以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(他席用サブスイッチに対する操作の検出方法の第1の例)
2.第2の実施の形態(他席用サブスイッチに対する操作の検出方法の第2の例)
3.変形例
<1.第1の実施の形態>
{パワーウインドウシステム1の構成例}
図1は、本発明を適用したパワーウインドウシステムの第1の実施の形態であるパワーウインドウシステム1の構成例を示す回路図である。なお、以下、パワーウインドウシステム1が、車両の運転席側、助手席側、右後部座席側、及び、左後部座席側の4つの窓の開閉を行う場合について説明する。
なお、以下、運転席側の窓、助手席側の窓、右後部座席側の窓、及び、左後部座席側の窓を、それぞれ単に運転席の窓、助手席の窓、右後部座席の窓、及び、左後部座席の窓とも称する。また、以下、運転席とは異なる席を他席と総称する。
パワーウインドウシステム1は、窓開閉制御システム11、モータ12、モータ13a乃至13c、メインリレー14、BCM(Body Control Module)15、イグニッションスイッチ16、及び、電源Bを含むように構成される。
窓開閉制御システム11は、車両の窓の開閉を行うための操作部を含み、操作部に対する操作に応じて、モータ12及びモータ13a乃至13cに流れるモータ電流のオン/オフ及び方向を制御し、車両の各窓の開閉を制御する。なお、モータ12は、運転席の窓の開閉を行うモータであり、モータ13a乃至13cは、それぞれ助手席、右後部座席、及び、左後部座席の窓の開閉を行うモータである。
メインリレー14は、BCM15の制御の下に、電源Bからモータ13a乃至13cへの電路を開閉する。具体的には、イグニッションスイッチ16がオンされた場合、BCM15はメインリレー14の接点をオンする。これにより、電源Bからモータ13a乃至13cへのモータ電流の供給が可能になり、助手席及び左右の後部座席の窓の開閉が可能になる。一方、イグニッションスイッチ16がオフされた場合、BCM15はメインリレー14の接点をオフする。これにより、電源Bからモータ13a乃至13cへのモータ電流の供給ができなくなり、助手席及び左右の後部座席の窓の開閉ができなくなる。
電源Bは、例えば、車両に設けられているバッテリからなり、パワーウインドウシステム1の各部の駆動用の電力を供給する。
窓開閉制御システム11は、窓開閉制御装置21、及び、他席用ユニット22a乃至22cを含むように構成される。なお、他席用ユニット22a乃至22cは、メインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。
窓開閉制御装置21は、運転席付近(例えば、運転席側のドアの内側)に設けられ、運転席の窓及び他席の窓の開閉を運転席から行うための装置である。窓開閉制御装置21は、例えば、1つの筐体内に各部品が納められた1つのユニットとして提供される。
他席用ユニット22aは、助手席付近(例えば、助手席側のドアの内側)に設けられ、助手席において助手席の窓の開閉を行うためのユニットである。
他席用ユニット22bは、右後部座席付近(例えば、右後部座席側のドアの内側)に設けられ、右後部座席において右後部座席の窓の開閉を行うためのユニットである。
他席用ユニット22cは、左後部座席付近(例えば、左後部座席側のドアの内側)に設けられ、左後部座席において左後部座席の窓の開閉を行うためのユニットである。
窓開閉制御装置21は、制御部31、運転席用メインスイッチ32、他席用メインスイッチ33a乃至33c、運転席用制御回路34、他席用制御回路35a乃至35c、及び、電源回路36を含むように構成される。
制御部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成される。制御部31は、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作に応じて、運転席用制御回路34及び他席用制御回路35a乃至35cを制御し、車両の各窓の開閉を制御する。また、制御部31は、運転席用制御回路34及び他席用制御回路35a乃至35cから供給されるモータ電流の検出結果等に基づいて、各窓の動作方向(開いているか閉じているか)、及び、各窓の開閉方向の位置(以下、単に各窓の位置と称する)の検出を行う。
運転席用メインスイッチ32は、運転席において運転席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。運転席用メインスイッチ32は、接点51L、51U、51D及び51A、並びに、入力回路52を含むように構成される。
接点51Lは、他席用ユニット22a乃至22cの他席用サブスイッチ91a乃至91cに対する操作を無効にするロック機能の設定を行う場合に操作される常開型の接点である。接点51Lは、ロック機能を設定する操作を行った場合にオンし、解除する操作を行った場合にオフする。
接点51Uは、運転席の窓を閉める場合に操作される常開型の接点である。接点51Uは、運転席用メインスイッチ32に対して運転席の窓を閉めるための閉操作が行われている場合にオンし、閉操作が行われていない場合にオフする。
接点51Dは、運転席の窓を開ける場合に操作される常開型の接点である。接点51Dは、運転席用メインスイッチ32に対して運転席の窓を開けるための開操作が行われている場合にオンし、開操作が行われていない場合にオフする。
接点51Aは、運転席の窓を自動で開閉する場合に操作される常開型の接点である。接点51Aは、運転席用メインスイッチ32に対して運転席の窓を自動的に閉めるための開操作(以下、オート閉操作と称する)又は自動的に開けるための開操作(以下、オート開操作と称する)が行われた場合にオンする。
なお、以下、オート閉操作に対して、マニュアルで窓を閉めるための閉操作をマニュアル閉操作とも称し、マニュアルで窓を開けるための開操作をマニュアル開操作とも称する。
なお、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル操作とオート操作の方法は、スイッチの仕様により異なる。例えば、運転席用メインスイッチ32の操作ノブ(不図示)に対する操作の強弱により、マニュアル操作とオート操作が区別される。例えば、操作ノブを軽く引き上げる操作がマニュアル閉操作とされ、さらに力を加え、操作ノブをもう一段階強く引き上げる操作がオート閉操作とされる。一方、例えば、操作ノブを軽く押す操作がマニュアル開操作とされ、さらに力を加え、操作ノブをもう一段階強く押し下げる操作がオート開操作とされる。
或いは、例えば、運転席用メインスイッチの操作ノブに対する操作時間により、マニュアル操作とオート操作が区別される。例えば、操作ノブを引き上げる時間が所定の時間未満である場合、オート閉操作とされ、操作ノブを引き上げる時間が所定の時間以上である場合、マニュアル閉操作とされる。一方、操作ノブを押す時間が所定の時間未満である場合、オート開操作とされ、操作ノブを押す時間が所定の時間以上である場合、マニュアル開操作とされる。
入力回路52は、接点51L、51U、51D及び51Aの各接点の状態を示す信号を制御部31に供給する。
他席用メインスイッチ33aは、運転席において助手席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。他席用メインスイッチ33aは、接点61Ua、61Da及び61Aa、並びに、入力回路62aを含むように構成される。
接点61Uaは、助手席の窓を閉める場合に操作される常開型の接点である。接点61Uaは、他席用メインスイッチ33aに対して助手席の窓を閉めるための閉操作が行われている場合にオンし、閉操作が行われていない場合にオフする。
接点61Daは、助手席の窓を開ける場合に操作される常開型の接点である。接点61Daは、他席用メインスイッチ33aに対して助手席の窓を開けるための開操作が行われている場合にオンし、開操作が行われていない場合にオフする。
