上記回転釜において、上記ブラスト式バーナーは、燃焼室の底部に配置され、予混合ガスを燃焼室に噴出する炎孔を複数有するバーナーヘッドと、バーナーヘッドの下方に設けられ、バーナーヘッドに予混合ガスを供給する予混合ガス供給路と、予混合ガス供給路の上流側に燃料を供給可能に構成された燃料供給路と、バーナーヘッドの下方に設けられ、予混合ガス供給路の上流側に空気を強制的に供給可能に構成されたブロアーとを有している。
この構成によれば、燃料供給路を通じて予混合ガス供給路の上流側に供給された燃料と、ブロアーにより予混合ガス供給路の上流側に強制的に供給された空気とが、予混合ガス供給路の上流側にて混合されて予混合ガスが生成される。生成した予混合ガスは、予混合ガス供給路の上流側である下方から予混合ガス供給路の下流側である上方に向かって流れ、燃焼室の底部に配置されたバーナーヘッドに供給される。そのため、この構成によれば、ブロアー等のバーナー関連の多くの部品が、内釜と外釜との間の空間における燃焼室の下方に配置される。それ故、この構成によれば、バーナーヘッドの輻射熱の影響を受けやすいブロアー等の電子機器類をバーナーヘッドとできるだけ離した位置に配置することができる。また、この構成によれば、外釜と内釜との間の空間にバーナー関連の部品が配置されているので、バーナー関連の部品を釜内にて一括して防水しやすく、防水性を向上させることができる。そのため、回転釜を水洗いしやすく、清掃性も向上する。
上記回転釜は、バーナーヘッドとブロアーとの間に、バーナーヘッドの輻射熱を遮蔽するための遮蔽板が設けられている。
この構成によれば、遮蔽板によってバーナーヘッドの輻射熱が遮蔽され、遮蔽板よりも下方に輻射熱が拡散するのを抑制することができる。ブロアーは、通常、電子制御によるモーターを備えているので、熱による影響を受けやすい。上記構成によれば、少なくともブロアーの温度が耐熱温度を超えることがなくなる。そのため、回転釜の耐久性、信頼性を向上させることができる。なお、燃料供給路に電磁弁を備える場合には、電磁弁も熱による影響を受けやすいため、遮蔽板よりも下方に配置することができる。
上記回転釜は、バーナーヘッドと遮蔽板との間に形成される空間部に一端部が連通されるとともに、他端部がブロアーの空気取入口に接続された予熱空気供給路を有しており、内釜と外釜との間に存在する空気が空間部に吸引され、吸引された空気が予熱空気供給路を通じて空気取入口に供給されるよう構成されている。
この構成によれば、内釜と外釜との間に存在していた空気がバーナーヘッドと遮蔽板との間の空間部に吸引され、輻射熱によって予熱される。そして、この予熱された空気が予熱空気供給路を通じてブロアーに供給される。そのため、この構成によれば、予混合ガス中に含まれる空気を事前に温めることができるので、熱効率をより向上させやすくなる。
上記回転釜において、予混合ガス供給路は、その途中に複数の分岐路を有しており、複数の分岐路を通じてバーナーヘッドに予混合ガスが供給される構成とすることができる。
この場合は、複数の分岐路によってバーナーヘッドの全体に均一に予混合ガスが供給され、各炎孔から均一に予混合ガスが噴出されやすくなる。そのため、この場合は、均一な火炎が形成されやすく、内釜の釜底全体を均一に加熱しやすくなり、熱効率の向上に有利である。
上記回転釜において、燃焼室の底部は、バーナーヘッドにより塞がれているとよい。
この場合は、燃焼室をほぼ密閉状態とすることができるので、内釜と外釜との間に存在していた空気が燃焼室に流入し難くなる。そのため、燃焼室内が冷却され難くなり、熱効率の向上に寄与することができる。
上記回転釜において、バーナーヘッドの複数の炎孔は、ニット状に編み込まれた金属繊維よりなるメタルニット部、多孔性セラミックスプレート、耐熱金属等で被覆することができる。これら炎孔の被覆材は、1または2以上の構成部材から構成することが可能である。
とりわけ、バーナーヘッドの複数の炎孔がメタルニット部により被覆されている場合は、メタルニット部における金属繊維面での表面燃焼により、内釜の釜底全体を均一に加熱しやすく、熱効率の向上に有利である。また、メタルニット部により炎が戻り難く、青色から赤色にわたる炎を幅広く形成しやすくなる。
上記回転釜において、バーナーヘッドは、燃焼室側のヘッド表面の中央部に、内釜の外側面を伝って下方に落下する水滴を貯留するためのドレン貯留部を有することができる。
