JP6182386B2 - 抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙および製造方法 - Google Patents

抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙および製造方法 Download PDF

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Description

本発明は抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙およびその製造方法に関する。
重症呼吸器感染症(SARS)ウイルス、鳥インフルエンザウイルス、口蹄疫ウイルス、新型インフルエンザウイルス等のウイルス病が次々と社会的問題となっている。本来、ウイルスの宿主域は限定され、哺乳類に感染するものは哺乳類だけ、鳥類に感染するものは鳥類だけというのが通常である。しかし、鳥インフルエンザウイルスは、鳥類のみならず哺乳類にも感染することができる広い宿主域をもつウイルスであるため、ヒトに対して感染する恐れがある。現在では、アジアやヨーロッパでもH5N1型鳥インフルエンザウイルスが蔓延しており、それをベースに変異した強毒型インフルエンザの出現によるパンデミック(感染爆発)が危惧されている。そのため、パンデミックへの対策を講じるために抗ウイルス性を示す材料や、抗ウイルス性を付与できる材料の開発が望まれている。
中でもウイルスと接触することが予測される医療施設などに使用されるポリ塩化ビニル樹脂製の壁紙等の建築用内装材においては、ウイルスの不活化が特に望まれている。
特許文献1には、再生コラーゲン繊維または再生コラーゲン粉末を含む抗ウイルス性付与組成物をポリウレタン樹脂と混合して、軟質塩ビシートにコーティングしたシートが開示されている。
特開2009−127163号
発明者等は、ポリ塩化ビニル系樹脂とスルホン酸系界面活性剤からなるポリ塩化ビニル系樹脂組成物において高い抗ウイルス性能を発現することを見出した。そこで、さらに検討を行った結果、ペースト用ポリ塩化ビニル樹脂に可塑剤、スルホン酸系界面活性剤を添加したポリ塩化ビニルペーストゾルを普通パルプ紙等の基材に塗工することで抗ウイルス性を有する壁紙が得られた。しかし、スルホン酸系界面活性剤を添加したポリ塩化ビニルペーストゾルは、添加量や攪拌条件等によってポリ塩化ビニルペーストゾル中に泡が発生し、塗工後のポリ塩化ビニルペーストゾル層に泡が破れた跡が残ることがあった。そしてこのような泡の跡は壁紙の外観不良となる。
すなわち、ペースト用ポリ塩化ビニル樹脂に可塑剤、スルホン酸系界面活性剤を添加したポリ塩化ビニルペーストゾルを塗工した壁紙は、ポリ塩化ビニルペーストゾル中に泡が発生することより泡の跡が残り、壁紙の外観不良となる場合があった。
そこで、上記のような状況に鑑み、本発明は抗ウイルス性に優れるとともに、スルホン酸系界面活性剤による泡の発生を抑えた外観に優れる抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙を得ることを目的とする。
前述の課題を解決するために本発明が用いた手段は、ペースト用塩化ビニル系樹脂とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とスルホン酸系界面活性剤とを混合し、固体状のポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなる樹脂層と基材層を有する壁紙とすることである。
さらに具体的には、10〜90重量部のペースト用塩化ビニル系樹脂と、90〜10重量部のサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを混合してなるポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、スルホン酸系界面活性剤0.5〜7重量部とを含有する樹脂層と基材層とを備える抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙とすることである。
本発明によれば、本発明は抗ウイルス性に優れるとともに、スルホン酸系界面活性剤による泡の発生を抑えた外観に優れる抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙を得ることができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明の実施形態としては、10〜90重量部のペースト用塩化ビニル系樹脂と、90〜10重量部のサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを混合してなるポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、スルホン酸系界面活性剤0.5〜7重量部とを含有する樹脂層と基材層を備える抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙である。
ここで、ペースト用塩化ビニル系樹脂に可塑剤を配合したペーストゾルにスルホン酸系界面活性剤が添加されると、ペーストゾル中に泡が発生する場合がある。そして、ペーストゾル中の泡が残ったまま塗工されると破泡した跡が塗工後の樹脂層に残り、壁紙の外観不良となる。
本発明の実施形態においては、所定量のペースト用塩化ビニル系樹脂とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを混合することで、ペーストゾルによる塗工に依らず、固体状のコンパウンドであるポリ塩化ビニル系樹脂組成物を成形加工して壁紙を得ることができる。これにより、ペーストゾル中の泡の発生および、泡の跡による壁紙の外観不良を解決することが可能となる。
ペースト用塩化ビニル系樹脂とは、主に乳化重合法やミクロ懸濁重合法により得られる、粒子径が0.02〜20.0μmである微細な粒子からなる塩化ビニル系樹脂であり、可塑剤等の液体を添加することでペースト状になるのが一般的な特徴である。
