JP6191373B2 - シートバック連結構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車幅方向に隣接する2つの別体のシートバックを備え、リヤフロアパネルに固定されたヒンジを介して2つの別体のシートバックが回転自在に連結されたシートバック連結構造に関するものである。
自動車などの車両は、車体後部の床面を形成するリヤフロアパネルを備える。リヤフロアパネルの上面には、シートクッションおよびシートバックを含むリアシートが設置されている。シートバックは、左右に分割された2つの別体のシートバック、すなわち車幅方向に隣接する例えば1人掛けのシートバックと2人掛けのシートバックとを含んでいる。
車両は、これら2つの別体のシートバックの車両後側に位置する荷室を有している。2つの別体のシートバックは、例えば荷物が積み込まれる荷室のスペースを確保するために、リヤフロアパネルに固定されたヒンジを介して車両前方向に回転自在に連結されている。
ところで、荷室に積み込まれた荷物は、車両の急激な減速などにより車両前側に移動しシートバックに衝突する場合がある。このような場合、シートバックは車両前側に向かう衝撃荷重を受ける。そのため、2つの別体のシートバックを連結するヒンジが曲がり壊れてしまい、2つの別体のシートバックがヒンジから外れて前側に開いてしまう事態があり得る。
特許文献1には、上記事態を回避し乗員の安全性を確保するために、左右のシートバック間に取付けられたセンターヒンジと、緩衝部材とを備えた構造が記載されている。センターヒンジは、ロアヒンジおよび一対のアッパヒンジを有する。
ロアヒンジは、下部がリヤフロアパネルに固定されていて、上部に緩衝部材と連結される連結部を有する。一対のアッパヒンジは、いわゆるバタフライヒンジであり、ロアヒンジの上部の左右にヒンジピンを介して回転自在に固定され、さらに左右のシートバックにそれぞれビスなどによって固定されている。緩衝部材は、ロアヒンジの連結部に一端が固定されていて、他端がロアヒンジよりも車両後側のリヤフロアパネルに固定されている。
特許文献1では、荷物の衝突に伴う荷重を受けた際、この衝撃によりロアヒンジが前方に変形すると、ロアヒンジの連結部に連結された緩衝部材が変形し、これにより荷重を吸収できる、としている。
特開平10−44843号公報
特許文献1では、バタフライヒンジが左右のシートバックとそれぞれ固定されていて、さらに緩衝部材を用いているため、構造が複雑となり、部品点数も増えてしまう。そのため、特許文献1に記載の技術には、製造工程が多くなり組付性が損なわれるという問題があった。
本発明は、このような課題に鑑み、車両前側に向かう衝撃荷重を受けた際、シートバックが前側に開くことを防止し、組付けも容易に行うことができるシートバック連結構造を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかるシートバック連結構造の代表的な構成は、車幅方向に隣接する別体の第1および第2シートバックと、車体の床面を形成するリヤフロアパネルに固定され第1および第2シートバックの境界で第1および第2シートバックを回転自在に連結するヒンジとを備えたシートバック連結構造において、第1シートバックの境界に面する側端面に固定され第2シートバックに向かって車幅方向に突出しヒンジを介して第2シートバックの端面に挿入される長尺状のピンと、ピンの周囲に形成された係止溝と、第2シートバックに固定されていてピンに対して直交する方向から接近して係止溝に係合することで第1および第2シートバックを相互に対して位置決めする係止ブラケットとをさらに備えることを特徴とする。
ここで、シートバックの車両後側に位置する荷室に積み込まれた荷物が、車両の急激な減速などにより車両前側に移動しシートバックに衝突する場合、シートバックは、車両前側に向かう衝撃荷重を受ける。上記構成によれば、第1シートバックに固定されたピンがヒンジおよび第2シートバックに挿入された後、第1および第2シートバックとは別体の係止ブラケットを、ピンに対して直交する方向例えば車両後方から係合させることが可能である。
