JP4183634B2 - 遠心式流体機械 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、遠心圧縮機に適用した場合には、ディフューザの失速をある程度低減させることができても、さらなる低減を図ることは不十分であり、また損失分が増加し効率が低下するという課題を有していた。
請求項1に記載の遠心式流体機械は、複数枚のブレード、およびこれら複数枚のブレードの根元部に配置されるハブを有するインペラと、前記インペラの下流側に設けられるとともに、対向するシュラウド壁面およびハブ側壁面との間に複数枚のベーンを有するディフューザとを具備する遠心式流体機械であって、前記シュラウド側壁面および前記ハブ側壁面のうち、少なくとも一方の壁面に、前記ベーンの半径方向内側面から前記ディフューザの半径方向内側に向かうとともに、前記ベーンの半径方向内側面に対して略垂直方向に延在する少なくとも一本の溝が設けられ、前記溝の深さがそれぞれ、前記ベーンの前縁から後縁に向かって漸次浅くなるように形成されており、前記溝が、前記ベーンの前縁部に形成される最低圧力部よりも下流側で、かつスロートよりも上流側に設けられていることを特徴とする。
このような遠心式流体機械によれば、溝によりベーンの半径方向内側面からディフューザの半径方向内側に、すなわち、ベーンの半径方向内側面から離れていく方向に、言い換えれば、圧力の高い側から圧力の低い側に、圧力差による流体の流れが生じる。この圧力差による流体の流れは、ベーンの半径方向内側面から遠ざかっていく際、このベーンの半径方向内側面の近傍に滞留する流体を一緒に引き連れてベーンの半径方向内側面から遠ざかっていくこととなる。言い換えれば、溝内を通過する流体の流れによりベーンの半径方向内側面の近傍に滞留する流体が吸い出される(エジェクタ効果)ため、ベーンの半径方向内側面に形成された境界層の厚みが減少することになる。
また、このような遠心式流体機械によれば、溝の内部に入り込んだ主流は、溝の下流側の壁面と鋭角的に衝突した後、当該溝の外に出ていくこととなる。
さらに、このような遠心式流体機械によれば、境界層が形成されるとともに、ベーンの半径方向内側面からディフューザの半径方向内側に向かって圧力差による流れが生じる部分にのみ溝が形成されているので、主流がディフューザのベーン間を通過していくときの運動エネルギーの損失が抑制される。
このような遠心式流体機械によれば、ベーンの半径方向内側面の近傍、特にベーンの高さ方向において中央部に滞留する流体が、第2の溝を通って溝の方に導かれるようになっている。
このような遠心式流体機械によれば、溝によりベーンの半径方向内側面からディフューザの半径方向内側に、すなわち、ベーンの半径方向内側面から離れていく方向に、言い換えれば、圧力の高い側から圧力の低い側に、圧力差による流体の流れが生じる。この圧力差による流体の流れは、ベーンの半径方向内側面から遠ざかっていく際、このベーンの半径方向内側面の近傍に滞留する流体を一緒に引き連れてベーンの半径方向内側面から遠ざかっていくこととなる。言い換えれば、溝内を通過する流体の流れによりベーンの半径方向内側面の近傍に滞留する流体が吸い出される(エジェクタ効果)ため、ベーンの半径方向内側面に形成された境界層の厚みが減少することになる。
また、このような遠心式流体機械によれば、ベーンの半径方向内側面の近傍、特にベーンの高さ方向において中央部に滞留する流体が、第2の溝を通って溝の方に導かれるようになっている。
このような遠心式流体機械によれば、ディフューザの入口端からベーン前縁までの間には溝が形成されていないので、主流がディフューザのベーン間を通過していくときの運動エネルギーの損失がさらに抑制される。
したがって、特に圧縮性流体(たとえば、空気)を圧縮する圧縮機の場合に有効である。
このようなディフューザによれば、溝によりベーンの半径方向内側面からディフューザの半径方向内側に、すなわち、ベーンの半径方向内側面から離れていく方向に、言い換えれば、圧力の高い側から圧力の低い側に、圧力差による流体の流れが生じる。この圧力差による流体の流れは、ベーンの半径方向内側面から遠ざかっていく際、このベーンの半径方向内側面の近傍に滞留する流体を一緒に引き連れてベーンの半径方向内側面から遠ざかっていくこととなる。言い換えれば、溝内を通過する流体の流れによりベーンの半径方向内側面の近傍に滞留する流体が吸い出される(エジェクタ効果)ため、ベーンの半径方向内側面に形成された境界層の厚みが減少することになる。
また、このようなディフューザによれば、溝の内部に入り込んだ主流は、溝の下流側の壁面と鋭角的に衝突した後、当該溝の外に出ていくこととなる。
さらに、このようなディフューザによれば、境界層が形成されるとともに、ベーンの半径方向内側面からディフューザの半径方向内側に向かって圧力差による流れが生じる部分にのみ溝が形成されているので、主流がディフューザのベーン間を通過していくときの運動エネルギーの損失が抑制される。
このようなディフューザによれば、ベーンの半径方向内側面の近傍、特にベーンの高さ方向において中央部に滞留する流体が、第2の溝を通って溝の方に導かれるようになっている。
