JP2010253412A - 溶液中の溶質の抽出方法及び水溶液の濃縮方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多孔質膜、特にフッ素樹脂からなる多孔質膜を用い、溶液中からその溶質を他の溶媒中に抽出しより高濃度の溶液を得る方法、及び、多孔質膜を用い溶液中からその溶質を除去し合わせてその溶質の濃縮する方法を提供する。
【解決手段】多孔質膜の、一方の側に、溶質及び前記溶質を溶解する溶媒Bを含む溶液Aを接触させ、他方の側に、前記溶媒Bと相溶せず、前記溶質の溶解度が溶媒Bより大きい溶媒D又は前記溶媒Dを含む溶液Cを接触させ、溶液Aが前記多孔質膜を透過するために必要な差圧より小さい圧力を前記膜に負荷し、前記溶媒D又は溶液Cに前記溶質を抽出することを特徴とする溶液中の溶質の抽出方法、又は他方の側を気相と接触させることを特徴とする溶質の濃縮方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、多孔質膜、特にフッ素樹脂からなる多孔質膜を用いて、溶液中からその溶質を他の溶液又は溶媒中に抽出する方法に関する。例えば本発明は、フッ素樹脂からなる多孔質膜を用いて、アルコールや界面活性剤等の水溶液から、アルコールや界面活性剤等を疎水性溶媒中に抽出する方法に関する。溶液中からその溶質が他の溶液に抽出されれば、原溶液からは溶質の除去になり、又この溶質は他の溶液中に濃縮される。そこで、本発明は、前記多孔質膜を用いた溶質の除去方法及び溶質の濃縮方法に関するものでもある。
従来、疎水性多孔質体(膜)を利用した水溶液中の溶質の濃縮が行われていた。例えば、疎水性多孔質体膜の一方の側に5〜10%エタノール水溶液を接触させ、他方の側を真空引きして(その結果、膜には最大100kPaの差圧が負荷される。)エタノールを濃縮する膜蒸留が行われている。ここで疎水性多孔質膜としては、前記差圧よりも高い耐圧(エタノール水溶液が膜内に侵入しない圧力)を有する延伸ポリフルオロテトラエチレン膜等が用いられている。
この方法によれば、溶質のエタノールは疎水性多孔質体膜を透過し、他方の側において濃縮される。しかしこの方法では水蒸気も膜を透過するので、濃縮は30〜50%程度までであり、燃料として使用する場合等には不十分である。そこで、さらに高い濃縮を得る方法が求められている。
エタノール水溶液から燃料として使用できるエタノールを得る方法として、エタノール水溶液を、水と相溶せずかつエタノールの溶解度が水より大きい溶媒、例えばナフサと接触させ、ナフサ中にエタノールを抽出する方法が知られている(液膜分離)。
しかし、エタノール水溶液をナフサと接触させてエタノールをナフサ中に抽出する方法では、両溶液間の溶質の濃度差を浸透圧がつり合う大きさ以上にすることができずナフサの中のエタノール濃度を高めることができない。そこで、溶液中からその溶質例えばエタノールを他の溶媒中に抽出する方法であって、より高濃度の溶液を得る方法の開発が望まれていた。
本発明の課題は、多孔質膜を用い、溶液中からその溶質を他の溶媒中に抽出しより高濃度の溶液を得る方法を提供することにある。本発明はさらに、フッ素樹脂からなる多孔質膜を用い、溶液中からその溶質を除去し合わせてその溶質の濃縮する方法を提供することも課題とする。
前記の課題は、以下に示す構成からなる発明により達成される。
請求項1に記載の発明は、多孔質膜の、一方の側に、溶質及び前記溶質を溶解し前記多孔質膜が耐圧を有する溶媒Bを含む溶液Aを接触させ、他方の側に、前記溶媒Bと相溶せず前記溶質を溶解する溶媒D又は前記溶媒Dを含む溶液Cを接触させ、溶液Aが前記多孔質膜を透過するために必要な差圧より小さい差圧を、溶液A側から前記膜に負荷し、前記溶媒D又は溶液Cに前記溶質を抽出することを特徴とする溶液中の溶質の抽出方法である。なお、前記多孔質膜が耐圧を有するとは、溶媒Bが一定圧力(耐圧と言う。)まで多孔質膜内に侵入しないことを意味する。
多孔質膜とは、抽出対象の溶質を透過できる孔を有する膜である。抽出効率(生産性)を向上させるためには、孔密度が大きく又厚さが薄い程好ましい(ただし、所定の機械的強度が得られる厚さが求められる)。又、抽出対象の溶質を溶解する溶液Aが多孔質膜を透過するために必要な差圧(差圧とは膜の両側の圧力差を言う。以後、溶液Aが多孔質膜を透過するために必要な差圧を単に透過に必要な差圧という場合もある。透過に必要な差圧未満の差圧を溶液Aに負荷しても、溶液Aは膜に浸みこむことはあっても膜を透過することはない。)が大きいほど、膜に大きな圧力を負荷することができ生産性の向上を計ることができ、又より高濃度の溶液が得られるので好ましい。
