以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
<1.実施の形態>
{パワーウインドウシステム1の構成例}
図1は、本発明を適用したパワーウインドウシステムの一実施の形態であるパワーウインドウシステム1の構成例を示す回路図である。なお、以下、パワーウインドウシステム1が、車両の運転席側、助手席側、右後部座席側、及び、左後部座席側の4つの窓の開閉を行う場合について説明する。
なお、以下、運転席側の窓、助手席側の窓、右後部座席側の窓、及び、左後部座席側の窓を、それぞれ単に運転席の窓、助手席の窓、右後部座席の窓、及び、左後部座席の窓とも称する。また、以下、運転席とは異なる席を他席と総称する。
パワーウインドウシステム1は、窓開閉制御システム11、モータ12、モータ13a乃至13c、メインリレー14、BCM(Body Control Module)15、イグニッションスイッチ16、及び、電源Bを含むように構成される。
窓開閉制御システム11は、車両の窓の開閉を行うための操作部を含み、操作部に対する操作に応じて、モータ12及びモータ13a乃至13cに流れるモータ電流のオン/オフ及び方向を制御し、車両の各窓の開閉を制御する。なお、モータ12は、運転席の窓の開閉を行うモータであり、モータ13a乃至13cは、それぞれ助手席、右後部座席、及び、左後部座席の窓の開閉を行うモータである。
メインリレー14は、BCM15の制御の下に、電源Bからモータ13a乃至13cへの電路を開閉するスイッチ回路である。具体的には、イグニッションスイッチ16がオンされた場合、BCM15はメインリレー14の接点をオンする。これにより、電源Bからモータ13a乃至13cへのモータ電流の供給が可能になり、助手席及び左右の後部座席の窓の開閉が可能になる。一方、イグニッションスイッチ16がオフされた場合、BCM15はメインリレー14の接点をオフする。これにより、電源Bからモータ13a乃至13cへのモータ電流の供給ができなくなり、助手席及び左右の後部座席の窓の開閉ができなくなる。
電源Bは、例えば、車両に設けられているバッテリからなり、パワーウインドウシステム1の各部の駆動用の電力を供給する。
窓開閉制御システム11は、窓開閉制御装置21、及び、他席用ユニット22a乃至22cを含むように構成される。なお、他席用ユニット22a乃至22cは、メインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。
窓開閉制御装置21は、運転席付近(例えば、運転席側のドアの内側)に設けられ、運転席の窓及び他席の窓の開閉を運転席から行うための装置である。窓開閉制御装置21は、例えば、1つの筐体内に各部品が納められた1つのユニットとして提供される。
他席用ユニット22aは、助手席付近(例えば、助手席側のドアの内側)に設けられ、助手席において助手席の窓の開閉を行うためのユニットである。
他席用ユニット22bは、右後部座席付近(例えば、右後部座席側のドアの内側)に設けられ、右後部座席において右後部座席の窓の開閉を行うためのユニットである。
他席用ユニット22cは、左後部座席付近(例えば、左後部座席側のドアの内側)に設けられ、左後部座席において左後部座席の窓の開閉を行うためのユニットである。
窓開閉制御装置21は、制御部31、運転席用メインスイッチ32、他席用メインスイッチ33a乃至33c、運転席用制御回路34、他席用制御回路35a乃至35c、入力回路36、及び、電源回路37を含むように構成される。
制御部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成される。制御部31は、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作に応じて、運転席用制御回路34及び他席用制御回路35a乃至35cを制御し、車両の各窓の開閉を制御する。また、制御部31は、運転席用制御回路34及び他席用制御回路35a乃至35cから供給されるモータ電流の検出結果等に基づいて、各窓の動作方向(開いているか閉じているか)、各窓の開閉方向の位置(以下、単に各窓の位置と称する)、及び、挟み込みの検出を行う。ここで、挟み込みとは、窓を閉める場合に窓と車体の間に物体が挟み込まれることをいう。
運転席用メインスイッチ32は、運転席において運転席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。運転席用メインスイッチ32は、接点51L、51U、51D及び51A、並びに、入力回路52を含むように構成される。
接点51Lは、他席用ユニット22a乃至22cの他席用サブスイッチ91a乃至91cに対する操作を無効にするロック機能の設定を行う場合に操作される常開型の接点である。接点51Lは、ロック機能を設定する操作を行った場合にオンし、解除する操作を行った場合にオフする。
接点51Uは、運転席の窓を閉める場合に操作される常開型の接点である。接点51Uは、運転席用メインスイッチ32に対して運転席の窓を閉めるための閉操作が行われている場合にオンし、閉操作が行われていない場合にオフする。
接点51Dは、運転席の窓を開ける場合に操作される常開型の接点である。接点51Dは、運転席用メインスイッチ32に対して運転席の窓を開けるための開操作が行われている場合にオンし、開操作が行われていない場合にオフする。
接点51Aは、運転席の窓を自動で開閉する場合に操作される常開型の接点である。接点51Aは、運転席用メインスイッチ32に対して運転席の窓を自動的に閉めるための開操作(以下、オート閉操作と称する)又は自動的に開けるための開操作(以下、オート開操作と称する)が行われた場合にオンする。また、接点51Aは、例えば、運転席の窓が全閉若しくは全開した場合、又は、運転席の窓を自動的に開閉するオート動作を解除する操作が行われた場合にオフする。
なお、以下、オート閉操作に対して、マニュアルで窓を閉めるための閉操作をマニュアル閉操作とも称し、マニュアルで窓を開けるための開操作をマニュアル開操作とも称する。
なお、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル操作とオート操作の方法は、スイッチの仕様により異なる。例えば、運転席用メインスイッチ32の操作ノブ(不図示)に対する操作の強弱により、マニュアル操作とオート操作が区別される。例えば、操作ノブを軽く引き上げる操作がマニュアル閉操作とされ、さらに力を加え、操作ノブをもう一段階強く引き上げる操作がオート閉操作とされる。一方、例えば、操作ノブを軽く押す操作がマニュアル開操作とされ、さらに力を加え、操作ノブをもう一段階強く押し下げる操作がオート開操作とされる。
或いは、例えば、運転席用メインスイッチの操作ノブに対する操作時間により、マニュアル操作とオート操作が区別される。例えば、操作ノブを引き上げる時間が所定の時間未満である場合、マニュアル閉操作とされ、操作ノブを引き上げる時間が所定の時間以上である場合、オート閉操作とされる。一方、操作ノブを押す時間が所定の時間未満である場合、マニュアル開操作とされ、操作ノブを押す時間が所定の時間以上である場合、オート開操作とされる。
入力回路52は、接点51L、51U、51D及び51Aの各接点の状態を示す信号を制御部31に供給する。
