JP6191323B2 - フッ素系樹脂多孔体、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明はまた、このフッ素系樹脂多孔体を用いた電池用セパレータ及び電池に関する。
一方、大型の二次電池はロードレベリング、UPS、電気自動車をはじめ、エネルギー/環境問題に関連する多くの分野において研究開発が進められ、大容量、高出力、高電圧および長期保存性に優れている点より、リチウムイオン二次電池の用途が広がっている。
さらに、当該フッ素系樹脂多孔体を高い生産性の下で得ることが可能な製造方法を提供することを目的とする。
[1] フッ素系樹脂(A)を主成分とし、かつ、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が30g/10分以下の熱可塑性エラストマー(B)(ただし、シリコーン系熱可塑性エラストマーを除く。)を1質量%以上、45質量%以下含有する樹脂組成物からなる延伸多孔層を少なくとも一層有することを特徴とするフッ素系樹脂多孔体。
[2] フッ素系樹脂(A)を主成分とし、かつ、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が30g/10分以下の熱可塑性エラストマー(B)を1質量%以上、45質量%以下含有する樹脂組成物からなる延伸多孔層を少なくとも一層有し、前記熱可塑性エラストマー(B)が、スチレン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とするフッ素系樹脂多孔体。
[3] 前記フッ素系樹脂(A)が、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、若しくはポリテトラフルオロエチレン系樹脂、又はそれらの混合物であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のフッ素系樹脂多孔体。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載のフッ素系樹脂多孔体を用いてなる電池用セパレータ。
[5] [4]に記載の電池用セパレータを用いてなる電池。
[6] フッ素系樹脂(A)を主成分とし、かつ、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が30g/10分以下の熱可塑性エラストマー(B)を1質量%以上、45質量%以下含有する樹脂組成物を、
(a)溶融押出し、前記樹脂組成物からなる層を少なくとも一層有するシート状物、又は繊維状物、又は中空状物に、冷却固化し成形する工程と、
(b)前記工程(a)で成形した該シート状物、又は繊維状物、又は中空状物を、−20℃以上90℃以下の温度で延伸する工程と、
(c)前記工程(b)で延伸した該シート状物、又は繊維状物、又は中空状物を、さらに100℃以上160℃以下の温度で延伸する工程を含む、
フッ素系樹脂多孔体の製造方法。
本多孔体を構成する樹脂組成物は、フッ素系樹脂(A)を主成分とすることが重要である。ここで主成分とは、本多孔体を構成する樹脂組成物のうち、50質量%以上を占める成分であることをいい、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
また、前記フッ素系樹脂(A)が、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、即ち、テトラフルオロエチレンの単独重合体又はテトラフルオロエチレンと他のモノマーとの共重合体である場合、テトラフルオロエチレンに由来する構成単位を、全構成単位中に20モル%以上含有すること(100モル%を含む)が好ましい。
本多孔体を構成する樹脂組成物は、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が30g/10分以下の熱可塑性エラストマー(B)を含むことが重要である。前記熱可塑性エラストマー(B)の温度230℃、荷重2.16kgにおけるMFRは、10g/10分以下が好ましく、5g/10分以下がより好ましく、1g/10分以下がさらに好ましく、流動しないことが最も好ましい。
具体的には、前記フッ素系樹脂(A)を主成分としてなるマトリックスに対し、ドメインとして存在する前記熱可塑性エラストマー(B)が、粒子状に存在することが重要である。
このドメインが流れ方向(押出方向)に伸長した樹脂組成物を延伸する際に、変形により付与される応力が樹脂組成物全体に均一に加わりやすくなり、マトリックス/ドメインの界面への応力集中を妨げる。これは、ドメインが予め伸長していることにより、応力を受ける界面の断面積が小さい為である。
中でも、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマーが好ましく、特に、粘度の観点から、スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
一般に、フッ素系樹脂の密度は、1.5g/cm3以上と非常に大きいため、前記樹脂組成物中の前記熱可塑性エラストマー(B)の含有量が45質量%を超える場合、前記フッ素系樹脂(A)の体積に対して、前記熱可塑性エラストマー(B)の体積が大きくなり、形成される樹脂組成物のマトリックスが熱可塑性エラストマーとなり、多孔構造が形成しにくくなると共に、耐熱性が著しく低下するおそれがある。
また、前記樹脂組成物中の前記熱可塑性エラストマー(B)の含有量が1質量%未満の場合、前記フッ素系樹脂(A)と前記熱可塑性エラストマー(B)との界面における多孔化が形成し難いおそれがある。
そのため、前記樹脂組成物中の前記熱可塑性エラストマー(B)の含有量は、5質量%以上、43質量%以下が好ましく、10質量%以上、41質量%以下がより好ましく、15質量%以上、39質量%以下がさらに好ましく、20質量%以上、37質量%以下が特に好ましい。