このため、第1および第2シートバックが上記荷重を受けた場合、ピンは、係止ブラケットによって車幅方向の動きが規制され、第2シートバックから抜け落ちることが防止される。また、ピンは、係止ブラケットによって保護され破損し難くなり、車両前後方向の動きも規制される。よって、第1および第2シートバックがヒンジから外れて損傷することが防止される。さらに、第1および第2シートバックとは別体の係止ブラケットは、ピンに対して直交する方向から係合するため、係合の際、例えば第1および第2シートバックを車幅方向にスライドさせる必要がない。よって、作業スペースが狭い場所であっても、係止ブラケットを容易に組付けることができる。
上記の係止ブラケットは、第2シートバックの前面または後面に固定され車幅方向に延びる第1部位と、第1部位から湾曲または屈曲してピンの係止溝に到達する第2部位とを含むとよい。
これにより、第2シートバックには、車幅方向からピンが挿入され、さらに例えば車両前後方向から係止ブラケットも取付けられる。このため、ピンが挿入される部材と係止ブラケットが取付けられる部材とが異なる場合に比べ、上記構成では、第2シートバックの寸法精度のみを高めることで、係止ブラケットを係止溝に係合させる際の位置合わせがし易くなり、組付性を向上できる。
上記の係止溝は、第2シートバックとヒンジとの間に位置しているとよい。これにより、第2シートバックを覆うシート表皮の上から係止ブラケットを取付けることができ、作業性が向上する。
上記の係止溝は、第2シートバックよりもヒンジに近い位置にあるとよい。ここで、ピンは、第1シートバックに例えば溶接などにより固定されているため、第1シートバックに近い位置ほど強度が高い。上記構成では、係止溝は、ヒンジに近い位置にあるため、第1シートバックの近くに位置することになる。よって、ピンは、より強度の高い位置で係止ブラケットを介して荷重を受ける。したがって、ピンは、変形あるいは破損し難くなる。
上記の係止溝は、第2シートバックの内部に位置していて、係止ブラケットは、第2シートバックの内部に差し込まれ係止溝に係合するとよい。このように、係止ブラケットは、第2シートバックの内部に位置する係止溝と係合するように第2シートバックの内部に差し込まれる。このため、第2シートバックを覆うシート表皮の内側に係止ブラケットを配置でき、外観性を向上できる。また、係止ブラケットが第2シートバック内に配置されるため、例えば金属製の係止ブラケットが乗員に接触することがない。さらに、第1および第2シートバックが荷重を受けた場合であっても、係止ブラケットは、第2シートバックの内部に位置するため、第2シートバックのシートバックフレームなどに当接し変形が抑えられる。
上記のシートバック連結構造は、第2シートバックの境界に面する側端面から下端面にかけての角部に取付けられる互いに直交する第1壁面および第2壁面を有するシートバックブラケットをさらに備え、第1壁面には、ピンが車幅方向に沿って挿入される挿通孔が形成されていて、第2壁面には、係止ブラケットを第2壁面に固定する固定部材が、ピンと直交する車両前後方向に沿って挿入される固定孔が形成されているとよい。
これにより、ピンと固定部材とが互いに直交する方向で、シートバックブラケットに挿入される。特に係止ブラケットが別体であるため、ピンに対して直交するように固定部材をシートバックブラケットに確実に挿入できる。このため、係止ブラケットは、ピンに係合することでピンの車幅方向の動きを規制し、さらにシートバックブラケットに固定部材で固定されることでピンの車両前後方向の動きを規制できる。
本発明によれば、車両前側に向かう衝撃荷重を受けた際、シートバックが前側に開くことを防止し、組付けも容易に行うことができるシートバック連結構造を提供することができる。
本発明の第1実施形態におけるシートバック連結構造を概略的に示す図である。 図1(a)のシートバック連結構造の断面図である。 図2のシートバックブラケットを示す図である。 図2の係止ブラケットを示す図である。 本発明の第2実施形態におけるシートバック連結構造を概略的に示す図である。 図5(a)のシートバック連結構造の断面図である。 図6のシートバックブラケットを示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態におけるシートバック連結構造100を概略的に示す図である。以下各図に示す矢印X、Y、Zは車両前側、車両右側、車両上側をそれぞれ示している。なお図1では、シート表皮など各部材を適宜透視した状態でシートバック連結構造100を示している。図1(a)および図1(b)は、シートバック連結構造100を車両前側および車両後側の斜め方向から見た状態をそれぞれ示している。