この発明の方法では、前記多孔質膜の一方の側に、溶質及び前記溶質を溶解する溶媒Bを含む溶液Aを接触させ、溶液Aが前記多孔質膜を透過するために必要な差圧より小さい差圧を前記溶液A側より溶液C側に向かって負荷する。負荷する差圧が、透過に必要な差圧より小さいので、溶液Aは膜を透過しない。抽出の進行により溶液Aや溶液Cの組成が変動することがある(例えば、バッチプロセスでは、抽出の進行とともに溶液A中の溶質濃度が低下し一方溶液C中の溶質濃度が上昇する。)。この変動により前記透過に必要な差圧も変動するので、負荷する差圧は、透過に必要な差圧が変動してもより小さくなるように設定され又は調節される。
前記多孔質膜の他方の側には、前記溶媒Bと相溶せず、前記溶質を溶解する溶媒D又は溶液Cを接触させる。ここで、溶液Cは、溶媒Dを含む溶液であり、例えば、抽出された溶質を溶媒D中に溶解した溶液を挙げることができる。バッチプロセスの場合は、抽出の開始当初、他方の側が溶媒Dであっても抽出の進行とともに溶質が溶媒Dに溶解し溶液Cとなる。
溶媒D又は溶液Cには通常圧力は負荷しない(即ち大気圧に保たれる)が、加圧又は減圧してもよい。加圧又は減圧をする場合は、前記溶液Aに負荷する差圧とは、溶液A側の圧力と、溶媒D又は溶液C側の圧力との差を意味する。
溶媒Dは、抽出対象の溶質を溶解するものである。又、溶媒Dは、前記溶媒Bと相溶しないもの、即ち互いに溶解しないものである。溶媒Bが水又は水系溶媒(親水性溶媒)の場合、溶媒Dは疎水性溶媒であり、例えば溶媒Bが水であり溶質がエタノールの場合、溶媒Dとしてはエタノールをよく溶解し疎水性溶媒であるナフサを挙げることができる。
前記多孔質膜の一方の側に溶液Aを接触させることにより、多孔質膜の表面の界面で、溶液Aと溶媒D又は溶液Cが接触する。溶媒Dの前記溶質に対する溶解度が溶媒Bより大きい場合は、溶液A中の溶質が溶媒D又は溶媒Dを含む溶液Cに抽出される。その結果溶液C中の溶質濃度が上昇する。
溶媒Dの前記溶質に対する溶解度が溶媒Bより大きい場合、溶媒Dは溶媒Bより溶質を良く溶かすので、溶媒D側と溶媒B側間に差圧がない場合でも、両者間の浸透圧がつり合う濃度差となるまで溶液C中(溶媒D側)の濃度を高くすることができるが、溶媒B側(溶液A)から溶媒D側(溶液C)に差圧を負荷することによりさらに溶液C中の溶質の濃度を高くすることができる。即ち、溶液Aの浸透圧をP1、溶液Cの浸透圧をP2、負荷する差圧をPとすると、P+P1>P2となるので、Pを大きくすればP2も大きくすることができ、その結果溶液C中の溶質濃度を高くすることができる。又、Pを大きくすれば溶質の抽出速度も向上するので生産能力を高めることも可能になる。なお、溶媒Dの前記溶質に対する溶解度が溶媒Bより小さい場合でも、抽出は可能である。しかし、抽出や濃縮の効率が悪いので、溶媒Dとしては、前記溶質に対する溶解度が溶媒Bより大きいものが好ましい。
なお、溶液A側より溶液C側(溶媒D中)に溶質を抽出すれば、溶液A中の溶質濃度は低下し溶質の除去となる。従って、本発明は、溶液中の溶質の除去方法でもある。又、前記のように、本発明により、原溶液(溶液A)より溶質の濃度が高い溶液(溶液C)を得ることができる。従って、本発明は、溶液中の溶質の濃縮方法でもある。
請求項2に記載の発明は、前記多孔質膜が、ポリテトラフルオロエチレンを主体とするフッ素樹脂よりなり、前記溶媒Bが水又は親水性溶媒であり、かつ前記溶媒Dが疎水性溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の溶液中の溶質の抽出方法である。ここで用いられる多孔質膜は、ポリテトラフルオロエチレン(以後、PTFEとする。)を主体とするフッ素樹脂よりなるものである。PTFEは、疎水性であり、かつ気孔率の高い多孔質体の製造に適しているので前記多孔質膜として好ましく用いられ、特に、前記溶媒Bが水又は親水性溶媒である場合、好ましく用いられる。PTFEを主体とするとは、PTFEのみからなること、又はPTFEを50重量%以上、好ましくは80重量%以上含むことを意味する。この条件の範囲内で他のフッ素樹脂が多孔質膜の構成材料に含まれていてもよく、又本発明の趣旨を阻害しない範囲でフッ素樹脂以外の樹脂が含まれていてもよい。
PTFEを主体とするフッ素樹脂よりなる多孔質膜は、疎水性が高い膜である。そこで、前記溶媒Bが水又は親水性溶媒の場合、溶液Aが前記多孔質膜を透過するために必要な差圧がより高くなる。その結果、溶液A側に高い差圧を加えることができ、(前記のP2を上げることができるので)より高い濃度の溶液Cが得られるので好ましい。
なお、多孔質膜の厚さは、薄い方が、通常、処理能力が高いので、この点からは好ましい。ただし、多孔質膜が薄い場合は機械的強度が低くなる場合が多いので支持体を付加した構造の多孔質膜、例えば、PTFEを主体とするフッ素樹脂の薄膜に機械的強度に優れた多孔質膜を貼り合せたフッ素樹脂複合体が好ましく用いられる。