この場合は、回転釜の燃焼立ち上げ時に、内釜の外側面に発生する水滴が内釜の外側面を伝ってバーナーヘッド上に落下してもドレン貯留部にて貯留される。そのため、バーナーヘッドやバーナーヘッド上に設けられるメタルニット部等を構成する金属材料が腐食するのを抑制することができる。したがって、この場合は、バーナーヘッドの耐久性を向上させることができる。
なお、上記水滴は、回転釜の燃焼初期に発生し、燃焼が定常状態に到達した後は発生しなくなる。また、ドレン貯留部内の水滴は、燃焼による熱によって加熱されて徐々に蒸発する。それ故、ドレン貯留部は、ブラスト式バーナーの最小燃焼量において、燃焼が定常状態に到達するまでに発生する水滴量を貯留可能な容量を有する構成とすることができる。また、ドレン貯留部内には、水滴を吸収保持する吸収材が設けられていてもよい。この場合は、回転釜を傾動させても、ドレン貯留部に貯留された水滴がドレン貯留部内から流出するのを抑制することが可能となる。上記吸収材としては、水滴を吸収保持可能な断熱材を好適に用いることができる。この場合は、バーナーヘッドの断熱と水滴の貯留とを兼ねることが可能となる。ドレン貯留部は、具体的には、例えば、バーナーヘッドにおける燃焼室側のヘッド表面の中央部に形成された凹部などから構成することが可能である。
上記回転釜において、バーナーヘッドは、特に限定されるものではない。バーナーヘッドは、具体的には、例えば、板材よりなるヘッド基部と、ヘッド基部の一方面に沿って環状の空間が構成されるようにヘッド基部の一方面を環状に覆うヘッド上面部と、ヘッド上面部に形成され、予混合ガスを噴出させる複数の炎孔と、ヘッド基部の他方面に形成され、予混合ガスを供給する予混合ガス供給路の端部が接続される接続部とを有する構成とすることができる。
この場合、上記バーナーヘッドでは、ヘッド基部の他方面に形成された接続部より環状の空間部に予混合ガスが流入する。流入した予混合ガスは、環状の空間部の周方向に拡がり、複数の炎孔から均一に噴出する。そのため、この場合は、バーナーヘッドにおける熱分布が拡大し、単位面積当たりの熱量が均一化されるので、内釜の釜底を均一に加熱することができる。また、流入した予混合ガスは、環状の空間内を拡がるうちに燃焼による熱によって予熱される。そのため、これによっても、熱効率の向上に寄与することができる。
また、バーナーヘッドが上記構成を有する場合、ヘッド上面部に複数の炎孔の一部が環状に配置されて構成された内リング炎孔部と、内リング炎孔部の外周におけるヘッド上面部に複数の炎孔の残りが環状に配置されて構成された外リング炎孔部とを有する構成とすることができる。
この場合は、内リング炎孔部と外リング炎孔部との双方から二重環状に予混合ガスを噴出することができるため、内釜の釜底をより一層均一に加熱するのに寄与することができる。
また、バーナーヘッドが内リング炎孔部と外リング炎孔部とを有する場合、バーナーヘッドは、ニット状に編み込まれた金属繊維よりなり、内リング炎孔部を構成する炎孔を被覆する内メタルニット部と、ニット状に編み込まれた金属繊維よりなり、外リング炎孔部を構成する炎孔を被覆する外メタルニット部とを有する構成とすることができる。
この場合は、ヘッド上面部に環状に配置された内リング炎孔部を内メタルニット部が環状に覆うとともに、内リング炎孔部の外周におけるヘッド上面部に環状に配置された外リング炎孔部を外メタルニット部が環状に覆うため、高温ガスをより一層流しやすくなり、内釜をより一層均一に加熱するのに有利である。
この場合、少なくとも内メタルニット部の外周縁および外メタルニット部の内周縁が、内リング炎孔部と外リング炎孔部との間のヘッド上面部に溶接等により貼り付けられている構成とすることができる。この場合には、溶接部位等の貼り付け部位で定在火炎が保持形成される。そのため、ブラスト式バーナーの空気比が大きい場合でも、リフト燃焼が抑制されやすくなり、火炎の吹き消えを防止しやすくなる。
また、各メタルニット部は、いずれも、ニット状に編み込まれた金属繊維素材から一体物として環状に切り出され、周方向に連続する環状部材から構成することができる。他にも、各メタルニット部は、いずれも、ニット状に編み込まれた金属繊維素材から円弧状に切り出された分割部材が複数配置されることによって環状に構成することも可能である。後者の場合は、ニット状に編み込まれた金属繊維素材からの部材切り出し時のロスが少なくなるので、材料の無駄がなくなる。また、回転釜の製造コスト削減にも有利である。
