JP6189822B2 - 窒化ホウ素樹脂複合体回路基板 - Google Patents

窒化ホウ素樹脂複合体回路基板 Download PDF

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Description

本発明は、優れた放熱特性、絶縁性、耐熱サイクル特性を兼ね備えた回路基板に関する。
パワーデバイス、両面放熱トランジスタ、サイリスタ、CPU等の発熱性電子部品では、使用時に発生する熱を如何に効率的に放熱するかが重要な課題となっている。従来から、このような放熱対策としては、(1)発熱性電子部品を実装する回路基板の絶縁層を高熱伝導化する、(2)発熱性電子部品又は発熱性電子部品を実装した回路基板を電気絶縁性の熱インターフェース材(ThermalInterface Materials)を介してヒートシンクに取り付ける、ことが一般的に行われてきた。回路基板の絶縁層及び熱インターフェース材としては、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂にセラミックス粉末を添加して熱硬化させた放熱部材が主に使用されている。
近年、発熱性電子部品内の回路の高速・高集積化、及び発熱性電子部品の回路基板への実装密度の増加に伴って、電子機器内部の発熱密度及び精密化が年々増加している。そのため、従来にも増して高い熱伝導率を有し、熱を効率的に逃がすことのできる放熱部材が求められており、熱伝導率の高い窒化アルミニウム粉末等を樹脂に添加して熱硬化させた絶縁層が注目されている。しかし、樹脂にセラミックス粉末を添加した系では、セラミックス粒子間に存在する樹脂層由来の熱抵抗により、高熱伝導率の絶縁層が得られにくいという課題がある。
そこで、特にエレベーター、車両、ハイブリッドカー等といったパワーモジュール用途には、熱伝導率の点から、アルミナ、ベリリア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等のセラミックス焼結体が用いられる。これらのセラミックス焼結体は、板状のセラミックス基板に加工後、銅やアルミニウム等の回路金属や放熱板をろう材で接合し回路基板として用いられる。これらは、樹脂にセラミックス粉末を添加した系を絶縁層とする回路基板に対し、優れた絶縁性および放熱性等を有することから、高放熱性電子部品を搭載するための回路基板として使用されている。近年では、半導体素子の高集積化、高周波化、高出力化等に伴う半導体素子からの発熱量の増加に対し、高い熱伝導率を有する窒化アルミニウム焼結体や窒化ケイ素焼結体の回路基板が使用されている。特に、窒化アルミニウム回路基板は、窒化ケイ素回路基板と比較して熱伝導率が高いため、高放熱性電子部品を搭載するための回路基板として好適である。
しかし、窒化アルミニウム回路基板は、高い熱伝導率を有する反面、(1)窒化アルミニウムの線熱膨張係数が回路金属と比較し低いことから、電子部品実装後の熱サイクルが付加された際の熱応力により、窒化アルミニウムと回路金属間で剥離が発生すること、(2)窒化アルミニウムの機械的強度や靭性等が低いことから、電子部品実装後の振動・落下による衝撃により窒化アルミニウムにクラックが発生し、回路基板としての機械的及び電気的信頼性が低下すること、(3)窒化ホウ素等のマシンナブル・セラミックスと比較し機械加工性が劣ると言う難点がある。特に、自動車や電気鉄道、工作機械やロボット等の苛酷な荷重、振動及び熱的条件下で適用されるパワーモジュールに使用する場合には、この難点が顕著となってきている。このため、電子部品搭載用のセラミックス回路基板としては、信頼性の向上が求められている。
そのため、セラミックス焼結体の気孔中に樹脂を含浸し、上記の(1)線膨張率の制御、(2)耐衝撃性の向上、(3)機械加工性の向上、を図ったセラミックス樹脂複合体を用いた回路基板が注目されている。
また、セラミックスとしては、(1)高熱伝導率(粒子の面内方向(a軸方向)の熱伝導率が400W/(m・K)と窒化アルミニウムや窒化ケイ素より高い)、(2)高絶縁性、(3)高い機械加工性(モース硬度は、石膏、黒鉛と同等の2)、(4)誘電率が低いこと、等の電気絶縁材料として優れた性質を有している六方晶窒化ホウ素(hexagonal Boron Nitride)粉末が注目されている。
特許文献1では、多孔質窒化アルミニウム焼結体の気孔が有機物で充填されている回路基板用基材が開示されている。高熱伝導性、低誘電率および高強度の回路基板用基材であるため回路基板に好適に用いることができることが記載されている。しかし、回路基板用基材としては高熱伝導率であるが、金属箔との接着に関する記載技術は見当たらず、待望されている。また、窒化アルミニウムを使用しているため誘電率は最も低い値でも5.3と高く、伝送信号の遅れ及びノイズ抑制に関して課題があった(段落0044参照)。
特許文献2では、無機連続気孔焼結体(I) からなる厚み0.2〜10mmの焼結基板に熱硬化性樹脂を真空含浸した樹脂含浸焼結基板 に金属箔を重ね積層成形してなる金属箔張複合セラミックス板が開示されている。そして、高周波用のアンテナ、高周波用パーツモジュール、その他の基板や半導体チップの直接搭載用など基板として好適に用いることができることが記載されている。また、金属箔との接着に関する記載技術については、樹脂含浸焼結基板と金属箔との接着層を形成する熱硬化した樹脂層が実質的に無いか又はその厚みが10μm以下であることが記載されている(段落0020参照)。しかし、接着の構造が、接着用の金属箔裏面の凹凸表面の凸部がセラミックス表面に接触、さらに焼結基板(II)の気孔内に進入した構造であり、セラミックス焼結体の変形によるものでないため、金属箔裏面の凹凸表面の凸部が樹脂含浸焼結基板内に侵入した際、セラミックスの一次粒子と直接接触することができず、金属箔張複合セラミックス板としての熱抵抗が大きくなる懸念がある(段落0021参照)。さらに、金属箔張複合セラミックス板としての熱抵抗の記載は無い(段落0099の表3参照)。また、誘電率は最も低い値でも4.9と高く、伝送信号の遅れ及びノイズ抑制に関して課題があった(段落0095参照)。