このようなディフューザによれば、溝によりベーンの半径方向内側面からディフューザの半径方向内側に、すなわち、ベーンの半径方向内側面から離れていく方向に、言い換えれば、圧力の高い側から圧力の低い側に、圧力差による流体の流れが生じる。この圧力差による流体の流れは、ベーンの半径方向内側面から遠ざかっていく際、このベーンの半径方向内側面の近傍に滞留する流体を一緒に引き連れてベーンの半径方向内側面から遠ざかっていくこととなる。言い換えれば、溝内を通過する流体の流れによりベーンの半径方向内側面の近傍に滞留する流体が吸い出される(エジェクタ効果)ため、ベーンの半径方向内側面に形成された境界層の厚みが減少することになる。
また、このようなディフューザによれば、ベーンの半径方向内側面の近傍、特にベーンの高さ方向において中央部に滞留する流体が、第2の溝を通って溝の方に導かれるようになっている。
このようなディフューザによれば、ディフューザの入口端からベーン前縁までの間には溝が形成されていないので、主流がディフューザのベーン間を通過していくときの運動エネルギーの損失がさらに抑制される。
したがって、特に圧縮性流体(たとえば、空気)を圧縮する圧縮機に適用されても有効である。
図5に示すように、遠心圧縮機10は、インペラ11と、ディフューザ21とを主たる要素として構成されたものである。
インペラ11は、複数枚のブレード12と、これらブレード12の根元部Rに配置されたハブ13とを有するとともに、ブレード12はそれぞれ、ハブ13の小径側端部13aにその前縁LEが位置するとともに、ハブ13の大径側端部13bにその後縁TEが位置するようにハブ13の表面上に設けられている。
なお、図において符号14は、ブレード12の先端側を覆うように配置されたシュラウドを示している。
本実施形態では、ハブ側壁面23に比べて境界層の厚さが厚くなるシュラウド側壁面22に、ベーン24の半径方向内側面24aからディフューザ21の半径方向内側に向かうとともに、ベーン24の半径方向内側面24aに対して略垂直方向に延在する少なくとも一つの溝(本実施形態では7つの溝)25が設けられている。
これら溝25は、ベーン24の前縁部、具体的にはベーン24の前縁部に形成される最低圧力部(詳細については図3を用いて後述する)よりも下流側で、かつスロート26よりも上流側に設けられている。
また、これら溝25の半径方向内側の一端は、ベーン24の前縁LE間を結ぶとともにインペラ11の回転軸線C(図5参照)から等しい距離R1に位置する線L1よりも半径方向外側に位置するように設けられている。
また、これら溝25の前縁LE1側で形成される直線は、後縁側で形成される直線よりも長くなるように形成されているとともに、前縁LE1側で形成される直線の一端(ベーン24の半径方向内側面24aとは反対側に位置する末端)と、後縁側で形成される直線の一端ともまた、直線で結ばれている。すなわち、最も上流側に位置する溝25aを除くその他の溝25の平面視形状は、略台形状を呈しているとともに、これら溝25の一端が形成する直線と、ベーン24の半径方向内側面24aとの距離は、ベーン24の上流側から下流側にかけて漸次短くなるように形成されている。
一方、最も上流側に位置する溝25aは、その平面視形状において、ベーン24の前縁LE1側が直線状に形成されているとともに、全体として略三角形状を呈するように形成されている。
図2に示すように、各溝25,25aは、その断面視形状が三角形を有するように形成されており、θ1が60度から90度、θ2が10度から40度となるように設定されている。
また、これら溝25,25aはそれぞれ、ベーン24の半径方向内側面24aからディフューザ21の半径方向内側にかけて(すなわち、ベーン24の半径方向内側面24aから前縁LE1側で形成される直線の一端にかけて)漸次浅くなるように形成されている(図4参照)。
等圧線は、ベーン24の前縁部に形成されている略半円状の部分で圧力が最も低く(最低圧力部)、つぎに最も上流側に形成されている三角形状の部分が低く、あとは下流側に向かって漸次高くなるように形成されている。
最低圧力部は、ベーン24の前縁LE1から翼ピッチ(一ベーン24の前縁LE1とこの一ベーン24に隣接して設けられた他ベーン24の前縁LE1との間のピッチ)約15%の間に形成される。
前述したように、最低圧力部の圧力は、最も上流側に形成されている三角形状の部分の圧力よりも低い。そのため、図において矢印Ar1で示すように、最も上流側に形成されている三角形状の部分から最低圧力部に向かって、圧力差による流れが生じる。したがって、このような部分に溝を作ってしまうと最低圧力部に流体が流れ込み、却って境界層の厚さが増してしまうこととなり、好ましくない。
したがって、ポンプに比べて運動エネルギーが大きい圧縮機にも適用することができる。
図4に示すように、これら第2の溝27は各溝25,25aに対してそれぞれ3本ずつ設けられている。また、各第2の溝27はベーン24の高さ方向における略中央部からシュラウド側壁面22に向かって真っ直ぐに延びるとともに、ベーン24の中央部側に位置する第2の溝27の端部がシュラウド側壁面22の側に位置する第2の溝27の端部よりもベーン24の前縁LE1側に位置するように形成されている。