他席用メインスイッチ33aは、運転席において助手席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。他席用メインスイッチ33aは、接点61Ua、61Da及び61Aa、並びに、入力回路62aを含むように構成される。
接点61Uaは、助手席の窓を閉める場合に操作される常開型の接点である。接点61Uaは、他席用メインスイッチ33aに対して助手席の窓を閉めるための閉操作が行われている場合にオンし、閉操作が行われていない場合にオフする。
接点61Daは、助手席の窓を開ける場合に操作される常開型の接点である。接点61Daは、他席用メインスイッチ33aに対して助手席の窓を開けるための開操作が行われている場合にオンし、開操作が行われていない場合にオフする。
接点61Aaは、助手席の窓を自動で開閉する場合に操作される常開型の接点である。接点61Aaは、他席用メインスイッチ33aに対してオート閉操作又はオート開操作が行われた場合にオンする。
なお、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル操作とオート操作は、例えば、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル操作とオート操作と同様の方法により行われる。
入力回路62aは、接点61Ua、61Da及び61Aaの各接点の状態を示す信号を制御部31に供給する。
他席用メインスイッチ33b及び他席用メインスイッチ33cは、それぞれ運転席において右後部座席及び左後部座席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。他席用メインスイッチ33b及び他席用メインスイッチ33cは、他席用メインスイッチ33aと同様の回路構成を有しており、その説明及び図示は省略する。なお、図示を省略した他席用メインスイッチ33bの各部の符号には、他席用メインスイッチ33aの各部の符号の末尾の”a”を”b”に置き換えた符号を用いる。また、図示を省略した他席用メインスイッチ33cの各部の符号には、他席用メインスイッチ33aの各部の符号の末尾の”a”を”c”に置き換えた符号を用いる。
運転席用制御回路34は、モータ12の制御を行う回路である。運転席用制御回路34は、切替回路71、駆動回路72、増幅回路73、及び、抵抗器R11を含むように構成される。
切替回路71は、運転席の窓を閉める場合に駆動されるリレー回路71U(リレー接点71YUのみ図示)、並びに、運転席の窓を開ける場合に駆動されるリレー回路71D(リレー接点71YDのみ図示)を含むように構成される。
リレー回路71Uは、コイル71XU(不図示)、及び、コイル71XUを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点71YUを備えている。リレー接点71YUの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L3を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点71YUの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗器R11を介してグラウンドに接続されている。リレー接点71YUの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L1を介してモータ12の一端に接続されている。
リレー回路71Dは、コイル71XD(不図示)、及び、コイル71XDを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点71YDを備えている。リレー接点71YDの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L3を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点71YDの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗器R11を介してグラウンドに接続されている。リレー接点71YDの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L2を介してモータ12の他端に接続されている。
駆動回路72は、制御部31の制御の下に、リレー回路71U及び71Dを駆動する。すなわち、駆動回路72は、制御部31の制御の下に、リレー回路71Uのコイル71XU、及び、リレー回路71Dのコイル71XDへの駆動電流を制御することにより、リレー接点71YU及び71YDの状態を制御する。
増幅回路73は、抵抗器R11の両端に接続されている。増幅回路73は、切替回路71から出力されるモータ12のモータ電流により抵抗器R11の両端に生じる電圧を増幅して、制御部31に入力する。制御部31は、増幅回路73からの入力電圧に基づいて、モータ12のモータ電流の監視を行う。
なお、以下、モータ電流がリレー接点71YU、モータ12、リレー接点71YDの順に流れる方向を順方向と称し、リレー接点71YD、モータ12、リレー接点71YUの順に流れる方向を逆方向と称する。また、以下、モータ12に順方向のモータ電流が流れた場合、運転席の窓が上方向に移動し、運転席の窓が閉まり、モータ12に逆方向のモータ電流が流れた場合、運転席の窓が下方向に移動し、運転席の窓が開くものとする。
他席用制御回路35aは、他席用ユニット22aを介して、モータ13aの制御を行う回路である。他席用制御回路35aは、切替回路81a、駆動回路82a、増幅回路83a、及び、抵抗器R21aを含むように構成される。
切替回路81aは、助手席の窓を閉める場合に駆動されるリレー回路81Ua(リレー接点81YUaのみ図示)、並びに、助手席の窓を開ける場合に駆動されるリレー回路81Da(リレー接点81YDaのみ図示)を含むように構成される。
リレー回路81Uaは、コイル81XUa(図2)、及び、コイル81XUaを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点81YUaを備えている。リレー接点81YUaの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点81YUaの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗器R21aを介してグラウンドに接続されている。リレー接点81YUaの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L4aを介して、他席用サブスイッチ91aの接点91Uaの端子bに接続されている。
リレー回路81Daは、コイル81XDa(図2)、及び、コイル81XDaを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点81YDaを備えている。リレー接点81YDaの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点81YDaの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗器R21aを介してグラウンドに接続されている。リレー接点81YDaの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L5aを介して、他席用サブスイッチ91aの接点91Daの端子bに接続されている。
