以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
<1.実施の形態>
{パワーウインドウシステム1の構成例}
図1は、本発明を適用したパワーウインドウシステムの実施の形態であるパワーウインドウシステム1の構成例を示す回路図である。なお、以下、パワーウインドウシステム1が、車両の運転席側、助手席側、右後部座席側、及び、左後部座席側の4つの窓の開閉を行う場合について説明する。
なお、以下、運転席側の窓、助手席側の窓、右後部座席側の窓、及び、左後部座席側の窓を、それぞれ単に運転席の窓、助手席の窓、右後部座席の窓、及び、左後部座席の窓とも称する。また、以下、運転席とは異なる席を他席と総称する。
パワーウインドウシステム1は、窓開閉制御システム11、モータ12、モータ13a乃至13c、メインリレー14、BCM(Body Control Module)15、イグニッションスイッチ16、及び、電源Bを含むように構成される。
窓開閉制御システム11は、車両の窓の開閉を行うための操作部を含み、操作部に対する操作に応じて、モータ12及びモータ13a乃至13cに流れるモータ電流のオン/オフ及び方向を制御し、車両の各窓の開閉を制御する。なお、モータ12は、運転席の窓の開閉を行うモータであり、モータ13a乃至13cは、それぞれ助手席、右後部座席、及び、左後部座席の窓の開閉を行うモータである。
メインリレー14は、BCM15の制御の下に、電源Bからモータ13a乃至13cへの電路を開閉する。具体的には、イグニッションスイッチ16がオンされた場合、BCM15はメインリレー14の接点をオンする。これにより、電源Bからモータ13a乃至13cへのモータ電流の供給が可能になり、助手席及び左右の後部座席の窓の開閉が可能になる。一方、イグニッションスイッチ16がオフされた場合、BCM15はメインリレー14の接点をオフする。これにより、電源Bからモータ13a乃至13cへのモータ電流の供給ができなくなり、助手席及び左右の後部座席の窓の開閉ができなくなる。
電源Bは、例えば、車両に設けられているバッテリからなり、パワーウインドウシステム1の各部の駆動用の電力を供給する。
窓開閉制御システム11は、窓開閉制御装置21、及び、他席用ユニット22a乃至22cを含むように構成される。なお、他席用ユニット22a乃至22cは、メインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。
窓開閉制御装置21は、運転席付近(例えば、運転席側のドアの内側)に設けられ、運転席の窓及び他席の窓の開閉を運転席から行うための装置である。窓開閉制御装置21は、例えば、1つの筐体内に各部品が納められた1つのユニットとして提供される。
他席用ユニット22aは、助手席付近(例えば、助手席側のドアの内側)に設けられ、助手席において助手席の窓の開閉を行うためのユニットである。
他席用ユニット22bは、右後部座席付近(例えば、右後部座席側のドアの内側)に設けられ、右後部座席において右後部座席の窓の開閉を行うためのユニットである。
他席用ユニット22cは、左後部座席付近(例えば、左後部座席側のドアの内側)に設けられ、左後部座席において左後部座席の窓の開閉を行うためのユニットである。
窓開閉制御装置21は、制御部31、運転席用メインスイッチ32、他席用メインスイッチ33a乃至33c、運転席用制御回路34、他席用制御回路35a乃至35c、及び、電源回路36を含むように構成される。
制御部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成される。制御部31は、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作に応じて、運転席用制御回路34及び他席用制御回路35a乃至35cを制御し、車両の各窓の開閉を制御する。また、制御部31は、運転席用制御回路34及び他席用制御回路35a乃至35cから供給されるモータ電流の検出結果等に基づいて、及び、各窓の開閉方向の位置(以下、単に各窓の位置と称する)の検出を行う。
運転席用メインスイッチ32は、運転席において運転席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。運転席用メインスイッチ32は、接点51L、51U、51D及び51A、並びに、入力回路52を含むように構成される。
接点51Lは、他席用ユニット22a乃至22cの他席用サブスイッチ91a乃至91cに対する操作を無効にするロック機能の設定を行う場合に操作される常開型の接点である。接点51Lは、ロック機能を設定する操作を行った場合にオンし、解除する操作を行った場合にオフする。
接点51Uは、運転席の窓を閉める場合に操作される常開型の接点である。接点51Uは、運転席用メインスイッチ32に対して運転席の窓を閉めるための閉操作が行われている場合にオンし、閉操作が行われていない場合にオフする。
接点51Dは、運転席の窓を開ける場合に操作される常開型の接点である。接点51Dは、運転席用メインスイッチ32に対して運転席の窓を開けるための開操作が行われている場合にオンし、開操作が行われていない場合にオフする。
接点51Aは、運転席の窓を自動で開閉する場合に操作される常開型の接点である。接点51Aは、運転席用メインスイッチ32に対して運転席の窓を自動的に閉めるための開操作(以下、オート閉操作と称する)又は自動的に開けるための開操作(以下、オート開操作と称する)が行われた場合にオンする。
なお、以下、オート閉操作に対して、マニュアルで窓を閉めるための閉操作をマニュアル閉操作とも称し、マニュアルで窓を開けるための開操作をマニュアル開操作とも称する。
なお、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル操作とオート操作の方法は、スイッチの仕様により異なる。例えば、運転席用メインスイッチ32の操作ノブ(不図示)に対する操作の強弱により、マニュアル操作とオート操作が区別される。例えば、操作ノブを軽く引き上げる操作がマニュアル閉操作とされ、さらに力を加え、操作ノブをもう一段階強く引き上げる操作がオート閉操作とされる。一方、例えば、操作ノブを軽く押す操作がマニュアル開操作とされ、さらに力を加え、操作ノブをもう一段階強く押し下げる操作がオート開操作とされる。
或いは、例えば、運転席用メインスイッチの操作ノブに対する操作時間により、マニュアル操作とオート操作が区別される。例えば、操作ノブを引き上げる時間が所定の時間未満である場合、マニュアル閉操作とされ、操作ノブを引き上げる時間が所定の時間以上である場合、オート閉操作とされる。一方、操作ノブを押す時間が所定の時間未満である場合、マニュアル開操作とされ、操作ノブを押す時間が所定の時間以上である場合、オート開操作とされる。
入力回路52は、接点51L、51U、51D及び51Aの各接点の状態を示す信号を制御部31に供給する。
他席用メインスイッチ33aは、運転席において助手席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。他席用メインスイッチ33aは、接点61Ua、61Da及び61Aa、並びに、入力回路62aを含むように構成される。
接点61Uaは、助手席の窓を閉める場合に操作される常開型の接点である。接点61Uaは、他席用メインスイッチ33aに対して助手席の窓を閉めるための閉操作が行われている場合にオンし、閉操作が行われていない場合にオフする。
接点61Daは、助手席の窓を開ける場合に操作される常開型の接点である。接点61Daは、他席用メインスイッチ33aに対して助手席の窓を開けるための開操作が行われている場合にオンし、開操作が行われていない場合にオフする。
接点61Aaは、助手席の窓を自動で開閉する場合に操作される常開型の接点である。接点61Aaは、他席用メインスイッチ33aに対してオート閉操作又はオート開操作が行われた場合にオンする。
なお、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル操作とオート操作は、例えば、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル操作とオート操作と同様の方法により行われる。