接点61Aaは、助手席の窓を自動で開閉する場合に操作される常開型の接点である。接点61Aaは、他席用メインスイッチ33aに対してオート閉操作又はオート開操作が行われた場合にオンする。
なお、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル操作とオート操作は、例えば、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル操作とオート操作と同様の方法により行われる。
入力回路62aは、接点61Ua、61Da及び61Aaの各接点の状態を示す信号を制御部31に供給する。
他席用メインスイッチ33b及び他席用メインスイッチ33cは、それぞれ運転席において右後部座席及び左後部座席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。他席用メインスイッチ33b及び他席用メインスイッチ33cは、他席用メインスイッチ33aと同様の回路構成を有しており、その説明及び図示は省略する。なお、図示を省略した他席用メインスイッチ33bの各部の符号には、他席用メインスイッチ33aの各部の符号の末尾の”a”を”b”に置き換えた符号を用いる。また、図示を省略した他席用メインスイッチ33cの各部の符号には、他席用メインスイッチ33aの各部の符号の末尾の”a”を”c”に置き換えた符号を用いる。
運転席用制御回路34は、モータ12の制御を行う回路である。運転席用制御回路34は、切替回路71、駆動回路72、増幅回路73、及び、抵抗器R11を含むように構成される。
切替回路71は、運転席の窓を閉める場合に駆動されるリレー回路71U(リレー接点71YUのみ図示)、並びに、運転席の窓を開ける場合に駆動されるリレー回路71D(リレー接点71YDのみ図示)を含むように構成される。
リレー回路71Uは、コイル71XU(不図示)、及び、コイル71XUを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点71YUを備えている。リレー接点71YUの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L3を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点71YUの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗器R11を介してグラウンドに接続されている。リレー接点71YUの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L1を介してモータ12の一端に接続されている。
リレー回路71Dは、コイル71XD(不図示)、及び、コイル71XDを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点71YDを備えている。リレー接点71YDの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L3を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点71YDの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗器R11を介してグラウンドに接続されている。リレー接点71YDの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L2を介してモータ12の他端に接続されている。
駆動回路72は、制御部31の制御の下に、リレー回路71U及び71Dを駆動する。すなわち、駆動回路72は、制御部31の制御の下に、リレー回路71Uのコイル71XU、及び、リレー回路71Dのコイル71XDへの駆動電流を制御することにより、リレー接点71YU及び71YDの状態を制御する。
増幅回路73は、抵抗器R11の両端に接続されている。増幅回路73は、切替回路71から出力されるモータ12のモータ電流により抵抗器R11の両端に生じる電圧を増幅して、制御部31に入力する。制御部31は、増幅回路73からの入力電圧に基づいて、モータ12のモータ電流の監視を行う。
なお、以下、モータ電流がリレー接点71YU、モータ12、リレー接点71YDの順に流れる方向を順方向と称し、リレー接点71YD、モータ12、リレー接点71YUの順に流れる方向を逆方向と称する。また、以下、モータ12に順方向のモータ電流が流れた場合、運転席の窓が上方向に移動し、運転席の窓が閉まり、モータ12に逆方向のモータ電流が流れた場合、運転席の窓が下方向に移動し、運転席の窓が開くものとする。
他席用制御回路35aは、他席用ユニット22aを介して、モータ13aの制御を行う回路である。他席用制御回路35aは、切替回路81a、駆動回路82a、増幅回路83a、抵抗器R21a、及び、抵抗器R22aを含むように構成される。
切替回路81aは、助手席の窓を閉める場合に駆動されるリレー回路81Ua(リレー接点81YUaのみ図示)、並びに、助手席の窓を開ける場合に駆動されるリレー回路81Da(リレー接点81YDaのみ図示)を含むように構成される。
リレー回路81Uaは、コイル81XUa(不図示)、及び、コイル81XUaを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点81YUaを備えている。リレー接点81YUaの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点81YUaの常閉端子(NC端子)である端子bは、直列に接続された抵抗器R21a及び抵抗器R22aを介してグラウンドに接続されている。リレー接点81YUaの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L4aを介して、他席用サブスイッチ91aの接点91Uaの端子bに接続されている。
リレー回路81Daは、コイル81XDa(不図示)、及び、コイル81XDaを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点81YDaを備えている。リレー接点81YDaの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点81YDaの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗器R22aを介してグラウンドに接続されている。リレー接点81YDaの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L5aを介して、他席用サブスイッチ91aの接点91Daの端子bに接続されている。
駆動回路82aは、制御部31の制御の下に、リレー回路81Ua及び81Daを駆動する。すなわち、駆動回路82aは、制御部31の制御の下に、リレー回路81Uaのコイル81XUa、及び、リレー回路81Daのコイル81XDaへの駆動電流を制御し、リレー接点81YUa及び81YDaの状態を制御する。
増幅回路83aは、抵抗器R21aと抵抗器R22aからなる合成抵抗の両端に接続されている。増幅回路83aは、リレー回路81aから出力されるモータ13aのモータ電流により合成抵抗の両端に生じる電圧を増幅して、制御部31に入力する。制御部31は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいて、モータ13aのモータ電流の監視を行う。
他席用制御回路35bは、他席用ユニット22bを介して、モータ13bの制御を行う回路であり、他席用制御回路35cは、他席用ユニット22cを介して、モータ13cの制御を行う回路である。他席用制御回路35b及び他席用制御回路35cの回路構成は、他席用制御回路35aと同様であり、その説明及び図示は省略する。なお、図示を省略した他席用制御回路35bの各部の符号には、他席用制御回路35aの各部の符号の末尾の”a”を”b”に置き換えた符号を用いる。また、図示を省略した他席用制御回路35cの各部の符号には、他席用制御回路35cの各部の符号の末尾の”a”を”c”に置き換えた符号を用いる。
