように、ハウジング44を備えている。そして、このハウジング44は、回転軸42を回転可能に支持する支持部44Aを有している。
さらに、ハウジング44は、循環しながら支持部44Aへ供給されるエンジンオイルをハウジング44の内部へ流入させる流入口(図示省略)と、エンジンオイルをハウジング44の内部から排出させる排出口(図示省略)とを有している。
この構成において、ハウジング44の内部へ流入したエンジンオイルは、支持部44Aに供給され、回転軸42が滑らかに回転軸42の周方向に回転するようになっている。
〔遠心圧縮機〕
遠心圧縮機30は、図6に示されるように、ハウジング50と、回転翼の一例としてのインペラ32とを備えている。ハウジング50は、内部が空洞とされ、このハウジング50の内部に、インペラ32が配置されている。そして、インペラ32は、回転軸42の軸方向の他端側の部分に固定されている回転軸部34と、回転軸部34から延出する複数のインペラ翼36とを有している。
また、ハウジング50においてインペラ32に対して軸方向の外側(図中左側)の部分には、吸気通路14を流れる空気をハウジング50の内部へ流入させる流入流路72が形成されている。さらに、ハウジング50においてインペラ32に対して径方向の外側の部分には、空気をハウジング50の外部に排出させて吸気通路14に流出させる渦巻き状の渦巻き流路46(所謂スクロール流路)が形成されている。なお、遠心圧縮機30については詳細を後述する。
(全体構成の作用)
次に、ターボチャージャ10の作用について説明する。
タービン翼26は、渦巻き流路24Aからハウジング24の内部へ流入した排気ガスによって押される。これにより、タービンロータ22は、回転する。タービンロータ22の回転力は、回転軸42を介してインペラ32に伝達される。なお、ハウジング24の内部でタービンロータ22を回転させた排気ガスは、排出流路24Bから流出する。
インペラ32は、回転軸42を介してタービンロータ22の回転力が伝達されることで回転する。そして、回転するインペラ32は、流入流路72からハウジング50の内部へ流入した空気を圧縮する。さらに、圧縮された圧縮空気は、渦巻き流路46を流れて吸気通路14に流出する。渦巻き流路46から流出した圧縮空気は、燃焼用の圧縮空気としてエンジンに供給される。
(要部構成)
次に、遠心圧縮機30について説明する。遠心圧縮機30は、図6に示されるように、ハウジング50と、ハウジング50の内部に配置されるインペラ32とを備えている。
〔インペラ32〕
インペラ32は、前述したように、回転軸42の軸方向の他端側の部分に固定されている回転軸部34と、回転軸部34から延出する複数のインペラ翼36とを有している。
回転軸部34は、軸方向の外側(ハウジング44とは反対側:図中左側)に向かうに従って徐々に細くなっている。また、夫々のインペラ翼36は、図2に示されるように、軸方向から見て、回転軸部34から湾曲しながら径方向の外側へ延出している。
そして、夫々のインペラ翼36は、図1に示されるように、軸方向の外側の部分で径方向に延びる先端縁36Aと、先端縁36Aの径方向の外側の端部に接続されて湾曲しながら軸方向の内側へ延びる湾曲縁36Bとを有している。さらに、夫々のインペラ翼36は、湾曲縁36Bの端部に接続されて軸方向に延びる基端縁36Cを有している。
この構成において、回転するインペラ32は、インペラ翼36の先端縁36Aから流入する空気を圧縮し、圧縮した空気(圧縮空気)をインペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側へ流すようになっている。
〔ハウジング50〕
ハウジング50は、インペラ翼36の基端縁36Cに対して径方向の外側に形成されている排出部52と、インペラ翼36が収容されている本体部54と、インペラ翼36の先端縁36Aに対して軸方向の外側に形成されている導入部60とを有している。
排出部52には、インペラ32によって圧縮された圧縮空気が流れる拡散流路56(所謂ディフューザ流路)と、吸気通路14に圧縮空気を排出する渦巻き状の渦巻き流路46とが形成されている。
本体部54には、回転するインペラ翼36の湾曲縁36Bに沿った内周面62が形成されている。
導入部60には、インペラ翼36へ空気を導く流入流路72が軸方向に延びて形成されている。そして、導入部60は、本体部54に繋がっている基端部66と、基端部66に対して流入流路72が空気を導く導入方向(以下「導入方向」)の上流側で、基端部66と比して大径化された中間部68とを有している。さらに、導入部60は、中間部68に対して導入方向の上流側で、中間部68と比して大径化された先端部70を有している。
