JP3624310B2 - ガス燃焼装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ガス燃料または液体燃料をガス化させて燃焼させるための燃焼装置に関し、とくに不特定の被加熱物に対しても高効率の伝熱効果が得られ、排気中の窒素酸化物の発生を抑制できる技術についてのものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種のガスバーナはガスこんろに代表されるように一次空気と二次空気を燃焼に用いて完全燃焼させるブンゼン式バーナを用い、炎および炎に混在する燃焼排気を用いてなべ等の被加熱物を加熱するのが一般的であるが、その際の熱利用効率は、なべ加熱の場合30〜40数%と低い値であった。
一方、ガス燃料に対して燃焼に必要な空気の全てを予め混合させ二次空気を必要としない予混合燃焼方式も古くから存在し、更に近年送風機によって予混合燃焼による燃焼炎からの高温排気を噴出体を通じて噴出させ、被加熱面に衝突させて高い伝熱効果を得る手段も発明された。このような高温排気噴出方式の予混合燃焼装置においては、燃焼装置と被加熱物および被加熱面が一体または相関性をもった形状にて構成されており、例えばこんろのように任意の不特定な材質・形状の被加熱物の加熱には向かないものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、前述のブンゼン式バーナによる燃焼装置の低効率性および予混合燃焼装置での不具合点を無くするため、被加熱物が簡単に載置可能で、なべ加熱等の際の煮汁のふきこぼれや汚れにも対処できる燃焼装置全体の構成手段を提供し、比較的簡単な形態において高効率低公害のガス燃焼加熱装置を実現することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため請求項1の発明は、ガス燃焼に必要な燃焼用空気の殆ど全てをガス燃料と混合させ送風機を用いてこの混合気体をバーナに供給して燃焼させる予混合強制燃焼式ガス燃焼装置において、バーナの炎口は多数の小穴ないし細溝または小穴と細溝を組み合わせた形状とし、炎口部で燃焼した高温の排気は、バーナの下流にバーナとは別に設けた多数の噴出口を有する外縁が円形の噴出体から高速度で噴出し得るよう、バーナと噴出体との間に設けた空間が噴出圧を維持し且つ燃焼排気は噴出口以外の外気への洩れが殆どないように構成する。この空間には排気の分布を良くしなべ等の被加熱物の底面に発生する凝縮水やふきこぼれ等による液体がバーナに直接かからないよう、適当な形状の邪魔板を設けると共に、燃焼を制御するための制御装置に連結する空燃比制御センサー、各種安全センサー及び点火電極等を収容させる。前記の噴出体は、金属またはセラミックス等の耐熱性を有する素材を用いると共に、装着時には前記空間必要とする気密性を失うことなく容易に着脱できるように構成し、且つ、被加熱物の被加熱面が噴出体に設けられた噴出口から3 mm 〜20 mm の距離になるような位置関係のもとで、高温排気はこの加熱面にほぼ直角に当たるようにし、前記空間とバーナ収納ボックスを噴出体部を除いて断熱材で被覆したことを特徴とするものである。
【0005】
請求項2の発明は、燃料ガスは電気的に制御されるガス比例電磁弁または複数のガス電磁弁によって空気との混合部への供給量が制御され、一方燃焼用の空気は、モータによって駆動される送風機から混合管に供給され、得られた混合気体はバーナに送られて燃焼するような構成の装置において、この燃焼装置の発熱量を定格の1/5程度まで絞ることができるよう、バーナの形態や炎口負荷を定めると共に燃料供給量と連動して送風機の回転数または送風機のインレット面積を変化し得る電子的制御装置を設けたことを特徴とする請求項1に示すガス燃焼装置についてのものである。
【0006】
請求項3の発明は、燃焼装置を構成する主要要素は、これを収納する箱体に納められ、この箱体の上面には、噴出体の周縁部に開口し且つ噴出体より低い位置に水を溜めるための底部を有する噴出体より大きい面積の汁受け部を設け、更になべ、やかん等の被加熱物を載置しても噴出体からの排気は被加熱物に衝突して十分に加熱作用を行った後外気に放出されるよう、又噴出体と被加熱物の間及び箱体上面と被加熱面の間に隙間が生じる形態になるような五徳を前記汁受け部に載置する構成としたことを特徴とする請求項1〜請求項2に示すガス燃焼装置についてのものである。
【0007】
請求項4の発明は、前記の噴出体は熱伝導の良好な金属材料を用い、被加熱物の吸熱面と部分的に接触するような形態に成形し、この接触部分には噴出口を設けないことを特徴とする請求項1〜請求項3に示すガス燃焼装置についてのものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
請求項1の発明によれば、この発明の一実施例を示す図1において、燃焼用ガスはガス圧力および供給量を制御するガスコントローラ(図示せず)を経てガス導入管1から燃焼用空気との混合管2に供給され、送風機3からの空気と混合して分布整流板4を有する空間を通りバーナ5に圧送される。バーナには多数の小穴ないし細溝または小穴と細溝を組み合わせた炎口があり、この炎口から噴出した混合気体は点火電極6からのスパークにて点火し炎7を形成する。