電源回路36は、配線L3を介して電源Bの正極に接続されており、電源Bからの電力を窓開閉制御装置21の各部に供給する。
他席用ユニット22aは、他席用サブスイッチ91aを含むように構成される。
他席用サブスイッチ91aは、助手席において助手席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。他席用サブスイッチ91aは、接点91Ua及び91Daを含むように構成される。
接点91Uaは、助手席の窓を閉めるために他席用サブスイッチ91aが操作された場合に切り替わる切替接点である。接点91Uaの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。接点91Uaの常閉端子(NC端子)である端子bは、配線L4aを介してリレー接点81YUaの端子cに接続されている。接点91Uaの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L7aを介してモータ13aの一端に接続されている。例えば、他席用サブスイッチ91aに対して助手席の窓を閉めるための閉操作が行われている場合、端子aと端子cが接続され、閉操作が行われていない場合、端子bと端子cが接続される。
接点91Daは、助手席の窓を開けるために他席用サブスイッチ91aが操作された場合に切り替わる切替接点である。接点91Daの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。接点91Daの常閉端子(NC端子)である端子bは、配線L5aを介してリレー接点81YDaの端子cに接続されている。接点91Daの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L8aを介してモータ13aの他端に接続されている。例えば、他席用サブスイッチ91aに対して助手席の窓を開けるための開操作が行われている場合、端子aと端子cが接続され、開操作が行われていない場合、端子bと端子cが接続される。
なお、以下、モータ電流が接点91Ua、モータ13a、接点91Daの順に流れる方向を順方向と称し、接点91Da、モータ13a、接点91Uaの順に流れる方向を逆方向と称する。また、以下、モータ13aに順方向のモータ電流が流れた場合、助手席の窓が上方向に移動し、助手席の窓が閉まり、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れた場合、助手席の窓が下方向に移動し、助手席の窓が開くものとする。
なお、他席用ユニット22b及び22cの回路構成は、他席用ユニット22aと同様であり、その説明は省略する。
ここで、窓開閉制御装置21とモータ12とは、配線L1,L2の2本の配線で接続され、窓開閉制御装置21と各他席用ユニット22a乃至22cとは、配線L4a乃至L4c及び配線L5a乃至L5cの6本の配線で接続されている。すなわち、窓開閉制御装置21は、車両に設けられているモータ12及び他席用ユニット22a乃至22cと少ない配線で簡単に接続することが可能である。
なお、図1では、窓開閉制御装置21と他席用ユニット22a乃至22cとが、配線L6を介して接続されているが、配線L6は、メインリレー14と、窓開閉制御装置21及び他席用ユニット22a乃至22cとを接続するものである。従って、必ずしも窓開閉制御装置21と他席用ユニット22a乃至22cとを配線L6で直接接続する必要はない。
なお、以下、モータ13a乃至13cを個々に区別する必要がない場合、単にモータ13と称する。また、以下、他席用ユニット22a乃至22c、他席用メインスイッチ33a乃至33c、及び、他席用制御回路35a乃至35cをそれぞれ個々に区別する必要がない場合、それぞれ単に他席用ユニット22、他席用メインスイッチ33、及び、他席用制御回路35と称する。
さらに、以下、他席用ユニット22a乃至22c、他席用メインスイッチ33a乃至33c、及び、他席用制御回路35a乃至35c内の各部を個々に区別する必要がない場合、末尾の”a”乃至”c”を除いた符号を用いる。例えば、他席用ユニット22a乃至22cの他席用サブスイッチ91a乃至91cを個々に区別する必要がない場合、単に他席用サブスイッチ91と称する。
また、以下、切替接点の端子aと端子cを接続すること(a接点をオンすること)を、切替接点をオンすると称する。例えば、接点91Uaの端子aと端子cを接続することを、接点91Uaをオンすると称する。また、以下、切替接点(c接点)の端子bと端子cを接続すること(b接点をオンすること)を、切替接点をオフすると称する。例えば、接点91Uaの端子bと端子cを接続することを、接点91Uaをオフすると称する。
{制御部31の機能の構成例}
図2は、制御部31の機能の構成例を示している。制御部31は、操作検出部101、窓位置検出部102、及び、開閉制御部103を含むように構成される。なお、この図には、制御部31の機能の一部であり、以下の説明に必要な機能のみを図示している。
操作検出部101は、入力回路52及び62a乃至62cから供給される信号に基づいて、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作を検出する。また、操作検出部101は、増幅回路83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ13a乃至13cのモータ電流を監視する。そして、操作検出部101は、モータ13a乃至13cのモータ電流に基づいて、他席用サブスイッチ91a乃至91cに対する操作を検出する。操作検出部101は、検出結果を制御部31の各部に供給する。
窓位置検出部102は、増幅回路73及び83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流を監視する。窓位置検出部102は、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流、並びに、運転席用メインスイッチ32、他席用メインスイッチ33a乃至33c、及び、他席用サブスイッチ91a乃至91cに対する操作の検出結果に基づいて、車両の各席の窓の位置を検出する。窓位置検出部102は、検出結果を制御部31の各部に供給する。
開閉制御部103は、運転席用メインスイッチ32、他席用メインスイッチ33a乃至33c、及び、他席用サブスイッチ91a乃至91cに対する操作、並びに、各窓の位置の検出結果に基づいて、車両の各窓の開閉を制御する。具体的には、開閉制御部103は、駆動回路72を制御して、リレー回路71U及び71Dを制御することにより、モータ12のモータ電流を制御し、運転席の窓の開閉を制御する。また、開閉制御部103は、駆動回路82a乃至82cを制御して、リレー回路81Ua乃至81Uc及び81Da乃至81Dcを制御することにより、モータ13a乃至13cのモータ電流を制御し、助手席及び左右の後部座席の窓の開閉を制御する。
{パワーウインドウシステム1の基本動作}
次に、図3乃至図11を参照して、パワーウインドウシステム1の基本的な動作について説明する。なお、図3乃至図6、図9及び図10では、特に説明に必要のない部分及び符号の図示を省略している。
{運転席用メインスイッチ32に対して閉操作が行われた場合}
図3は、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル閉操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル閉操作が行われた場合、接点51Uがオンする。そして、操作検出部101が接点51Uのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオンする。これにより、電源Bから、リレー接点71YUの端子a、モータ12、リレー接点71YDの端子b、及び、抵抗器R11を介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ12に順方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が閉まる。