ペースト用塩化ビニル系樹脂の製造方法としては、ペースト用塩化ビニル系樹脂を得ることが可能であればいかなる製造方法を用いることが可能である。最も一般的な方法としては、塩化ビニル系単量体を脱イオン水、乳化剤、水溶性重合開始剤と共に緩やかな攪拌下重合を行う乳化重合法、乳化重合法で得られた粒子をシードとして用い乳化重合を行うシード乳化重合法、塩化ビニル系単量体を脱イオン水、乳化剤、必要に応じて高級アルコール等の乳化補助剤、油溶性重合開始剤をホモジナイザー等で混合分散した後、緩やかな攪拌下で重合を行うミクロ懸濁重合法、ミクロ懸濁重合法で得られた油溶性重合開始剤を含有するシードを用い重合を行うシードミクロ懸濁重合法等により、重合温度30〜80℃にて重合し、得られたラテックスを噴霧乾燥後、粉砕する方法を挙げることができる。このように、ペースト用塩化ビニル系樹脂の製造段階は、重合を行う重合工程と重合後の後工程を有している。
ここで、抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙は所定量のスルホン酸系界面活性剤がポリ塩化ビニル系樹脂層に添加されることで抗ウイルス性が発揮される。そして、より高い抗ウイルス性を発現しつつ、成形加工時における初期着色を抑制するには、スルホン酸系界面活性剤が予めペースト用塩化ビニル系樹脂に添加されていることが好ましい。すなわち、スルホン酸系界面活性剤はペースト用塩化ビニル系樹脂の製造段階で添加されることが好ましい。ここで、スルホン酸系界面活性剤は重合工程において乳化剤等として添加することができる。ただし、この場合、スルホン酸系界面活性剤の添加量が多いと、そのスルホン酸系界面活性剤の影響により所望の性状のペースト用塩化ビニル樹脂が得られない場合がある。
他方、スルホン酸系界面活性剤は重合後の後工程で添加することもできる。ここで、スルホン酸系界面活性剤は水溶性である。また、乳化重合またはシード乳化重合でペースト用塩化ビニル樹脂を製造する際に、重合後の中間体的形態として水を溶媒とするラテックスが得られる。したがって、このラテックスにスルホン酸系界面活性剤を添加することで、スルホン酸系界面活性剤が塩化ビニル樹脂中へ良好に分散される。このように、スルホン酸系界面活性剤を重合後のラテックスに添加することで、所望量のスルホン酸系界面活性剤を含む、所望の性状を有するペースト用塩化ビニル樹脂が得られる。これにより、高い抗ウイルス性と成形加工時における初期着色の抑制効果をより効率的に得ることができる。
このような高い抗ウイルス性や初期着色抑制の効果は、ペースト用塩化ビニル系樹脂中においてスルホン酸系界面活性剤が微分散状態になることに起因するものと考えている。
すなわち、スルホン酸系界面活性剤が微分散されることで、より効率よく抗ウイルス性を発揮することができる。そして、それによって成形加工時の初期着色を強くさせるスルホン酸系界面活性剤の添加量を低く抑えることができ、その結果、さらに成形加工時の変色を低減できるものと推定している。
ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度としては、実質的に成形加工が可能であれば、特に制限されるものではないが、平均重合度500〜2000の範囲が好ましく、平均重合度700〜1300の範囲がさらに好ましい。平均重合度500未満では溶融時の粘度が低いため加工し難く、平均重合度2000を超える場合は溶融時の粘度が高いため加工しにくくなる可能性がある。
ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂を用いた場合、ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂の特性から可塑剤等の液体が混在すると常温でペースト状となるため、ペーストゾル中の泡の発生と泡に跡による壁紙の外観不良が問題となる。ここで、ペーストゾルの塗工ではなく、加熱溶融により成形することで泡の跡による外観不良を回避することが考えられるが、それらの樹脂組成物からなるペーストゾルを加熱溶融しようとすると著しくハンドリング性に劣る。そこで、樹脂組成物を加熱溶融し、混練して賦形後冷却固化する溶融賦形法により成形加工する場合には、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂とブレンドすることが好ましい。このような溶融賦形法としては、押出工程やカレンダー工程等を含む成形法があり、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形、ロール成形等が例示できる。
より詳細に説明すると、ペーストゾル中にスルホン酸系界面活性剤が添加されると攪拌条件やスルホン酸系界面活性剤の添加量によりペーストゾル中に泡が発生する場合があり、ペーストゾルを塗工することで泡の跡が樹脂層に残る。したがって、このペーストゾルを加熱溶融することで押出加工やカレンダー加工によりシート状に成形し、基材層と積層することで、泡の発生を抑え、泡の跡が樹脂層に残ることを防止できると考えられる。
しかし、可塑剤等を添加することでペースト状となったペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂は流動性を有する液状体である。一方、溶融賦形法においては、ペレットや粉体のような固体を投入するものとして機械設備が設計されており、ペーストのような液状体は、漏れ等の理由から、溶融賦形法に適用できないのが一般的である。さらに、加熱混練する工程においてもペレット、粉体等の固体を溶融し、混練することができるように最適化されており、これに液状体を使用すると、充分に混練されない等の問題が生じる場合がある。
したがって、ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂を用いる場合に、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂とブレンドし固体状のポリ塩化ビニル系樹脂組成物とすることで、上記のような溶融賦形法において抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙を容易に成形加工することができる。そして、このように泡の発生を抑え泡の跡が樹脂層に残ることを防止された抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙が得られる。