特許文献3では、連続気孔セラミックス板に熱硬化性樹脂を含侵した基板の片面或いは両面に銅箔を重ねて積層成形してなる銅張樹脂複合セラミックス板の製造方法が開示されている。熱膨張率差に基づく過大な応力発生の抑制およびその分布を制御し、銅板のはがれ、基板のひび割れや歪みの発生を抑制しているため、大電流用のプリント配線板として好適に用いることができることが記載されている。しかし、連続気孔セラミックス板に熱硬化性樹脂を含侵した基板と銅箔を接着する樹脂層の厚さが5〜20μmであるため(段落0016参照)、銅張樹脂複合セラミックス板の熱抵抗が高くなるという課題があった。
特許文献4では、高熱伝導性セラミックス粒子と樹脂とを含有するセラミックス−樹脂複合材料の成形体を、高熱伝導性セラミックス粒子の平均粒子径以下の厚さに切断して得た熱伝導性絶縁シート表面に、樹脂接着剤を介して金属箔を接着することを特徴とする銅箔付き熱伝導性絶縁基板が開示されている。熱伝導性絶縁シートの熱伝導率が高いため、放熱性並びに絶縁性を要求される電子回路基板として好適に用いることができることが記載されている。しかし、樹脂接着剤の厚さが1〜5μmであるため(段落0031参照)、銅張樹脂複合セラミックス板の熱抵抗が高くなるという課題があった。
また、六方晶窒化ホウ素粉末よりなる窒化ホウ素焼結体は、誘電率がセラミックス粉末の中では最も低いことが知られている。さらに、モース硬度は、石膏、黒鉛と同等の2であるため、窒化アルミニウムや窒化ケイ素やそれらと他のセラミックスとの複合体と異なり、変形し易いという特徴を持つ。したがって、セラミックス樹脂複合体として板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体を用いて、回路金属の接着層側の凹凸との凸部と、窒化ホウ素焼結体の一次粒子との接触を制御することにより、金属箔とセラミックス樹脂複合体間の熱抵抗をさらに低くすることが可能である。しかし、このような観点に立った技術の提案は今まで見られない。
特開平8−91960号公報 特開平8−244163号公報 特開2011−166040号公報 特開2013−258296号公報
本発明は、上記の従来技術に鑑み、パワーデバイスなどの発熱性電子部品の熱を放熱部材に伝達するための回路基板として好適に用いられ、特に回路金属と板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体間の熱抵抗を低減し、高放熱性を発現する窒化ホウ素樹脂複合体回路基板を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明においては、以下の手段を採用する。
(1)板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の両主面に接着層を介して回路金属を形成してなる窒化ホウ素樹脂複合体回路基板であって、板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体は平均長径5〜50μmの窒化ホウ素粒子が3次元に結合し、且つナノインデンテーション法による押し込み硬さが1.5GPa以下の窒化ホウ素焼結体40〜80体積%と、樹脂60〜20体積%を有し、板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の板厚が0.10〜1.5mmであり、回路金属の接着層側の算術平均粗さRaが0.15〜3.0μmであり、以下で定義される回路金属と板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触率が5%以上であることを特徴とする窒化ホウ素樹脂複合体回路基板。
[接触率の定義]
窒化ホウ素樹脂複合体回路基板を断面加工後、板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体と接着層と回路金属の接着界面を走査型電子顕微鏡で観察及び測定することで、下記式(1)により接触率を算出する。尚、観察する断面の面数は10面以上とし、接触率の値は平均値とする。
接触率=[(回路金属と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触長さ)/(回路金属と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触長さ+接着層と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接着長さ)]×100・・・・・式(1)
(2)板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の粉末X線回折法による黒鉛化指数(GI、Graphitization Index)が4.0以下であることを特徴とする前記(1)に記載の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板。
(3)回路金属が銅又はアルミニウムであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板を用いることを特徴とするパワーモジュール。
(5)前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板と、回路金属上に半田層を介して設けられたLEDを有する発光装置。
本発明の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板は、窒化ホウ素焼結体が柔らかい(モース硬度は、石膏、黒鉛と同等の2)ため、回路金属との加熱加圧接着の際に変形する。具体的には、加熱加圧時に回路金属の接着層側の凹凸の凸部が板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体中に侵入する際に、窒化ホウ素焼結体を変形させながら侵入する。そのため、回路金属の接着層側の凹凸の凸部が窒化ホウ素焼結体の一次粒子に直接接触し、回路金属と板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体間の熱抵抗が劇的に低減することから、高放熱性を発現するという効果を奏する。