そして、導入部60に形成された流入流路72には、基端部66に配置されている円状部74と、中間部68に配置されている複数の第一凹部76と、先端部70に配置されている第二凹部78及び流入部48とが形成されている。つまり、導入方向において上流側から、流入部48、第二凹部78、第一凹部76、及び円状部74がこの順番で、流入流路72に形成されている。
また、先端部70は、クランク状とされた分割線70Aを境に軸方向に分割されている。
−円状部74−
円状部74は、図1に示されるように、導入方向においてインペラ翼36の先端縁36Aの上流側に配置されており、軸方向に対して直交方向に切断した断面形状が、インペラ翼36の回転軸を中心とした円状とされている。さらに、円状部74を形成する壁面は、本体部54の内周面62と段差無く繋がっている。本実施形態では、一例として、円状部74の軸方向の長さ(図1のE1)は、5〔mm〕以上とされている。
−第一凹部76−
第一凹部76は、図1に示されるように、導入方向において円状部74の上流側に配置されており、図2、図3に示されるように、周方向に同様の間隔で並んで複数(本実施形態では5個)並んでいる。なお、図3においては、第一凹部76の形状が容易に分かるように、第一凹部76の形状を示している。
この第一凹部76は、図1に示されるように、軸方向に延びており、第一凹部76において円状部74側の部分には、軸方向の内側に向かって傾斜して円状部74に繋がる漏斗面82が形成されている。この漏斗面82によって、第一凹部76の軸方向の内側の部分は、閉止されている。
さらに、夫々の第一凹部76は、図2、図3に示されるように、軸方向から見て、直線部76Aと、湾曲部76Bとで形成されている。具体的には、直線部76Aは、第一凹部76の端部を通と共にインペラ翼36の回転軸を中心とした円S1に接する接線であって、円S1との接点からインペラ32の回転方向(図中R1方向)の下流側に延びている。円S1は、円状部74Aの軸方向延長推定延長面S10と等しいか大きい。また、湾曲部76Bは、直線部76Aに対してインペラ翼36の回転方向の下流側に配置され、一端が直線部76Aの先端と接し、他端が円S1に達すると共にインペラ32の回転方向の下流側に配置されている第一凹部76を形成する直線部76Aの基端に当たっている。換言すれば、第一凹部76は、円S1に対して凹んでいる。換言すれば、円S1と直線部76Aとの接点における円S1の接線方向が、直線部76Aが延びる方向と同様とされている。本実施形態では、一例として、円S1の直径(図3のD1)は、37〔mm〕程度とされ、第一凹部76の深さ(図3のL1)は、5〔mm〕程度とされている。
−第二凹部78、流入部48−
第二凹部78は、図1、図4に示されるように、導入方向において第一凹部76の上流側に配置されており、流入流路72の全周に亘って形成されている(図5参照)。
流入部48は、導入方向において第二凹部78の上流側に配置されており、軸方向に対して直交方向に切断した断面形状が、インペラ翼36の回転軸を中心とした円状とされている。本実施形態では、流入部48の直径(図4のD2)は、円S1の直径(図3のD1)と比して大きくされている。
さらに、インペラ32の軸線に沿って切断した第二凹部78の断面形状は、導入方向の上流側の部分で湾曲する釣り針形状とされており、直線部78Aと、湾曲部78Bとから形成されている。直線部78Aは、傾斜直線部の一例であって、湾曲部78Bは、上流湾曲部の一例である。
具体的には、直線部78Aは、第一凹部76の導入方向の上流端からインペラ32の軸線に対して傾斜して延びている。また、湾曲部78Bは、一端が直線部78Aと接しており、他端が流入部48を構成する周面48Aに達している。換言すれば、湾曲部78Bと直線部78Aとの接点における湾曲部78Bの接線方向が、直線部78Aが延びる方向と同様とされている。
そして、湾曲部78Bと周面48Aとの成す角度(図4の角度M)は、90度より小さくされている。換言すれば、湾曲部78Bの他端側(先端側)の部分は、インペラ翼36側に向かっている。本実施形態では、第二凹部78の深さ(図4のL2)は、7.5〔mm〕程度とされている。
(作用)