このように、塩化ビニル系樹脂の製造工程においてスルホン酸系界面活性剤が添加されたペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂を用いることで高い抗ウイルス性と加工時の初期着色を防止でき、さらにサスペンジョン塩化ビニル系樹脂と混合することで、溶融賦形法においてハンドリング性が向上し、加工性の良好な塩化ビニル系樹脂製組成物が得られ、それを樹脂層とし、基材層を備えることで、抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙を得ることができる。
ここで、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂とは、主に懸濁重合法により得られる、粒子径が約50〜200μmでポーラスな不定形状の塩化ビニル系樹脂のことである。このポーラスな形状を有することで可塑剤等の液体が吸収されるため、可塑剤等の液体を添加してもペースト状になることを防ぐことができる。
ペースト用塩化ビニル系樹脂とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂のブレンド比はスルホン酸系界面活性剤が0.5〜7重量%を含有し、成形加工が問題なければ、特に制限されるものではないが、ペースト用塩化ビニル系樹脂が90〜10重量%、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂10〜90重量%が好ましく、ペースト用塩化ビニル系樹脂が70〜20重量%、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂30〜80重量%がより好ましく、ペースト用塩化ビニル系樹脂が50〜20重量%、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂50〜80重量%がさらに好ましい。
また、サスペンジョンポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度としては、実質的に成形加工が可能であれば、特に制限されるものではないが、平均重合度500〜2000の範囲が好ましく、平均重合度700〜1300の範囲がさらに好ましい。平均重合度500未満では溶融時の粘度が低いため加工し難く、平均重合度2000を超える場合は溶融時の粘度が高いため加工し難くなる可能性がある。
本発明に用いるスルホン酸系界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸系化合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系化合物、アルキルナフタレンスルホン酸系化合物、アルキル硫酸エステル系化合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル系、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物系化合物等が挙げられる。この中でも抗ウイルス性に優れるとの観点からアルキルベンゼンスルホン酸系化合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系化合物、アルキルナフタレンスルホン酸系化合物が好ましく、特に抗ウイルス性に優れるアルキルベンゼンスルホン酸系化合物がより好ましい。
本発明で用いるスルホン酸系界面活性剤において、スルホン酸基は例えばインフルエンザウイルスのノイライミダーゼとの親和性が高く、阻害作用を現すことができる。また官能基の構造はノイライミダーゼへの接近に関して影響を示し、嵩高くなく立体障害を受け難い構造が肝要となる。その点において、アルキルベンゼンスルホン酸系界面活性剤は好適であり、特にドデシルベンゼンスルホン酸が好ましい。
さらに、上記のスルホン酸系界面活性剤としては、スルホン酸塩系界面活性剤が好ましく、具体的にはナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩を好適に用いることができる。特にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)が好ましい。
また、複数のスルホン酸系界面活性剤を抗ウイルス性が阻害されない限りにおいて添加してもよく、その他の種類の界面活性剤を加えることも制限されない。
抗ウイルス性を付与する上でポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対してスルホン酸系界面活性剤を0.5〜7重量部添加することが好ましい。
0.5〜5重量部がより好ましく、1.0〜4.0重量部がさらに好ましい。0.5重量部未満では抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートにした場合の抗ウイルス性に乏しく、7重量部を超える場合、加工が困難となり、初期着色も大きくなる。
また、スルホン酸系界面活性剤をペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂に添加する場合において、スルホン酸系界面活性剤の含有量はペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂中1〜15重量%が好ましく、1〜10重量%がさらに好ましく、1〜7.5重量%が特に好ましい。1重量%未満では抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートにした場合の抗ウイルス性が乏しく、15重量%を超える場合、ペースト用塩化ビニル系樹脂を製造する際の生産性が乏しくなる場合がある。