本多孔体を構成する樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、前記のフッ素系樹脂(A)及び熱可塑性エラストマー(B)以外の成分、例えばフッ素系樹脂(A)以外の他の樹脂を含有することを許容することができる。他の樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、アラミド系樹脂等が挙げられる。中でも、前記フッ素系樹脂(A)として、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を用いる場合、相溶性の観点から、アクリル系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂が好ましい。
本多孔体は、フッ素系樹脂(A)を主成分とし、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が30g/10分以下の熱可塑性エラストマー(B)を1質量%以上、45質量%以下含有する樹脂組成物からなる多孔層を少なくとも一層有し、当該多孔層は、少なくとも一軸方向に延伸されることにより多孔化された層である。
また、本多孔体がシート状物の場合は、シート状物の厚み方向に積層された積層シート状多孔体でもよく、繊維状物の場合は、いわゆる芯鞘構造状多孔体でもよく、中空状の場合は、中空体の径方向に積層された多孔体でもよい。
特に、本多孔体を電池用セパレータとして用いる場合、シート状物が好ましい。さらに、前記樹脂組成物からなる多孔層を、電池用セパレータとして一般的に用いられているポリオレフィン系樹脂多孔膜と積層させて本多孔体を形成してもよく、その場合、前記樹脂組成物からなる多孔層は本多孔体の最表層に配置されることが好ましい。
また、厚みが50μm以下、好ましくは30μm以下であれば、多孔性フィルムの電気抵抗を小さくできるので電池の性能を十分に確保することができる。
透気度は厚み方向の空気の通り抜け難さを表し、具体的には100mLの空気が当該多孔体を通過するのに必要な秒数で表現されている。そのため、数値が小さい方が通り抜け易く、数値が大きい方が通り抜け難いことを意味する。すなわち、その数値が小さい方が厚み方向の連通性が良いことを意味し、その数値が大きい方が厚み方向の連通性が悪いことを意味する。連通性とは厚み方向の孔のつながり度合いである。本多孔体の透気度が低ければ様々な用途に使用することができる。例えば電池用セパレータとして使用した場合、透気度が低いということはリチウムイオンの移動が容易であることを意味し、電池性能に優れるため好ましい。
なお、本多孔体の透気度の下限には特に制限はないが、通常1秒/100mL程度である。
透気度は後述の実施例の項に測定方法が記載されている。
一方、空孔率の上限については80%以下が好ましく、75%以下がより好ましく、70%以下が更に好ましい。空孔率が80%以下であれば、微細孔が増えすぎて本多孔体の強度が低下する問題もなくなり、ハンドリングの観点からも好ましい。
なお、空孔率は後述の実施例の項に測定方法が記載されている。
次に、本多孔体の製造方法について説明する。上記の通り、本多孔体においては、フッ素系樹脂(A)を主成分とし、かつ、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が30g/10分以下の熱可塑性エラストマー(B)を1質量%以上、45質量%以下含有する樹脂組成物からなる層が、少なくとも一軸方向に延伸されることにより多孔化されてなることが重要である。
より具体的には、本多孔体は、前記樹脂組成物を(a)溶融押出し、前記樹脂組成物からなる層を少なくとも一層有するシート状物、又は繊維状物、又は中空状物に、冷却固化し成形する工程と、(b)前記工程(a)で成形した該シート状物、又は繊維状物、又は中空状物を、−20℃以上90℃以下の温度で延伸する工程と、(c)前記工程(b)で延伸した該シート状物、又は繊維状物、又は中空状物を、さらに100℃以上160℃以下の温度で延伸する工程と、を含む本発明の多孔体の製造方法によって製造することが好ましい。
前記樹脂組成物を溶融押出し、前記樹脂組成物からなる実質的に無孔状の層を少なくとも一層有するシート状物、又は繊維状物、又は中空状物に、冷却固化し成形する方法としては特に限定されず、公知の方法を用いてよいが、例えば押出機を用いて前記樹脂組成物を溶融押出し、Tダイ、丸ダイ、ノズル、中空ノズル等の賦形設備より押出し、キャストロール(冷却ロール)や、空冷、水冷等の設備で冷却固化するという方法が挙げられる。また、インフレーション法や、チューブラー法により製造した膜状物を切り開いて平面状とする方法も適用できる。
なお、「実質的に無孔状の層」とは、前記樹脂組成物を溶融押出し、冷却固化し成形する工程において、意図的に当該層に空孔を設けないことを意味し、当該工程における不測の要因で意図せず微細なピンホールが生じている場合も含むことを意味する。
また、冷却固化温度、例えばキャストロールの冷却固化温度は好ましくは20〜160℃、より好ましくは40〜140℃、更に好ましくは50〜130℃である。冷却固化温度を上記下限以上とすることで、前記フッ素系樹脂(A)の結晶化を促進し、前記熱可塑性エラストマー(B)との弾性率差が生じやすく、延伸時において多孔体を形成しやすいために好ましい。また、上記上限以下とすることで押出された溶融樹脂がキャストロールへ粘着し巻き付いてしまうなどのトラブルが起こりにくく、効率よく成形することが可能であるので好ましい。
工程(b)では、工程(a)により得られたシート状物、又は繊維状物、又は中空状物を−20℃以上90℃以下の温度で延伸する(以下、この工程(b)を「低温延伸工程」と称す場合がある。)。工程(b)における延伸方法については、ロール延伸法、圧延法、テンター延伸法、同時二軸延伸法などの手法があり、これらは単独で行っても2つ以上組み合わせて行ってもよい。中でも、生産性の観点から、工程(a)における流れ方向(即ち、押出方向ないしは引き取り方向、以下「縦方向」又は「MD」と称す場合がある。)への延伸が好ましく、前記樹脂組成物内の前記熱可塑性エラストマー(B)への応力集中をさせる観点から、延伸速度を上げやすいロール延伸法が好ましい。