本発明の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板の断面の概念図の一例である。 本発明の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板の断面のSEM写真の一例である。 本発明の窒化ホウ素焼結体のナノインデンテーション法による押し込み硬さの 測定の一例である。
本発明では、窒化ホウ素焼結体と樹脂からなる複合体を「樹脂含浸窒化ホウ素焼結体」、樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の樹脂を灰化させて得た成形体を「窒化ホウ素成型体」と定義する。窒化ホウ素成形体は、樹脂含浸窒化ホウ素焼結体を大気中650〜1000℃で1hr焼成し、樹脂成分を灰化させることで得ることができる。また、一次粒子同士が焼結により結合した状態で2個以上集合した状態を「窒化ホウ素焼結体」と定義する。焼結による結合は、走査型電子顕微鏡(例えば「JSM−6010LA」(日本電子社製))を用いて、窒化ホウ素粒子の断面の一次粒子同士の結合部分を観察することにより評価することができる。観察の前処理として、窒化ホウ素粒子を樹脂で包埋後、CP(クロスセクションポリッシャー)法により加工し、試料台に固定した後にオスミウムコーティングを行った。観察倍率は1500倍である。
本発明の窒化ホウ素焼結体は、平均長径が5〜50μmの窒化ホウ素粒子が3次元に結合した組織を有し、ナノインデンテーション法による押し込み硬さが1.5GPa以下であって、この窒化ホウ素焼結体に樹脂を含浸させた樹脂含浸窒化ホウ素焼結体を厚さ0.10〜1.5mmの板状にし、接着層側の算術平均粗さRaが0.15〜3.0μmの回路金属の凹凸との凸部と、窒化ホウ素焼結体の一次粒子とを直接接触させることにより、回路基板に好適に用いることができる。このように設計された回路基板はこれまで存在せず、低熱抵抗(高放熱性)、優れた絶縁性、耐熱サイクル特性、誘電特性を確保するために非常に重要な因子である。
従来技術との大きな違いは以下の2点が挙げられる。1点目は、本発明の樹脂含浸窒化ホウ素焼結体は、窒化ホウ素粒子が焼結により3次元に結合した窒化ホウ素焼結体からなるため、窒化ホウ素粒子間に熱伝導率の低い樹脂層が存在せず、セラミックス−樹脂複合体としては、熱伝導率が非常に高いことである。3次元の結合はSEM等で観察されるような単なる接触ではなく、樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の樹脂成分を灰化させて得た窒化ホウ素成型体の3点曲げ強さ及び熱伝導率を測定することにより評価することができる。窒化ホウ素粉末と樹脂とを混合して製造される従来の樹脂含浸窒化ホウ素焼結体は、窒化ホウ素同士の3次元な結合力が弱いため樹脂成分の灰化後に残存した窒化ホウ素は、粉体化して形状を保つことができず、または形状を保った場合においても熱伝導率が要求特性を満たさない。2点目は、上記の窒化ホウ素焼結体が柔らかさ、回路金属の接着層側の表面の凹凸の大きさ、回路金属の接着層側の表面の凹凸と窒化ホウ素焼結体の接触量を特定の範囲に制御することにより、板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体と回路金属間の熱抵抗が劇的に低下することである。
<平均長径の定義・評価方法>
平均長径は、観察の前処理として、窒化ホウ素焼結体を樹脂で包埋後、CP(クロスセクションポリッシャー)法により加工し、試料台に固定した後にオスミウムコーティングを行った。その後、走査型電子顕微鏡、例えば「JSM−6010LA」(日本電子社製)にてSEM像を撮影し、得られた断面の粒子像を画像解析ソフトウェア、例えば「A像くん」(旭化成エンジニアリング社製)に取り込み、測定することができる。この際の画像の倍率は100倍、画像解析の画素数は1510万画素であった。マニュアル測定で、得られた任意の粒子100個の長径を求めその平均値を平均長径とした。窒化ホウ素成形体も同様に測定を行った。
<窒化ホウ素焼結体の割合>
板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体中の窒化ホウ素焼結体は40〜80体積%の範囲内である。40体積%より小さいと熱伝導率の低い樹脂の割合が増えるため、熱伝導率が低下する。80体積%より大きいと窒化ホウ素成型体の気孔径が小さくなり樹脂含浸が不完全状態となるために、窒化ホウ素成型体自身の強度は向上するものの、樹脂による強度増加の効果が小さくなり、樹脂含浸窒化ホウ素焼結体としての強度は低下する。さらには、板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体中の気孔により絶縁破壊電圧が低下する。板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体中の窒化ホウ素焼結体の割合(体積%)は、以下に示す窒化ホウ素成型体のかさ密度と気孔率の測定より求めることができる。
窒化ホウ素成型体かさ密度(D)=質量/体積
窒化ホウ素成形体気孔率=(1−(D/2.28))×100=樹脂の割合
窒化ホウ素焼結体の割合=100−樹脂の割合
<板厚>
板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の板厚については、0.10〜1.5mmである。好ましくは、0.15〜0.7mmである。板厚が0.10mm未満では、板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の絶縁破壊電圧が低下してしまい回路基板として用いる場合に好ましくなく、加えて、強度低下による耐熱サイクル特性低下の問題がある。1.5mmを超えると、板厚方向の熱抵抗が大きくなりすぎ、回路基板としての放熱特性が低下して好ましくない。