シートバック連結構造100は、図1(a)に示すように、第1シートバック102および第2シートバック104と、センターヒンジ106とを備える。第1シートバック102および第2シートバック104は、車幅方向に隣接していて、左右に分割された2つの別体のシートバックである。第1シートバック102は、第2シートバック104よりも車幅方向の幅が大きく、例えば2人掛けのシートバックである。第2シートバック104は、例えば1人掛けのシートバックである。なお第1シートバック102と第2シートバック104の車幅方向の幅は、いずれが大きくてもよく、第1シートバック102が1人掛け、第2シートバック104が2人掛けであってもよい。
センターヒンジ106は、車体の床面を形成するリヤフロアパネル108に固定され、図1(a)に示すように第1シートバック102および第2シートバック104の境界110で、第1シートバック102および第2シートバック104を車両前方向に回転自在に連結している。
第1シートバック102および第2シートバック104の車両後側には、図1(b)に示すように、荷物112が積み込まれる荷室114が位置している。なお第1シートバック102および第2シートバック104を車両前方向に回転させることで、荷室114のスペースを拡張できる。
本実施形態では、図1(b)に示すように、第1シートバック102および第2シートバック104が所定位置に維持されていて、さらに荷室114に荷物112が積み込まれた状態を想定している。このような状態で車両が急激に減速などした場合、荷室114に積み込まれた荷物112は、車両前側に移動し第1シートバック102および第2シートバック104に衝突してしまう。このとき、第1シートバック102および第2シートバック104は、荷物112から車両前側に向かう衝撃荷重を受けることになる。
そこで、シートバック連結構造100では、上記衝撃荷重を受けて第1シートバック102および第2シートバック104が前側に開く、いわゆる観音開きになることを防止し、乗員の安全を確保する構成を採用した。以下、具体的に説明する。
第1シートバック102は、図1(a)に示すように、枠体としての第1シートバックフレーム116を有する。第1シートバックフレーム116は、その一部として第1シートバックブラケット118を含んでいる。第1シートバックフレーム116は、第2シートバック104との境界110に面する側端面120から下端面122にかけての角部124を成している。第1シートバックフレーム116の角部124には、第1シートバックブラケット118が固定されている。
第2シートバック104は、図1(a)に示すように、枠体としての第2シートバックフレーム126を有する。第2シートバックフレーム126は、その一部として第2シートバックブラケット128を含んでいる。第2シートバックフレーム126は、第1シートバック102との上記境界110に面する側端面130から下端面132にかけての角部134を成している。第2シートバックフレーム126の角部134には、第2シートバックブラケット128が固定されている。
図2は、図1(a)のシートバック連結構造100の断面図である。図2(a)は、図1(a)のA−A断面図である。図2(b)は、シートバック連結構造100の組付け工程を示す断面図である。図3は、図2の第2シートバックブラケット128を示す図である。図3(a)、図3(b)および図3(c)は、それぞれ第2シートバックブラケット128の斜視図、正面図および背面図である。
シートバック連結構造100は、図2(a)に示すように、第1シートバック102および第2シートバック104、センターヒンジ106に加えて、締結ピン136と係止ブラケット138とをさらに備える。締結ピン136は、第1シートバックブラケット118の側壁140に根元側が溶接などにより固定された長尺状のピンであり、その先端側が第2シートバック104に向かって車幅方向に突出している。センターヒンジ106は、締結ピン136が貫通する貫通孔142を有する。
第2シートバックブラケット128は、図3(a)に示すように、互いに直交する第1壁面144および第2壁面146を有する。第1壁面144は、図1(a)に示すように、第2シートバックフレーム126の角部134に固定された状態で、第2シートバックフレーム126の側端面130に沿って延びている。第1壁面144には、図3(a)に示すように挿通孔148が形成されている。挿通孔148には、図2(a)に示すように、締結ピン136が車幅方向に沿って挿入される。