工程(c)では、工程(b)により得られた前記樹脂組成物からなる多孔性層を100℃以上160℃以下の温度でさらに延伸する(以下、この工程(c)を「高温延伸工程」と称す場合がある。)。工程(c)における延伸方法については、上述の工程(b)と同様の方法を採用することができるが、中でも、ロール延伸法や、テンター延伸法が好ましく、特に、工程(b)により形成された孔を拡張する観点から、ロール延伸法により、さらに流れ方向(縦方向)へ延伸することが好ましい。
ここで、100℃以上の温度で延伸することで、工程(b)で形成された孔を伸長し、孔径を拡大できる。一方、160℃以下の温度で延伸することで、工程(b)で形成された孔の閉塞を抑制することができる。高温延伸工程における温度は、特に110℃以上150℃以下であることが好ましい。
また、工程(c)の後に熱処理を行う場合、熱処理工程における温度は120℃以上200℃以下、特に140℃以上180℃以下であることが、寸法安定性の点において好ましい。
続いて、本多孔体を電池用セパレータとして収容している非水電解液二次電池について、図1に参照して説明する。
正極板21、負極板22の両極は電池用セパレータ10を介して互いに重なるようにして渦巻き状に捲回し、巻き止めテープで外側を止めて捲回体とする。
前記捲回工程について詳しく説明する。電池用セパレータの片端をピンのスリット部の間に通し、ピンを少しだけ回転させて電池用セパレータの一端をピンに巻きつけておく。この時、ピンの表面と電池用セパレータの被覆層とが接触している。その後、電池用セパレータを間に挟むようにして正極と負極を配置し、捲回機によってピンを回転させて、正負極と電池用セパレータを捲回する。捲回後、ピンは捲回物から引き抜かれる。
実施例、比較例で使用した原材料に関して、温度230℃、荷重2.16kgの条件下でMFRを測定した。但し、実施例で使用したテトラフルオロエチレン・エチレン・パーフルオロブチルエチレン共重合体に関しては、温度297℃、荷重49Nの条件下でMFRを測定した。
得られた多孔性フィルムを1/1000mmのダイヤルゲージにて、面内を不特定に5箇所測定しその平均を厚みとした。
得られた多孔性フィルムから直径φ40mmの大きさでサンプルを切り出し、JIS P8117に準拠して透気度(秒/100mL)を測定した。
得られた多孔性フィルムの実質量W1を測定し、樹脂組成物の密度と厚みから空孔率0%の場合の質量W0を計算し、それらの値から下記式に基づき算出した。
空孔率(%)={(W0−W1)/W0}×100
・A−1;ポリフッ化ビニリデン(グレード名;KYNAR710、アルケマ社製、融点;170℃、MFR;9g/10分)
・A−2;テトラフルオロエチレン・エチレン・パーフルオロブチルエチレン共重合体(グレード名;FluonETFE C88AXP、旭硝子社製、融点;256℃、MFR;11g/10分)
・A−3;テトラフルオロエチレン・エチレン・パーフルオロブチルエチレン共重合体(グレード名;FluonETFE LM740AP、旭硝子社製、融点;228℃、MFR;32g/10分)
・A−4;テトラフルオロエチレン・エチレン・パーフルオロブチルエチレン共重合体(グレード名;FluonETFE LM730AP、旭硝子社製、融点;228℃、MFR;25g/10分)
・A−5;テトラフルオロエチレン・エチレン・パーフルオロブチルエチレン共重合体(グレード名;FluonETFE LM720AP、旭硝子社製、融点;227℃、MFR;13g/10分)
・B−1;スチレン系エラストマー(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、グレード名;SEPTON2005、クラレ社製、MFR;流動せず)
・B−2;スチレン系エラストマー(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、グレード名;SEPTON2006、クラレ社製、MFR;流動せず)
・B−3;スチレン系エラストマー(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、グレード名;SEPTON8006、クラレ社製、MFR;流動せず)
・B−4;スチレン系エラストマー(スチレン−エチレン−(エチレン−プロピレン)−スチレン共重合体、グレード名;SEPTON4044、クラレ社製、MFR;流動せず)
・B−5;スチレン系エラストマー(スチレン−エチレン−(エチレン−プロピレン)−スチレン共重合体、グレード名;SEPTON4055、クラレ社製、MFR;流動せず)
・B−6;スチレン系エラストマー(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、グレード名;SEPTON2002、クラレ社製、MFR;70g/10分)
・B−7;スチレン系エラストマー(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、グレード名;SEPTON8076、クラレ社製、MFR;65g/10分)
・B−8;アクリル系エラストマー(メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、グレード名;クラリティLA2330、クラレ社製、MFR;42g/10分)
・B−9;アクリル系エラストマー(メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、グレード名;クラリティLA3270、クラレ社製、MFR;66g/10分)
・B−10;アクリル系エラストマー(メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、グレード名;クラリティLA4285、クラレ社製、MFR;31g/10分)
フッ素系樹脂(A−1)を70質量%、熱可塑性エラストマー(B−1)を30質量%の割合で配合し、2軸押出機(スクリュー径25mmφ)に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、100℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