<BN焼結体の硬さ・評価方法>
窒化ホウ素焼結体の硬さについては、ナノインデンテーション法による押し込み硬さが1.5GPa以下である。1.5GPaより大きいと、回路金属の接着層側の凹凸の凸部が窒化ホウ素焼結体の一次粒子に直接接触した際の窒化ホウ素焼結体の変形が十分でないため、熱抵抗が大きくなり、放熱性が悪化する。また、下限については特に制限は無いが、押し込み硬さ小さくなると材料の曲げ強度も小さくなるため、含浸の際のハンドリングを考慮すると0.1MPa程度が実際的である。また、材料の曲げ強度は押し込み硬さにと正の相関関係にあり、本発明の窒化ホウ素焼結体にあっては、1〜40MPaである。窒化ホウ素焼結体の硬さとは、樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の表面近傍の窒化ホウ素焼結体の硬さである。具体的には樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の樹脂成分を灰化させて得た窒化ホウ素成型体の表面近傍の硬さを、ISO14577に規定されている、ナノインデンター法により、例えば「ナノレンジインデンテーションテスター HM500」(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて、下記の計算式より算出する。
押し込み硬さ(Hit)=Fmax÷Aρ
ρ=24.50(hmax−ε(hmax−h))
max:最大試験荷重
ρ:接触投影面積
ε:圧子の幾何学形状による補正係数(ダイヤモンド ビッカース圧子は0.75)
<黒鉛化指数(GI)>
黒鉛化指数(GI:Graphitization Index)はX線回折図の(100)面、(101)面及び(102)面のピークの積分強度比すなわち面積比を、GI=〔面積{(100)+(101)}〕/〔面積(102)〕、によって求めることがでる{J.Thomas,et.al,J.Am.Chem.Soc.84,4619(1962)}。完全に結晶化したものでは、GIは1.60になるとされているが、高結晶性でかつ粒子が十分に成長した鱗片形状の六方晶窒化ホウ素粉末の場合、粒子が配向しやすいためGIはさらに小さくなる。すなわち、GIは鱗片形状の六方晶窒化ホウ素粉末の結晶性の指標であり、この値が小さいほど結晶性が高い。本発明の樹脂含浸窒化ホウ素焼結体においては、GIは4.0以下が好ましい。GIが4.0より大きいということは、窒化ホウ素一次粒子の結晶性が低いことを意味し、樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の熱伝導率が低下する。GIは原料である六方晶窒化ホウ素粉末粒子の配合量、カルシウム化合物の添加量及び焼成温度によって制御することができる。
<黒鉛化指数(GI)の評価方法>
GIの測定は、例えば、「D8ADVANCE Super Speed」(ブルカー・エイエックスエス社製)を用いて測定できる。測定の前処理として、窒化ホウ素焼結体をメノウ乳鉢により粉砕し、得られた粉末をプレス成型した。X線は、成型体の面内方向の平面の法線に対して、互いに対称となるように照射した。測定時は、X線源はCuKα線を用い、管電圧は45kV、管電流は360mAである。
<窒化ホウ素純度及びその評価方法>
更に、本発明の窒化ホウ素焼結体においては、その窒化ホウ素純度が95質量%以上であることが好ましい。窒化ホウ素純度は、窒化ホウ素粉末をアルカリ分解後ケルダール法による水蒸気蒸留を行い、留出液中の全窒素を中和適定することによって測定することができる。
<窒化ホウ素粉末の平均粒径の定義・評価方法>
本発明の窒化ホウ素−樹脂複合体の出発原料となる窒化ホウ素粉末の平均粒径は、レーザー回折光散乱法による粒度分布測定において、累積粒度分布の累積値50%の粒径である。粒度分布測定機としては、例えば「MT3300EX」(日機装社製)にて測定することができる。測定に際しては、溶媒には水、分散剤としてはヘキサメタリン酸を用い、前処理として、30秒間、ホモジナイザーを用いて20Wの出力をかけて分散処理させた。水の屈折率には1.33、窒化ホウ素粉末の屈折率については1.80を用いた。一回当たりの測定時間は30秒である。
<窒化ホウ素焼結体の焼結条件>
更に、本発明の窒化ホウ素焼結体は、1600℃以上で1時間以上焼結させて製造することが好ましい。焼結を行わないと、気孔径が小さく、樹脂の含浸が困難となる。焼結温度が1600℃より低いと、窒化ホウ素の結晶性が十分向上せず、樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の熱伝導率が低下する恐れがある。焼結温度の上限については、特に制限はないが、経済性を考慮すると上限としては、2200℃程度が実際的である。また、焼結時間が1時間より小さいと、窒化ホウ素の結晶性が十分向上せず、窒化ホウ素樹脂成形体の熱伝導率が低下する恐れがある。焼結時間の上限については、特に制限はないが、経済性を考慮すると上限としては、30時間程度が実際的である。また、焼結は、窒化ホウ素成型体の酸化を防止する目的で、窒素又はヘリウム又はアルゴン雰囲気下で行うことが好ましい。
<窒化ホウ素成形体焼結時の昇温速度>
更に、本発明の窒化ホウ素成形体の焼結工程おいては、300〜600℃までの昇温速度を40℃/分以下とすることが好ましい。昇温速度が40℃/分より大きいと、有機バインダーの急激な分解により窒化ホウ素粒子の焼結性に分布が生じ、特性にバラつきが大きくなり信頼性が低下する恐れがある。昇温速度の上限については、特に制限はないが、経済性を考慮すると下限としては、5℃/分程度が実際的である。
<板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体>