入力回路62aは、接点61Ua、61Da及び61Aaの各接点の状態を示す信号を制御部31に供給する。
他席用メインスイッチ33b及び他席用メインスイッチ33cは、それぞれ運転席において右後部座席及び左後部座席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。他席用メインスイッチ33b及び他席用メインスイッチ33cは、他席用メインスイッチ33aと同様の回路構成を有しており、その説明及び図示は省略する。なお、図示を省略した他席用メインスイッチ33bの各部の符号には、他席用メインスイッチ33aの各部の符号の末尾の”a”を”b”に置き換えた符号を用いる。また、図示を省略した他席用メインスイッチ33cの各部の符号には、他席用メインスイッチ33aの各部の符号の末尾の”a”を”c”に置き換えた符号を用いる。
運転席用制御回路34は、モータ12の制御を行う回路である。運転席用制御回路34は、切替回路71、駆動回路72、増幅回路73、及び、抵抗R11を含むように構成される。
切替回路71は、運転席の窓を閉める場合に駆動されるリレー回路71U(リレー接点71YUのみ図示)、並びに、運転席の窓を開ける場合に駆動されるリレー回路71D(リレー接点71YDのみ図示)を含むように構成される。
リレー回路71Uは、コイル71XU(不図示)、及び、コイル71XUを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点71YUを備えている。リレー接点71YUの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L3を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点71YUの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗R11を介してグラウンドに接続されている。リレー接点71YUの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L1を介してモータ12の一端に接続されている。
リレー回路71Dは、コイル71XD(不図示)、及び、コイル71XDを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点71YDを備えている。リレー接点71YDの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L3を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点71YDの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗R11を介してグラウンドに接続されている。リレー接点71YDの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L2を介してモータ12の他端に接続されている。
駆動回路72は、制御部31の制御の下に、リレー回路71U及び71Dを駆動する。すなわち、駆動回路72は、制御部31の制御の下に、リレー回路71Uのコイル71XU、及び、リレー回路71Dのコイル71XDへの駆動電流を制御することにより、リレー接点71YU及び71YDの状態を制御する。
増幅回路73は、抵抗R11の両端に接続されている。増幅回路73は、切替回路71から出力されるモータ12のモータ電流により抵抗R11の両端にかかる電圧を増幅して、制御部31に入力する。制御部31は、増幅回路73からの入力電圧に基づいて、モータ12のモータ電流の監視を行う。
なお、以下、モータ電流がリレー接点71YU、モータ12、リレー接点71YDの順に流れる方向を順方向と称し、リレー接点71YD、モータ12、リレー接点71YUの順に流れる方向を逆方向と称する。また、以下、モータ12に順方向のモータ電流が流れた場合、運転席の窓が上方向に移動し、運転席の窓が閉まり、モータ12に逆方向のモータ電流が流れた場合、運転席の窓が下方向に移動し、運転席の窓が開くものとする。
他席用制御回路35aは、他席用ユニット22aを介して、モータ13aの制御を行う回路である。他席用制御回路35aは、切替回路81a、駆動回路82a、増幅回路83a、切替回路84a、入力回路85a、駆動回路86a、及び、抵抗R21aを含むように構成される。
切替回路81aは、助手席の窓を閉める場合に駆動されるリレー回路81Ua(リレー接点81YUaのみ図示)、並びに、助手席の窓を開ける場合に駆動されるリレー回路81Da(リレー接点81YDaのみ図示)を含むように構成される。
リレー回路81Uaは、コイル81XUa(不図示)、及び、コイル81XUaを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点81YUaを備えている。リレー接点81YUaの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点81YUaの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗R21aを介してグラウンドに接続されている。リレー接点81YUaの共通端子(コモン端子)である端子cは、リレー接点84YUaの端子aに接続されている。
リレー回路81Daは、コイル81XDa(不図示)、及び、コイル81XDaを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点81YDaを備えている。リレー接点81YDaの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点81YDaの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗R21aを介してグラウンドに接続されている。リレー接点81YDaの共通端子(コモン端子)である端子cは、リレー接点84YDaの端子aに接続されている。
駆動回路82aは、制御部31の制御の下に、リレー回路81Ua及び81Daを駆動する。すなわち、駆動回路82aは、制御部31の制御の下に、リレー回路81Uaのコイル81XUa、及び、リレー回路81Daのコイル81XDaへの駆動電流を制御し、リレー接点81YUa及び81YDaの状態を制御する。
増幅回路83aは、抵抗R21aの両端に接続されている。増幅回路73は、切替回路71から出力されるモータ13aのモータ電流により抵抗R11の両端にかかる電圧を増幅して、制御部31に入力する。制御部31は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいて、モータ13aのモータ電流の監視を行う。
切替回路84aは、助手席の窓を開閉する場合に駆動されるリレー回路84Ua(リレー接点84YUaのみ図示)及びリレー回路84Da(リレー接点84YDaのみ図示)を含むように構成される。
リレー回路84Uaは、コイル84XUa(不図示)、及び、コイル84XUaを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点84YUaを備えている。リレー接点84YUaの常開端子(NO端子)である端子aは、リレー接点81YUaの端子cに接続されている。リレー接点84YUaの常閉端子(NC端子)である端子bは、入力回路85aに接続されている。リレー接点84YUaの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L4aを介して、他席用サブスイッチ91aの接点91Uaの端子bに接続されている。従って、窓開閉制御装置21では、リレー接点81YUaの端子cと接点91Uaの端子bが、リレー接点84YUaを介して接続されている。