請求項3に記載の発明は、前記溶質が、20℃での表面張力が40dyne/cm以下の液体であることを特徴とする請求項2に記載の溶液中の溶質の抽出方法である。前記溶質が、20℃での表面張力が40dyne/cm以下の液体である場合、PTFEを主体とするフッ素樹脂よりなる多孔質膜をこの溶質が透過しやすいので好ましい。より好ましくは、溶質が、20℃での表面張力が30dyne/cm以下の液体であり、溶媒Bが水の場合である。
請求項4に記載の発明は、前記溶質が、エタノール等のアルコール類であることを特徴とする請求項3に記載の溶液中の溶質の抽出方法である。20℃での表面張力が30dyne/cm以下の液体としては、エタノールが代表例であり、エタノール水からエタノールを含有する燃料の製造等への適用が考えられる。
請求項5に記載の発明は、前記多孔質膜の平均流量孔径が50nm以下であり、かつ耐水圧が1500kPa以上であり、並びに前記溶液A側に負荷する差圧が500kPa以上であることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の溶液中の溶質の抽出方法である。
一般に疎水性の多孔質膜は孔径を小さいほど、水を弾きやすく、多孔質内部に水を漫透させるのに必要な圧力(耐水圧)は高くなる。本発明で使用されるPTFEを主体とするフッ素樹脂よりなる多孔質膜においても同様であるが、特に平均流量孔径を50nm以下とすることにより耐水圧を1500kPa以上とすることができる。ここで、平均流量孔径とは、ASTM E1294−84のハーフドライ法に基づいて測定された値である。
溶媒Bが水又は親水性溶媒であっても、溶液Aが、水の表面張力を低下させる溶質、例えば表面張力が低いアルコール類や界面活性剤等を溶解している場合、溶液Aが前記多孔質膜を透過するために必要な差圧は耐水圧より低下する。しかし、平均流量孔径を50nm以下とすることにより、アルコール類や界面活性剤等を高濃度に溶解している場合でも、透過に必要な差圧を、500kPaを超える値とすることは容易である。又、溶液C中の溶質の濃度が高濃度の場合でも、溶液C中に溶質が含まれない場合(即ち溶媒Dの場合)や溶質濃度が低い場合と同等の差圧(透過に必要な差圧)が得られる。従って、抽出を行っている間、溶液Aに負荷する圧力を常に500kPa以上に保つことが容易であり、高い生産能力が得られ、溶質をさらに高い濃度まで濃縮することができる。
又、多孔質膜の平均流量孔径が小さい場合、溶液C中の溶質が水の表面張力を低下させる溶質であってその濃度が高くても、疎水性の溶媒Dが一定割合含まれておれば、高い差圧(透過に必要な差圧)が得られることを、本発明者は見出した。特に、平均流量孔径が50nm以下であって、溶質がエタノールで溶媒Dがナフサの場合、溶液C中にナフサが5重量%含まれておれば(即ち、エタノールが95重量%であっても)、ナフサのみからなる場合やエタノール濃度が低い場合と同等の差圧(透過に必要な差圧)が得られる。
請求項6に記載の発明は、前記多孔質膜が、PTFEを主体とするフッ素樹脂を膜状に成形した後、PTFEの融点以上に加熱して得られたフッ素樹脂膜であって、かつガーレー秒が5000秒以上の膜を、延伸して製造されたことを特徴とする請求項5に記載の溶液中の溶質の抽出方法である。
前記PTFEを主体とするフッ素樹脂よりなる多孔質膜は、例えば、
1)PTFEを主体とするフッ素樹脂を膜状に成形する、
2)成形された膜をPTFEの融点以上に加熱する、及び
3)加熱後の膜を延伸する、
工程を通して製造することができる。
前記の方法の1)で使用するPTFEを主体とするフッ素樹脂としては、PTFEの粉末を用いることができ、これを膜状に成形しPTFEの融点以上に加熱することにより、粉末間が融着した膜が得られる。この膜はガーレー秒が5000秒以上であることが好ましい。ここでガーレー秒とは、JIS−P8117等記載されている透気度(空気の透過量)を表す数値で、具体的には、100mlの空気が645cmの面積を通過する時間(秒)を表す。膜が欠陥を有する場合は、その欠陥を通って空気が透過するので、ガーレー秒は小さくなるが、欠陥が少なくなるに従って空気が透過しにくくなり、ガーレー秒は増大する。ガーレー秒が5000秒以上であることは、ピンホール等の欠陥がほとんどないことを意味する。
このようにして得られた膜を延伸することにより、均一な孔径を有し、ピンホール等の欠陥がほとんどない多孔質膜が得られる。平均流量孔径は、延伸率により調整することが可能であり、50nm以下の平均流量孔径を得ることも可能である。