ここで、塩化ビニル系樹脂を使用して壁紙を製造する場合には、柔軟性(ソフトな触感)や壁紙を施工する際の施工性を良好にするために、可塑剤を添加することが一般的である。
可塑剤としては、例えば、DOP(ジ‐2‐エチルヘキシルフタレート)、DINP(ジイソノニルフタレート)、DIDP(ジイソデシルフタレート)などのフタル酸エステル系可塑剤や、DOA(ジ‐2‐エチルヘキシルアジペート)、DIDA(ジイソデシルアジペート)などのアジピン酸エステル系可塑剤、DOS(ジ‐2‐エチルヘキシルセバケート)などのセバシン酸エステル系可塑剤、DOZ(ジ‐2‐エチルヘキシルアゼレート)などのアゼライン酸エステル系可塑剤といった脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシレニル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリス(イソプロピル化フェニル)、リン酸トリス(ジクロロプロピル)等などのリン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、スルホン酸エステル系可塑剤などが挙げられる。塩化ビニル系樹脂との相溶性が良い可塑剤としてフタル酸エステル系可塑剤や分子量の高いポリエステル系可塑剤などが挙げられる。可塑剤は単独で用いても複数の種類を複合して用いてもよい。
可塑剤の添加量は塩化ビニル系樹脂100重量部に対して10〜100重量部が好ましい。可塑剤の添加量が100重量部を超えると樹脂組成物はペースト状になり易く、加熱溶融前のハンドリング性に劣る場合が生じる。10重量部より少ないと溶融賦形法による加工が困難になるとともに壁紙に求められる柔軟性が達成できなくなる。可塑剤の添加量は20〜90重量部が好ましく、30〜80重量部がさらに好ましい。
本発明における抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙に用いられるポリ塩化ビニル系樹脂組成物には必要に応じて発泡剤を用いてもよいが、その場合の添加量は樹脂成分100重量部に対し0.01重量部以上15重量部以下、好ましくは0.1重量部以上12重量部以下、さらには1重量部以上10重量部以下に制限することが望ましい。15重量部を超えると、粗大な発泡セルによる外観不良や、未発泡残渣物や副生成物による変色等を引き起こす場合がある。
なお、本発明の抗ウイルス性壁紙に平滑性や強度等を要求する目的で、実質的に発泡剤を含まなくすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
本発明に用いる発泡剤としては公知のものを用いることができ、例えばアゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド(ABFA)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN),オキシベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド(TSH)等が挙げられる。
本発明の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙に用いられるポリ塩化ビニル系樹脂組成物には、安定剤、充填剤や加工助剤を配合することが好ましい。
前記安定剤としては特に限定されないが、例えばバリウム(Ba)系安定剤、カルシウム系安定剤、スズ系安定剤、亜鉛(Zn)系安定剤、カリウム系安定剤等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
前記充填剤としては特に限定されないが、炭酸カルシウム、シリカの他、タルク、マイカなどの板状フィラー、ベントナイト、焼成カオリンなどのクレー類、酸化マグネシウム、アルミナなどの金属酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物などの無機系充填剤が使用できる。充填剤には塩化ビニル系樹脂との親和性を高めるため、脂肪酸や変性脂肪酸などの各種表面処理が施されていてもよい例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、ケイ酸マグネシウム、珪藻土等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
充填剤の添加量としては、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して1〜100重量部が好ましい。充填剤の添加量が100重量部を超えると抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物を成形して得られるシート等の成形体の表面の平滑性に劣る場合が生じる。一方、1重量部より少ないと加工性向上の効果が得られない場合がある。充填剤の添加量は10〜80重量部が好ましい。
抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙用の組成物には加工性を向上する目的としてアクリル系高分子加工助剤を添加することが好ましい。アクリル系高分子加工助剤としては、例えば、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体などのメチルメタクリレート−アルキルアクリレート共重合体などのアクリル系高分子加工助剤が挙げられる。
アクリル系高分子加工助剤を添加することで、ロール成形やカレンダー成形時のバンク内の回転流動や脱気が良好となり、プレートアウトが抑制されることから得られる成形体の外観が良好になる。
また、本発明の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙に用いられるポリ塩化ビニル系樹脂組成物には、抗ウイルス性を阻害しない限りに於いて、紫外線吸収剤、光安定剤、紫外線遮蔽剤、帯電防止剤、導電剤、酸化防止剤、着色剤、滑剤、抗菌剤、防カビ剤、消臭剤、ホルムアルデヒド吸収剤、難燃剤、防炎剤、界面活性剤、蛍光増白剤、蓄光剤、架橋剤等の一般的に樹脂に添加される他の添加剤を適宜添加してもよい。
抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙に用いられるポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、公知の製造装置を用いてペースト用塩化ビニル系樹脂と、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂とスルホン酸系界面活性剤とを混合することで製造することができる。例えば、ペースト用塩化ビニル系樹脂とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とスルホン酸系界面活性剤とを高速攪拌機、低速攪拌機、ヘンシェルミキサーなどで均一に混合することで製造することができる。また、混合して得られた混合物をバッチ式混練ミキサー、バンバリーミキサー、コニーダ、押出機などで溶融混合して抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物を得ることもできる。また、溶融混合した後、一旦ペレット化し、これを抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物としてもよい。なお、可塑剤、安定剤、充填材等の添加剤はそれぞれの用途に応じて任意に添加することができる。
ここで、ペースト用塩化ビニル系樹脂の製造段階においてスルホン酸系界面活性剤を添加する場合においては、スルホン酸系界面活性剤が添加されたペースト用塩化ビニル系樹脂とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを混合することで抗ウイルス性壁紙用の組成物が得られる。また、上記と同様に溶融混合してもよいし、これをペレット化してもよい。
ポリ塩化ビニル樹脂系組成物を溶融賦形し、基材層を積層することにより抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙を得ることができる。より具体的に、抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙は、ペースト用塩化ビニル系樹脂10〜90重量部とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂90〜10重量部とスルホン酸系界面活性剤とを混合する工程と、ペースト用塩化ビニル系樹脂とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とからなるポリ塩化系ビニル系樹脂を溶融賦形しポリ塩化ビニル系樹脂層を得る工程と、ポリ塩化ビニル樹脂層と基材層とを積層する工程を有する製造方法で製造することができる。
ここで、スルホン酸系界面活性剤の添加は、ペースト用塩化ビニル系樹脂とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂を混合する工程で行うことができる。一方、スルホン酸系界面活性剤が微分散性し初期着色性に優れるとの点からは、ペースト用塩化ビニル系樹脂の製造段階において予めスルホン酸系界面活性剤を添加することが好ましい。この場合には、予めスルホン酸系界面活性剤を含有するペースト用塩化ビニル系樹脂10〜90重量部とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂90〜10重量部とを混合する工程と、ペースト用塩化ビニル系樹脂とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とからなるポリ塩化系ビニル系樹脂を溶融賦形しポリ塩化ビニル系樹脂層を得る工程と、ポリ塩化ビニル樹脂層と基材層とを積層する工程を有する製造方法で製造することができる。
これにより、得られた抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙は様々な室内空間に用いることができる。
なお、抗ウイルス性塩化ビニル系壁紙の基材層以外の部分は単層であっても、複数の層からなる多層構造であってもよい。ただし、抗ウイルス性を有する塩化ビニル系樹脂層は少なくとも前記抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙の最表面層にあることが必要である。
また、多層構造である場合、積層される層には特に制限はない。例えば、抗ウイルス性を有するポリ塩化ビニル系樹脂層から成る層に、他のポリ塩化ビニル系樹脂層や他の樹脂からなる樹脂層を、使用する用途や要求される物性に応じて積層することができる。
そして、抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙は、スルホン酸系界面活性剤を含有するペースト用塩化ビニル系樹脂10〜90重量部とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂90〜10重量部とを混合する工程と、ペースト用塩化ビニル系樹脂とサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とからなるポリ塩化ビニル系樹脂をカレンダー成形法またはロール成形法等の溶融賦形する工程を備える製造方法と基材層を積層する製造方法によって製造することができる。
抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙を製造する際の混合工程には、通常、熱可塑性樹脂において用いられている公知の装置を利用することができる。例えば、本発明の組成物を高速攪拌機、低速攪拌機、ヘンシェルミキサーなどで均一に混合し、バッチ式混練ミキサー、バンバリーミキサー、コニーダ、押出機などで溶融混合し、直ちに成形してもよい。また、溶融混合した後、一旦ペレット化し、その後成形してもよい。
抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙を製造する際に、抗ウイルス性を有する塩化ビニル系樹脂層を溶融賦形で製造する工程はシート成形法を用いることができる。シート成形法としては、得られるシートの厚み精度の点から、カレンダー成形法またはロール成形法が好ましく、さらにスピードの点からカレンダー成形法が好ましい。その他にも一般的なシート成形法により成形することができる。例えば押出成形法、プレス成形法などが挙げられる。
ここで、ペースト用塩化ビニル樹脂と可塑剤とを混合する場合においては、前述の通りその混合物はペースト状となることが多い。ペースト状となった樹脂組成物を壁紙に成形するには、一般的にはペーストコーター等の塗布機が用いられ、基材層にペーストを塗布する方法が用いられる。しかし、本発明は、ペースト状の樹脂組成物を用いることで生じる泡の問題を解決するために実施したもので、塗工による方法を採用することはできない。そこで、ペースト用塩化ビニル樹脂とサスペンジョン塩化ビニル樹脂をブレンドして用い、シート成形性に優れる押出機やカレンダー成形機を用いることで抗ウイルス性を有する塩化ビニル系樹脂層を作製し、それに基材層を備えることで壁紙を製造することができるようになる。
なお、押出機やカレンダー成形機を用いると、抗ウイルス性を有する塩化ビニル系樹脂層を同じ工程内で基材層に積層することが可能な場合があり、壁紙を生産する際の生産性や生産安定性を踏まえると、この方法が好適に用いられる。
本発明の抗ウイルス壁紙に用いられる基材層である裏打材としては、特に限定されないが、普通パルプ紙、難燃パルプ紙、炭酸カルシウム紙、水酸化アルミニウム紙、フリース紙、不織布、織布、網布等が挙げられる。
本発明の抗ウイルス壁紙は、例えばエンベロープを有するウイルスに効力を発現する。
エンベロープを有するウイルスとしては、例えば、鳥インフルエンザウイルス、人インフルエンザウイルス、豚インフルエンザウイルス等のイフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、RSウイルス等が挙げられる。
また、本発明の抗ウイルス壁紙は、例えばエンベロープのないウイルスにも効力を発現する。エンベロープのないウイルスとしては、例えば、パルボウイルス、人ライノウイルス、人ポリオウイルス、エコーウイルス、コクサッキーウイルス、ネコカリシウイルス等が挙げられる。
本発明の抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙には、抗ウイルス性を阻害させない限りに於いて表面にトップコート層を設けても良い。トップコート層は、例えばトップコート用樹脂組成物を塗料にして塗工することで設けることができ、トップコート用樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂などを用いることができる。さらにトップコート処理によって壁紙表面の動摩擦係数を低減できれば、表面強化壁紙性能規定に準拠した試験に於いて4級以上を有すことが可能となる。この場合、動摩擦係数は例えばASTM D 1894に準拠した試験で0.5以下とすることが好ましい。
ここでトップコート層がコート剤の塗工により設けられる場合、コート剤は抗ウイルス性を有する塩化ビニル系樹脂層に細かな隙間を有する状態で塗布される。したがって、樹脂層に含まれるスルホン酸系界面活性剤は表面に一部露出することができるために、ウイルスが壁紙表面に接触した場合に該ウイルスを攻撃することが可能となる。したがって、トップコート層を設けても抗ウイルス性が発揮される。
本発明の抗ウイルス性壁紙には、抗ウイルス性を阻害させない限りにおいて前記基材層上に印刷層を設けることができる。印刷層を付与する方法としては公知の方法を用いることができ、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等が挙げられる。また印刷層の塗着性向上や低艶化の目的で、各種表面処理剤を併用してもよい。なお、印刷層に加え前記トップコート層を付与する場合は、印刷層の上にトップコート層を付与することが好ましい。この場合も印刷層は抗ウイルス性を有する樹脂層に細かな隙間を有する状態で塗布される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例に使用した各配合剤の具体的な物質名は以下の通りである。
塩化ビニル系樹脂A−1:サスペンジョン塩化ビニル系樹脂 平均重合度 1000
塩化ビニル系樹脂A−2:サスペンジョン塩化ビニル系樹脂 平均重合度 1300
塩化ビニル系樹脂B−1:ペースト用塩化ビニル系樹脂 平均重合度 850
(ドデシルベンゼンスルホン酸Na含有量5.0重量%)
塩化ビニル系樹脂B−2:ペースト用塩化ビニル系樹脂 平均重合度 850
(ドデシルベンゼンスルホン酸Na含有量7.5重量%)
塩化ビニル系樹脂B−3:ペースト用塩化ビニル系樹脂 平均重合度 850
(ドデシルベンゼンスルホン酸Naを含有しない)
可塑剤C−1:ジ‐2‐エチルヘキシルフタレート
可塑剤C−2:ジイソノニルフタレート
安定剤D−1:金属石鹸
発泡剤E−1:アゾジカルボンアミド(ADCA)
充填剤F−1:炭酸カルシウム
添加剤G−1:ドデシルベンゼンスルホン酸Na
アクリル系高分子加工助剤:H−1
<加工性・シート化>
カレンダー成形法にてポリ塩化ビニル系樹脂層を成形した時の加工性について評価した。
◎:良好
○:問題なく加工できる
△:やや低下するが加工は可能
×:加工不可能
<加工性・プレートアウト>
カレンダー成形法にてポリ塩化ビニル系樹脂層を成形した時のカレンダーロール面へのプレートアウトについて評価した。
◎:プレートアウトなし
○:わずかにプレートアウトある
△:プレートアウトがある
×:ロール全面にプレートアウトがある。
<加工性・ポリ塩化ビニル系樹脂層の初期着色性>
表1、2に記す各配合物をロール温度160℃に設定した小型の2本ロールで10分間混練し、厚さ約0.3mmの壁紙ベースシートを作製し、この壁紙ベースシートを用いて初期着色度を評価した。初期着色度は黄色度によって評価した。
また、表1、2に記す各々の配合物に対し、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂:ペースト用塩化ビニル系樹脂=100:0とし、かつスルホン酸系界面活性剤を含まないシートを上記の壁紙ベースシートと同じ方法、同じ条件で作製し、それを各壁紙ベースシートに対する基準シートとした。