次に、本発明の板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体について説明する。本発明の板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体は、窒化ホウ素焼結体に、樹脂を含浸し、硬化させた樹脂含浸窒化ホウ素焼結体を得た後、マルチワイヤーソー等の装置を用い、任意の厚みに切り出して板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体を好適に製造することができる。樹脂の含浸は、真空含浸、3〜300MPaでの加圧含浸、室温〜150℃までの加熱含浸又はそれらの組合せの含浸で行うことができる。真空含浸時の圧力は、10mmHg以下が好ましく、1mmHg以下が更に好ましい。加圧含浸では、圧力3MPa以下では窒化ホウ素焼結体の内部まで樹脂が十分含浸できず、300MPa以上では設備が大規模になるためコスト的に不利である。加熱含浸では室温以下では含浸される樹脂が限定され、窒化ホウ素焼結体の内部まで樹脂が十分含浸できず、150℃以上では設備に更なる耐熱性を寄与する必要がありコスト的に不利である。マルチワイヤーソー等の加工装置を用いることにより、任意の厚みに対して大量に切り出す事が可能となり、切削後の面粗度も良好な値を示す。また、切り出しの際、硬化させた樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の向きを変えることで任意の方向に対して優位な熱伝導率を有した板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体を得ることも容易である。
<樹脂との複合>
次に、本発明の窒化ホウ素焼結体と樹脂との複合方法について説明する。本発明の樹脂含浸窒化ホウ素焼結体は、窒化ホウ素焼結体に、樹脂を含浸し、硬化させることで好適に製造することができる。樹脂の含浸は、真空含浸、1〜300MPaでの加圧含浸、又はそれらの組合せの含浸で行うことができる。真空含浸時の圧力は、1000Pa以下が好ましく、100Pa以下が更に好ましい。加圧含浸では、圧力1MPa以下では窒化ホウ素焼結体の内部まで樹脂が十分含浸できず、300MPa以上では設備が大規模になるためコスト的に不利である。樹脂の粘度を低下させることで、窒化ホウ素焼結体の内部まで樹脂を含浸させる目的で、加圧時に30〜300℃に加熱すると更に好ましい。
<樹脂>
樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シリコーンゴム、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリイミド等の熱硬化性樹脂を用いることができる。これらの樹脂は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これら樹脂、特に熱硬化性樹脂には適宜、硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤、さらには濡れ性やレベリング性の向上及び粘度低下を促進して含浸・硬化時の欠陥の発生を低減する添加剤を含有することができる。この添加剤としては、例えば、消泡剤、表面調整剤、湿潤分散剤等がある。また、樹脂が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素の群から選ばれた1種又は2種以上のセラミックス粉末を含むと一層好ましい。窒化ホウ素焼結体の気孔中に、セラミックス粒子を充填することができるので、結果として樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の熱伝導率を向上させることができる。樹脂は、必要に応じて溶剤で希釈して使用しても良い。溶剤としては、例えば、エタノール及びイソプロパノール等のアルコール類、2−メトキシエタノール、1−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−エトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール及び2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール等のエーテルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びジイソブチルケトンケトン等のケトン類、トルエン及びキシレン等の炭化水素類が挙げられる。なお、これらの溶剤は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<窒化ホウ素樹脂複合体回路基板>
本発明の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板は、板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の両主面に回路金属を接着し、回路パターンを形成することで製造することができる。回路金属の材料としては、電気伝導性および熱伝導率の点から、銅又はアルミニウムが好ましい。特性面だけを考えると銀、金等も使用可能であるが、価格面およびその後の回路形成等に問題がある。回路金属の板厚は0.05〜1.5mmが好ましい。板厚0.05mm未満では、パワーモジュール用の回路基板として用いる場合に、十分な導電性を確保することができず、回路金属部分が発熱する等の問題があり好ましくない。1.5mmを超えると回路金属自体の熱抵抗が大きくなり、回路基板の放熱特性が低下するため好ましくない。
<回路金属>
回路金属の接着層側の表面はサンドブラスト、エッチング等の表面処理により凹凸を形成することが望ましい。具体的には、算術平均粗さRaが0.15〜3.0μmであり、0.2〜2.0μmであることが望ましい。0.15μm未満では、凹凸の凸部が板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体中に充分に浸入することができないため、熱抵抗が大きくなり所望の放熱特性を得ることが出来ない。さらには、充分な接着強度を得ることが出来ないため熱サイクル試験後に剥離が発生する。3.0μmを超えると、絶縁破壊電圧が低下するため好ましくない。