実施例1の熱可塑性エラストマーを熱可塑性エラストマー(B−2)に変更した以外は、実施例1と同様の条件で、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比52%(延伸倍率1.52倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比163%(延伸倍率2.63倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
実施例2で得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、延伸時間6秒間で2.1倍横方向に延伸した後、160℃で18秒間熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
実施例1の熱可塑性エラストマーを熱可塑性エラストマー(B−3)に変更した以外は、実施例1と同様の条件で、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比52%(延伸倍率1.52倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比163%(延伸倍率2.63倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
実施例4で得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、延伸時間6秒間で2.1倍横方向に延伸した後、160℃で18秒間熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
実施例1の熱可塑性エラストマーを熱可塑性エラストマー(B−4)に変更した以外は、実施例1と同様の条件で、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
実施例6で得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、延伸時間6秒間で2.1倍横方向に延伸した後、160℃で18秒間熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
実施例1の熱可塑性エラストマーを熱可塑性エラストマー(B−5)に変更した以外は、実施例1と同様の条件で、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
実施例8で得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、延伸時間6秒間で2.1倍横方向に延伸した後、160℃で18秒間熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
フッ素系樹脂(A−1)を85質量%、熱可塑性エラストマー(B−2)を15質量%の割合で配合した以外は、実施例1と同様の条件で、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、延伸時間6秒間で2.1倍横方向に延伸した後、160℃で18秒間熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
フッ素系樹脂(A−2)を70質量%、熱可塑性エラストマー(B−2)を30質量%の割合で配合し、2軸押出機(スクリュー径25mmφ)に投入し、設定温度280℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、100℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み130μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、延伸時間6秒間で2.1倍横方向に延伸した後、160℃で18秒間熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
フッ素系樹脂(A−3)を70質量%、熱可塑性エラストマー(B−2)を30質量%の割合で配合し、2軸押出機(スクリュー径25mmφ)に投入し、設定温度250℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、100℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み130μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、延伸時間6秒間で2.1倍横方向に延伸した後、160℃で18秒間熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
フッ素系樹脂(A−4)を70質量%、熱可塑性エラストマー(B−2)を30質量%の割合で配合し、2軸押出機(スクリュー径25mmφ)に投入し、設定温度260℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、100℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み130μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、延伸時間6秒間で2.1倍横方向に延伸した後、160℃で18秒間熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
フッ素系樹脂(A−5)を70質量%、熱可塑性エラストマー(B−2)を30質量%の割合で配合し、2軸押出機(スクリュー径25mmφ)に投入し、設定温度280℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、100℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み130μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、延伸時間6秒間で2.1倍横方向に延伸した後、160℃で18秒間熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
