JP6187423B2 - 自動車のボンネット構造 - Google Patents
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Description
上述のボンネットには、少なくとも次の各要件が求められる。すなわち、走行振動や走行風の風圧などに起因して当該ボンネットに撓みや振動が発生しないように車体に確実に支持されていること、車両の衝突時(前突時)にボンネット後端がヒンジを介して車両後方へ後退移動しないこと、歩行者などの衝突物との衝突時において、その衝撃エネルギを吸収することができること、の各要件である。
このような中央隆起部を採用した自動車のボンネット構造としては、特許文献1、特許文献2に開示されたものがある。
この特許文献1に開示された従来構造において、ボンネット後部のヒンジ支持剛性をさらに高めるためには改善の余地があった。
上述の深絞り溝は、複数回のプレス加工により深さが深い凹形状に形成することができる。
要するに、中央隆起部を有するボンネットにおいて、ボンネット後部のヒンジ支持剛性を高めて、走行振動や走行風の風圧などに起因するボンネットの撓みや振動の発生を防止することができる。
図面は、自動車のボンネット構造を示し、図1は当該ボンネット構造を備えた自動車の前部斜視図であって、図1において、エンジンルーム1の上方を開閉可能に覆うボンネット10を設けている。
上述のエンジンルーム1の前方はフロントバンパ2で覆われており、エンジンルーム1の左右両側方は左右のフロントフェンダ3,3で覆われている。
なお、図1において、8はサイドウインドガラス8aを備えたフロントドア、9は前輪である。
上述のカウルフロントパネル14とカウルフロントレインフォースメント15との間には、車幅方向に延びる閉断面16が形成されており、これによりカウル剛性の向上を図っている。
また、上述のカウル部4の上方にはカウルグリル17を設ける一方、カウル部4の前方にはカウルグリルフロント18を設けている。
上述のボンネットヒンジ20は、図7にも示すように、カウルサイドパネル19の上端折曲げ部19aにボルト、ナットなどの取付け部材21を用いて固定されるボディ側ヒンジブラケット22と、このボディ側ヒンジブラケット22にヒンジピン23を介して連結されるボンネット側ヒンジブラケット24とを備えており、このボンネット側ヒンジブラケット24が上述のボンネット10の後端部左右両サイド下面に連結固定されている。
また、上述の中央隆起部31の後方に位置するようにボンネットインナパネル26の後辺部26Bに沿って車幅方向に延びる後側隆起部32が設けられている。
上述の深絞り溝33は、複数回のプレス加工により深さが深い凹溝形状に形成されたものである。
また、上述の凸部32cの形状により、図5の(b)に示すように、車幅方向に延びる少なくとも1つの稜線X1を形成している。
上述の深絞り溝33は、図4,図5の(b)に示すように、その溝前部に一段深い副溝33aが形成されており、この副溝33aの形成により、該副溝33aに沿う複数の稜線X2,X3,X4が形成されている。
上述の深絞り溝33の湾曲構造により、ヒンジレインフォースメント40前端よりも前方部位までヒンジ支持剛性の向上を図り、さらに、該湾曲構造により、深絞り溝33の口開き変形に対する剛性向上を図るように構成したものである。
そして、上述の左右の各側溝28,29により深絞り溝33および後側隆起部32を補強すると共に、ヒンジレインフォースメント40が深絞り溝33よりも下方位置に固定されていることで、当該ヒンジレインフォースメント40上方におけるインパクタ緩衝用(つまり衝突物緩衝用)のクラッシュスペースの拡大を図るように構成したものである。
このストライカ51は、ボンネットインナパネル26の前部車幅方向中央から下方に突出するように設けられており、該ストライカ51は車体側のラッチと係合可能に構成されている。
そして、上述の深絞り溝33と枠状溝30とスティフナ60とにより、通常時のボンネット剛性を確保しつつ、中央隆起部31と後側隆起部32とスティフナ60とにより、全体的に慣性質量をボンネット10上部に集中させつつ、上下方向のクラッシュストロークを大きくし、衝突物緩衝時の反力を初期に高く、後期に低く持続する反力特性を確保するように構成している。