<回路金属の算術平均粗さの測定方法>
回路金属の接着層側の表面の算術平均粗さRaは、表面粗さ測定器、例えば「SEF 580−G18」(小坂研究所社製)を用いて、JIS B0601(2001)に準拠して測定することができる。
<接着層>
回路金属と板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の接着には、エポキシ樹脂を回路金属の接着層側、板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の両面もしくはいずれか一方に塗布し、回路金属を積層後に加熱加圧硬化することで窒化ホウ素樹脂複合体回路基板が得られる。また、回路材と板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の接着には、エポキシ樹脂を各種コーターによってシート状に形成し、適切な硬化状態まで硬化したエポキシ樹脂シートを用いることが出来る。ここでいう適切な硬化状態とは、加熱すると溶融し接着性を発現する、半硬化した状態である。エポキシ樹脂シートを必要な大きさに切断し、回路材と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の間に設置し、加熱加圧硬化することにより、窒化ホウ素樹脂複合体回路基板が得られる。さらには、板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体中の樹脂に半硬化のエポキシ樹脂を用いることで、エポキシ樹脂の塗布やエポキシ樹脂シートを用いずとも、加熱溶融したエポキシ樹脂のしみ出しにより、回路金属と板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体を接着することができる。接着に用いるエポキシ樹脂の接着層の厚さは、10μm未満であることが望ましい。さらには、回路金属の接着層側の凹凸未満の厚さ、具体的には1μm未満であることが望ましい。さらには、回路金属の接着層側の凹凸が全て板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体中に侵入しており、接着層の厚さが測定できない場合もある。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型の水素添加エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ポリテトラメチレングリコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラキスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂、およびビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物型のエポキシ樹脂等が挙げられ、これらを複数組み合わせて用いることもできる。なお、本明細書におけるエポキシ樹脂とは、後述の硬化剤と反応しうる未反応のエポキシ基を含んだ硬化前のプレポリマーのことをいう。
これらエポキシ樹脂には適宜、硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤、さらには濡れ性やレベリング性の向上及び粘度低下を促進して含浸・硬化時の欠陥の発生を低減する添加剤を含有することができる。この添加剤としては、例えば、消泡剤、表面調整剤、湿潤分散剤等がある。また、樹脂が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化アルミニウムの群から選ばれた1種又は2種以上のセラミックス粉末を含むと一層好ましい。
<接触率>
回路金属の接着層側の凹凸と板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触率は5%以上である。望ましくは、20%以上である。5%未満では、加熱加圧時に回路金属の接着層側の凹凸の凸部が板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体中に侵入する際の窒化ホウ素焼結体の変形や、接着層側の凹凸の凸部の窒化ホウ素焼結体の一次粒子への接触が十分でなく、回路金属と板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体間の熱抵抗が大きくなるため好ましくない。尚、回路金属の接着層側の凹凸と板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触率は、回路金属と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触長さと、接着層と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接着長さより、以下で定義する式(1)より求めることができる。
[接触率の定義と測定方法]
窒化ホウ素樹脂複合体回路基板をダイヤモンドカッターで断面加工後、CP(クロスセクションポリッシャー)法により加工し、試料台に固定した後にオスミウムコーティングを行った。そして、板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体と接着層と回路金属の接着界面を走査型電子顕微鏡(例えば「JSM−6010LA」(日本電子社製))で観察及び測定することで、下記式(1)により接触率を算出する(観察倍率は350倍)。尚、観察する断面の面数は10面以上とし、接触率の値は平均値とする。
接触率=[(回路金属と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触長さ)/(回路金属と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触長さ+接着層と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接着長さ)]×100・・・・・(1)