次に、本実施形態に係る遠心圧縮機30の作用について、比較形態に係る遠心圧縮機230と比較しつつ説明する。先ず、比較形態に係る遠心圧縮機230について、本実施形態に係る遠心圧縮機30と異なる部分を主に説明する。
比較形態に係る遠心圧縮機230のハウジング250は、図14に示されるように、排出部52と、本体部54と、導入部260とを有している。この導入部260には、吸気通路14の空気をインペラ32へ導く流入流路272が形成されている。また、流入流路272には、軸方向の内側に向かって縮径して本体部54の内周面62に繋がる漏斗部274と、導入方向において漏斗部274の上流側に配置されており、円柱状の円柱部276とが形成されている。
−遠心圧縮機230の作用について−
先ず、遠心圧縮機230において、回転するインペラ32の回転数が低い場合について説明する。回転するインペラ32は、流入流路272を軸方向に沿ってインペラ32側へ流れインペラ翼36の先端縁36Aから流入する空気(矢印K1)を圧縮し、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路56へ流す。ここで、遠心圧縮機230の圧力比は、インペラ翼36が同様の回転数であれば、圧縮空気の流量が少なくなる程、大きくなる。なお、圧力比とは、遠心圧縮機230の出口における圧力P2と入口における圧力P1との比(P2/P1)である。
このため、圧縮空気の流量が少ない場合には、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路56へ流れた空気は、渦巻き流路46側へ流れる空気(矢印K2)と、逆方向に折り返してインペラ翼36と本体部54の内周面62との隙間を通って流入流路272側へ流れる空気(矢印K3)とに分かれる(剥離する)。
さらに、流入流路272側へ逆流した空気は、図14、図15に示されるように、流入流路272の漏斗部274の壁面、及び円柱部276の壁面に沿ってインペラ32の回転方向に回って螺旋状に流れる(矢印K4)。
−遠心圧縮機30の作用について−
次に、遠心圧縮機30において、回転するインペラ32の回転数が低い場合について説明する。回転するインペラ32は、図1に示されるように、インペラ32側へ流れインペラ翼36の先端縁36Aから流入する空気(矢印N1)を圧縮し、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路56へ流す。ここで、遠心圧縮機30の圧力比は、インペラ翼36が同様の回転数であれば、遠心圧縮機30から排出される圧縮空気の流量が多い場合と比して、大きくなる。
このため、圧縮空気の流量が少ない場合には、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路56へ流れた空気は、渦巻き流路46側へ流れる空気(矢印N2)と、逆方向に折り返してインペラ翼36と本体部54の内周面62との隙間を通って流入流路72側へ流れる空気(矢印N3)とに分かれる(剥離する)。
さらに、流入流路72側へ逆流した空気は、図1、図2に示されるように、流入流路72の円状部74の壁面、及び第一凹部76の壁面に沿ってインペラ32の回転方向に回りながら螺旋状に流れる(矢印N4)。ここで、第一凹部76は、軸方向から見て、直線部76Aと、湾曲部76Bとで形成されている。
このため、直線部76Aに沿って流れる空気は、壁面と剥離することなく流れ、湾曲部76Bに達する。さらに、湾曲部76Bに達した空気の一部は、湾曲部76Bによって流れ方向が変えられ、軸方向から見て、インペラ32の回転中心側に流れる。これにより、インペラ32側に流れる空気(矢印N1)は、軸方向から見て、インペラ32の回転中心側に押される。このため、インペラ32側へ流れる空気の圧力は、第一凹部76が形成されていない遠心圧縮機230を用いる場合と比して、高くなる。
さらに、流入流路72側へ逆流して第一凹部76の壁面に沿って螺旋状に流れた空気の他の一部は、図1に示されるように、流入流路72の第二凹部78の壁面に沿ってインペラ32の回転方向に回りながら螺旋状に流れる(矢印N5)。ここで、インペラ32の軸線に沿って切断した第二凹部78の断面形状は、インペラ32の軸線に対して傾斜した直線部78Aと、一端が直線部78Aと接し他端が流入部48の周面48Aに達している湾曲部78Bとで形成されている釣り針形状とされている。