リレー回路84Daは、コイル84XDa(不図示)、及び、コイル81XDaを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点84YDaを備えている。リレー接点84YDaの常開端子(NO端子)である端子aは、リレー接点81YDaの端子cに接続されている。リレー接点84YDaの常閉端子(NC端子)である端子bは、入力回路85aに接続されている。リレー接点84YDaの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L5aを介して、他席用サブスイッチ91aの接点91Daの端子bに接続されている。従って、窓開閉制御装置21では、リレー接点81YDaの端子cと接点91Daの端子bが、リレー接点84YDaを介して接続されている。
入力回路85aは、抵抗等により構成され、リレー接点84YUaの端子b及びリレー接点84YDaの端子bと制御部31との間に接続されている。そして、入力回路85aは、リレー接点84YUaの端子bから出力される電流を電圧に変換し、変換後の電圧値を示す信号(以下、入力信号IN1aと称する)を制御部31に入力する。また、入力回路85aは、リレー接点84YDaの端子bから出力される電流を電圧に変換し、変換後の電圧値を示す信号(以下、入力信号IN2aと称する)を制御部31に入力する。
入力信号IN1aは、リレー接点84YUaの端子bに電流が流れている場合、H(High)レベルになり、リレー接点84YUaの端子bに電流が流れていない場合、L(Low)レベルになる。入力信号IN2aは、リレー接点84YDaの端子bに電流が流れている場合、H(High)レベルになり、リレー接点84YDaの端子bに電流が流れていない場合、L(Low)レベルになる。後述するように、入力信号IN1a及び入力信号IN2aに基づいて、他席用ユニット22aの他席用サブスイッチ91a乃至91cに対する操作が検出される。従って、入力回路85aは、他席用ユニット22aの状態(より具体的には、他席用サブスイッチ91a乃至91cの操作状態)を示す信号を制御部31に入力する他席用ユニット状態入力部として機能する。
駆動回路86aは、制御部31の制御の下に、リレー回路84Ua及び84Daを駆動する。すなわち、駆動回路86aは、制御部31の制御の下に、リレー回路84Uaのコイル84XUa、及び、リレー回路84Daのコイル84XDaへの駆動電流を制御し、リレー接点84YUa及び84YDaの状態を制御する。
他席用制御回路35bは、他席用ユニット22bを介して、モータ13bの制御を行う回路であり、他席用制御回路35cは、他席用ユニット22cを介して、モータ13cの制御を行う回路である。他席用制御回路35b及び他席用制御回路35cの回路構成は、他席用制御回路35aと同様であり、その説明及び図示は省略する。なお、図示を省略した他席用制御回路35bの各部の符号には、他席用制御回路35aの各部の符号の末尾の”a”を”b”に置き換えた符号を用いる。また、図示を省略した他席用制御回路35cの各部の符号には、他席用制御回路35cの各部の符号の末尾の”a”を”c”に置き換えた符号を用いる。
電源回路36は、配線L3を介して電源Bの正極に接続されるとともに、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されており、電源Bからの電力を窓開閉制御装置21の各部に供給する。
他席用ユニット22aは、他席用サブスイッチ91aを含むように構成される。
他席用サブスイッチ91aは、助手席において助手席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。他席用サブスイッチ91aは、接点91Ua及び91Daを含むように構成される。
接点91Uaは、助手席の窓を閉めるために他席用サブスイッチ91aが操作された場合に切り替わる切替接点である。接点91Uaの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。接点91Uaの常閉端子(NC端子)である端子bは、配線L4aを介してリレー接点84YUaの端子cに接続されている。接点91Uaの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L7aを介してモータ13aの一端に接続されている。例えば、他席用サブスイッチ91aに対して助手席の窓を閉めるための閉操作が行われている場合、端子aと端子cが接続され、閉操作が行われていない場合、端子bと端子cが接続される。
接点91Daは、助手席の窓を開けるために他席用サブスイッチ91aが操作された場合に切り替わる切替接点である。接点91Daの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。接点91Daの常閉端子(NC端子)である端子bは、配線L5aを介してリレー接点84YDaの端子cに接続されている。接点91Daの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L8aを介してモータ13aの他端に接続されている。例えば、他席用サブスイッチ91aに対して助手席の窓を開けるための開操作が行われている場合、端子aと端子cが接続され、開操作が行われていない場合、端子bと端子cが接続される。
なお、以下、モータ電流が接点91Ua、モータ13a、接点91Daの順に流れる方向を順方向と称し、接点91Da、モータ13a、接点91Uaの順に流れる方向を逆方向と称する。また、以下、モータ13aに順方向のモータ電流が流れた場合、助手席の窓が上方向に移動し、助手席の窓が閉まり、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れた場合、助手席の窓が下方向に移動し、助手席の窓が開くものとする。
なお、他席用ユニット22b及び22cの回路構成は、他席用ユニット22aと同様であり、その説明は省略する。
ここで、窓開閉制御装置21とモータ12とは、配線L1,L2の2本の配線で接続され、窓開閉制御装置21と各他席用ユニット22a乃至22cとは、配線L4a乃至L4c及び配線L5a乃至L5cの6本の配線で接続されている。すなわち、窓開閉制御装置21は、車両に設けられているモータ12及び他席用ユニット22a乃至22cと少ない配線で簡単に接続することが可能である。
なお、図1では、窓開閉制御装置21と他席用ユニット22a乃至22cとが、配線L6を介して接続されているが、配線L6は、メインリレー14と、窓開閉制御装置21及び他席用ユニット22a乃至22cとを接続するものである。従って、必ずしも窓開閉制御装置21と他席用ユニット22a乃至22cとを配線L6で直接接続する必要はない。
なお、以下、モータ13a乃至13cを個々に区別する必要がない場合、単にモータ13と称する。また、以下、他席用ユニット22a乃至22c、他席用メインスイッチ33a乃至33c、及び、他席用制御回路35a乃至35cをそれぞれ個々に区別する必要がない場合、それぞれ単に他席用ユニット22、他席用メインスイッチ33、及び、他席用制御回路35と称する。
さらに、以下、他席用ユニット22a乃至22c、他席用メインスイッチ33a乃至33c、及び、他席用制御回路35a乃至35c内の各部を個々に区別する必要がない場合、末尾の”a”乃至”c”を除いた符号を用いる。例えば、他席用ユニット22a乃至22cの他席用サブスイッチ91a乃至91cを個々に区別する必要がない場合、単に他席用サブスイッチ91と称する。
また、以下、切替接点の端子aと端子cを接続すること(a接点をオンすること)を、切替接点をオンすると称する。例えば、接点91Uaの端子aと端子cを接続することを、接点91Uaをオンすると称する。また、以下、切替接点の端子bと端子cを接続する(b接点をオンする)ことを、切替接点をオフすると称する。例えば、接点91Uaの端子bと端子cを接続することを、接点91Uaをオフすると称する。
{制御部31の機能の構成例}
図2は、制御部31の機能の構成例を示している。制御部31は、操作検出部101、窓位置検出部102、及び、開閉制御部103を含むように構成される。なお、この図には、制御部31の機能の一部であり、以下の説明に必要な機能のみを図示している。