一方、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル閉操作が停止された場合、接点51Uがオフする。そして、操作検出部101が接点51Uのオフを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオフする。これにより、モータ12へのモータ電流の供給が停止し、運転席の窓の閉動作が停止する。
また、運転席用メインスイッチ32に対してオート閉操作が行われた場合、接点51U及び接点51Aがオンする。そして、マニュアル閉操作が行われた場合と同様に、リレー接点71YUがオンし、モータ12に順方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が閉まる。その後、運転席用メインスイッチ32に対するオート閉操作が停止され、接点51U及び接点51Aがオフしても、開閉制御部103は、運転席の窓が全閉されるまで、駆動回路72を介して、リレー接点71YUがオンした状態を維持する。これにより、運転席の窓が自動的に全閉する。
なお、例えば、運転席の窓のオート閉動作の最中に、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル開操作又はオート開操作が行われ、操作検出部101が接点51Dのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオフする。これにより、運転席のオート閉動作が停止する。
{運転席用メインスイッチ32に対して開操作が行われた場合}
図4は、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル開操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル開操作が行われた場合、接点51Dがオンする。そして、操作検出部101が接点51Dのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路72を介して、リレー接点71YDをオンする。これにより、電源Bから、リレー接点71YDの端子a、モータ12、リレー接点71YUの端子b、及び、抵抗器R11を介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ12に逆方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が開く。
一方、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル開操作が停止された場合、接点51Dがオフする。そして、操作検出部101が接点51Dのオフを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路72を介して、リレー接点71YDをオフする。これにより、モータ12へのモータ電流の供給が停止し、運転席の窓の開動作が停止する。
また、運転席用メインスイッチ32に対してオート開操作が行われた場合、接点51D及び接点51Aがオンする。そして、マニュアル開操作が行われた場合と同様に、リレー接点71YDがオンし、モータ12に逆方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が開く。その後、運転席用メインスイッチ32に対するオート開操作が停止され、接点51D及び接点51Aがオフしても、開閉制御部103は、運転席の窓が全開されるまで、駆動回路72を介して、リレー接点71YDがオンした状態を維持する。これにより、運転席の窓が自動的に全開する。
なお、例えば、運転席の窓のオート開動作の最中に、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル閉操作又はオート閉操作が行われ、操作検出部101が接点51Uのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路72を介して、リレー接点71YDをオフする。これにより、運転席のオート開動作が停止する。
{他席用メインスイッチ33aに対して閉操作が行われた場合}
図5は、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル閉操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル閉操作が行われた場合、接点61Uaがオンする。そして、操作検出部101が接点61Uaのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YUaの端子a、接点91Uaの端子b、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点81YDaの端子b、抵抗器R21a、及び、抵抗器R22aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が閉まる。
一方、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル閉操作が停止された場合、接点61Uaがオフする。そして、操作検出部101が接点61Uaのオフを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の閉動作が停止する。
また、他席用メインスイッチ33aに対してオート閉操作が行われた場合、接点61Ua及び接点61Aaがオンする。そして、マニュアル閉操作が行われた場合と同様に、リレー接点81YUaがオンし、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が閉まる。その後、他席用メインスイッチ33aに対するオート閉操作が停止され、接点61Ua及び接点61Aaがオフしても、開閉制御部103は、助手席の窓が全閉されるまで、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオンした状態を維持する。これにより、助手席の窓が自動的に全閉する。
なお、例えば、助手席の窓のオート閉動作の最中に、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル開操作又はオート開操作が行われ、操作検出部101が接点61Daのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオフする。これにより、助手席のオート閉動作が停止する。
{他席用メインスイッチ33aに対して開操作が行われた場合}
図6は、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル開操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル開操作が行われた場合、接点61Daがオンする。そして、操作検出部101が接点61Daのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YDaの端子a、接点91Daの端子b、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗器R22aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が開く。
一方、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル開操作が停止された場合、接点61Daがオフする。そして、操作検出部101が接点61Daのオフを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の開動作が停止する。