そして、壁紙ベースシート及びその壁紙ベースシートに対する基準シートの黄色度をスガ試験機社製「SMカラーコンピューター」を用い、JIS K 7373に準拠して求め、壁紙ベースシートの黄色度と基準シートの黄色度の差を黄色度差とし、その黄色度差を以下の評価基準で評価した。
黄色度差=(壁紙ベースシートの黄色度)−(基準シートの黄色度)
◎:黄色度差が +1.0未満
○:黄色度差が +1.0以上+2.0未満
△:黄色度差が +2.0以上+3.0未満
×:黄色度差が +3.0以上
<加工性総合評価>
カレンダー成形法にて作製した際の加工性、プレートアウト、初期着色性の評価を総合して加工性を評価した。
◎:良好
○:問題なく加工できる
△:やや悪いが加工は可能
×:加工不可能
<抗ウイルス性の評価>
被検ウイルスとして、鳥インフルエンザウイルスA/whistling swan/Shimane/499/83(H5N3)株を使用した。(以下、H5N3株という)。
発育鶏卵の漿尿膜腔内で増殖させたウイルスを滅菌リン酸緩衝食塩液(PBS;pH7.2)で1.0×10EID50/0.1mLになるように希釈して試験用ウイルス液を調製した。
実施例及び比較例で作製した塩化ビニル系樹脂壁紙5cm×5cmを、シャーレに置き、塩化ビニル系樹脂壁紙表面に、試験用ウイルス液を0.22ml載せ、その上に4cm×4cmポリエチレンフィルムを被せ、シャーレに蓋をし、20℃に設定したインキュベーター内で1時間静置した。1時間後、塩化ビニル系樹脂壁紙表面のウイルス液を採取し、前記PBSで10倍段階希釈し、希釈したウイルス液を10日齢発育鶏卵の漿尿膜腔内に注射針を用いて0.1mL接種した。
接種後、発育鶏卵を37℃で2日間培養した後、漿尿膜腔でのウイルス増殖の有無を赤血球凝集試験により判定し、Reed&Muenchの方法によってウイルス力価(log10EID50/0.1ml )を算出した。
またブランクとして試験前(塩化ビニル系樹脂壁紙に接触させる前)の試験用ウイルス液のウイルス力価(log10EID50/0.1ml )も上記手順で算出し、塩化ビニル系樹脂壁紙の抗ウイルス性は試験前のウイルス液のウイルス力価から塩化ビニル系樹脂壁紙に接触させて1時間後のウイルス液のウイルス力価を引いた差で評価した。この差が大きいほど塩化ビニル系樹脂壁紙の抗ウイルス性が強いことを示す。
◎:ウイルス力価(試験前)とウイルス力価(1時間後)の差が4以上
○:ウイルス力価(試験前)とウイルス力価(1時間後)の差が3以上4未満
△:ウイルス力価(試験前)とウイルス力価(1時間後)の差が2以上3未満
×:ウイルス力価(試験前)とウイルス力価(1時間後)の差が2未満
<実施例1〜10>
表1の実施例1〜10に記す配合物を一般的なカレンダー成形法によってポリ塩化ビニル系樹脂層に相当する配合物を作製した。カレンダー成形に際し、実施例1〜10の配合物をヘンシェルミキサーで均一に混合し、バンバリーミキサーで樹脂温度が130℃になるまで混練して、融体状のポリ塩化ビニル系樹脂組成物を調製した。これを、160℃に調整された逆L型形の4本ロールのカレンダー成形機を用いて圧延し、圧延されたシート状の生地がカレンダーロールから剥離した直後に、そのシートを基材層である普通パルプ紙と積層させてエンボスすることで、ポリ塩化ビニル系樹脂層と普通パルプ紙を密着よく積層させ、壁紙のベースを得た。その後、この壁紙のベースを210℃で発泡させつつメカニカルエンボスを施して抗ウイルス性を評価する壁紙とした。
ここで、実施例1で用いた塩化ビニル樹脂B−1は、ペースト用塩化ビニル系樹脂に予めドデシルベンゼンスルホン酸Naが5.0重量%添加されている。したがって、ペースト用塩化ビニル系樹脂20重量部とするには塩化ビニル樹脂B−1約21.1重量部を配合し、ドデシルベンゼンスルホン酸Naが約1.1重量部添加されたこととなる。以下、他の実施例、比較例についても同様である。
実施例1〜5は、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂A−1とペースト用塩化ビニル系樹脂B−1の混合比率を変更し、組成物中のスルホン酸系界面活性剤の含有量を変更した例である。スルホン酸系界面活性剤の含有量が増えると壁紙の抗ウイルス性は向上するが、
発明の目的は満足するもののポリ塩化ビニル系樹脂層をカレンダーで加工する際の加工性は低下する。
実施例6、7は、ペースト用塩化ビニル系樹脂B−1よりもスルホン酸系界面活性剤の含有量が多いペースト用塩化ビニル系樹脂B−2を用いた場合の例である。ポリ塩化ビニル100部中のスルホン酸系界面活性剤の量は、実施例1と実施例6が同じで、実施例3と実施例7が同じである。ポリ塩化ビニル100部中のスルホン酸系界面活性剤の量が同じであれば、壁紙の抗ウイルス性は同じであるが、実施例1、3と実施例6、7を比較すると、スルホン酸系界面活性剤の含有量が多いペースト用塩化ビニル系樹脂を用いた場合の方が、発明の目的は満足するものの、わずかにポリ塩化ビニル系樹脂層をカレンダーで加工する際の加工性が低下すると言える。
実施例8は、実施例7に対して可塑剤の種類のみを変更した例だが、可塑剤の種類を変更しても壁紙の抗ウイルス性やポリ塩化ビニル系樹脂層をカレンダーで加工する際の加工性は同じである。
実施例9は、スルホン酸系界面活性剤を含まないペースト用塩化ビニル系樹脂B−3を用い、スルホン酸系界面活性剤G−1をカレンダー加工する際のヘンシェルミキサーで添加した際の例である。ペースト用塩化ビニル系樹脂にB−3を用いたこと、スルホン酸系界面活性剤G−1をカレンダー加工する際に添加したこと以外は実施例3と同じで、ポリ塩化ビニル100部中のスルホン酸系界面活性剤の含有量も同じである。スルホン酸系界面活性剤をカレンダー加工時に添加した場合は、予めスルホン酸系界面活性剤G−1が含まれるペースト用塩化ビニル系樹脂を用いた場合に比べて、発明の目的は満足するものの、壁紙の抗ウイルス性やポリ塩化ビニル系樹脂層をカレンダーで加工する際の加工性が低下する。