第2壁面146は、図2(a)に示すように、車幅方向に延びていて、さらに第2シートバックフレーム126の車両後側の背面150に接している。第2壁面146には、図3(a)に示すように固定孔152が形成されている。固定孔152には、図2(a)に示すように、係止ブラケット138を第2壁面146に固定するためのボルト154が、締結ピン136と直交する車両後側から車両前側に向かって挿入される。
また、第2シートバックブラケット128は、図3(a)に示すように、第1壁面144に連続し車幅方向に屈曲した第3壁面156をさらに備える。なお図3(b)および図3(c)に示すように、第3壁面156は、第2壁面146に比べて車幅方向により長く延びている。第3壁面156は、図1(a)に示すように、第2シートバックフレーム126の角部134に固定された状態で、第1壁面144から連続し第2シートバックフレーム126の下端面132に沿って延びている。
締結ピン136は、図2(a)に示すように、センターヒンジ106の貫通孔142を貫通し、センターヒンジ106を介して第2シートバックブラケット128の挿通孔148に挿入される。これら貫通孔142、挿通孔148には、樹脂製のセンターヒンジブッシュ158、シートバックブラケットブッシュ160がそれぞれ取付けられている。センターヒンジブッシュ158は、貫通孔142と締結ピン136との間に位置し、センターヒンジ106と締結ピン136とが直接接し異音が発生することを防止する。シートバックブラケットブッシュ160は、第2シートバックブラケット128と締結ピン136とが直接接し異音が発生することを防止する。
また、締結ピン136は、その周囲に円形状の係止溝162が形成されている。係止溝162は、図2(a)に示すように、第2シートバックブラケット128とセンターヒンジ106との間であって、第2シートバックブラケット128よりもセンターヒンジ106に近い位置に形成されている。
ここで、図2(b)を参照して、シートバック連結構造100の組付け工程を説明する。まず、上記のように締結ピン136がセンターヒンジ106を介して第2シートバックブラケット128に挿入される。その後、第1シートバック102および第2シートバック104とは別体の係止ブラケット138を、締結ピン136に対して直交する方向例えば車両後方から矢印Bに示すように接近して、締結ピン136の係止溝162に係合させる。
図4は、図2の係止ブラケット138を示す図である。図4(a)、図4(b)および図4(c)は、それぞれ係止ブラケット138の斜視図、底面図および側面図である。係止ブラケット138は、金属製の部材であって、図4(a)に示すように第1部位164と第2部位166とを含み、断面L字型の形状を有する。
第1部位164は、第2シートバックブラケット128の第2壁面146の後面168(図2(b)参照)と重なるように、車幅方向に延びている。第1部位164は、図4(a)および図4(b)に示すように、上記ボルト154が貫通する孔部170を有する。第1部位164の孔部170は、図2(a)に示すように、第2壁面146に重なった状態で第2壁面146の固定孔152と重なり合う位置に形成されている。
第2部位166は、第1部位164から湾曲または屈曲して締結ピン136の係止溝162に到達するように、車両前側に向かって延びている。第2部位166には、図4(a)および図4(c)に示すように、締結ピン136の係止溝162と係合する凹部172が形成されている。
ここで図2(b)に示すように、第1部位164の孔部170が第2壁面146の固定孔152と重なり、また第2部位166の凹部172が締結ピン136の係止溝162に係合するように、係止ブラケット138を締結ピン136に接近させる。続いて、図2(a)に示すように、例えば第1部位164の孔部170と第2壁面146の固定孔152とを重ね合わせ、さらに第2部位166の凹部172と締結ピン136の係止溝162とを係合させる。そして、第1部位164の孔部170および第2壁面146の固定孔152に車両後側からボルト154を挿入し、車両前側からナット174をボルト154に螺合させる。なおナット174は、第2シートバックブラケット128の固定孔152の前側面176に予め溶接されていてもよい。このようにすれば、ボルト154を挿入しつつ溶接されたナット174に螺合させることができる。