上記回転釜は、外釜の底部に外部からの空気を流入させる空気流入口を有する構成とすることができる。
この場合は、外釜の底部にある空気流入口から外部の新鮮な空気を効率よく取り込むことができるので、外釜の外側面が過度に熱くなるのを抑制することができる。
上記回転釜において、内釜は、ステンレス製、鋳鋼製、アルミ製、銅製などとすることができる。
これらのうち、ステンレスは、鋳鉄に比べ、熱伝導性が悪い。しかしながら、上記回転釜は、上述したように熱効率を向上させることができる。そのため、鋳鉄に比べ、熱効率の面から材質的に不利であるステンレス鋼を用いても、高い熱効率を確保することができる。それ故、この場合は、水等による掃除、衛生管理、耐久性等に優れた回転釜が得られる。なお、上記外釜もステンレス製とすることにより、上記作用効果が大きくなる。また、内釜が鋳鋼製である場合には、鋳鉄の熱伝導性の良さと相まって、高い熱効率を得やすくなる。また、回転釜の製造コストも低減しやすくなる。
上記回転釜は、各種の用途に適用することができる。上記回転釜は、例えば、厨房における調理に用いることができる。この場合、内釜に入れられる加熱対象は加熱調理される具材、スープ等である。また、上記回転釜は、医療用途に用いることもできる。この場合、内釜に入れられる加熱対象は、例えば、煮沸に供される医療器具等である。
なお、上述した各構成は、上述した各作用効果等を得るなどのために必要に応じて任意に組み合わせることができる。
以下、実施例の回転釜について、図面を用いて説明する。なお、同一部材については同一の符号を用いて説明する。また、各図面において、一部の部材については厚みが省略されている。
(実施例1)
図1〜図14に示すように、本例の回転釜1は、煮物、揚げ物、汁物、炒め物、茹で物等、厨房にて各種の調理に用いられるものであり、内釜2と、外釜3と、燃焼室4と、延設壁部5と、排ガスEの排気流路6と、ブラスト式バーナー7とを有している。以下、本例の回転釜1について詳説する。
本例の回転釜1は、外釜3を空中に浮かせた状態で回転可能に支持する一対の脚部10と、内釜2の蓋部11と、内釜2および外釜3を回転させる回転機構12とを有している。一方の脚部10の上端部には、回動可能に構成されたアーム部110が設けられ、アーム部110の先端に内釜2の蓋部11が取り付けられている。そのため、一方の脚部10の上端部を支点にアーム部110を回動させることによって内釜2に蓋部11を嵌めたり、蓋部11を外したりすることが可能とされている。他方の脚部10には、ギア機構による回転機構12に接続された操作ハンドル部120が設けられており、操作ハンドル部120の回転量に応じて回転釜1を支持軸回りに回転可能とされている。また、他方の脚部10の上端部から上方に延びる支柱部13の先端には制御ボックス14が設けられている。制御ボックス14には、電源ボタン141、運転開始ボタン142、運転停止ボタン143、リセットボタン144、火力調整つまみ145、ブザーボタン146等の各種の操作ボタンや操作つまみ等が配設されている。
本例の回転釜1において、内釜2は、加熱に供される加熱対象が入れられる容器である。内釜2は、釜底21と、釜底21の外周縁から上方に向かって拡径するよう構成された釜側面部22とを有している。内釜2の材質は、ステンレスである。なお、内釜2は、釜底21と釜側面部22との境界がほとんど区別できないように構成されていてもよい。
本例の回転釜1において、外釜3は、空間30を保持した状態で内釜2の外周を覆っている。つまり、内釜2の外側面と外釜3の内側面との間には空間30が存在している。外釜3は、内釜2の外周を主に覆う第1被覆部31と、ブラスト式バーナー7の外周を主に覆う第2被覆部32とを有している。外釜3の底部となる第2被覆部32の底部には、外部からの空気を空間30内に流入させる空気流入口33が設けられている。なお、空気流入口33の内方には、回転釜1を洗浄する際等における水が空間30内に浸入しないように防水板331が設けられている。内釜2は、その上端縁が外釜3の上端縁に固定されている。外釜3の材質は、ステンレスである。
本例の回転釜1において、燃焼室4は、内釜2と外釜3との間の空間30における内釜2の下方に配設されている。本例では、具体的には、燃焼室4は、内釜2の釜底21よりも小さな外径の筒状に形成されており、内釜2の釜底21の下方に燃焼室4の上端開口が配置されている。燃焼室4の材質は、ステンレスである。また、燃焼室4の外側面には、断熱材43が取り付けてある。