なお、回路金属と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触は、前記の走査型電子顕微鏡にて
観察した際に、エネルギー分散型X線分光分析(SEM−EDS)による元素マッピングにより接着層の有無を確認することにより判断することが出来る。回路金属と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触長さとは、図1及び図2の4{回路金属と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触長さ(一箇所)}を、観察断面の回路金属の各凸部について合計した長さである。接着層と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接着長さとは、図1及び図2の5{接着層と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接着長さ(一箇所)}を、観察断面の回路金属の各凹部について合計した長さである。また、図1及び図2の4{回路金属と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触長さ(一箇所)}と5{接着層と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接着長さ(一箇所)}は直線とする。
<回路形成>
本発明の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板は、回路パターンを形成するため、回路金属にエッチングレジストを塗布してエッチングする。エッチングレジストに関して特に制限はなく、例えば、一般に使用されている紫外線硬化型や熱硬化型のものが使用できる。エッチングレジストの塗布方法に関しては特に制限はなく、例えばスクリーン印刷法等の公知の塗布方法が採用できる。回路パターンを形成するために回路金属のエッチング処理を行う。エッチング液に関しても特に制限はなく、一般に使用されている塩化第二鉄溶液や塩化第二銅溶液、硫酸、過酸化水素水等が使用できるが、好ましいものとして、塩化第二鉄溶液や塩化第二銅溶液が挙げられる。回路形成後エッチングレジストの剥離を行うが、剥離方法は特に限定されずアルカリ水溶液に浸漬させる方法などが一般的である。また、予めパタ−ン形状に加工した回路金属を樹脂含浸窒化ホウ素焼結体に接着することにより回路パターンを形成することもできる。
<めっき>
本発明の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板は、必要に応じて、回路金属部にめっき皮膜を形成する。めっき材質については、特に制限はなく、一般的にはニッケルめっきが用いられる。めっき方法についても、無電解めっき、電気めっき等が採用できる。更に、蒸着、スパッタリング、溶射等により金属皮膜を形成することもできる。また、必要に応じて、回路金属部に半田レジストを塗布する場合もある。
以下、本発明を実施例、比較例をあげて更に具体的に説明する。
<窒化ホウ素焼結体の作製>
平均粒径0.5μm(酸素含有量1.9質量%、窒化ホウ素純度97.1質量%)、0.8μm(酸素含有量1.8質量%、窒化ホウ素純度97.2質量%)及び6.0μm(酸素含有量1.5質量%、窒化ホウ素純度97.6質量%)であるアモルファス窒化ホウ素粉末、平均粒径3.4μm(酸素含有量0.4質量%、窒化ホウ素純度98.6質量%)、4.5μm(酸素含有量0.3質量%、窒化ホウ素純度99.0質量%)、18.0μm(酸素含有量0.3質量%、窒化ホウ素純度99.1質量%)、30.0μm(酸素含有量0.2質量%、窒化ホウ素純度99.2質量%)及び40.0μm(酸素含有量0.1質量%、窒化ホウ素純度99.5質量%)である六方晶窒化ホウ素粉末、及び炭酸カルシウム(「PC−700」白石工業社製)とホウ酸を、表1に示す配合量で公知の技術を用いて混合粉末とした。そして、この成型用の混合粉末を用いて、5MPaの圧力で金型を用いてブロック状に成型した。得られたブロック成型体をCIP(冷間等方圧加圧法)装置(「ADW800」 神戸製鋼所社製)により圧力が10〜150MPaの間で処理を行った後、バッチ式高周波炉(「FTH−300−1H」 富士電波工業社製)にて窒素流量10L/min、焼結温度2100℃、保持時間10hrで焼結させることで表1に示す9種類の窒化ホウ素焼結体(A〜K)を得た。
<エポキシ樹脂の真空含浸、実施例1〜11及び比較例1〜10>
得られた窒化ホウ素焼結体A〜Kへ樹脂含浸を行った。窒化ホウ素焼結体及びエポキシ樹脂と硬化剤(「ボンドE205」コニシ社製)の混合物を、真空含浸装置(「G−555AT−R」 協真エンジニアリング社製)を用いて、圧力1mmHgの真空中で10分間脱気した後、真空下で窒化ホウ素焼結体をエポキシ樹脂と硬化剤の混合物中に浸漬し、20分間含浸した。その後、大気圧下で、温度150℃で60分間加熱して樹脂を硬化させ、樹脂含浸窒化ホウ素焼結体を得た。
<板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の作成〜回路形成〜めっき、実施例1〜10及び比較例1〜9>
得られた樹脂含浸窒化ホウ素焼結体をマルチワイヤーソー又はマシニングセンターを用いて、表2の実施例及び表3の比較例の各種厚さの板状に加工した。得られた板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の両主面に、接着層としてエポキシ樹脂(「JER828」三菱化学社製)100質量部と硬化剤(「VH−4150」 DIC社製)60質量部と硬化促進剤(「TPP」北興化学社製)3質量部をプラネタリーミキサーで15分間攪拌して得られるエポキシ樹脂組成物を10μmの厚さで塗布した。その後、板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の両主面に、表2及び3で示す様々な表面粗さの回路金属の銅板(厚さ1.0mm)を、圧力5MPa、加熱温度180℃、加熱時間3時間の条件で加熱プレス接着し、回路金属の銅板を接着した複合体を得た。回路金属の銅板を接着した複合体は、回路金属の銅板表面に、回路パターン状にエッチングレジストを印刷、紫外線硬化した後、塩化銅を含むエッチング液で回路金属をエッチングして回路金属パターンを形成し、アルカリ水溶液にてエッチングレジストを除去した。その後、回路金属パターン表面にニッケルめっき層をめっき処理により形成して、窒化ホウ素樹脂複合体回路基板を作製した。