上述の中央隆起部31の前側の左右のコーナ部には、上下の稜線X5,X6を寸断する一対のスリット43,43と、一対のスリット43,43間に位置する柱状部44とが設けられており、衝突物の衝突エネルギ吸収時における変形抵抗の増大や底付きを防止すると共に、上記柱状部44にて通常時の剛性確保を図り、かつ衝突物緩衝時の初期反力向上を図るように構成している。
上述の枠状溝30のうちの横溝27には、図5の(a)、図8,図9に示すように、当該横溝27よりも一段深く、車幅方向に延びる副溝27aが凹設形成されている。そして、該副溝27aの前後両部には車幅方向に延びる稜線X7,X8が形成されている。
なお、図示の便宜上、図2,図3,図7〜図9においては充填剤47の図示を省略している。
つまり、ボンネット10のヒンジ支持剛性の確保と、車両前突時におけるボンネット10後部の後退防止とを両立するように構成したものである。
上述の前突荷重伝達経路Z(中央隆起部31の上面と傾斜側面31j,31k)の後方において、深絞り溝33と、ヒンジレインフォースメント40前端とを車幅方向に並んで設けることにより、図6に示すように、当該左右のヒンジレインフォースメント40,40前端を車幅方向に結ぶ谷折れラインL4が形成されている。
図10の(a)に示すように、車両前突時には、まずプリ山折れラインL2(前置山折れ起点部)に応力が集中すると共に、前突荷重伝達経路(中央隆起部31の上面と傾斜側面31j,31k)を介して後方に荷重が伝達される。
なお、図10において、αは通常時(前突前)のストライカ51の位置を示す。また、図3において、48はカウルシールである。さらに、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示す。
要するに、中央隆起部31を有するボンネット10において、ボンネット10後部のヒンジ支持剛性を高めて、走行振動や走行風の風圧などに起因するボンネット10の撓みや振動の発生を防止することができる。
この発明のヒンジは、実施例のボンネットヒンジ20に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
20…ボンネットヒンジ(ヒンジ)
25…ボンネットアウタパネル
26…ボンネットインナパネル
28,29…側溝
31…中央隆起部
31i…傾斜後面
32…後側隆起部
32c…凸部
33…深絞り溝
33c…湾曲中央部
40…ヒンジレインフォースメント
Claims (3)
- ボンネットアウタパネルとボンネットインナパネルとを有するボンネットの後部が車体にヒンジを介して軸支された自動車のボンネット構造であって、
上記ボンネットインナパネルには、車両正面視で上方に突出する形状の中央隆起部と、その後方に位置する後側隆起部とが前後方向に並んで設けられ、
上記両隆起部の間に深絞り溝が車幅方向に延設され、
上記後側隆起部の側方から上記深絞り溝の側方を通り上記中央隆起部の後端にかけてヒンジレインフォースメントが延設され、
上記後側隆起部の上面には、上記ボンネット後端から前方に離間して車幅方向に延びて、上記ボンネットアウタパネルを支持する凸部が設けられ、
上記中央隆起部は、斜め後方下方に延びる傾斜後面が形成され、
上記ヒンジレインフォースメントの前端は、上記中央隆起部の上記傾斜後面の下縁よりも前方で、当該傾斜後面の上縁と同等乃至後方の車幅方向側方に位置するように設けられた
自動車のボンネット構造。 - 上記深絞り溝は、平面視でその車幅方向中央部が車両前方に突出するよう湾曲しており、
湾曲中央部が上記ヒンジレインフォースメント前端よりも車両前方に位置している
請求項1記載の自動車のボンネット構造。 - 上記ボンネットインナパネルの左右両側部に、上記深絞り溝よりも下方に窪む側溝が前後方向に延設され、
該側溝の側部における上記深絞り溝よりも下方位置に上記ヒンジレインフォースメントが固定された
請求項1または2記載の自動車のボンネット構造。
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