JP6181521B2 - トランスミッションにおけるリダクションギヤノイズ抑制構造 - Google Patents
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Description
同文献に記載のトランスミッションは、トランスミッションケース内に収容された入力軸および出力軸の一端部に、互いに噛合する一対のリダクションギヤが取り付けられた構造を有している。トランスミッションケースのうち、前記一対のリダクションギヤが設けられている側の一端部には、開口部が設けられ、この開口部がカバーケースによって塞がれた構造とされている。
前記一対のリダクションギヤが互いに噛み合って回転する際には、振動が発生するが、これを低減するための手段として、一対のリダクションギヤをスラスト方向にフローティング支持させる手段が採用されている。このフローティング支持は、一対のリダクションギヤを入力軸および出力軸に対してスラスト方向に固定させない支持構造であるため、ギヤ歯面の振動を入力軸や出力軸に伝わり難くすることが可能である。
ところが、前記前者の手段によれば、ケースカバーの重量の増大、製造コストの上昇を招く難点がある。一方、前記後者の手段によれば、ノイズ抑制効果を良好にし得るものの、ケースカバーによって塞がれるトランスミッションケースの開口部およびその付近には、一対のリダクションギヤに加えて、パーキングポールなどのパーキング部品類などが集約して設けられているため、ボルト締結構造を設置することは、スペース制約上、その実現が難しいのが実情である。
ところが、このような手段によれば、塗料塗布などの面倒な作業が必須となる他、塗料による固着力は、機械的な連結手段と比較するとかなり小さく、防振を確実に図る観点からすると、その信頼性に乏しい。また、トランスミッション内の所定位置にオイルレシーバを設け、かつこのオイルウォーマの所定部位とケースカバーとが交わるように構成することも要件とされるために、製造コストが高くなる他、汎用性にも乏しいものとなる不利がある。
トランスミッションケースの所定の壁部に設けられた第1の突起部と、ケースカバーに設けられた第2の突起部とが係合し、これらを介してケースカバーのうち、第2の突起部が設けられている箇所の固定化が図られる。したがって、リダクションギヤの振動に伴うケースカバーの共振(とくに膜振動)を抑制し、リダクションギヤノイズを効果的に低減、抑制することができる。
トランスミッションケースの開口部またはその近傍には、一対のリダクションギヤやパーキングポールなどが設けられているが、第1の突起部は、それら一対のリダクションギヤおよびパーキングポールの三者に囲まれている空隙部を有効に利用して、トランスミッションケースのうちの入力軸や出力軸を支持する軸受が装着される壁部に突設されている。一方、第2の突起部は、第1の突起部と係合可能なようにケースカバーに突設すればよい。したがって、それら第1および第2の突起部が設けられた構造は、簡易であり、比較的廉価に実現することが可能である。リダクションギヤやパーキングポールの仕様や位置を変更するなど、トランスミッション各部に大きな改良を加えるような必要もない。また、部品点数の増大も抑制することができる。したがって、製造コストを廉価することもできる。ケースカバーに、防振用の補強用リブを多数設ける必要がなくなるため、製造コストをより廉価にすることが可能であり、さらには軽量化も好適に図ることができる。
態で前記壁部から突出した一対の傾斜片部を有し、かつこれら一対の傾斜片部は、下部どうしが離間するとともに上部どうしが繋がった正面断面視略Λ状とされており、前記一対の傾斜片部の突出方向の先端部には、前記一対の傾斜片部どうしの間に形成された隙間を塞ぐ係合用フランジ部が設けられており、前記第2の突起部は、その先端部に上向きの係合用片を有しており、この上向きの係合用片は、前記第1の突起部の一対の傾斜片部どうしの隙間にその下方から進入し、かつ前記係合用フランジ部の背面部に当接するように設けられている。
第1の突起部を構成する一対の傾斜片部は、正面断面視略Λ状に繋がっているが、このような形態によれば、上側に進むほど横幅が狭くなる空隙部にスペース効率よく配置させながらも、各リダクションギヤとの不当な干渉を生じないように設定することが容易となる。また、第1の突起部の剛性を大きくし、十分な強度をもたせ得ることとなる。
第1および第2の突起部を互いに係合させる際には、第2の突起部の上向きの係合用片を、第1の突起部の一対の傾斜片部どうしの隙間にその下方から進入し、かつ第1の突起部の係合用フランジ部の背面部に当接させることとなるが、その係合作業は容易であり、組み立て作業性も良好である。
さらに、第2の突起部の上向きの係合用片は、第1の突起部の係合用フランジ部の背面部に当接する作用により、第1および第2の突起部どうしの突出方向(ケースカバーをトランスミッションケースに取り付ける方向と同方向)の位置規制を的確に図ることができる。加えて、第2の突起部の上向きの係合用片は、第1の突起部の一対の傾斜片部どうしの隙間にその下方から進入した構造とされるために、第1および第2の突起部どうしの幅方向(一対のリダクションギヤが並ぶ方向と同方向)の位置規制を図ることができる。したがって、第1および第2の突起部のそれぞれを比較的単純な形状としながらも、ケースカバーの膜振動防止用の固定連結構造をより好適に構築することができる。