そこで、螺旋状に流れる空気は、直線部78Aの壁面に沿って剥離することなく軸方向の外側に進行して湾曲部78Bに達する。そして、湾曲部78Bに達した空気は、湾曲部78Bによって流れ方向が変えられ、軸方向から見て、インペラ32の回転中心側で、かつ、径方向から見て、軸方向の内側に進行する(図1の矢印N6)。
これにより、インペラ32側へ流れる空気(矢印N1)は、軸方向から見て、インペラ32の回転中心側に押される。このため、インペラ32側へ流れる空気の圧力は、第二凹部78が形成されていない遠心圧縮機230を用いる場合と比して、高くなる。

−サージング限界について−
ここで、遠心圧縮機30、230サージング限界について説明する。
図7に示されるグラフの縦軸は遠心圧縮機30、230を用いた場合の圧力比を示し、横軸は遠心圧縮機30、230から排出される圧縮空気の流量〔g/sec〕を示している。
図7に示すグラフ中の実線G1は、インペラ32の回転数を一定にし、遠心圧縮機30から排出される圧縮空気の流量を変えた場合の圧縮空気の流量と圧力比との関係を示している。これに対して、破線J1は、インペラ32の回転数を実線G1と同様の回転数にし、遠心圧縮機230から排出される圧縮空気の流量を変えた場合の圧縮空気の流量と圧力比との関係を示している。
そして、圧縮空気の流量を徐々に少なくし、サージング(遠心圧縮機が正常に機能しなくなる現象)が発生する圧縮空気の流量と圧力比とを検出した。遠心圧縮機30については、点g1でサージングが発生し、遠心圧縮機230については、点j1でサージングが発生した。なお、サージングについては、ハウジング50に振動計を取り付けて、振幅が予め定められた閾値に達した場合に、サージングの発生と判断した。
実線G2は、遠心圧縮機30を用い、実線G1と比して回転数を高くした場合を示している。実線G2においては、最も圧縮空気の流量が少ない点g2でサージングが発生した。これに対して、破線J2は、遠心圧縮機230を用い、遠心圧縮機30の実線G2と同様の回転数とした場合を示している。破線J2においては、最も圧縮空気の流量が少ない点j2でサージングが発生した。
実線G3は、遠心圧縮機30を用い、実線G2と比して回転数を高くした場合を示している。実線G3においては、最も圧縮空気の流量が少ない点g3でサージングが発生した。これに対して、破線J3は、遠心圧縮機230を用い、遠心圧縮機30の実線G3と同様の回転数とした場合を示している。破線J3においては、最も圧縮空気の流量が少ない点j3でサージングが発生した。
実線G4は、遠心圧縮機30を用い、実線G3と比して回転数を高くした場合を示している。実線G4においては、最も圧縮空気の流量が少ない点g4でサージングが発生した。これに対して、破線J4は、遠心圧縮機230を用い、遠心圧縮機30の実線G4と同様の回転数とした場合を示している。破線J4においては、最も圧縮空気の流量が少ない点j4でサージングが発生した。
また、他の回転数においても実線G1、G2、G3、G4及び破線J1、J2、J3、J4と同様の作業を行い、遠心圧縮機30、230においてサージングが発生する圧縮空気の流量と圧力比とを検出した。
そして、グラフ中の破線H1が、遠心圧縮機30を用いた場合のサージング限界線H1(以下「限界線H1」)であり、グラフ中の一点鎖線H2が、遠心圧縮機230を用いた場合のサージング限界線H2(以下「限界線H2」)である。
遠心圧縮機30では、グラフ中の限界線H1よりも右側(流量が多い側)のエリアでサージングの発生はない。また、遠心圧縮機230では、グラフ中の限界線H2よりも右側(流量が多い側)のエリアでサージングの発生はない。
ここで、限界線H1と限界線H2とを比較すると、限界線H1が限界線H2と比して全体的に図中左側に位置している。これにより、インペラ32の回転数が低い場合(実線G1、G2及び破線J1、J2)、及びインペラ32の回転数が高い場合(実線G3、G4、破線J3、J4)共に、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機230と比して、サージングの発生が抑制されている。
−インペラ32の回転数が低い場合について−
次に、インペラ32の回転数が低い場合のサージングの発生について説明する。