本発明は、前記の溶液中の溶質の抽出方法に加えて、溶質が液体である水溶液(即ち、溶質が液体である水溶液)を濃縮する方法であって、PTFEを主体とするフッ素樹脂よりなり、平均流量孔径が50nm以下である多孔質膜の、一方の側に前記水溶液を接触させ、他方の側は気相と接触させ、前記水溶液が前記多孔質膜を透過するために必要な差圧より小さい差圧を、前記水溶液側より前記膜に負荷し、前記気相中に前記溶質を蒸散させた後、凝縮することを特徴とする水溶液中の溶質の濃縮方法(請求項7)を提供する。
請求項7に記載の水溶液中の溶質の濃縮方法は、水溶液中の溶質を膜蒸留法により濃縮する方法であって、PTFEを主体とするフッ素樹脂よりなり平均流量孔径が50nm以下である多孔質膜を用いることを特徴とする方法である。
この方法では、平均流量孔径が50nm以下である多孔質膜を用いることを特徴とする。平均流量孔径が50nm以下であるので、多孔質膜の耐水圧は高く、従って高い差圧(水溶液側と気相側の圧力差。気相側が減圧の場合を含む)を負荷することができ、高い生産性を可能にする。又、平均流量孔径が50nm以下であるので、平均流量孔径が大きい膜を用いる場合に比べて溶媒の水は透過しにくく、その結果より高い濃度の濃縮を行うことができる。
なお、ここで用いられる多孔質膜の材質は、請求項1に記載の発明に用いられる多孔質膜の材質と同じものであり、同様な方法により製造できるものである。又、水溶液中の溶質としては、水溶性であり、PTFEに対する親和性が水よりも大きい液体が好ましく例示され、具体的にはエタノール等のアルコール類を挙げることができる。従って、液体の溶質を溶解する水溶液としては、エタノール水等のアルコール類水溶液を挙げることができる。
請求項8の発明は、前記水溶液、即ち溶質が液体である水溶液が、アルコール類水溶液であることを特徴とする請求項7に記載の水溶液中の溶質の濃縮方法である。即ち、請求項7に記載の濃縮方法を、エタノール水等のアルコール類水溶液の濃縮に適用した態様であり、より高い濃度のアルコール類水溶液を得ることができる。
本発明の溶液中の溶質の抽出方法によれば、溶液中からその溶質を他の溶媒中に抽出し、当該溶質のより高濃度の溶液を製造することができる。又、高い生産性を可能にする。
この効果は、多孔質膜がPTFEを主体とするフッ素樹脂よりなり、かつ平均流量孔径が50nm以下であって、水又は親水性溶媒の溶液に適用する場合特に大きく、さらに高濃度の溶液の製造を可能にする。又、本発明の水溶液中の溶質の濃縮方法によれば、当該溶質のより高濃度の水溶液を高い生産性で製造することができる。
実施例で使用した細孔分布測定器の概略断面図である
次に、本発明を実施するための形態につき説明するが、本発明の範囲はこの形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々の変更を加えることは可能である。
本発明に用いられる多孔質膜であって、PTFEを主体とするフッ素樹脂よりなる多孔質膜は、PTFEを主体とするフッ素樹脂粉末を膜状に成形した後、PTFEの融点以上に加熱して粉末間を融着させてフッ素樹脂膜を得た後、これをさらに延伸して得られる。又は、PTFEの融点以上に加熱して得られたフッ素樹脂膜をさらに2層以上貼り合わせた後、これをさらに延伸して得られる。延伸前のフッ素樹脂膜(2層以上貼り合わせる場合は、その少なくとも1層のフッ素樹脂膜)を、例えば、次に[多孔質膜の製法例]として示す方法により製造すると、ピンホール等の欠陥が少なく、ガーレー秒が5000秒以上で、かつ非常に薄い膜を容易に得ることができる。
[多孔質膜の製法例]
平滑な箔上に、PTFEを主体とするフッ素樹脂の粉末を分散媒中に分散したフッ素樹脂ディスパージョンを塗布した後、該分散媒の乾燥、フッ素樹脂の焼結を行い、その後、この平滑な箔を除去する方法。
フッ素樹脂ディスパージョンの塗膜の乾燥の際、分散媒の表面張力によりクラック等の欠陥が生成しやすいが、平滑な箔を塗布面に密着させ、空気と塗布されたフッ素樹脂ディスパージョンの接触面積を極力減少させて、乾燥、焼結を行うと、欠陥の生成を大きく抑制できる。その結果、ガーレー秒が5000秒以上の膜を容易に得ることができる。
フッ素樹脂ディスパージョンを構成するフッ素樹脂としては、PTFE以外に、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキル・ビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPA)、ポリクロロ・トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド等を挙げることができる。
