JP6433647B2 - 抗ウイルス性内装シート - Google Patents

抗ウイルス性内装シート Download PDF

Info

Publication number
JP6433647B2
JP6433647B2 JP2013217171A JP2013217171A JP6433647B2 JP 6433647 B2 JP6433647 B2 JP 6433647B2 JP 2013217171 A JP2013217171 A JP 2013217171A JP 2013217171 A JP2013217171 A JP 2013217171A JP 6433647 B2 JP6433647 B2 JP 6433647B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyvinyl chloride
chloride resin
antiviral
virus
interior sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013217171A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015077752A (ja
Inventor
智大 小野
智大 小野
朋子 照井
朋子 照井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lonseal Corp
Original Assignee
Lonseal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2013217171A priority Critical patent/JP6433647B2/ja
Application filed by Lonseal Corp filed Critical Lonseal Corp
Priority to EP14822191.4A priority patent/EP3020761B1/en
Priority to PCT/JP2014/068588 priority patent/WO2015005476A1/ja
Priority to US14/904,414 priority patent/US10053570B2/en
Priority to KR1020167003624A priority patent/KR102039503B1/ko
Priority to CN201480039824.8A priority patent/CN105377979B/zh
Publication of JP2015077752A publication Critical patent/JP2015077752A/ja
Priority to HK16110430.9A priority patent/HK1222194A1/zh
Priority to US16/001,226 priority patent/US20180282534A1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP6433647B2 publication Critical patent/JP6433647B2/ja
Priority to US17/183,110 priority patent/US11930811B2/en
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

本発明は抗ウイルス性を有する内装用シートに関する。
重症呼吸器感染症(SARS)ウイルス、鳥インフルエンザウイルス、口蹄疫ウイルス、新型インフルエンザウイルス等のウイルス病が次々と社会的問題となっている。本来、ウイルスの宿主域は限定され、哺乳類に感染するものは哺乳類だけ、鳥類に感染するものは鳥類だけというのが通常である。しかし、鳥インフルエンザウイルスは、鳥類のみならず哺乳類にも感染することができる広い宿主域をもつウイルスであるため、ヒトに対して感染する恐れがある。現在では、アジアやヨーロッパでもH5N1型鳥インフルエンザウイルスが蔓延しており、それをベースに変異した強毒型インフルエンザの出現が危惧されている。そのため、ウイルスによるパンデミック(感染爆発)に備え、病院、保健所、養護施設等の医療関係のみならず一般公共施設、家庭まで抗ウイルス製品が期待されるようになってきている。
下記特許文献1では繊維に抗ウイルス性を付与するものとして、金属イオンを担持したビニル―マレイン酸共重合高分子を用いる方法が提案されている。しかしながらこの発明をポリ塩化ビニル系樹脂から成る内装シートに適用する技術については開示されていない。
特許第4584339号公報
本発明の発明者は、スルホン酸系界面活性剤を含有したポリ塩化ビニル系ゾル組成物から成るポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートが、接触したウイルスのウイルス力価を迅速に低減してウイルスを不活化できることを見出した。しかしスルホン酸系界面活性剤をポリ塩化ビニル系ゾル製造時に添加すると、ポリ塩化ビニル系樹脂との分散性が乏しく、ポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートの表面が凸凹になり、外観不良を引き起こすとの課題を見出した。
そこで上記のような状況に鑑み、本発明は抗ウイルス性に優れた抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物からなる外観に優れた内装シートを提供することを目的とする。
前述の課題を解決するために本発明が用いた手段は、スルホン酸系界面活性剤を所定量含有するペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを含むポリ塩化ビニル系ゾル組成物を塗工することを要旨とする。
具体的には、ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、スルホン酸系界面活性剤1.0〜2.0重量部と可塑剤を含有し、スルホン酸系界面活性剤が、ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂の製造段階で添加された抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物を、基材表面に塗工してポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートとし、鳥インフルエンザウイルスA(H5N3)の試験用ウイルス液を前記ポリ塩化ビニル系樹脂製内装シート表面に載せ1時間静置した後に採取した前記試験用抗ウイルス液のウイルス力価(X)と試験前の試験用ウイルス液のウイルス力価(Y)の差(Y−X)が2以上である抗ウイルス性を有するポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートとすることである。