なお、リレー接点81YUaの端子a及びリレー接点81YDaの端子aは、メインリレー14を介さずに、直接電源Bの正極に接続することも可能である。
駆動回路82aは、制御部31の制御の下に、リレー回路81Ua及び81Daを駆動する。すなわち、駆動回路82aは、制御部31の制御の下に、リレー回路81Uaのコイル81XUa、及び、リレー回路81Daのコイル81XDaへの駆動電流を制御し、リレー接点81YUa及び81YDaの状態を制御する。
増幅回路83aは、モータ13aに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出部としての抵抗器R21aの両端に接続されている。そして、増幅回路83aは、切替回路81aから出力されるモータ13aのモータ電流により抵抗器R21aの両端に生じる電圧を増幅して、制御部31に入力する。制御部31は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいて、モータ13aのモータ電流の監視を行う。
他席用制御回路35bは、他席用ユニット22bを介して、モータ13bの制御を行う回路であり、他席用制御回路35cは、他席用ユニット22cを介して、モータ13cの制御を行う回路である。他席用制御回路35b及び他席用制御回路35cの回路構成は、他席用制御回路35aと同様であり、その説明及び図示は省略する。なお、図示を省略した他席用制御回路35bの各部の符号には、他席用制御回路35aの各部の符号の末尾の”a”を”b”に置き換えた符号を用いる。また、図示を省略した他席用制御回路35cの各部の符号には、他席用制御回路35cの各部の符号の末尾の”a”を”c”に置き換えた符号を用いる。
入力回路36は、制御部31と配線L6との間に接続されており、メインリレー14がオンされている場合、入力回路36に配線L6を介して電源が供給される。そして、入力回路36は、制御部31に信号を出力し、制御部31を休止状態から通常動作ができる状態に起動させる。逆に、メインリレー14がオフされている場合、入力回路36から制御部31に信号が供給されないため、制御部31は、通常動作ができる状態から休止状態に移行する。
なお、制御部31が休止状態から通常動作ができる状態に移行するまでには、初期化等の所定の処理を行う時間が必要となる。ここで、制御部31が起動するとは、少なくとも他席の窓の開閉を行うモータ13a乃至13cのモータ電流の監視を行うことができる状態になることである。
電源回路37は、配線L3を介して電源Bの正極に接続されており、電源Bからの電力を窓開閉制御装置21の各部に供給する。
他席用ユニット22aは、他席用サブスイッチ91aを含むように構成される。
他席用サブスイッチ91aは、助手席において助手席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。他席用サブスイッチ91aは、接点91Ua及び91Daを含むように構成される。
接点91Uaは、助手席の窓を閉めるために他席用サブスイッチ91aが操作された場合に切り替わる切替接点である。接点91Uaの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。接点91Uaの常閉端子(NC端子)である端子bは、配線L4aを介してリレー接点81YUaの端子cに接続されている。接点91Uaの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L7aを介してモータ13aの一端に接続されている。例えば、他席用サブスイッチ91aに対して助手席の窓を閉めるための閉操作が行われている場合、端子aと端子cが接続され、閉操作が行われていない場合、端子bと端子cが接続される。
接点91Daは、助手席の窓を開けるために他席用サブスイッチ91aが操作された場合に切り替わる切替接点である。接点91Daの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。接点91Daの常閉端子(NC端子)である端子bは、配線L5aを介してリレー接点81YDaの端子cに接続されている。接点91Daの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L8aを介してモータ13aの他端に接続されている。例えば、他席用サブスイッチ91aに対して助手席の窓を開けるための開操作が行われている場合、端子aと端子cが接続され、開操作が行われていない場合、端子bと端子cが接続される。
なお、以下、モータ電流が接点91Ua、モータ13a、接点91Daの順に流れる方向を順方向と称し、接点91Da、モータ13a、接点91Uaの順に流れる方向を逆方向と称する。また、以下、モータ13aに順方向のモータ電流が流れた場合、助手席の窓が上方向に移動し、助手席の窓が閉まり、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れた場合、助手席の窓が下方向に移動し、助手席の窓が開くものとする。
なお、他席用ユニット22b及び22cの回路構成は、他席用ユニット22aと同様であり、その説明は省略する。
ここで、窓開閉制御装置21とモータ12とは、配線L1,L2の2本の配線で接続され、窓開閉制御装置21と各他席用ユニット22a乃至22cとは、配線L4a乃至L4c及び配線L5a乃至L5cの6本の配線で接続されている。すなわち、窓開閉制御装置21は、車両に設けられているモータ12及び他席用ユニット22a乃至22cと少ない配線で簡単に接続することが可能である。
なお、図1では、窓開閉制御装置21と他席用ユニット22a乃至22cとが、配線L6を介して接続されているが、配線L6は、メインリレー14と、窓開閉制御装置21及び他席用ユニット22a乃至22cとを接続するものである。従って、必ずしも窓開閉制御装置21と他席用ユニット22a乃至22cとを配線L6で直接接続する必要はない。
なお、以下、モータ13a乃至13cを個々に区別する必要がない場合、単にモータ13と称する。また、以下、他席用ユニット22a乃至22c、他席用メインスイッチ33a乃至33c、及び、他席用制御回路35a乃至35cをそれぞれ個々に区別する必要がない場合、それぞれ単に他席用ユニット22、他席用メインスイッチ33、及び、他席用制御回路35と称する。
さらに、以下、他席用ユニット22a乃至22c、他席用メインスイッチ33a乃至33c、及び、他席用制御回路35a乃至35c内の各部を個々に区別する必要がない場合、末尾の”a”乃至”c”を除いた符号を用いる。例えば、他席用ユニット22a乃至22cの他席用サブスイッチ91a乃至91cを個々に区別する必要がない場合、単に他席用サブスイッチ91と称する。
また、以下、切替接点の端子aと端子cを接続すること(a接点をオンすること)を、切替接点をオンすると称する。例えば、接点91Uaの端子aと端子cを接続することを、接点91Uaをオンすると称する。また、以下、切替接点の端子bと端子cを接続すること(b接点をオンすること)を、切替接点をオフすると称する。例えば、接点91Uaの端子bと端子cを接続することを、接点91Uaをオフすると称する。