フッ素樹脂ディスパージョンに用いるPTFEの分子量としては100万〜500万であることが好ましく、100万〜350万であればより好ましく、120万〜180万であればさらに好ましい。分子量が高すぎると気孔率が低下する傾向があり、分子量が低すぎると、ピンホールを生じる、延伸時に破れ易くなる等の傾向がある。PTFEの分子量の調整はPTFEの重合時に行っても良いし、高い分子量のPTFEを原料として用い、その原料に対して又はその原料から得られた成形品に対して電離放射線照射や加熱等を行い、高分子鎖を分解する方法で調整してもよい。
また、フッ素樹脂の融解熱量は、32J/g以上が好ましい。ここで、融解熱量の測定は、熱流束示差走査熱量計(島津製作所製熱流束示差走査熱量計DSC−50)を用い、以下に示す方法により行われる。
サンプル10〜20mgを、室温から245℃まで50℃/分で加熱し、その後10℃/分で365℃まで加熱する(第一ステップ)。次に、350℃まで−10℃/分の速度で冷却し、350℃で5分間保持する。さらに350℃から330℃まで−10℃/分の速度で冷却、330℃から305℃まで−1℃/分の速度で冷却する(第二ステップ)。次に−50℃/分の速度で305℃から245℃まで冷却した後、10℃/分の速度で245℃から365℃まで加熱する(第三ステップ)。なお、サンプリングタイムは0.5秒/回である。第一ステップの吸熱量は303〜353℃の区間、第二ステップの発熱量は318〜309℃の区間、第三ステップの吸熱量は296〜343℃の区間を積分して求め、この第三ステップにおける296〜343℃間の吸熱量を融解熱量とする。
フッ素樹脂ディスパージョンを構成する分散媒としては、通常、水等の水性媒体が用いられる。フッ素樹脂ディスパージョン中のフッ素樹脂粉末の含有量は、20重量%〜70重量%の範囲が好ましい。
フッ素樹脂ディスパージョンが、PTFEに加えて、熱可塑性フッ素樹脂を含む場合、又は/及び、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール等のノニオン性で分子量1万以上の水溶性ポリマーを含む場合は、これらはフッ素樹脂ディスパージョンの分散に影響しないとともに水分乾燥時にゲル化して膜を形成するので、欠陥がさらに少なく、ガーレー秒がより大きいフッ素樹脂薄膜が得られるので好ましい。
平滑な箔とは、フッ素樹脂ディスパージョンと接する側の表面に孔や凹凸が観測されない平滑なフィルムである。平滑な箔としては、金属箔が、フッ素樹脂ディスパージョン上に気泡が入らないように被せる操作を容易に行えるような柔軟性を有し、薄膜の形成後酸等による溶解除去が容易であるので好ましい。金属箔の中でもアルミ箔は、柔軟性及び溶解除去の容易さ、さらには入手の容易さの点で特に好適である。
フッ素樹脂ディスパージョンを平滑な箔上に塗布する方法は特に限定されない。塗布後、分散媒の乾燥が行われる。乾燥は、分散媒の沸点に近い温度又は沸点以上に加熱することにより行うことができる。乾燥によりフッ素樹脂粉末からなる皮膜が形成されるが、この皮膜を、フッ素樹脂の融点以上に加熱して焼結することにより本発明のフッ素樹脂の薄膜を得ることができる。乾燥と焼結の加熱を同一工程で行ってもよい。
乾燥と焼結の後、薄膜上を覆っている平滑な箔の除去が行われる。除去の方法は特に限定されないが、平滑な箔が金属箔の場合は酸等により溶解除去する方法が例示される。
このようにして得られたフッ素樹脂膜は、ガーレー秒が5000秒以上の欠陥の少ないものであるが、この膜を延伸することにより、本発明で使用されるPTFEを主体とするフッ素樹脂よりなる多孔質膜が得られる。このようにして得られる多孔質膜は、孔径が微小、均一であり、かつ高気孔率であるとともに、欠陥が少ない薄膜である。
延伸の方法は特に限定されず、高分子膜の延伸に通常用いられている方法を採用することができる。延伸率は、多孔質膜の平均流量孔径が50nm以下となるように選定することが好ましい。通常、延伸温度は、フッ素樹脂の融点よりも低い200℃以下が好ましく、160℃以下であればより好ましく、100℃以下であればさらに好ましい。
[溶質]
本発明が適用される溶質としては、前記のエタノールの他に、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ペルフルオロアルキルエチレンオキシド付加物等の界面活性剤を例示することができる。
[溶媒B]
溶媒Bとしては、水又は親水性溶媒を挙げることができるが、この場合、溶媒Dとしては、疎水性溶媒が用いられる。
[溶媒D]
疎水性溶媒としての溶媒Dとしては、ナフサを挙げることができる。