実施例10は、発泡剤E−1を未配合とした以外は実施例3と同じで、発泡剤を含まない場合の実施形態の一例である。実施例10では発泡剤を含まないが、実施例3と同様に、
カレンダー成形で得られた壁紙ベースを210℃で発泡工程を経た上でメカニカルエンボスを施し、抗ウイルス性評価に使用する壁紙とした。発泡剤未添加の配合でもポリ塩化ビニル系樹脂層をカレンダーで加工する際の加工性は同じで、さらに、壁紙の抗ウイルス性も同じであった。
<比較例1〜5>
表2の比較例1〜5に記す配合物を実施例と同じ方法ならびに同じ条件で壁紙を作製し、抗ウイルス性を評価した。
比較例1は、スルホン酸系界面活性剤を含むペースト用塩化ビニル系樹脂を配合せずポリ塩化ビニル系樹脂としてはサスペンジョン塩化ビニル系樹脂A−1のみを使用し、さらにカレンダー加工時にスルホン酸系界面活性剤を添加することもない例である。すなわち、本例ではスルホン酸系界面活性剤は含まれない。本例は、ペースト用塩化ビニル系樹脂の混合比率ならびにスルホン酸系界面活性剤の量が請求の範囲から外れる。本例は、ポリ塩化ビニル系樹脂層をカレンダーで加工する際の加工性は良好であるが、スルホン酸系界面活性剤を含まないので、壁紙に抗ウイルス性は確認されない。
比較例2は、スルホン酸系界面活性剤を含むペースト用塩化ビニル系樹脂を配合するもののその配合量が少なく、スルホン酸系界面活性剤の量も少ない場合の例である。比較例1と同様に、本例もペースト用塩化ビニル系樹脂の混合比率ならびにスルホン酸系界面活性剤の量が請求の範囲から外れる。本例もスルホン酸系界面活性剤の量が少ないためにポリ塩化ビニル系樹脂層をカレンダーで加工する際の加工性は良好であるが、スルホン酸系界面活性剤が請求の範囲よりも少ないので、壁紙に抗ウイルス性は確認されない。
比較例3は、スルホン酸系界面活性剤を含むペースト用塩化ビニル系樹脂を配合するもののその配合量が多く、スルホン酸系界面活性剤の量も多い場合の例である。本例も、ペースト用塩化ビニル系樹脂の混合比率ならびにスルホン酸系界面活性剤の量が請求の範囲から外れる。スルホン酸系界面活性剤の量が多いために壁紙の抗ウイルス性は大きいが、塩化ビニル系樹脂層をカレンダーで加工する際の加工性が著しく低下する。
比較例4は、スルホン酸系界面活性剤を含むペースト用塩化ビニル系樹脂のみを用い、サスペンジョン塩化ビニル系樹脂は配合しない例である。本例も、ペースト用塩化ビニル系樹脂の混合比率ならびにスルホン酸系界面活性剤の量が請求の範囲から外れる。比較例3よりもスルホン酸系界面活性剤の量がさらに多くなり、塩化ビニル系樹脂層をカレンダーで加工することができなくなる。したがって、壁紙を作製することができず、抗ウイルス性の評価に至らなかった。
比較例5は、比較例2に対し、スルホン酸系界面活性剤の含有量が少ないペースト用塩化ビニル系樹脂B−1を用いた場合の例である。本例も、比較例1と同様に、ペースト用塩化ビニル系樹脂の混合比率ならびにスルホン酸系界面活性剤の量が請求の範囲から外れる。本例もスルホン酸系界面活性剤の量が少ないためにポリ塩化ビニル系樹脂層をカレンダーで加工する際の加工性は良好であるが、スルホン酸系界面活性剤が請求の範囲よりも少ないので、壁紙に抗ウイルス性は確認されない。また、ペースト用塩化ビニル系樹脂の混合比率ならびにスルホン酸系界面活性剤の量が請求の範囲から外れると、ペースト用塩化ビニル系樹脂に含まれるスルホン酸系界面活性剤の量に関わらず、壁紙の抗ウイルス性や塩化ビニル系樹脂層をカレンダーで加工する際の加工性は同じになる。
Figure 0006182386
Figure 0006182386
本発明によれば、接触したウイルスのウイルス力価を迅速に低減してウイルスを不活化させ、かつ外観、すなわち意匠性の良好な壁紙を提供することができる。本発明の壁紙は、例えば、病院、介護施設、養護施設、学校、幼稚園、公民館、体育館、駅、住宅、マンションなどの住宅・施設等の壁紙として使用することができる。

Claims (3)

  1. 10〜90重量部のペースト用塩化ビニル系樹脂と、90〜10重量部のサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを混合してなるポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、スルホン酸系界面活性剤0.5〜7重量部とを含有するポリ塩化ビニル系樹脂層と、基材層とを備える抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙。
  2. 10〜90重量部のペースト用塩化ビニル系樹脂と、90〜10重量部のサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを混合してなるポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、スルホン酸系界面活性剤0.5〜7重量部とを含有するポリ塩化ビニル系樹脂層と、基材層とを備え、
    前記スルホン酸系界面活性剤がペースト用塩化ビニル系樹脂の製造段階で添加されている抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙。
  3. 予めスルホン酸系界面活性剤が添加されている10〜90重量部のペースト用塩化ビニル系樹脂と、90〜10重量部のサスペンジョン塩化ビニル系樹脂とを混合してポリ塩化ビニル系樹脂組成物を得る工程と、
    前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を薄膜化してポリ塩化ビニル系樹脂層に成形加工する工程と、
    前記ポリ塩化ビニル系樹脂層と基材層とを積層する工程とを備え、
    前記スルホン酸系界面活性剤が前記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し0.5〜7重量部含有されている抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙の製造方法。
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