実施例1の熱可塑性エラストマーを熱可塑性エラストマー(B−6)に変更した以外は、実施例1と同様の条件で、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比25%(延伸倍率1.25倍)を掛けて低温延伸を行ったところ、表2に記載したようにフィルムが破断した。
実施例1の熱可塑性エラストマーを熱可塑性エラストマー(B−7)に変更した以外は、実施例1と同様の条件で、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比25%(延伸倍率1.25倍)を掛けて低温延伸を行ったところ、表2に記載したようにフィルムが破断した。
実施例1の熱可塑性エラストマーを熱可塑性エラストマー(B−8)に変更した以外は、実施例1と同様の条件で、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて高温延伸を行い、白化したMD延伸フィルムが得られた。得られたフィルムの評価結果を表2にまとめた。
実施例1の熱可塑性エラストマーを熱可塑性エラストマー(B−9)に変更した以外は、実施例1と同様の条件で、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて高温延伸を行ったが、得られたMD延伸フィルムは透明であった。得られたフィルムの評価結果を表2にまとめた。
実施例1の熱可塑性エラストマーを熱可塑性エラストマー(B−10)に変更した以外は、実施例1と同様の条件で、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて高温延伸を行ったが、得られたMD延伸フィルムは透明であった。得られたフィルムの評価結果を表2にまとめた。
熱可塑性エラストマーを添加せず、フッ素系樹脂(A−1)単体とした以外は、実施例1と同様の条件で、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行ったところ、表2に記載したようにフィルムが破断した。
比較例6で得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比25%(延伸倍率1.25倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて高温延伸を行ったが、得られたMD延伸フィルムは鱗状のムラが見られた。得られたフィルムの評価結果を表2にまとめた。
フッ素系樹脂(A−1)を50質量%、熱可塑性エラストマー(B−2)を50質量%の割合で配合し、2軸押出機(スクリュー径25mmφ)に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形しようとしたが、Tダイより吐出された溶融樹脂が流れにくく、キャストロールで引き取る際に、シートがちぎれてしまい、表2に記載したように未延伸シート状物が得られなかった。
一方、表2より、本発明が規定するMFRの範囲外である熱可塑性エラストマーを用いた比較例1〜5のうち、比較例1、2では、フィルムが破断し、多孔フィルムが得られなかった。これは、用いた熱可塑性エラストマーのMFRが本発明の範囲を逸脱するため、キャストシートの製膜時において、ドメインを形成する熱可塑性エラストマーがシートの流れ方向に伸長し、マトリックス/ドメインの界面への応力集中を妨げたため、フィルムが破断したものと思われる。また、比較例3では、フィルムが白化するものの、空孔率は低く、透気特性は発現しなかった。また、比較例4、5では、フィルムが白化することもなく、多孔体が形成されなかった。さらに、熱可塑性エラストマーを用いなかった比較例6では、フィルムが破断し、比較例7では、一部白化する箇所は見られるものの、鱗状のムラが生じる。すなわち、フッ素系樹脂単体では、低温延伸特性や多孔体の均一化に課題が残ることがわかった。また、比較例8では、本発明が規定する熱可塑性エラストマーの重量比を逸脱しているため、未延伸シート状物が得られなかった。これは、熱可塑性エラストマーの重量比が40質量%を超える為、熱可塑性エラストマーが海島構造のマトリックスとして形成されることに起因すると考えられる。
実施例2で得られた未延伸シート状物を、40℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比52%(延伸倍率1.52倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比163%(延伸倍率2.63倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表3にまとめた。
実施例2で得られた未延伸シート状物を、60℃に設定したロール(X)と60℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比52%(延伸倍率1.52倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比163%(延伸倍率2.63倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表3にまとめた。
実施例2で得られた未延伸シート状物を、80℃に設定したロール(X)と80℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比52%(延伸倍率1.52倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比163%(延伸倍率2.63倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表3にまとめた。