次に本発明をより具体的に説明するための実施例を示すが、実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[多孔質膜(試作膜)の製造]
融解熱量が50J/gのPTFEディスパージョン30J(三井・デュボンフロロケミカル社製)とMFAラテックス(ソルペイソレクシス社製)、およびPFAディスパージョン920HP(三井・デュボンフロロケミカル社製)とを用いMFA/(PTFE+MFA+PFA)(体積比)及びPFA/(PTFE+MFA+PFA)(体積比)が各2%であるフッ素樹脂ディスパージョンを調整し、さらに分子量200万のポリエチレンオキサイドを濃度0.003g/ml、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルトリエタノールアミン(花王社製20T)を10mg/mlとなるように添加してフッ素樹脂ディスパージョンを調整した。
次に、厚さ50nmのアルミ箔をガラス平板の上に雛がないように広げて固定し、前記で調整したフッ素樹脂ディスパージョンを滴下した後、日本ベアリング社製のステンレス銅製のスライドシャフト(ステンレスファインシャフトSNSF型、外径20mm)を滑らすようにしてフッ素樹脂ディスパージョンをアルミ箔一面に均一になるように伸ばした。この箔を80℃で60分乾燥、250℃で1時間加熱、340℃で1時間加熱の各工程を経た後、自然冷却し、アルミ箔上に国定されたフッ素樹脂薄膜を形成させた。フッ素樹脂薄膜が形成される前後のアルミ箔の単位面積当たりの重量差とフッ素樹脂の真比重(2.25g/cm)から算出したフッ素樹脂薄膜の平均厚さは約3μmであった。
次に、920HPを蒸留水で4倍の容積に薄めたPFAディスパージョンに、さらに、分子量200万のポリエチレンオキサイドを濃度0.003g/ml、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルトリエタノールアミン(花王社製20T)を10mg/mlとなるように添加した4倍希釈のPFAディスパージョンを調整した。
アルミ箔上に固定されたフッ素樹脂薄膜を、ガラス平板の上に、皺がないように広げて固定し、4倍希釈のPFAディスパージョンを滴下した後、前記と同じ日本ベアリング社製のステンレス鋼製のスライドシャフトを滑らすようにして4倍希釈のPFAディスパージョンをアルミ箔一面に均一になるように伸ばしながら、水分が乾燥しない間に、孔径0.45μm、厚さ80μmの延伸PTFE多孔質体(住友電工ファインポリマー社製、商品名:ポアフロンFP−045−80)(IPA−BP:150kPa、気孔率:70%、がーレー秒=9.1秒)を被せた。
その後80℃で60分乾燥、250℃で1時間加熱、320℃で1時間加熱、317.5℃で8時間加熱の各工程を経た後自然冷却して、延伸PTFE多孔質体上にPTFEよりも融点の低い熱可塑性のPFAでフッ素樹脂薄膜が接着され、さらにその上にアルミ箔が固定された複合体を得た。次いで、アルミ箔を塩酸により溶解除去して、試験体を得た。この試験体のガーレー秒は5000秒以上で、フッ素樹脂薄膜側から室温でエタノールを接触させてみたが、浸透するような穴は無かった。エタノールが浸透しない実質的に無孔質のフッ素樹脂薄膜を含むフッ素樹脂複合体であることが示された。
次に、特別製の横軸延伸機にて、入口チャック幅230mm、出口552mm、延伸ゾーンの長さ1m、ライン速度6m/分、250℃で、2.4倍の延伸を行い、試作膜を得た。この試作膜の、試薬GALWICK(プロピレン,1,1,2,3,3,3酸化ヘキサフッ酸:Porous Materials社製)でのバブルポイントは551kPa、平均流量孔径は29nm、ガーレー秒は125秒であった。なお、平均流量孔径は以下に示す方法で測定した値である。
[平均流量径の測定方法]
細孔分布測定器(パームポロメータ CFP−1500AS:Porous Materials社製)により、液体としてGALWICKを用いて測定した。具体的には、先ず、膜に加えられる差圧と膜を透過する空気流量との関係を、膜が乾燥している場合と膜が液体で濡れている場合について測定し、得られたグラフをそれぞれ乾き曲線及び濡れ曲線とする。乾き曲線の流量を1/2とした曲線と、濡れ曲線との交点における差圧をPとし、次の式により平均流量径を求める。
平均流量径d(μm)=cγ/P
ここで、cは定数で2860であり、γは液体の表面張力(dynes/cm)である。
実施例1〜5、参考例1〜11