<熱抵抗の評価>
測定用試料としてエッチング前の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板の試験片を10×10mmの正方形に切断した。測定はASTM D5470に準拠して行い、試験片の裏表の温度差ΔT(℃)と熱源の消費電力Q(W)試験片の熱抵抗値(A=ΔT/Q;℃/W)を求めた。得られた窒化ホウ素樹脂複合体回路基板の熱抵抗の評価結果を表2と3に示す。
<絶縁破壊電圧の評価>
窒化ホウ素樹脂複合体回路基板の絶縁破壊電圧をJIS C 2110に準拠して測定した。得られた窒化ホウ素−樹脂複合体回路基の絶縁破壊電圧の評価結果を表2と3に示す。
<耐熱サイクル1000回後の回路金属の接着状態の評価>
窒化ホウ素樹脂複合体回路基板をJIS C 0025に準拠して耐熱サイクル処理した。−40℃にて30分、125℃にて30分を1サイクルとする耐熱サイクル試験にて1000サイクル繰り返し試験を行った後、外観及び超音波探傷装置にて回路金属の接着状態を確認した。得られた窒化ホウ素樹脂複合体回路基板の接着状態の評価結果を表2と3に示す。
<誘電率評法>
シート上に銅ペーストを印刷・乾燥し、電極を形成した試料を用い、温度25℃、周波数1MHzの条件下にて、JISC6481に準じて測定を実施し、静電容量(X;F)を求めた。測定器には、LCRメータ(「HP4284」横河・ヒューレット・パッカード社製)を用いた。比誘電率(E)は、静電容量(X;F)とシートの厚み(Y;m)と電極の面積(Z;m)と真空の誘電率(8.85×10−12;F/m)から、E=X×Y/(Z×8.85×10−12)の式を用いて、算出した。


実施例と比較例の対比から明らかなように、本発明の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板は、放熱特性、絶縁性、耐熱サイクル特性、誘電特性に優れている。
本発明の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板は、パワーデバイスなどの発熱性電子部品の回路基板として好適に用いられ、特に車載用途等の高信頼性が要求される高出力のパワーモジュールに用いられる。
1 板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体
2 接着層
3 回路金属
4 回路金属と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触長さ(一箇所)
5 接着層と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接着長さ(一箇所)

Claims (5)

  1. 板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の両主面に接着層を介して回路金属を形成してなる窒化ホウ素樹脂複合体回路基板であって、板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体は平均長径5〜50μmの窒化ホウ素粒子が3次元に結合し、且つナノインデンテーション法による押し込み硬さが1.5GPa以下の窒化ホウ素焼結体40〜80体積%と、樹脂60〜20体積%を有し、板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の板厚が0.10〜1.5mmであり、回路金属の接着層側の算術平均粗さRaが0.15〜3.0μmであり、以下で定義される回路金属と板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触率が5%以上であることを特徴とする窒化ホウ素樹脂複合体回路基板。
    [接触率の定義]
    窒化ホウ素樹脂複合体回路基板を断面加工後、板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体と接着層と回路金属の接着界面を走査型電子顕微鏡で観察及び測定することで、下記式(1)により接触率を算出する。尚、観察する断面の面数は10面以上とし、接触率の値は平均値とする。
    接触率=[(回路金属と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触長さ)/(回路金属と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接触長さ+接着層と樹脂含浸窒化ホウ素焼結体との接着長さ)]×100・・・・・(1)
  2. 板状樹脂含浸窒化ホウ素焼結体の粉末X線回折法による黒鉛化指数(GI、Graphitization Index)が4.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板。
  3. 回路金属が銅又はアルミニウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板を用いることを特徴とするパワーモジュール。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒化ホウ素樹脂複合体回路基板と、回路金属上に半田層を介して設けられたLEDを有する発光装置。

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