本例の回転釜1において、延設壁部5は、燃焼室4の上端縁から内釜2の外側面に沿って上方に延設されている。燃焼室4の材質は、ステンレスである。また、延設壁部5における外釜3側の面には、断熱材53が取り付けてある。延設壁部5における内釜2側の面と内釜2の外側面との間には、内釜2の外側面に沿って隙間60が形成されている。本例の回転釜1において、排ガスの排気流路6は、当該隙間60より構成される。
本例の回転釜1を縦断面で見た場合に、隙間60は、燃焼室4よりも外側に配設された内釜2の釜底21部分と延設壁部5における釜底21部分と対向する部分との間(以下、「隙間上流域」ということがある。)に比べて、内釜2の釜側面部22と延設壁部5における内釜2の釜側面部22と対面する部分との間(以下、「隙間下流域」ということがある。)の方が狭くなるように構成されている。また、隙間下流域において、隙間60の大きさ(内釜2の外側面と延設壁部5における内釜2側の面との間の距離)が最小値をとるように設定されている。
本例では、具体的には、隙間60の大きさの最小値は、10mmに設定されている。また、隙間60の大きさが最小値をとる部分の長さは、隙間下流域の長さとほぼ同等に設定されており、本例では、約200mmに設定されている。
本例の回転釜1は、内釜2の上端部における外側に環状流路15を有している。環状流路15は、延設壁部5の上端縁から外方に突出する突出部151と、突出部151の先端部から上方に延び、内釜2の外側面に当接する当接部152と、内釜2の上端部における外側面とによって区画された区画空間153より構成されている。上述した排気流路6は、その下端部が燃焼室4に連通するとともに、その上端部は環状流路15に連通している。本例では、排気流路6を通った排ガスEは、環状流路15を介して排ガスEを外部に排気するための筒状の排気部16から排気されるよう構成されている。
本例では、排気流路6を構成する隙間60を形成するため、スペーサ―として、延設壁部5の内釜2側の面と内釜2の外側面との間に複数の区画壁51が設けられている。各区画壁51は、棒状部材から構成されており、延設壁部5の内釜2側の面に溶接等により固定されている。より具体的には、各区画壁51は、隙間下流域に配置されている。なお、各区画壁51を構成する棒状部材は、隙間60の大きさの最小値を規定できるように、直径10mmとされている。各区画壁51は、釜周方向に配置されており、互いに隣接する区画壁51の間は、下方から上方への排ガスEの排出を促す排ガス誘導路52とされる。本例では、複数の区画壁51は、上方から見た場合に、左回りのらせん状となるように、下方から上方に向かって排ガスEが誘導されるように配置されている。
また、本例では、排気部16の周囲における隙間60に、排気部16への排ガスEの流れを制限するための排ガス制限部53が複数設けられている。排ガス制限部53は、具体的には、延設壁部5の中間部位に周方向に配置されている。より具体的には、排ガス制限部53は、区画壁51と同様に棒状部材から構成されており、延設壁部5における内釜2側の面に溶接等により固定されている。但し、排ガス制限部53を構成する棒状部材は、隙間60の大きさの最小値よりも小さい直径とされており、排ガスEの流れを完全に堰き止めないように設定されている。なお、本例では、排ガス制限部53は、上方から見て、複数の排ガス制限部53のうち、両外側に配置される一方の排ガス制限部53における外側端部と回転釜1の中心とを結ぶ線M1、両外側に配置される他方の排ガス制限部53における外側端部と回転釜1の中心とを結ぶ線M2とのなす角θが約100°となるように設定されている。
本例の回転釜1において、ブラスト式バーナー7は、内釜2と外釜3との間の空間30における燃焼室4の下方に主に配設されている。なお、「主に配設」とは、ブラスト式バーナー7の大部分が燃焼室4の下方に配設されておれば、ブラスト式バーナー7の一部が燃焼室4の中に配設されていてもよいという意味である。本例では、ブラスト式バーナー7は、後述するバーナーヘッド71が燃焼室4の下端開口よりも上方に若干入り込んだ状態で配置されており、その大部分は、燃焼室4の下端開口よりも下方に配置されている。