図1は、実施例で使用した細孔分布測定器(パームポロメータ CFP−1500AS:Porous Materials社製)の断面の概略を示す概略断面図である。図1に示すように、上記の方法により製造された試作膜を、細孔分布測定器のサポート上に設置し、試作膜の一方の側に溶液A(表1中では「作動流体」と表す)を接触させ、他方の側に溶液C(表1中では「膜の下側液」と表す)を接触させ、図1中の矢印で示すように溶液A側から加圧し、作動流体(溶液A)が試作膜を透過するために必要な差圧を求めた。その結果を表1に示す。なお、細孔分布測定器のサポートは金属ワイヤーを編んだものであるが、溶液を透過し試作膜を保持できるものであれば他のものでもよく、例えば、金属のパンチングメタル、金属の多孔体等を用いることもできる。
実施例6〜8
市販のPTFEメンブレン(住友電工ファインポリマー社製ポアフロンHP−010−30、公称孔径100nm、前記ナノメンブレンと同様にして測定した平均流量孔径121nm、バブルポイント185kPa)を、前記試作膜の代わりに用い、他は実施例と同様にして作動流体(溶液A)がこのPTFEメンブレンを透過するために必要な差圧を求めた。その結果を表2に示す。
参考例
溶液Aの代わりに、溶質を含まない溶媒や空気を作動流体として用いた場合、及び溶液Cの代わりに、溶液Aと相溶する液を膜の下側液とした場合や、膜の下側液を用いず他方の側は空気と接触させた場合についても、実施例と同様にして差圧の測定を行った。これらを参考例とした。その結果を、前記試作膜を用いた場合(参考例1〜11)については表1に、ポアフロンHP−010−30を用いた場合(参考例12〜18)については表2に示した。
Figure 2010253412
Figure 2010253412
実施例1〜5で使用した平均流量孔径29nmの試作膜は、1944kPa(20気圧程度)と非常に高耐水圧(作動流体(溶液A)を水とし他方の側を空気と接触させた場合の差圧、参考例4)を示した。又、他方の側をナフサと接触させた場合(参考例5)の作動流体水の差圧は、1933kPaと耐水圧とほぼ同等の値を示したのに対し、他方の側をエタノールと接触させた場合(参考例10)の作動流体水の差圧は、549kPaと大幅に低下した。一方、参考例8及び参考例9に示すように、ナフサのバブルポイントは547kPaであり、エタノールのバブルポイントは550kPaであり、ナフサとエタノール間に差は見られない。
前記差圧が、エタノールの場合大きく低下したのは、エタノールと水は相溶するので、エタノールが水に浸透し、表面張力を大幅に低下させたためと思われる。一方、ナフサの場合は、水とは相溶しないので水が膜内に侵入しないためと考えられる。
作動流体の水を、表面張力を低下させる物質「エタノール」を含有する水溶液(エタノール水)に変えると、差圧は耐水圧より低くなる。作動流体の表面張力が水より低下するためと考えられる。
膜の他方の側を気相とした場合(参考例4、参考例6、参考例7)は、作動流体を蒸留水から62%エタノール水に変えると差圧は、1944kPaから400kPaに低下する。一方、膜の他方の側をナフサとした場合(参考例5、実施例1、実施例2)は、作動流体を蒸留水から62%エタノール水に変えると差圧は、1933kPaから1107kPaと低下するものの、その低下幅は他方の側を気相とした場合より小さい。膜中に浸透したエタノール水から、ナフサによりエタノールが溶解、抽出され、膜内でのエタノールの濃度が低下しエタノール水の表面張力が増したためと考えられる。
以上の結果より、膜の他方の側に、疎水性で水と相溶しない液体でありながら疎水性の多孔質膜に馴染みがよくエタノールの溶解度が高いナフサを使用することにより、表面張力を低下させる物質エタノールを高い濃度で溶解する水溶液(作動流体)でも、高い差圧を維持することができ、エタノールの効率的な抽出が可能であることが示されている。
さらに、参考例5と参考例1〜3の比較、実施例2と実施例3〜5の比較により、膜の他方の側に接する溶媒Dであるナフサ中に、エタノールが高濃度で含まれていても、差圧が低下しないことが示されている。即ち、ナフサ中のエタノール濃度が95重量%(参考例3、実施例5)であっても、ナフサ100%(参考例5、実施例2)と同等な差圧が得られている。ただし、エタノール濃度を100重量%とすると差圧は大きく低下する(参考例10、参考例11)。
この結果より、平均流量孔径50nm以下の多孔質膜を用いて本発明の抽出方法を行うと、ナフサ中のエタノールが高濃度となっても、高い差圧を維持することができ、さらにエタノールを抽出でき、高濃度(平均流量孔径29nmの場合は、95重量%以上)のエタノール溶液が得られることが示されている。
平均流量孔径29nmの試作膜の代わりに平均流量孔径121nmのポアフロンHP−010−30を用いた場合も、膜の他方の側にナフサを接触させた場合、作動流体水について耐水圧と同等の差圧が得られる(参考例12、参考例16)。ただし、その耐水圧、差圧は、530〜550kPa程度であるので、高い差圧を得て、高い生産能率、高い濃度の溶液の生産を行うためには、より小さい平均流量孔径を有する膜、例えば前記試作膜の方が好ましい。