操作検出部101は、入力回路52及び62a乃至62cから供給される信号に基づいて、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作を検出する。また、操作検出部101は、増幅回路83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ13a乃至13cのモータ電流を監視する。そして、操作検出部101は、モータ13a乃至13cのモータ電流、並びに、入力回路85a乃至85cから供給される入力信号IN1a乃至IN1c及び入力信号IN2a乃至IN2cに基づいて、他席用サブスイッチ91a乃至91cに対する操作を検出する。操作検出部101は、検出結果を制御部31の各部に供給する。
窓位置検出部102は、増幅回路73及び83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流を監視する。窓位置検出部102は、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流、並びに、運転席用メインスイッチ32、他席用メインスイッチ33a乃至33c、及び、他席用サブスイッチ91a乃至91cに対する操作の検出結果に基づいて、車両の各席の窓の位置を検出する。窓位置検出部102は、検出結果を制御部31の各部に供給する。
開閉制御部103は、運転席用メインスイッチ32、他席用メインスイッチ33a乃至33c、及び、他席用サブスイッチ91a乃至91cに対する操作、並びに、各窓の位置の検出結果に基づいて、車両の各窓の開閉を制御する。具体的には、開閉制御部103は、駆動回路72を制御して、リレー回路71U及び71Dを制御する。これにより、モータ12のモータ電流が制御され、運転席の窓の開閉が制御される。また、開閉制御部103は、駆動回路82a乃至82c及び駆動回路86a乃至86cを制御して、リレー回路81Ua乃至81Uc及び81Da乃至81Dc並びにリレー回路84Ua乃至84Uc及び84Da乃至84Dcを制御する。これにより、モータ13a乃至13cのモータ電流が制御され、助手席及び左右の後部座席の窓の開閉が制御される。
{パワーウインドウシステム1の基本動作}
次に、図3乃至図22を参照して、パワーウインドウシステム1の基本的な動作について説明する。なお、図3乃至図6及び図9乃至図22では、特に説明に必要のない部分及び符号の図示を省略している。
{運転席用メインスイッチ32に対して閉操作が行われた場合}
図3は、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル閉操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル閉操作が行われた場合、接点51Uがオンする。そして、操作検出部101が接点51Uのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオンする。これにより、電源Bから、リレー接点71YUの端子a、モータ12、リレー接点71YDの端子b、及び、抵抗R11を介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ12に順方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が閉まる。
一方、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル閉操作が停止された場合、接点51Uがオフする。そして、操作検出部101が接点51Uのオフを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオフする。これにより、モータ12へのモータ電流の供給が停止し、運転席の窓の閉動作が停止する。
また、運転席用メインスイッチ32に対してオート閉操作が行われた場合、接点51U及び接点51Aがオンする。そして、マニュアル閉操作が行われた場合と同様に、リレー接点71YUがオンし、モータ12に順方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が閉まる。その後、運転席用メインスイッチ32に対するオート閉操作が停止され、接点51U及び接点51Aがオフしても、開閉制御部103は、運転席の窓が全閉されるまで、駆動回路72を介して、リレー接点71YUがオンした状態を維持する。これにより、運転席の窓が自動的に全閉する。
なお、例えば、運転席の窓のオート閉動作の最中に、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル開操作又はオート開操作が行われ、操作検出部101が接点51Dのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオフする。これにより、運転席のオート閉動作が停止する。
{運転席用メインスイッチ32に対して開操作が行われた場合}
図4は、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル開操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル開操作が行われた場合、接点51Dがオンする。そして、操作検出部101が接点51Dのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路72を介して、リレー接点71YDをオンする。これにより、電源Bから、リレー接点71YDの端子a、モータ12、リレー接点71YUの端子b、及び、抵抗R11を介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ12に逆方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が開く。
一方、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル開操作が停止された場合、接点51Dがオフする。そして、操作検出部101が接点51Dのオフを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路72を介して、リレー接点71YDをオフする。これにより、モータ12へのモータ電流の供給が停止し、運転席の窓の開動作が停止する。
また、運転席用メインスイッチ32に対してオート開操作が行われた場合、接点51D及び接点51Aがオンする。そして、マニュアル開操作が行われた場合と同様に、リレー接点71YDがオンし、モータ12に逆方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が開く。その後、運転席用メインスイッチ32に対するオート開操作が停止され、接点51D及び接点51Aがオフしても、開閉制御部103は、運転席の窓が全開されるまで、駆動回路72を介して、リレー接点71YDがオンした状態を維持する。これにより、運転席の窓が自動的に全開する。
なお、例えば、運転席の窓のオート開動作の最中に、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル閉操作又はオート閉操作が行われ、操作検出部101が接点51Uのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路72を介して、リレー接点71YDをオフする。これにより、運転席のオート開動作が停止する。
{他席用メインスイッチ33aに対して閉操作が行われた場合}
図5は、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル閉操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル閉操作が行われた場合、接点61Uaがオンする。そして、操作検出部101が接点61Uaのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオンし、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YUaの端子a、リレー接点84YUaの端子a、接点91Uaの端子b、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点84YDaの端子a、リレー接点81YDaの端子b、及び、抵抗R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が閉まる。