ブラスト式バーナー7は、都市ガス等の燃料Fと強制的に供給された空気Aとが予め混合されてなる予混合ガスAFを燃焼室4に噴出可能に構成されておれば、特に制限されることはない。本例では、ブラスト式バーナー7は、燃焼室4の下端部に配置され、予混合ガスAFを燃焼室4に噴出する炎孔713を複数有するバーナーヘッド71と、バーナーヘッド71の下方に設けられ、バーナーヘッド71に予混合ガスAFを供給する予混合ガス供給路72と、予混合ガス供給路72の上流側に燃料Fを供給可能に構成された燃料供給路73と、バーナーヘッド71の下方に設けられ、予混合ガス供給路72の上流側に空気Aを強制的に供給可能に構成されたブロアー74とを有している。なお、ブラスト式バーナー7は、内釜2と外釜3との間に収容されている。
ブラスト式バーナー7において、バーナーヘッド71は、具体的には、板材よりなるヘッド基部710と、ヘッド基部710の一方面に沿って環状空間712が構成されるようにヘッド基部710の一方面を環状に覆うヘッド上面部711と、ヘッド上面部711に形成され、予混合ガスAFを噴出させる複数の炎孔713と、ヘッド基部710の他方面に形成され、予混合ガスAFを供給する予混合ガス供給路72の端部が接続される接続部714とを有している。バーナーヘッド71の材質は、ステンレスである。本例では、燃焼室4の底部における下端開口は、バーナーヘッド71によってほぼ塞がれている。なお、バーナヘッド71のヘッド上面部711と内釜2の釜底21の最も下方に位置する部分との距離は、約80mmに設定されている。
ヘッド基部710には、接続部714が二つ設けられており、各接続部714は互いに対向する位置に配置されている。本例では、接続部714には、予混合ガス供給路72を接続可能なソケットを用いている。また、接続部714の上方における環状空間712には、供給される予混合ガスAFの流れを周方向に変更させる邪魔板715が設けられている。邪魔板715は、具体的にはヘッド基部710と平行に配置されている。また、複数の炎孔713は、ヘッド上面部711に環状に配置されており、ニット状に編み込まれた金属繊維よりなるメタルニット部716で被覆されている。より具体的には、バーナーヘッド71は、ヘッド上面部711に複数の炎孔713の一部が環状に配置されて構成された内リング炎孔部713aと、内リング炎孔部713aの外周におけるヘッド上面部711に複数の炎孔713の残りが環状に配置されて構成された外リング炎孔部713bとを有している。そして、内リング炎孔部713aを構成する炎孔713は、ニット状に編み込まれた金属繊維よりなる内メタルニット部716aで被覆されるとともに、外リング炎孔部713bを構成する炎孔713は、ニット状に編み込まれた金属繊維よりなる外メタルニット部716bで被覆されている。内メタルニット部716aの外周縁および外メタルニット部716bの内周縁は、内リング炎孔部713aと外リング炎孔部713bとの間のヘッド上面部711に溶接されている。また、内メタルニット部716aの内周縁および外メタルニット部716bの外周縁は、それぞれヘッド上面部711に溶接されている。
ブラスト式バーナー7において、予混合ガス供給路72は、具体的には、その途中で2つに分岐されている。一方の分岐路721は、ヘッド基部710の一方の接続部714に接続されており、他方の分岐路721は、ヘッド基部710の他方の接続部714に接続されている。つまり、本例では、2つの分岐路721を通じてバーナーヘッド71に予混合ガスAFが供給されるようになっている。
その他、本例では、燃料供給路73の途中に、生成させる予混合ガスAFの空燃比を比例制御により制御する電磁弁731を有している。電磁弁731には、エアフロースイッチ(不図示)を介してブロアー74(本例ではDCブロアー)が接続されている。そして、ブラスト式バーナー7は、燃料源(不図示)より燃料供給路73を通じて供給される燃料Fとブロアー74から供給される空気Aとを電磁弁731による比例制御により最適な空燃比となるように混合し、生成させた予混合ガスAFを予混合ガス供給路72に供給することができるように構成されている。なお、燃料供給路73は、一方の脚部10における支持軸内を通って外釜3と内釜2との間の空間30に引き込まれている。また、燃焼室4には、イグナイター(不図示)に接続されたスパークロッド41が配置されており、バーナーヘッド71から噴出される予混合ガスAFに点火できるようになっている。また、燃焼室4には、制御盤に接続されたフレームロッド42が配置されており、火炎を検知できるようになっている。