本発明によれば、抗ウイルス性、外観に優れたポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートを得ることができる。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートは、基材層と抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂層を有しており、抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂層はポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートにおいて表面側に設けられている。また抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂層には、ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを含有している。
ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂とは、主に乳化重合法やミクロ懸濁重合法により得られる、粒子径が0.02〜20.0μmである微細なポリマー粒子であり、可塑剤の添加によりペースト状になるのが一般的な特徴である。
ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂の製造方法としては、ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂を得ることが可能であればいかなる製造方法を用いることが可能である。最も一般的な方法としては、塩化ビニル系単量体を脱イオン水、乳化剤、水溶性重合開始剤と共に緩やかな攪拌下重合を行う乳化重合法、乳化重合法で得られた粒子をシードとして用い乳化重合を行うシード乳化重合法、塩化ビニル系単量体を脱イオン水、乳化剤、必要に応じて高級アルコール等の乳化補助剤、油溶性重合開始剤をホモジナイザー等で混合分散した後、緩やかな攪拌下で重合を行うミクロ懸濁重合法、ミクロ懸濁重合法で得られた油溶性重合開始剤を含有するシードを用い重合を行うシードミクロ懸濁重合法等により、重合温度30〜80℃にて重合し、得られたラテックスを噴霧乾燥後、粉砕する方法を挙げることができる。このように、ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂の製造段階は、重合を行う重合工程と重合後の後工程を有している。
本発明に用いるペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂にはその製造段階において予めスルホン酸系界面活性剤が添加されている。
その添加方法であるが、一つは前述の重合工程においてスルホン酸系界面活性剤を乳化剤として添加する方法である。ただしこの場合には、添加されたスルホン酸系界面活性剤の影響により所望の性状のペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂が得られない場合がある。
他方、スルホン酸系界面活性剤は重合後の後工程で添加することもできる。ここで、スルホン酸系界面活性剤は水溶性である。また、乳化重合またはシード乳化重合でペースト用ポリ塩化ビニル樹脂を製造する際に、重合後の中間体的形態として水を溶媒とするラテックスが得られる。したがって、このラテックスにスルホン酸系界面活性剤を添加することで、スルホン酸系界面活性剤がポリ塩化ビニル系樹脂中へ良好に分散される。このように、スルホン酸系界面活性剤を重合後のラテックスに添加することで、重合条件に影響を与えることなく所望の性状を有するペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂が得られる。
このようにペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂の製造段階において予めスルホン酸系界面活性剤が添加されていることにより、ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂中においてスルホン酸系界面活性剤が微分散状態となるためポリ塩化ビニル系ゾル組成物中においても分散性が良好となり、表面の美観を損ねることなくポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートを得ることができる。
本発明に用いるペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂の原体となるポリ塩化ビニル系樹脂としては、特に制限されないが、例えば重合度が600〜5000のものを好適に用いることができる。
本発明に用いるスルホン酸系界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸系化合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系化合物、アルキルナフタレンスルホン酸系化合物、アルキル硫酸エステル系化合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル系、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物系化合物等が挙げられる。この中でも抗ウイルス性に優れるとの観点からアルキルベンゼンスルホン酸系化合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系化合物、アルキルナフタレンスルホン酸系化合物が好ましく、特に抗ウイルス性に優れるアルキルベンゼンスルホン酸系化合物がより好ましい。
本発明で用いるスルホン酸系界面活性剤において、スルホン酸基は例えばインフルエンザウイルスのノイライミダーゼとの親和性が高く、阻害作用を現すことができる。また官能基の構造はノイライミダーゼへの接近に関して影響を示し、嵩高くなく立体障害を受け難い構造が肝要となる。その点において、アルキルベンゼンスルホン酸系界面活性剤は好適であり、特にドデシルベンゼンスルホン酸系界面活性剤が好ましい。