{駆動回路82aの構成例}
図2は、駆動回路82aの構成例を示している。
駆動回路82aは、抵抗器R31a乃至R38a、トランジスタTR1a乃至TR4a、及び、コイル81XUa,81XDaを含むように構成される。また、駆動回路82aは、ダイオードDa及びメインリレー14を介して、電源Bの正極に接続されている。
なお、コイル81XUaは、リレー回路81Uaのリレー接点81YUaの駆動用のコイルであり、コイル81XDaは、リレー回路81Daのリレー接点81YDbの駆動用のコイルである。
抵抗器R31aは、トランジスタTR1aのベースと制御部31の間に接続されている。抵抗器R32aは、トランジスタTR1aのベースとエミッタの間に接続されている。トランジスタTR1aのコレクタは、トランジスタTR2aのベースに接続されるとともに、抵抗器R33aを介して、ダイオードDaのカソードに接続されている。トランジスタTR1aのエミッタは、グラウンドに接続されている。抵抗器R34aは、トランジスタTR2aのベースとエミッタの間に接続されている。コイル81XUaは、トランジスタTR2aのコレクタとダイオードDaのカソードの間に接続されている。トランジスタTR2aのエミッタは、グラウンドに接続されている。
抵抗器R35aは、トランジスタTR3aのベースと制御部31の間に接続されている。抵抗器R36aは、トランジスタTR3aのベースとエミッタの間に接続されている。トランジスタTR3aのコレクタは、トランジスタTR4aのベースに接続されるとともに、抵抗器R37aを介して、ダイオードDaのカソードに接続されている。トランジスタTR3aのエミッタは、グラウンドに接続されている。抵抗器R38aは、トランジスタTR4aのベースとエミッタの間に接続されている。コイル81XDaは、トランジスタTR4aのコレクタとダイオードDaのカソードの間に接続されている。トランジスタTR4aのエミッタは、グラウンドに接続されている。
ダイオードDaのアノードは、メインリレー14に接続されている。
なお、トランジスタTR1a及びTR3aは、制御部31(開閉制御部104)により駆動され、制御部31が起動していない場合オフする。
トランジスタTR2aは、後述するように、メインリレー14を介して電源Bからコイル81XUaに流れる電流を制御する。なお、トランジスタTR2aは、メインリレー14がオフされ、電源Bから駆動回路82aに電流が供給されていない場合、ベース電流が流れないためオフする。
トランジスタTR4aは、後述するように、メインリレー14を介して電源Bからコイル81XDaに流れる電流を制御する。なお、トランジスタTR4aは、メインリレー14がオフされ、電源Bから駆動回路82aに電流が供給されていない場合、ベース電流が流れないためオフする。
なお、コイル81XUa及びコイル81XDaは、メインリレー14を介さずに、直接電源Bの正極に接続することも可能である。
また、他席用制御回路35bの駆動回路82b及び他席用制御回路35cの駆動回路82bも、駆動回路82aと同様の回路構成を有しており、それらの図示及び説明は省略する。
{制御部31の機能の構成例}
図3は、制御部31の機能の構成例を示している。制御部31は、操作検出部101、窓位置検出部102、挟み込み検出部103、及び、開閉制御部104を含むように構成される。なお、この図には、制御部31の機能の一部であり、以下の説明に必要な機能のみを図示している。
操作検出部101は、入力回路52及び62a乃至62cから供給される信号に基づいて、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作を検出する。また、操作検出部101は、増幅回路83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ13a乃至13cのモータ電流を監視する。そして、操作検出部101は、モータ13a乃至13cのモータ電流に基づいて、他席用サブスイッチ91a乃至91cに対する操作を検出する。操作検出部101は、検出結果を制御部31の各部に供給する。
窓位置検出部102は、増幅回路73及び83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流を監視する。窓位置検出部102は、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流、並びに、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作の検出結果に基づいて、車両の各席の窓の位置及び動作方向を検出する。窓位置検出部102は、検出結果を制御部31の各部に供給する。また、窓位置検出部102は、各窓の最新の位置を記憶する。
挟み込み検出部103は、増幅回路73及び83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流を監視する。挟み込み検出部103は、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作の検出結果、並びに、車両の各席の窓の位置及び動作方向の検出結果に基づいて、各窓の挟み込みの検出を行う。挟み込み検出部103は、検出結果を制御部31の各部に供給する。
開閉制御部104は、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作、各窓の位置及び動作方向、並びに、各窓の挟み込みの有無の検出結果に基づいて、車両の各窓の開閉を制御する。具体的には、開閉制御部104は、駆動回路72を制御して、リレー回路71U及び71Dを制御することにより、モータ12のモータ電流を制御し、運転席の窓の開閉を制御する。また、開閉制御部104は、駆動回路82a乃至82cを制御して、リレー回路81Ua乃至81Uc及び81Da乃至81Dcを制御することにより、モータ13a乃至13cのモータ電流を制御し、助手席及び左右の後部座席の窓の開閉を制御する。
{パワーウインドウシステム1の基本動作}
次に、図4乃至図13を参照して、パワーウインドウシステム1の基本的な動作について説明する。なお、図4乃至図13では、特に説明に必要のない部分及び符号の図示を省略している。
(制御部31が起動するまでのパワーウインドウシステム1の動作)
まず、図4乃至図7を参照して、メインリレー14がオンされてから制御部31が起動するまでのパワーウインドウシステム1の動作について説明する。
図4は、メインリレー14がオンされた後、まだ制御部31が起動していない場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
メインリレー14がオンされると、メインリレー14及び配線L6を介して、電源Bと各他席用ユニット22が電気的に接続される。これにより、各モータ13は、各他席用ユニット22を介して、電源Bと電気的に接続可能な状態になる。
また、メインリレー14がオンされると、電源Bから、メインリレー14、ダイオードDa、及び、抵抗器R33aを介して、トランジスタTR2aにベース電流が流れ、トランジスタTR2aにコレクタ電流が流れる(トランジスタTR2aがオンする)。これにより、コイル81XUaに電流が流れ、リレー接点81YUaがオンし、端子aと端子cが接続する。