一方、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル閉操作が停止された場合、接点61Uaがオフする。そして、操作検出部101が接点61Uaのオフを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオフし、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の閉動作が停止する。
また、他席用メインスイッチ33aに対してオート閉操作が行われた場合、接点61Ua及び接点61Aaがオンする。そして、マニュアル閉操作が行われた場合と同様に、リレー接点81YUa、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaがオンし、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が閉まる。その後、他席用メインスイッチ33aに対するオート閉操作が停止され、接点61Ua及び接点61Aaがオフしても、開閉制御部103は、助手席の窓が全閉されるまで、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオンし、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオンした状態を維持する。これにより、助手席の窓が自動的に全閉する。
なお、例えば、助手席の窓のオート閉動作の最中に、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル開操作又はオート開操作が行われ、操作検出部101が接点61Daのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオフし、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオフする。これにより、助手席のオート閉動作が停止する。
{他席用メインスイッチ33aに対して開操作が行われた場合}
図6は、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル開操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル開操作が行われた場合、接点61Daがオンする。そして、操作検出部101が接点61Daのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオンし、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YDaの端子a、リレー接点84YDaの端子a、接点91Daの端子b、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点84YUaの端子a、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が開く。
一方、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル開操作が停止された場合、接点61Daがオフする。そして、操作検出部101が接点61Daのオフを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオフし、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の開動作が停止する。
また、他席用メインスイッチ33aに対してオート開操作が行われた場合、接点61Da及び接点61Aaがオンする。そして、マニュアル開操作が行われた場合と同様に、リレー接点81YDa、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaがオンし、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が開く。その後、他席用メインスイッチ33aに対するオート開操作が停止され、接点61Da及び接点61Aaがオフしても、開閉制御部103は、助手席の窓が全開されるまで、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオンし、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオンした状態を維持する。これにより、助手席の窓が自動的に全開する。
なお、例えば、助手席の窓のオート開動作の最中に、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル閉操作又はオート閉操作が行われ、操作検出部101が接点61Uaのオンを検出すると、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオフし、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオフする。これにより、助手席のオート開動作が停止する。
なお、詳細な説明は省略するが、他席用メインスイッチ33b又は33cに対して操作を行った場合も、同様の方法により右後部座席又は左後部座席の窓を開閉することができる。
{他席用サブスイッチ91に対して操作が行われた場合}
次に、図7及び図8のフローチャートを参照して、他席用サブスイッチ91に対して操作が行われた場合にパワーウインドウシステム1により実行される窓開閉処理について説明する。この処理では、自車両の乗員が他席用サブスイッチ91を規定時間Tmin以上かつ規定時間Ta未満の間継続して操作(以下、短押しと称する)することにより、オート操作が実現される。この規定時間Tminは、例えば、操作の意思がなく他席用サブスイッチ91に軽く触れた場合等に、操作したと誤検出されるのを防止するのに十分な長さに設定される。規定時間Taは、規定時間Tminより長く、例えば、ユーザが他席用サブスイッチ91aを意図的に短時間操作したと認識することが可能な時間に設定される。
なお、この処理は、他席用サブスイッチ91a乃至91cのいずれかに対して閉操作又は開操作が行われ、入力信号IN1a乃至IN1c及び入力信号IN2a乃至IN2cのうち少なくとも1つがHレベルになったとき開始される。また、以下、他席用サブスイッチ91aにより助手席の窓を開閉する場合を例に挙げて説明する。従って、図7及び図8のフローチャートにおける他席は、以下の説明では、主に助手席を指すものとする。
なお、図9乃至図11及び図13乃至図22は、図7及び図8の窓開閉処理を実行中のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
ステップS1において、操作検出部101は、入力回路85aからの入力信号IN1a及びIN2aに基づいて、閉操作が行われているか否かを判定する。
図9は、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作を行い、接点91Uaがオンになった場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。この場合、電源Bから、メインリレー14、接点91Uaの端子a、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点84YDaの端子bを介して、入力回路85aに電流が入力される。これにより、入力回路85aから制御部31に入力される入力信号IN2aがHレベルになる。一方、入力信号IN1aはLレベルのままとなる。
図10は、他席用サブスイッチ91aに対して開操作を行い、接点91Daがオンになった場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。この場合、電源Bから、メインリレー14、接点91Daの端子a、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点84YUaの端子bを介して、入力回路85aに電流が入力される。これにより、入力回路85aから制御部31に入力される入力信号IN1aがHレベルになる。一方、入力信号IN2aはLレベルのままとなる。