インペラ32の回転数を同様にして、圧縮機出口配管を絞り、圧縮空気の流量を少なくすると、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側へ流れた空気は、渦巻き流路46側へ流れる空気と、逆方向に折り返す空気とに分かれる(図1、図14参照)。逆方向に折り返す空気は、インペラ翼36の湾曲縁36Bに沿って流入流路72側へ流れる。換言すれば、一方向に流れる空気が剥離しながら渦巻き流路46側へ流れる空気と、流入流路72、272側へ流れる空気とに分かれる。インペラ32の回転数が低い場合には、この空気の剥離に起因して、サージングが発生してしまう。
ここで、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機230と比して、サージングの発生が抑制されている理由について考察する。
前述したように、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機230と比して、インペラ32側へ流れる空気の圧力は高くなる。このように、インペラ32側へ流れる空気の圧力が高くなることで、拡散流路56で逆方向に折り返す空気の流量は少なくなる。このため、インペラ32の回転数が低い場合に、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機230と比して、サージングの発生が抑制されている。
ここで、遠心圧縮機30を用いた場合と、遠心圧縮機230を用いた場合とでCFD(Computational Fluid Dynamics)解析を行った。具体的には、流入流路72、272を流れる空気の圧力についてCFD解析を行った。
図8(A)(B)には、インペラ32の回転数が低い場合の遠心圧縮機30、230の流入流路72、272における解析結果を示している。
図8(A)が遠心圧縮機30の流入流路72において導入方向の下流側の部分(第一凹部76が形成されている部分)の解析結果を示しており、図8(B)が遠心圧縮機230の流入流路272において導入方向の下流側の部分の解析結果を示している。模様を分けることで、流れる空気の圧力の高低を示している。ドットの密度が高い程、空気の圧力が高くなっている。
図8(A)(B)に示される径方向の外側の二層については、流入流路72、272側へ逆流した空気の圧力を示している。
遠心圧縮機230では、図8(B)に示されるように、インペラ32側へ流れる空気の圧力が高い高圧力部102は、流入流路72の中央側で複数に分かれ、高圧力部102の総面積は小さくなっている。
これに対して、遠心圧縮機30では、インペラ32側へ流れる空気は、インペラ32の回転中心側に押されている。このため、図8(A)に示されるように、インペラ32側へ流れる空気の圧力が高い高圧力部102は、インペラ32の回転軸を中心に大きく存在しており、高圧力部102の総面積は大きくなっている。
このCFD解析結果から、遠心圧縮機30の流入流路72において導入方向の下流側の部分の高圧力部102の総面積は、遠心圧縮機230の流入流路172において導入方向の下流側の部分の高圧力部102の総面積と比して大きいことが分かる。このように、遠心圧縮機30の流入流路72において導入方向の下流側の部分でインペラ32側へ流れる空気の圧力は、遠心圧縮機230の流入流路272において導入方向の下流側の部分でインペラ32側へ流れる空気の圧力と比して高いことが分かる。
次に、図9(A)が遠心圧縮機30の流入流路72において導入方向の上流側(第二凹部78が形成されている部分)の部分の解析結果を示し、図9(B)が遠心圧縮機230の流入流路272において導入方向の上流側の部分の解析結果を示している。模様を分けることで、流れる空気の圧力の高低を示している。ドットの密度が高い程、空気の圧力が高くなっている。
図9(A)(B)に示される径方向の外側の二層については、流入流路72、272側へ逆流した空気の圧力を示している。また、インペラ32側へ流れる空気(逆流した空気に囲まれている空気)の圧力の高い部分は、高圧力部102として示されている。
このCFD解析結果から、遠心圧縮機30の流入流路72において導入方向の上流側の部分の高圧力部102の総面積は、遠心圧縮機230の流入流路172において導入方向の上流側の部分の高圧力部102の総面積と比して大きいことが分かる。このように、遠心圧縮機30の流入流路72において導入方向の上流側の部分でインペラ32側へ流れる空気の圧力は、遠心圧縮機230の流入流路272において導入方向の上流側の部分でインペラ32側へ流れる空気の圧力と比して高いことが分かる。