【0009】
この際、炎7は比較的短炎にて所定の燃焼状態になるよう、例えば空燃比制御用センサー8からの信号により働く電子制御装置10を設けて燃焼用空気の量が制御されるが、バーナと噴出体9とで構成する空間11には邪魔板12を設け、噴出体9に多数存在する噴出口13からの高温排気の分布を良くすると共に、加熱時に被加熱物に付着した排気中の凝縮水や吹きこぼれ水が直接バーナに掛からないように構成する。また、バーナ5付近には失火検知安全器や逆火安全器のセンサー(いずれも図示しない)を設ける場合があり、それらのセンサーは通常前記の電子制御装置によって作動する。
【0010】
バーナと噴出体とで構成する空間11は噴出口以外の外気部分には空間11からの排気が殆ど洩れない気密構造になるよう部材を組み合わせ、且つ送風機の風圧と通路の形態を排気の噴出圧が所定の値に維持するように構成する。そのため噴出体からの高温排気24が噴出口から高速で噴出して被加熱物の表面に存在する断熱性境界膜を破壊して被加熱物への熱伝達を良くする効果をもたらすこととなる。
バーナおよび噴出体はセラミックスまたは金属等の耐熱材にて作成すると共にバーナ収納ボックスや前記の空間は、熱損失を防止し周辺の過熱を防ぐため、適当な断熱材14でカバーするように構成している
【0011】
上記の燃焼関係装置において、噴出体9は装着時に前記空間の気密性を損なうことなく容易に着脱できるよう、各部材の構成と関係寸法を設定する。
このように噴出体が容易に着脱できる構成にしたことにより、こんろや炊飯器等の加熱機器にこの燃焼装置の適用を図った際、当然発生する煮こぼれや塵埃による噴出体の汚れに対する掃除が容易で、長期的に性能を維持できることとなる。
【0012】
また、被加熱物は任意の形態のなべ、釜、やかん等を自由に載置して使用できるので、被加熱物自体に熱交換器を具備している必要も無く、汎用性の高い燃焼装置を提供し得るものである。また、例えば中華鍋など特殊な被加熱部の形状に対しては、噴出体が燃焼部に対して着脱自在な構成であるため、噴出体の形状を被加熱部の形状に合わせた形状とし、必要に応じて装着できるように予め各種の噴出体を準備しておくことも可能である。
なお、この発明の構成においては、炎が燃焼中に外気に触れることなく短時間に燃焼が完結するため、有害な窒素酸化物の発生が極めて少ないのに加えて被加熱物への熱伝達が良いので熱利用効率が大幅に向上する。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に示す燃焼装置において、燃料ガスの供給と燃焼用空気の送風機による供給制御に関する発明で、バーナの形態やその炎口負荷を選定した上で前記の各種センサーの信号を受けて電子制御装置10により、アクチェーターとして配置のガス電磁弁、送風機用のモータまたはインレット面積を変化させるダンパー等を最適の必要条件に合致するよう制御するので、ガス量と送風量を自在に制御することができるため、発熱量を定格の1/5程度に絞っても完全燃焼する等、要求加熱量の変化に即対応できるものである。
【0014】
請求項の発明は、主にやかん、なべ、フライパン等の被加熱物を加熱するためのこんろに代表される調理機器に適用する場合の実施例で、図1によって説明すると、燃焼装置を構成するガス導入管1、混合管2、送風機3,バーナ5、断熱材14、空間11を形成する噴出体ホルダー15、電子制御装置10等の主要要素は箱体16の中に納められ、この箱体の上面には、噴出体の周縁部に嵌挿する開口を有し、且つ噴出体より低い位置に水を溜めるための底部を有する噴出体より大きい面積の汁受け部17を設ける。更に被加熱物を載置しても所定の排気の通路を確保しつつ被加熱物が安定して載置できるよう、五徳としてのディスタンスピース18を設けたものである。なお、汁受け部には多量の水が浸入した場合に具えてオーバーフロー防止の小穴を設けることが望ましい。
【0015】
図2、図3は本発明の要素の一つである噴出体について、発明の効果をより高め且つ利用しやすくするための実施例を示す平面図と立面図であって、請求項に示したように熱伝導の良好な金属材料にて噴出体を作成し、噴出体は被加熱物の吸熱面と部分的に接触する突起部19、19’を有する形態としたものである。 高温の噴出体自体からの熱伝導加熱を、被加熱面に対して噴出口13からほぼ直角に噴出される排気加熱と併せて利用できる他、噴出体の過熱を防止し耐久性の向上にも寄与し得る発明である。なお、排気は突起部以外に設けた多数の噴出口13から噴出され、被加熱物を加熱した後外部に放出されることとなる。
【0016】
なお、図1に示す記号の21は作動操作装置、22は燃焼用ガスと空気の混合を更に良くするためのミキサーで必要に応じて設けるものである。 また、23はこの発明の燃焼装置を用いて加熱する被加熱物の例としてのなべを示している。
【0017】