また、他席用メインスイッチ33aに対してオート開操作が行われた場合、接点61Da及び接点61Aaがオンする。そして、マニュアル開操作が行われた場合と同様に、リレー接点81YDaがオンし、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が開く。その後、他席用メインスイッチ33aに対するオート開操作が停止され、接点61Da及び接点61Aaがオフしても、開閉制御部103は、助手席の窓が全開されるまで、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオンした状態を維持する。これにより、助手席の窓が自動的に全開する。
なお、例えば、助手席の窓のオート開動作の最中に、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル閉操作又はオート閉操作が行われ、操作検出部101が接点61Uaのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオフする。これにより、助手席のオート開動作が停止する。
なお、詳細な説明は省略するが、他席用メインスイッチ33b又は33cに対して操作を行った場合も、同様の方法により右又は左の後部座席の窓を開閉することができる。
{他席用サブスイッチ91に対して操作が行われた場合}
次に、図7及び図8のフローチャートを参照して、他席用サブスイッチ91に対して操作が行われた場合にパワーウインドウシステム1により実行される窓開閉処理について説明する。この処理では、自車両の乗員が他席用サブスイッチ91を規定時間Tmin以上かつ規定時間Ta未満の間継続して操作(以下、短押しと称する)することにより、オート操作が実現される。この規定時間Tminは、例えば、操作の意思がなく他席用サブスイッチ91に軽く触れた場合等に、操作したと誤検出されるのを防止するのに十分な長さに設定される。規定時間Taは、規定時間Tminより長く、例えば、ユーザが他席用サブスイッチ91aを意図的に短時間操作したと認識することが可能な時間に設定される。
なお、この処理は、例えば、定期的に実行される。また、以下、他席用サブスイッチ91aにより助手席の窓を開閉する場合を例に挙げて説明する。従って、図7及び図8のフローチャートにおける他席は、以下の説明では、主に助手席を指すものとする。
ステップS1において、操作検出部101は、閉操作が行われているか否かを判定する。
図9は、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合、接点91Uaがオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、接点91Uaの端子a、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点81YDaの端子b、抵抗器R21a、及び、抵抗器R22aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が閉まる方向に動く。
一方、図10は、他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合、接点91Daがオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、接点91Daの端子a、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗器R22aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が開く方向に動く。
ここで、図9に示されるように他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合のモータ電流をIuとし、抵抗器R21a及び抵抗器R22aの抵抗値を、それぞれRp及びRqとすると、抵抗器R21aと抵抗器R22aからなる合成抵抗の両端に生じる電圧Vuは、(Rp+Rq)×Iuとなる。そして、この電圧Vuが、増幅回路83aにより所定のゲインで増幅されて制御部31に入力される。すなわち、モータ電流により抵抗器R21aに生じる電圧と抵抗器R22aに生じる電圧を加算した電圧の増幅値が制御部31に入力される。
一方、図10に示されるように他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合のモータ電流をIdとすると、抵抗器R21aにはモータ電流が流れないため、抵抗器R21aと抵抗器R22aからなる合成抵抗抵の両端に生じる電圧Vdは、Rq×Idとなる。そして、この電圧Vdが、増幅回路83aにより所定のゲインで増幅されて制御部31に入力される。すなわち、モータ電流により抵抗器R22aに生じる電圧の増幅値が制御部31に入力される。
ここで、安定状態において、助手席の窓を閉める場合の方が、助手席の窓を開ける場合より、窓を持ち上げる分だけモータ13aにかかる負荷が大きくなる。従って、窓を閉める場合の方が、窓を開ける場合より、モータ13aを流れるモータ電流が大きくなる。従って、閉操作時のモータ電流Iuの方が、開操作時のモータ電流Idより大きいため、次式(1)が成り立つ。
Vu=(Rp+Rq)×Iu>Vd=Rq×Id ・・・(1)
なお、仮に、突入電流等により、閉操作時のモータ電流Iuと開操作時のモータ電流Idが等しくなる場合があったとしても、上述した式(1)は成り立つ。
また、他席用サブスイッチ91aの操作が行われていない場合には、モータ電流が流れないため、抵抗器R21aと抵抗器R22aからなる合成抵抗の両端に生じる電圧は0となる。
従って、閉操作時の電圧Vuと開操作時の電圧Vdの大小関係が一定になるため、操作検出部101は、適切な閾値を用いることにより、増幅回路83aからの入力電圧の大きさに基づいて、他席用サブスイッチ91aの操作方向を正確に検出することができる。換言すれば、操作検出部101は、抵抗器R21aと抵抗器R22aとからなる合成抵抗の両端の電圧の大きさに基づいて、他席用サブスイッチ91aの操作方向を正確に検出することができる。
例えば、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧の大きさが所定の閾値TH1以上である場合、閉操作が行われたと判定し、入力電圧の大きさが閾値TH1未満、かつ、閾値TH1より小さい所定の閾値TH2以上である場合、開操作が行われたと判定する。また、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧の大きさが閾値TH2未満である場合、他席用サブスイッチ91aに対して操作が行われていないと判定する。
なお、閉操作時の安定状態におけるモータ電流の最小値の想定値をIuminとし、開操作時のモータ電流の突入電流の最大値の想定値をIdmaxとした場合、例えば、次式(2)及び(3)を満たすように抵抗値Rp及びRqを設定することが考えられる。
(Rp+Rq)×Iumin>Rq×Idmax ・・・(2)
Rp>((Idmax−Iumin)/Iumin)×Rq ・・・(3)
なお、式(3)は、式(2)を変形したものである。
これにより、突入電流の影響を受けずに、常に同じ閾値を用いて、操作方向の検出を行うことができる。
或いは、例えば、突入電流が流れる期間と安定状態の期間とで、操作方向の検出に用いる閾値を使い分けるようにしてもよい。
そして、操作検出部101は、例えば、増幅回路83aからの入力電圧の大きさが閾値TH1以上である場合、閉操作が行われていると判定し、処理はステップS2に進む。
ステップS2において、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいて、閉操作が継続しているか否かを判定する。例えば、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧の大きさが閾値TH1以上である場合、まだ閉操作が継続していると判定し、処理はステップS3に進む。