これらの解析結果からも分かるように、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機230と比して、インペラ32側へ流れる空気の圧力が高くなり、拡散流路56で逆方向に折り返す空気の流量は少なくなる。このため、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機230と比して、サージングの発生が抑制されている。
−インペラ32の回転数が高い場合について−
次に、インペラ32の回転数が高い場合のサージングの発生について説明する。回転数が高い場合には、流量が多いインペラ入口で逆流が生じない条件で発生する。
円状部74の壁面は、図12(A)に示されるように、軸方向に沿って直線状に延びているため、インペラ32の回転数が高く、流量が多い場合に、流入する空気の速度が速いために、流入流路76の壁面に沿った流れは傾斜面82により円状部74の壁面から剥離を生じて剥離を生じてインペラ32の内側に流れるようになる。そして、その剥離領域にインペラ32の隙間から逆流が流れ込む(図12(C)(D)参照)。これにより、遠心圧縮機30において円状部74の壁面に沿ってインペラ32側に流れる空気は、遠心圧縮機230において漏斗部274の壁面に沿ってインペラ32側に流れる空気と比して、径方向の内側からインペラ翼36の先端縁36Aに流入する。
図11(A)(B)には、図10に示す矢印U1方向(径方向)からインペラ翼36を見た場合の、インペラ翼36の湾曲縁36Bが示されている。
図11(B)には、遠心圧縮機230のインペラ翼36の湾曲縁36Bが示されており、ベクトルX1は、インペラ32側に流れる空気の流れ方向と速度とを示したベクトルである。さらに、ベクトルT1は、インペラ32(インペラ翼)が、回転することで受ける空気の流れ方向と速度とを示したベクトルである。
インペラ翼36の先端縁36Aに流入する空気は、ベクトルT1と、ベクトルX1とを考慮し、ベクトルW1となる。また、径方向から見たインペラ翼36の先端部の傾斜方向をV1とする。そうすると、遠心圧縮機230では、ベクトルW1と、傾斜方向V1との成す角度α1が大きくなるため、インペラ翼36の背面で空気が剥離して、渦が発生し易くなる。インペラ32の回転数が高い場合に、この渦の発生に起因してサージングが発生してしまう。
図11(A)には、遠心圧縮機30のインペラ翼36の湾曲縁36Bが示されており、ベクトルX1は、インペラ32側に流れる空気の流れ方向と速度とを示したベクトルである。さらに、ベクトルT2は、インペラ32(インペラ翼)が、回転することで受ける空気の流れ方向と速度とを示したベクトルである。前述したように、遠心圧縮機30においてインペラ32側に流れる空気が、遠心圧縮機230においてインペラ32側に流れる空気と比して、径方向の内側からインペラ翼36に流入する。このため、インペラ32において周速度が遅くなっている部分から空気が流入するため、ベクトルT2の長さがベクトルT1の長さと比して短くなる。
そして、インペラ翼36の先端縁36Aに流入する空気は、ベクトルT2と、ベクトルX1とを考慮し、ベクトルW2となる。また、径方向から見たインペラ翼36の先端部の傾斜方向をV1とする。そうすると、ベクトルW2と、傾斜方向V1との成す角度α2は、角度α1と比して小さくなっている。つまり、ベクトルW2の傾斜方向V1に対する傾きは、ベクトルW1の傾斜方向V1に対する傾きと比して小さくなっている。
このため、遠心圧縮機30では、インペラ翼36の背面で空気が剥離して、渦が発生するのが抑制されている。このようにして、インペラ32の回転数が高い場合に、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機230と比して、サージングの発生が抑制されている。
ここで、遠心圧縮機30を用いた場合と、遠心圧縮機230を用いた場合とでCFD(Computational Fluid Dynamics)解析を行った。具体的には、流入流路72、272を流れる空気の圧力についてCFD解析を行った。
図13(A)(B)は、インペラ32の回転数が高い場合のインペラ32の入口端における解析結果(マッハ数分布)を示している。
図13(A)が遠心圧縮機30の流入流路72においてインペラ翼36の上流側の部分(円状部74)の解析結果を示しており、 図13(B)が遠心圧縮機230の流入流路272においてインペラ翼36の上流側の部分(漏斗部274)の解析結果を示している。ドットの密度が高い程、空気の速度が高くなっている。