このような第2の溝27を設けることにより、半径方向内側面24aの近傍に滞留する流体がこれら第2の溝27の内部を通って溝25,25aに効率よく導かれることとなるので、境界層の厚みをさらに減少させることができて、ディフューザ21における失速限界を低流量側にさらに拡げることができるとともに、より広い流量範囲にわたって安定して運転させることができるようになる。
11 インペラ
12 ブレード
13 ハブ
21 ディフューザ
22 シュラウド側壁面
23 ハブ側壁面
24 ベーン
24a 半径方向内側面
25 溝
25a 溝
26 スロート
27 第2の溝
C 回転軸線
LE1 前縁
R 根本部
Claims (8)
- 複数枚のブレード、およびこれら複数枚のブレードの根元部に配置されるハブを有するインペラと、
前記インペラの下流側に設けられるとともに、対向するシュラウド壁面およびハブ側壁面との間に複数枚のベーンを有するディフューザとを具備する遠心式流体機械であって、
前記シュラウド側壁面および前記ハブ側壁面のうち、少なくとも一方の壁面に、前記ベーンの半径方向内側面から前記ディフューザの半径方向内側に向かうとともに、前記ベーンの半径方向内側面に対して略垂直方向に延在する少なくとも一本の溝が設けられ、
前記溝の深さがそれぞれ、前記ベーンの前縁から後縁に向かって漸次浅くなるように形成されており、
前記溝が、前記ベーンの前縁部に形成される最低圧力部よりも下流側で、かつスロートよりも上流側に設けられていることを特徴とする遠心式流体機械。 - 前記ベーンの半径方向内側面の近傍に滞留する流体を前記溝に導くための第2の溝が、前記ベーンの半径方向内側面に少なくとも一本設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遠心式流体機械。
- 複数枚のブレード、およびこれら複数枚のブレードの根元部に配置されるハブを有するインペラと、
前記インペラの下流側に設けられるとともに、対向するシュラウド壁面およびハブ側壁面との間に複数枚のベーンを有するディフューザとを具備する遠心式流体機械であって、
前記シュラウド側壁面および前記ハブ側壁面のうち、少なくとも一方の壁面に、前記ベーンの半径方向内側面から前記ディフューザの半径方向内側に向かうとともに、前記ベーンの半径方向内側面に対して略垂直方向に延在する少なくとも一本の溝が設けられ、
前記溝が、前記ベーンの前縁部に形成される最低圧力部よりも下流側で、かつスロートよりも上流側に設けられており、
前記ベーンの半径方向内側面の近傍に滞留する流体を前記溝に導くための第2の溝が、前記ベーンの半径方向内側面に少なくとも一本設けられていることを特徴とする遠心式流体機械。 - 前記溝の半径方向内側の一端が、前記ベーンの前縁間を結ぶとともに前記インペラの回転軸線から等しい距離に位置する線よりも半径方向外側に位置するように設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の遠心式流体機械。
- インペラの下流側に設けられるとともに、対向するシュラウド壁面およびハブ側壁面との間に複数枚のベーンを有するディフューザであって、
前記シュラウド側壁面および前記ハブ側壁面のうち、少なくとも一方の壁面に、前記ベーンの半径方向内側面から当該ディフューザの半径方向内側に向かうとともに、前記ベーンの半径方向内側面に対して略垂直方向に延在する少なくとも一本の溝が設けられ、
前記溝の深さがそれぞれ、前記ベーンの前縁から後縁に向かって漸次浅くなるように形成されており、
前記溝が、前記ベーンの前縁部に形成される最低圧力部よりも下流側で、かつスロートよりも上流側に設けられていることを特徴とするディフューザ。 - 前記ベーンの半径方向内側面の近傍に滞留する流体を前記溝に導くための第2の溝が、前記ベーンの半径方向内側面に少なくとも一本設けられていることを特徴とする請求項5に記載のディフューザ。
- インペラの下流側に設けられるとともに、対向するシュラウド壁面およびハブ側壁面との間に複数枚のベーンを有するディフューザであって、
前記シュラウド側壁面および前記ハブ側壁面のうち、少なくとも一方の壁面に、前記ベーンの半径方向内側面から当該ディフューザの半径方向内側に向かうとともに、前記ベーンの半径方向内側面に対して略垂直方向に延在する少なくとも一本の溝が設けられ、
前記溝が、前記ベーンの前縁部に形成される最低圧力部よりも下流側で、かつスロートよりも上流側に設けられており、
前記ベーンの半径方向内側面の近傍に滞留する流体を前記溝に導くための第2の溝が、前記ベーンの半径方向内側面に少なくとも一本設けられていることを特徴とするディフューザ。 - 前記溝の半径方向内側の一端が、前記ベーンの前縁間を結ぶとともに前記インペラの回転軸線から等しい距離に位置する線よりも半径方向外側に位置するように設けられていることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載のディフューザ。
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