ポアフロンHP−010−30を用いた場合も、作動流体を水から、エタノール水に変えると、エタノールにより表面張力が減少するので差圧は低下する(参考例12と実施例1の比較)。
又、ポアフロンHP−010−30を用いた場合は、膜の他の側に接触するナフサにエタノールが含まれ、その濃度が80重量%以上では差圧が低下し、特に濃度が90重量%以上の場合、顕著に低下する(参考例13〜15、実施例7〜8)。従って、ポアフロンHP−010−30を用いた場合は、エタノールがナフサ中に濃縮されその濃度が80重量%を超えると、大きな作動圧(溶液Aに掛ける圧力)の負荷が困難になる。従って、高濃度のエタノール溶液を得るためには、平均流量孔径が小さい膜が好ましいことが、この結果より示されている。
なお、参考例17及び参考例18に示すように、ナフサのバブルポイントは239kPaであり、エタノールのバブルポイントは216kPaであり、ポアフロンHP−010−30の場合もナフサとエタノール間に差は見られない。
以上の結果から、本発明の抽出方法により、水溶液側に高い駆動力(例えば圧力や熱など)を掛けられること、従って溶質を高効率に濃縮や除去が出来ること、また非常に高濃度濃縮の可能があることが示唆されている。具体的には、平均流量孔径50nm以下のPTFE多孔質膜を用いた場合では、エタノール濃度を95重量%以上とする可能性があり、平均流量孔径100nm程度のPTFE多孔質膜を用いた場合では、エタノール濃度を80重量%以上とする可能性があると言える。
例えば20%濃度でエタノール水への浸透圧は約10000kPa程度であるので、逆浸透法によりエタノール水の濃縮を行う場合には、高い圧力(駆動力)が必要であり、高価な大型設備が必要となる。しかし、本発明の抽出方法によれば、溶質の溶解度が高い疎水性の溶媒を膜の他の側に接触させて満たし、はるかに低い圧力を負荷するだけでよく、小さい駆動力、安価な小型設備で省力的にエタノール(溶質)の分離、濃縮が可能となる。

Claims (8)

  1. 多孔質膜の、一方の側に、溶質及び前記溶質を溶解し前記多孔質膜が耐圧を有する溶媒Bを含む溶液Aを接触させ、他方の側に、前記溶媒Bと相溶せず前記溶質を溶解する溶媒D又は前記溶媒Dを含む溶液Cを接触させ、溶液Aが前記多孔質膜を透過するために必要な差圧より小さい差圧を、溶液A側から前記膜に負荷し、前記溶媒D又は溶液Cに前記溶質を抽出することを特徴とする溶液中の溶質の抽出方法。
  2. 前記多孔質膜が、ポリテトラフルオロエチレンを主体とするフッ素樹脂よりなり、前記溶媒Bが水又は親水性溶媒であり、かつ前記溶媒Dが疎水性溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の溶液中の溶質の抽出方法。
  3. 前記溶質が、20℃での表面張力が40dyne/cm以下の液体であることを特徴とする請求項2に記載の溶液中の溶質の抽出方法。
  4. 前記溶質が、アルコール類であることを特徴とする請求項3に記載の溶液中の溶質の抽出方法。
  5. 前記多孔質膜の平均流量孔径が50nm以下であり、かつ耐水圧が1500kPa以上であり、並びに前記溶液Aに負荷する圧力が500kPa以上であることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の溶液中の溶質の抽出方法。
  6. 前記多孔質膜が、ポリテトラフルオロエチレンを主体とするフッ素樹脂を膜状に成形した後、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上に加熱して得られたフッ素樹脂膜であって、かつガーレー秒が5000秒以上の膜を、延伸して製造されたことを特徴とする請求項5に記載の溶液中の溶質の抽出方法。
  7. 溶質が液体である水溶液を濃縮する方法であって、ポリテトラフルオロエチレンを主体とするフッ素樹脂よりなり、平均流量孔径が50nm以下である多孔質膜の、一方の側に前記水溶液を接触させ、他方の側は気相と接触させ、前記水溶液が前記多孔質膜を透過するために必要な差圧より小さい差圧を、前記水溶液側より前記膜に負荷し、前記気相中に前記溶質を蒸散させた後、凝縮することを特徴とする水溶液中の溶質の濃縮方法。
  8. 前記液体の溶質を溶解する水溶液が、アルコール類水溶液であることを特徴とする請求項7に記載の水溶液中の溶質の濃縮方法。
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