遠心圧縮機230では、図13(B)に示されるように、インペラ32側へ流れる空気の速度が高い領域104が、インペラ32入口翼端の径方向に延びるように形成されている。また、径方向の外側の全周には逆流領域がみられない。
これに対して、遠心圧縮機30では、図13(A)に示されるように、インペラ32側へ流れる空気の速度が高い領域104が、インペラ32入口翼間に広く分布しており、ピークの位置がインペラ32の翼間の中央付近にきている。また、径方向の外側の全周には逆流領域が円環状に存在する。
これらの解析結果からも分かるように、遠心圧縮機30において円状部74の壁面に沿ってインペラ32側に流れる空気は、図12(A)に示されるように、遠心圧縮機230を用いる場合と比して、径方向の内側からインペラ翼36に流入する。このため、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機230と比して、サージングの発生が抑制されている。
(まとめ)
以上説明したように、インペラ32の回転数が低い場合には、流入流路72に第一凹部76が形成されていることで、第一凹部76が形成されていない遠心圧縮機230を用いる場合と比して、サージングの発生を抑制することができる。
また、第一凹部76は、軸方向から見て、直線部76Aと、湾曲部76Bとで形成されている。そして、直線部76Aは、第一凹部76の端部を通る円S1に接する接線であって、湾曲部76Bは、直線部76Aに対してインペラ翼36の回転方向の下流側に配置され、一端が直線部76Aの先端と接し他端が円S1に達している。
このため、直線部76Aに沿って流れる空気は、壁面と剥離することなく流れ、湾曲部76Bに達する。さらに、湾曲部76Bに達した空気は、湾曲部76Bによって流れ方向が変えられ、軸方向から見て、インペラ32の回転中心側に流れる。これにより、遠心圧縮機30では、第一凹部が直線部と湾曲部とで形成されていない場合と比して、第一凹部76の壁面に沿って流れる空気をインペラ32の回転中心側に流すことで、インペラ32側へ流れる空気の圧力を高くすることができる。このため、遠心圧縮機30では、インペラ32の回転数が低い場合にサージングの発生を抑制することができる。
また、第一凹部76は、流入流路72の周方向に同様の間隔(ピッチ)で並んでいる。このため、遠心圧縮機30では、第一凹部76が流入流路72の周方向に同様のピッチで形成されていない場合と比して、インペラ32側に流れる空気を、インペラ32の回転中心側に押すことでインペラ32側へ流れる空気の圧力を高くすることができる。このため、遠心圧縮機30では、インペラ32の回転数が低い場合にサージングの発生を抑制することができる。
また、前述したように、インペラ32の回転数が低く流量がさらに少ない場合には、第一凹部76を通過した逆流が、流入流路72に第二凹部78が形成されていることで、第二凹部78が形成されていない遠心圧縮機230を用いる場合と比して、サージングの発生を抑制することができる。
また、インペラ32の軸線に沿って切断した第二凹部78の断面は、図1、図4に示されるように、インペラ32の軸線に対して傾斜する直線部78Aを有する釣り針形状とされている。このため、直線部78Aに沿って螺旋状に流れる空気は、壁面と剥離することなく軸方向の外側に進行して湾曲部78Bに達する。そして、湾曲部78Bに達した空気は、湾曲部78Bによって流れ方向が変えられ、軸方向から見て、インペラ32の回転中心側に進行する(図1の矢印N6)。
このように、直線部78Aに沿って螺旋状に流れる空気は、直線部78Aの壁面と剥離することなく、軸方向の外側へ進行するため、直線部78Aが形成されていない場合と比して、インペラ32の回転中心側に進行する空気の流量を多くすることができる。これにより、インペラ32側へ流れる空気の圧力を高くすることができるため、遠心圧縮機30では、インペラ32の回転数が低い場合にサージングの発生を抑制することができる。
また、円状部74は、断面形状が円状で軸方向に延びている。このため、インペラ32の回転数が高く、流量が多い場合に、流入する空気の速度が速いために、流入流路76の壁面に沿った流れは、傾斜面82により円状部74の壁面から剥離を生じてインペラ32の内側に流れるようになる。そして、その剥離領域にインペラ32の隙間から逆流が流れ込む。このため、遠心圧縮機30では、円状部74が形成されていない遠心圧縮機230の場合と比して、インペラ翼36の背面で空気が剥離して渦が発生するのを抑制することができる。そして、遠心圧縮機30では、インペラ32の回転数が高い場合にサージングの発生を抑制することができる。