また、電源Bから、メインリレー14、ダイオードDa、及び、抵抗器R37aを介して、トランジスタTR4aにベース電流が流れ、トランジスタTR4aにコレクタ電流が流れる(トランジスタTR4aがオンする)。これにより、コイル81XDaに電流が流れ、リレー接点81YDaがオンし、端子aと端子cが接続する。
この状態において、他席用サブスイッチ91aの接点91Uaの端子a及び接点91Daの端子aは、メインリレー14を介して、電源Bの正極に電気的に接続されている。他席用サブスイッチ91aの接点91Uaの端子bは、メインリレー14及びリレー接点81YUaの端子aを介して、電源Bの正極に電気的に接続されている。他席用サブスイッチ91aの接点91Daの端子bは、メインリレー14及びリレー接点81YDaの端子aを介して、電源Bの正極に電気的に接続されている。従って、接点91Uaの端子a及び端子b、並びに、接点91Daの端子a及び端子bは、電源Bの電極とほぼ同電位となる。
なお、制御部31が起動していないため、トランジスタTR1a及びTR3aはオフしたままである。つまり、制御部31が起動していない場合、制御部31の出力が低電位となるため、抵抗器R31a及び抵抗器R35aには制御部31から電力が供給されず、トランジスタTR1a及びTR3aはオフしている。
なお、起動前の制御部31からトランジスタTR1a及びTR3aへの出力を、低電位ではなく高インピーダンス状態にするようにしてもよい。
また、トランジスタTR1a及びTR3aをNPN型からPNP型に変更することも可能である。この場合、起動前の制御部31のトランジスタTR1a及びTR3aへの出力を、高電位あるいは高インピーダンス状態にするようにすればよい。
さらに、バイポーラトランジスタの代わりに、その他のスイッチング素子、例えば電界効果トランジスタ等を用いて駆動回路82を構成しても良い。
図5は、メインリレー14がオンされた後、制御部31の起動前に、他席用サブスイッチ13aに対して閉操作が行われたときのパワーウインドウシステム1の状態を示している。
他席用サブスイッチ13aに対して閉操作が行われた場合、図5に示されるように、接点91Uaがオンし、端子aと端子cが接続する。しかし、モータ13aの両端がほぼ同電位となり、モータ電流が流れないため、助手席の窓は動かない。
図6は、メインリレー14がオンされた後、制御部31の起動前に、他席用サブスイッチ13aに対して開操作が行われたときのパワーウインドウシステム1の状態を示している。
他席用サブスイッチ13aに対して開操作が行われた場合、図6に示されるように、接点91Daがオンし、端子aと端子cが接続する。しかし、モータ13aの両端がほぼ同電位となり、モータ電流が流れないため、助手席の窓は動かない。
このように、制御部31の起動前は、他席用サブスイッチ13aの操作が無効になり、他席用サブスイッチ13aによる助手席の窓の開閉が禁止される。
なお、詳細な説明は省略するが、他席用制御回路35b及び他席用制御回路35cも、他席用制御回路35aと同様の動作を行う。これにより、制御部31の起動前の他席用サブスイッチ91b及び91cによる左右の後部座席の窓の開閉が禁止される。
また、制御部31は、起動前の状態において、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33に対する操作を検出することができず、駆動回路72及び駆動回路82の駆動も行えない。従って、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33に対する操作は無効になり、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33による車両の各窓の開閉が禁止される。
図7は、制御部31が起動した直後のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
開閉制御部104は、制御部31が起動したとき、トランジスタTR1a及びTR3aへのベース電流の供給を開始し、トランジスタTR1a及びTR3aがオンする。トランジスタTR1aがオンすると、トランジスタTR2aにベース電流が流れなくなり、トランジスタTR2aがオフする。これにより、コイル81XUaに電流が流れなくなり、リレー接点81YUaがオフし、端子bと端子cが接続される。また、トランジスタTR3aがオンすると、トランジスタTR4aにベース電流が流れなくなり、トランジスタTR4aがオフする。これにより、コイル81XDaに電流が流れなくなり、リレー接点81YDaがオフし、端子bと端子cが接続される。そして、リレー接点81YUa及び81YDaがオフすると、図12及び図13を参照して後述するように、他席用サブスイッチ91aによる助手席の窓の開閉が可能になる。
なお、詳細な説明は省略するが、他席用制御回路35b及び他席用制御回路35cも、他席用制御回路35aと同様の動作を行う。その結果、他席用サブスイッチ91b及び91cによる左右の後部座席の窓の開閉が可能になる。
(制御部31が動作中のパワーウインドウシステム1の動作)
次に、図8乃至図13を参照して、制御部31が動作中のパワーウインドウシステム1の動作について説明する。すなわち、制御部31が起動して、パワーウインドウシステム1が上述した図7に示される状態になってから制御部31が停止する前までのパワーウインドウシステム1の動作について説明する。
(運転席用メインスイッチ32に対して閉操作が行われた場合)
まず、運転席用メインスイッチ32に対して閉操作が行われた場合の動作について説明する。図8は、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル閉操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル閉操作が行われた場合、接点51Uがオンする。そして、操作検出部101が接点51Uのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオンする。これにより、電源Bから、リレー接点71YUの端子a、モータ12、リレー接点71YDの端子b、及び、抵抗器R11を介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ12に順方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が閉まる。
一方、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル閉操作が停止された場合、接点51Uがオフする。そして、操作検出部101が接点51Uのオフを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオフする。これにより、モータ12へのモータ電流の供給が停止し、運転席の窓の閉動作が停止する。