従って、操作検出部101は、入力信号IN1aがLレベル、かつ、入力信号IN2aがHレベルである場合、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われていると判定する。また、操作検出部101は、入力信号IN1aがHレベル、かつ、入力信号IN2aがLレベルである場合、他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われていると判定する。さらに、操作検出部101は、入力信号IN1a及びIN2aがともにLレベルである場合、他席用サブスイッチ91aに対して操作が行われていないと判定する。また、後述するように、操作検出部101は、入力信号IN1a及びIN2aの継続時間に基づいて、オート操作又はマニュアル操作の判定を行う。
ところで、助手席の窓を閉める場合、窓を開く場合と比較して、窓を持ち上げる分だけモータ13aの負荷が大きくなり、モータ電流が大きくなる。そして、このモータ電流の大きさの差に基づいて他席用サブスイッチ91aの操作方向を検出する方法が考えられる。しかし、この方法では、突入電流やモータ13aの経年劣化等による電流の変動の影響を受けやすく、操作方向の検出精度が低下するおそれがある。
一方、窓開閉制御装置21では、入力信号IN1a及びIN2aが、Hレベル又はLレベルのいずれかのみを検出するだけで、他席用サブスイッチ91aの操作方向を検出することができる。従って、突入電流やモータ13aの経年劣化等による電流の変動の影響を受けにくく、操作方向の検出精度が高くなる。
なお、図9及び図10の状態においてモータ13aに電流が流れるが、この電流がモータ13aを回転させない程度に小さな値になるように、入力回路85aの抵抗値が設定される。
そして、ステップS1において、閉操作が行われていると判定された場合、処理はステップS2に進む。
ステップS2において、操作検出部101は、入力信号IN1a及びIN2aに基づいて、閉操作が継続しているか否かを判定する。まだ閉操作が継続していると判定された場合、処理はステップS3に進む。
ステップS3において、操作検出部101は、他席用サブスイッチ91aに対する操作を検出してから、規定時間Taが経過したか否かを判定する。まだ規定時間Taが経過していないと判定された場合、処理はステップS2に戻る。
その後、ステップS2において、閉操作が終了したと判定されるか、ステップS3において、規定時間Taが経過したと判定されるまで、ステップS2及びS3の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS3において、規定時間Taが経過したと判定された場合、処理はステップS4に進む。これは、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が規定時間Ta以上継続して行われた場合である。
ステップS4において、窓開閉制御装置21は、マニュアル閉動作を開始する。具体的には、図11に示されるように、開閉制御部103は、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオンする。これにより、リレー接点81YUaの端子cと接点91Uaの端子b、及び、リレー接点81YDaの端子cと接点91Daの端子bが電気的に接続される。そして、電源Bから、メインリレー14、接点91Uaの端子a、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点84YDaの端子a、リレー接点81YDaの端子b、及び、抵抗R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。
このように、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われている場合にリレー接点84YDaをオンすることにより、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓の閉動作が開始される。なお、このとき、リレー接点84YUaをオンせずに、リレー接点84YDaのみをオンするようにしてもよい。
ステップS5において、操作検出部101、及び、窓位置検出部102は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいて、抵抗R21aを流れるモータ13aのモータ電流を監視する。そして、操作検出部101は、リレー接点84YUa及び84YDaがオンされている間は、入力回路85aからの入力信号IN1a及びIN2aではなく、モータ電流に基づいて、他席用サブスイッチ91aに対する操作の検出を行う。また、窓位置検出部102は、モータ電流に基づいて助手席の窓の位置の検出を行う。
ここで、図12を参照して、車両の各窓の位置の検出方法について説明する。
窓位置検出部102は、増幅回路73及び83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ12及びモータ13a乃至13cを流れるモータ電流を常時監視している。また、各モータを流れるモータ電流には、リップルが含まれている。そして、挟み込みが発生していない状態では、モータ電流のリップルの波形は、図12の上のグラフに示すような安定した波形となる。ここで、挟み込みとは、窓を閉める場合に窓と車体の間に物体が挟み込まれることをいう。
窓位置検出部102は、このモータ電流のリップルを図12の下のグラフに示すようなパルス列に変換する。そして、窓位置検出部102は、図12のパルス列に基づいて、各モータの回転数を算出し、算出したモータの回転数に基づいて、運転席及び他席の各窓の位置を検出する。このため、各窓の位置を検出するためのセンサが不要となる。
ステップS6において、操作検出部101は、閉操作が継続しているか否かを判定する。操作検出部101は、モータ電流が継続して流れている場合、閉操作が継続していると判定し、処理はステップS5に戻る。
その後、ステップS6において、閉操作が終了したと判定されるまで、ステップS5及びS6の処理が繰り返し実行される。
一方、図13に示されるように、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が終了し、接点91Uaがオフすると、モータ13aの両端がほぼ同電位となり、モータ電流が停止する。これにより、助手席の窓の閉動作が停止する。従って、ステップS4においてリレー接点84YUa及びリレー接点84YDaがオンしてから、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が終了するまでの間だけ、助手席の窓が閉まる(マニュアル閉動作)。
また、モータ電流の停止に伴い、増幅回路83aから制御部31への入力電圧がほぼ0になる。そして、ステップS6において、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいてモータ電流の停止を検出した場合、閉操作が終了したと判定し、処理はステップS7に進む。
ステップS7において、窓開閉制御装置21は、マニュアル閉動作を終了する。具体的には、図14に示されるように、開閉制御部103は、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオフする。これにより、リレー接点81YUaの端子cと接点91Uaの端子bの間の経路、及び、リレー接点81YDaの端子cと接点91Daの端子bの間の経路が切断される。
その後、窓開閉処理は終了する。
一方、ステップS2において、操作検出部101は、入力信号IN1a及びIN2aがともにLレベルになった場合、閉操作が終了したと判定し、処理はステップS8に進む。これは、規定時間Taが経過する前に閉操作が終了した場合である。
ステップS8において、操作検出部101は、操作時間≧規定時間Tminであるか否かを判定する。ここでの操作時間は、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が検出されてから、ステップS2において閉操作が終了したと判定されるまでの閉操作の継続時間である。そして、操作時間≧規定時間Tminであると判定された場合、処理はステップS9に進む。