ステップS3において、操作検出部101は、他席用サブスイッチ91aに対する操作を検出してから、規定時間Taが経過したか否かを判定する。まだ規定時間Taが経過していないと判定された場合、処理はステップS2に戻る。
その後、ステップS2において、閉操作が終了したと判定されるか、ステップS3において、規定時間Taが経過したと判定されるまで、ステップS2及びS3の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS3において、規定時間Taが経過したと判定された場合、処理はステップS4に進む。これは、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が規定時間Ta以上継続して行われた場合(例えば、増幅回路83aからの入力電圧の大きさが閾値TH1以上である状態が規定時間Ta以上継続した場合)である。
ステップS4において、窓開閉制御装置21は、閉操作が終了するまでマニュアル閉動作を継続する。すなわち、閉操作が継続している場合、図9を参照して上述したように、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓の閉動作が継続する。
一方、他席用メインスイッチ33aに対する閉操作が停止された場合、接点91Uaがオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の閉動作が停止する。その後、窓開閉処理は終了する。
一方、ステップS2において、操作検出部101は、例えば、増幅回路83aからの入力電圧の大きさが閾値TH1未満になった場合、閉操作が終了したと判定し、処理はステップS5に進む。これは、規定時間Taが経過する前に閉操作が終了した場合である。
ステップS5において、操作検出部101は、操作時間≧規定時間Tminであるか否かを判定する。ここでの操作時間は、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が検出されてから、ステップS2において閉操作が終了したと判定されるまでの閉操作の継続時間(例えば、増幅回路83aからの入力電圧の大きさが閾値TH1以上である状態の継続時間)である。そして、操作時間≧規定時間Tminであると判定された場合、処理はステップS6に進む。
ステップS6において、窓開閉制御装置21は、オート閉動作を開始する。具体的には、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YUaの端子a、接点91Uaの端子b、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点81YDaの端子b、抵抗器R21a、及び、抵抗器R22aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われていなくても、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓の閉動作が開始する。
ステップS7において、操作検出部101、及び、窓位置検出部102は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいて、抵抗器R21a及びR21bを流れるモータ13aのモータ電流を監視する。また、窓位置検出部102は、モータ電流に基づいて助手席の窓の位置の検出を行う。
ここで、図11を参照して、車両の各窓の位置の検出方法について説明する。
窓位置検出部102は、増幅回路73及び83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ12及びモータ13a乃至13cを流れるモータ電流を常時監視している。また、各モータを流れるモータ電流には、リップルが含まれている。そして、挟み込みが発生していない状態では、モータ電流のリップルの波形は、図11の上のグラフに示すような安定した波形となる。ここで、挟み込みとは、窓を閉める場合に窓と車体の間に物体が挟み込まれることをいう。
窓位置検出部102は、このモータ電流のリップルを図11の下のグラフに示すようなパルス列に変換する。そして、窓位置検出部102は、図11のパルス列に基づいて、各モータの回転数を算出し、算出したモータの回転数に基づいて、運転席及び他席の各窓の位置を検出する。このため、各窓の位置を検出するためのセンサが不要となる。
ステップS8において、窓位置検出部102は、他席の窓が全閉したか否かを判定する。窓位置検出部102は、モータ13aのモータ電流のリップルに基づいて助手席の窓の開閉方向の位置を検出し、まだ助手席の窓が全閉していないと判定した場合、処理はステップS9に進む。
ステップS9において、操作検出部101は、オート閉動作がキャンセルされたか否かを判定する。オート閉動作がキャンセルされていないと判定された場合、処理はステップS7に戻る。
その後、ステップS8において、他席の窓が全閉したと判定されるか、ステップS9において、オート閉動作がキャンセルされたと判定されるまで、ステップS7乃至S9の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS9において、操作検出部101は、例えば、他席用メインスイッチ33a又は他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合、オート閉動作がキャンセルされたと判定する。例えば、操作検出部101は、他席用メインスイッチ33aに対して開操作が行われ、入力回路62aを介して、接点61Daがオンしたことを検出した場合、オート閉動作がキャンセルされたと判定する。
或いは、例えば、他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われ、接点91Daがオンした場合、モータ13aの両端の電位がほぼ同じになり、モータ電流が停止する。そこで、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいてモータ電流の停止を検出した場合、オート閉動作がキャンセルされたと判定する。
そして、オート閉動作がキャンセルされたと判定された場合、処理はステップS10に進む。
また、ステップS8において、助手席の窓が全閉したと判定された場合、処理はステップS10に進む。
ステップS10において、窓開閉制御装置21は、オート閉動作を終了する。具体的には、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオフする。これにより、モータ13aのモータ電流が停止する(ステップS9において、他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われ、すでにモータ電流が停止している場合を除く)。
このように、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作を停止しても、途中でキャンセルしない限り助手席の窓が自動的に全閉するオート閉動作が実現される。
その後、窓開閉処理は終了する。
一方、ステップS5において、操作時間<規定時間Tminであると判定された場合、ステップS6乃至S10の処理はスキップされ、窓開閉処理は終了する。すなわち、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作の操作時間が規定時間Tmin未満である場合、助手席の窓のオート閉動作は行われない。
また、ステップS1において、開操作が行われていないと判定された場合、処理はステップS11に進む。
ステップS11において、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいて、開操作が行われているか否かを判定する。例えば、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧の大きさが閾値TH2以上である場合、開操作が行われていると判定し、処理はステップS12に進む。