また、運転席用メインスイッチ32に対してオート閉操作が行われた場合、接点51U及び接点51Aがオンする。そして、マニュアル閉操作が行われた場合と同様に、リレー接点71YUがオンし、モータ12に順方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が閉まる。その後、運転席用メインスイッチ32に対するオート閉操作が停止され、接点51U及び接点51Aがオフしても、開閉制御部104は、運転席の窓が全閉されるまで、駆動回路72を介して、リレー接点71YUがオンした状態を維持する。これにより、運転席の窓が自動的に全閉する。
なお、例えば、運転席の窓のオート閉動作の最中に、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル開操作又はオート開操作が行われ、操作検出部101が接点51Dのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオフする。これにより、運転席のオート閉動作が停止する。
(運転席用メインスイッチ32に対して開操作が行われた場合)
次に、運転席用メインスイッチ32に対して開操作が行われた場合の動作について説明する。図9は、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル開操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル開操作が行われた場合、接点51Dがオンする。そして、操作検出部101が接点51Dのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YDをオンする。これにより、電源Bから、リレー接点71YDの端子a、モータ12、リレー接点71YUの端子b、及び、抵抗器R11を介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ12に逆方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が開く。
一方、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル開操作が停止された場合、接点51Dがオフする。そして、操作検出部101が接点51Dのオフを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YDをオフする。これにより、モータ12へのモータ電流の供給が停止し、運転席の窓の開動作が停止する。
また、運転席用メインスイッチ32に対してオート開操作が行われた場合、接点51D及び接点51Aがオンする。そして、マニュアル開操作が行われた場合と同様に、リレー接点71YDがオンし、モータ12に逆方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が開く。その後、運転席用メインスイッチ32に対するオート開操作が停止され、接点51D及び接点51Aがオフしても、開閉制御部104は、運転席の窓が全開されるまで、駆動回路72を介して、リレー接点71YDがオンした状態を維持する。これにより、運転席の窓が自動的に全開する。
なお、例えば、運転席の窓のオート開動作の最中に、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル閉操作又はオート閉操作が行われ、操作検出部101が接点51Uのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YDをオフする。これにより、運転席のオート開動作が停止する。
(他席用メインスイッチ33aに対して閉操作が行われた場合)
次に、他席用メインスイッチ33aに対して閉操作が行われた場合の動作について説明する。図10は、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル閉操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル閉操作が行われた場合、接点61Uaがオンする。そして、操作検出部101が接点61Uaのオンを検出すると、開閉制御部104は、トランジスタTR1aへのベース電流の供給を停止する。これにより、トランジスタTR1aがオフし、トランジスタTR2aにベース電流が流れ、トランジスタTR2aがオンする。そして、コイル81XUaに電流が流れ、リレー接点81YUaがオンし、端子aと端子cが接続する。一方、トランジスタTR3aへのベース電流の供給は継続され、リレー接点81YDaはオフされたままとなる。
これにより、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YUaの端子a、接点91Uaの端子b、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点81YDaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が閉まる。
一方、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル閉操作が停止された場合、接点61Uaがオフする。そして、操作検出部101が接点61Uaのオフを検出すると、開閉制御部104は、トランジスタTR1aへのベース電流の供給を開始する。これにより、トランジスタTR1aがオンし、トランジスタTR2aにベース電流が流れなくなり、トランジスタTR2aがオフする。そして、コイル81XUaに電流が流れなくなり、リレー接点81YUaがオフし、端子bと端子cが接続する。一方、トランジスタTR3aへのベース電流の供給は継続され、リレー接点81YDaはオフされたままとなる。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の閉動作が停止する。
また、他席用メインスイッチ33aに対してオート閉操作が行われた場合、接点61Ua及び接点61Aaがオンする。そして、マニュアル閉操作が行われた場合と同様に、リレー接点81YUaがオンし、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が閉まる。その後、他席用メインスイッチ33aに対するオート閉操作が停止され、接点61Ua及び接点61Aaがオフしても、開閉制御部104は、助手席の窓が全閉されるまで、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaがオンし、リレー接点81YDaがオフした状態を維持する。これにより、助手席の窓が自動的に全閉する。
なお、例えば、助手席の窓のオート閉動作の最中に、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル開操作又はオート開操作が行われ、操作検出部101が接点61Daのオンを検出すると、開閉制御部104は、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル閉操作が停止された場合と同様に、リレー接点81YDaをオフしたまま、リレー接点81YUaをオフする。これにより、助手席のオート閉動作が停止する。
(他席用メインスイッチ33aに対して開操作が行われた場合)