また、本例では、バーナーヘッド71におけるヘッド上面部711の外周縁と燃焼室4の内周面との間に断熱材44が設けられている。この断熱材44は、ヘッド上面部711から排気流路6に向かって傾斜する傾斜面を有している。また、断熱材44の傾斜面の表面には、排ガスEの排気流路6への排出を促す反射板45が設けられている。また、環状に形成されたヘッド上面部711の中央部の凹部717は、内釜2の外側面を伝って下方に落下する水滴(結露水)を貯留するためのドレン貯留部として使用される。凹部717には、断熱材718が設けられている。断熱材718は、上記水滴を吸収保持する役割も果たす。なお、凹部717には、受け皿(不図示)などを配設することもできる。
本例の回転釜1は、バーナーヘッド71とブロアー74との間に、バーナーヘッド71の輻射熱を遮蔽するための遮蔽板75が設けられている。本例では、遮蔽板75は、具体的には、バーナーヘッド71の下方約30mmの位置に配設されており、バーナーヘッド71と遮蔽板75との間には空間部753が形成されている。遮蔽板75は、より具体的には、バーナーヘッド71のヘッド基部710の下方面より突出する2つの接続部714と対応する位置に周部貫通穴751を有している。予混合ガス供給路72の2つの分岐路721は、2つの周部貫通穴751にそれぞれ貫通させた状態で各接続部714に接続されている。また、遮蔽板75の中央部には、後述する予熱空気供給路8の端部が接続される中央接続穴752が形成されている。なお、本例では、遮蔽板75の下面に断熱材754が設けられている。
本例の回転釜1は、バーナーヘッド71と遮蔽板75との間に形成される空間部753に一端部が連通されるとともに、他端部がブロアー74の空気取入口(不図示)に接続された予熱空気供給路8を有している。本例では、具体的には、予熱空気供給路8の一端部は、遮蔽板75の中央接続穴752に接続されている。これにより、本例の回転釜1は、内釜2と外釜3との間に存在する空気Aが空間部753に吸引され、吸引された空気Aが予熱空気供給路8を通じてブロアー74の空気取入口に供給されるように構成されている。
次に、本例の回転釜による加熱について説明する。
都市ガス等の燃料Fは、燃料源(不図示)から燃料供給路73を通じて予混合ガス供給路72の上流側に供給される。一方、外釜3の底部に設けられた空気流入口33より外釜3と内釜2との間に流入した空気Aは、ブロアー74によって予混合ガス供給路72の上流側に強制的に供給される。本例では、具体的には、バーナーヘッド71と遮蔽板75との間に形成される空間部753の外方から内方に向かって空気Aが吸引され、吸引された空気Aは、空間部753の中央部から予熱空気供給路8を通じてブロアー74の空気取入口に供給される。このようにしてブロアー74に供給された空気Aがブロアー74の動作により予混合ガス供給路72の上流側に強制的に供給される。また、回転釜1内の空気Aがブロアー74によって予混合ガス供給路72に供給されるに伴い、外釜3の底部に設けられた空気流入口33から外部の新鮮な空気が回転釜1内に取り込まれる。
予混合ガス供給路72の上流側に供給された燃料Fと空気Aとは所定の空燃比で混合され、予混合ガスAFが生成する。生成した予混合ガスAFは、予混合ガス供給路72内を下方から上方に向かって流れる。本例では、予混合ガス供給路72が途中から分岐しているので、予混合ガスAFは、各分岐路721に分かれて流れ、各接続部714よりバーナーヘッド71における環状空間712に流入する。この際、本例では、各接続部714の上方における環状空間712内に邪魔板715が配置されているので、邪魔板715にぶつかった予混合ガスAFは、環状空間712の周方向に流れが変更され、環状空間712内に拡がる。
環状空間712内に拡散した予混合ガスAFは、バーナーヘッド71のヘッド上面部711に形成された複数の炎孔713より燃焼室4内に噴出される。炎孔713より噴出された予混合ガスAFがスパークロッド41にて点火されると、燃焼室4内で予混合ガスAFの燃焼が生じる。燃焼によるバーナーヘッド71の輻射熱は、遮蔽板75により遮蔽され、遮蔽板75よりも下方への拡散が抑制される。また、燃焼が開始されると、バーナーヘッド71と遮蔽板75との間の空間部753に吸引された空気Aは、上記輻射熱によって予熱される。そして、この予熱された空気Aが予熱空気供給路8を通じてブロアー74に取り込まれ、予混合ガスAFの生成に使用される。