ステップS12において、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいて、開操作が継続しているか否かを判定する。例えば、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧の大きさが閾値TH2以上である場合、まだ開操作が継続していると判定し、処理はステップS13に進む。
ステップS13において、ステップS3の処理と同様に、規定時間Taが経過したか否かが判定され、規定時間Taが経過していないと判定された場合、処理はステップS12に戻る。
その後、ステップS12において、開操作が終了したと判定されるか、ステップS13において、規定時間Taが経過したと判定されるまで、ステップS12及びS13の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS13において、規定時間Taが経過したと判定された場合、処理はステップS14に進む。これは、他席用サブスイッチ91aに対する開操作が規定時間Ta以上継続して行われた場合(例えば、増幅回路83aからの入力電圧の大きさが閾値TH2以上である状態が規定時間Ta以上継続した場合)である。
ステップS14において、窓開閉制御装置21は、開操作が終了するまでマニュアル開動作を継続する。すなわち、開操作が継続している場合、図10を参照して上述したように、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓の開動作が継続する。
一方、他席用メインスイッチ33aに対する開操作が停止された場合、接点91Daがオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の開動作が停止する。その後、窓開閉処理は終了する。
一方、ステップS12において、操作検出部101は、例えば、増幅回路83aからの入力電圧の大きさが閾値TH2未満になった場合、開操作が終了したと判定し、処理はステップS15に進む。これは、規定時間Taが経過する前に開操作が終了した場合である。
ステップS15において、ステップS5の処理と同様に、操作時間≧規定時間Tminであるか否かが判定され、操作時間≧規定時間Tminであると判定された場合、処理はステップS16に進む。
ステップS16において、窓開閉制御装置21は、オート開動作を開始する。具体的には、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YDaの端子a、接点91Daの端子b、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗器R22aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われていなくても、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓の開動作が開始する。
ステップS17において、ステップS7の処理と同様に、モータ電流が監視される。
ステップS18において、窓位置検出部102は、他席の窓が全開したか否かを判定する。具体的には、窓位置検出部102は、上述したように、モータ13aのモータ電流のリップルに基づいて助手席の窓の開閉方向の位置を検出し、まだ助手席の窓が全開していないと判定した場合、処理はステップS19に進む。
ステップS19において、操作検出部101は、オート開動作がキャンセルされたか否かを判定する。オート開動作がキャンセルされていないと判定された場合、処理はステップS17に戻る。
その後、ステップS18において、他席の窓が全開したと判定されるか、ステップS19において、オート開動作がキャンセルされたと判定されるまで、ステップS17乃至S19の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS19において、操作検出部101は、例えば、他席用メインスイッチ33a又は他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合、オート開動作がキャンセルされたと判定する。例えば、操作検出部101は、他席用メインスイッチ33aに対して閉操作が行われ、入力回路62aを介して、接点61Uaがオンしたことを検出した場合、オート開動作がキャンセルされたと判定する。
或いは、例えば、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われ、接点91Uaがオンした場合、モータ13aの両端の電位がほぼ同じになり、モータ電流が停止する。そこで、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいてモータ電流の停止を検出した場合、オート開動作がキャンセルされたと判定する。
そして、オート開動作がキャンセルされたと判定された場合、処理はステップS20に進む。
また、ステップS18において、助手席の窓が全開したと判定された場合、処理はステップS20に進む。
ステップS20において、窓開閉制御装置21は、オート開動作を終了する。具体的には、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオフする。これにより、モータ13aのモータ電流が停止する(ステップS19において、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われ、すでにモータ電流が停止している場合を除く)。
このように、他席用サブスイッチ91aに対する開操作を停止しても、途中でキャンセルしない限り助手席の窓が自動的に全開するオート開動作が実現される。
その後、窓開閉処理は終了する。
一方、ステップS15において、操作時間<規定時間Tminであると判定された場合、ステップS16乃至S20の処理はスキップされ、窓開閉処理は終了する。すなわち、他席用サブスイッチ91aに対する開操作の操作時間が規定時間Tmin未満である場合、助手席の窓のオート開動作は行われない。
また、ステップS11において、例えば、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧の大きさが閾値TH2未満である場合、開操作が行われていないと判定し、窓開閉処理は終了する。
なお、詳細な説明は省略するが、他席用サブスイッチ91b及び91cについても、他席用サブスイッチ91aと同様の方法により操作方向を検出することが可能である。
以上のように、運転席以外の他席に制御部を設けず、配線を少なくした簡単な構成により、窓開閉制御装置21において、運転席から運転席及び他席の窓の制御(オート開閉動作およびマニュアル開閉動作)を行うことが可能になる。また、各他席用ユニット22に変更を加えることなく、窓開閉制御装置21を接続するだけで容易に機能の向上を図ることができるため、窓開閉制御装置21を後付けパーツやオプション品としても提供しやすくなる。さらに、窓開閉制御装置21の制御部31で各席のモータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流を監視することにより、センサ類を設けずに、各席の窓の位置を検出することが可能になる。
また、他席用サブスイッチ91にオート操作用の部材を設けずに、窓開閉制御装置21と他席用ユニット22との間の配線数を増やしたり、システム全体のコストや重量を増大させたりすることなく、他席用サブスイッチ91による他席の窓のオート操作を実現することができる。
さらに、モータ13の突入電流や、周囲の温度の変化やモータ13の経年劣化等によるモータ電流の変動に関わらず、他席用サブスイッチ91に対する操作の検出精度を向上させることができる。
<2.第2の実施の形態>