このようにして、第1シートバック102および第2シートバック104とは別体の係止ブラケット138は、締結ピン136に対して直交する方向から係合でき、これにより第1シートバック102および第2シートバック104を相互に対して位置決めできる。
したがって、シートバック連結構造100によれば、第1シートバック102および第2シートバック104が荷室114の荷物112からの衝撃荷重を受けた場合、締結ピン136は、係止ブラケット138によって車幅方向の動きが規制され、第2シートバックブラケット128から抜け落ちることが防止される。
また、締結ピン136は、係止ブラケット138によって保護され破損し難くなり、車両前後方向の動きも規制される。このため、第1シートバック102および第2シートバック104は、センターヒンジ106から外れ難くなり損傷することが防止される。よって、第1シートバック102および第2シートバック104は、車両前側に向かう衝撃荷重を受けた際、前側に開くことが防止される。
さらに、第1シートバック102および第2シートバック104とは別体の係止ブラケット138は、締結ピン136に対して直交する方向から係合する。このため、係合の際、例えば第1シートバック102および第2シートバック104を車幅方向にスライドさせる必要がない。仮に、係止ブラケット138が第2シートバックブラケット128と一体あるいは予め組付けられている場合には、第2シートバックブラケット128の第1壁面144の挿通孔148に締結ピン136を挿入しつつ、係止ブラケット138の第2部位166の凹部172に締結ピン136の係止溝162を係合させる必要がある。このような作業は、例えば第1シートバック102および第2シートバック104を車幅方向にスライドさせながら行う必要があり、車幅方向にある程度の作業スペースを確保しなくてはならない。
これに対して、本実施形態では、係止ブラケット138は第1シートバック102および第2シートバック104とは別体の部材であり、締結ピン136が第2シートバックブラケット128に挿入された後、締結ピン136に対して直交する方向から係合させることが可能となる。よって、作業スペースが狭い場所であっても、係止ブラケット138を容易に組付けることができる。
また、第2シートバックブラケット128には、車幅方向から締結ピン136が挿入され、さらに車両後側から係止ブラケット138も取付けられる。つまり、締結ピン136が挿入される部材と係止ブラケット138が取付けられる部材とが同一部材となる。このため、シートバック連結構造100では、第2シートバックブラケット128の寸法精度のみを高めることで、係止ブラケット138を係止溝162に係合させる際の位置合わせがし易くなり、組付性を向上できる。
また、第2シートバックブラケット128には、締結ピン136とボルト154とが互いに直交する方向で挿入される。特に係止ブラケット138が別体であるため、締結ピン136に対して直交するようにボルト154を第2シートバックブラケット128に確実に挿入できる。よって、締結ピン136に係止ブラケット138を係合させるという簡素な構成で、締結ピン136の車幅方向だけでなく車両前後方向の動きも確実に規制できる。なお締結ピン136が第2シートバックブラケット128に挿入された後は、第1シートバック102および第2シートバック104とは別体の係止ブラケット138を用意すればよく、部品点数も少なくて済み、重量増加を招くことがない。
また、締結ピン136の係止溝162は、第2シートバックブラケット128とセンターヒンジ106との間に位置している。このため、第2シートバックブラケット128に締結ピン136を挿入した後、係止ブラケット138は、第2シートバック104を覆う図示を省略するシート表皮の上から取付け可能となり、作業性が向上する。
また、締結ピン136の係止溝162は、第2シートバックブラケット128よりもセンターヒンジ106に近い位置に形成されていて、第1シートバックブラケット118の近くに位置している。締結ピン136は、根元側が溶接された第1シートバックブラケット118に近い位置ほど強度が高い。よって、締結ピン136は、より強度の高い位置で係止ブラケット138を介して荷重を受けるため、変形あるいは破損し難くなる。