次に、他席用メインスイッチ33aに対して開操作が行われた場合の動作について説明する。図11は、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル開操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル開操作が行われた場合、接点61Daがオンする。そして、操作検出部101が接点61Daのオンを検出すると、開閉制御部104は、トランジスタTR3aへのベース電流の供給を停止する。これにより、トランジスタTR3aがオフし、トランジスタTR4aにベース電流が流れ、トランジスタTR4aがオンする。そして、コイル81XDaに電流が流れ、リレー接点81YDaがオンし、端子aと端子cが接続する。一方、トランジスタTR1aへのベース電流の供給は継続されたままであり、リレー接点81YUaはオフされたままとなる。
これにより、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YDaの端子a、接点91Daの端子b、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が開く。
一方、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル開操作が停止された場合、接点61Daがオフする。そして、操作検出部101が接点61Daのオフを検出すると、開閉制御部104は、トランジスタTR3aへのベース電流の供給を開始する。これにより、トランジスタTR3aがオンし、トランジスタTR4aにベース電流が流れなくなり、トランジスタTR4aがオフする。そして、コイル81XDaに電流が流れなくなり、リレー接点81YDaがオフし、端子bと端子cが接続する。一方、トランジスタTR1aへのベース電流の供給は継続され、リレー接点81YUaはオフされたままとなる。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の開動作が停止する。
また、他席用メインスイッチ33aに対してオート開操作が行われた場合、接点61Da及び接点61Aaがオンする。そして、マニュアル開操作が行われた場合と同様に、リレー接点81YDaがオンし、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が開く。その後、他席用メインスイッチ33aに対するオート開操作が停止され、接点61Da及び接点61Aaがオフしても、開閉制御部104は、助手席の窓が全開されるまで、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaがオフし、リレー接点81YDaがオンした状態を維持する。これにより、助手席の窓が自動的に全開する。
なお、例えば、助手席の窓のオート開動作の最中に、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル閉操作又はオート閉操作が行われ、操作検出部101が接点61Uaのオンを検出すると、開閉制御部104は、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル開操作が停止された場合と同様に、リレー接点81YUaをオフしたまま、リレー接点81YDaをオフする。これにより、助手席のオート開動作が停止する。
なお、詳細な説明は省略するが、他席用メインスイッチ33b又は33cに対して操作を行った場合も、同様の方法により右又は左の後部座席の窓を開閉することができる。
(他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合)
次に、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合の動作について説明する。図12は、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合、接点91Uaがオンする。また、図7を参照して上述したように、制御部31の起動後は、リレー接点81YUa及び81YDaがオフしている。従って、接点91Uaのオンに伴い、電源Bから、メインリレー14、接点91Uaの端子a、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点81YDaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が閉まる。
一方、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が停止された場合、接点91Uaがオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の閉動作が停止する。
(他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合)
次に、他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合の動作について説明する。図13は、他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合、接点91Daがオンする。また、図7を参照して上述したように、制御部31の起動後は、リレー接点81YUa及び81YDaがオフしている。従って、接点91Daのオンに伴い、電源Bから、メインリレー14、接点91Daの端子a、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が開く。
一方、他席用サブスイッチ91aに対する開操作が停止された場合、接点91Daがオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の開動作が停止する。
なお、詳細な説明は省略するが、他席用サブスイッチ91b又は91cに対して操作を行った場合も、同様の方法により右又は左後部座席の窓を開閉することができる。
図14は、制御部31の起動前と起動後において、各他席用サブスイッチ91への操作に対する他席の窓の動作をまとめた表である。
上述したように、制御部31の起動前は、各他席用サブスイッチ91に対する閉操作及び開操作のいずれの操作も無効になり、他席の窓の開閉動作が禁止される。一方、制御部31の起動後は、他席用サブスイッチ91に対する操作が有効になり、他席の窓の開閉動作が可能になる。
このように、窓開閉制御装置21と他席用ユニット22との間に配線を追加したり、他席用ユニット22の構成を変えたりすることなく、簡易な構成の駆動回路82により、制御部31の起動前の他席用サブスイッチ91による他席の窓の開閉を禁止することができる。
また、制御部31は、起動前の状態において、ロック機能の設定用の接点51Lの状態を認識できないため、他席用サブスイッチ91に対するロック機能を有効に動作させることができない。しかし、制御部31の起動前は、各他席用サブスイッチ91による他席の窓の開閉動作が禁止されるため、制御部31の起動前に他席用サブスイッチ91が操作された場合に、ロック機能が設定されているにも関わらず、他席の窓が開閉されることが防止される。
さらに、後述するように、他席の窓の位置の検出精度を向上させることができる。
{車両の各窓の位置の検出方法}
次に、図15を参照して、車両の各窓の位置の検出方法の例について説明する。