ステップS9において、窓開閉制御装置21は、オート閉動作を開始する。具体的には、図15に示されるように、接点91Uaがオフした後、開閉制御部103は、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオンする。また、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YUaの端子a、リレー接点84YUaの端子a、接点91Uaの端子b、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点84YDaの端子a、リレー接点81YDaの端子b、及び、抵抗R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われていなくても、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓の閉動作が開始する。
ステップS10において、ステップS5の処理と同様に、モータ電流が監視される。
ステップS11において、窓位置検出部102は、他席の窓が全閉したか否かを判定する。具体的には、窓位置検出部102は、上述したように、モータ13aのモータ電流のリップルに基づいて助手席の窓の開閉方向の位置を検出し、まだ助手席の窓が全閉していないと判定した場合、処理はステップS12に進む。
ステップS12において、操作検出部101は、オート閉動作がキャンセルされたか否かを判定する。オート閉動作がキャンセルされていないと判定された場合、処理はステップS10に戻る。
その後、ステップS11において、他席の窓が全閉したと判定されるか、ステップS12において、オート閉動作がキャンセルされたと判定されるまで、ステップS10乃至S12の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS12において、操作検出部101は、例えば、他席用メインスイッチ33a又は他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合、オート閉動作がキャンセルされたと判定する。例えば、操作検出部101は、他席用メインスイッチ33aに対して開操作が行われ、入力回路62aを介して、接点61Daがオンしたことを検出した場合、オート閉動作がキャンセルされたと判定する。
或いは、例えば、図16に示されるように、他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われ、接点91Daがオンした場合、モータ13aの両端の電位がほぼ同じになり、モータ電流が停止する。そこで、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいてモータ電流の停止を検出した場合、オート閉動作がキャンセルされたと判定する。
そして、オート閉動作がキャンセルされたと判定された場合、処理はステップS13に進む。
また、ステップS11において、助手席の窓が全閉したと判定された場合、処理はステップS13に進む。
ステップS13において、窓開閉制御装置21は、オート閉動作を終了する。具体的には、図17に示されるように、開閉制御部103は、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオフする。また、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオフする。以上により、モータ13aのモータ電流が停止する(ステップS12において、他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われ、すでにモータ電流が停止している場合を除く)。
このように、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作を停止しても、途中でキャンセルしない限り助手席の窓が自動的に全閉するオート閉動作が実現される。
その後、窓開閉処理は終了する。
一方、ステップS8において、操作時間<規定時間Tminであると判定された場合、ステップS9乃至S13の処理はスキップされ、窓開閉処理は終了する。すなわち、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作の操作時間が規定時間Tmin未満である場合、助手席の窓の閉動作は行われない。
また、ステップS1において、開操作が行われていると判定された場合、処理はステップS14に進む。
ステップS14において、操作検出部101は、入力信号IN1a及びIN2aに基づいて、開操作が継続しているか否かを判定する。まだ開操作が継続していると判定された場合、処理はステップS15に進む。
ステップS15において、ステップS3の処理と同様に、規定時間Taが経過したか否かが判定され、規定時間Taが経過していないと判定された場合、処理はステップS14に戻る。
その後、ステップS14において、開操作が終了したと判定されるか、ステップS15において、規定時間Taが経過したと判定されるまで、ステップS14及びS15の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS15において、規定時間Taが経過したと判定された場合、処理はステップS16に進む。これは、他席用サブスイッチ91aに対する開操作が規定時間Ta以上継続して行われた場合である。
ステップS16において、窓開閉制御装置21は、マニュアル開動作を開始する。具体的には、図18に示されるように、開閉制御部103は、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、接点91Daの端子a、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点84YUaの端子a、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。
このように、他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われている場合にリレー接点84YUaをオンすることにより、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓の開動作が開始される。なお、このとき、リレー接点84YDaをオンせずに、リレー接点84YUaのみをオンするようにしてもよい。
ステップS17において、ステップS5の処理と同様に、モータ電流が監視される。
ステップS18において、操作検出部101は、開操作が継続しているか否かを判定する。操作検出部101は、モータ電流が継続して流れている場合、開操作が継続していると判定し、処理はステップS17に戻る。
その後、ステップS18において、開操作が終了したと判定されるまで、ステップS17及びS18の処理が繰り返し実行される。
一方、図19に示されるように、他席用サブスイッチ91aに対する開操作が終了し、接点91Daがオフすると、モータ13aの両端がほぼ同電位となり、モータ電流が停止する。これにより、助手席の窓の開動作が停止する。従って、ステップS16においてリレー接点84YUa及びリレー接点84YDaがオンしてから、他席用サブスイッチ91aに対する開操作が終了するまでの間だけ助手席の窓が開く(マニュアル開動作)。
また、モータ電流の停止に伴い、増幅回路83aから制御部31への入力電圧がほぼ0になる。そして、ステップS18において、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいてモータ電流の停止を検出した場合、開操作が終了したと判定し、処理はステップS19に進む。
ステップS19において、窓開閉制御装置21は、マニュアル開動作を終了する。具体的には、図14を参照して上述したように、開閉制御部103は、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオフする。
その後、窓開閉処理は終了する。