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態におけるシートバック連結構造100Aを概略的に示す図である。以下各図では、上記シートバック連結構造100と同一部材には同一符号を付し、説明を適宜省略する。図5(a)および図5(b)は、シートバック連結構造100Aを車両前側の斜め方向および車両後側から見た状態をそれぞれ示している。
図6は、図5(a)のシートバック連結構造100Aの断面図である。図中では、シートバック連結構造100AのC−C断面が示されている。図7は、図6の第2シートバックブラケット128Aを示す図である。図7(a)、図7(b)および図7(c)は、それぞれ第2シートバックブラケット128Aの斜視図、正面図および背面図である。
シートバック連結構造100Aは、第2シートバックブラケット128Aの形状が変更され、さらに、締結ピン136Aの係止溝162Aが先端側に形成されている点で、上記シートバック連結構造100と異なる。
第2シートバックブラケット128Aは、図7(a)に示すように、互いに直交する第1壁面144Aおよび第2壁面146Aと、第2壁面146Aに対面する第3壁面178とを有する。第1壁面144Aには、図7(a)に示すように挿通孔148Aが形成されている。挿通孔148Aには、図6に示すように、締結ピン136Aが車幅方向に沿って挿入される。
第2壁面146Aは、図6に示すように、車幅方向に延びていて、さらに第2シートバックフレーム126の車両後側の背面150に接している。第2壁面146Aには、図7(a)に示すように固定孔152Aが形成されている。固定孔152Aには、図6に示すように、係止ブラケット138を第2壁面146Aに固定するためのボルト154が、締結ピン136Aと直交する車両後側から車両前側に向かって挿入される。
さらに第2壁面146Aには、図7(b)および図7(c)に示すように、固定孔152Aよりも車両左側に開口部180が形成されている。係止ブラケット138は、図6に示すように、第2壁面146Aの開口部180に第2部位166を通して、第2シートバックブラケット128Aの内部に位置する締結ピン136Aの係止溝162Aと係合している。
第3壁面178は、図6に示すように、車幅方向に延びていて、さらに第2シートバックフレーム126の車両前側の前面182に接している。第3壁面178には、図7(a)および図7(b)に示すように、作業穴184が形成されている。作業穴184は、上記ボルト154に車両前側からナット174を螺合させる際に用いられる。
ここで、図6を参照して、シートバック連結構造100Aの組付け工程を説明する。まず、締結ピン136Aをセンターヒンジ106の貫通孔142に貫通させ、さらに第2シートバックブラケット128Aの挿通孔148Aに挿入する。その後、第1シートバック102および第2シートバック104とは別体の係止ブラケット138を、締結ピン136Aに対して直交する方向すなわち車両後方から接近させる。
つぎに、第2シートバックブラケット128Aの第2壁面146Aの開口部180に、係止ブラケット138の第2部位166を通して、締結ピン136Aの係止溝162Aに係合させる。続いて、第1部位164の孔部170と第2壁面146Aの固定孔152Aとを重ね合わせ、さらに第2部位166の凹部172と締結ピン136Aの係止溝162Aとを係合させる。そして、第1部位164の孔部170および第2壁面146Aの固定孔152Aに車両後側からボルト154を挿入し、作業穴184を利用して車両前側からナット174をボルト154に螺合させる。
このように、係止ブラケット138は、第2シートバックブラケット128Aの内部に位置する係止溝162Aと係合するように、第2シートバックブラケット128Aの内部に差し込まれる。したがって、シートバック連結構造100Aでは、第2シートバック104を覆う図示を省略するシート表皮の内側に係止ブラケット138を配置でき、外観性を向上できる。また、係止ブラケット138が第2シートバックブラケット128Aの内部に配置されるため、例えば金属製の係止ブラケット138が乗員に接触することがない。
さらに、シートバック連結構造100Aによれば、第1シートバック102および第2シートバック104が上記荷重を受けた場合であっても、係止ブラケット138の第2部位166が第2シートバックブラケット128Aの第1壁面144Aなどに当接し、係止ブラケット138の変形を抑えることができる。よって、シートバック連結構造100Aでは、強度が高くなるため、上記荷重を受けた際、第1シートバック102および第2シートバック104が前側に開くことをより確実に防止できる。