窓位置検出部102は、増幅回路73及び83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ12及びモータ13a乃至13cを流れるモータ電流を常時監視している。また、各モータを流れるモータ電流には、リップルが含まれている。そして、挟み込みが発生していない状態では、モータ電流のリップルの波形は、図15の上のグラフに示すような安定した波形となる。
窓位置検出部102は、このモータ電流のリップルを図15の下のグラフに示すようなパルス列に変換する。そして、窓位置検出部102は、図15のパルス列に基づいて、各モータの回転数を算出し、算出したモータの回転数に基づいて、運転席及び他席の各窓の位置を検出する。このため、各窓の位置を検出するためのセンサが不要となる。また、窓位置検出部102は、各窓の最新の位置を記憶する。
ここで、他席用サブスイッチ91aの接点91Ua及び接点91Daの状態を示す信号が制御部31に供給されないため、制御部31は、接点91Ua及び接点91Daの状態を検出することができない。従って、操作検出部101は、他席用サブスイッチ91aに対して開操作又は閉操作のいずれの操作が行われているかを、接点91Ua及び接点91Daの状態により直接検出することができない。
一方、助手席の窓を閉める場合の方が、助手席の窓を開ける場合より、窓を持ち上げる分だけモータ13aにかかる負荷が大きくなる。従って、窓を閉める場合の方が、窓を開ける場合より、モータ13aを流れるモータ電流が大きくなる。
そこで、操作検出部101は、他席用サブスイッチ91aにより助手席の窓の開閉を行っている場合、モータ13aのモータ電流の大きさに基づいて、他席用サブスイッチ91aの操作方向(閉操作又は開操作)を検出する。同様に、窓位置検出部102は、モータ13aのモータ電流の大きさに基づいて、窓の動作方向(閉めているのか開けているのか)を検出する。
これは、他席用サブスイッチ91bにより右後部座席の窓の開閉を行っている場合、及び、他席用サブスイッチ91cにより左後部座席の窓の開閉を行っている場合も同様である。
なお、各他席用制御回路35に、モータ電流を検出するための抵抗器と増幅回路を2組ずつ設けるようにしてもよい。例えば、他席用制御回路35aのリレー接点81YUaの端子bとリレー接点81YDaの端子bに接続される抵抗器を共通化せずに、個別に設けるようにしてもよい。
具体的には、リレー接点81YUaの端子bとグラウンドとの間に第1の抵抗器を設け、第1の抵抗器の両端の電圧を増幅する増幅回路を設ける。また、リレー接点81YDaの端子bとグラウンドとの間に第2の抵抗器を設け、第2の抵抗器の両端の電圧を増幅する増幅回路を設ける。その結果、助手席の窓が開く場合には、リレー接点81YUaの端子bから第1の抵抗器を介してグラウンドに電流が流れる。助手席の窓が閉まる場合には、リレー接点81YDaの端子bから第2の抵抗器を介してグランドに電流が流れる。これにより、他席用サブスイッチ91aの操作方向、及び、助手席の窓の動作方向をより確実に検出することが可能になる。
これは、他席用制御回路35b及び35cについても同様である。
また、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cにより窓の開閉が行われている場合、各スイッチの接点の状態を示す信号が制御部31に供給される。従って、窓位置検出部102は、モータ電流の大きさによらずに、各窓の動作方向を検出することが可能である。なお、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cにより窓の開閉が行われている場合も同様に、モータ電流の大きさにより、窓の動作方向を検出するようにすることも可能である。
ここで、窓位置検出部102は制御部31に含まれるため、制御部31の起動前には他席の窓の位置を検出することができない。一方、上述したように、制御部31の起動前は、他席用サブスイッチ91による他席の窓の開閉が禁止されるため、窓位置検出部102が動作可能な状態になる前に、他席の窓の位置が変化することがない。従って、制御部31の起動前に他席用サブスイッチ91が操作され、他席の窓が動いてしまい、窓位置検出部102が認識している他席の窓の位置と実際の窓の位置との間にズレが生じることが防止される。その結果、他席の窓の位置の検出精度が向上する。
{車両の各窓の挟み込みの検出方法}
次に、図16を参照して、各窓の挟み込みの検出方法の例について説明する。
挟み込みが発生すると、モータ電流のリップルは、図16の上のグラフに示すように、電流レベルが増大しかつリップルの周期が伸びる不安定な波形となる。そして、このリップルをパルス列に変換すると、図16の下のグラフに示すようなパルス列となる。
ここで、挟み込み検出部103は、このリップルの周期Tの変化を監視し、周期Tが一定以上になった場合に、挟み込みが発生したと判定する。あるいは、周期Tに代えて、パルスの幅Wが一定以上になった場合に、挟み込みが発生したと判定するようにしてもよい。このようにして、モータ電流のリップルに基づいて、挟み込みを検出することができる。
なお、挟み込み検出部103は、運転席用メインスイッチ32及び各他席用メインスイッチ33に対する操作の検出結果、並びに、各席の窓の位置及び動作方向の検出結果に基づいて、挟み込みが発生し得ない状況であると判定した場合、上記の条件を満たしていても、挟み込みは発生していないと判定する。例えば、窓を開けている場合等である。
以上のように、運転席以外の他席に制御部を設けず、配線を少なくした簡単な構成により、窓開閉制御装置21において、運転席から運転席及び他席の窓の制御(オート開閉動作およびマニュアル開閉動作)を行うことが可能になる。また、各他席用ユニット22に変更を加えることなく、窓開閉制御装置21を接続するだけで容易に機能の向上を図ることができるため、窓開閉制御装置21を後付けパーツやオプション品としても提供しやすくなる。さらに、窓開閉制御装置21の制御部31で各席のモータ12及びモータ13a乃至cのモータ電流を監視することにより、センサ類を設けずに、各席の窓の位置及び挟み込みを検出することが可能になる。
また、窓開閉制御装置21への通電開始時における他席の窓位置の計算値の誤差を低減し、窓位置の検出精度を向上させることができる。さらに、窓開閉制御装置21への通電開始前に、ロック機能が設定されているにも関わらず、他席用サブスイッチ91を操作することにより他席の窓が開閉されることを防止することができる。
<2.変形例>
以下、上述した本発明の実施の形態の変形例について説明する。
以上の説明では、他席の窓の数が3つである例を示したが、他席の窓の数は任意に設定することが可能である。そして、他席の窓の数に応じて、モータ13、他席用ユニット22、他席用メインスイッチ33、及び、他席用制御回路35の数を増減させるようにすればよい。
また、メインリレー14の代わりに、例えば、マニュアルのスイッチを用いたり、イグニッションスイッチ16を直接用いたりすることも可能である。
なお、本発明は、車両の種類によらず、パワーウインドウ機能を有する車両に適用することが可能である。
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。