さらに、上記のスルホン酸系界面活性剤としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩等があるが、抗ウイルス性に優れる点でドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)が好ましい。
また、複数のスルホン酸系界面活性剤を抗ウイルス性が阻害されない限りにおいて添加してもよく、その他の種類の界面活性剤を加えることも制限されない。
本発明に用いるペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂には、樹脂成分100重量部に対し、スルホン酸系界面活性剤を0.1〜7.5重量部含有することが必要であり、0.5〜5.0重量部が好ましく、1.0〜2.5重量部が更に好ましい。0.1重量部を下回ると抗ウイルス性に乏しく、7.5重量部を上回ると抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物の脱泡性に劣るため、抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物の脱泡に時間がかかることや脱泡が不充分となり泡混入によりポリ塩化ビニル系樹脂製内装シート表面に凸凹が生じ外観を損ねる可能性がある。これを説明すると、抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物を基材層に塗布する場合に気泡が抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物に残留していると気泡が塗布後の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂層にも塗工される。そのため抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂層において気泡が凸部となったり、気泡が割れてその跡が表面に残る等の外観不良となる場合がある。また、脱泡性が劣ることで別途の脱泡工程を必要としたり、脱泡工程に要する時間が長くなり製造コストが増加する場合もある。
また、ポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートが水と接触する可能性がある場合には、ポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートが白化するのを防ぐとの点からスルホン酸系界面活性剤の添加量を0.1〜3.0重量部とすることが好ましい。特にポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートが透明の場合や濃色の場合には白化が目立ちやすくなるので、添加量を0.1〜2.0重量部とすることがより好ましい。
本発明に用いるペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂は上記予めスルホン酸系界面活性剤を0.1〜7.5重量部含むペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂を単独で用いても良いし、他のペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂と混合して用いてもよい。複数のペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂を混合して用いる場合は、その混合物全体として樹脂成分100重量部に対してスルホン酸系界面活性剤が0.1〜7.5重量部含有されていればよい。
可塑剤は通常の可塑剤を使用できる。例えば、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジウンデシルフタレート(DUP)、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、ジ−2−エチルヘキシルセバケート(DOS)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ポリエステル系可塑剤、塩素化パラフィン等が挙げられる。可塑剤は単独で用いても複数の種類を複合して用いてもよい。
可塑剤の添加量はペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して10〜100重量部が好ましい。可塑剤の添加量が100重量部を超えるとポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートとしたときに汚れが付着しやすく、付着した汚れが簡単な清掃で除去できなくなり、10重量部を下回ると抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物の調整や塗工が困難となる。抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物の調整や塗工がし易く、高い耐汚染性を付与するためには可塑剤添加量は20〜70重量部が好ましく、25〜40重量部がさらに好ましい。
また、必要に応じて、安定剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、紫外線遮蔽剤、帯電防止剤、発泡剤、難燃剤、増粘剤、界面活性剤、蛍光剤、架橋剤、衝撃改良剤、抗菌剤、減粘剤、防カビ剤、難燃剤、防炎剤、脱泡剤など、一般的に樹脂に添加される他の配合剤を添加してもよい。
基材層としては、特に制限はないが、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂をカレンダー成形機、押出成形機、射出成形機、圧縮成形機、注形成形機等を用いてシート化したものや、紙、織布、不織布等の材料を用いることができる。また、紙、織布、不織布等の材料による層と合成樹脂からなる層を積層して基材層としてもよい。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートは、本発明の抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物を、基材層表面に塗工して得る。
抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物はスルホン酸系界面活性剤を予め添加したペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂と可塑剤等をミキサー等で攪拌して抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物を得る。
また、塗工後に抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物を乾燥固化する必要がある。乾燥固化する条件として、例えば、オーブン等を用いて180〜220℃の温度で3〜5分加熱する方法が挙げられる。
ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを攪拌するには、ディゾルバー式ミキサー、バタフライミキサー、万能撹拌機等を用いることができる。
抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物を基材層に塗工するには、ナイフコーティング、グラビアコーティング、ロールコーティング、バーコーティング、ダイコーティング等を用いることができる。
塗工後に抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物を乾燥固化するには、熱風乾燥炉、遠赤外線乾燥炉等を用いることができる。
また、各種樹脂発泡層、印刷層や着色層などの意匠層等の層を基材上に設け、さらにその上に抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物を塗工した抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂層を設け、多層構造としてもよく、使用する用途や要求される物性に応じて積層することができる。ただし、いずれの場合においても、基材が上記加熱時の高温に耐えうる強度を有している必要がある。ここで、意匠層の上に抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物を塗工する場合には抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂層を透明とすることが好ましい。これにより表面から意匠層を視認することができ、意匠性に優れる。ここで、意匠層としては例示した印刷層、着色層以外にも視覚を通じて美観を起こさせるような層であればよい。また、着色層、印刷層等の意匠層を抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂層で構成することもできる。
ポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートの表層の上面にエンボス加工などによって絞を形成することができる。絞を形成することで、意匠のバリエーションが増やすことが可能である。
ポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートの表層の上面に形成する微細な凹凸の好ましい形態としては、算術平均粗さRaが5μm〜20μmであり、より好ましくは10μm〜15μmである。独立した凸部が点在する形状(シャープ)よりも、凸部及び凹部がなだらかに連続し(ブロード)、且つ、微細で複雑な曲線を描くものが耐汚染性の面で好ましい。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートには、抗ウイルス性を阻害させない限りに於いて表面にトップコート層を設けても良い。トップコート層を設けることで耐汚染性を向上することが可能である。トップコート層は、例えばトップコート用樹脂組成物を塗料にして塗工することで設けることができ、トップコート用樹脂組成物の樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂などを用いることができる。
ここでトップコート層がコート剤(塗料)の塗工により設けられる場合、コート剤は抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂層の上に細かな隙間を有する状態で塗布される。したがって、抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂層に含まれるスルホン酸系界面活性剤は表面に一部露出することができるために、ウイルスが内装シート表面に接触した場合に該ウイルスを攻撃することが可能となる。そのためトップコート層を設けても抗ウイルス性が発揮される。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートは、例えばエンベロープを有するウイルスに効力を発現する。
エンベロープを有するウイルスとしては、例えば鳥インフルエンザウイルス、人インフルエンザウイルス、豚インフルエンザウイルス等のインフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、RSウイルス等が挙げられる。
本発明を実施例によって、さらに詳しく説明するが本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例1および実施例4〜6を、以下、参考例1および参考例4〜6と読み替える。
実施例および比較例に使用した各配合剤の具体的な物質名は以下の通りである。
ポリ塩化ビニルA−1:ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂 平均重合度 4500
(ドデシルベンゼンスルホン酸Na10.0重量%)
ポリ塩化ビニルA−2:ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂 平均重合度 4500
(ドデシルベンゼンスルホン酸Na1.0重量%)
ポリ塩化ビニルA−3:ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂 平均重合度 850
(ドデシルベンゼンスルホン酸Na5.0重量%)
ポリ塩化ビニルa−1:ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂 平均重合度 4500
スルホン酸系界面活性剤B−1:アルキルベンゼンスルホン酸Na 純度90%
(商品名;NANSA(登録商標) HS90/S、ハンツマン・ジャパン社製)