また、ターボチャージャ10においては、遠心圧縮機30におけるサージングの発生が抑制されることで、圧縮空気をエンジンに効率よく供給することができる。
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、第一凹部76は、直線部76Aと、湾曲部76Bとで形成されたが、特に第一凹部が直線部と湾曲部とで形成されていなくてもよい。例えば、湾曲状の凹部等であってもよい。この場合には、第一凹部76が直線部76Aと湾曲部76Bとで形成されることで奏する作用は奏しない。
また、上記実施形態では、第一凹部76は5個形成されたが、第一凹部が5個以外の個数であってもよい。
また、上記実施形態では、第一凹部76は、流入流路72の周方向に同様のピッチで形成されたが、同様のピッチで形成されていなくてもよい。この場合には、第一凹部76が流入流路72の周方向に同様のピッチで形成されることで奏する作用は奏しない。
また、上記実施形態では、第一凹部76を形成する直線部76Aは、第一凹部76の端部を通る円S1に接する接線であったが、製造ばらつき等を考慮して、接線に対して±5〔度〕の範囲で、接線と見なすことができる。
また、上記実施形態では、第二凹部78の断面は、直線部78Aを有する釣り針形状とされたが、直線部が曲線であってもよい。この場合には、直線部78Aを有することで奏する作用は奏しない。
また、上記実施形態では、第二凹部78は、流入流路72に1個形成されたが、第二凹部が軸方向に並んで2個以上形成されてもよい。
また、上記実施形態では、流入流路72に円状部74が形成されたが、円状部74が形成されていなくてもよい。この場合には、円状部74が形成されることで奏する作用は奏しない。
また、上記実施形態では、遠心圧縮機30をターボチャージャ10に用いたが、他の用途に用いてもよい。
10 ターボチャージャ
20 タービンユニット
22 タービンロータ
30 遠心圧縮機
36 インペラ翼(回転翼の一例)
60 導入部
72 流入流路
74 円状部
76 第一凹部
76A 直線部
76B 湾曲部
78 第二凹部
78A 直線部(傾斜直線部の一例)
78B 湾曲部(上流湾曲部の一例)

Claims (6)

  1. 軸周りに回転し、軸方向から流入する空気を圧縮して径方向へ流す回転翼と、
    前記回転翼へ空気を導く流入流路が前記軸方向に延びて形成されている導入部であって、前記流入流路に、前記軸方向から見て前記流入流路の周方向に並んでいる複数の第一凹部と、空気を導く導入方向において前記第一凹部の上流側で、前記流入流路の全周に亘って形成され、前記回転翼の軸線に沿って切断した断面形状が、前記第一凹部の径寸法より大きくされ、前記導入方向の上流側の部分で湾曲する釣り針形状とされている第二凹部とが形成されている前記導入部と、
    を備えた遠心圧縮機。
  2. 前記流入流路において前記第一凹部に対して前記導入方向の下流側の部分には、前記回転翼へ空気を導くと共に、前記軸方向に対して直交した方向に切断した断面形状が円状で前記軸方向に延びる円状部が形成されている請求項1に記載の遠心圧縮機。
  3. 前記第一凹部は、前記軸方向から見て、前記第一凹部の端部を通る円に接する接線であって、前記回転翼の回転方向の下流側に延びる直線部と、一端が前記直線部と接し他端が前記円に達している湾曲状の湾曲部とを含んで形成されている請求項1又は2に記載の遠心圧縮機。
  4. 前記第一凹部は、前記流入流路の周方向に同様の間隔で並んでいる請求項1〜3の何れか1項に記載の遠心圧縮機。
  5. 前記回転翼の軸線に沿って切断した前記第二凹部の断面形状は、前記回転翼の軸線に対して傾斜した傾斜直線部と、前記傾斜直線部の前記導入方向の上流側の端部と接する上流湾曲部とを含んで形成されている請求項1〜4の何れか1項に記載の遠心圧縮機。
  6. エンジンから排出される排気ガスが流れる力によって回転するタービンロータを有するタービンユニットと、
    前記タービンロータから回転力が回転翼に伝達され、前記エンジンに供給する空気を圧縮する請求項1〜5の何れか1項に記載の遠心圧縮機と、
    を備えたターボチャージャ。
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