予混合ガスAFの燃焼により生じた排ガスE(燃焼ガス)は、燃焼によって生成する燃焼室4内の正圧によって排気流路6に送られ、排気流路6内を流れる。本例では、排気流路6に上述した複数の区画壁51が配置されており、隣接する区画壁51の間が排ガス誘導路52とされている。そして、複数の排ガス誘導路52により、左回りのらせん状に下方から上方に向かって排ガスEが誘導される。この際、排ガス誘導路52のうち、排ガス制限部53が配設されている部分では、排ガス制限部53が配設されていない部分に比べ、排ガスの下方から上方に向かう流れが制限される。排気流路6の上端部から流出した排ガスEは、環状流路15内に流入し、排気部16より排気される。
次に、本例の回転釜の作用効果について説明する。
回転釜1は、バーナーとしてブラスト式バーナー7を用いている。そのため、回転釜1は、燃焼時に大量の二次空気を必要とせず、燃焼室4が大量の二次空気によって冷却されずに済み、熱効率の向上に寄与することができる。
また、回転釜1は、燃焼室4の上端縁から内釜2の外側面に沿って上方に延びる延設壁部5の内釜2側の面と内釜2の外側面との間に形成される隙間60が排ガスEの排気流路6とされている。そのため、回転釜1は、排気流路6を流れる排ガスEの流速を上げることができる。さらに、回転釜1は、ブンゼン式バーナーを用いた場合に比べ、排ガスEの排気抵抗が大きくなるものの、ブラスト式バーナー7の燃焼によって生成する燃焼室4内の正圧を利用し、排ガスEが比較的均一に排気流路6を通過して排気される。それ故、排ガスEが内釜2の外側面と十分に接触し、伝熱面積が増加し、排ガスEが持つ熱エネルギーをより多く熱交換させることが可能となり、熱効率の向上に寄与することができる。
また、本例では、バーナーヘッド71の輻射熱の影響を受けやすいブロアー74をバーナーヘッド71とできるだけ離した位置に配置することができる。とりわけ、バーナーヘッド71とブロアー74の間に遮蔽板75が設けられているので、遮蔽板75によってバーナーヘッド71の輻射熱が遮蔽され、遮蔽板75よりも下方に輻射熱が拡散するのを抑制することができる。ブロアー74は、通常、電子制御によるモーターを備えているので、熱による影響を受けやすいところ、上記構成によれば、ブロアー74の温度が耐熱温度を超えることがなくなる。そのため、本例の回転釜1は、回転釜1の耐久性、信頼性を向上させることができる。また、本例では、外釜3と内釜21との間の空間30にバーナー関連の部品が配置されているので、バーナー関連の部品を釜内にて一括して防水しやすく、防水性を向上させることができる。そのため、本例の回転釜1は、回転釜1を水洗いしやすく、清掃性も向上する。
また、本例では、内釜2と外釜3との間に存在していた空気Aがバーナーヘッド71と遮蔽板75との間の空間部753に吸引され、輻射熱によって予熱される。そして、この予熱された空気が予熱空気供給路8を通じてブロアー74に供給される。そのため、本例の回転釜1は、予混合ガスAF中に含まれる空気Aを事前に温めることができるので、熱効率をより向上させやすい。
また、本例では、予混合ガス供給路72が、その途中に複数の分岐路721を有しており、複数の分岐路721を通じてバーナーヘッド71に予混合ガスAFが供給される。そのため、本例の回転釜1は、複数の分岐路721によってバーナーヘッド71の全体に均一に予混合ガスAFが供給され、各炎孔713から均一に予混合ガスAFが噴出されやすくなる。それ故、本例の回転釜1は、均一な火炎が形成されやすく、内釜2の釜底21全体を均一に加熱しやすくなり、熱効率の向上に有利である。
また、本例では、燃焼室4の底部がバーナーヘッド71により塞がれている。そのため、本例の回転釜1は、燃焼室4をほぼ密閉状態とすることができるので、内釜2と外釜3との間に存在していた空気Aが燃焼室4に流入し難くなる。そのため、本例の回転釜1は、燃焼室4内が冷却され難くなり、熱効率の向上に寄与することができる。
また、本例では、バーナーヘッド71の複数の炎孔713がメタルニット部716で被覆されている。そのため、本例の回転釜1は、メタルニット部716における金属繊維面での表面燃焼により、内釜2の底部全体を均一に加熱することが可能となり、熱効率の向上に有利である。また、メタルニット部716により炎が戻り難く、青色から赤色にわたる炎を幅広く形成しやすくなる。