可塑剤C−1:ジ‐2‐エチルヘキシルフタレート
安定剤D−1:Ba−Zn系金属石鹸
安定剤D−2:エポキシ化大豆油
減粘剤E−1:脂肪酸エステル系界面活性剤
表1に示した実施例及び比較例の配合物を混合し、真空下で脱泡し、ポリ塩化ビニル系ゾル組成物を作製した。そして、このポリ塩化ビニル系ゾル組成物を基材である基布付き軟質PVCシートにバーコーターで塗布することで基材の上にポリ塩化ビニル系樹脂層を設けた。次に205℃のオーブンで5分間乾燥しポリ塩化ビニル系樹脂層を固化しポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートを得た。
<脱泡性>
表1に記載の実施例、比較例で混合したポリ塩化ビニル系ゾル組成物を1Lのカップに40g入れ、真空下で脱泡を行い、そのとき上昇したゾル液面の最大高さである破泡高さ及び泡が発生しなくなるまでの破泡時間から脱泡性を評価した。評価は比較例1を基準とした。
○:比較例1と比較して破泡高さ、破泡時間ともに同程度。
△:比較例1と比較して破泡高さが若干高く、破泡時間も少し長い。
×:比較例1と比較して破泡高さが著しく高く、破泡時間も長い。
<塗工性>
表1に記載の実施例、比較例で作製したポリ塩化ビニル系ゾル組成物を基材にバーコーターで塗布しその時の塗工性を評価した。
○:問題なく塗工できる。
△:多少の塗布ムラは見られるが実用上問題ない程度である。
×:バーコーターでは塗工が困難。
<外観>
表1に記載の実施例及び比較例で作製したポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートの外観を評価した。
○:外観が良い。
△:多少の塗布ムラは見られるが実用上問題ない程度である。
×:塗布ムラや泡残りが多く、外観が悪い。
<抗ウイルス性>
被検ウイルスとして、鳥インフルエンザウイルスA/whistling swan/Shimane/499/83(H5N3)株を使用した。(以下、H5N3株という)。
H5N3株を滅菌リン酸緩衝食塩液(PBS;pH7.2)で1.0×10EID50/0.1mLになるように希釈して試験用ウイルス液を調製した。
表1に記載の実施例及び比較例で作製したポリ塩化ビニル系樹脂製内装シート5cm×5cmを、シャーレに置き、ポリ塩化ビニル系樹脂製内装シート表面に、試験用ウイルス液を0.22ml載せ、その上に4cm×4cmポリエチレンフィルムを被せ、シャーレに蓋をし、20℃に設定したインキュベーター内で1時間静置した。1時間後、ポリ塩化ビニル系樹脂製内装シート表面のウイルス液を採取し、前記PBSで10倍段階希釈し、希釈したウイルス液を10日齢発育鶏卵の漿尿膜腔内に注射針を用いて0.1mL接種した。
接種後、発育鶏卵を37℃で2日間培養した後、漿尿膜腔でのウイルス増殖の有無を赤血球凝集試験により判定し、Reed&Muenchの方法によってウイルス力価(log10EID50/0.1ml )を算出した。
またブランクとして試験前(ポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートに接触させる前)の試験用ウイルス液のウイルス力価(log10EID50/0.1ml )も上記手順で算出し、ポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートの抗ウイルス性は試験前のウイルス液のウイルス力価からポリ塩化ビニル樹脂製内装シートに接触させて1時間後のウイルス液のウイルス力価を引いた差で評価した。この差が大きいほどポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートの抗ウイルス性が強いことを示す。
○:ウイルス力価(試験前)とウイルス力価(1時間後)の差が4以上
△:ウイルス力価(試験前)とウイルス力価(1時間後)の差が2以上4未満
×:ウイルス力価(試験前)とウイルス力価(1時間後)の差が2未満
<耐汚染性>
JIS K 3920に記載のスネルカプセルテスターに標準ゴムブロックを6個入れ、シートを表面層がゴムブロックと接触する向きにセットして50rpmの回転数で正転5分・反転5分を5サイクル回転させたあと、シートを取り出してヒールマークの付着の程度を観察し、汚れ性を評価した。さらに汚染面を乾いた布で拭いた後のヒールマークの付着の程度から清掃性を評価した。汚れ性と清掃性の両面から耐汚染性を評価した。
汚れ性
○:ほとんど付着なし(わずかに付着が認められる程度)
△:付着あり
×:激しく付着あり
清掃性
○:汚れの除去が可能(清掃後、汚れが目立たない)
△:一部の汚れの除去困難(清掃後、目に付く汚れがある)
×:大部分の汚れの除去困難
<白化>
表1に記載の実施例及び比較例で作製したポリ塩化ビニル系樹脂製内装シート10cm×10cmを、シャーレに置き、ポリ塩化ビニル系樹脂製内装シート表面に、蒸留水を含ませた3cm×3cm×3cmのスポンジを載せ、シャーレに蓋をし、20℃、65%RHの環境下で24時間静置した。その後、スポンジと水分を除去し24時間静置し、スガ試験機社製 「SMカラーコンピューター」を用い、ΔE*を測定した。ΔE*の値が大きい程、白化していることとなる。
Figure 0006433647
実施例1〜5と比較例1を比べるとスルホン酸系界面活性剤を含有することで抗ウイルス性が付与されていることがわかる。
実施例2と比較例2を比べるとスルホン酸系界面活性剤の含有量を本発明の範囲内にすることで脱泡性及び外観や耐汚染性に優れることがわかる。
実施例4〜6と比較例3、4を比べると可塑剤の添加量を本発明の範囲内にすることでペースト塗工性及び外観に優れることがわかる。
実施例3と比較例5を比べると予めスルホン酸系界面活性剤を含有しているペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂を用いることで塗工性及び外観、さらに抗ウイルス性に優れることがわかる。
また、スルホン酸系界面活性剤含有量が少ない程、白化がしにくくことがわかる。
本発明によれば、接触したウイルスのウイルス力価を迅速に低減してウイルスを不活化させる外観の優れた内装シートを提供できることから、さまざまな建築物や乗り物等に好適である。特に、病院、オフィス、老建施設、学校等の公共施設、バス、電車などの一度に多くの人が集まりウイルスの感染リスクが高い場所に適している。