一方、ステップS14において、操作検出部101は、入力信号IN1a及びIN2aがともにLレベルになった場合、開操作が終了したと判定し、処理はステップS20に進む。これは、規定時間Taが経過する前に開操作が終了した場合である。
ステップS20において、ステップS8の処理と同様に、操作時間≧規定時間Tminであるか否かが判定され、操作時間≧規定時間Tminであると判定された場合、処理はステップS21に進む。
ステップS21において、窓開閉制御装置21は、オート開動作を開始する。具体的には、図20に示されるように、接点91Daがオフした後、開閉制御部103は、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオンする。また、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、リレー接点81YDaの端子a、リレー接点84YDaの端子a、接点91Daの端子b、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点84YUaの端子a、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われていなくても、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓の開動作が開始する。
ステップS22において、ステップS5の処理と同様に、モータ電流が監視される。
ステップS23において、窓位置検出部102は、他席の窓が全開したか否かを判定する。具体的には、窓位置検出部102は、上述したように、モータ13aのモータ電流のリップルに基づいて助手席の窓の開閉方向の位置を検出し、まだ助手席の窓が全開していないと判定した場合、処理はステップS24に進む。
ステップS24において、操作検出部101は、オート開動作がキャンセルされたか否かを判定する。オート開動作がキャンセルされていないと判定された場合、処理はステップS22に戻る。
その後、ステップS23において、他席の窓が全開したと判定されるか、ステップS24において、オート開動作がキャンセルされたと判定されるまで、ステップS22乃至S24の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS24において、操作検出部101は、例えば、他席用メインスイッチ33a又は他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合、オート開動作がキャンセルされたと判定する。例えば、操作検出部101は、他席用メインスイッチ33aに対して閉操作が行われ、入力回路62aを介して、接点61Uaがオンしたことを検出した場合、オート開動作がキャンセルされたと判定する。
或いは、例えば、図21に示されるように、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われ、接点91Uaがオンした場合、モータ13aの両端の電位がほぼ同じになり、モータ電流が停止する。そこで、操作検出部101は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいてモータ電流の停止を検出した場合、オート開動作がキャンセルされたと判定する。
そして、オート開動作がキャンセルされたと判定された場合、処理はステップS25に進む。
また、ステップS23において、助手席の窓が全開したと判定された場合、処理はステップS25に進む。
ステップS25において、窓開閉制御装置21は、オート開動作を終了する。具体的には、図22に示されるように、開閉制御部103は、駆動回路86aを介して、リレー接点84YUa及びリレー接点84YDaをオフする。また、開閉制御部103は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオフする。以上により、モータ13aのモータ電流が停止する(ステップS24において、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われ、すでにモータ電流が停止している場合を除く)。
このように、他席用サブスイッチ91aに対する開操作を停止しても、途中でキャンセルしない限り助手席の窓が自動的に全開するオート開動作が実現される。
その後、窓開閉処理は終了する。
一方、ステップS20において、操作時間<規定時間Tminであると判定された場合、ステップS21乃至S25の処理はスキップされ、窓開閉処理は終了する。すなわち、他席用サブスイッチ91aに対する開操作の操作時間が規定時間Tmin未満である場合、助手席の窓の開動作は行われない。
なお、詳細な説明は省略するが、他席用メインスイッチ33b又は33cに対して操作を行った場合も、同様の方法により右後部座席又は左後部座席の窓を開閉することができる。
以上のように、運転席以外の他席に制御部を設けず、配線を少なくした簡単な構成により、窓開閉制御装置21において、運転席から運転席及び他席の窓の制御(オート開閉動作およびマニュアル開閉動作)を行うことが可能になる。また、各他席用ユニット22に変更を加えることなく、窓開閉制御装置21を接続するだけで容易に機能の向上を図ることができるため、窓開閉制御装置21を後付けパーツやオプション品としても提供しやすくなる。さらに、窓開閉制御装置21の制御部31で各席のモータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流を監視することにより、センサ類を設けずに、各席の窓の位置を検出することが可能になる。
また、他席用サブスイッチ91にオート操作用の部材を設けずに、窓開閉制御装置21と他席用ユニット22との間の配線数を増やしたり、システム全体のコストや重量を増大させたりすることなく、他席用サブスイッチ91による他席の窓のオート操作を実現することができる。
さらに、モータ13の突入電流や、周囲の温度の変化やモータ13の経年劣化等によるモータ電流の変動に関わらず、他席用サブスイッチ91に対する操作の検出精度を向上させることができる。
<2.変形例>
以下、上述した本発明の実施の形態の変形例について説明する。
以上の説明では、他席の窓の数が3つである例を示したが、他席の窓の数は任意に設定することが可能である。そして、他席の窓の数に応じて、モータ13、他席用ユニット22、他席用メインスイッチ33、及び、他席用制御回路35の数を増減させるようにすればよい。
また、メインリレー14の代わりに、例えば、マニュアルのスイッチを用いたり、イグニッションスイッチ16を直接用いたりすることも可能である。
さらに、他席用サブスイッチ91に対するオート操作を、上述した操作方法と異なる方法により実現することが可能である。例えば、他席用サブスイッチ91が連続して所定回数(例えば、2回)短押しされた場合にオート操作が行われたと判定するようにしてもよい。
また、オート操作の判定時間に規定時間Tminを用いずに規定時間Taのみを用いるようにしてもよい。
さらに、他席用サブスイッチ91に対するオート閉操作の判定条件とオート開操作の判定条件を異なる条件に設定することも可能である。例えば、上述した例では、オート閉操作とオート開操作で同じ判定時間(規定時間Ta、Tmin)を用いる例を示したが、異なる判定時間を用いるようにしてもよい。
また、入力回路85aには、他席用ユニット22aの接点91Uaの端子b及び接点91Daの端子bから出力される電流が入力されればよいので、例えば、入力回路85aをリレー接点84YUaの端子c及びリレー接点84YDaの端子cに接続するようにしてもよい。この場合、リレー接点84YUa及び84YDaの端子bは削除することが可能である。なお、これは、入力回路85b及び85cについても同様である。
さらに、以上の説明では、各モータのモータ電流をモータ電流が流れる抵抗の両端の電圧に基づいて検出する例を示したが、この例に限定されることなく、モータ電流の検出方法には任意の方法を採用することが可能である。
なお、本発明は、車両の種類によらず、パワーウインドウ機能を有する車両に適用することが可能である。
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。