また、本例では、内メタルニット部716aの外周縁および外メタルニット部716bの内周縁が、内リング炎孔部713aと外リング炎孔部713bとの間のヘッド上面部711に溶接されている。そのため、溶接部位で定在火炎が保持形成される。それ故、ブラスト式バーナーの空気比が大きい場合でも、リフト燃焼が抑制されやすくなり、火炎の吹き消えを防止しやすくなる。
また、本例では、バーナーヘッドは、環状に形成されたヘッド上面部711の中央部に、内釜の外側面を伝って下方に落下する水滴(結露水)を貯留するためのドレン貯留部としての凹部717を有している。そのため、本例の回転釜1は、バーナーヘッド71やバーナーヘッド71上に設けられるメタルニット部716を構成する金属材料が腐食するのを抑制することができ、バーナーヘッドの耐久性を向上させることができる。また、本例では、水滴を吸収保持する吸収材の機能を兼ね備える断熱材718が凹部717内に設けられている。そのため、上記作用効果がより一層高められる。
また、本例では、隙間60における延設壁部5の内釜2側の面と内釜2の外側面との間に、複数の区画壁51が設けられており、互いに隣接する区画壁51の間を、下方から上方への排ガスEの排出を促す排ガス誘導路52として構成している。そのため、本例の回転釜1は、隙間60に設けられた複数の排ガス誘導路52により下方から上方へ排ガスEの排出が促される。そのため、本例の回転釜1は、各排ガス誘導路52において、各排ガス誘導路52を流れる排ガスEが、各排ガス誘導路52に面する内釜2の外側面と十分に接触する。それ故、本例の回転釜1は、排ガスEが持つ熱エネルギーを無駄なく熱交換させることができ、熱効率をより一層向上させることができる。また、本例の回転釜1は、内釜2の底部における熱分布も均一化しやすくなり、局所的な加熱による内釜2の割れ等を抑制しやすくなる。
また、本例では、区画壁51は、棒状部材から構成されている。そのため、本例の回転釜1は、区画壁51の強度を確保しやすく、また、一定の隙間を形成しやすいなどの利点がある。さらに、区画壁51は、延設壁部5の内釜2側の面に固定されている。区画壁51が内釜2の外側面に固定されている場合に比べ、熱膨張差を小さくしやすい。そのため、本例の回転釜1は、区画壁51の耐久性向上に有利であり、隙間60や排ガス誘導路52を長期にわたって維持しやすくなる。
また、本例では、区画壁51を、隙間60を形成するためのスペーサ―として機能させている。そのため、本例の回転釜1は、隙間60を確実に確保することができ、また、隙間60の大きさの最小値を、区画壁51を構成する棒状部材の直径により決定することができ、棒状部材の直径を変えることによって隙間60の大きさの最小値を容易に設定することができる。
また、本例では、区画壁51は、上方から見た場合に、左回りのらせん状となるように、下方から上方に向かって排ガスEが誘導されるように配置されている。そのため、本例の回転釜1は、下方から上方に向かって排ガスEを誘導しやすい。本例では、とりわけ、区画壁51が左回りのらせん状に配置されているので、区画壁51が中央部から外方に向かって放射状に配置されている場合に比べ、内釜2の外側面に排ガスEが接する距離(時間)を長くすることができ、熱分布の均一化を図りやすく、熱効率の向上に有利である。
また、本例では、排ガスEを外部に排気するための排気部16を有しており、排気部16の周囲における隙間60に、排気部16への排ガスEの流れを制限するための排ガス制限部53が設けられている。そのため、本例の回転釜1は、排ガス制限部53により、排気部16の周囲における燃焼室4内の排ガスEが、排気部16の周囲で十分に熱交換を行えずに排気部16から排気されるのを抑制しやすく、熱効率の向上に有利である。
また、本例の回転釜1は、熱効率を向上させることができるので、燃料Fの使用を節約することができ、省エネルギーである。また、本例の回転釜1は、二酸化炭素の排出量削減にも寄与することができる。さらに、本例の回転釜1は、回転釜1のランニングコストも削減することができる。また、本例の回転釜1は、排ガスEの熱エネルギーを内釜2の加熱に十分に利用するため、排出される排ガス温度を低減しやすくなり、排ガスEの排気構造を小型化するのに有利である。また、本例の回転釜1は、排ガスによって厨房内の温度を過度に上昇させ難く、厨房環境を涼しくするのに大きく貢献できる。この場合は、厨房空調のランニングコストの節約にも有利である。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。