この発明の実施形態は、以上の実施例に示し説明したものに止まらず、発明の概念の範囲において、種々の実施形態が存在する。例えばガス導入管1は送風機の下流側に開口するのではなく、送風機の空気取り入れ口に臨ませて設けることも可能であり、分布整流板4は必要としない場合も存在する。さらに、噴出体の形状も燃焼部と着脱できる前提にて幾多の実施形が考えられる。
【0018】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したような構成で実施され、以下に示すような効果を生ずるものである。
【0019】
高温の燃焼排気が、噴出体の多数の噴出口から高速で被加熱物の吸熱面に衝突するので熱伝達率が大幅に向上し、従来比較的低い熱利用効率であったなべ、やかん、炊飯器等それ自体複雑な熱交換部を持たないものの加熱に使用しても、有用であり従来の1.5倍程度熱効率の高いこんろ、炊飯器等の調理用機器が得られる。また、排気中の窒素酸化物を従来のブンゼン式バーナの1/2以下に抑えることが可能である。
【0020】
燃焼装置本体と被加熱物が分離した状態で利用できる他、燃焼装置の上部から滴下する液体(水)について燃焼性や耐久性等への悪影響を防止し得る。
また、噴出体の汚れに対して性能を損なうことなく取り外して掃除することができるので、使用上極めて効果の高い発明である。
【0021】
その他、燃焼熱量の制御は電子的方法を用いて簡単に制御できる。炎を直接被加熱物に接触させないので、この装置の使用者が炎の輻射熱を浴びることが少なく、引火のおそれも少ない等。従来技術ではなし得なかった数々の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例を示す一部断面の構成図である。
【図2】この発明の主要要素である噴出体の効果的な実施例を示す平面図である。
【図3】噴出体の効果的な実施例を断面で示す立面図である。
【符号の説明】
1 ガス導入管
2 混合管
3 送風機
4 分布整流板
5 バーナ
6 点火電極
7 炎
8 空燃比制御用センサー
9 噴出体
10 電子制御装置
11 空間
12 邪魔板
13 噴出口
14 断熱材
15 噴出体ホルダー
16 箱体
17 汁受け部
18 五徳(ディスタンスピース)
19,19’突起部
21 作動操作装置
22 ミキサー
23 被加熱物(なべ)
24 高温排気

Claims (4)

  1. ガス燃焼に必要な燃焼用空気の殆ど全てをガス燃料と混合させ送風機を用いてこの混合気体をバーナに供給して燃焼させる予混合強制燃焼式ガス燃焼装置において、バーナの炎口は多数の小穴ないし細溝または小穴と細溝を組み合わせた形状とし、炎口部で燃焼した高温の排気は、バーナの下流にバーナとは別に設けた多数の噴出口を有する外縁が円形の噴出体から高速度で噴出し得るよう、バーナと噴出体との間に設けた空間が噴出圧を維持し且つ燃焼排気は噴出口以外の外気への洩れが殆どないように構成する。この空間には排気の分布を良くしなべ等の被加熱物の底面に発生する凝縮水やふきこぼれ等による液体がバーナに直接かからないよう、適当な形状の邪魔板を設けると共に、燃焼を制御するための制御装置に連結する空燃比制御センサー、各種安全センサー及び点火電極等を収容させる。前記の噴出体は、金属またはセラミックス等の耐熱性を有する素材を用いると共に、装着時には前記空間必要とする気密性を失うことなく容易に着脱できるように構成し、且つ、被加熱物を載置した際被加熱面が噴出体に設けられた噴出口から3 mm 〜20 mm の距離になるような位置関係のもとで、高温排気はこの加熱面にほぼ直角に当たるようにし、前記空間とバーナ収納ボックスを噴出体部を除いて断熱材で被覆したことを特徴とするガス燃焼装置。
  2. 燃料ガスは電気的に制御されるガス比例電磁弁または複数のガス電磁弁によって空気との混合部への供給量が制御され、一方燃焼用の空気は、モータによって駆動される送風機から混合管に供給され、得られた混合気体はバーナに送られて燃焼するような構成の装置において、この燃焼装置の発熱量を定格の1/5程度まで絞ることができるよう、バーナの形態や炎口負荷を定めると共に燃料供給量と連動して送風機の回転数または送風機のインレット面積を変化し得る電子的制御装置を設けたことを特徴とする請求項1に示すガス燃焼装置。
  3. 燃焼装置を構成する主要要素は、これを収納する箱体に納められ、この箱体の上面には、噴出体の周縁部に開口し且つ噴出体より低い位置に水を溜めるための底部を有する噴出体より大きい面積の汁受け部を設け、更になべ、やかん等の被加熱物を載置しても噴出体からの排気は被加熱物に衝突して十分に加熱作用を行った後外気に放出されるよう、又噴出体と被加熱物の間及び箱体上面と被加熱面の間に隙間が生じる形態になるような五徳を前記汁受け部に載置する構成としたことを特徴とする請求項1〜請求項2に示すガス燃焼装置。
  4. 前記の噴出体は熱伝導の良好な金属材料を用い、被加熱物の吸熱面と部分的に接触するような形態に成形し、この接触部分には噴出口を設けないことを特徴とする請求項1〜請求項3に示すガス燃焼装置。
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