上記各実施形態では、第2シートバックブラケット128、128Aの車両後側に係止ブラケット138を固定するようにしたが、これに限定されない。一例として、第2シートバックブラケット128、128Aの形状を適宜変更し、係止ブラケット138を第2シートバックブラケット128、128Aの車両前側に固定するようにしてもよい。このような構成であっても、係止ブラケット138は、締結ピン136、136Aに対して直交する方向から接近して係止溝162、162Aに係合する。よって、第1シートバック102および第2シートバック104は、係止ブラケット138により相互に対して位置決めされるので、上記荷重を受けた際、前側に開くことが防止される。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、車幅方向に隣接する2つの別体のシートバックを備え、リヤフロアパネルに固定されたヒンジを介して2つの別体のシートバックが回転自在に連結されたシートバック連結構造に利用することができる。
100、100A…シートバック連結構造、102…第1シートバック、104…第2シートバック、106…センターヒンジ、108…リヤフロアパネル、110…境界、112…荷物、114…荷室、116…第1シートバックフレーム、118…第1シートバックブラケット、120、130…側端面、122、132…下端面、124、134…角部、126…第2シートバックフレーム、128、128A…第2シートバックブラケット、136、136A…締結ピン、138…係止ブラケット、140…側壁、142…貫通孔、144、144A…第1壁面、146、146A…第2壁面、148、148A…挿通孔、150…背面、152、152A…固定孔、154…ボルト、156、178…第3壁面、158…センターヒンジブッシュ、160…シートバックブラケットブッシュ、162、162A…係止溝、164…第1部位、166…第2部位、168…後面、170…孔部、172…凹部、174…ナット、180…開口部、184…作業穴

Claims (4)

  1. 車幅方向に隣接する別体の第1および第2シートバックと、車体の床面を形成するリヤフロアパネルに固定され第1および第2シートバックの境界で第1および第2シートバックを回転自在に連結するヒンジとを備えたシートバック連結構造において、
    第1シートバックの前記境界に面する側端面に固定され第2シートバックに向かって車幅方向に突出し前記ヒンジを介して第2シートバックの側端面に挿入される長尺状のピンと、
    前記ピンの周囲に形成された係止溝と、
    第2シートバックに固定されていて前記ピンに対して直交する方向から接近して前記係止溝に係合することで第1および第2シートバックを相互に対して位置決めする係止ブラケットと、
    第2シートバックの前記境界に面する側端面に取付けられる第1壁面と、第1壁面に直交していて第2シートバックの前面または後面に取付けられる第2壁面とを有するシートバックブラケットとをさらに備え、
    前記係止ブラケットは、車幅方向に延びる第1部位と、第1部位から湾曲または屈曲して前記ピンの係止溝に到達する第2部位とを含み、
    前記シートバックブラケットの第1壁面には、前記ピンが車幅方向に沿って挿入される挿通孔が形成されていて、第2壁面には、前記係止ブラケットの第1部位を前記シートバックブラケットの第2壁面に重なるように固定する固定部材が、前記ピンと直交する車両前後方向に沿って挿入される固定孔が形成されていることを特徴とするシートバック連結構造。
  2. 前記係止溝は、第2シートバックと前記ヒンジとの間に位置していることを特徴とする請求項1に記載のシートバック連結構造。
  3. 前記係止溝は、第2シートバックよりも前記ヒンジに近い位置にあることを特徴とする請求項2に記載のシートバック連結構造。
  4. 前記係止溝は、第2シートバックの内部に位置していて、
    前記係止ブラケットは、第2シートバックの内部に差し込まれ前記係止溝に係合することを特徴とする請求項1に記載のシートバック連結構造。
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