その他、第1の突起部の正面断面視略Λ状に形成された一対の傾斜片部は、潤滑用オイルのガイド部材などとして利用することも可能である。
同図に示すトランスミッションTMは、トランスミッションケース1内に、トルクコンバータ50、変速機構部6、および差動歯車機構部7が組み込まれたものである。トランスミッションケース1は、トルクコンバータ50や差動歯車機構部7の組み込みの容易化を図るために第1ケース1aと第2ケース1bに分割されているが、このトランスミッシ
ョンケース1のうち、エンジンEGが接続される一端側とは反対側の端部には開口部10が設けられて、この開口部10がケースカバー2によって塞がれている。本実施形態に係るトランスミッションにおけるリダクションギヤノイズ抑制構造は、前記したケースカバー2の防振性能を高め、後述するリダクションギヤ60a,60b(ドライブギヤ60a,ドリブンギヤ60b)の騒音抑制を図るものである。
成された隙間32の手前側部分を塞ぐ係合用フランジ部31が設けられている。
1に突設されたものである。一方、第2の突起部3Bは、第1の突起部3Aと係合可能なようにケースカバー2の内面側に突設すればよい。したがって、それら第1および第2の突起部3A,3Bが設けられた構造自体は簡易であり、全体の製造コストを比較的廉価に抑制することが可能である。第1および第2の突起部3A,3Bを設けるにあたり、リダクションギヤ60a,60bやパーキングポール8の位置や仕様を従来と比較して大きく変更するような必要はない。また、部品点数の増大も回避または抑制することができる。さらに、ケースカバー2に、剛性を高めて防振を図るための補強用リブを多数設ける必要もなくなる。その結果、製造コストをより廉価に抑制し得ることとなる。トランスミッションTMの全体の軽量化も好適に図ることが可能となる。
μm単位の膜振動をより効果的に抑制するための手段として、第1および第2の突起部の互いに係合する箇所に、耐熱性および耐油性に優れたゴムあるいは樹脂などのコーティングを施し、係合部分のガタツキをより少なくする手段を採用してもよい。
本発明の適用対象となるトランスミッションは、上述した実施形態のトランスミッションに限らず、その種別や具体的な構造は限定されない。
EG エンジン
1 トランスミッションケース
2 ケースカバー
3A,3B 第1および第2の突起部
8 パーキングポール
10 開口部(トランスミッションケースの)
11 壁部(トランスミッションケース内の)
19 空隙部
30 傾斜片部
31 係合用フランジ部
32 隙間
39 係合用片
60a,60b リダクションギヤ
61a 入力軸
61b 出力軸
63a〜63c 軸受
Claims (2)
- 入力軸および出力軸を内部に収容し、かつエンジンが接続される一端側とは反対側の端部に設けられた開口部またはその近傍に、前記入力軸および出力軸に取り付けられて互いに噛合する一対のリダクションギヤが配されているトランスミッションケースと、
このトランスミッションケース内のうち、前記一対のリダクションギヤよりも奥部側に設けられ、かつ前記入力軸および出力軸を支持するための軸受が装着される壁部と、
前記一対のリダクションギヤの下側に設けられたパーキングポールと、
前記開口部を塞ぐようにして前記トランスミッションケースに取り付けられ、かつ前記一対のリダクションギヤの少なくとも一方を支持する軸受が装着されるケースカバーと、
を備えている、トランスミッションにおいて、
前記トランスミッションケースの前記壁部には、前記一対のリダクションギヤおよび前記パーキングポールの三者に囲まれている空隙部に進入するようにして前記ケースカバー側に突出する第1の突起部が設けられ、
前記ケースカバーには、前記第1の突起部に向けて突出し、かつ前記第1の突起部と係合可能な第2の突起部が設けられていることを特徴とする、トランスミッションにおけるリダクションギヤノイズ抑制構造。 - 請求項1に記載のトランスミッションにおけるリダクションギヤノイズ抑制構造であって、
前記空隙部は、前記一対のリダクションギヤの噛合部分の下方に位置し、かつ上側に進むほど横幅が狭くなる形状であり、
前記第1の突起部は、前記一対のリダクションギヤのそれぞれの外周に間隔を隔てて対面するように傾斜した状態で前記壁部から突出した一対の傾斜片部を有し、かつこれら一対の傾斜片部は、下部どうしが離間するとともに上部どうしが繋がった正面断面視略Λ状とされており、
前記一対の傾斜片部の突出方向の先端部には、前記一対の傾斜片部どうしの間に形成された隙間を塞ぐ係合用フランジ部が設けられており、
前記第2の突起部は、その先端部に上向きの係合用片を有しており、この上向きの係合用片は、前記第1の突起部の一対の傾斜片部どうしの隙間にその下方から進入し、かつ前記係合用フランジ部の背面部に当接するように設けられている、トランスミッションにおけるリダクションギヤノイズ抑制構造。
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