実施例2で得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比0%(未延伸)として、シートを通過させ、次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比163%(延伸倍率2.63倍)を掛けて高温延伸を行ったところ、透明な延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表4にまとめた。
実施例2で得られた未延伸シート状物を、60℃に設定したロール(X)と60℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比163%(延伸倍率2.63倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比0%(未延伸)としてシートを通過させたところ、白化した延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表4にまとめた。
実施例2で得られた未延伸シート状物を、80℃に設定したロール(X)と80℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比163%(延伸倍率2.63倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比0%(未延伸)としてシートを通過させたところ、白化した延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表4にまとめた。
実施例2で得られた未延伸シート状物を、105℃に設定したロール(X)と105℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比163%(延伸倍率2.63倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比0%(未延伸)としてシートを通過させたところ、透明な延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表4にまとめた。
実施例2で得られた未延伸シート状物を、105℃に設定したロール(X)と105℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比52%(延伸倍率1.52倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、115℃に設定したロール(P)と115℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比163%(延伸倍率2.63倍)を掛けて高温延伸を行ったところ、透明な延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表4にまとめた。
一方、表4より、本発明が規定する製造方法の範囲外である方法(工程(b)を経由しない方法)を用いた比較例9では、フィルムが透明となり、多孔化されなかった。また、本発明が規定する製造方法の範囲外である方法(工程(c)を経由しない方法)を用いた比較例10、11では、白化するものの、透気特性は発現せず、多孔化されなかった。また、本発明が規定する製造方法の範囲外である方法(実質的に工程(b)を経由しない方法)を用いた比較例12、13では、フィルムが透明となり、多孔化されなかった。
20 二次電池
21 正極板
22 負極板
24 正極リード体
25 負極リード体
26 ガスケット
27 正極蓋
Claims (6)
- フッ素系樹脂(A)を主成分とし、かつ、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が30g/10分以下の熱可塑性エラストマー(B)(ただし、シリコーン系熱可塑性エラストマーを除く。)を1質量%以上、45質量%以下含有する樹脂組成物からなる延伸多孔層を少なくとも一層有することを特徴とするフッ素系樹脂多孔体。
- フッ素系樹脂(A)を主成分とし、かつ、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が30g/10分以下の熱可塑性エラストマー(B)を1質量%以上、45質量%以下含有する樹脂組成物からなる延伸多孔層を少なくとも一層有し、前記熱可塑性エラストマー(B)が、スチレン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とするフッ素系樹脂多孔体。
- 前記フッ素系樹脂(A)が、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、若しくはポリテトラフルオロエチレン系樹脂、又はそれらの混合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフッ素系樹脂多孔体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフッ素系樹脂多孔体を用いてなる電池用セパレータ。
- 請求項4に記載の電池用セパレータを用いてなる電池。
- フッ素系樹脂(A)を主成分とし、かつ、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が30g/10分以下の熱可塑性エラストマー(B)を1質量%以上、45質量%以下含有する樹脂組成物を、
(a)溶融押出し、前記樹脂組成物からなる層を少なくとも一層有するシート状物、又は繊維状物、又は中空状物に、冷却固化し成形する工程と、
(b)前記工程(a)で成形した該シート状物、又は繊維状物、又は中空状物を、−20℃以上90℃以下の温度で延伸する工程と、
(c)前記工程(b)で延伸した該シート状物、又は繊維状物、又は中空状物を、さらに100℃以上160℃以下の温度で延伸する工程を含む、
フッ素系樹脂多孔体の製造方法。
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