次に、図12乃至図14を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態と異なる方法により、他席用サブスイッチ91に対する操作(他席用サブスイッチ91の操作方向)の検出精度を向上させるものである。
{パワーウインドウシステム301の構成例}
図12は、本発明を適用したパワーウインドウシステムの第2の実施の形態であるパワーウインドウシステム301の構成例を示す回路図である。なお、図中、図1と対応する部分には同じ符号を付してある。
パワーウインドウシステム301は、図1のパワーウインドウシステム1と比較して、窓開閉制御システム11の代わりに窓開閉制御システム311が設けられている点が異なる。窓開閉制御システム311は、窓開閉制御システム11と比較して、窓開閉制御装置21の代わりに窓開閉制御装置321が設けられている点が異なる。窓開閉制御装置321は、窓開閉制御装置21と比較して、他席用制御回路35a乃至35cの代わりに、他席用制御回路331a乃至331cが設けられている点が異なる。
他席用制御回路331aは、他席用制御回路35aと比較して、抵抗器R21a及びR22aの代わりに抵抗器R51a及びR52aが設けられており、増幅回路83aの代わりに増幅回路341aが設けられている点が異なる。抵抗器R51aの一端は、リレー接点81YUaの端子bに接続され、抵抗器R51aの他端は、グラウンドに接続されている。従って、リレー接点81YUaの端子bは、抵抗器R51aを介してグラウンドに接続されている。また、抵抗器R52aの一端は、リレー接点81YDaの端子bに接続され、抵抗器R52aの他端は、グラウンドに接続されている。従って、リレー接点81YDaの端子bは、抵抗器R52aを介してグラウンドに接続されている。
増幅回路341aは、オペアンプ、抵抗器等により構成され、リレー接点81YUaの端子bと抵抗器R51aの間の点Aa、及び、リレー接点81YDaの端子bと抵抗器R52aの間の点Baに接続されている。そして、増幅回路341aは、点Aaの電位と点Baの電位の差を増幅した差分信号を制御部31に入力する。換言すれば、増幅回路341aは、抵抗器R51aに生じる電圧と抵抗器R52aに生じる電圧との差を増幅した差分信号を制御部31に入力する。
なお、他席用制御回路331b及び他席用制御回路331cの回路構成は、他席用制御回路331aと同様であり、その説明及び図示は省略する。なお、図示を省略した他席用制御回路331bの各部の符号には、他席用制御回路331aの各部の符号の末尾の”a”を”b”に置き換えた符号を用いる。また、図示を省略した他席用制御回路331cの各部の符号には、他席用制御回路331aの各部の符号の末尾の”a”を”c”に置き換えた符号を用いる。
{他席用サブスイッチ91の操作方向の検出方法}
次に、図13及び図14を参照して、パワーウインドウシステム301における他席用サブスイッチ91の操作方向の検出方法について説明する。なお、以下、抵抗器R51a及び抵抗器R52aの抵抗値を、それぞれRr及びRsとする。また、図13及び図14では、特に説明に必要のない部分及び符号の図示を省略している。
図13は、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合のパワーウインドウシステム301の状態を示している。
他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合、接点91Uaがオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、接点91Uaの端子a、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点81YDaの端子b、及び、抵抗器R52aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が閉まる。
この場合のモータ電流をIuとすると、点Aaの電位(抵抗器R51aに生じる電圧)は、ほぼ0となり、点Baの電位(抵抗器R52aに生じる電圧)は、Rs×Iuとなる。従って、この場合、増幅回路341aは、点Aaと点Bbの電位差である−Rs×Iuを所定のゲインで増幅した差分信号を制御部31に入力する。
図14は、他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合のパワーウインドウシステム301の状態を示している。
他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合、接点91Daがオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、接点91Daの端子a、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗器R51aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が開く。
この場合のモータ電流をIdとすると、点Aaの電位(抵抗器R51aに生じる電圧)は、Rr×Idとなり、点Baの電位(抵抗器R52aに生じる電圧)は、ほぼ0となる。従って、この場合、増幅回路341aは、点Aaと点Bbの電位の差であるRr×Idを所定のゲインで増幅した差分信号を制御部31に入力する。
また、他席用サブスイッチ91aの操作が行われていない場合には、モータ電流が流れないため、点Aaの電位及び点Bbの電位は、ほぼ0になる。従って、この場合、増幅回路83aから制御部31に入力される差分信号の値は、ほぼ0になる。
従って、操作検出部101は、増幅回路341aからの差分信号の大きさ及び符号に基づいて、他席用サブスイッチ91aの操作方向を正確に検出することができる。すなわち、差分信号の値が所定の正の閾値TH11以上である場合、開操作が行われたと判定し、差分信号の値が所定の負の閾値TH12以下である場合、閉操作が行われたと判定することが可能である。また、差分信号の値が閾値TH12より大きく、閾値TH11より小さい場合、他席用サブスイッチ91aに対して操作が行われていないと判定することが可能である。
このように、窓開閉制御装置321において、他席用ユニット22との間の配線を増やさずに、簡単な回路構成により、突入電流やモータ13aの経年劣化等の影響を受けずに、他席用サブスイッチ91aの操作方向を正確に検出することが可能になる。
なお、抵抗器R51aの抵抗値Rr及び抵抗器R52aの抵抗値Rsは、閉操作時と開操作時で差分信号の絶対値にあまり差が生じないように、ほぼ同じ値に設定するか、或いは、抵抗値Rsを抵抗値Rrより少し大きな値に設定することが望ましい。
また、閉操作時及び開操作時のいずれの場合においても、各他席用制御回路331の増幅回路341から出力される差分信号には、モータ電流のリップルに基づくリップルが含まれる。従って、図11を参照して上述した方法と同様の方法により、他席の窓の開閉方向の位置を検出することが可能である。
<3.変形例>
以下、上述した本発明の実施の形態の変形例について説明する。
以上の説明では、他席の窓の数が3つである例を示したが、他席の窓の数は任意に設定することが可能である。そして、他席の窓の数に応じて、モータ13、他席用ユニット22、他席用メインスイッチ33、及び、他席用制御回路35(或いは、他席用制御回路331)の数を増減させるようにすればよい。
また、メインリレー14の代わりに、例えば、マニュアルのスイッチを用いたり、イグニッションスイッチ16を直接用いたりすることも可能である。
さらに、例えば、窓開閉制御装置321の増幅回路341を制御部31に組み込むようにしてもよい。また、例えば、増幅回路341を用いずに、例えば、図12の点Aa及び点Baの電圧を制御部31に直接入力するようにしてもよい。さらに、例えば、抵抗器R51と抵抗器R52に対してそれぞれ増幅回路を設けるようにしてもよい。
なお、本発明は、車両の種類によらず、パワーウインドウ機能を有する車両に適用することが可能である。
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。