Claims (2)

  1. 基材層と、
    ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、スルホン酸系界面活性剤1.0〜2.0重量部と可塑剤10〜100重量部とを含有する抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系ゾル組成物が前記基材層に塗工されてなる抗ウイルス性ポリ塩化ビニル系樹脂層と、を備え、
    前記スルホン酸系界面活性剤が、前記ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂の製造段階で添加されているポリ塩化ビニル系樹脂製内装シートであって、
    鳥インフルエンザウイルスA(H5N3)の試験用ウイルス液を前記ポリ塩化ビニル系樹脂製内装シート表面に載せ1時間静置した後に採取した前記試験用抗ウイルス液のウイルス力価(X)と試験前の試験用ウイルス液のウイルス力価(Y)の差(Y−X)が2以上である抗ウイルス性を有するポリ塩化ビニル系樹脂製内装シート。
  2. ペースト用ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、可塑剤20〜70重量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルス性を有するポリ塩化ビニル系樹脂製内装シート。
JP2013217171A 2013-07-12 2013-10-18 抗ウイルス性内装シート Active JP6433647B2 (ja)

Priority Applications (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013217171A JP6433647B2 (ja) 2013-10-18 2013-10-18 抗ウイルス性内装シート
PCT/JP2014/068588 WO2015005476A1 (ja) 2013-07-12 2014-07-11 抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物、抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シート、及びその製造方法、内装シート、内装シートの製造方法、ポリ塩化ビニル系樹脂製内装シート、抗ウイルス性壁紙、及び抗ウイルス性壁紙の製造方法
US14/904,414 US10053570B2 (en) 2013-07-12 2014-07-11 Antiviral vinyl-chloride resin composition, antiviral sheet of vinyl-chloride resin, process for producing the same, interior decorative sheet, process for producing interior decorative sheet, interior decorative sheet of poly(vinyl chloride) resin, antiviral wallpaper, and process for producing antiviral wallpaper
KR1020167003624A KR102039503B1 (ko) 2013-07-12 2014-07-11 항바이러스성 염화비닐계 수지 조성물, 항바이러스성 염화비닐계 수지제 시트, 및 그 제조 방법, 내장 시트, 내장 시트의 제조 방법, 폴리염화비닐계 수지제 내장 시트, 항바이러스성 벽지, 및 항바이러스성 벽지의 제조 방법
EP14822191.4A EP3020761B1 (en) 2013-07-12 2014-07-11 Antiviral vinyl chloride resin composition, antiviral vinyl chloride resin sheet, and method for manufacturing same, interior sheet, method for manufacturing interior sheet, polyvinyl chloride resin interior sheet, antiviral wallpaper, and method for manufacturing antiviral wallpaper
CN201480039824.8A CN105377979B (zh) 2013-07-12 2014-07-11 抗病毒性氯乙烯系树脂组合物、内装片材及其制造方法、抗病毒性壁纸及其制造方法
HK16110430.9A HK1222194A1 (zh) 2013-07-12 2016-09-01 抗病毒性氯乙烯系樹脂組合物、抗病毒性氯乙烯系樹脂製片材及其製造方法、內裝片材、內裝片材的製造方法、聚氯乙烯系樹脂製內裝片材、抗病毒性壁紙和抗病毒性壁紙的製造方法
US16/001,226 US20180282534A1 (en) 2013-07-12 2018-06-06 Antiviral vinyl-chloride resin composition, antiviral sheet of vinyl-chloride resin, process for producing the same, interior decorative sheet, process for producing interior decorative sheet, interior decorative sheet of poly(vinyl chloride) resin, antiviral wallpaper, and process for producing antiviral wallpaper
US17/183,110 US11930811B2 (en) 2013-07-12 2021-02-23 Antiviral vinyl-chloride resin composition, antiviral sheet of vinyl-chloride resin, process for producing the same, interior decorative sheet, process for producing interior decorative sheet, interior decorative sheet of poly (vinyl chloride) resin, antiviral wallpaper, and process for producing antiviral wallpaper

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013217171A JP6433647B2 (ja) 2013-10-18 2013-10-18 抗ウイルス性内装シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015077752A JP2015077752A (ja) 2015-04-23
JP6433647B2 true JP6433647B2 (ja) 2018-12-05

Family

ID=53009636

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013217171A Active JP6433647B2 (ja) 2013-07-12 2013-10-18 抗ウイルス性内装シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6433647B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3973234B2 (ja) * 1997-04-11 2007-09-12 新第一塩ビ株式会社 ペースト加工用塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP2013193966A (ja) * 2012-03-16 2013-09-30 Sekisui Chem Co Ltd 樹脂組成物、樹脂溶液、積層体及び樹脂シート

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015077752A (ja) 2015-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11930811B2 (en) Antiviral vinyl-chloride resin composition, antiviral sheet of vinyl-chloride resin, process for producing the same, interior decorative sheet, process for producing interior decorative sheet, interior decorative sheet of poly (vinyl chloride) resin, antiviral wallpaper, and process for producing antiviral wallpaper
JP6608534B2 (ja) 印刷特性に優れる装飾材用インク収容層組成物、装飾材および装飾材の製造方法
JP6762759B2 (ja) 抗ウイルス性を有する表面処理剤及び表面処理剤が塗布されている抗ウイルス性シート状物
JP6433647B2 (ja) 抗ウイルス性内装シート
JP6912165B2 (ja) 抗ウイルス剤を添加した抗ウイルス性合成樹脂組成物
JP6436563B2 (ja) 抗ウイルス性内装シート
JP5601698B2 (ja) 抗ウイルス性を有するポリ塩化ビニル系樹脂製シート
JP6182386B2 (ja) 抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙および製造方法
JP6228423B2 (ja) 抗ウイルス性内装シート
JP4378918B2 (ja) 防汚加工剤
JP6955830B2 (ja) 抗ウイルス性を有する表面処理剤
JP6436562B2 (ja) 抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物および抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートならびに製造方法
JP6867743B2 (ja) 抗ウイルス性を有する表面処理剤及び表面処理剤が塗布されている抗ウイルス性シート状物
JP2016128395A (ja) 抗ウイルス性合成樹脂組成物及びその製造方法
JP6892199B2 (ja) 抗ウイルス性内装シート
JP6246512B2 (ja) 抗ウイルス性壁紙
CN115427628A (zh) 含银的涂层和清漆膜,其生产方法及其作为抗病毒剂的用途
JP2021017560A (ja) フィルム形成用組成物、及びプラスチゾル組成物
JP2024034272A (ja) 抗ウイルス性シート状物
JP2020023765A (ja) 壁紙
JP2022046202A (ja) 抗ウイルス性床材用樹脂組成物および抗ウイルス性床材
JPH04241173A (ja) 透明層用樹脂組成物
JP2022046223A (ja) 抗ウイルス性床材用樹脂組成物および抗ウイルス性床材
JPH03142241A (ja) 結露防止性シート状物
JP2007137692A (ja) 人工大理石の表面処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170724

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170922

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180219

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180420

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180613

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180913

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20180925

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181101

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181107

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6433647

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250